JP5681251B2 - 積層シート及び成形体 - Google Patents

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本発明は、防傷性及びハンドリング性に優れた積層シート及びこのシートを用いて形成された成形体(例えば、包装容器)に関する。
容器やトレーは、通常、シートを二次成形して製造される。シートには、積み重ねや巻き取りを容易に行えるなど、ハンドリング性に加えて、二次成形した容器やトレーを搬送用途として利用する場合に、内容物を搬送時の振動により発生する擦り傷から守ること(防傷性)も要求される。ポリオレフィン系樹脂は、外観、剛性、及び二次成形性に優れるため、シート材料として汎用されているが、防傷性は充分ではなく、以下のようなシートが提案されている。
特開2007−276354号公報(特許文献1)には、熱可塑性樹脂からなる基層及びこの基層の少なくとも片面に形成され、熱可塑性エラストマー又はその組成物からなる表層を有する多層シートが開示されている。この文献には、熱可塑性樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレンなどが例示され、熱可塑性エラストマー又はその組成物としてポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマーなどが例示されている。また、この文献の実施例には、ポリプロピレンからなる基層と、この基層の片面に形成され、ポリスチレン系エラストマーからなる表層とを有する多層シートを得たことが記載されている。
しかし、この多層シートは、防傷性とハンドリング性とを両立できない。すなわち、表層にポリスチレンエラストマーを含むシートは、静摩擦係数が高いため、シートを積み重ねたり、シートを巻き取ったりする場合に、ゴミを付着させやすく、ハンドリング性に劣る。
特開昭63−34138号公報(特許文献2)には、オレフィン系エラストマーあるいはスチレン系エラストマーのいずれかを含む第一層と、エラストマーとポリオレフィンとの混合物を含む第二層と、ポリオレフィンを含む第三層とで構成される多層シートが開示されている。この文献には、コストや真空成形性などからポリスチレン系又はポリオレフィン系エラストマーが有利であると記載されている。また、ポリオレフィン系エラストマーの硬度は、非常に広い範囲(JIS−Aゴム硬度45〜95)で記載されている。この多層シートは、エラストマーとポリオレフィンとの混合物を含む層を中間層として設けているため、層構造が複雑で生産性が低い。
なお、カッティングマット、デスクマットなどに用いられる多層シートとして、特開平4−341839号公報(特許文献3)には、オレフィン系ポリマーを中間層とし、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーを上下層としてなる多層シートが開示されている。この文献には、刃物がくいこみやすく、かつ滑りにくくするため、オレフィン系エラストマーを好ましく使用できると記載されているが、オレフィン系エラストマーの硬度の詳細は開示されていない。
特開2007−276354号公報(請求項1〜3、実施例) 特開昭63−34138号公報(特許請求の範囲、第2頁左上欄第9〜11行、第3頁左下欄第10〜11行、実施例) 特開平4−341839号公報(請求項1、段落[0007][0011]、実施例)
従って、本発明の目的は、防傷性及びハンドリング性に優れた積層シート及びこのシートで形成された成形体(例えば、包装容器)を提供することにある。
本発明の他の目的は、シート外観に優れるとともに、ドローダウンが抑制され、かつ金型に対する離型性も高く、シートの二次成形性にも優れた積層シート及びこのシートで形成された成形体(例えば、包装容器)を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、電子部品や光学部品の不具合や障害の発生が抑制されたシート及びこのシートで形成された成形体(例えば、電子部品又は光学部品搬送用トレー)を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、基材層を特定のオレフィン系樹脂、表層を特定のポリオレフィン系エラストマー及び高分子型帯電防止剤で構成した積層シートは、防傷性及びハンドリング性に優れることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層シートは、プロピレン系樹脂(A1)及びポリエチレン系樹脂(A2)を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、表層(B)が形成されている。
表層(B)は、JIS K6253に準拠したデュロ硬度Aが60〜70の動的架橋型ポリオレフィン系エラストマー(B1)及び高分子型帯電防止剤(B2)を含む。
表層(B)の静摩擦係数は0.7以下である。
表層(B)は、ポリオレフィン系エラストマー(B1)を60重量%以上含む。
高分子型帯電防止剤(B2)は、オレフィン系ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体で構成されている。
高分子型帯電防止剤(B2)の割合は、表層(B)の樹脂成分100重量部に対して、5〜30重量部程度であってもよい。
ポリオレフィン系エラストマー(B1)は、動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマーであってもよく、ポリオレフィン系樹脂を含むハードセグメントと、エチレン−プロピレンゴム又はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むソフトセグメントとで構成されていてもよい。
