JP5381758B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、エンジンの燃費効率の向上を図りながら、エンジンの燃焼や運転安定性が悪化する事態を抑制することができる、エンジンの制御装置を提供することを目的とする。
また、該負荷検出手段によって検出された該エンジン負荷が第1負荷閾値未満である場合、該バルブタイミング制御手段は、該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該ネガティブオーバラップ状態とし、該点火タイミング制御手段は、該ネガティブオーバラップ状態中に該副点火を行ない、該負荷検出手段によって検出された該エンジン負荷が該第1負荷閾値以上である場合、該バルブタイミング制御手段は、該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該オーバラップ状態とし、該点火タイミング制御手段は、該オーバラップ状態中に該副点火を中止することも特徴としている。
また、該回転数検出手段によって検出された該エンジン回転数が第1回転数閾値未満である場合、該バルブタイミング制御手段は、該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該ネガティブオーバラップ状態とし、該点火タイミング制御手段は、該ネガティブオーバラップ状態中に該副点火を行ない、該回転数検出手段によって検出された該エンジン回転数が該第1回転数閾値以上である場合、該バルブタイミング制御手段は、該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該オーバラップ状態とし、該点火タイミング制御手段は、該オーバラップ状態の間に該副点火を中止することも特徴としている。
また、該燃料噴射制御手段は、該エンジンの吸気行程に該燃料噴射を実行することも特徴としている。
このエンジン11は、シリンダヘッド12とシリンダブロック13とを主に有している。
また、このピストン15の上方には、燃焼室16が形成されている。この燃焼室16は、シリンダヘッド12の下面に形成されたペントルーフ17と、シリンダ14と、ピストン15の頂面15aとによって囲まれた空間である。
シリンダヘッド12に形成された吸気ポート19には、インジェクタ21が設けられている。また、この吸気ポート19には、吸気マニホールド22が接続されている。
また、シリンダヘッド12に形成された排気ポート23には、排気マニホールド24が接続されている。
また、シリンダヘッド12のペントルーフ17には、燃焼室16に対して吸気ポート19を開閉する吸気弁27と、燃焼室16に対して排気ポート23を開閉する排気弁28とが設けられており、吸気弁27と排気弁28とは互いに対向して配設されている。
さらに、図1に示すように、このエンジン11には、吸気側VVT機構(吸気弁制御機構)32および排気側VVT機構(排気弁制御機構)33が設けられている。なお、VVTは、Variable Valve Timing(可変バルブタイミング)の略称である。
また、排気側VVT機構33は、クランクシャフト(図示略)と排気カムシャフト31との相対角度を変更することで、排気弁28のバルブ位相を変更するものである。
そして、図1に示すように、この車両10には、ECU50が設けられている。このECU50は、いずれも図示しない、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを有する電子制御ユニットである。
エンジン負荷演算部52は、スロットルバルブ開度センサ26から読み込んだスロットルバルブ開度θTに基づいて、エンジン11の負荷を示すパラメータとしてエンジントルク(エンジン負荷)TQを演算するものである。
点火タイミング制御部54は、エンジン11の運転状態に応じて、点火プラグ18による点火タイミングを制御するものである。なお、点火タイミング制御部54によるエンジン11の運転状態の判定については、統合制御マップ56の説明と併せて後述する。
また、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」であると、VVTコントローラ53により、エンジン11の排気行程と吸気行程との間で吸気弁27および排気弁28がネガティブオーバラップ状態となるが、このネガティブオーバラップ状態中であり、かつ、排気行程TDC近傍で点火プラグ18を点火させる制御即ち、副点火制御を実行するようになっている。
ここで、図2に示す統合制御マップ56について説明する。
