JP5384020B2 - ホスフィン触媒を用いたウレットジオン基含有ポリイソシアネートの製造 - Google Patents

ホスフィン触媒を用いたウレットジオン基含有ポリイソシアネートの製造 Download PDF

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Description

本発明は、イソシアネート二量化(ウレットジオン形成)用触媒としての特定のホスフィンの使用、ウレットジオン基含有量の高いポリイソシアネートの製造方法に関する。
ウレットジオン基を有し、必要に応じて分枝した、線状−脂肪族ジイソシアネートに基づく脂肪族イソシアネートは、特に低い粘度を有する。脂環式ジイソシアネートに基づく生成物は、一般に高粘性ないし固体に及ぶ物質であって、塗料系において、放出が無い内部ブロック化された架橋剤として使用できる。
イソシアネートオリゴマー化の概説は、J.Prakt.Chem./Chem.Ztg.1994年、336巻、185〜200頁に提供されている。
トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン(DE−A3030513)、適切な場合には共触媒(DE−A3437635)と組み合わせて、ウレットジオン基形成のための良好な選択性(ウレットジオン選択性)を示す。しかしながら、その酸化リン、例えばヘキサメチルホスホルアミドの高い発癌可能性の深刻な問題が、その工業的使用を妨げている。
DE−A3739549は、4−ジアルキルアミノピリジン、例えば4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を使用する触媒的NCO二量化を開示するが、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のような特定の脂環式イソシアネートの場合にのみウレットジオン形成が選択的に進行する。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のような線状−脂肪族イソシアネートおよびトリメチルヘキサンジイソシアネート(TMDI)やメチルペンタンジイソシアネート(MPDI)のような分枝した線状−脂肪族イソシアネートは、DMAPおよび関連化合物を使用すると、主に濃く着色した不均一反応生成物が生じる。
DE−A1670720は、ウレットジオン基含有脂肪族ポリイソシアネートの製造を開示しており、第3級ホスフィンが少なくとも1個の脂肪族置換基ならびに三フッ化ホウ素を有し、その付加物を触媒として用いられる。生成物中における高含有率のウレットジオン基は低転化率かつ50〜80℃の反応温度でのみ得ることができ、イソシアネート三量体(イソシアヌレートおよびイミノオキサジアジンジオン)および、とりわけ高温では、カルボジイミドまたはウレトンイミンのような他の副生成物が同時に生じることが指摘される。ウレトンイミンは、貯蔵中にモノマーイソシアネートを遊離させる傾向にあるため、特有の問題である。
DE−A10254878は、NCO二量化用の触媒として、少なくとも1個の脂環式のP−結合基を有するホスフィンの使用を記載する。この触媒は、先行技術による他のトリアルキルホスフィンより著しく高いウレットジオン選択性を示す。このホスフィンの特別なケース、則ち二環式基を有する代表例についての同じ用途での使用は、DE10354544に記載されている。
DE−A3030513 DE−A3437635 DE−A3739549 DE−A1670720 DE−A10254878 DE10354544 J.Prakt.Chem./Chem.Ztg.1994年、336巻、185〜200頁
驚くべきことに、今般、リンに直接結合した少なくとも1つの第3級アルキル基を有するホスフィンが、選択的なウレットジオン形成(イソシアネート二量化)のための触媒として同様に極めて適切であることが判明した。
本発明は、リンに直接結合した1個または2個の第3級アルキル基を有するホスフィンのウレットジオン形成(イソシアネート二量化)における使用を提供する。
明細書および特許請求の範囲で、並びに実施例で用い、および特に明記しない限り、全ての数字は「約」の用語が前書きされたように、例えその用語が明示されていない場合であっても、読むことができる。また、ここに示されたあらゆる数値範囲は、そこに包含された全ての小範囲を含むように意図される。
「リンに直接結合した第3級アルキル基」とは、リンに直接結合した炭素原子は、第3級炭素原子、即ち、C−P結合のほかに3個の更なる炭素原子への単結合を有する炭素原子であることを意味する。
