以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。各機能要素について実施形態別に区別する際には、A,B,C,…などのように大文字の英語の参照子を付して記載し、特に区別しないで説明する際にはこの参照子を割愛して記載する。図面においても同様である。なお、説明は以下の順序で行なう。
1.記録再生装置の構成概要
2.光ディスク記録方式:ライトストラテジ技術
3.レーザ駆動の問題点と対策手法の原理
4.システム構成:第1実施形態(チャネルタイミング伝送方式)
5.波形補正:第1実施形態(DA方式+補正レベル)
6.波形補正:第2実施形態(DA方式+補正量)
7.波形補正:第3実施形態(CONV方式+補正量)
8.システム構成:第2実施形態(シーケンシャル伝送方式)
9.波形補正:第4実施形態
10.波形補正:第5実施形態
11.システム構成:第3実施形態(光通信への適用)
<記録再生装置の構成概要>
図1は、光装置の一例である記録再生装置(光ディスク装置)の一構成例を示す図である。図1Aは、光ピックアップの構成例を説明する図である。
光ディスクOD(Optical Disk)としては、CD(コンパクトディスク)系の光ディスク(CD−ROM/−R/−RWを含む)、MO(光磁気ディスク)、DVD(Digital Video またはVersatile Disk)系の光ディスクなどが該当する。DVD系は、通常のDVD(DVD−RAM/−R/+R/−RW/+RWを含む)や、たとえば波長405nm程度の青色レーザを利用する次世代DVDが該当する。
本実施形態の記録再生装置1は、光ピックアップ14とピックアップ制御部32を備える。光ピックアップ14は、光ディスクODへの情報の記録または情報の再生を行なう。光ピックアップ14は、ピックアップ制御部32によって制御され、光ピックアップ14から出射されるレーザビームの光ディスクODに対する半径方向位置(トラッキングサーボ)および焦点方向位置(フォーカスサーボ)を制御する。
記録再生装置1は、回転制御部(回転サーボ系)として、スピンドルモータ10と、モータドライバ12と、スピンドルモータ制御部30を備える。スピンドルモータ10は、光ディスクODを回転させる。回転数はスピンドルモータ制御部30によって制御される。
記録再生装置1は、記録・再生系として、光ピックアップ14を介して情報を記録する情報記録部および光ディスクODに記録されている情報を再生する情報再生部の一例である記録・再生信号処理部50を備える。記録・再生信号処理部50と光ピックアップ14の間は、信号を伝送する伝送部材の一例としてのフレキシブル基板51にパターン形成された信号配線を介して接続される。
記録再生装置1は、コントローラ系として、コントローラ62や図示を割愛したインタフェース機能をなすインタフェース部などを備える。コントローラ62は、マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit )で構成されており、スピンドルモータ制御部30およびピックアップ制御部32を有するサーボ系や記録・再生信号処理部50の動作を制御する。インタフェース部は、当該記録再生装置1を利用した各種の情報処理を行なう情報処理装置(ホスト装置)の一例であるパーソナルコンピュータ(以下パソコンと称する)との間のインタフェース(接続)機能をなす。インタフェース部には、ホストIFコントローラが設けられる。記録再生装置1とパソコンにより情報記録再生システム(光ディスクシステム)が構成される。
[光ピックアップ]
図1Aに示すように、光ピックアップ14は、半導体レーザ41、プリズム42、レンズ43、光検出器44、および駆動電流制御部47を備える。駆動電流制御部47は、レーザ駆動装置(レーザ駆動回路)の一例であり、たとえばレーザ駆動ICとして提供される。半導体レーザ41と駆動電流制御部47の間は、一例として、フレキシブル基板46にパターン形成された信号配線を介して接続される。半導体レーザ41は、光ディスクODに付加情報を記録するあるいは光ディスクODに記録されている情報を読み取るためのレーザ光を発する。プリズム42は、半導体レーザ41からのレーザ光をレンズ43側に反射させ、レンズ43からの読取光(反射光)を光検出器44に導く。レンズ43はプリズム42で反射されたレーザ光を光ディスクODに集光させ、また光ディスクODからの読取光をプリズム42に導く。光検出器44は、読取光を電気信号に変換する。駆動電流制御部47は、一例としてレーザ駆動ICで構成される。
[記録・信号処理部]
記録・再生信号処理部50は、RF増幅部52と、波形整形部53(波形等化器;Equalizer )と、AD変換部54(ADC;Analog to Digital Converter )を備える。また、記録・再生信号処理部50は、クロック再生部55と、書込みクロック生成部56と、DSP(Digital Signal Processor)で構成されたデジタル信号処理部57と、APC制御部58(Automatic Power Control)を備える。
RF増幅部52は、光ピックアップ14により読み取られた微小なRF(高周波)信号(再生RF信号)を予め定められたレベルに増幅する。波形整形部53は、RF増幅部52から出力された再生RF信号を整形する。AD変換部54は、波形整形部53から出力されたアナログの再生RF信号をデジタルの再生RFデータDinに変換する。
クロック再生部55は、AD変換部54から出力された再生RFデータDinに同期したクロック信号を生成するデータリカバリ型の位相同期回路(PLL回路)を有する。また、クロック再生部55は、再生したクロック信号をAD変換部54へADクロックCKad(サンプリングクロック)として供給するほか、その他の機能部に供給したりする。
デジタル信号処理部57は、たとえば、再生用の機能部として、データ検出部と復調処理部を有する。データ検出部は、PRML(Partial Response Maximum Likelihood )などの処理を行ない、再生RFデータDinからデジタルデータを検出する。
復調処理部は、デジタルデータ列を復調し、オーディオデータや画像データなどを復号化するなどのデジタル信号処理をする。たとえば、復調処理部は、復調部、誤り訂正符号(ECC)訂正部、アドレスデコード部などを有し、復調・ECC訂正、アドレスデコードを行なう。復調後のデータは、インタフェース部を介してホスト装置へ転送される。
書込みクロック生成部56は、クリスタル発振器などから供給される基準クロックに基づき光ディスクODへの記録の際にデータを変調するための書込みクロックを生成する。デジタル信号処理部57は、記録用の機能部として、ECCエンコード部や変調処理部を有する。このデジタル信号処理部57は、記録データを生成し、また、ライトストラテジに応じた各パワーレベルの発光タイミング信号を生成する。
本実施形態の記録再生装置1は、半導体レーザ41から照射されるレーザ光により光ディスクODに情報源より出力されるデジタルデータを記録しまた光ディスクODの記録情報を再生する。駆動電流制御部47は、ライトストラテジに応じた駆動電流を半導体レーザ41に供給する。APC制御部58は、パワーモニタ電圧PDに基づいて半導体レーザ41の発光パワーを一定に制御する機能を持ち、レーザパワー指示電圧PWを光ピックアップ14の駆動電流制御部47に供給する。
<光ディスク記録方式:ライトストラテジ技術>
図2はライトストラテジ技術の基本を説明する図である。図2Aはレーザ駆動電流生成の第1例の説明図である。図2Bはレーザ駆動電流生成の第2例の説明図である。
[基本]
書込可能な光ディスクとして、相変化ディスクや光磁気ディスクなどが広く知られている。一部の光磁気ディスクを除き、これらの光ディスクに情報を記録する際には、レーザビームの強弱変化によって記録媒体にマーク・スペースを形成するいわゆる光強度変調方式が用いられる。光強度変調方式において、記録マークを形成する部分には、たとえばピーク30mW以上といった高い強度のレーザビームが光ディスクに照射される。一方、情報の読出しを行なう再生時には、記録マークを破壊しないよう記録時よりも弱い強度(たとえば1mW)のレーザビームが光ディスクに照射される。
光ディスクに記録するデータ形式としては、高密度化において優位性をもつマークエッジ記録が近年では主流となっている。マークエッジ記録は、記録マークの両端の位置に情報を持たせるものであり、マークの形状歪によりデータ誤り(エラー)が発生する。そこで、マークの形状歪みを抑えエラーの少ない記録を行なうため、光パワーの強弱変化は、記録データそのものではなく、たとえば、図2に示したような波形を用いる。
マルチパルス方式は、記録クロックを分割してパルス発光させるものである。パルス発光させることにより熱の蓄積を抑えマークの形状歪みを低減する。図の例は、クール(Cool)、イレーズ(Erase )、ピーク(Peak)の3つのパワーレベル(チャネル)を持つ。
