JP3916500B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡シート及び容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃に対する吸収や緩和を必要とする用途に適用でき、特に電子部品の包装材料として好適な、耐衝撃性に優れ、且つ寸法精度が良好であり、表面平滑性の高い熱可塑性樹脂発泡シート及び該シートを熱成形してなる熱可塑性樹脂発泡成形体に関する。尚、本発明において樹脂組成物の組成を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、樹脂成分の合計を100としたときの質量基準で表す。
【0002】
【従来の技術】
従来、内容物や堆積物等を衝撃などから保護する緩衝用素材としては、断熱性、保温性、及び緩衝性等に優れ、且つ軽量である熱可塑性樹脂発泡シート(以下単に「発泡シート」と略す)を、特定の形状に熱成形した容器等の熱可塑性樹脂発泡成形体(以下「発泡成形体」と略す)が多用されている。前記の特性に優れた発泡シートの具体例として、ポリプロピレン系樹脂発泡シートは、耐熱性において優れた性能を有しており、その特性を生かし、自動車内装材、家庭用品、食品包装材料、電子包装材料等の分野で様々な用途開発がなされつつある素材である。
【0003】
これら用途の中で、特に電子部品の包装材料や、精密機械部品等の包装材料においては、移送や保管の際の衝撃から内容物を保護するために、高い緩衝性能を有すると共に、発泡シートを熱成形して得られる発泡成形体が、高い寸法精度を有すること、更に表面破泡等による凹凸がなく、表面平滑性が高く外観に優れることが要求される。即ち、内容物をしっかりと固定し、輸送中の振動等の衝撃から内容物を保護すると同時に、該発泡成形体と内容物がこすれて、発泡成形体から微細な摩耗粉が発生するのを最小限に押さえることが必要である。
【0004】
高い緩衝特性を有する発泡成形体を得る方法としては、発泡シートの見掛け密度(比重)を低くし、比較的厚みの大きな高発泡成形体とすることが一般的に行われているが、この方法では、発泡シートを被包装体を収納する発泡成形体に熱成形する際に、発泡シートの賦形性が悪く、所望の形状を有する発泡成形体を得ることが困難となり、高い寸法精度が要求される電子部品等の包装には適さない。又、移送、保管等の為に緩衝用発泡シートを複数枚重ねておくことが多々あり、この様な場合に、高発泡で肉厚の素材は嵩張るため、多数の内容物を収納するに十分なスペースを確保できない等の問題点が挙げられる。
【0005】
又、一方で発泡倍率の低い発泡体では、寸法精度は比較的良好であるが、緩衝性能が十分でない場合があり、その問題を改善するために耐衝撃性の改良として、例えば特開平6−212007号公報に、ポリプロピレン系ブロック共重合体にエチレン・α−オレフィン共重合体および高密度ポリエチレンを添加する方法が提案されている。しかしながら、これらの発泡成形体であってもその耐衝撃性が十分でなく、例えば大型液晶パネルのように、被包装物の形状が大きくその重量が大きなものでは、その搬送時に誤って落下したときのように、外部から大きな衝撃が加わった際に、発泡成形体に割れが生じ被包装物に損傷を与えるか、又はその機能に影響を与えることがあり、その改善が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、比較的低発泡倍率で表面平滑性が良好で寸法精度が良好であり、且つ優れた耐衝撃性を合わせ持った発泡シート及びその成形体である発泡容器を提供することであり、特に前記の要求の高い電子部品等の包装用に好適に用いられる発泡容器を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を鋭意検討した結果本発明に至った。即ち、プロピレン単位80〜95%およびエチレン又はプロピレン以外のα−オレフィン単位5〜20%から構成される高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)35〜90%、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)10〜30%、及び230℃におけるMFRが1.0〜5.0g/10分であるポリプロピレン系樹脂(C)0〜45%を含有し、下記の1から3の要件を満たすポリプロピレン系樹脂発泡シートである。
1.(A)成分が、200℃における溶融張力が4.0cN以上で、230℃におけるMFRが1.0〜5.0g/10分の高溶融張力ポリプロピレン系樹脂である。
2.発泡シートの密度が180kgm-3以上850kgm-3未満である。
3.発泡シートのデュポン衝撃強度が1.0J以上である。
スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)のスチレン含有量が10〜40%であることが好ましい。更に本発明は、前記のポリプロピレン系樹脂発泡シートからなる容器を含む。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、前記のように(A)成分の高溶融張力のポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単位80〜95%およびエチレン又はプロピレン以外のα−オレフィン単位5〜20%から構成される高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を用い、更に(B)成分としてスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体を添加することによって、比較的低発泡倍率であっても耐衝撃強度が著しく高い発泡シートが得られることを見出したことによる。
【0009】
本発明においてポリプロピレン系樹脂発泡シートは高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分とする発泡シートをさす。本発明で用いられる高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)はプロピレン単位80〜95%およびエチレン又はプロピレン以外のα−オレフィン単位5〜20%から構成される。α−オレフィンとしては、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。この樹脂(A)は、前記の単量体成分を含有する単独共重合体もしくは複数の重合体の混合物のいずれであっても良いが、(A)成分中のプロピレンの割合が95%を超えると脆さを改善する効果が少なく、発泡シートの耐衝撃性で不十分である。また、プロピレンの割合が80%未満では剛性の低下が著しくなり成形品とした場合の構造体としての強度が保てない。
【0010】
またこの樹脂(A)は、200℃における溶融張力が4.0cN以上である。溶融張力が4.0cNより小さいと、押出発泡の際にシート内に気泡を維持することが困難となり、表面平滑性の高い良好な発泡シートを得るのが難しい。また熱成形のシート加熱時に表面破泡が起きやすくなり、表面に凹凸が生じ成形後の発泡成形体の外観が低下する傾向にある。ここで、本発明に記載の200℃における溶融張力とは、(株)東洋精機製作所性製キャピログラフを用いて、装置のバレル内にてポリプロピレンを200℃で5分間加熱して溶融し、溶融したポリプロピレンを直径2.095mm、長さ8mm、L/D=3.8のキャピラリーから15mm/分の速度で大気中に押出してストランドとし、このストランドを2.0m/分の速度で引き取る際の張力を測定した値である。
【0011】
本発明で用いる事のできる高溶融張力ポリプロピレン系樹脂は、例えば超高分子量のポリエチレン系樹脂を含有することによりにより、その溶融張力を4.0cN以上とした特開2001−226514号公報に記載されているような樹脂を用いることができる。
【0012】
高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)成分の含有量は35〜90%である。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)成分が35%未満では、溶融張力が低下し発泡シートの製膜時に気泡の連通化及び発泡ガスの逸散が起こり良好な発泡シートが得られない。一方、90%以上になると、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)成分の添加量が10%未満となり、衝撃強度の改善が十分でなくなる。
【0013】
高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRは1.0〜5.0g/10分である樹脂を用いる。MFRが1.0g/10分より小さいと、流動性が低下する影響により押出性が不安定となり、また、5.0g/10分より大きくなると、押出性は安定するが、粘度が低くなる影響により気泡を均一に成形させることが困難となり、又気泡の成長を抑制できず気泡壁が破れやすくなり、シート表面に凹凸が発生し、表面外観が低下する。
【0014】
(A)成分の一部はポリプロピレン系樹脂(C)により置換することが可能である。この際のポリプロピレン系樹脂(C)の含有量は45%以下であり、好ましくは30%以下である。45%以上になると、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)成分の含有量が減少するため、溶融張力が低下し発泡シートの製膜時に気泡の連通化及び発泡ガスの逸散が起こり良好な発泡シートが得られない。ここで用いられるポリプロピレン系樹脂(C)とは、プロピレンモノマーを主成分として重合してなる単独重合体又は共重合体である。例えばプロピレン系単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン共重合体等のポリプロピレンを主とする重合体が用いられる。また、ポリプロピレン系樹脂を主成分として、少量であれば混和性が良好な他の樹脂を混合したものでも差し支えなく、このような樹脂の例としてポリエチレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンプロピレンランダム共重合樹脂、エチレン・ブテン・プロピレン共重合樹脂、エチレン・プロピレンゴム等がある。