高分子型帯電防止剤(B2)中のナトリウムイオン及び硫酸イオンの含有量は、それぞれ1〜150ppm程度であってもよい。
ポリエチレン系樹脂(A2)は、少なくとも低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。ポリプロピレン系樹脂(A1)のJIS K7210に準拠したメルトフローレートは、0.15〜5g/10分程度であってもよい。
表層(B)の静摩擦係数は、0.4〜0.7程度であってもよい。
本発明の積層シートは、基材層(A)の両面に表層(B)が形成されていてもよく、総厚みは、0.3〜1.5mm程度であってもよい。また、基材層(A)の厚みと表層(B)の厚み(基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている場合、各表層の厚みの和)との比は、前者/後者=4/1〜20/1程度であってもよい。
本発明は、前記積層シートで形成された成形体を含み、この成形体は、電子部品や光学部品の搬送用途に適している。
本発明の積層シートは、表層に特定の硬度を有するポリオレフィン系エラストマーが含まれるため、シート表面は柔らかく、防傷性(耐擦傷性)に優れる。また、表層の静摩擦係数が適度な範囲にあるため、例えば、シートを積み重ねたり、巻き取ったりしても、シート同士が互いに剥がれ易く、シートとしてのハンドリング性(取扱性、作業性)も兼ね備える。これらの特性は、特に、基材層の両面に表層を形成した場合に、顕著となる。さらに、本発明の積層シートは、ゴミも付着させにくい。また、表層を構成するポリオレフィン系エラストマーの硬度を調整することにより、シートの防傷性、ハンドリング性、外観、及び金型に対する離型性のバランスを簡便に調整できる。さらに、本発明の積層シートは、帯電防止性を付与でき、電子機器の不具合や障害の発生を抑制できる。
本発明の積層シートは、基材層(A)の少なくとも一方の面に表層(B)が形成されている。特に、表層(B)が柔らかく、適度な静摩擦係数を有するため、基材層(A)の両面に表層(B)が形成されていてもよい。基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている場合、各表層の層構成(構成成分、処方、厚みなど)は、同一又は異なっていてもよいが、通常、同一である。
[基材層(A)]
基材層(A)はポリオレフィン系樹脂を含むため、積層シートに対して、成形性、剛性、耐衝撃性、経済性を付与する。また、積層シートに、切断や折り曲げの容易性を付与するためのミシン目状切り欠き部分を形成しても、基材層(A)がポリオレフィン系樹脂を含むため、ミシン目を起点とした運搬中の破断や割れが起きにくい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂などのポリC2−6オレフィン系樹脂が例示できる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
基材層(A)は、ポリオレフィン系樹脂を含む限り、特に制限されず、成形性及び剛性の観点から、少なくともポリプロピレン系樹脂(A1)を含むことが好ましい。
(A1)ポリプロピレン系樹脂
ポリプロピレン系樹脂(A1)は、プロピレン単独重合体の他、プロピレン系共重合体であってもよい。プロピレン系共重合体としては、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィン類[例えば、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどのプロピレン以外のα−C2−16オレフィン(特にα−C2−6オレフィン)など]との共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体など)などが例示できる。共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよい。
プロピレン系共重合体において、プロピレンと、プロピレン以外のα−オレフィンとの割合(モル比)は、前者/後者=70/30〜99.9/0.1、好ましくは80/20〜99.5/0.5、さらに好ましくは90/10〜99/1程度であってもよい。
これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリプロピレン系樹脂のうち、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)は、非結晶性(又は非結晶質)ポリプロピレン系樹脂であってもよいが、結晶性(又は結晶質)ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)は、アタクチック重合体であってもよく、アイソタクチック、シンジオタクチック、メタロセン触媒を用いて得られるポリプロピレン系樹脂などの立体規則性を有する構造であってもよい。これらのうち、結晶性や簡便性などの点から、アイソタクチック構造を有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A1)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30g/10分程度の範囲から選択できるが、シートのドローダウンを抑制する点から、0.1〜10g/10分、好ましくは0.15〜5g/10分(例えば、0.2g/10分)、さらに好ましくは0.25〜2g/10分(特に、0.3〜1g/10分)程度であってもよい。MFRが高すぎると、熱成形時にドローダウンし易くなり、二次成形が困難となる。また、成形品の厚みが不均一になるだけでなく、しわの原因になる。一方、MFRが低すぎると、押出成形が困難となる。なお、MFRは、JIS K 7210に準じて、試験温度230℃、公称荷重2.16kgf(21.2N)の条件で測定できる。
(A2)ポリエチレン系樹脂