キャッスル方式は、主に高倍速記録で用いられており、記録クロック単位のパルス発光はさせないものの、マークの中央部分でレーザパワーを下げたり、マーク後端部分のパワーを特に低くすることにより、熱の蓄積を抑えマークの形状歪みを低減する。図の例は、パワーレベル(チャネル)が、クール,イレーズ,ピーク,オーバードライブ(OD:Over Drive) の4つであり、マルチパルス方式に比べて増えている。
また、何れの方式も、レーザパワーを多値に変化させる。また、各エッジのタイミングはチャネルクロック間隔(Tw)よりも小さい単位で調整する。たとえば、Tw/40、Tw/32、Tw/16などの単位で調整する。レーザパワーや各エッジのタイミングは、光ディスクの記録材料や記録速度に応じて適切に設定される。
発光パターンの工夫を記録補償(ライトストラテジ技術)と称し、記録データに応じた各エッジのタイミングを生成するのが記録補償回路(ライトストラテジ回路)である。ライトストラテジ技術に基づく多値のレーザ駆動電流を生成する方法としては、コンベンショナル(Conventional)方式とDA変換器方式が代表的である。
[コンベンショナル方式]
図2A(1)に示す第1例は、ドライバ回路604に、各パワーレベルに対応する出力回路(チャンネル)を備えるもので、いわゆるコンベンショナル方式として広く用いられている。つまり、必要なレベルに応じたチャネル数の出力トランジスタ605を設けている。ドライバ回路604の入力側には、電流指示信号の供給をオン/オフするスイッチ回路602が設けられる。スイッチ回路602はチャネルごとにスイッチ603を有する。ライトストラテジ信号の対応するチャネルごとに、スイッチ603は、制御入力端にはタイミング信号が供給され、入力端には電流指示信号が供給され、出力端は出力トランジスタ605の制御入力端(ゲート)に接続される。
各チャンネルのオン/オフおよび半導体レーザ41を駆動する出力電流は各スイッチSWによって独立に制御される。クール,イレーズ,ピーク,オーバードライブの4つのチャンネルを持ち、各チャンネルのオン/オフはタイミング信号(Tcool,Terase ,Tpeak,Tod)で制御され、各チャンネルの出力電流は電流指示信号(Vcool,Verase ,Vpeak,Vod)で制御される。
たとえば、図2A(2)に示すように、各チャンネルの組合せにより多値のレーザ駆動電流を生成できる。コンベンショナル方式は、電流指示信号をアナログ量で与えることにより、出力電流を連続的に制御できる利点がある。なお、この回路の最大駆動電流は各チャンネルの最大駆動電流の総和となるが、チャンネルごとに最大駆動電流の制限があるため、実現できる多値波形には制限がある。
[DA変換器方式]
図2B(1)に示す第2例は、基準レベル情報記憶部606とDA変換器608を用いる方式である。基準レベル情報記憶部606は、フルスケールに対する電流レベルを指示するデジタルデータ(電流レベルデータDi)が記憶される。基準レベル情報記憶部606の出力側には、電流レベルデータDiの選択をオン/オフするスイッチ回路602が設けられる。スイッチ回路602はチャネルごとにスイッチ603を有する。ライトストラテジ信号の対応するチャネルごとに、スイッチ603は、制御入力端にはタイミング信号が供給され、入力端には基準レベル情報記憶部606からの電流レベルデータDiが供給される。各スイッチ603の出力端は共通にDA変換器608の入力端に接続される。
DA変換器608には、レーザ駆動電流のフルスケールを指示する信号と、基準レベル情報記憶部606からの電流レベルデータDiが入力される。DA変換器608としては電流出力型のもの(IDAC)が使用され、その出力電流で半導体レーザ41を駆動する。電流レベルデータDiをライトストラテジに応じて変化させることにより、多値のレーザ駆動電流を生成できる。基準レベル情報記憶部606にレベル情報(Dcool,Derase ,Dpeak,Dod)の4つの値を持っている。これをタイミング信号(Tcool,Terase ,Tod,Tpeak)によって順次切替えていくことにより、図2B(2)に示すように、多値のレーザ駆動電流を生成する。
DA変換器方式は、出力電流の制御単位はDA変換器608のビット数で制限されるが、DA変換器608の最大駆動電流の範囲であればどのような多値波形でも実現できる。
<レーザ駆動の問題点と対策手法の原理>
図3〜図3Cは、レーザ駆動の問題点とその対策手法の基本原理を説明する図である。ここで、図3は、レーザ素子と駆動回路の接続インタフェース例を説明する図である。図3Aは、発光波形異常を説明する図である。図3B〜図3Cは、発光波形異常を改善するための本実施形態の基本構成を説明する図である。
光ディスクへの記録は図2に示したようなライトストラテジ技術を駆使して実現されており、発光波形形状に対する要求も厳しい。たとえば、立上り・立下り時間≦1ns、オーバーシュート≦10%といった値が要求される。このような高速な変調を行なう際には、駆動電流制御部47(半導体レーザ駆動回路)の負荷条件の影響を受け易い。
半導体レーザ41の等価回路は、図3(2)に示すように、簡易的には抵抗と容量の並列接続で表現できる。抵抗・容量の値はレーザチップ設計によって異なる。さらに、特に青紫色半導体レーザにおいては、抵抗の値は個体差が大きく、かつ駆動電流依存性・温度依存性を持っている。
光ディスク装置のレーザ駆動系3としては、たとえば、図1Aや図3(1)に示すように、半導体レーザ41や光学部品を搭載した光ピックアップ14(光ヘッド)と、制御回路を搭載したドライブ基板に分かれている。さらに、光ピックアップ14は光ディスクODの半径に応じて可動し、装置および光ピックアップ14の形状による制約から、駆動電流制御部47と半導体レーザ41は直近に配置することが難しくなる。そのため、たとえば長さ20〜50mm程度のフレキシブル基板46を介して接続されることが多い。
その結果、駆動電流制御部47の負荷は、半導体レーザ41自身の等価回路だけで決まらない。図3(2)ではインピーダンス成分をコイルで示している。たとえばフレキシブル基板46の特性インピーダンスやフレキシブル基板46と半導体レーザ41またはフレキシブル基板46と駆動電流制御部47間の寄生インピーダンスを組み合わせたものとなる。半導体レーザ41の種類や個体、基板設計や動作状態によって変化するものとなる。
このような負荷条件の違いによって、発光波形はたとえば図3Aのように変化する。図3A(1)は、大きなオーバーシュート・アンダーシュートを生じている場合である。アンダーシュートが大きく、半導体レーザ41の閾値電流を一旦下回ってしまうと、そこから復帰した場合に半導体レーザ41の緩和振動に伴うオーバーシュートが生じる場合もある。図3A(2)は、立上り時や立下り時の応答速度が遅くなってしまった場合である。
このような発光波形の変化は、実効的にライトストラテジの変化と等価であり、記録特性に悪影響を及ぼすものである。通常、オーバーシュト・アンダーシュートが少なく、立上り・立下り時間が短い矩形に近い波形が求められる。
レーザ発光波形を矩形波に近付けるため、半導体レーザ駆動回路(つまり駆動電流制御部47)には、発光波形形状を補正する機能が求められる。
対策手法としては、たとえば、図3B(1)に示すように、スナバ回路を外付けする方式が考えられる。スナバ回路を外付けする方式は、抵抗と容量の合成回路を駆動トランジスタの出力(つまりレーザ素子のい入力)と電源または接地の間に接続するものである。スナバ回路は、モーター駆動回路などにも用いられる一般的な手法であり、オーバーシュートやアンダーシュートが大きい場合にそれを抑圧できる場合がある。このスナバ回路は、半導体レーザ駆動ICに外付けされる場合もあるし、半導体レーザ駆動ICに内蔵され、その定数を調整できるようにする場合もある。何れの場合も、実装基板・光ヘッドに実装された状態で、発光波形形状が最適になるように定数を調整する。
しかし、スナバ回路による補正は、オーバーシュートやアンダーシュートに対しては効果がある場合が多いが、元々、応答速度が遅い波形に対する改善はできない。また、抵抗や容量をレーザ駆動ICに外付けした場合には、部品コストや実装面積の増大を招く。一方、レーザ駆動ICに内蔵し調整可能にした場合には、選択できる定数には制限があり、十分な補正ができるとは限らない。
図3B(2)に示すような特許文献1の仕組みでは、半導体レーザ41をパルス駆動する出力段(4系統の駆動トランジスタ)の他に、補正電流を半導体レーザ41に供給する補正出力段(補正用の2系統の駆動トランジスタ)が必要である。出力段により多くのトランジスタを設けることになるため、レーザ駆動ICのチップ面積の増大や寄生容量の増加に伴い応答速度が低下する。
図3C(1)に示すような特許文献2の仕組みでも、半導体レーザ41をパルス駆動する出力段の他に、補正電流を半導体レーザ41に供給する補正出力段が必要である。特許文献1と同様に、出力段の数が増えてしまう。
