JP5381922B2 - 加工装置による被加工物の加工方法 - Google Patents
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Description
前記ボーリング加工は、主にマシニングセンターなどの加工装置によって行われる(例えば、「特許文献1」を参照。)。
即ち、前記加工装置は、被加工物の筒状部の内部に挿入可能なボーリングバー(ホルダー部)や、該ボーリングバーに固設され、前記筒状部の内周面を加工する加工刃(チップ)や、前記ボーリングバーを固定保持するとともに、軸心を中心にして回転駆動される主軸などにより構成される。
そして、主軸により回転駆動されるボーリングバーが、被加工物の筒状部の内部に挿入されることで、前記筒状部の内周面には、加工刃によるボーリング加工が施されるのである。
前記段取り作業は、被加工物の「設定内径寸法」(予め設定された、加工目標となるボーリング加工後の前記筒状部の内径寸法。以下同じ。)に基づいて、ホルダー部に固設されるチップの刃先の位置を調整するための作業である。
即ち、前記段取り作業は、被加工物の「設定内径寸法」に基づいて、チップの刃先の位置をツールプリセッターによって測定しつつ調整し、該チップをホルダー部に取付けるセッティング工程と、該セッティング工程の終了後、前記ホルダー部を加工装置の主軸に取付ける取付工程と、該取付工程の終了後、被加工物の筒状部の内周面に対して、実際にボーリング加工を行う加工工程と、該加工工程の終了後、既知の温度補正機能付き電気マイクロメータからなる測定ゲージによって、形成された前記筒状部の内径寸法を測定し、前記内径寸法が被加工物の「設定内径寸法」の寸法公差の範囲内に収まることを確認する測定工程とにより構成される。
そして、このような段取り作業を行うことで、チップの刃先の位置は、被加工物の「設定内径寸法」に基づいて正確に固定保持され、被加工物の筒状部の内周面には高精度なボーリング加工が行われるようになっている。
即ち、前述のセッティング工程において、ツールプリセッターによってチップの刃先の位置を測定する際、周囲の温度変化(気温の変化)が生じれば、熱膨張の影響によってホルダー部が伸縮するため、前記刃先の位置を示す測定値はバラツキを生じる。
その結果、セッティング工程を行う際の周囲の温度(気温)が異なれば、チップの刃先の位置にバラツキが生じることとなり、チップの刃先の位置を「設定内径寸法」に基づいて正確に固定保持することが困難であった。
つまり、取付工程や加工工程における周囲の温度(気温)はクーラント液の温度に比べて高い(あるいは、低い)ため、ホルダー部の温度も被加工物の温度に比べて高い(あるいは、低い)状態となっている。
よって、これらホルダー部と被加工物との間の温度差が大きくなり、熱膨張の影響による互いの伸縮量の差も大きくなる。
従って、チップの刃先の被加工物に対する相対的な位置にズレを生じることとなり、チップの刃先の位置が「設定内径寸法」に基づいた適正な位置からずれる場合があった。
ここで、加工後の被加工物の温度は、加工の際に被加工物に付着したクーラント液の影響などにより急激に変化(低下)するため、例えば、被加工物の温度を測定した後に筒状部の内径寸法を測定する場合、温度測定と内径寸法測定との間に時間が空くと、該被加工物の温度変化が大きくなり、熱膨張の影響による伸縮量も大きくなる。
その結果、測定ゲージによる補正の誤差も大きくなり、正確な被加工物の筒状部の内径寸法を把握することができず、チップの刃先の位置が「設定内径寸法」に基づいた適正な位置からずれる場合があった。
(数式1)
φX=φ{Dh−(Dh/100)×αh×(Tc−Ts)+(Dh/100)×αw×(Tc−Ts)}
(但し、φDh[mm]は前記被加工物の筒状部における狙いの内径寸法、αh[mm/(100mm・℃)]は前記ホルダー部の線膨張係数、αw[mm/(100mm・℃)]は前記被加工物の線膨張係数、Tc[℃]は前記クーラント液の設定温度、Ts[℃]は前記室内空間の設定気温である。)
即ち、本発明における加工装置による被加工物の加工方法によれば、被加工物の筒状部の内周面を加工する加工装置による被加工物の加工方法であって、様々な温度変化による影響を受けることなく、チップの刃先を予め設定された位置に正確に固定保持する段取り作業を実施することができる。