基材層(A)は、ドローダウン防止の点から、ポリプロピレン系樹脂(A1)に加えて、さらにポリエチレン系樹脂(A2)を含むことが好ましい。
ポリエチレン系樹脂(A2)は、エチレン単独重合体の他、エチレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、エチレン以外のα−オレフィン類[例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどのα−C3−16オレフィン(特にα−C3−6オレフィン)など]、酢酸ビニルなどの有機酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸系単量体などが例示できる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
エチレン系共重合体において、エチレンと、共重合性単量体(例えば、エチレン以外のα−オレフィンとの割合)(モル比)は、前者/後者=70/30〜99.9/0.1、好ましくは80/20〜99.5/0.5、さらに好ましくは90/10〜99/1程度であってもよい。
ポリエチレン系樹脂(A2)は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなど)、分岐鎖状ポリエチレン、アイオノマー、塩素化ポリエチレンなどであってもよい。
これらのポリエチレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリエチレン系樹脂のうち、ドローダウンを抑制する点から、エチレン単独重合体(ポリエチレン)が好ましく、特に、低密度ポリエチレンが好ましい。すなわち、ポリエチレン系樹脂(A2)の密度は、JIS K7112に準拠して、例えば、935kg/m以下(例えば、900〜935kg/m3程度)、好ましくは930kg/m以下(例えば、900〜930kg/m程度)、さらに好ましくは925kg/m以下(例えば、900〜925kg/m程度)であってもよい。
ポリエチレン系樹脂(A2)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜10g/10分の範囲から選択でき、0.1〜5g/10分、好ましくは0.15〜2.5g/10分、さらに好ましくは0.2〜2g/10分(特に、0.2〜1g/10分)程度であってもよい。なお、MFRは、JIS K7210に準じて、試験温度190℃、荷重2.16kgf(21.2N)の条件で測定できる。
ポリプロピレン系樹脂(A1)とポリエチレン系樹脂(A2)との割合(重量比)は、前者/後者=50/50〜100/0、好ましくは55/45〜90/10、さらに好ましくは60/40〜85/15(特に、70/30〜80/20)程度であってもよく、特に、ドローダウンを抑制する点から、ポリプロピレン系樹脂(A1)と、低密度ポリエチレンとを、50/50〜90/10(例えば、60/40〜85/15、特に、70/30〜80/20)程度の割合で組み合わせるのが好ましい。
(任意成分)
基材層(A)は、本発明の効果を損なわない限り、任意成分を含んでもよい。任意成分としては、充填剤、加工助剤、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、核剤、滑剤、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、流動性改良剤、着色剤(顔料など)、分散剤、抗菌剤などが例示できる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。基材層(A)は、これらの任意成分のうち、着色剤を0.3〜3重量%、好ましくは0.4〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%程度含んでもよい。
基材層(A)の厚みは、例えば、0.25〜1.5mm(例えば、0.5〜1.5mm)、好ましくは0.45〜1.2mm(例えば、0.5〜1.0mm)、さらに好ましくは0.55〜1.0mm(特に、0.6〜1.0mm)程度であってもよい。基材層の厚みが小さすぎると、成形品の腰が弱くなる。また、基材層の厚みが大きすぎると、経済性に劣る。
[表層(B)]
表層(B)は、ポリオレフィン系エラストマー(B1)を含むため、ポリオレフィン系樹脂を含む基材層(A)との接着性に優れ、表層(B)と基材層(A)との間に接着層を介在させることなく接着できる。
(B1)ポリオレフィン系エラストマー
ポリオレフィン系エラストマーは、ポリスチレン系エラストマーと比較して、同程度の硬度であっても、一般的に静摩擦係数が低いため、本発明のシートを積み重ねたり巻き取ったりしても、相互に剥がれやすく、シートとしてのハンドリング性に優れる。また、表層の静摩擦係数が低いと、ごみの付着を防止でき、外観にも優れる。
ポリオレフィン系エラストマー(B1)は、ポリオレフィン系樹脂を含むハードセグメント(硬質相)と、ゴムを含むソフトセグメント(軟質相)とで構成されている。
ハードセグメントを構成するポリオレフィン系樹脂としては、前記ポリプロピレン系樹脂(A1)又はポリエチレン系樹脂(A2)と同様の樹脂が例示でき、例えば、プロピレン系重合体(単独又は共重合体)又はエチレン単独重合体であってもよい。
ソフトセグメントを構成するゴムとしては、スチレン系成分を含まないゴムが好ましく、オレフィン系ゴム、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴムなどであってもよいが、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分とのブレンドの均一性、相溶性の点から、オレフィン系ゴム、ジエン系ゴムが好ましい。