イソシアネート二量化のための好適なホスフィンは、式I:
Figure 0005384020
(式I)
〔式中、
は、必要に応じて単一または多数のC〜C12−アルキル−或いはC〜C12−アルコキシ−置換された、第3級アルキル基であり、ここで、第3級炭素原子はリン原子に共有(単)結合によって結合しており、
は、第1級および第2級の、単一または多数のC〜C12−アルキル−或いはC〜C12−アルコキシ−置換された、必要に応じて分枝した、必要に応じて脂環式の、C〜C20基からなる群から選択される基であり、但し、P原子に結合する炭素原子は少なくとも1個の水素原子を有し、および
は、RまたはRに相当する。〕
に相当する。
式Iの好適な化合物は、Rがtert−ブチル(2−メチルプロプ−2−イル)、tert−アミル(2−メチルブチ−2−イル)またはアダマンチル(トリシクロ[3.3.1.1]デカ−1−イル)である化合物である。
本発明に従って使用するホスフィンの例としては、次のものが挙げられる:tert−ブチルジメチルホスフィン、tert−ブチルジエチルホスフィン、tert−ブチルジ−n−プロピルホスフィン、tert−ブチルジイソプロピルホスフィン、tert−ブチルジブチルホスフィン(ここで「ブチル」は異性体であるn−ブチル、イソブチル、2−ブチルおよびシクロ−ブチルを表し得るがtert−ブチルを表さない)、tert−ブチルジヘキシルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ヘキシル基)、tert−ブチルジオクチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体オクチル基)、ジ−tert−ブチルメチルホスフィン、ジ−tert−ブチルエチルホスフィン、ジ−tert−ブチル−n−プロピルホスフィン、ジ−tert−ブチルイソプロピルホスフィン、ジ−tert−ブチル−ブチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ブチル基、上記参照)、ジ−tert−ブチルヘキシルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ヘキシル基)、ジ−tert−ブチルオクチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体オクチル基)、tert−アミルジメチルホスフィン、tert−アミル−ジエチルホスフィン、tert−アミルジ−n−プロピルホスフィン、tert−アミルジイソプロピルホスフィン、tert−アミル−ジブチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ブチル基)、tert−アミルジヘキシルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ヘキシル基)、tert−アミルジオクチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体オクチル基)、ジ−tert−アミルメチルホスフィン、ジ−tert−アミル−エチルホスフィン、ジ−tert−アミル−n−プロピルホスフィン、ジ−tert−アミルイソプロピルホスフィン、ジ−tert−アミル−ブチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ブチル基)、ジ−tert−アミルヘキシルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ヘキシル基)、ジ−tert−アミルオクチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体オクチル基)、アダマンチルジメチルホスフィン、アダマンチルジエチルホスフィン、アダマンチルジ−n−プロピルホスフィン、アダマンチルジイソプロピルホスフィン、アダマンチルジブチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ブチル基、上記参照)、アダマンチルジヘキシルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ヘキシル基)、アダマンチルジオクチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体オクチル基)、ジアダマンチルメチルホスフィン、ジアダマンチルエチルホスフィン、ジアダマンチル−n−プロピルホスフィン、ジアダマンチルイソプロピルホスフィン、ジアダマンチルブチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ブチル基)、ジアダマンチルヘキシルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体ヘキシル基)およびジアダマンチルオクチルホスフィン(Pに直接結合する第3級炭素原子を有さない全ての異性体オクチル基)。