先ず、本発明の「加工装置による被加工物の加工方法」を具現化する加工装置1の全体的な構成について、図1を用いて説明する。
なお、便宜上、図1における矢印Aの方向は前方を示すものとして、また図面上の上下方向は加工装置1の上下方向を示すものとして各々規定し、以下の説明を行う。
具体的には、機械室2の室内には、主軸4、刃具3、送り台5が後方から前方(図1における矢印Aの方向。以下同じ。)に向かって各々順に配設されている。また、前記刃具3の周囲には、複数のクーラントノズル6・6・・・(図1においては、断面図であるため二個のみ記載)が、正面視において放射状に配設されており、前記クーラントノズル6・6・・・から刃具3による加工部位に対してクーラント液を供給可能に構成している。
刃具3は、被加工物50の筒状部50aの内部(以下、「内周部50c」と記す)に直接挿入され、内周面50bにボーリング加工を行うための部位である。
刃具3は、市販の切削刃であるチップ31や、該チップ31を保持するホルダー部32や、該ホルダー部32に連設され主軸4との接続部となる着脱手段33などにより構成される。
なお、本実施例においては、ホルダー部32の一箇所にのみ取付け手段34を設けているが、複数箇所に取付け手段34・34・・・を設けることも可能である。
主軸4は刃具3を保持するとともに、該刃具3を回転駆動させるための部位であり、機械室2の室内後部において、軸心を前後方向に向けて配設されている。
つまり、主軸4が回転駆動されることで、刃具3のチップ31が主軸4を中心として回転駆動されることとなる。
送り台5は被加工物50の加工姿勢を保持するとともに、加工装置1によってボーリング加工を行う際に、被加工物50を刃具3に対して相対的に前後方向(近接離間方向)へ移動させるための部位である。
即ち、被加工物50は、その一面を前記平面部5aに当接させるとともに、筒状部50aの軸心を前後方向に向けた姿勢で送り台5に固定保持されている。
クーラントノズル6は、加工装置1によって被加工物50のボーリング加工を行う際に、被加工物50や刃具3に対して、クーラント液を供給するための部位である。
ここで、クーラント液とは、被加工物50の被加工面(即ち、筒状部50aの内周面50b)や刃具3に対して、加工時に発生する摩擦熱を取り除き、該摩擦熱によって上昇した温度を、常温付近にまで冷却するための液体を意味する。
なお、本実施例における被加工物50は、加工装置1に投入される以前に、既に筒状部50aの内周面50bが形成されており、加工装置1によるボーリング加工は、内周面50bの表面粗さを整える仕上げ加工を行うことを、主な目的としている。
即ち、被加工物50に対して、内径部を形成するボーリング加工を行う装置であれば、仕上げ加工を目的とするものに限定されず、単に荒削りを目的とするものであってもよい。
次に、本発明の「加工装置による被加工物の加工方法」を具現化する、加工装置1による被加工物50の加工方法について、図2乃至図8を用いて説明する。
なお、便宜上、図3、図5における矢印Aの方向は前方を示すものとして、また図3上の上下方向はツールプリセッターの上下方向を、図5の上下方向は加工装置1の上下方向を、それぞれ示すものとして規定し、以下の説明を行う。
セッティング工程(ステップS101)は、ホルダー部32にチップ31を取付けるとともに(図1を参照)、該チップ31の刃先の位置が予め設定された所定の位置となるように、該チップ31の取付け姿勢を調整するための工程である。
ここで、ツールプリセッター61は、刃具3におけるチップ31の刃先の位置を測定するための刃具径測定装置であり、マイクロメートル(μm)単位での測定を可能とする装置である。
また、移動フレーム63の上部には、前方に向かって延出する支持部材65が固設され、該支持部材65の延出端部には、ダイヤルゲージなどからなる既知の測定手段66が、測定子66aを前方に向けて固定保持される。
また、回転軸部64の上端部には、穴部64aが、該回転軸部64と同軸上に形成されるとともに、該回転軸部64の下端部には、図示せぬ駆動部が備えられ、該駆動部によって、回転軸部64は、軸心を中心にして回転される。
前記記憶部には、これらの移動フレーム63や回転軸部64などの動作に関する実行プログラムなどが格納されるとともに、前記入力手段を介して入力される電気信号が、前記演算処理部の命令によって一時的に保存される。
