JP2007331435A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの乗り心地性能を維持しつつタイヤのランフラット性能を向上できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、ビード部のコアを構成するビードコア2と、ビードコア2のタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラー3と、一対のビードコア2、2間にトロイド状に架け渡されるカーカス層4と、カーカス層4のタイヤ径方向外周に配置されるベルト層5とを有する。また、空気入りタイヤ1は、サイドウォール部の剛性を補強する補強ゴム層8を有することによりランフラット走行できる。そして、ビードフィラー3がサイドウォール部の略全域に渡って延在すると共に第一フィラー部31および第二フィラー部32を含んで構成され、且つ、第二フィラー部32が第一フィラー部31よりも高い硬度を有すると共に第一フィラー部31よりもタイヤ径方向外側に配置される。
【選択図】 図1
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、ビード部のコアを構成するビードコア2と、ビードコア2のタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラー3と、一対のビードコア2、2間にトロイド状に架け渡されるカーカス層4と、カーカス層4のタイヤ径方向外周に配置されるベルト層5とを有する。また、空気入りタイヤ1は、サイドウォール部の剛性を補強する補強ゴム層8を有することによりランフラット走行できる。そして、ビードフィラー3がサイドウォール部の略全域に渡って延在すると共に第一フィラー部31および第二フィラー部32を含んで構成され、且つ、第二フィラー部32が第一フィラー部31よりも高い硬度を有すると共に第一フィラー部31よりもタイヤ径方向外側に配置される。
【選択図】 図1
Description
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの乗り心地性能を維持しつつタイヤのランフラット性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
近年の空気入りタイヤでは、パンク等の障害によりタイヤ空気圧が低下したときに、ある程度の距離の走行を可能とするための性能(ランフラット性能)が求められている。この性能を実現するために、例えば、サイドウォール部のタイヤ内周面側に、サイドウォール部の剛性を補強するための補強ゴム層が配置されている。これにより、タイヤ空気圧の低下時にてタイヤ形状が維持されて、ランフラット走行が可能となる。
かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤには、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の空気入りタイヤ(空気入りランフラット走行ラジアルタイヤ)は、一対のビードコア間にわたってトロイド状に連なり、両端部が前記ビードコアをタイヤ内側から外側へ巻き上げられる少なくと1枚のラジアルカーカスプライからなるカーカスと、前記カーカスのサイド領域のタイヤ軸方向外側に配置されてタイヤサイド部を構成するサイドゴム層と、前記カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配置されてトレッド部を構成するトレッドゴム層と、前記トレッドゴム層とカーカスのクラウン領域の間に配置される少なくとも1枚のベルトプライからなるベルトと、前記カーカスのタイヤ内方全面に配置されるインナーライナーと、前記一方のビードコアから他方のビードコアへ延びるカーカス本体部分と前記ビードコアに巻き上げられる巻上部分との間に配置されるビードフィラー層と、を備えた空気入りランフラットタイヤであって、前記カーカスのタイヤサイド部からショルダー領域の内側にかけて、タイヤ回転軸に沿った断面形状が略三日月形である、少なくとも1層の補強ゴム層を有するサイド補強層を有し、前記カーカスのタイヤサイド部からショルダー領域の内側にかけて、前記タイヤカーカスと前記サイド補強層との間に振動抑制ゴム層を配設したことを特徴とする。
ここで、タイヤのランフラット性能(ランフラット走行時のタイヤの耐久性能)を向上させるためには、補強ゴム層の硬度を高く設定してサイドウォール部の剛性をより補強すれば良い。しかしながら、補強ゴム層の硬度が高く設定されると、サイドウォール部の振動吸収性が低下して通常走行時(パンク等の障害がない状態での走行時)の乗り心地性能が低下するという課題がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてされたものであって、タイヤの乗り心地性能を維持しつつタイヤのランフラット性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、ビード部のコアを構成するビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラーと、一対の前記ビードコア間にトロイド状に架け渡されるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外周に配置されるベルト層とを有すると共に、サイドウォール部の剛性を補強する補強ゴム層を有することによりランフラット走行が可能な空気入りタイヤであって、前記ビードフィラーがサイドウォール部の略全域に渡って延在すると共に第一フィラー部および第二フィラー部を含んで構成され、且つ、前記第二フィラー部が前記第一フィラー部よりも高い硬度を有すると共に前記第一フィラー部よりもタイヤ径方向外側に配置されることを特徴とする。
この空気入りタイヤでは、ビードフィラーが硬度の異なる複数のフィラー部から成るので、これらのフィラー部の剛性を調整することにより、ビードフィラー3の剛性分布を任意に設定し得る。そして、このビードフィラーによりサイドウォール部の剛性が補強されるので、サイドウォール部の剛性分布の適正化が可能となる。これにより、タイヤの乗り心地性能を維持しつつランフラット性能を向上させ得る利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記第一フィラー部がサイドウォール部のタイヤ径方向内側にかかる略半分の領域に延在し、前記第二フィラー部がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に延在する。