これらも踏まえて、本実施形態では、予め駆動信号に対して補正を加えてから出力段(駆動トランジスタ)に電流を供給する構成を採ることで、出力段(駆動トランジスタ)は増加させずに、発光波形ができるだけ矩形波となるように補正する。つまり、図3C(2)に示すように、駆動信号補正部690(発光波形補正部)を出力段の前に設ける。駆動信号補正部690の構成としては、通常レベルデータと補正レベルデータを切り替える方式と、通常レベルデータに補正量データを注入(加算または減算)する方式が考えられる。半導体レーザ41を駆動する出力段には、好ましくは電流出力型のDA変換器(IDAC)を設ける。そのDA変換器の入力端に波形補正後の設定データを与えるようにする。
DA変換器に入力される発光パタンに応じたデジタルデータに補正レベルを挿入することにより、半導体レーザ41の等価回路の変化や実装に伴う寄生インピーダンスの違いに伴う発光波形形状の変化に対して補正を行なう。発光波形の異常形状に応じて、適切な補正レベルや補正量(基準レベルに対する差分)を設定し、また、異常を発生するタイミングに合わせた適切な補正タイミングを設定することにより、最適な波形(できるだけ矩形波に近いもの)を得るようにする。チップ面積の増大に伴うコスト上昇や寄生容量の増加に伴う応答速度低下といった問題がなく、若干の補正回路の追加だけで、波形補正用に出力段を付加する方法と同等の広範囲な波形補正を実現する。
<信号インタフェースのシステム構成:第1実施形態>
図4は、第1実施形態の信号インタフェース方式を実現するシステム構成を示す図である。第1実施形態のシステム構成は、ライトストラテジ技術で適用する駆動電流レベル(チャンネル)ごとに駆動電流レベルのタイミング情報を伝送する方式である。本明細書では、この方式をチャネルタイミング伝送方式と称する。
図4(1)に示す第1実施形態(第1例)のシステム構成はドライブ基板にライトストラテジ回路290Xを搭載している。パワーモニタ回路300は、半導体レーザ41から発せられたレーザ光の一部を光電変換し、サンプルホールドしてAPC制御用の帰還信号としてパワーモニタ電圧PDを取得し、APC制御部58に送る。ドライブ基板から光ピックアップ14側のレーザ駆動回路200Xに各パワーレベルに対応した発光タイミングを指示する記録パルス信号とレーザパワー指示電圧PWを送り、パルス電流生成回路の一例である発光波形生成部203が駆動電流を生成することで半導体レーザ41を発光させる。
図4(2)に示す第1実施形態(第2例)のシステム構成は、ライトストラテジ回路290Yは、ドライブ基板ではなく、レーザ駆動回路200Yに搭載している。ライトストラテジ回路290Yでは、記録クロックと記録データから、光パワーを制御するタイミング信号を生成する。タイミング信号はチャネルクロック間隔(Tw)よりも小さい単位となり、パワーレベルごとに生成され、パワーレベルとタイミングは一対一で対応させる。
これを実現するためのライトストラテジ回路290Yは、位相同期回路、メモリ、アドレスエンコーダ、タイミング生成回路を含む。位相同期回路は、チャネルクロック間隔(Tw)よりも小さい単位を生成するための多相クロックを生成する。メモリは、レベル情報を格納する。アドレスエンコーダは、記録データ長を判別しメモリアドレスを生成する。タイミング生成回路は、記録データ長に応じてメモリから読み出されたタイミング情報をタイミング信号に変換する。
<波形補正:第1実施形態>
図5〜図9Aは、第1実施形態の発光波形補正部を説明する図である。第1実施形態の発光波形補正部は、第1実施形態(チャネルタイミング伝送方式)のシステム構成に本実施形態のレーザ発光波形の補正の仕組みを適用するものである。特に、第1実施形態は、DA変換方式の回路構成で出力される通常の駆動レベル(通常レベル)とは別に補正レベルを設け、補正が必要となるタイミングに合わせて通常レベルから補正レベルに切り替える点に特徴がある。
この対処のため、DA変換方式の回路構成をベースに、補正レベルの情報を記憶する補正レベル情報記憶部、通常レベルと補正レベルを切り替える駆動レベル切替部を設ける。補正レベル情報記憶部は補正情報記憶部の第1例である。なお、補正が必要となるタイミング情報がライトストラテジ信号とは独立にドライブ基板側から送信されてこないシステム構成の場合には、さらに、受信したライトストラテジ信号に基づいて、補正が必要となるタイミング情報を生成する補正タイミング生成部(補正期間設定部)を設ける。
また、補正対象期間は一箇所に限らず複数箇所であってもよく、その場合、補正レベル情報記憶部、補正タイミング生成部、駆動レベル切替部は、それぞれに応じた系統のものを設けることで、発光波形の様々な箇所に対して補正を行なうことができる。また、補正対象の波形異常としては、立上り直後のオーバーシュートや、立下り直後のアンダーシュートや、そのアンダーシュート後のオーバーシュートや、立上り・立下りの応答が遅い場合が該当する。以下、具体的に説明する。
[第1例]
図5は波形補正の第1実施形態(第1例)の構成図、図5Aはその動作説明図である。図5に示すように、第1実施形態(第1例)のレーザ駆動回路200A_1は、発光波形補正部600A_1を備える。発光波形補正部600A_1は、補正情報記憶部610A_1、補正タイミング生成部630A_1、駆動レベル切替部650_1を備える。
補正情報記憶部610A_1は、補正レベルの駆動電流量Icomp_1に対応する補正レベルデータDcomp_1を記憶する補正電流レベルレジスタ612_1を具備した補正レベル情報記憶部の一例である。補正タイミング生成部630A_1は、基準タイミング選択部632_1と、遅延設定部634_1と、パルス幅設定部636_1を有する。駆動レベル切替部650_1は、補正スイッチ652_1とマスク部654_1を有する。
基準タイミング選択部632_1は、受信したライトストラテジ信号(タイミング信号:クール,イレーズ,ピーク,オーバードライブの4つのチャネル)の中から、補正期間の基準となるチャネル(基準チャネルCH_1)のものを選択して遅延設定部634_1に渡す。遅延設定部634_1は、その選択された基準チャネルCH_1の開始エッジを起点とし、そこからの遅延時間CD_1を設定しパルス幅設定部636_1に渡す。パルス幅設定部636_1は、補正期間の幅を規定するパルス幅CT_1を設定する。補正タイミング生成部630A_1は、これらによって、補正期間を示す補正タイミングパルスTcomp_1とその相補パルス(反転パルス:マスクパルスMcomp_1)を生成する。補正タイミング生成部630A_1は、補正タイミングパルスTcomp_1を補正スイッチ652_1に供給し、マスクパルスMcomp_1をマスク部654_1に供給する。
補正スイッチ652_1は、入力端に補正情報記憶部610A_1からの補正レベルデータDcomp_1が供給され、出力端はDA変換器608の入力端に接続される。補正スイッチ652_1は、補正タイミングパルスTcomp_1がアクティブHの期間にオンする。
マスク部654_1は、チャネルごとのタイミング信号の選択をオン/オフするスイッチ回路であり、補正対象のチャネルのタイミング信号線上にマスクスイッチ655_1を備える。マスクスイッチ655_1は、補正チャネルに対応するマスクパルスMcomp_1が補正タイミング生成部630A_1から制御入力端に供給され、対応するチャネルのタイミング信号が入力端に供給され、出力端がスイッチ603の制御入力端に接続される。つまり、マスクスイッチ655_1に入力されたタイミング信号がマスクスイッチ655_1(補正タイミングパルスTcomp_1)でゲートされた後にスイッチ603の制御入力端に供給される。
マスクスイッチ655_1は、マスクパルスMcomp_1がHの期間にチャネルごとのタイミング信号の選択をオンする。補正タイミングパルスTcomp_1とマスクパルスMcomp_1は相補関係にある。よって、補正スイッチ652_1がオンのときにはマスクスイッチ655_1はチャネルごとのタイミング信号の選択をオフし、補正スイッチ652_1がオフのときにはマスクスイッチ655_1はチャネルごとのタイミング信号の選択をオンする。
発光波形補正部600A_1の動作について、図5Aを参照して説明する。因みに、図5に示した構成では、ライトストラテジに応じたレベル情報・タイミング信号として、クール,イレーズ,ピーク,オーバードライブの4つを備えているが、図5Aでは、説明を簡単にするために、クールとピークの2値の変調を行なう場合で示す。後述する他の例での動作説明でも同様である。
図5A(1)は、補正を行なう前のレーザ駆動波形とレーザ発光波形を示している。レベル情報Dcool,Dpeakは、タイミング信号Tcool,Tpeakによって、順次DA変換器608に入力され、Icool,Ipeakの2値のレーザ駆動電流が出力されている。レーザ発光波形としては、立上り直後に大きなオーバーシュートを伴った場合である。
図5A(2)は、発光波形補正部600A_1により、このオーバーシュートを軽減するような補正を行なった場合を示す。マスクパルスMcomp_1は図示していないが、補正タイミングパルスTcomp_1を論理反転したものである。Tpeak_1は、Tpeakが補正タイミングパルスTcomp_1でゲートされた後のものである。
本例では、Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り直後に発生するオーバーシュートを抑制するために、先ず、ピークの基準レベルIpeakよりも低い補正レベルIcomp_1に対応する補正レベルデータDcomp_1が補正情報記憶部610A_1に設定される。