そして、ツールプリセッター61によって測定された測定値は、基体62に設けられるインジケーター62aによって表示される。
即ち、マスターゲージ67は、断面の半径寸法がマイクロメートル(μm)単位の寸法公差の範囲内に収まるように正確に形成された円柱状の本体部67aと、該本体部67aの一方の端部において、該本体部67aと同軸上、且つ軸心方向に延出して設けられる支持部67bとを有して形成される。
なお、前記支持部67bは、刃具3の着脱手段33と同形状に形成される。
即ち、測定手段66であるダイヤルゲージは、予め、プラス側の測定値を表示すようになっており、移動フレーム63の前方への移動により、測定子66aがマスターゲージ67の外周面に当接される。
その後さらに、移動フレーム63が前方へと移動し、測定子66aが後方へと押し込まれることで、測定手段66による測定値の表示は徐々に減少し、測定手段66の測定値が「0」となった位置にて移動フレーム63は停止するのである。
その後、回転軸部64よりマスターゲージ67は抜脱され、マスター合せ工程(ステップS101a)が終了する。
図3(b)に示すように、刃具径測定工程(ステップS101b)は、測定手段66によってチップ31の刃先の位置を測定しながら、該チップ31の取付け姿勢を、被加工物50の「設定内径寸法」に従って調整するための工程である。
なお、チップ31は、ホルダー部32が回転軸部64の上端部に立設される以前に、該ホルダー部32に予め仮の状態によって取付けておいてもよい。
そして、チップ31が後方に位置する状態になるまでホルダー部32が回転されると、回転軸部64は停止する。
なお、「刃具径寸法」とは、着脱手段33の軸心(即ち、主軸4の軸心)を中心にして刃具3を回転させたときに、チップ31の刃先が描く回転軌跡の直径寸法を意味する。
具体的には、チップ31の刃先を測定手段66の測定子66aに当接させつつ、該測定手段66によって該刃先の位置を測定しながら、前記寸法誤差をなくすようにチップ31の取付け姿勢を微調整する。
例えば、前記寸法誤差が+a[μm]である場合には、測定手段66の測定値が−a[μm]となるように、チップ31の刃先を微調整する。また、前記寸法誤差が−a[μm]である場合には、測定手段66の測定値が+a[μm]となるように、チップ31の刃先を微調整するのである。
その後、移動フレーム63は、再び前方へと移動し、測定手段66の測定子66aが、チップ31の刃先に当接され、該測定手段66の測定値が「0」となった位置にて移動フレーム63は停止する。
一方、該表示と、前記「刃具径寸法」の半径寸法との寸法誤差が依然生じるする場合は、前述した手法により、チップ31の取付け姿勢の微調整が繰り返される。
その後、回転軸部64よりホルダー部32は抜脱され、刃具径測定工程(ステップS101b)は終了する。
即ち、図3(b)において、ホルダー部32の長手方向の寸法(図3(b)における寸法Y)は、周囲の温度(気温)が上昇すると、ホルダー部32の線膨張係数に応じて伸長する一方、周囲の温度(気温)が下降すると、ホルダー部32の線膨張係数に応じて縮小する。
つまり、クーラント液の温度の影響によるホルダー部32の収縮率と、被加工物50の収縮率とは互いに異なることから、ツールプリセッター61を用いて「刃具径寸法」を厳密に調整しても、被加工物50の「加工内径寸法」が、「設定内径寸法」の寸法公差の範囲より外れることになるのである。
取付工程(ステップS102)は、セッティング工程(ステップS101)の終了後、チップ31が取付けられた刃具3の温度を、クーラント液の温度になじませた後に、該刃具3を加工装置1の主軸4(図1を参照)に取付けるための工程である。
即ち、本実施例における段取り作業100(図2を参照)においては、クーラント液52が貯溜されるクーラントタンク53が、加工装置1に対して別途用意されている。
つまり、刃具3を予め定められた一定時間だけクーラント液52に浸漬することで、刃具3の温度は該クーラント液52の温度にまで降温(あるいは、昇温)される。
なお、クーラントタンク53内に貯溜されるクーラント液52の温度は、クーラントノズル6・6・・・から供給されるクーラント液52の温度と同じ温度に調製されている。
刃具取付工程(ステップS102b)は、加工装置1の主軸4に、刃具3を実際に取付けるための工程である。