これらは単独で、お互いの任意の混合物またはウレットジオン形成のための他の第1級、第2級および/または第3級アルキルホスフィン、アラルキルホスフィンおよび/またはアリールホスフィンとの混合物中で使用することができる。
本発明は更に、イソシアネートを二量化するための方法であって、
a)少なくとも1つの有機イソシアネート、
b)リンに直接結合する1個または2個の第3級アルキル基を有する少なくとも1つのホスフィンを含有する触媒、
c)必要に応じ、溶媒、および
d)必要に応じ、添加剤
を反応させることを含む方法を提供する。
本発明の方法における触媒の使用量は、使用するイソシアネートと所望の反応速度に第一におよび最大に依存し、使用するイソシアネートと触媒のモル量の合計を基準に0.01〜10モル%の範囲内である。0.05〜5モル%の触媒を使用することが好ましい。
本発明の方法において、不希釈形態で或いは溶媒中の溶液として触媒b)を使用することができる。可能な溶媒は、ホスフィンと反応しない全ての化合物、例えば脂肪族または芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、エステルまたはエーテルである。本発明の方法において、ホスフィンを不希釈形態で使用することが好ましい。
本発明に従ってa)において使用するイソシアネートとしては、原則として、ホスゲン処理により或いはホスゲン不含有工程により調製された全ての既知の有機イソシアネートを、単独または互いの任意の混合物で使用することが可能である。
脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジイソシアネート、若しくはNCO官能価が2以上のポリイソシアネートを使用することが好ましい。
必要に応じて分枝した、必要に応じて環状の基を含有し、第1級炭素原子に結合するイソシアネート基を有する脂肪族ジイソシアネートを使用することが、特に好適である。その具体例は、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネートおよびドデカンジイソシアネートであって、上記化合物の任意の異性体を使用することが可能である。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、トリメチルヘキサンジイソシアネート(TMDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)およびノルボルナンジイソシアネート(NBDI)を、単独で或いは互いの任意の混合物で使用することが、非常に特に好ましい。
本発明の方法において、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート、XDI)およびビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン(テトラメチルキシリレンジイソシアネート、TMXDI)を使用することも可能である。
NCO基の転化率が、好ましくは5〜90モル%、特に10〜60モル%、非常に特に好ましくは10〜50モル%となるように、本発明の方法を実施する。
本発明の方法は、通常、0℃〜150℃の温度範囲で実施する。
上記範囲内にNCO基の転化率を達成するためには、所望の転化度で反応を停止する。
所望の転化度に到達後に反応を停止するためには、原則として、あらゆる既述の触媒毒(DE−A1670667、1670720、1934763、1954093、3437635、US4614785)、例えばアルキル化剤(例えばジメチルスルフェート、メチルトルエンスルフォネート)、有機または無機過酸化物、酸クロリド、ならびに適切な場合には温度を上昇させて(変形A、実施例1〜6も参照)で触媒と反応した硫黄を使用することが可能である。
変形Aによる反応混合物の不活性化の後、未反応モノマーおよび/または不活性化した触媒を分離除去することができる。
触媒の化学的不活性化なしに該方法を停止することもできる。この目的のためには、副生成物の生成(変形B)を伴い得る更なる反応を妨げるために、所望の転化率に到達した直後に、活性な触媒を反応混合物から分離除去する。