この空気入りタイヤでは、硬度の高い第二フィラー部がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に延在するので、硬度の低いフィラー部がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に配置される構成と比較して、サイドウォール部の剛性分布が適正化される。これにより、ランフラット走行時におけるサイドウォール部の変形が抑制されて、タイヤのランフラット性能(耐久性能)が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記第一フィラー部と前記第二フィラー部との硬度(JISK6253A)の差が5ポイント以上ある。
この空気入りタイヤでは、第一フィラー部と第二フィラー部との硬度差が適正化されているので、硬度の高い第二フィラー部によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一フィラー部による振動吸収作用とがそれぞれ確保される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記第一フィラー部の硬度が60ポイント以上90ポイント以下の範囲内にあり、且つ、前記第二フィラー部の硬度が65ポイント以上96ポイント以下の範囲内にある。
この空気入りタイヤでは、第一フィラー部の硬度と第二フィラー部の硬度とが適正化されるので、硬度の高い第二フィラー部によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一フィラー部による振動吸収作用とがより好適に発揮される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記第二フィラー部の端部が前記第一フィラー部の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられている。
この空気入りタイヤでは、第二フィラー部の端部が第一フィラー部の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられる構成と比較して、第一フィラー部および第二フィラー部が好適に噛み合って固定される。これにより、サイドウォール部の剛性が好適に補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記第一フィラー部の端部と前記第二フィラー部の端部との巻き付け幅tが前記ビードフィラーの全長lに対してt/l≦0.50の関係を有する。
この空気入りタイヤでは、第一フィラー部の端部と第二フィラー部の端部との巻き付け幅tが適正化されることにより、ランフラット性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記補強ゴム層が第一ゴム層部および第二ゴム層部を含んで構成され、且つ、前記第二ゴム層部が前記第一ゴム層部よりも高い硬度を有すると共に前記第一ゴム層部よりもタイヤ径方向外側に配置される。
この空気入りタイヤでは、補強ゴム層が硬度の異なる複数のゴム層部から成るので、これらのゴム層部の剛性を調整することにより、補強ゴム層の剛性分布を任意に設定し得る。そして、この補強ゴム層によりサイドウォール部の剛性が補強されるので、サイドウォール部の剛性分布の適正化が可能となる。これにより、タイヤの乗り心地性能を維持しつつランフラット性能を向上させ得る利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記第一ゴム層部と前記第二ゴム層部との硬度(JISK6253A)の差が5ポイント以上ある。
この空気入りタイヤでは、第一ゴム層部と第二ゴム層部との硬度差が適正化されているので、硬度の高い第二ゴム層部によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一ゴム層部による振動吸収作用とがそれぞれ確保される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記第一ゴム層部の硬度が71ポイント以上91ポイント以下の範囲内にあり、且つ、前記第二ゴム層部の硬度が76ポイント以上96ポイント以下の範囲内にある。
この空気入りタイヤでは、第一ゴム層部の硬度と第二ゴム層部の硬度とが適正化されるので、硬度の高い第二ゴム層部によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一ゴム層部による振動吸収作用とがより好適に発揮される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記第二ゴム層部の端部が前記第一ゴム層部の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられている。
この空気入りタイヤでは、第二ゴム層部の端部が第一ゴム層部の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられる構成と比較して、第一ゴム層部および第二ゴム層部が好適に噛み合って固定される。これにより、サイドウォール部の剛性が好適に補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記第一ゴム層部の端部と前記第二ゴム層部の端部との巻き付け幅uが前記補強ゴム層の全長mに対してu/m≦0.50の関係を有する。
この空気入りタイヤでは、第一ゴム層部の端部と第二ゴム層部の端部との巻き付け幅uが適正化されることにより、ランフラット性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記ビードフィラーの端部が前記カーカス層と前記ベルト層との間に挟み込まれて配置される。
この空気入りタイヤでは、ビードフィラーがサイドウォール部の中途で途切れている構成と比較して、ビードフィラーによるサイドウォール部の補強効果が向上する。これにより、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記カーカス層の端部が前記ビードコアおよび前記ビードフィラーを包み込んでタイヤ幅方向外側に折り返されると共に当該折り返し端部が前記カーカス層と前記ベルト層との間に挟み込まれて配置される。
この空気入りタイヤでは、カーカス層の折り返し端部におけるサイドウォールゴムのセパレーションの発生が低減されて、タイヤのランフラット性能(耐久性能)が向上する利点がある。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、ビードフィラーが硬度の異なる複数のフィラー部から成るので、これらのフィラー部の剛性を調整することにより、ビードフィラー3の剛性分布を任意に設定し得る。そして、このビードフィラーによりサイドウォール部の剛性が補強されるので、サイドウォール部の剛性分布の適正化が可能となる。これにより、タイヤの乗り心地性能を維持しつつランフラット性能を向上させ得る利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1および図2は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図(図1)およびサイドウォール部の拡大図(図2)である。図3〜図5は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。図6は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す試験結果表である。