そして、主軸4の前端部において、刃具3が所定の姿勢にて取付けられることで、刃具取付工程(ステップS102b)は終了する。
加工工程(ステップS103)は、取付工程(ステップS102)の終了後、刃具3のチップ31によって、被加工物50の筒状部50aの内周面50bに、ボーリング加工を行うための工程である。
つまり、加工工程(ステップS103)においては、ボーリング加工が施される箇所、即ち被加工物50の筒状部50aの内周面50bと、刃具3のチップ31と、該チップ31の周囲とに、常にクーラント液54が浴びせられるようになっている。
測定工程(ステップS104)は、加工工程(ステップS103)の終了後、被加工物50の「加工内径寸法」が、「設定内径寸法」の寸法公差の範囲内に収まっているかどうかを検査するための工程である。
測定ゲージ55は、既知の電気マイクロメータであって、主に、被加工物50の「加工内径寸法」を測定する寸法測定器56や、被加工物50の温度を測定する温度測定器57や、これらの両測定器56・57などの動作を制御する制御装置58などにより構成される。
前記記憶部には、これら寸法測定器56や温度測定器57などの動作に関する実行プログラムが格納されるとともに、これら両測定器56・57によって測定された測定値が、前記演算処理部の命令によって一時的に保存される。
一方、前記演算処理部は前記記憶部より必要な情報を読み出して演算処理を実行し、その際の演算結果は再び前記記憶部に保存される。
つまり、寸法測定器56によって測定された測定寸法は、「温度補正プログラム」によって補正され、常に基準温度にて測定された場合の測定寸法に換算されるのである。
そして、前記電気信号を受信した制御装置58が、前記電気信号による情報(測定温度)を前記記憶部に一旦格納することで、温度測定工程(ステップS104a)は終了する。
内径測定工程(ステップS104b)は、被加工物50の「加工内径寸法」を測定する工程であり、被加工物50の筒状部50aの内周部50c内に、寸法測定器56を挿入することで、被加工物50の「加工内径寸法」が測定される。
前記電気信号を受信した制御装置58は、前記記憶部に一旦格納された測定温度を前記演算処理部に読み出すとともに、前記演算処理部によって測定寸法に対する「温度補正プログラム」が実行される。
そして、前記演算処理部による演算結果が、制御装置58に備えられるインジケーター58aに表示されることで、内径測定工程(ステップS104b)は終了するのである。
即ち、図8に示すように、縦軸に被加工物50の「加工内径寸法」(単位[μm])を表し、横軸に加工工程(ステップS103)が終了してからの経過時間(単位[min])を表すこととして、これら経過時間と「加工内径寸法」とに関する両者の関係を曲線によって表すと、前記「加工内径寸法」は、加工工程(ステップS103)の終了直後(図8における経過時間0[min])より急激に縮小し、経過時間が約20[min]に到達した後は、伸長に転じることが分かった。
即ち、加工工程(ステップS103)の終了直後における被加工物50の表面には、未だ蒸発しきれていないクーラント液が多量に付着している。
つまり、温度測定工程(ステップS104a)によって測定された、被加工物50の測定温度に比べて、内径測定工程(ステップS104b)を行う際の被加工物50の温度が大幅に低いと、熱膨張の影響によって、被加工物50は大きく縮小されることとなる。
先ず、測定工程(ステップS104)において、予め許容(設定)されている測定値の要求精度に基づいて、被加工物50の「設定内径寸法」に対する測定誤差(R1)が設定される。
=[(2×c)×(b/100)]−d・・・(数式3)
従って、チップの刃先の位置にバラツキが生じることもなく、チップ31の刃先の位置を「設定内径寸法」に基づいて正確に固定保持することができるのである。
従って、チップ31の刃先に関する、被加工物50との相対的な位置にズレが生じることもなく、チップ31の刃先の位置を「設定内径寸法」に基づいて正確に固定保持することができるのである。
従って、前記補正による誤差は小さくなり、被加工物50の筒状部50aの内径寸法を正確に把握することが可能となり、チップ31の刃先の位置を「設定内径寸法」に基づいて正確に固定保持することができるのである。
(数式1)
φX=φ{Dh−(Dh/100)×αh×(Tc−Ts)+(Dh/100)×αw×(Tc−Ts)}・・・(数式1)