また、上記の低高トルク閾値TQth1およびアイドルトルク閾値TQth2は、以下の式(1)が成立するように設定されている。
TQth1>TQth2 ・・・(1)
また、上記の低高回転数閾値NEth1およびアイドル回転数閾値NEth2は、以下の式(2)が成立するように設定されている。
NEth1>NEth2 ・・・(2)
そして、エンジン回転数演算部51によって演算されたエンジン回転数NEと、エンジン負荷演算部52によって演算されたエンジントルクTQとによって定まるエンジン11の運転点が、統合制御マップ56に規定されたA領域56A内に存する場合、点火タイミング制御部54は、エンジン11が「アイドル」状態にあると判定するようになっている。
また、エンジン11の運転点が、統合制御マップ56に規定されるC領域56C内に存する場合、点火タイミング制御部54は、エンジン11が「低回転高負荷」状態にあると判定するようになっている。
そして、VVTコントローラ53は、点火タイミング制御部54によってエンジン11の運転状態が「アイドル」であると判定された場合、吸気弁27および排気弁28の各バルブ位相を、図3に示すように設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「アイドル」である場合、VVTコントローラ53は、吸気弁27について、その開弁時期IOが排気行程TDCと一致し、且つ、その閉弁時期ICが圧縮行程中となるように、バルブ位相を変更するようになっている。
また、VVTコントローラ53は、点火タイミング制御部54によってエンジン11の運転状態が「低回転低負荷」であると判定された場合、吸気弁27および排気弁28の各バルブ位相を、図4に示すように設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」である場合、VVTコントローラ53は、吸気弁27について、その開弁時期IOが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICが圧縮行程中となるように、バルブ位相を変更するようになっている。
また、VVTコントローラ53は、点火タイミング制御部54によってエンジン11の運転状態が「低回転高負荷」であると判定された場合、吸気弁27および排気弁28の各バルブ位相を、図5に示すように設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「低回転高負荷」である場合、VVTコントローラ53は、吸気弁27について、その開弁時期IOが排気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICが圧縮行程中となるように、バルブ位相を変更するようになっている。
また、VVTコントローラ53は、点火タイミング制御部54によってエンジン11の運転状態が「高回転低高負荷」であると判定された場合、吸気弁27および排気弁28の各バルブ位相を、図6に示すように設定するようになっている。
また、エンジン11の運転状態が「高回転低高負荷」である場合、VVTコントローラ53は、吸気弁27について、その開弁時期IOが排気行程TDCとなり、且つ、その閉弁時期ICが圧縮行程中となるように、バルブ位相を変更するようになっている。
なお、VVTコントローラ53は、エンジン11の運転状態が、「高回転低高負荷」にある場合(図6参照)よりも、「低回転高負荷」にある場合(図5参照)の方が、バルブオーバラップ状態が大きく設定されるように、吸気弁27および排気弁28の各バルブ位相を変更する。つまり、VVTコントローラ53は、以下の式(3)が成立するように、吸気弁27および排気弁28の各バルブ位相を制御するようになっている。
TVOL1>TVOL2 ・・・(3)
ここで、従来のエンジンを例示して説明する。
図8に示すように、従来のエンジン(以下、比較例1のエンジンという)において、運転状態が「低回転低負荷」である場合、排気弁は、その開弁時期EOが膨張行程中となり、且つ、その閉弁時期ECが排気行程中となるように制御されている。また、この比較例1のエンジンにおいて、吸気弁は、その開弁時期IOが吸気行程中となり、且つ、その閉弁時期ICが圧縮行程中となるように制御されている。
さらに、この比較例1のエンジンでは、圧縮行程TDC近傍でのみ点火プラグが点火されるようになっている(図8参照)。
一方、上述した比較例1とは別の従来のエンジン(以下、比較例2のエンジンという)においては、図10に示すように、運転状態が「低回転低負荷」である場合、ネガティブオーバラップ状態となるように、吸気弁および排気弁が制御されるようになっている。