【0015】
ポリプロピレン系樹脂(C)は230℃におけるMFRが1.0〜5.0g/10分である。この値は必須成分である高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の230℃におけるMFRと値が近いことが好ましい。MFRが1.0g/10分より小さいと、流動性が低下する影響により押出性が不安定となり、また、5.0g/10分より大きくなると、溶融時の粘弾性の低下が大きく製膜時の発泡ガスの散逸が増加する。
【0016】
本発明において、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)は、共重合体のブタジエンブロック部分を水素添加して得られるものであり、市販されているものを使用することができる。この共重合体においてスチレン含有量が10〜40%のものが好適に用いられる。スチレン含有量が10%を下回るとスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体中のスチレン成分の分散粒径が微細となり、耐衝撃性の改善効果が不十分となる。また、スチレン含有量が40%を上回るとスチレン成分の増加のためにポリプロピレン系樹脂とエチン・ブチレンコポリマーの相溶性が低下し、耐衝撃性の改善効果が不十分となり、いずれも好ましくない。
【0017】
本発明において、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)成分の含有量は、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)及びポリプロピレン系樹脂(C)の樹脂成分合計100%において10〜30%である。スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)が10%を下回ると衝撃強度の改善が十分でなく、一方、30%を上回ると、発泡体としての主成分である高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の割合が低下するために樹脂成分の溶融張力が低下し、シート表面での破泡のためにシート外観が損なわれる。
【0018】
次に本発明の発泡シートの製造方法について説明する。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)とスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)およびポリプロピレン系樹脂(C)の混合方法は特に限定されないが、発泡シート押出時に押出機に攪拌混合した原料を直接投入する方法、または攪拌混合した原料を単軸または二軸押出機にて溶融混合してペレット化し、発泡押出時に使用する方法等を用いることができる。
【0019】
本発明における発泡剤には化学発泡剤、又は物理発泡剤として炭酸ガスが用いられる。化学発泡剤としては、重曹とクエン酸の混合物が好適に用いられ、発生する発泡ガスは炭酸ガスである。化学発泡剤の添加方法は特に限定するものではないが、ポリプロピレン系樹脂の樹脂組成物にドライブレンドする方法や、押出機のホッパー中で定量フィーダーを使用して添加する方法、或いはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂をベースとするマスターバッチを作成し添加する方法のいずれであっても良い。化学発泡剤の添加量は所望の発泡倍率を得られる範囲でありその具体的な量は発泡剤の種類によっても異なるが、樹脂組成成分合計100%のとき、0.1〜3.0部添加することが好ましい。添加量が0.1部未満では所望の発泡倍率を得ることが出来ず、3.0部を超えて添加した場合は、押出機中における発泡剤の均一分散及び十分な分解が進行せず、良好な発泡シートを得ることが出来ない場合がある。
【0020】
一方で物理発泡剤としては、押出設備において防爆設備が不要であり、不活性ガスで安全性に優れる炭酸ガスが好適に用いられる。物理発泡剤の添加方法としては、タンデム押出機の1段目押出機の溶融樹脂の圧力を低くすべく設定された位置から直接炭酸ガスを注入する方法、または二軸押出機の同じく圧力を低く設定させた位置に供給する方法等が挙げられる。物理発泡剤の添加量は所望の発泡倍率を得られる範囲であり、0.1〜3.0部であることが好ましい。添加量が0.1部未満では所望の発泡倍率を得ることが出来ず、3.0部を超えて添加した場合は、独立気泡率が低下する場合がある。又、該発泡シートの気泡径を適宜の大きさにコントロールするために、必要に応じて、重曹とクエン酸の混合物又はタルクなどの発泡核剤を併用してもよい。
