JP5385693B2 - 積層シート及び成形体 - Google Patents
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Description
基材層(A)はポリオレフィン系樹脂を含むため、積層シートに対して、成形性、剛性、耐衝撃性、経済性を付与する。また、積層シートに、切断や折り曲げの容易性を付与するためのミシン目状切り欠き部分を形成しても、基材層(A)がポリオレフィン系樹脂を含むため、ミシン目を起点とした運搬中の破断や割れが起きにくい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)は、プロピレン単独重合体の他、プロピレン系共重合体であってもよい。プロピレン系共重合体としては、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン類[例えば、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどのプロピレン以外のα−C2−16オレフィン(特にα−C2−6オレフィン)など]との共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体など)などが例示できる。共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよい。
基材層(A)は、ドローダウン防止の点から、ポリプロピレン系樹脂(A1)に加えて、さらにポリエチレン系樹脂(A2)を含むことが好ましい。
基材層(A)は、本発明の効果を損なわない限り、任意成分を含んでもよい。任意成分としては、充填剤、加工助剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、核剤、滑剤、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(顔料など)、分散剤、抗菌剤などが例示できる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。基材層(A)は、これらの任意成分のうち、着色剤を0.3〜3重量%、好ましくは0.4〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%程度含んでもよい。
表層(B)は、ポリオレフィン系エラストマー(B1)を含むため、ポリオレフィン系樹脂を含む基材層(A)との接着性に優れ、表層(B)と基材層(A)との間に接着層を介在させることなく接着できる。
ポリオレフィン系エラストマーは、ポリスチレン系エラストマーと比較して、同程度の硬度であっても、一般的に静摩擦係数が低いため、本発明のシートを積み重ねたり巻き取ったりしても、相互に剥がれやすく、シートとしてのハンドリング性に優れる。また、表層の静摩擦係数が低いと、ごみの付着を防止でき、外観にも優れる。
表層(B)は、電子機器などの帯電防止のため、さらに高分子型帯電防止剤(B2)を含んでもよい。高分子型帯電防止剤は、帯電防止機能を有するのみならず、外観を向上する機能も有する。また、高分子型であると、シート上に載置された物品に帯電防止剤が付着することも防止できる。
表層(B)は、柔らかさや静摩擦係数を調整する目的で、ポリプロピレン系樹脂(B3)を含んでもよい。ポリプロピレン系樹脂(B3)としては、前記ポリプロピレン系樹脂(A1)と同様のものが例示でき、ポリプロピレン系共重合体であってもよいが、特に、前記と同様のプロピレン単独重合体であることが好ましい。
表層(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、基材層(A)と同様の任意成分を含んでいてもよい。表層(B)は、前記任意成分のうち、着色剤を0.3〜3重量%、好ましくは0.4〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%程度含んでもよい。
積層シートは、特に制限されず、各層の各成分を混合して樹脂組成物を調製した後、慣用の方法によりシート状に成形することにより製造できる。樹脂組成物は、各成分の粉粒体の混合物であってもよく、各成分を混練して調製してもよい。混練には、慣用の方法を用いることができ、例えば、各成分をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの慣用の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。樹脂組成物は、ペレットの形態であってもよい。また、混練の配合順序は限定されない。
このようにして得られた積層シートは、自由吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、圧空成形(圧縮空気圧成形)、マッチモールド成形、熱板成形などの慣用の熱成形などで二次成形することができる。二次成形品の形態は、特に限定されず、容器の場合、例えば、被収容物を収容するための凹部を有する容器本体だけでなく、容器本体及び蓋体で構成されていてもよい。
JIS K6253に準じて、デュロ硬度Aを測定した。なお、デュロ硬度A値は、用いたオレフィン系エラストマー単体での値である。
厚み2mmのABS製プレートを34mm×53mmに切断し、切断したABS製プレートの片面を水性塗装スプレー((株)カンペハピオ製D01黒)でムラができないように塗装し、塗装面の4つの角及び4つの稜線を紙やすりで丸めて、ダミー搬送物を作製した。実施例及び比較例で得られた積層シートを90mm×90mmに切断し、キャスト面側外周にダミー搬送物が振動中に落下しないよう落下防止柵を設置した。キャスト面側を上にして、積層シートを化学実験用シェーカー(アズワン(株)製、SHAKER SR−1、振幅30mm)に固定した。塗装面を下にして、ダミー搬送物を積層シートの中央に置き、さらに100gの分銅を二つダミー搬送物の上に置いて、ダミー搬送物と分銅とを固定した。180rpmで3分間、シェーカーを振動した。ダミー搬送物塗装面についた傷の程度を目視確認し、以下の基準で防傷性を評価した。
1……見てすぐにわかる傷が10個以上ある
2……見てすぐにわかる傷が4〜9個ある
3……見てすぐにわかる傷が1〜3個ある
4……凝視するとわずかに傷が確認できる
5……全く傷がない。
実施例及び比較例で得られた積層シートについて、以下の基準で評価した。
1……層間乱れが激しい
2……一目で層間乱れが確認できる
3……やや層間乱れがある
4……凝視すれば、層間乱れがわずかに見られる
5……全く層間乱れがない。
単発成形機((株)浅野研究所製)を用い、480mm×480mmの枠に実施例及び比較例で得られた積層シートの幅方向中央部分をセットし、170℃まで加熱し、最も垂れ下がった部分の長さ(水準面からの長さ)を測定した。
金型で成形して1日間放置した容器の底面の平坦部を切り抜き、温度20℃、湿度60%RHの条件下で4日間調湿した後、JIS K6911に準じて、金型接触面の表面抵抗値を測定した。
テスター((株)東洋精機製作所製、FRICTION TESTER TR−2)を用いて試験した。試料台全面に試験面を上にして試料シートを固定した。続いて、縦63mm、横63mm、400gの錘プレートに試験面を下にして同サイズに切った試料シートを取り付けた。これら両試料シートの試験面が重なるように錘プレートを試料台の上に置く。1kg重のロードセルを用い、50mm/分の速度で錘プレートを水平に引っ張り測定した。
実施例及び比較例で得られた積層シートを用いて、単発真空成形機((株)浅野研究所製)によって、開口部径90mm、底部径80mm、高さ50mmのカップ状凹型で、シート光沢面が容器内側となるよう成形し、離型性を以下の基準で評価した。