オレフィン系ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリオクテニレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)などが例示できる。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系単量体の重合体ゴム;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム(NCR)、ニトリルイソプレンゴム(NIR)などのアクリロニトリル−ジエン共重合体ゴムなどが例示できる。ジエン系ゴムには、水添ゴム(例えば、水素添加ニトリルゴム(HNBR)など)なども含まれる。
これらのゴムは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのゴムのうち、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどのオレフィン単位を含むゴムが特に好ましい。
エチレン−プロピレンゴム又はエチレン−プロピレン−ジエンゴムにおいて、エチレン単位とプロピレン単位との割合(モル比)は、前者/後者=10/90〜90/10の範囲から選択でき、例えば、50/50〜90/10(例えば、60/40〜80/20)程度であってもよい。
エチレン−プロピレン−ジエンゴムを構成するジエン成分としては、ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエンなどの共役ジエン類、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの脂環式ジエン化合物であってもよい。エチレン−プロピレン−ジエンゴムのヨウ素価(ゴムにハロゲンを作用させた場合に吸収されるヨウ素換算のハロゲン量)は、例えば、10〜50(例えば、20〜40)程度であってもよい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの割合(重量比)は、前者/後者=10/90〜90/10程度の範囲から選択でき、防傷性及び外観とのバランスのため、低硬度が好ましく、例えば、10/90〜50/50(例えば、30/70〜40/60)程度であってもよい。
これらのポリオレフィン系エラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
動的架橋型ポリオレフィン系エラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分との混練下(混練状態)で、ソフトセグメントを構成するゴムを架橋化することにより得られるエラストマーであってもよい。なお、混練(混合)は、バンバリーミキサーやプラストミルなどの慣用の混練機を用いて行ってもよい。混練温度は、例えば、100〜250℃(例えば、150〜250℃)程度であってもよい。混練時間は、例えば、1〜30分(例えば、5〜15分)程度であってもよい。撹拌速度は、例えば、1〜150rpm(例えば、10〜100rpm)程度であってもよい。
架橋化は、架橋剤(加硫剤)を用いて行ってもよい。動的架橋においては、混練開始時に架橋剤が存在してもよく、混練段階で架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、慣用の架橋剤、例えば、硫黄、硫黄含有有機化合物[チウラム類(例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)など)など]、有機過酸化物{例えば、ジアルキルパーオキシド類[例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシドなど]など}、アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチルニトリルなど)、フェノール樹脂(例えば、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂など)、マレイミド系化合物[例えば、芳香族ビスマレイミド(例えば、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミドなど)、脂肪族ビスマレイミド(例えば、N,N’-1,2-エチレンビスマレイミドなど)など]などが例示できる。これらの架橋剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、これらの架橋剤は、慣用の架橋促進剤と組み合わせて使用してもよい。
架橋剤の使用割合は、ソフトセグメント成分100重量部に対して、例えば、0.1〜20重量部(例えば、0.5〜10重量部)程度であってもよい。
架橋温度は、例えば、100〜250℃(例えば、150〜250℃)程度であってもよい。架橋時間は、例えば、1〜60分(例えば、3〜30分)程度であってもよい。架橋時間は、架橋剤を添加してからの混練時間に対応する。
架橋の程度は、完全架橋であってもよく、部分架橋であってもよいが、特に、成形性及び外観の点から、部分架橋が好ましい。架橋密度(加硫密度)は、例えば、1〜20モル×10mL(例えば、5〜15モル×10mL)程度であってもよい。
動的架橋型ポリオレフィン系エラストマーは、通常、ポリオレフィンマトリックス(ハードセグメント)中に架橋ゴム粒子(ソフトセグメント)が分散した構造を有している場合が多い。架橋ゴム粒子の平均粒径は、0.1〜30μm(例えば、0.1〜5μm)程度の範囲から選択でき、0.5〜10μm(例えば、0.5〜2μm)、通常1〜5μm(例えば、1〜2μm)程度であってもよい。
ポリオレフィン系エラストマー(B1)のデュロ硬度Aは、外観と防傷性とのバランスの点から、JIS K6253に準拠して、53〜85(例えば、53〜84)、好ましくは54〜83(例えば、54〜82)、さらに好ましくは55〜81(特に、55〜80)程度であってもよく、特に、防傷性の点から、例えば、55〜70(例えば、57〜70、特に、60〜70)程度であってもよい。