[空気入りタイヤ]
この空気入りタイヤ1は、ビードコア2、2と、ビードフィラー3、3と、カーカス層4と、ベルト層5と、トレッドゴム6と、サイドウォールゴム7とを含み構成される(図1および図2参照)。ビードコア2、2は、環状構造を有し、左右一対を一組として構成される。ビードフィラー3は、ビードコア2のタイヤ径方向外周に配置されて空気入りタイヤ1のビード部を補強する。カーカス層4は、左右のビードコア2、2間にトロイド状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層4の両端部は、ビードフィラー3を包み込むようにタイヤ幅方向外側に折り返されて係止される。ベルト層5は、積層された複数のベルト材51〜53から成り、カーカス層4のタイヤ径方向外周に配置される。トレッドゴム6は、カーカス層4およびベルト層5のタイヤ径方向外周に配置されて空気入りタイヤ1のトレッド部を構成する。サイドウォールゴム7は、ビードフィラー3およびカーカス層4のタイヤ幅方向外側に配置されて空気入りタイヤ1のサイドウォール部を構成する。
この空気入りタイヤ1は、ビードコア2、2と、ビードフィラー3、3と、カーカス層4と、ベルト層5と、トレッドゴム6と、サイドウォールゴム7とを含み構成される(図1および図2参照)。ビードコア2、2は、環状構造を有し、左右一対を一組として構成される。ビードフィラー3は、ビードコア2のタイヤ径方向外周に配置されて空気入りタイヤ1のビード部を補強する。カーカス層4は、左右のビードコア2、2間にトロイド状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層4の両端部は、ビードフィラー3を包み込むようにタイヤ幅方向外側に折り返されて係止される。ベルト層5は、積層された複数のベルト材51〜53から成り、カーカス層4のタイヤ径方向外周に配置される。トレッドゴム6は、カーカス層4およびベルト層5のタイヤ径方向外周に配置されて空気入りタイヤ1のトレッド部を構成する。サイドウォールゴム7は、ビードフィラー3およびカーカス層4のタイヤ幅方向外側に配置されて空気入りタイヤ1のサイドウォール部を構成する。
また、この空気入りタイヤ1は、サイドウォール部の剛性を補強する補強ゴム層8を有する(図1および図2参照)。この補強ゴム層8は、タイヤ子午線方向の断面視にて略三日月形状を有し、サイドウォール部のタイヤ内周面側であってカーカス層4のタイヤ幅方向内側に配置される。また、補強ゴム層8は、ビードコア2の近傍からベルト層5の近傍(ベルト層5の端部の下方)まで延在してサイドウォール部の略全域を補強する。かかる構成では、パンク等の障害によりタイヤ空気圧が低下したときに、補強ゴム層8がサイドウォール部の剛性を補強することによりタイヤ形状が維持される。これにより、ある程度の距離の走行(ランフラット走行)が可能となる。
[ランフラット性能と乗り心地性能の両立]
また、この空気入りタイヤ1では、ビードフィラー3がサイドウォール部の略全域に渡って延在する(図1および図2参照)。具体的には、ビードフィラー3がビード部からカーカス層4に沿って延出してサイドウォール部を横断し、そのタイヤ径方向外側の端部をショルダー部に位置させている。言い換えると、タイヤ子午線方向の断面視では、ビードフィラー3がビードコア2からカーカス層4に沿って延出して、そのタイヤ径方向外側の端部をベルト層5の下方(ベルト層5に対して交差する位置)に位置させている。したがって、この空気入りタイヤ1では、サイドウォール部の剛性がビードフィラー3および補強ゴム層8の双方により補強される。また、このビードフィラー3の全体がカーカス層4の折り返し部に包み込まれて保持されている。このため、カーカス層4の折り返し端部がベルト層5の下方にまで達している。
また、この空気入りタイヤ1では、ビードフィラー3がサイドウォール部の略全域に渡って延在する(図1および図2参照)。具体的には、ビードフィラー3がビード部からカーカス層4に沿って延出してサイドウォール部を横断し、そのタイヤ径方向外側の端部をショルダー部に位置させている。言い換えると、タイヤ子午線方向の断面視では、ビードフィラー3がビードコア2からカーカス層4に沿って延出して、そのタイヤ径方向外側の端部をベルト層5の下方(ベルト層5に対して交差する位置)に位置させている。したがって、この空気入りタイヤ1では、サイドウォール部の剛性がビードフィラー3および補強ゴム層8の双方により補強される。また、このビードフィラー3の全体がカーカス層4の折り返し部に包み込まれて保持されている。このため、カーカス層4の折り返し端部がベルト層5の下方にまで達している。
また、ビードフィラー3は、ゴムの硬度が相互に異なる少なくとも二以上の部分(以下、フィラー部という。)により構成される。例えば、ビードフィラー3が第一フィラー部31および第二フィラー部32から成る二層構造を有する。そして、タイヤ子午線方向の断面視にて、第一フィラー部31および第二フィラー部32がカーカス層4に沿ってタイヤ径方向に配列される。また、第一フィラー部31および第二フィラー部32の境界部がサイドウォール部の略中央に位置しており、第一フィラー部31および第二フィラー部32がサイドウォール部のタイヤ径方向外側の領域およびタイヤ径方向内側の領域にそれぞれ配置されている。また、第一フィラー部31が第二フィラー部32よりも低い硬度を有し、第二フィラー部32よりもタイヤ径方向内側(ビード部側)に配置される。言い換えると、第二フィラー部32が第一フィラー部31よりも高い硬度を有し、第一フィラー部31よりもタイヤ径方向外側(ショルダー部側)に配置される。
なお、サイドウォールゴム7の硬度(JISK6253A)は、50〜80の範囲に設定され、第一フィラー部31および第二フィラー部32の硬度よりも低い。
かかる構成では、(1)ビードフィラー3がサイドウォール部の略全域に渡って延在するので、補強ゴム層のみによりサイドウォール部が補強される構成(特許文献1参照)と比較して、サイドウォール部の剛性が増加する。これにより、ランフラット走行時におけるサイドウォール部の変形が抑制されて、タイヤのランフラット性能(耐久性能)が向上する利点がある。また、(2)ビードフィラー3が硬度の異なる複数のフィラー部31、32から成るので、これらのフィラー部31、32の剛性を調整することにより、ビードフィラー3の剛性分布を任意に設定し得る。そして、このビードフィラー3によりサイドウォール部の剛性が補強されるので、サイドウォール部の剛性分布の適正化が可能となる。これにより、タイヤの乗り心地性能を維持しつつランフラット性能を向上させ得る利点がある。