1……引っ掛かりが非常に強く、離型すると、容器が反り返る
2……引っ掛かりが強く、容器が変形する
3……離型時に、やや引っ掛かりが見られる
4……ほぼ、引っ掛かりなく離型する
5……引っ掛かりなく離型する。
PP1:ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、プライムポリプロ E−105GM、ホモタイプ、MFR(230℃、21.2N)0.5g/10分)
PP2:ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、プライムポリプロ E−200GP、ホモタイプ、MFR(230℃、21.2N)2.0g/10分)
PP3:ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、プライムポリプロ F−704NP、ホモタイプ、MFR(230℃、21.2N)7.0g/10分)
LD:低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ(株)製、サンテックLD M1703、MFR(190℃、21.2N)0.3g/10分、密度918kg/m3)
E1:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー6030N、MFR(230℃、49N)4.1g/10分)
E2:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモラン3655N、MFR(230℃、49N)13g/10分)
E3:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモラン3755N、MFR(230℃、49N)4.0g/10分)
E4:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー8032N、MFR(230℃、49N)1.0g/10分)
E5:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモラン3555N、MFR(230℃、49N)2.0g/10分)
E6:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(住友化学(株)製、エスポレックス3675、MFR(230℃、49N)0.6g/10分)
E7:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー5030N、MFR(230℃、49N)1.8g/10分)
E8:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー9020N、MFR(230℃、49N)1.5g/10分)
E9:非架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモランZ101N、MFR(230℃、21.2N)11g/10分)
E10:重合型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、ゼラスMC707、MFR(230℃、21.2N)3.3g/10分)
E11:スチレン系エラストマー(三菱化学(株)製、ラバロンSJ5400N)
帯電防止剤:オレフィン系高分子型帯電防止剤(三洋化成工業(株)製、商品名「ペレスタット 212」、MFR(190℃、21.2N)12g/10分、密度1000kg/m3、含有イオン量=Na+:80ppm、SO4 2−:62ppm)。
フィードブロック方式の多層押出機(二種三層押出機)の第1の単軸押出機(スクリュー径90mm、L/D=32)に、表1に示す基材層を構成する成分の混合物をシリンダー温度230℃で供給し、第2の単軸押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)に、表1に示す表層を構成する成分の混合物をシリンダー温度230℃で供給し、フィードブロック内で、基材層の両面に表層を合流させて積層し、Tダイキャスト法によりシート状に押し出した。クロームメッキした金属製のキャストロールに金属製のタッチロールで押し当てるいわゆるタッチロール法で70℃まで冷却し、引き取り速度を調整することにより、総厚みが0.8mmで、層構成が表層/基材層/表層(厚み比は1/25/1)の積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表2に示す。
Claims (10)
- ポリプロピレン系樹脂(A1)及びポリエチレン系樹脂(A2)を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、JIS K6253に準拠したデュロ硬度Aが60〜70の動的架橋型ポリオレフィン系エラストマー(B1)及び高分子型帯電防止剤(B2)を含む表層(B)が形成された積層シートであって、表層(B)の静摩擦係数が、0.7を超えて1.0未満であり、表層(B)が、ポリオレフィン系エラストマー(B1)を60重量%以上含み、かつ前記高分子型帯電防止剤(B2)が、オレフィン系ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体で構成されている積層シート。
- 高分子型帯電防止剤(B2)の割合が、表層(B)の樹脂成分100重量部に対して、5〜30重量部である請求項1記載の積層シート。
- ポリオレフィン系エラストマー(B1)が、動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマーである請求項1又は2記載の積層シート。
- ポリオレフィン系エラストマー(B1)が、ポリオレフィン系樹脂を含むハードセグメントと、エチレン−プロピレンゴム又はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むソフトセグメントとで構成された請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
- 高分子型帯電防止剤(B2)中のナトリウムイオン及び硫酸イオンの含有量が、それぞれ1〜150ppmである請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
- ポリエチレン系樹脂(A2)が、少なくとも低密度ポリエチレンを含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
- ポリプロピレン系樹脂(A1)のJIS K7210に準拠したメルトフローレートが、0.15〜5g/10分である請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
- ポリプロピレン系樹脂(A1)とポリエチレン系樹脂(A2)との割合(重量比)が、前者/後者=55/45〜90/10である請求項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
- 基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の積層シート。
- 総厚みが、0.3〜1.5mmであって、基材層(A)の厚みと表層(B)の厚み(基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている場合、各表層の厚みの和)との割合が、前者/後者=4/1〜20/1である請求項1〜9のいずれかに記載の積層シート。
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