ポリオレフィン系エラストマー(B1)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜18g/10分、さらに好ましくは1.0〜15g/10分程度であってもよい。なお、MFRは、JIS K7210に準拠して、試験温度230℃、荷重49Nの条件で測定できる。
このようなポリオレフィン系エラストマーのうち、動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマーとしては、サーモラン(三菱化学(株)製)、ミラストマー(三井化学(株)製)、エスポレックス(住友化学(株)製)などが市販されている。
表層(B)は、ポリオレフィン系エラストマー(B1)を60重量%以上(例えば、60〜100重量%程度)、好ましくは70重量%以上(70〜100重量%程度)、さらに好ましくは80重量%以上(80〜100重量%程度)含んでもよい。特に、防傷性の点から、表層(B)には、ポリオレフィン系エラストマー(B1)以外のエラストマー及び樹脂は実質的に含有させなくてもよい。
(B2)高分子型帯電防止剤
表層(B)は、電子機器などの帯電防止のため、さらに高分子型帯電防止剤(B2)を含んでもよい。高分子型帯電防止剤は、帯電防止機能を有するのみならず、外観を向上する機能も有する。また、高分子型であると、シート上に載置された物品に帯電防止剤が付着することも防止できる。
高分子型帯電防止剤(B2)としては、高分子量(例えば、数平均分子量1000以上)である限り、特に制限されず、例えば、オレフィン系ブロック及び/又はポリアミド系ブロックと、親水性ブロックとのブロック共重合体などが例示できるが、ポリオレフィン系エラストマー(B1)との親和性や分散性などの点から、オレフィン系ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体が好ましい。
前記オレフィン系ブロックを構成するオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのC2−6オレフィンが例示できる。これらのオレフィンのうち、エチレン及びプロピレンから選択された少なくとも一種が好ましく、特に、少なくともプロピレンを含むのが好ましい。オレフィン系単量体のうち、プロピレンの割合は80モル%以上(特に90モル%以上)が好ましい。ポリオレフィンブロックにおいて、オレフィン系単量体(C2−6オレフィン、特にエチレン及び/又はプロピレン)の含有量は、80モル%以上(特に90モル%以上)程度であってもよい。ポリオレフィンブロックの数平均分子量は、2000〜50000、好ましくは3000〜40000、さらに好ましくは5000〜30000程度であってもよい。
親水性ブロックとしては、例えば、ポリエーテル系ポリマー(又はノニオン性ポリマー)、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマーなどが例示できる。親水性ブロックを構成する親水性単量体としては、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのC2−6アルキレンオキシド)、特にエチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシドなどが好ましい。好ましい親水性ブロックとしては、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなどのポリC2−4アルキレンオキシド)が好ましい。ポリアルキレンオキシドの平均重合度は2〜300(例えば、5〜200)、好ましくは10〜150、さらに好ましくは10〜100程度であってもよい。
前記オレフィン系ブロックと、親水性ブロックとは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合などを介して結合されていてもよい。これらの結合は、例えば、ポリオレフィンを変性剤で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成できる。例えば、ポリオレフィンを変性剤で変性して活性水素原子を導入した後、アルキレンオキシドなどの親水性単量体を付加重合することによって導入される。このような変性剤としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水物((無水)マレイン酸など)、ラクタム又はアミノカルボン酸(カプロラクタムなど)、酸素又はオゾン、ヒドロキシルアミン(2−アミノエタノールなど)、ジアミン(エチレンジアミンなど)又はこれらの組み合わせなどが例示できる。
帯電防止剤(B2)のメルトフローレート(MFR)は、1〜20g/10分、好ましくは5〜18g/10分、さらに好ましくは7〜15g/10分程度であってもよい。なお、MFRは、ASTM D 1238に準拠して、試験温度190℃、公称荷重2.16kgf(21.2N)の条件で測定できる。
帯電防止剤(B2)中のナトリウムイオン(Na)及び硫酸イオン(SO 2−)の含有量は、それぞれ、例えば、1〜150ppm、好ましくは1.5〜130ppm、さらに好ましくは2〜120ppm程度であってもよい。
帯電防止剤の割合は、表層(B)の樹脂成分(ポリオレフィン系エラストマー(B1)、ポリオレフィン系エラストマー(B1)と後述のポリプロピレン系樹脂(B3)とを組み合わせて使用する場合は合計量)100重量部に対して、5〜30重量部、好ましくは10〜25重量部、さらに好ましくは15〜20重量部程度であってもよい。
(B3)ポリプロピレン系樹脂