また、(3)ビードフィラー3が硬度の低い第一フィラー部31を部分的に有するので、ビードフィラー全体が硬度の高い単一のゴム材料から成る構成と比較して、通常走行時(パンク等の故障がないとき)における接地面からの振動が第一フィラー部31にて効果的に減衰される。これにより、タイヤの乗り心地性能が向上する(あるいは維持される)利点がある。また、(4)硬度の高い第二フィラー部32が硬度の低い第一フィラー部31よりもタイヤ径方向外側(ショルダー部側)に配置されるので、硬度の低いフィラー部が硬度の高いフィラー部よりもタイヤ径方向外側に配置される構成(図示省略)と比較して、サイドウォール部の剛性分布が適正化されてタイヤのランフラット性能が向上する。これらの(1)〜(4)により、タイヤの乗り心地性能およびタイヤのランフラット性能が両立される利点がある。
なお、この空気入りタイヤ1では、ビードフィラー3がサイドウォール部の略全域に渡って延在するが、ここにいう「サイドウォール部の略全域」とは、少なくともバットレス部からビード部までの範囲をいうものとする。かかる構成とすれば、サイドウォール部の剛性がビードフィラー3により適正に補強されてタイヤのランフラット性能が向上する。また、このビードフィラー3が硬度の低いフィラー部(第一フィラー部31)を部分的に有することにより、タイヤの乗り心地性能およびランフラット性能の両立が可能となる。
[付加的事項1]
また、この空気入りタイヤ1では、第一フィラー部31がサイドウォール部のタイヤ径方向内側にかかる略半分の領域に延在し、第二フィラー部32がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に延在することが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、サイドウォール部の全領域がタイヤ径方向に二分割されたときに、そのタイヤ径方向内側の領域には第一フィラー部31が配置され、タイヤ径方向外側の領域には第二フィラー部32が配置される。そして、これらの2つのフィラー部(第一フィラー部31および第二フィラー部32)によってサイドウォール部の略全域の剛性が補強される。
また、この空気入りタイヤ1では、第一フィラー部31がサイドウォール部のタイヤ径方向内側にかかる略半分の領域に延在し、第二フィラー部32がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に延在することが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、サイドウォール部の全領域がタイヤ径方向に二分割されたときに、そのタイヤ径方向内側の領域には第一フィラー部31が配置され、タイヤ径方向外側の領域には第二フィラー部32が配置される。そして、これらの2つのフィラー部(第一フィラー部31および第二フィラー部32)によってサイドウォール部の略全域の剛性が補強される。
かかる構成では、硬度の高い第二フィラー部32がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に延在するので、硬度の低いフィラー部がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に配置される構成(図示省略)と比較して、サイドウォール部の剛性分布が適正化される。これにより、ランフラット走行時におけるサイドウォール部の変形が抑制されて、タイヤのランフラット性能(耐久性能)が向上する利点がある。
なお、この実施例では、ビードフィラー3が第一フィラー部31および第二フィラー部32から成る二層構造を有する(図1および図2参照)。かかる構成では、ビードフィラー3がより多数のフィラー部から成る構成と比較して、ビードフィラー3全体の剛性が高められる。したがって、このビードフィラー3がサイドウォール部の略全域に渡って延在することにより、サイドウォール部の剛性が効果的に補強される点で好ましい。
しかし、これに限らず、ビードフィラー3が三層以上のフィラー部31〜34から成る多層構造を有しても良い(図3参照)。かかる構成では、各フィラー部31〜34の硬度調整により、サイドウォール部の各領域における剛性分布が容易に調整され得る。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性の調整が容易となる利点がある。
[付加的事項2]
また、この空気入りタイヤ1では、第一フィラー部31と第二フィラー部32との硬度(JISK6253A)の差が5ポイント以上あることが好ましい。すなわち、第一フィラー部31の硬度が第二フィラー部32の硬度よりも5ポイント以上低い。かかる構成では、第一フィラー部31と第二フィラー部32との硬度差が適正化されているので、硬度の高い第二フィラー部32によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一フィラー部31による振動吸収作用とがそれぞれ確保される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、第一フィラー部31と第二フィラー部32との硬度(JISK6253A)の差が5ポイント以上あることが好ましい。すなわち、第一フィラー部31の硬度が第二フィラー部32の硬度よりも5ポイント以上低い。かかる構成では、第一フィラー部31と第二フィラー部32との硬度差が適正化されているので、硬度の高い第二フィラー部32によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一フィラー部31による振動吸収作用とがそれぞれ確保される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
なお、ビードフィラー3が複数のフィラー部から成る構成(図3参照)では、これらのフィラー部のうち最も低い硬度を有するフィラー部と最も高い硬度を有するフィラー部との剛性差が5ポイント以上あれば良い。したがって、隣り合うフィラー部の硬度差が必ずしも5ポイント以上ある必要はない。また、このとき、タイヤ子午線方向の断面視にて、硬度の高いフィラー部がサイドウォール部の中央よりもタイヤ径方向外側に配置され、硬度の低いフィラー部がサイドウォール部の中央よりもタイヤ径方向内側に配置されることが好ましい。これにより、硬度の高いフィラー部によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低いフィラー部による振動吸収作用とがより適正に発揮される利点がある。
また、上記の構成では、第一フィラー部31の硬度が60ポイント以上90ポイント以下の範囲内にあり、且つ、第二フィラー部32の硬度が65ポイント以上96ポイント以下の範囲内にあることが好ましい。すなわち、第一フィラー部31と第二フィラー部32との硬度差が上記の範囲内にて5ポイント以上に調整される。かかる構成では、第一フィラー部31の硬度と第二フィラー部32の硬度とが適正化されるので、硬度の高い第二フィラー部32によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一フィラー部31による振動吸収作用とがより好適に発揮される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