また、この比較例2のエンジンでは、図8を用いて上述した比較例1のエンジンと同様に、圧縮行程TDC近傍でのみ点火プラグが点火されるようになっている(図10参照)。
これらに対して、本実施形態に係るエンジンの制御装置では、エンジン11のポンプ損失を大幅に低減できる。
つまり、この点、上述した比較例1のエンジンのPV線である図9および上述した比較例2のエンジンのPV線である図11と、本実施形態におけるエンジン11のPV線図である図7とを比較すれば一目瞭然である。
その後、吸気行程では、増大した燃焼室内圧Pによりピストン15は押し下げられ、ピストン15の下降とともに燃焼室内容積Vが増加する。
このとき、図7の斜線領域で示すポンプ損失が生じるものの、図9における斜線領域(即ち、ポンプ損失)や図11における斜線領域(即ち、ポンプ損失)に比べ、図7の斜線領域の大きさが小さいことが分かる。
そして、このネガティブオーバラップ状態を維持した状態でピストン15が上昇し、排気行程TDC近傍に至ると、燃焼室16内は、高温でかつ高圧の状態となっており、このとき、副点火を行なうことで、燃焼室16内で未燃燃料の酸化反応(即ち、爆発)を生じさせることが出来る。
また、この未燃燃料の酸化反応により燃焼室16内温度を上昇させることが可能となり、吸気行程において燃焼室16内に流入する燃料の気化を促進することもできる。したがって、その後、圧縮行程TDC近傍での点火(即ち主点火)による燃焼室内での燃焼効率(爆発効率)を高めることが可能となる。
また、特別な部品を用いることがないので、コストの抑制に寄与することもできる。
また、エンジン回転数NEおよびエンジントルクTQに応じてネガティブオーバラップ状態を設定し副点火を行なうので、効率的にポンプ損失を低減しながらエンジン11の燃費効率を向上させることが出来る。さらには、エンジン11の運転安定性が悪化する事態を抑制することもできる。
また、吸気弁27が開かれるよりも前に、吸気ポート19内へインジェクタ21による燃料噴射が1回行なわれるようになっているので、噴射された燃料が昇温され、十分に気化された状態の燃料を燃焼室16内に導入することができる。つまり、燃焼室16に導入された燃料の気化が十分ではなく、このような燃料に燃焼室16の熱が奪われてしまうような事態を抑制することも出来る。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。その一例を以下に示す。
上述の実施形態においては、車両10には、ガソリンエンジン(エンジン)11が搭載されている場合を記載したが、これに限定されるものではなく、例えば、混合燃料エンジンでもよい。
上述の実施形態においては、吸気側VVT機構32および排気側VVT機構33として、特許第3498784号公報に開示された技術が適用されている場合を記載したが、これに限定されるものではない。
また、上述の実施形態においては、燃料噴射装置であるインジェクタ21は吸気ポート19に設けられる場合を記載したが、これに限定されるものではない。例えば、シリンダ14内にインジェクタを設けてもよい。即ち、燃焼室内噴射型のエンジンに本発明を適用してもよい。
また、上述の実施形態においては、吸気行程中に燃料噴射を1回行なう場合を記載したが、これに限定されるものではない。例えば、吸気行程中に燃料噴射を数回行なってもよい。
また、上述の実施形態において、点火タイミング制御部54は、圧縮行程TDC近傍で主点火を行ない、エンジン11の運転状態が「低回転低負荷」である場合には、排気行程TDC近傍で副点火を行なうように点火プラグ18による点火タイミングを制御する場合について記載したが、これに限定されるものではない。例えば、主点火を圧縮行程TDCで行い、副点火を排気行程TDCで行なうように点火プラグ18による点火タイミングを制御するようにしてもよい。
本発明は、自動車産業や動力出力装置の製造産業などにも利用可能である。
11 ガソリンエンジン(エンジン)
12 シリンダヘッド
13 シリンダブロック
14 シリンダ
15 ピストン
15a 頂面
16 燃焼室
17 ペントルーフ
18 点火プラグ
19 吸気ポート
21 インジェクタ(燃料噴射手段)
22 吸気マニホールド
23 排気ポート
24 排気マニホールド
25 スロットルバルブ
26 スロットルバルブ開度センサ
27 吸気弁
28 排気弁
29 吸気カムシャフト
31 排気カムシャフト
32 吸気側VVT機構(吸気弁制御機構)
33 排気側VVT機構(排気弁制御機構)
50 ECU(Electric Control Unit)
51 エンジン回転数演算部(回転数検出手段)
52 エンジン負荷演算部(負荷検出手段)