表層(B)は、柔らかさや静摩擦係数を調整する目的で、ポリプロピレン系樹脂(B3)を含んでもよい。ポリプロピレン系樹脂(B3)としては、前記ポリプロピレン系樹脂(A1)と同様のものが例示でき、ポリプロピレン系共重合体であってもよいが、特に、前記と同様のプロピレン単独重合体であることが好ましい。
ポリオレフィン系エラストマー(B1)とポリプロピレン系樹脂(B3)との割合(重量比)は、前者/後者=60/40〜99.9/0.1、好ましくは70/30〜99.5/0.5、さらに好ましくは80/20〜99/1程度であってもよい。
(任意成分)
表層(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、基材層(A)と同様の任意成分を含んでいてもよい。表層(B)は、前記任意成分のうち、着色剤を0.3〜3重量%、好ましくは0.4〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%程度含んでもよい。
表層(B)の静摩擦係数は、0.4〜1.4程度の範囲から選択でき、0.45〜1.3、好ましくは0.45〜1.2、さらに好ましくは0.45〜1.0(例えば、0.5〜1.0)程度であってもよい。この範囲にあると、摩擦力のバランスが良く、シートを積み重ねたり巻き取ったりしても、相互に剥がれやすく、シートとしてのハンドリング性が向上する。さらに、シート面上に載置された物品の滑りを抑制でき、斜め置きや移送も容易となる。
表層(B)の厚みは、例えば、0.01〜0.2mm、好ましくは0.01〜0.1mm、さらに好ましくは0.01〜0.05mm程度であってもよい。表層の厚みが大きすぎると、成形品の腰が弱くなる。
表面固有抵抗率は、JIS K6911に準拠して、20℃、60%RHの条件で、1×10〜1×1011Ω、好ましくは2×10〜8×1010Ω、さらに好ましくは5×10〜5×1010Ω程度であってもよい。
基材層(A)の厚みと表層(B)の厚みとの比は、前者/後者=4/1〜50/1(例えば、10/1〜50/1)、好ましくは15/1〜40/1、さらに好ましくは20/1〜30/1程度であってもよい。また、基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている場合、基材層(A)の厚みと、各表層の厚みの和との比は、前者/後者=4/1〜20/1、好ましくは8/1〜16/1、さらに好ましくは10/1〜15/1(特に、10/1〜14/1)程度であってもよい。
シートの総厚みは、0.3〜2.0mm(例えば、0.3〜1.5mm)、好ましくは0.4〜1.8mm、さらに好ましくは0.5〜1.5mm(特に、0.5〜1.0mm)程度であってもよい。
[積層シートの製造方法]
積層シートは、特に制限されず、各層の各成分を混合して樹脂組成物を調製した後、慣用の方法によりシート状に成形することにより製造できる。樹脂組成物は、各成分の粉粒体の混合物であってもよく、各成分を混練して調製してもよい。混練には、慣用の方法を用いることができ、例えば、各成分をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの慣用の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。樹脂組成物は、ペレットの形態であってもよい。また、混練の配合順序は限定されない。
シート状に成形する方法としては、例えば、エキストルージョン法[ダイ(フラット状、T状(T−ダイ)、円筒状(サーキュラダイ)等)法、インフレーション法など]などの押出成形法などが挙げられる。これらの成形方法のうち、特に、T−ダイを用いた押出成形法が好ましい。樹脂シートは、得られた各シートをヒートラミネーションやドライラミネーションなどの方法により調製してもよいが、各構成層用の樹脂組成物を、汎用のフィードブロック付きダイやマルチマニホールドダイ等を使用して共押出する方法により調製するのが好ましい。
[成形体]
このようにして得られた積層シートは、自由吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、圧空成形(圧縮空気圧成形)、マッチモールド成形、熱板成形などの慣用の熱成形などで二次成形することができる。二次成形品の形態は、特に限定されず、容器の場合、例えば、被収容物を収容するための凹部を有する容器本体だけでなく、容器本体及び蓋体で構成されていてもよい。
シートや二次成形品の表面は、表面処理(例えば、コロナ放電やグロー放電等の放電処理、酸処理、焔処理など)を行ってもよい。
成形体の金型非接触面の静摩擦係数は、0.7〜1.7(例えば、0.7〜1.5)程度の範囲から選択でき、0.8〜1.5、好ましくは0.85〜1.3、さらに好ましくは0.87〜1.2(例えば、0.9〜1.2)程度であってもよい。この静摩擦係数が大きすぎると、離型性が低下する。一方、静摩擦係数が小さすぎると、防傷性が低下する。
単発成形機((株)浅野研究所製)を用い、480mm×480mmの枠に積層シートの幅方向中央部分をセットし、170℃まで加熱し、最も垂れ下がった部分の長さ(水準面からの長さ)として測定されるドローダウンは、35mm以下(例えば、5〜35mm程度)、好ましくは30mm以下(例えば、5〜30mm程度)、さらに好ましくは25mm以下(例えば、5〜25mm程度)であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、文中、特に断わりのない限り、「部」は重量基準である。実施例における各評価項目の評価方法、及び用いた各成分の内容は以下の通りである。
[デュロ硬度A]
JIS K6253に準じて、デュロ硬度Aを測定した。なお、デュロ硬度A値は、用いたオレフィン系エラストマー単体での値である。
[防傷性]