また、補正スイッチ652_1をオンする補正期間は、Tpeakを基準とし、遅延設定はなし、パルス幅はオーバーシュートの形状・期間に応じて適切な値が設定される。すなわち、基準タイミング選択部632_1はタイミング信号Tpeakを基準チャネルCH_1として選択する。遅延設定部634_1は遅延時間CD_1をゼロに設定する。パルス幅設定部636_1は、オーバーシュートの形状・期間に応じて適切なパルス幅CT_1を設定する。これによって、補正タイミング生成部630A_1は、オーバーシュートの発生期間・形状に応じた補正タイミングパルスTcomp_1とマスクパルスMcomp_1を生成する。
Tpeak期間に入ると直ちに補正タイミングパルスTcomp_1がアクティブHとなり補正スイッチ652_1がオンし、補正情報記憶部610A_1に設定されている補正電流レベルIcomp_1に相当する補正レベルデータDcomp_1がDA変換器608に入力される。この間は、マスクパルスMcomp_1はLとなり、Tpeakはマスク部654_1のマスクスイッチ655_1で選択されなくなるので、DpeakはDA変換器608に入力されない
設定されたパルス幅CT_1が終わり補正タイミングパルスTcomp_1がインアクティブLになると補正スイッチ652_1がオフし、補正レベルデータDcomp_1のDA変換器608への供給が停止される。これと同時に、マスクパルスMcomp_1がHとなることでTpeakのマスキングが解除され、DpeakがDA変換器608に入力されるので、レーザ駆動電流はIpeakに切り替わる。
これにより、Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り直後の駆動電流を、ピークの基準レベルIpeakよりも低い補正レベルIcomp_1に下げることができる。この一連の動作により、Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り直後に発生するレーザ発光波形のオーバーシュートを小さく抑えることことができる。
[第2例]
図6は波形補正の第1実施形態(第2例)の構成図、図6Aはその動作説明図である。図6に示すように、第1実施形態(第2例)のレーザ駆動回路200A_2は、発光波形補正部600A_2を備える。発光波形補正部600A_2は、補正情報記憶部610A_2と、補正タイミング生成部630A_2と、駆動レベル切替部650_2を備える。参照子“_2”を付している各機能部は、第1実施形態(第1例)の参照子“_1”を付している各機能部と同様の機能をなすものであり、発光波形補正部600A_2の構成自体は第1実施形態(第1例)と相違ない。
たとえば、補正情報記憶部610A_2は、補正レベルの駆動電流量Icomp_2に対応する補正レベルデータDcomp_2を記憶する。基準タイミング選択部632_2は、4つのタイミング信号Tcool,Terase ,Tod,Tpeakの中から、補正期間の基準となる基準チャネルCH_2を選択して遅延設定部634_2に渡す。遅延設定部634_2は、その選択された基準チャネルCH_2の開始エッジを起点とし、そこからの遅延時間CD_2を設定しパルス幅設定部636_2に渡す。パルス幅設定部636_2は、補正期間の幅を規定するパルス幅CT_2を設定する。補正タイミング生成部630A_2は、これらによって、補正期間を示す補正タイミングパルスTcomp_2とマスクパルスMcomp_2を生成する。補正タイミング生成部630A_2は、補正タイミングパルスTcomp_2を補正スイッチ652_2に供給し、マスクパルスMcomp_2をマスク部654_2に供給する。
補正スイッチ652_2は、入力端に補正情報記憶部610A_2からの補正レベルデータDcomp_2が供給され、出力端はDA変換器608の入力端に接続される。補正スイッチ652_2は補正タイミングパルスTcomp_2がアクティブHでオンする。マスク部654_2のマスクスイッチ655_2はマスクパルスMcomp_2がHの期間にチャネルごとのタイミング信号の選択をオンする。
発光波形補正部600A_2の動作について、図6Aを参照して説明する。図6A(1)は、補正を行なう前のレーザ駆動波形とレーザ発光波形を示しており、図5A(1)と同様のものである。図6A(2)は、発光波形補正部600A_2により、レーザ発光波形における立下り直後の大きなアンダーシュートの後に発生するオーバーシュートを軽減する補正を行なった場合を示す。マスクパルスMcomp_2は図示していないが、補正タイミングパルスTcomp_2を論理反転したものである。Tcool_2は、Tcoolが補正タイミングパルスTcomp_2でゲートされた後のものである。
Tcool期間に入るときの立下り直後のアンダーシュートの後に発生するオーバーシュートを抑制するために、先ず、クールの基準レベルIcoolよりも低い補正レベルIcomp_2に対応する補正レベルデータDcomp_2が補正情報記憶部610A_2に設定される。
また、補正スイッチ652_2をオンする補正期間は、Tcoolを基準とし、遅延設定がアンダーシュートの後に発生するオーバーシュートの開始時点に応じて適切な値が設定され、パルス幅はオーバーシュートの形状・期間に応じて適切な値が設定される。すなわち、基準タイミング選択部632_2はタイミング信号Tcoolを基準チャネルCH_2として選択する。遅延設定部634_2は、アンダーシュートの後に発生するオーバーシュートの開始時点に応じた適切な値の遅延時間CD_2を設定する。パルス幅設定部636_2は、オーバーシュートの形状・期間に応じて適切なパルス幅CT_2を設定する。これによって、補正タイミング生成部630A_2は、アンダーシュートの後に発生するオーバーシュートの発生期間・形状に応じた補正タイミングパルスTcomp_2とマスクパルスMcomp_2を生成する。
Tcool期間に入ると、最初は補正タイミングパルスTcomp_2がインアクティブLで補正スイッチ652_2がオフし、補正レベルデータDcomp_2のDA変換器608への供給は停止されている。このとき、マスクパルスMcomp_2がHとなることでTcoolのマスキングが解除され、DcoolがDA変換器608に入力され、レーザ駆動電流はIcoolになる。
その後、アンダーシュートの後にオーバーシュートが発生するタイミングで補正タイミングパルスTcomp_2がアクティブHとなり補正スイッチ652_2がオンする。補正電流レベルIcomp_2に相当する補正レベルデータDcomp_2は補正情報記憶部610A_2に設定されており、補正タイミングパルスTcomp_2により補正スイッチ652_2をオンすることにより、補正レベルデータDcomp_2がDA変換器608に入力される。この間は、マスクパルスMcomp_2はLとなり、Tcoolはマスク部654_2のマスクスイッチ655_2で選択されなくなるので、DcoolはDA変換器608に入力されない。つまり、補正タイミングパルスTcomp_2がアクティブHとなることでレーザ駆動電流は補正レベルIcomp_2に切り替る。
設定されたパルス幅CT_2が終わり補正タイミングパルスTcomp_2がインアクティブLになると補正スイッチ652_2がオフし、補正レベルデータDcomp_2のDA変換器608への供給が停止される。これと同時に、マスクパルスMcomp_2がHとなることでTcoolのマスキングが解除され、DcoolがDA変換器608に入力されるので、レーザ駆動電流は補正レベルIcomp_2からIcoolに戻る。
これにより、Tpeak期間からTcool期間に入った後の一定期間の駆動電流を、クールの基準レベルIcoolよりも低い補正レベルIcomp_2に下げることができる。この一連の動作により、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り直後のアンダーシュートによってレーザの閾値電流を下回った後に発生するレーザ発光波形のオーバーシュートを小さく抑えることができる。
[第3例]
図7は波形補正の第1実施形態(第3例)の構成図、図7Aはその動作説明図である。図7に示すように、第1実施形態(第3例)のレーザ駆動回路200A_3は、発光波形補正部600A_3を備える。発光波形補正部600A_3は、補正情報記憶部610A_3と、補正タイミング生成部630A_3と、駆動レベル切替部650_3を備える。参照子“_3”を付している各機能部は、第1実施形態(第1例)の参照子“_1”を付している各機能部と同様の機能をなすものであり、発光波形補正部600A_3の構成自体は第1実施形態(第1例)と相違ない。