[付加的事項3]
また、この空気入りタイヤ1では、第二フィラー部32の端部が第一フィラー部31の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられていることが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、第一フィラー部31および第二フィラー部32がカーカス層4に沿ってタイヤ径方向に隣接して配置され、且つ、第一フィラー部31の端部と第二フィラー部32の端部とがこれらの境界部にて相互に重なるように構成される。かかる構成では、タイヤ内圧負荷時にてタイヤが膨らんだときに、第一フィラー部31の端部が第二フィラー部32の端部をサイドウォール部に押し付ける。このとき、第二フィラー部32の端部には、第一フィラー部31からの押圧力がタイヤ内周面(カーカス層4の周面)に対して垂直な方向に作用する。このため、上記の構成では、第二フィラー部32の端部が第一フィラー部31の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられる構成(図4参照)と比較して、第一フィラー部31および第二フィラー部32が好適に噛み合って固定される。これにより、サイドウォール部の剛性が好適に補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、第二フィラー部32の端部が第一フィラー部31の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられていることが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、第一フィラー部31および第二フィラー部32がカーカス層4に沿ってタイヤ径方向に隣接して配置され、且つ、第一フィラー部31の端部と第二フィラー部32の端部とがこれらの境界部にて相互に重なるように構成される。かかる構成では、タイヤ内圧負荷時にてタイヤが膨らんだときに、第一フィラー部31の端部が第二フィラー部32の端部をサイドウォール部に押し付ける。このとき、第二フィラー部32の端部には、第一フィラー部31からの押圧力がタイヤ内周面(カーカス層4の周面)に対して垂直な方向に作用する。このため、上記の構成では、第二フィラー部32の端部が第一フィラー部31の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられる構成(図4参照)と比較して、第一フィラー部31および第二フィラー部32が好適に噛み合って固定される。これにより、サイドウォール部の剛性が好適に補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、かかる構成では、タイヤ子午線方向の断面視にて、第一フィラー部31の端部と第二フィラー部32の端部との巻き付け幅tがビードフィラー3の全長lに対してt/l≦0.50の関係を有することが好ましい。これにより、ランフラット性能がさらに向上する利点がある。例えば、t/l>0.50となると、第一フィラー部31と第二フィラー部32とが左右に分離されるような配置となるため、ランフラット性能が低下する。ここで、ビードフィラー3の全長lは、そのタイヤ径方向内側の端部からタイヤ径方向外側の端部までの長さにより規定される。
なお、上記に限らず、第二フィラー部32の端部が第一フィラー部31の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられても良い(図4参照)。かかる構成としても、サイドウォール部の剛性が補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
[付加的事項4]
また、この空気入りタイヤ1では、補強ゴム層8が第一ゴム層部81および第二ゴム層部82を含んで構成され、且つ、この第二ゴム層部82が第一ゴム層部81よりも高い硬度を有すると共に第一ゴム層部81よりもタイヤ径方向外側に配置されることが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、補強ゴム層8が第一ゴム層部81および第二ゴム層部82を含む多層構造を有し、且つ、第一ゴム層部81および第二ゴム層部82が相互に異なる硬度を有する。そして、硬度の低い第一ゴム層部81がタイヤ径方向内側に配置され、硬度の高い第二ゴム層部82がタイヤ径方向外側に配置される。
また、この空気入りタイヤ1では、補強ゴム層8が第一ゴム層部81および第二ゴム層部82を含んで構成され、且つ、この第二ゴム層部82が第一ゴム層部81よりも高い硬度を有すると共に第一ゴム層部81よりもタイヤ径方向外側に配置されることが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、補強ゴム層8が第一ゴム層部81および第二ゴム層部82を含む多層構造を有し、且つ、第一ゴム層部81および第二ゴム層部82が相互に異なる硬度を有する。そして、硬度の低い第一ゴム層部81がタイヤ径方向内側に配置され、硬度の高い第二ゴム層部82がタイヤ径方向外側に配置される。
かかる構成では、補強ゴム層8が硬度の異なる複数のゴム層部81、82から成るので、これらのゴム層部81、82の剛性を調整することにより、補強ゴム層8の剛性分布を任意に設定し得る。そして、この補強ゴム層8によりサイドウォール部の剛性が補強されるので、サイドウォール部の剛性分布の適正化が可能となる。これにより、タイヤの乗り心地性能を維持しつつランフラット性能を向上させ得る利点がある。また、この補強ゴム層8の多層構造と上記のビードフィラー3の多層構造とにより、サイドウォール部の剛性分布の適正化がより容易となる。これにより、タイヤの乗り心地性能を維持しつつランフラット性能をより効果的に向上させ得る利点がある。
なお、上記に限らず、補強ゴム層8は、単一かつ一様な硬度のゴム材料から成る単層構造を有しても良い(図5参照)。かかる構成としても、タイヤのランフラット性能が確保される。また、ビードフィラー3の多層構造によりタイヤの乗り心地性能が調整され得る。
また、上記の構成では、第一ゴム層部81と第二ゴム層部82との硬度(JISK6253A)の差が5ポイント以上あることが好ましい。すなわち、第一ゴム層部81の硬度が第二ゴム層部82の硬度よりも5ポイント以上低い。かかる構成では、第一ゴム層部81と第二ゴム層部82との硬度差が適正化されているので、硬度の高い第二ゴム層部82によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一ゴム層部81による振動吸収作用とがそれぞれ確保される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