厚み2mmのABS製プレートを34mm×53mmに切断し、切断したABS製プレートの片面を水性塗装スプレー((株)カンペハピオ製D01黒)でムラができないように塗装し、塗装面の4つの角及び4つの稜線を紙やすりで丸めて、ダミー搬送物を作製した。実施例及び比較例で得られた積層シートを90mm×90mmに切断し、キャスト面側外周にダミー搬送物が振動中に落下しないよう落下防止柵を設置した。キャスト面側を上にして、積層シートを化学実験用シェーカー(アズワン(株)製、SHAKER SR−1、振幅30mm)に固定した。塗装面を下にして、ダミー搬送物を積層シートの中央に置き、さらに100gの分銅を二つダミー搬送物の上に置いて、ダミー搬送物と分銅とを固定した。180rpmで3分間、シェーカーを振動した。ダミー搬送物塗装面についた傷の程度を目視確認し、以下の基準で防傷性を評価した。
1……見てすぐにわかる傷が10個以上ある
2……見てすぐにわかる傷が4〜9個ある
3……見てすぐにわかる傷が1〜3個ある
4……凝視するとわずかに傷が確認できる
5……全く傷がない。
[外観]
実施例及び比較例で得られた積層シートについて、以下の基準で評価した。
1……層間乱れが激しい
2……一目で層間乱れが確認できる
3……やや層間乱れがある
4……凝視すれば、層間乱れがわずかに見られる
5……全く層間乱れがない。
[ドローダウン]
単発成形機((株)浅野研究所製)を用い、480mm×480mmの枠に実施例及び比較例で得られた積層シートの幅方向中央部分をセットし、170℃まで加熱し、最も垂れ下がった部分の長さ(水準面からの長さ)を測定した。
[表面固有抵抗]
金型で成形して1日間放置した容器の底面の平坦部を切り抜き、温度20℃、湿度60%RHの条件下で4日間調湿した後、JIS K6911に準じて、金型接触面の表面抵抗値を測定した。
[静摩擦係数]
テスター((株)東洋精機製作所製、FRICTION TESTER TR−2)を用いて試験した。試料台全面に試験面を上にして試料シートを固定した。続いて、縦63mm、横63mm、400gの錘プレートに試験面を下にして同サイズに切った試料シートを取り付けた。これら両試料シートの試験面が重なるように錘プレートを試料台の上に置く。1kg重のロードセルを用い、50mm/分の速度で錘プレートを水平に引っ張り測定した。
シートでの試験は、光沢面(キャストロール面)、非光沢面(タッチロール面)それぞれを測定した。
容器を用いた測定では、単発真空成形機((株)浅野研究所製)によって、底面が160mm×200mm、高さ50mmの直方体状凹型で、シート光沢面が容器内側となるよう成形した後、底面を切り出して容器内側面(金型非接触面)を試験面として測定した。
[離型性]
実施例及び比較例で得られた積層シートを用いて、単発真空成形機((株)浅野研究所製)によって、開口部径90mm、底部径80mm、高さ50mmのカップ状凹型で、シート光沢面が容器内側となるよう成形し、離型性を以下の基準で評価した。
1……引っ掛かりが非常に強く、離型すると、容器が反り返る
2……引っ掛かりが強く、容器が変形する
3……離型時に、やや引っ掛かりが見られる
4……ほぼ、引っ掛かりなく離型する
5……引っ掛かりなく離型する。
[各成分の内容]
PP1:ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、プライムポリプロ E−105GM、ホモタイプ、MFR(230℃、21.2N)0.5g/10分)
PP2:ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、プライムポリプロ E−200GP、ホモタイプ、MFR(230℃、21.2N)2.0g/10分)
PP3:ポリプロピレン系樹脂((株)プライムポリマー製、プライムポリプロ F−704NP、ホモタイプ、MFR(230℃、21.2N)7.0g/10分)
LD:低密度ポリエチレン(旭化成ケミカルズ(株)製、サンテックLD M1703、MFR(190℃、21.2N)0.3g/10分、密度918kg/m
E1:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー6030N、MFR(230℃、49N)4.1g/10分)
E2:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモラン3655N、MFR(230℃、49N)13g/10分)
E3:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモラン3755N、MFR(230℃、49N)4.0g/10分)
E4:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー8032N、MFR(230℃、49N)1.0g/10分)
E5:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモラン3555N、MFR(230℃、49N)2.0g/10分)
E6:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(住友化学(株)製、エスポレックス3675、MFR(230℃、49N)0.6g/10分)
E7:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー5030N、MFR(230℃、49N)1.8g/10分)
E8:動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三井化学(株)製、ミラストマー9020N、MFR(230℃、49N)1.5g/10分)
E9:非架橋型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、サーモランZ101N、MFR(230℃、21.2N)11g/10分)