触媒の除去と同時または除去後に、変形Bに従って処理した反応混合物から未反応の残存モノマーを分離除去することができる。
本発明の方法において、未反応モノマー、触媒および/または他の望ましくない成分を反応混合物から分離するために、全ての既知の分離技術、例えば蒸留、抽出または結晶化/濾過を使用することが可能である。蒸留、適切な場合には薄膜蒸留の特定形態が好適である。当然のことながら、上記技術のつまたはそれ以上を組み合わせて用いることも可能である。
変形Bに従い反応を停止するためには、蒸留によって触媒を除去することが好適であり、適切な場合には未反応モノマーが同時に除去される。
変形AまたはBに従い反応を停止した後に得られる反応混合物の後処理において、存在する残存モノマーを蒸留によって除去することが好ましい。
本発明に従って製造されるポリイソシアネートが遊離の未反応モノマーを依然として含有する場合、これは、例えば、例えば粉末塗料用のNCOが低く或いはNCOを有さないNCO−ブロック化生成物またはポリウレットジオン硬化剤を製造するための更なる加工にとっての関心事であるが、反応を停止した後(変形AおよびB)にモノマーの除去を省略することができる。
本発明の方法を実施する際、該方法を全体または部分的に不連続で実施するか若しくは連続的に実施するかは、重要でない。
更に、本発明の方法における任意の所望の時点で、ポリイソシアネート化学において慣用される添加剤と安定剤を添加することができる。その例としては、抗酸化剤、例えば立体障害フェノール(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、光安定剤、例えばHALSアミン、トリアゾール等、弱酸またはNCO−OH反応用触媒、例えばジブチル錫ジラウレート(DBTL)が挙げられる。
更に、再解離安定性を増加するために、および例えば生成物の貯蔵中に、副生成物の形成、変色または遊離NCO基相互の更なる反応の傾向を抑制するために、変形Aにおいて使用する少量の触媒毒を変形Bに従い後処理された生成物へ添加することは有用で有り得る。
必要に応じて分枝した、線状−脂肪族ジイソシアネートまたはポリイソシアネートをベースとし、シクロアルキル置換基を有さない、本発明の方法によって製造される生成物は、色調が明るく、1000mPas/23℃より低い粘度を有する。脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートまたはポリイソシアネートを使用する場合、高粘性ないし固体の樹脂が得られる(粘度は10000mPas/23℃より大)。
低モノマー形態、即ち未反応モノマーを分離除去した後では、本発明による生成物は、30重量%未満、好ましくは25重量%未満のNCO含量を有する。
本発明の方法によって製造されるポリイソシアネートは、例えば、成形体(適切な場合には発泡)、ペイントおよびワニス、被覆組成物、接着剤または添加剤を製造するための出発原料として機能し、ウレットジオンに転換されずに存在する遊離NCO基を適切な場合にはブロック化することもできる。
ウレットジオンに転換されなかった遊離NCO基をブロックするためには、当業者に既知のあらゆる方法を使用することが可能である。適当なブロック化剤は、特に、フェノール類(例えばフェノール、ノニルフェノール、クレゾール)、オキシム類(例えばブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム)、ラクタム類(例えばε−カプロラクタム)、第2級アミン類(例えばジイソプロピルアミン)、ピラゾール類(例えばジメチルピラゾール、イミダゾール、トリアゾール)またはマロン酸および酢酸のエステル類である。
本発明の方法によって製造されたウレットジオン基を有する大いに副生成物不含有のポリイソシアネートは、特に、一成分および二成分のポリウレタン被覆組成物を、適切な場合には先行技術における他のジイソシアネートまたはポリイソシアネート、例えばビウレット基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基およびイミノオキサジアジンジオン基を含有するジイソシアネートまたはポリイソシアネートとの混合物として製造するために使用することができる。
必要に応じて分枝した、線状−脂肪族イソシアネートに基づいて本発明に従い製造したポリイソシアネートを、高粘性のポリイソシアネート樹脂の粘度を減少させるための反応性希釈剤として使用することは、同様に特に好適である。