なお、補強ゴム層8が複数のゴム層部から成る構成(図3参照)では、これらのゴム層部のうち最も低い硬度を有するゴム層部と最も高い硬度を有するゴム層部との剛性差が5ポイント以上あれば良い。したがって、隣り合うゴム層部の硬度差が必ずしも5ポイント以上ある必要はない。また、このとき、タイヤ子午線方向の断面視にて、硬度の高いゴム層部がサイドウォール部の中央よりもタイヤ径方向外側に配置され、硬度の低いゴム層部がサイドウォール部の中央よりもタイヤ径方向内側に配置されることが好ましい。これにより、硬度の高いゴム層部によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低いゴム層部による振動吸収作用とがより適正に発揮される利点がある。
また、上記の構成では、第一ゴム層部81の硬度が71ポイント以上91ポイント以下の範囲内にあり、且つ、第二ゴム層部82の硬度が76ポイント以上96ポイント以下の範囲内にあることが好ましい。すなわち、第一ゴム層部81と第二ゴム層部82との硬度差が、この範囲内にて5ポイント以上に調整される。かかる構成では、第一ゴム層部81の硬度と第二ゴム層部82の硬度とが適正化されるので、硬度の高い第二ゴム層部82によるサイドウォール部の剛性補強作用と、硬度の低い第一ゴム層部81による振動吸収作用とがより好適に発揮される。これにより、タイヤのランフラット特性および乗り心地特性が適正に両立される利点がある。
[付加的事項5]
また、この空気入りタイヤ1では、第二ゴム層部82の端部が第一ゴム層部81の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられていることが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、第一ゴム層部81および第二ゴム層部82がカーカス層4に沿ってタイヤ径方向に隣接して配置され、且つ、第一ゴム層部81の端部と第二ゴム層部82の端部とが相互に重なるように構成される。かかる構成では、タイヤ内圧負荷時にてタイヤが膨らんだときに、第一ゴム層部81の端部が第二ゴム層部82の端部をサイドウォール部に押し付ける。このとき、第二ゴム層部82の端部には、第一ゴム層部81からの押圧力がタイヤ内周面(カーカス層4の周面)に対して垂直な方向に作用する。このため、上記の構成では、第二ゴム層部82の端部が第一ゴム層部81の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられる構成(図4参照)と比較して、第一ゴム層部81および第二ゴム層部82が好適に噛み合って固定される。これにより、サイドウォール部の剛性が好適に補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、第二ゴム層部82の端部が第一ゴム層部81の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられていることが好ましい(図1および図2参照)。すなわち、第一ゴム層部81および第二ゴム層部82がカーカス層4に沿ってタイヤ径方向に隣接して配置され、且つ、第一ゴム層部81の端部と第二ゴム層部82の端部とが相互に重なるように構成される。かかる構成では、タイヤ内圧負荷時にてタイヤが膨らんだときに、第一ゴム層部81の端部が第二ゴム層部82の端部をサイドウォール部に押し付ける。このとき、第二ゴム層部82の端部には、第一ゴム層部81からの押圧力がタイヤ内周面(カーカス層4の周面)に対して垂直な方向に作用する。このため、上記の構成では、第二ゴム層部82の端部が第一ゴム層部81の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられる構成(図4参照)と比較して、第一ゴム層部81および第二ゴム層部82が好適に噛み合って固定される。これにより、サイドウォール部の剛性が好適に補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、かかる構成では、タイヤ子午線方向の断面視にて、第一ゴム層部81の端部と第二ゴム層部82の端部との巻き付け幅uが補強ゴム層8の全長mに対してu/m≦0.50の関係を有することが好ましい。これにより、ランフラット性能が向上する利点がある。例えば、t/l>0.50となると、第一フィラー部31と第二フィラー部32とが左右に分離されるような配置となるため、ランフラット性能が低下する。なお、補強ゴム層8の全長mは、そのタイヤ径方向内側の端部からタイヤ径方向外側の端部までの長さにより規定される。
なお、上記に限らず、第二ゴム層部82の端部が第一ゴム層部81の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられても良い(図4参照)。かかる構成としても、サイドウォール部の剛性が補強されて、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
[付加的事項6]
また、この空気入りタイヤ1では、ビードフィラー3(第二フィラー部32)の端部がカーカス層4とベルト層5との間に挟み込まれて配置されることが好ましい(図1参照)。すなわち、ビードフィラー3がビード部2からベルト層5の下方に渡って延在するように構成される。かかる構成では、ビードフィラー3がサイドウォール部の中途で途切れている構成と比較して、ビードフィラー3によるサイドウォール部の補強効果が向上する。これにより、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ビードフィラー3(第二フィラー部32)の端部がカーカス層4とベルト層5との間に挟み込まれて配置されることが好ましい(図1参照)。すなわち、ビードフィラー3がビード部2からベルト層5の下方に渡って延在するように構成される。かかる構成では、ビードフィラー3がサイドウォール部の中途で途切れている構成と比較して、ビードフィラー3によるサイドウォール部の補強効果が向上する。これにより、タイヤのランフラット性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の端部がビードコア2およびビードフィラー3を包み込んでタイヤ幅方向外側に折り返され、且つ、その折り返し端部がカーカス層4(本体)とベルト層5との間に挟み込まれて配置されることが好ましい(図1参照)。すなわち、カーカス層4の折り返し端部がサイドウォール部の中途に位置することなく、カーカス層4とベルト層5との間に挟み込まれて固定される。これにより、カーカス層4の折り返し端部におけるサイドウォールゴム7のセパレーションの発生が低減されて、タイヤのランフラット性能(耐久性能)が向上する利点がある。
なお、これに限らず、カーカス層4の折り返し端部がカーカス層4とベルト層5との間に挟み込まれていなくとも良く、また、サイドウォール部の中途に位置していても良い(図示省略)。
[性能試験]