【0021】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度は180kgm-3以上850kgm-3未満であり、更に300kgm-3以上600kgm-3未満であることが好ましい。密度が180kgm-3より低い場合、発泡セルの独立気泡率が低下し、容器を成形した場合に成形品の表面外観性が低下する。また、密度が850kgm-3以上であると十分な緩衝性及び軽量性が得られない。また、独立気泡率は40%以上であることが好ましい。独立気泡比率が40%より低いと熱成形時のシート加熱時に垂れ下がりが大きくなると共に、表面破泡が起きやすくなり、成形体である容器の外観が低下する傾向がある。
【0022】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、デュポン衝撃強度が1.0J以上であることが重要である。本発明におけるデュポン衝撃強度とは、デュポン衝撃試験機にて、1/2インチ半球状衝撃芯、荷重200g重錘、環境温度23℃において測定し、JIS K 7211に準拠して計算を行った50%衝撃破壊エネルギー値である。発泡シートのデュポン衝撃強度が1.0J未満であると、シートを熱成形した容器等の成形体を電子部品の包装体として用いた場合に、運搬時の落下等により外部から衝撃が加わった時に包装体の割れが発生してしまい、特に大型の液晶パネルの搬送用として使用する場合には1.0J以上のデュポン衝撃強度を有する発泡シートでないと包装材料としての機能が不十分である。
【0023】
本発明の発泡シートの厚みは特に限定されるものではないが、デュポン衝撃強度1.0J以上を得るためには通常1.0mm以上が必要であり、一方でこのシートを熱成形した容器の形状精度等を考慮すると3.0mm以下が好ましい。
【0024】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、その表面での帯電による静電気の発生を抑制するために一般的に用いられる帯電防止剤を練り込むことや、表面に塗布することができる。また、表面に帯電防止性や導電性の印刷を行って用いることもできる。さらに、片面もしくは両面に、表面保護や装飾の目的でフィルムラミといった一般的な方法で、非発泡層を積層した積層シートとして用いることもできる。
【0025】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法としては、前記の高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)、及びポリプロピレン系樹脂(C)の混合物に発泡剤としては化学発泡剤または物理発泡剤である炭酸ガスを用いて公知の押出発泡法が用いられる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、タンデム押出機などの押出機内にて溶融軟化された樹脂を直線上の金口を有したダイス(T型ダイス)から押出し、次いで内部に冷却媒体を流通させた金属製の冷却ロールに接触させ冷却する方法、若しくは環状の押出機金口(サーキュラーダイス)より押出した後に円筒環状の冷却装置に接触させ冷却し、ある一定のラインにて切り開きシート状物とする方法が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
【0026】
ポリプロピレン系樹脂発泡シートを製造する際に、ポリプロピレン系樹脂発泡層にシートの物性を阻害しない範囲で、適宜の気泡調整剤、架橋剤、発泡助剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、顔量等を混合することができる。
【0027】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、成形して容器として用いる。その成形方法としては熱成形が好ましい。熱成形の際のシートの加熱方法としては、ヒーターによる間接加熱方法と熱板にシートを接触させて加熱させる直接加熱方法と熱風により加熱する方法等があり、成形方法としては、真空成形や圧空成形があり、より細かくは例えば、ストレート真空成形、ストレート圧空成形、ドレープ真空成形、ドレープ圧空成形、プラグアシスト成形、ドレープアンドプラグアシスト成形、プラグアシスト圧空成形、プラグアシストリバースドロー成形、エアクション成形、プラグアシストエアストリップ成形、マッチモールド(プレス)成形などがあげられ、本発明はこれらのいずれも用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0029】
以下の実施例及び比較例において用いた測定方法は下記の方法にて行った。