本発明に従って製造されたポリイソシアネートをポリウレタンに転換するためには、少なくとも2つのイソシアネート−反応性官能基を有する全成分を、単独で或いは任意の互いの混合物(イソシアネート反応性結合剤)で使用することが可能である。
ポリウレタン化学においてそれ自体既知のイソシアネート−反応性結合剤、例えばポリヒドロキシ化合物またはポリアミンの一以上を使用することが好ましい。ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリレートポリオールおよび/またはポリカルボン酸ポリオールを、適切な場合には低分子量の多価アルコールを添加して、使用することが特に好ましい。
ウレットジオン基に転換されず、適切な場合には、イソシアネート−反応性結合剤のイソシアネート−反応性官能基、例えばOH、NHまたはCOOHにブロックされることもあり得るイソシアネート基の当量比は、0.8〜3、好ましくは0.8〜2である。
適切な場合には高温でのおよび/または触媒の添加による、ウレットジオン環の開裂によって、過剰のイソシアネート−反応性官能基と反応できる更なるNCO基の放出(setting-free)が生じるため、過剰のイソシアネート−反応性結合剤を使用することが可能である。これは形成されるポリマーの網目密度を増加させ、その特性は有利に影響を受ける。
本発明に従って製造されたポリイソシアネートとイソシアネート−反応性結合剤との架橋反応を促進するためには、ポリウレタン化学から既知のあらゆる触媒を使用することが可能である。例えば、ジブチル錫(IV)ジラウレート、錫(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)、ビスマス(III)トリス(2−エチルヘキサノエート)、亜鉛(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)または亜鉛クロリドなどの金属塩、並びに1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリエチルアミンまたはベンジルジメチルアミンなどの第3級アミンを使用することが可能である。
配合を実施する際には、本発明により製造した必要に応じてブロック化したポリイソシアネート、イソシアネート−反応性結合剤、触媒および、適切な場合には、顔料、充填剤、添加剤、レベリング剤、消泡剤および/または艶消剤などの通例の添加物を互いに混合し、通例の混合装置、例えばサンドミル中で、適切な場合には溶媒を用いて均質化する。
適当な溶媒は、それ自体既知のあらゆる通例の表面コーティング溶媒であり、例えばエチルおよびブチルアセテート、エチレンまたはプロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノプロピルエーテルアセテート、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ、N−メチルピロリドン等である。
溶液中で或いは溶融物から、若しくは、適切な場合には固体形態において(粉末塗料)、塗装、ロール塗り、キャスティング、噴霧、浸漬、流動床焼結などの通例の方法によって、または静電噴霧法によって、被覆組成物を被覆すべき物品に塗布することができる。
適当な基材は、あらゆる既知の材料、特に金属、木材、プラスチックおよびセラミックである。
本発明の好ましい態様は、以下を包含する。
[1]イソシアネートを二量化するための方法であって、
a)少なくとも1つの有機イソシアネート、
b)リンに直接結合する1個または2個の第3級アルキル基を有する少なくとも1つのホスフィンを含有する触媒、
c)必要に応じ、溶媒、および
d)必要に応じ、添加剤
を反応させることを含む、方法。
[2]ホスフィンは、式I:
[化1]
Figure 0005384020
(式I)
〔式中、
は、必要に応じて単一または多数のC 〜C 12 −アルキル−或いはC 〜C 12 −アルコキシ−置換された、第3級アルキル基であり、ここで、第3級炭素原子はリン原子に共有(単)結合によって結合しており、
は、第1級および第2級の、単一または多数のC 〜C 12 −アルキル−或いはC 〜C 12 −アルコキシ−置換された、必要に応じて分枝した、必要に応じて脂環式の、C 〜C 20 基からなる群から選択される基であり、但し、P原子に結合する炭素原子は少なくとも1個の水素原子を有し、および
は、R またはR に相当する。〕
で示される、上記[1]に記載の方法。