53 VVTコントローラ(バルブタイミング制御手段)
54 点火タイミング制御部(点火タイミング制御手段)
55 燃料噴射制御部(燃料噴射制御手段)
56 統合制御マップ
Claims (8)
- 車両に搭載されるエンジンの点火プラグによる点火タイミングと、該エンジンの吸気弁および排気弁の少なくとも一方のバルブタイミングとを制御する、エンジンの制御装置であって、
該点火プラグによる該点火タイミングを制御する点火タイミング制御手段と、
該吸気弁および該排気弁の双方が開いているオーバラップ状態または該吸気弁および該排気弁の双方が閉じているネガティブオーバラップ状態となるように、該吸気弁および該排気弁を制御するバルブタイミング制御手段と、
該吸気弁により燃焼室に対して開閉される吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
該燃料噴射手段による燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段とを備え、
該点火タイミング制御手段は、
該エンジンの圧縮行程における上死点近傍で主点火を行なうとともに、
該バルブタイミング制御手段により、該エンジンの排気行程で該吸気弁および該排気弁が該ネガティブオーバラップ状態になった場合には、該ネガティブオーバラップ状態中に副点火を行なう
ことを特徴とする、エンジンの制御装置。 - 該エンジンの負荷を検出する負荷検出手段をさらに備え、
該バルブタイミング制御手段は、
該負荷検出手段によって検出された該エンジン負荷に応じて、該吸気弁および該排気弁を該オーバラップ状態または該ネガティブオーバラップ状態とする
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。 - 該負荷検出手段によって検出された該エンジン負荷が第1負荷閾値未満である場合、
該バルブタイミング制御手段は、
該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該ネガティブオーバラップ状態とし、
該点火タイミング制御手段は、
該ネガティブオーバラップ状態中に該副点火を行ない、
該負荷検出手段によって検出された該エンジン負荷が該第1負荷閾値以上である場合、
該バルブタイミング制御手段は、
該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該オーバラップ状態とし、
該点火タイミング制御手段は、
該オーバラップ状態中に該副点火を中止する
ことを特徴とする、請求項2記載のエンジンの制御装置。 - 該エンジンの回転数を検出する回転数検出手段をさらに備え、
該バルブタイミング制御手段は、
該回転数検出手段によって検出された該エンジン回転数に応じて、該吸気弁および該排気弁を該オーバラップ状態または該ネガティブオーバラップ状態とする
ことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 該回転数検出手段によって検出された該エンジン回転数が第1回転数閾値未満である場合、
該バルブタイミング制御手段は、
該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該ネガティブオーバラップ状態とし、
該点火タイミング制御手段は、
該ネガティブオーバラップ状態中に該副点火を行ない、
該回転数検出手段によって検出された該エンジン回転数が該第1回転数閾値以上である場合、
該バルブタイミング制御手段は、
該エンジンの排気行程と吸気行程との間で該吸気弁および該排気弁を該オーバラップ状態とし、
該点火タイミング制御手段は、
該オーバラップ状態の間に該副点火を中止する
ことを特徴とする、請求項4記載のエンジンの制御装置。 - 該燃料噴射制御手段は、
該吸気弁が開く前に該燃料噴射手段による燃料噴射を実行する
ことを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 該燃料噴射制御手段は、
該エンジンの吸気行程に該燃料噴射を実行する
ことを特徴とする、請求項6記載のエンジンの制御装置。 - 該点火タイミング制御手段は、
該バルブタイミング制御手段により、該エンジンの排気行程で該吸気弁および該排気弁が該ネガティブオーバラップ状態になった場合には、該ネガティブオーバラップ状態中における排気行程上死点近傍で該副点火を行なう
ことを特徴とする、請求項1〜7いずれか1項に記載のエンジンの制御装置。
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