この実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、(1)ランフラット性能および(2)乗り心地性能に関する性能試験が行われた(図6参照)。この性能試験では、タイヤサイズ215/45R17の空気入りタイヤがJATMA規定の正規リムに装着され、この空気入りタイヤに正規内圧および正規荷重が負荷される。
この実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、(1)ランフラット性能および(2)乗り心地性能に関する性能試験が行われた(図6参照)。この性能試験では、タイヤサイズ215/45R17の空気入りタイヤがJATMA規定の正規リムに装着され、この空気入りタイヤに正規内圧および正規荷重が負荷される。
(1)ランフラット性能(ランフラット耐久性能)に関する試験では、空気入りタイヤに0[kPa]の内圧が負荷され、空気入りタイヤを装着した試験車両がドライ路面の評価コースを80[km/h]で走行して、走行不能となるまでの距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて比較例1を基準(100)とした指数評価が行われる。評価結果は、その数値が大きいほど好ましい。
(2)乗り心地性能の試験では、空気入りタイヤを装着した試験車両がドライ路面の評価コースを走行して、テストドライバーが感応評価を行う。評価は、比較例1を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
比較例1の空気入りタイヤでは、ビードフィラーがビード部からショルダー部に渡って延在しており、このビードフィラーによりサイドウォール部の略全域が補強されている。また、カーカス層の内周側にサイドウォール部を補強するための補強ゴム層が設置されている。また、補強ゴム層およびビードフィラーがいずれも単一かつ一様な硬度を有するゴム材料から成る単層構造を有する。なお、かかる構成では、ビードフィラーがサイドウォール部のタイヤ径方向内側にのみ延在している構成(特許文献1参照)と比較して、サイドウォール部の剛性が高いため、タイヤのランフラット性能が向上する。
発明例1〜3の空気入りタイヤ1では、ビードフィラー3がビード部からショルダー部に渡っており、このビードフィラー3によりサイドウォール部の略全域が補強される(図1、図2および4参照)。また、ビードフィラー3が第一フィラー部31および第二フィラー部32から成る二層構造を有する。第一フィラー部31および第二フィラー部32は、サイドウォール部の略中央に境界部を有する。第二フィラー部32は、第一フィラー部31よりも高い硬度を有し、また、第一フィラー部31よりもタイヤ径方向外側に配置される。また、ビードフィラー3全体の硬度の平均は、従来例のビードフィラーの硬度(80)に等しい。また、カーカス層の内周側には、サイドウォール部を補強するための補強ゴム層8が設置される。
また、発明例1の空気入りタイヤ1では、補強ゴム層8が単一かつ一様な硬度を有するゴム材料から成る(単層構造)(図5参照)。一方、発明例2、3の空気入りタイヤ1では、補強ゴム層8が第一ゴム層部81および第二ゴム層部82から成る二層構造を有する(図2および図4参照)。
また、発明例1、2の空気入りタイヤ1では、第一フィラー部31の端部が第二フィラー部32の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられており、また、第一ゴム層部81の端部が第二ゴム層部82の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられている(図4参照)。すなわち、タイヤ径方向内側のフィラー部あるいはゴム層部がタイヤ幅方向外側に位置する。一方、発明例3の空気入りタイヤ1では、第二フィラー部32の端部が第一フィラー部31の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられており、また、第二ゴム層部82の端部が第一ゴム層部81の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられている(図2参照)。すなわち、タイヤ径方向外側のフィラー部あるいはゴム層部がタイヤ幅方向外側に位置する。なお、かかる各フィラー部の端部の位置関係および各ゴム層部の端部の位置関係は、図6中にて「第一フィラー部と第二フィラー部とのラップ部」および「第一ゴム層部と第二ゴム層部とのラップ部」として示されている。
試験結果に示すように、発明例1〜3の空気入りタイヤ1では、比較例1の空気入りタイヤと比較して、タイヤの乗り心地性能が維持されると共にタイヤのランフラット性能が向上していることが分かる。
また、比較例1と発明例1とを比較すると、発明例1の空気入りタイヤ1では、ビードフィラー3が二層構造を有することにより、サイドウォール部全体の剛性(ビードフィラー3の硬度の平均)が維持されつつサイドウォール部の剛性分布が適正化される。これにより、タイヤの乗り心地性能が維持されると共にタイヤのランフラット性能が向上することが分かる。
また、発明例1と発明例2とを比較すると、発明例2の空気入りタイヤ1では、補強ゴム層8が第一ゴム層部81および第二ゴム層部82から成る二層構造を有する。そして、これらのゴム層部81、82により、サイドウォール部全体の剛性(補強ゴム層8の硬度の平均)が維持されつつ、サイドウォール部の剛性分布が適正化される。これにより、タイヤのランフラット性能が維持されると共にタイヤの乗り心地性能が向上することが分かる。
また、発明例2と比較例2とを比較すると、いずれの空気入りタイヤでもビードフィラーが硬度の異なる一対のフィラー部により構成される(二層構造を有する)。しかし、発明例2の空気入りタイヤ1では、硬度の高いフィラー部(第二フィラー部32)が硬度の低いフィラー部(第一フィラー部31)よりもタイヤ径方向に外側に配置されることにより、タイヤのランフラット性能が向上することが分かる。
また、発明例2と発明例3とを比較すると、発明例3の空気入りタイヤ1では、第二フィラー部32の端部が第一フィラー部31の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられ、また、第二ゴム層部82の端部が第一ゴム層部81の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられることにより、サイドウォール部の剛性が効果的に補強されてタイヤのランフラット性能が向上することが分かる。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤの乗り心地性能を維持しつつタイヤのランフラット性能を向上できる点で有用である。
1 空気入りタイヤ
2 ビードコア
3 ビードフィラー
31 第一フィラー部
32 第二フィラー部
4 カーカス層
5 ベルト層
51〜54 ベルト材
6 トレッドゴム
7 サイドウォールゴム
8 補強ゴム層
81 第一ゴム層部
82 第二ゴム層部
2 ビードコア
3 ビードフィラー