[3]式IにおけるR は、tert−ブチル、tert−アミルまたはアダマンチルである、上記[2]に記載の方法。
[4]脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジイソシアネートまたはポリイソシアネートであって2以上のNCO官能価を有するものを成分a)に使用する、上記[1]に記載の方法。
[5]二量化を、0〜150℃の温度でNCO基の転化率5〜90モル%まで行い、その後にこれを停止する、上記[1]に記載の方法。
転化率のための百分率の数字は、得られた生成物(ポリイソシアネート樹脂)の量を使用した出発物質(ジイソシアネートモノマーと触媒)の全量で除し100を掛けて計算する。他の全百分率は、特記しない限り、重量%である。
動的粘度は、Haake社(カールスルーエ)製のVT550粘度計を用いて23℃で決定した。本発明に従って製造された記載のポリイソシアネートの流動挙動ならびに比較用生成物の流動挙動は、異なる剪断速度で測定することによる理想的ニュートン液体の流動挙動に相当することが確実であった。従って、剪断速度の表示は省略できる。
報告された「モル%」と「様々な構造タイプの相互のモル比」は、NMR−分光測定に基づく。これらは特記しない限り、常に変性されるべきイソシアネートのこれまで遊離のNCO基から変性反応(オリゴマー化)によって形成された構造タイプの合計に基づく。
13C−NMR測定は、Bruker社(カールスルーエ、ドイツ)製のDPX400、AVC400およびDRX700測定器上で、乾燥CDCl中の約50%強度試料またはD−DMSO中の約80%強度試料(13C−NMR:100または176MHz、弛緩遅延:4秒、少なくとも2000スキャン)を用いて実施した。ppmスケール用の標準として、対応する溶媒中の少量のテトラメチルシラン(δ=0ppm)または溶媒のみ(δ=77.0ppm(CDCl)またはδ=43.5ppm(D−DMSO))を選択した。
特記しない限り、新たに脱気したHDIを出発物質として使用して反応を行った。用語「新たに脱気した」とは、減圧下(<1mbar)で少なくとも30分間撹拌し、次いで触媒反応の直前に窒素で覆うことによって、使用したHDIから溶解ガスを取り除くことを意味する。
全ての反応は、乾燥窒素の雰囲気下で行った。
対応するクロロホスフィンとアルキル化剤、例えばアルキルリチウムまたはアルキルマグネシウムハロゲン化物(グリニャール化合物)から、文献(K.Sasse in Methoden der organ. Chemie (Houben−Weyl) 第4版、XII/1巻、Georg Thieme Verlag、シュトゥットガルト、1963年)から既知の方法によって、実施例として下記したようにしてtert−ブチル−置換されたホスフィンを調製した。
触媒の調製(本発明によらない)
tert.−ブチル−ジ−n−ブチルホスフィン(BuPBu
tert−ブチルジクロロホスフィン(Aldrich社製、82018タウフキルヒェン、ドイツ)10.3g(65mmol)を窒素下に100mlの丸底フラスコ中へ室温で導入し、ジエチルエーテル20mlに溶解し、撹拌しながら−20℃に冷却した。次いで、n−ヘキサン(Aldrich社製)中のn−ブチルリチウムの2.5M溶液55mlを滴下し、熱がかなり発生してすぐに白色固体が沈殿した。添加が完結後、混合物を室温まで徐々に暖め、次いで1時間還流し、室温へ冷却し、10%強度の酸素を含有しない10mlの水性HClと混合すると、2つの透明で無色の相が生成した。相分離後、有機相から大気圧下での蒸留によって溶媒の大部分を取り除き、次いで濾過し、濾液を減圧下で蒸留した。7.4g(理論値の56%)のBuPBu、b.p.:75℃(0.2mbar)が得られた。
ジ−1−アダマンチル−n−ブチルホスフィンはStrem社、77672ケール、ドイツから入手した;1−アダマンチルジ−n−ブチルホスフィンはアダマンチルマグネシウム臭化物(J.Org.Chem.、第47巻、1982年、第4120〜4128頁)およびクロロジ−n−ブチルホスフィン(Aldrich社製、82018タウフキルヒェン、ドイツ)から調製した。
実施例1〜5、本発明による
10gの新たに脱気したHDIを、各場合につき、表1〜5に示した量の記載した触媒の存在下、記載した温度で、隔壁によって閉じられたガラス容器内で電磁撹拌機バーによって窒素下で撹拌し、反応混合物の屈折率(20℃、ナトリウムスペクトルのD線の光の振動数、n 20)を測定することによって、反応の進行を等間隔にチェックした。触媒とHDIの均一化の直後に測定された屈折率は、反応開始点(転化率=0;n 20 start)のための標準として役立つ。