たとえば、補正情報記憶部610A_3は、補正レベルの駆動電流量Icomp_3に対応する補正レベルデータDcomp_3を記憶する。基準タイミング選択部632_3は、4つのタイミング信号Tcool,Terase ,Tod,Tpeakの中から、補正期間の基準となる基準チャネルCH_3を選択して遅延設定部634_3に渡す。遅延設定部634_3は、その選択された基準チャネルCH_3の開始エッジを起点とし、そこからの遅延時間CD_3を設定しパルス幅設定部636_3に渡す。パルス幅設定部636_3は、補正期間の幅を規定するパルス幅CT_3を設定する。補正タイミング生成部630A_3は、これらによって、補正期間を示す補正タイミングパルスTcomp_3とマスクパルスMcomp_3を生成する。補正タイミング生成部630A_3は、補正タイミングパルスTcomp_3を補正スイッチ652_3に供給し、マスクパルスMcomp_3をマスク部654_3に供給する。
補正スイッチ652_3は、入力端に補正情報記憶部610A_3からの補正レベルデータDcomp_3が供給され、出力端はDA変換器608の入力端に接続される。補正スイッチ652_3は補正タイミングパルスTcomp_3がアクティブHでオンする。マスク部654_3のマスクスイッチ655_3はマスクパルスMcomp_3がHの期間にチャネルごとのタイミング信号の選択をオンする。
発光波形補正部600A_3の動作について、図7Aを参照して説明する。図7A(1)は、補正を行なう前のレーザ駆動波形とレーザ発光波形を示しており、図5A(1),図6A(1)と同様のものである。図7A(2)は、発光波形補正部600A_3により、レーザ発光波形における立下り直後の大きなアンダーシュートを軽減するような補正を行なった場合を示す。マスクパルスMcomp_3は図示していないが、補正タイミングパルスTcomp_3を論理反転したものである。Tcool_3は、Tcoolが補正タイミングパルスTcomp_3でゲートされた後のものである。
Tcool期間に入るときの立下り直後のアンダーシュートを抑制するために、先ず、クールの基準レベルIcoolよりも高い補正レベルIcomp_3に対応する補正レベルデータDcomp_3が補正情報記憶部610A_3に設定される。また、補正スイッチ652_3をオンする補正期間は、Tcoolを基準とし、遅延設定はなし、パルス幅はアンダーシュートの形状・期間に応じて適切な値が設定される。すなわち、基準タイミング選択部632_3はタイミング信号Tcoolを基準チャネルCH_3として選択する。遅延設定部634_3は、遅延時間CD_3をゼロに設定する。パルス幅設定部636_3は、アンダーシュートの形状・期間に応じて適切なパルス幅CT_3を設定する。これによって、補正タイミング生成部630A_3は、アンダーシュートの発生期間・形状に応じた補正タイミングパルスTcomp_3とマスクパルスMcomp_3を生成する。
Tcool期間に入ると直ちに補正タイミングパルスTcomp_3がアクティブHとなり補正スイッチ652_3がオンし、補正情報記憶部610A_3に設定されている補正電流レベルIcomp_3に相当する補正レベルデータDcomp_3がDA変換器608に入力される。この間は、マスクパルスMcomp_3はLとなり、Tcoolはマスク部654_3のマスクスイッチ655_3で選択されなくなるので、DcoolはDA変換器608に入力されない。
設定されたパルス幅CT_3が終わり補正タイミングパルスTcomp_3がインアクティブLになると補正スイッチ652_3がオフし、補正レベルデータDcomp_3のDA変換器608への供給が停止される。これと同時に、マスクパルスMcomp_3がHとなることでTcoolのマスキングが解除され、DcoolがDA変換器608に入力されるので、レーザ駆動電流はIcoolに切り替わる。
これにより、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り直後の駆動電流を、クールの基準レベルIcoolよりも高い補正レベルIcomp_3に上げることができる。この一連の動作により、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り直後に発生するレーザ発光波形のアンダーシュートを補正できる。
[第4例]
図8は波形補正の第1実施形態(第4例)の構成図、図8Aはその動作説明図である。図8に示すように、第1実施形態(第4例)のレーザ駆動回路200A_4は、発光波形補正部600A_4を備える。発光波形補正部600A_4は、補正情報記憶部610A、補正タイミング生成部630A、駆動レベル切替部650を、3系統備える。1系統目には参照子“_1”、2系統目には参照子“_2”、3系統目には参照子“_3”を付す。3系統分を纏めたものには参照子“_4”を付す。参照子“_1”の系統は前述の第1例、参照子“_2”の系統は前述の第2例、参照子“_3”の系統は前述の第3例であるとする。なお、補正タイミング生成部630に関しては、3系統に共通の基準タイミング選択部632を使用し、それが各系統の基準チャネルCH_1,CH_2,CH_3を各別に選択して出力する構成にしている。基準タイミング選択部632_1,632_2,632_3の機能部を共通化することで回路構成を簡易にするのである。
このように、第1実施形態(第4例)は、補正回路を複数系統(この例では3系統)備えることにより、レーザ発光波形の複数個所(この例では3箇所)に対して補正を行なうものである。各系統については、前述の第1例〜第3例の通りであるので、ここでは構成・動作の詳細説明を割愛する。
実際には、立下り直後のアンダーシュートを抑える第3例の系統により、立下り直後のアンダーシュートによってレーザの閾値電流を下回った後に発生するレーザ発光波形のオーバーシュートを抑える第2例の系統を設けなくてもよい場合がある。立下り直後のアンダーシュートを抑えることでその後のオーバーシュートも抑制され得るからである。
[第5例]
図9は波形補正の第1実施形態(第5例)の構成図、図9Aはその動作説明図である。第1実施形態(第5例)は、立上り・立下りの応答が遅い場合(つまり波形鈍り)について補正するものである。
図9に示すように、第1実施形態(第5例)のレーザ駆動回路200A_5は、発光波形補正部600A_5を備える。図中では参照子“5a”,“5b”の2系統分を纏めたものには参照子“5 ”を付す。発光波形補正部600A_5は、補正情報記憶部610A_5と、補正タイミング生成部630A_5と、駆動レベル切替部650_5を備える。各機能部は、第1実施形態(第1例)の参照子“1 ”を付している各機能部と同様の機能をなすものであり、発光波形補正部600A_5の各系統の構成自体は第1実施形態(第1例)と相違ない。特に、補正対象を複数箇所とする第4例と同等の回路構成である。以下、構成について“5a”,“5b”の系統を“,”で括って纏めて説明する。
補正電流レベルレジスタ612_5a ,612_5b は、補正レベルの駆動電流量Icomp_5a ,Icomp_5b に対応する補正レベルデータDcomp_5a ,Dcomp_5b を記憶する。
基準タイミング選択部632_5は、4つのタイミング信号Tcool,Terase ,Tod,Tpeakの中から、補正期間の基準となる基準チャネルCH_5a ,CH_5b を選択して遅延設定部634_5a ,634_5b に渡す。
遅延設定部634_5a ,634_5b は、選択された基準チャネルCH_5a ,CH_5b の開始エッジを起点とし、そこからの遅延時間CD_5a ,CD_5b を設定しパルス幅設定部636_5a ,636_5b に渡す。パルス幅設定部636_5a ,636_5b は、補正期間の幅を規定するパルス幅CT_5a ,CT_5b を設定する。補正タイミング生成部630A_5は、これらによって、補正期間を示す補正タイミングパルスTcomp_5a ,Tcomp_5b とマスクパルスMcomp_5a ,Mcomp_5b を生成する。補正タイミング生成部630A_5は、補正タイミングパルスTcomp_5a ,Tcomp_5b を補正スイッチ652_5a ,652_5b に供給し、マスクパルスMcomp_5a ,Mcomp_5b をマスク部654_5に供給する。
補正スイッチ652_5a ,652_5b は、入力端に補正電流レベルレジスタ612_5a ,612A_5b からの補正レベルデータDcomp_5a ,Dcomp_5b が供給され、出力端はDA変換器608の入力端に接続される。補正スイッチ652_5a ,652_5b は補正タイミングパルスTcomp_5a ,Tcomp_5b がアクティブHでオンする。マスク部654_5のマスクスイッチ655_5a ,655_5b はマスクパルスMcomp_5a ,Mcomp_5b がHの期間にチャネルごとのタイミング信号の選択をオンする。
発光波形補正部600A_5の動作について、図9Aを参照して説明する。図9A(1)は、補正を行なう前のレーザ駆動波形とレーザ発光波形を示している。図示のように、レーザ発光波形は、その立上りと立下りの応答速度が遅くなってしまっている。つまりレーザ発光波形における立上りと立下りに波形鈍りが発生している。