(シート密度) ミラージュ貿易社製電子比重計(MD−200S)にて測定した。
(シート外観) シートの外観を以下の基準で評価した。
○:良好なシート外観を示す。
×:表面破泡によるざらつきが見られる。
【0030】
(デュポン衝撃強度) 東洋精機社製デュポン衝撃試験機にて1/2インチ半球状衝撃芯、荷重200g、環境温度23℃において発泡シートのデュポン衝撃強度を測定した。結果はJIS−K7211に準拠して計算を行い50%衝撃破壊エネルギー値(単位:J)で示した。
【0031】
(実用落下試験) 発泡シートを図1及び図2に示す形状の容器(縦400mm、横300mm、深さ45mm)に真空成形機にて成形し、その中に300mm×200mm×厚さ10mm、重量800gの金属板を入れ、それを10段重ねた状態で段ボールに入れた。トレイ10段を詰めた段ボール箱を、高さ900mmから段ボールの1角及び稜角3箇所、更に6面を一回ずつ落とし容器の破損状態を評価した。評価基準:○ 破損なし、× 破損有り。
【0032】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
表1に示す配合組成物を用いて東芝機械製の90mmの第1押出機(L/D=28)と115mm第2押出機(L/D=20)を単管にて接続したタンデム押出機にてシリンダー温度230〜150℃、165M/Mサーキュラーダイス(設定温度180℃)により発泡押出を行い各シートを製膜し、前記の評価試験に供した。
【0033】
【表1】
【0034】
▲1▼高溶融張力PP−1(A):プロピレン含量87%、エチレン含量13%
MFR=2.5g/10分、溶融張力7.0cN
(チッソ(株)製、FB3312)
▲2▼高溶融張力PP−2:プロピレン含量97%、エチレン含量3%
MFR=4.0g/10分、溶融張力6.0cN
(チッソ(株)製、FH3500)
▲3▼SEBS:スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)
スチレン含有量18%(旭化成(株)製、タフテックH1062)
▲4▼PP−3(C):MFR=3.4g/10分、溶融張力1.6cN
(チッソ(株)製、A5014)
発泡剤種:CF=化学発泡剤(クラリアント社、CF40E−J)
炭酸ガス=物理発泡剤
MFR:230℃測定値(JIS−K6758法)
【0035】
表1に得られた発泡シートのシート密度、シート厚み、シート外観、デュポン衝撃強度、及び実用落下試験の測定結果を示す。
【0036】
各実施例のシートは、シート表面外観に優れると共に、実用落下試験における発泡シート成形体である容器の破損がみられないことから、耐衝撃性に優れ、電子部品の包装材料として優れた性能を有している。また、比較例1〜3においては耐衝撃性のレベルが低く、実使用に耐えない。比較例4は耐衝撃性は高いものの、シート外観が劣り表面破泡のために成形性および商品性に劣る。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的低発泡倍率で表面平滑性が良好で寸法精度が良好であり、且つ優れた耐衝撃性を合わせ持った発泡シート及び発泡成形体である容器が得られ、大型の電子部品等の搬送用等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の容器(一例)の断面図である。
【図2】 本発明の容器(一例)の平面図である。
Claims (3)
- プロピレン単位80〜95%およびエチレン又はプロピレン以外のα−オレフィン単位5〜20%から構成される高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)35〜90%、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)10〜30%、及び230℃におけるMFRが1.0〜5.0g/10分であるポリプロピレン系樹脂(C)0〜45%を含有し、下記の1から3の要件を満たすポリプロピレン系樹脂発泡シート。
1.(A)成分が、200℃における溶融張力が4.0cN以上で、230℃におけるMFRが1.0〜5.0g/10分の高溶融張力ポリプロピレン系樹脂である。
2.発泡シートの密度が180kgm-3以上850kgm-3未満である。
3.発泡シートのデュポン衝撃強度が1.0J以上である。 - 前記スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(B)のスチレン含有量が10〜40%であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
- 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートからなる容器。
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