パラメーターである反応混合物の転化率(収率)およびn 20は、反応混合物中のウレットジオン−ポリイソシアネート樹脂の約60%までの収率範囲において、下記式:
転化率[%]=19.85*n 20−28.74
(DE−A10354544を参照)、
に従う事実上の直線関係を有する。
20は、下記式:
20=測定値−(n 20 start−n 20 HDI
に従う「HDIおよびHDIオリゴマー含有量」のための上記標準値を用いて得られた屈折率の値である。
表1〜5に与えられた転化率の値は、測定された屈折率から上記関係に基づいて決定した。
選択性を決定するため、更なる反応を抑制するために、転化率試料をそのホスフィン含有量に相当する量の元素硫黄と混合し、NMR分光法によって試験した。選択性のより良い概観を可能とするため、パラメーターであるU/Tを、ウレットジオン構造と二つの三量体構造(イソシアヌレートとイミノオキサジアジンジオン)の合計とのモル比と定義した。
表1:触媒: BuP Bu (1.5モル%、HDIに基づく)
反応温度:30℃
Figure 0005384020
表2:触媒: BuP Bu (0.6モル%、HDIに基づく)
反応温度:80℃
Figure 0005384020
表3:触媒: Bu Bu(3.7モル%、HDIに基づく)
反応温度:80℃
Figure 0005384020
表4:触媒:1−アダマンチルジ−n−ブチルホスフィン(1.4モル%、HDIに基づく)
反応温度:80℃
Figure 0005384020
表5:触媒:ジ−1−アダマンチル−n−ブチルホスフィン(2.3モル%、HDIに基づく)
反応温度:80℃
Figure 0005384020
実施例6および7(比較実施例)
10gの新たに脱気したHDIを、各場合につき、表6および7に示した量の記載した触媒の存在下、記載した温度で、隔壁によって閉じられたガラス容器内で電磁撹拌機バーによって窒素下で撹拌し、前記のようにして、反応の進行を等間隔にチェックした。表6および7における値からわかるように、リン(第2級炭素原子がPに結合)上にモノシクロアルキルまたはビシクロアルキル置換基を有するその最も近い対応物に対して、所定のHDI転化率でのウレットジオン選択性の点で、本発明による触媒は著しく有利である。
表6:触媒:シクロヘキシル−P−Hex(0.5モル%、HDIに基づく)
反応温度:80℃、DE10254878、実施例1を参照
Figure 0005384020
表7:触媒:2−ノルボルニル−P−Hex(0.3モル%、HDIに基づく)
反応温度:80℃、DE10354544、実施例3を参照
Figure 0005384020
以上のように本発明を例示の目的で詳細に説明したが、かかる詳細は単なる例示目的であって、クレームに限定し得たこと以外は、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、当業者によって変形をなし得ると理解されるべきである。

Claims (4)

  1. イソシアネートを二量化するための方法であって、
    a)少なくとも1つの有機イソシアネート、
    b)リンに直接結合する1個または2個の第3級アルキル基を有する少なくとも1つのホスフィンを含有する触媒、
    c)必要に応じ、溶媒、および
    d)必要に応じ、添加剤
    を反応させることを含む、方法。
  2. ホスフィンは、式I:
    Figure 0005384020
    (式I)
    〔式中、
    は、必要に応じて単一または多数のC〜C12−アルキル−或いはC〜C12−アルコキシ−置換された、第3級アルキル基であり、ここで、第3級炭素原子はリン原子に共有(単)結合によって結合しており、
    は、第1級および第2級の、単一または多数のC〜C12−アルキル−或いはC〜C12−アルコキシ−置換された、必要に応じて分枝した、必要に応じて脂環式の、C〜C20基からなる群から選択される基であり、但し、P原子に結合する炭素原子は少なくとも1個の水素原子を有し、および
    は、RまたはRに相当する。〕
    で示される、請求項1に記載の方法。
  3. 式IにおけるRは、tert−ブチル、tert−アミルまたはアダマンチルである、請求項2に記載の方法。
  4. 二量化を、0〜150℃の温度でNCO基の転化率5〜90モル%まで行い、その後にこれを停止する、請求項1に記載の方法。
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