図9A(2)は、発光波形補正部600A_5により、立上りと立下りの波形鈍りを軽減し、立上りと立下りの応答を高速化するような補正を行なった場合を示す。図示しないが、マスクパルスMcomp_5a は補正タイミングパルスTcomp_5a を、マスクパルスMcomp_5b は補正タイミングパルスTcomp_5b を、それぞれ論理反転したものである。Tpeak_5は、Tpeakが補正タイミングパルスTcomp_5a でゲートされた後のものである。Tcool_5は、Tcoolが補正タイミングパルスTcomp_5b でゲートされた後のものである。
Tpeak期間に入るときの立上りの応答遅れを改善(応答を高速化)するために、先ず、ピークの基準レベルIpeakよりも高い補正レベルIcomp_5a に対応する補正レベルデータDcomp_5a が補正電流レベルレジスタ612_5a に設定される。
また、補正スイッチ652_5a をオンする補正期間は、Tpeakを基準とし、遅延設定はなし、パルス幅は立上り応答遅れの形状・期間に応じて適切な値が設定される。すなわち、基準タイミング選択部632_5はタイミング信号Tpeakを基準チャネルCH_5a として選択する。遅延設定部634_5a は、遅延時間CD_5a をゼロに設定する。パルス幅設定部636_5a は、立上り応答遅れの形状・期間に応じて適切なパルス幅CT_5a を設定する。これによって、補正タイミング生成部630A_5a は、立上り応答遅れの発生期間・形状に応じた補正タイミングパルスTcomp_5a とマスクパルスMcomp_5a を生成する。
Tpeak期間に入ると直ちに補正タイミングパルスTcomp_5a がアクティブHとなり補正スイッチ652_5a がオンする。補正電流レベルIcomp_5a に相当する補正レベルデータDcomp_5a は補正電流レベルレジスタ612_5a に設定されており、補正前のTpeak期間の立上り直後にまず補正タイミングパルスTcomp_5a により補正スイッチ652_5a をオンすることで、補正レベルデータDcomp_5a がDA変換器608に入力される。この間は、マスクパルスMcomp_5a はLとなり、Tpeakはマスク部654_5のマスクスイッチ655_5a で選択されなくなるので、DpeakはDA変換器608に入力されない。
設定されたパルス幅CT_5a が終わり補正タイミングパルスTcomp_5a がインアクティブLになると補正スイッチ652_5a がオフし、補正レベルデータDcomp_5a のDA変換器608への供給が停止される。これと同時に、マスクパルスMcomp_5a がHとなることでTpeakのマスキングが解除され、DpeakがDA変換器608に入力されるので、レーザ駆動電流はIpeakに切り替わる。
これにより、Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り後の駆動電流を、ピークの基準レベルIpeakよりも高い補正レベルIcomp_5a に上げることができる。その結果、Tcool期間からTpeak期間に入った後の立上り時に、オーバーシュートのような補正電流を加えた駆動波形を生成でき、レーザ発光波形の立上り応答遅れを補正できる。
また、Tcool期間に入るときの立下りの応答遅れを改善(応答を高速化)するために、先ず、クールの基準レベルIcoolよりも低い補正レベルIcomp_5b に対応する補正レベルデータDcomp_5b が補正電流レベルレジスタ612_5b に設定される。
また、補正スイッチ652_5b をオンする補正期間は、Tcoolを基準とし、遅延設定はなし、パルス幅は立下り応答遅れの形状・期間に応じて適切な値が設定される。すなわち、基準タイミング選択部632_5はタイミング信号Tcoolを基準チャネルCH_5b として選択する。遅延設定部634_5b は、遅延時間CD_5b をゼロに設定する。パルス幅設定部636_5b は、立下り応答遅れの形状・期間に応じて適切なパルス幅CT_5b を設定する。これによって、補正タイミング生成部630A_5b は、立下り応答遅れの発生期間・形状に応じた補正タイミングパルスTcomp_5b とマスクパルスMcomp_5b を生成する。
Tcool期間に入ると直ちに補正タイミングパルスTcomp_5b がアクティブHとなり補正スイッチ652_5b がオンする。補正電流レベルIcomp_5b に相当する補正レベルデータDcomp_5b は補正電流レベルレジスタ612_5b に設定されており、補正前のTcool期間の立下り直後にまず補正タイミングパルスTcomp_5b により補正スイッチ652_5b をオンすることで、補正レベルデータDcomp_5b がDA変換器608に入力される。この間は、マスクパルスMcomp_5b はLとなり、Tcoolはマスク部654_5のマスクスイッチ655_5b で選択されなくなるので、DcoolはDA変換器608に入力されない。
設定されたパルス幅CT_5b が終わり補正タイミングパルスTcomp_5b がインアクティブLになると補正スイッチ652_5b がオフし、補正レベルデータDcomp_5b のDA変換器608への供給が停止される。これと同時に、マスクパルスMcomp_5b がHとなることでTcoolのマスキングが解除され、DcoolがDA変換器608に入力されるので、レーザ駆動電流はIcoolに切り替わる。
これにより、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り後の駆動電流を、クールの基準レベルIcoolよりも低い補正レベルIcomp_5b に下げることができる。その結果、Tpeak期間からTcool期間に入った後の立下り時に、アンダーシュートのような補正電流を加えた駆動波形を生成でき、レーザ発光波形の立下り応答遅れを補正できる。駆動電流にオーバーシュート・アンダーシュートを積極的に付加することにより、立上り・立下りの応答を高速化できる。
<波形補正:第2実施形態>
図10〜図12Aは、第2実施形態の発光波形補正部を説明する図である。第2実施形態は、DA変換方式の回路構成で出力される通常の駆動レベル(通常レベル)とは別に補正量を設定し、補正が必要となるタイミングに合わせて通常レベルに対して補正量を注入する(加算または減算する)点に特徴がある。つまり、第1実施形態との違いは、補正レベルとして絶対値を持つのではなく、補正量ΔIの情報を持つことである。
この対処のため、DA変換方式の回路構成をベースに、補正量の情報を記憶する補正量情報記憶部、通常レベルに対して補正量を注入するか否かを切り替える注入切替部を設ける。補正量情報記憶部は補正情報記憶部の第2例である。なお、補正が必要となるタイミング情報がライトストラテジ信号とは独立にドライブ基板側から送信されてこないシステム構成の場合には、さらに、受信したライトストラテジ信号に基づいて、補正が必要となるタイミング情報を生成する補正タイミング生成部(補正期間設定部)を設ける。
また、補正対象期間は一箇所に限らず複数箇所であってもよく、その場合、補正量情報記憶部、補正タイミング生成部、注入切替部は、それぞれに応じた系統のものを設けることで、発光波形の様々な箇所に対して補正を行なうことができる。また、補正対象の波形異常としては、立上り直後のオーバーシュートや、立下り直後のアンダーシュートや、そのアンダーシュート後のオーバーシュートや、立上り・立下りの応答が遅い場合が該当する。これらの点は第1実施形態と同様である。以下、具体的に説明する。
[第1例]
図10は波形補正の第2実施形態(第1例)の構成図、図10Aはその動作説明図である。図10に示すように、第2実施形態(第1例)のレーザ駆動回路200B_1は、発光波形補正部600B_1を備える。発光波形補正部600B_1は、補正情報記憶部610B_1、補正タイミング生成部630B_1、注入切替部670B_1を備える。
補正情報記憶部610B_1は、補正電流量ΔI_1に対応する補正量データΔD_1を記憶する補正電流量レジスタ613_1を具備した補正量情報記憶部の一例である。補正タイミング生成部630B_1は、補正タイミング生成部630A_1と同様に、基準タイミング選択部632_1と、遅延設定部634_1と、パルス幅設定部636_1を有する。注入切替部670B_1は、補正スイッチ672_1と加減算部674_1を有する。なお、補正タイミング生成部630B_1は、補正タイミング生成部630A_1とは異なり、補正期間を示す補正タイミングパルスTdelta_1 を生成するが、マスクパルスは生成しなくてよい。補正タイミング生成部630B_1は、補正タイミングパルスTdelta_1 を補正スイッチ672_1に供給する。
スイッチ回路602のスイッチ603の出力端は共通に加減算部674_1の一方の入力端に接続される。つまり、基準レベル情報記憶部606からの電流レベルデータDiが加減算部674_1の一方の入力端に供給される。補正スイッチ672_1は、入力端に補正情報記憶部610B_1からの補正量データΔD_1が供給され、出力端は加減算部674_1の他方の入力端に接続される。補正スイッチ672_1は、補正タイミングパルスTdelta_1 がアクティブHの期間にオンする。これにより、補正タイミングパルスTdelta_1 がアクティブHのときのみ補正量データΔD_1が加減算部674_1の他方の入力端に供給される。