(但し、φDh[mm]は前記被加工物50の筒状部50aにおける狙いの内径寸法(即ち、「刃具径寸法」)、αh[mm/(100mm・℃)]は前記ホルダー部32の線膨張係数、αw[mm/(100mm・℃)]は前記被加工物50の線膨張係数、Tc[℃]は前記クーラント液54(52)の設定温度、Ts[℃]は前記室内空間の設定気温である。)
従って、セッティング工程(ステップS101)を行う際の周囲の温度(気温)が異なり、且つ刃具3のホルダー部32の材質と、被加工物50の材質とがそれぞれ異なる場合においても、チップ31の刃先の位置にバラツキが生じることなく、チップの刃先の位置を「設定内径寸法」に基づいて正確に固定保持することができるのである。
従って、正確な被加工物50の筒状部50aの「加工内径寸法」を把握することが可能となり、チップ31の刃先の位置を「設定内径寸法」に基づいて正確に固定保持することができるのである。
3 刃具
4 主軸
31 チップ
32 ホルダー部
50 被加工物
50a 筒状部
50b 内周面
52 クーラント液
53 クーラントタンク
54 クーラント液
100 段取り作業
S101 セッティング工程
S102 取付工程
S103 加工工程
S104 測定工程
t 制限時間
t2 経過時間
R1 測定誤差
R2 測定誤差
Claims (3)
- 被加工物の筒状部の内周面の加工を、加工部をクーラント液で冷却しながら行う加工装置による被加工物の加工方法であって、
前記加工装置は、
前記筒状部の内部に出入可能な刃具と、
該刃具を保持しつつ、該刃具を、前記筒状部の軸心を中心として回転させる主軸と、
を備え、
前記刃具は、
前記主軸に着脱可能に装着されるホルダー部と、
該ホルダー部の先端縁部において、前記筒状部の内周面に向かって刃先が突出するようにして取付けられるチップと、
を有し、
前記加工装置によって前記内周面を加工する際は、前記チップの取付け姿勢を調整する段取り作業が行われ、
該段取り作業は、
一定温度に保たれた室内空間にて前記チップを前記ホルダー部に取付けるセッティング工程と、
該セッティング工程の終了後、前記ホルダー部の温度を前記クーラント液の温度に一致させ、その後、前記ホルダー部を前記主軸に取付ける取付工程と、
該取付工程の終了後、前記ホルダー部の温度を前記クーラント液の温度に一致させつつ、前記内周面を加工する加工工程と、
該加工工程の終了後、前記被加工物の温度を測定し、その後、予め設定された制限時間内に前記筒状部の内径寸法を測定し、前記測定した内径寸法より前記測定した温度に見合った前記被加工物の熱膨張量分を加減算して前記内径寸法の補正を行う測定工程と、
により構成される、
ことを特徴とする加工装置による被加工物の加工方法。 - 前記被加工物と前記ホルダー部とは、互いに異なる部材により形成され、
前記チップは、
前記ホルダー部の軸心と直交する平面上にて、該軸心と同軸上に配置され、且つ、次の数式1を満たすφX[mm]を直径寸法とする円周上に位置するように、前記ホルダー部に取付けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の加工装置による被加工物の加工方法。
(数式1)
φX=φ{Dh−(Dh/100)×αh×(Tc−Ts)+(Dh/100)×αw×(Tc−Ts)}
(但し、φDh[mm]は前記被加工物の筒状部における狙いの内径寸法、αh[mm/(100mm・℃)]は前記ホルダー部の線膨張係数、αw[mm/(100mm・℃)]は前記被加工物の線膨張係数、Tc[℃]は前記クーラント液の設定温度、Ts[℃]は前記室内空間の設定気温である。) - 前記測定工程においては、
前記筒状部の内径寸法の測定誤差のうち、前記被加工物の熱膨張を原因とする誤差の許容値が予め設定され、
前記制限時間は、
加工工程が終了してからの経過時間と、ボーリング加工によって実際に形成された前記被加工物の筒状部の内径寸法である加工内径寸法との関係より、
前記加工工程終了時点からの内径寸法の変化量が前記許容値と等しくなる時点での、
前記加工工程終了からの経過時間に設定される、
ことを特徴とする、請求項1、または請求項2に記載の加工装置による被加工物の加工方法。
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