31 第一フィラー部
32 第二フィラー部
4 カーカス層
5 ベルト層
51〜54 ベルト材
6 トレッドゴム
7 サイドウォールゴム
8 補強ゴム層
81 第一ゴム層部
82 第二ゴム層部
Claims (13)
- ビード部のコアを構成するビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に配置されるビードフィラーと、一対の前記ビードコア間にトロイド状に架け渡されるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外周に配置されるベルト層とを有すると共に、サイドウォール部の剛性を補強する補強ゴム層を有することによりランフラット走行が可能な空気入りタイヤであって、
前記ビードフィラーがサイドウォール部の略全域に渡って延在すると共に第一フィラー部および第二フィラー部を含んで構成され、且つ、前記第二フィラー部が前記第一フィラー部よりも高い硬度を有すると共に前記第一フィラー部よりもタイヤ径方向外側に配置されることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記第一フィラー部がサイドウォール部のタイヤ径方向内側にかかる略半分の領域に延在し、前記第二フィラー部がサイドウォール部のタイヤ径方向外側にかかる略半分の領域に延在する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一フィラー部と前記第二フィラー部との硬度(JISK6253A)の差が5ポイント以上ある請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一フィラー部の硬度が60ポイント以上90ポイント以下の範囲内にあり、且つ、前記第二フィラー部の硬度が65ポイント以上96ポイント以下の範囲内にある請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第二フィラー部の端部が前記第一フィラー部の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられている請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ子午線方向の断面視にて、前記第一フィラー部の端部と前記第二フィラー部の端部との巻き付け幅tが前記ビードフィラーの全長lに対してt/l≦0.50の関係を有する請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 前記補強ゴム層が第一ゴム層部および第二ゴム層部を含んで構成され、且つ、前記第二ゴム層部が前記第一ゴム層部よりも高い硬度を有すると共に前記第一ゴム層部よりもタイヤ径方向外側に配置される請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一ゴム層部と前記第二ゴム層部との硬度(JISK6253A)の差が5ポイント以上ある請求項7に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一ゴム層部の硬度が71ポイント以上91ポイント以下の範囲内にあり、且つ、前記第二ゴム層部の硬度が76ポイント以上96ポイント以下の範囲内にある請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第二ゴム層部の端部が前記第一ゴム層部の端部に対してタイヤ幅方向外側から巻き付けられている請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ子午線方向の断面視にて、前記第一ゴム層部の端部と前記第二ゴム層部の端部との巻き付け幅uが前記補強ゴム層の全長mに対してu/m≦0.50の関係を有する請求項10に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードフィラーの端部が前記カーカス層と前記ベルト層との間に挟み込まれて配置される請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層の端部が前記ビードコアおよび前記ビードフィラーを包み込んでタイヤ幅方向外側に折り返されると共に当該折り返し端部が前記カーカス層と前記ベルト層との間に挟み込まれて配置される請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006162605A JP2007331435A (ja) | 2006-06-12 | 2006-06-12 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006162605A JP2007331435A (ja) | 2006-06-12 | 2006-06-12 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
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JP2007331435A true JP2007331435A (ja) | 2007-12-27 |
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Family Applications (1)
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011057066A (ja) * | 2009-09-09 | 2011-03-24 | Bridgestone Corp | ランフラットタイヤ |
US20130075004A1 (en) * | 2011-09-28 | 2013-03-28 | The Yokohama Rubber Co., Ltd | Pneumatic Run Flat Tire |
-
2006
- 2006-06-12 JP JP2006162605A patent/JP2007331435A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP2011057066A (ja) * | 2009-09-09 | 2011-03-24 | Bridgestone Corp | ランフラットタイヤ |
US20130075004A1 (en) * | 2011-09-28 | 2013-03-28 | The Yokohama Rubber Co., Ltd | Pneumatic Run Flat Tire |
US9090129B2 (en) * | 2011-09-28 | 2015-07-28 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Pneumatic run flat tire |
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