注入切替部670B_1は、補正量の注入する方向を変更可能に構成する。このため、加減算部674_1は、加算モードと減算モードを切り替える制御信号Mode_1がモード制御入力端に供給される。加算モードと減算モードの切替えは、駆動電流に対する補正方向に対応して設定される。因みに、補正量を正・負の何れにするかと、駆動電流量の補正方向(増加させるのか減少させるのか)に応じて、モードが設定される。ここでは、補正量を正の値として設定するものとして説明する。加減算部674_1は、加算器または減算器の何れか一方に変更し、補正方向は補正量の符号で調整する構成にしてもよい。
加減算部674_1は、加算モード時には双方の入力端のデータの加算結果(=Di+ΔD_1)をDA変換器608に入力し、減算モード時には双方の入力端のデータの減算結果(=Di−ΔD_1)をDA変換器608に入力する。補正タイミングパルスTdelta_1 がアクティブHのときのみ補正量データΔD_1が加減算部674_1の他方の入力端に供給されるので、電流レベルデータDiに対して“±ΔD_1”が有効に機能し補正電流Icomp_1となるのは、補正タイミングパルスTdelta_1 がアクティブHのときのみである。
発光波形補正部600B_1の動作について、図10Aを参照して説明する。図10A(1)は、補正を行なう前のレーザ駆動波形とレーザ発光波形を示している。レベル情報Dcool,Dpeakは、タイミング信号Tcool,Tpeakによって、順次DA変換器608に入力され、Icool,Ipeakの2値のレーザ駆動電流が出力されている。補正対象のレーザ発光波形としては、立上り直後に大きなオーバーシュートを伴った場合である。
図10A(2)は、発光波形補正部600B_1により、オーバーシュートを軽減するような補正を行なった場合を示す。Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り直後に発生するオーバーシュートを抑制するために、立上り直後の駆動電流をピークの電流レベルIpeakから補正電流量ΔI_1だけ低いレベル(=第1実施形態のIcomp_1に相当)にする。このため、補正電流量ΔI_1に対応する補正量データΔD_1が補正情報記憶部610B_1に設定される。また、加減算部674_1に対しては減算モードが設定される。
補正スイッチ672_1をオンする補正期間は、Tpeakを基準とし、遅延設定はなし、パルス幅はオーバーシュートの形状・期間に応じて適切な値が設定される。この点は第1実施形態(第1例)と同様である。これによって、補正タイミング生成部630B_1は、オーバーシュートの発生期間・形状に応じた補正タイミングパルスTdelta_1 を生成する。
Tpeak期間に入ると、その立上り直後には、基準レベル情報記憶部606からDi=Dpeakが加減算部674_1に入力される。つまり、Tpeakによりレベル情報としてDpeakが有効になる。同時に補正タイミングパルスTdelta_1 もアクティブHとなり補正スイッチ672_1がオンすることにより、補正情報記憶部610B_1に設定されている補正電流量ΔI_1に相当する補正量データΔD_1が加減算部674_1に入力される。その結果、加減算部674_1は、ピークの電流レベルデータDpeakから補正量データΔD_1を減算した値をDA変換器608に入力する。よって、DA変換器608から出力されるレーザ駆動電流Icomp_1は“Ipeak−ΔI_1”となる。
設定されたパルス幅CT_1が終わり補正タイミングパルスTdelta_1 がインアクティブLになると補正スイッチ672_1がオフし、補正量データΔD_1の加減算部674_1への供給が停止(解除)される。その結果、加減算部674_1は、ピークの電流レベルデータDpeakをDA変換器608に入力する。よって、DA変換器608の入力データはピークの電流レベルデータDpeakだけとなりレーザ駆動電流はIpeakに切り替わる。
これにより、Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り直後の駆動電流を、ピークの基準レベルIpeakよりも低い補正レベルIcomp_1に下げることができる。この一連の動作により、Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り直後に発生するレーザ発光波形のオーバーシュートを小さく抑えることことができる。
ここでは、Tcool期間からTpeak期間に入るときのオーバーシュートの補正について説明したが、補正対象の波形異常はこれに限らない。図示しないが、第1実施形態(第2例)のように、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り直後のアンダーシュートによってレーザの閾値電流を下回った後に発生するレーザ発光波形のオーバーシュートを小さく抑えるようにしてもよい。この場合、図6A(2)に示した補正レベルIcomp_2に対応する補正量データΔD_2を扱うようにすればよく、加減算部674_2は減算モードで動作すればよい。補正タイミングパルスTdelta_2 がアクティブHの間は、補正スイッチ672_2がオンとなり、補正電流量ΔI_2が本来のクール電流Icoolから減算される。その結果、アンダーシュート後のオーバーシュートを軽減することができる。
また、図示しないが、第1実施形態(第3例)のように、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り直後のアンダーシュートを小さく抑えるようにしてもよい。この場合、図7A(2)に示した補正レベルIcomp_3に対応する補正量データΔD_3を扱うようにすればよく、加減算部674_3(図示せず)は、加算モードで動作すればよい。補正タイミングパルスTdelta_3 がアクティブHの間は、補正スイッチ672_3がオンとなり、補正電流量ΔI_3が本来のクール電流Icoolに印加される。その結果、駆動電流の立下り速度は等価的に抑えられ、アンダーシュートを軽減することができる。
[第2例]
図11は波形補正の第2実施形態(第2例)の構成図、図11Aはその動作説明図である。第2実施形態(第2例)は、第1実施形態(第4例)と同様に、補正回路を複数系統(この例では3系統)備えることにより、レーザ発光波形の複数個所(この例では3箇所)に対して補正を行なうものである。
第2実施形態(第2例)のレーザ駆動回路200B_4は、3系統の発光波形補正部600を持つ発光波形補正部600B_4を備える。各系統については、前述の第1実施形態の第1例〜第3例と同様の考え方を適用するもので、ここでは構成・動作の詳細説明を割愛する。なお、加減算部674_4は、各系統の補正量データΔD_1,ΔD_2,ΔD_3についての入力端と、各制御信号Mode_1,Mode_2,Mode_3に対応するモード制御入力端が設けられる。前述の例に適用すると、加減算部674_4は、Di−ΔD_1−ΔD_2+ΔD_3なる加減算結果をDA変換器608に入力する。
[第3例]
図12は波形補正の第2実施形態(第3例)の構成図、図12Aはその動作説明図である。第2実施形態(第3例)は、レーザ発光波形の複数個所(この例では3箇所)に対して補正を行なうものである点で第2実施形態(第2例)と目的が同一であるが、各箇所の補正電流量ΔIが同じでよい場合への適用例である。補正電流量が同じである点に着目して、その部分の機能部を共通化することで回路構成を簡易にするのである。
第2実施形態(第3例)のレーザ駆動回路200B_6は、3系統の発光波形補正部600を持つ発光波形補正部600B_6を備える。ただし、3系統とは言っても、補正電流量ΔI_6が同じであるので、補正情報記憶部610_6と補正スイッチ672_6は、補正電流量ΔI_6に対応する補正量データΔD_6用の1系統のみでよい。1つの補正スイッチ672_6で3系統について制御するため、補正タイミング生成部630B_6は3入力型のORゲート638を有する。ORゲート638には各系統の補正タイミングパルスTdelta_1 ,Tdelta_2 ,Tdelta_3 が供給され、その出力が補正スイッチ672_6の制御入力端に供給される。これにより、補正スイッチ672_6の制御は、各系統の補正タイミングパルスTdelta_1 ,Tdelta_2 ,Tdelta_3 の論理和結果(Tdelta_6 )で制御される。全てを系統別に設ける場合に対して補正の自由度はないが、補正電流量が同じでよい場合は、補正タイミングだけ複数系統に対応すればよく、回路構成を大幅に削減できる。
[第1・第2実施形態の対比]
補正レベルを持つ第1実施形態は、マスク部654が必要となり、本線のタイミング信号にマスクをかける必要がある点が難点である。一方、補正量を持つ第2実施形態は、マスク部は必要ないものの、加減算部674が必要となる点が難点である。タイミング系は、チャネルクロックのたとえばTw/32(波長405nm程度の青色レーザを利用する次世代DVDの12倍速では約40psec)といった非常に細かい分解能をもった信号を扱う。マスク部にせよ加減算部にせよ、タイミング設計に影響がある。したがって、第1・第2実施形態の何れの構成が好ましいかは、設計によって異なると考えられる。