E10:重合型ポリオレフィン系エラストマー(三菱化学(株)製、ゼラスMC707、MFR(230℃、21.2N)3.3g/10分)
E11:スチレン系エラストマー(三菱化学(株)製、ラバロンSJ5400N)
帯電防止剤:オレフィン系高分子型帯電防止剤(三洋化成工業(株)製、商品名「ペレスタット 212」、MFR(190℃、21.2N)12g/10分、密度1000kg/m3、含有イオン量=Na:80ppm、SO 2−:62ppm)。
実施例、参考例及び比較例
フィードブロック方式の多層押出機(二種三層押出機)の第1の単軸押出機(スクリュー径90mm、L/D=32)に、表1に示す基材層を構成する成分の混合物をシリンダー温度230℃で供給し、第2の単軸押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)に、表1に示す表層を構成する成分の混合物をシリンダー温度230℃で供給し、フィードブロック内で、基材層の両面に表層を合流させて積層し、Tダイキャスト法によりシート状に押し出した。クロームメッキした金属製のキャストロールに金属製のタッチロールで押し当てるいわゆるタッチロール法で70℃まで冷却し、引き取り速度を調整することにより、総厚みが0.8mmで、層構成が表層/基材層/表層(厚み比は1/25/1)の積層シートを得た。得られた積層シートの評価結果を表2に示す。
Figure 0005681251
なお、実施例、参考例及び比較例のシートは、基材層の両面に表層を形成しているシートであるが、各表層の構成成分及び処方は同一であり、一方の表層の構成成分及び処方を表1に示す。
Figure 0005681251
表2から明らかなように、実施例及び参考例の積層シートは、比較例の積層シートに比べ、防傷性に優れるとともに、静摩擦係数が低く、シートを積み重ねたり、巻き取ったりしても、相互に剥がれやすく、ハンドリング性に優れる。さらに、基材層にMFR0.5又は2.0g/10分のポリプロピレン及び低密度ポリエチレンを含む参考例1、実施例2、参考例3〜5、実施例6〜7、9、参考例11、及び実施例12の積層シートは、ドローダウンを低減でき、二次成形性に優れる。中でも、参考例1、実施例2、参考例3〜5、実施例6〜7及び9の積層シートは、離型性にも優れる。
本発明の積層シートは、包装用材料、各種容器、トレー、エンボステープ、キャリアテープ、マガジンなどとして利用でき、防傷性及びハンドリング性に優れるため、特に、搬送用トレーや搬送用容器として好適に利用できる。また、帯電防止性を有しているため、電子部品(例えば、携帯電話の筐体)や光学部品の搬送用トレーや搬送用容器に適している。さらに、シート面は一定の滑りにくさを保持しているため、斜めにしたシート上に物品を静置でき、外観にも優れるため、展示台(展示シート)としても好適に利用できる。

Claims (10)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A1)及びポリエチレン系樹脂(A2)を含む基材層(A)の少なくとも一方の面に、JIS K6253に準拠したデュロ硬度Aが60〜70の動的架橋型ポリオレフィン系エラストマー(B1)及び高分子型帯電防止剤(B2)を含む表層(B)が形成された積層シートであって、表層(B)の静摩擦係数が、0.55〜0.69であり、表層(B)が、ポリオレフィン系エラストマー(B1)を60重量%以上含み、かつ前記高分子型帯電防止剤(B2)が、オレフィン系ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体で構成されている積層シート。
  2. 高分子型帯電防止剤(B2)の割合が、表層(B)の樹脂成分100重量部に対して、5〜30重量部である請求項1記載の積層シート。
  3. ポリオレフィン系エラストマー(B1)が、動的部分架橋型ポリオレフィン系エラストマーである請求項1又は2記載の積層シート。
  4. ポリオレフィン系エラストマー(B1)が、ポリオレフィン系樹脂を含むハードセグメントと、エチレン−プロピレンゴム又はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むソフトセグメントとで構成された請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 高分子型帯電防止剤(B2)中のナトリウムイオン及び硫酸イオンの含有量が、それぞれ1〜150ppmである請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
  6. ポリエチレン系樹脂(A2)が、少なくとも低密度ポリエチレンを含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
  7. ポリプロピレン系樹脂(A1)のJIS K7210に準拠したメルトフローレートが、0.15〜5g/10分である請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
  8. ポリプロピレン系樹脂(A1)とポリエチレン系樹脂(A2)との割合(重量比)が、前者/後者=55/45〜90/10である請求項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
  9. 基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている請求項1〜のいずれかに記載の積層シート。
  10. 総厚みが、0.3〜1.5mmであって、基材層(A)の厚みと表層(B)の厚み(基材層(A)の両面に表層(B)が形成されている場合、各表層の厚みの和)との割合が、前者/後者=4/1〜20/1である請求項1〜のいずれかに記載の積層シート。
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