<波形補正:第3実施形態>
図13〜図13Aは、第3実施形態の発光波形補正部を説明する図である。ここで図13は波形補正の第3実施形態の構成図、図13Aはその動作説明図である。
第3実施形態は、コンベンショナル方式の回路構成への適用例である。ここでは、特に、第2実施形態と同様に、コンベンショナル方式の回路構成で出力される各チャネルの通常の駆動レベル(通常レベル)とは別に補正量を設定し、補正が必要となるタイミングに合わせて通常レベルに対して補正量を注入する(加算または減算する)構成を採る。
図13に示すように、コンベンショナル方式への適用のため、第3実施形態のレーザ駆動回路200Cは、発光波形補正部600Cを備える。発光波形補正部600Cは、各チャネルの出力トランジスタ605をDA変換器608に変更し、各チャネルに波形補正機能を付加する。DA変換器608のフルスケール電流を電流指示信号(Vcool,Verase ,Vpeak,Vod)で与える。基準レベル情報Dref を基準レベル情報記憶部606に記憶しておく。実際に各チャネルから出力されるレーザ駆動電流は、フルスケール電流そのものではなく、フルスケール電流と基準レベル情報Dref に応じた値となる。
各チャネルのオン/オフは、図2A(2)と同様に、タイミング信号(Tcool,Terase ,Tpeak,Tod)で制御される。基準レベル情報Dref のDA変換器608への入力をオン/オフすることによって、各チャネルのオン/オフを実現する。
発光波形補正部600Cは、発光波形補正を行なうために、第2実施形態と同様に、補正電流量ΔIを保持する補正情報記憶部610と、補正タイミング生成部630と、注入切替部670を、チャネルごとに備える。チャネルごとであるので、補正タイミング生成部630Cには基準タイミング選択部632は不要である。図中、クール、イレーズ、ピーク、オーバードライブの各参照子は“cl”,“es”,“pk”,“od”で示す。
各加減算部674は加算モードで動作し、減算は補正情報記憶部610に設定する補正量データΔDを負の値にすることで対処するものとする。この関係を逆にしてもよいし、補正量データΔDの符号を正・負で統一しモード設定で加減算に対処してもよい。
発光波形補正部600Cの動作について、図13Aを参照して説明する。コンベンショナル方式では、たとえば図13A(1)に示すように、クールチャネルを常にオンとし、ピークチャネルをTpeakにしたがってオン/オフすることにより、ピークとクールの2値の変調を行なうことができる。図示のように、レーザ発光波形は、その立上りと立下りの応答速度が遅くなってしまっている。つまりレーザ発光波形における立上りと立下りに波形鈍りが発生している。
図13A(2)は、発光波形補正部600Cにより、立上りと立下りの波形鈍りを軽減し、立上りと立下りの応答を高速化するような補正を行なった場合を示す。一例として、ピークチャネルとクールチャネルの各DA変換器608が8ビットの場合で説明する。
立上りの補正電流の追加は、ピークチャネルで行なう。ピークチャネルは、基準ピークレベルDref_pkは200dec 、補正量データΔD_pkは55dec とする。TpeakのみがアクティブHの場合、ピークチャネルには、「Ipeak=Vpeakで与えられるフルスケール電流×(Dref_pk/255dec )」の駆動電流が流れる。
ここで、立上りに補正電流を追加することから、補正タイミングパルスTdelta_pkとしては、第1実施形態(第5例)と同様に、Tpeakの立上りと同期して始まり、適切な幅をもったパルスとする。つまり、Tpeakを基準とし、遅延設定はなし、パルス幅は立上り応答遅れの形状・期間に応じて適切な値が設定される。
Tpeak期間に入ると、その立上り直後には、基準レベル情報記憶部606_pk からDref_pkが加減算部674_pk に入力される。つまり、Tpeakによりレベル情報としてDref_pkが有効になる。このとき、同時に(直ちに)補正タイミングパルスTdelta_pkもアクティブHとなり補正スイッチ672_pk がオンすることにより、補正情報記憶部610_pk に設定されている補正電流量ΔI_pk に相当する補正量データΔD_pk が加減算部674_pk に入力される。その結果、加減算部674_pk は、ピークの電流レベルデータDref_pkに補正量データΔD_pk を加算した値をDA変換器608_pk に入力する。よって、DA変換器608_pk から出力されるレーザ駆動電流は“Ipeak+ΔI_pk ”となる。ここでは、ΔD_pk を55dec としているので、“Ipeak+ΔI_3”は、Dref_pk=200dec から55dec 分大きい値となる。
これにより、Tcool期間からTpeak期間に入るときの立上り後の駆動電流を、ピークの基準レベルIpeakよりも高い補正レベルIcomp_5a に上げることができる。その結果、Tcool期間からTpeak期間に入った後の立上り時に、オーバーシュートのような補正電流を加えた駆動波形を生成でき、レーザ発光波形の立上り応答遅れを補正できる。
立下りの補正電流の追加は、クールチャネルで行なう。クールチャネルは、基準クールレベルDref_clは255dec 、補正量データΔD_cl は−55dec とする。TcoolのみがアクティブHの場合、クールチャネルには、「Icool=Vcoolで与えられるフルスケール電流×(Dref_cl/255dec )」の駆動電流が流れる。Dref_clはフルスケール(255dec )と同じ値としているので、Vcoolで与えられるフルスケール電流そのものが流れる。
ここで、立下りに補正電流を追加することから、補正タイミングパルスTdelta_clとしては、第1実施形態(第5例)と同様に、Tcoolの立下りと同期して始まり、適切な幅をもったパルスとする。つまり、Tcoolを基準とし、遅延設定はなし、パルス幅は立上り応答遅れの形状・期間に応じて適切な値が設定される。
Tcool期間に入ると、その立下り直後には、基準レベル情報記憶部606_cl からDref_clが加減算部674_cl に入力される。つまり、Tcoolによりレベル情報としてDref_clが有効になる。このとき、同時に(直ちに)補正タイミングパルスTdelta_clもアクティブHとなり補正スイッチ672_cl がオンすることにより、補正情報記憶部610_cl に設定されている補正電流量ΔI_cl に相当する補正量データΔD_cl が加減算部674_cl に入力される。その結果、加減算部674_cl は、クールの電流レベルデータDref_clに補正量データΔD_cl を加算した値をDA変換器608_cl に入力する。よって、DA変換器608_cl から出力されるレーザ駆動電流は“Icool+ΔI_cl ”となる。ここでは、ΔD_cl を−55dec としているので、“Icool+ΔI_cl ”は、Dref_cl=255dec から55dec 分小さい値となる。
これにより、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り後の駆動電流を、クールの基準レベルIcoolよりも低い補正レベルIcomp_5b に下げることができる。その結果、Tpeak期間からTcool期間に入った後の立下り時に、アンダーシュートのような補正電流を加えた駆動波形を生成でき、レーザ発光波形の立下り応答遅れを補正できる。
ここでは、立上り・立下りの応答遅れの補正について説明したが、補正対象の波形異常はこれに限らない。図示しないが、第1実施形態(第1例)のように、Tcool期間からTpeak期間に入るときに発生するレーザ発光波形のオーバーシュートを小さく抑えるようにしてもよい。この場合、ピークチャネルを対象に、図6A(1)に示した補正レベルIcomp_1に対応する補正量データΔD_1を負の値としてピークチャネルの補正情報記憶部610_pk に設定すればよい。対応する補正タイミングパルスTdelta_pkがアクティブHの間は、補正スイッチ672_pk がオンとなり、補正量データΔD_1で規定される補正電流量ΔI_1が基準レベルIpeakから減算され、オーバーシュートを軽減できる。
また、図示しないが、第1実施形態(第2例)のように、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り直後のアンダーシュートによってレーザの閾値電流を下回った後に発生するレーザ発光波形のオーバーシュートを小さく抑えるようにしてもよい。この場合、図6A(2)に示した補正レベルIcomp_2に対応する補正量データΔD_2を負の値としてクールチャネルの補正情報記憶部610_cl に設定すればよい。対応する補正タイミングパルスTdelta_clがアクティブHの間は、補正スイッチ672_cl がオンとなり、補正量データΔD_2で規定される補正電流量ΔI_2が基準レベルIcoolから減算され、オーバーシュートを軽減できる。
<信号インタフェースのシステム構成:第2実施形態>
図14〜図14Aは、第2実施形態の信号インタフェース方式を説明する図である。ここで図14は、第2実施形態の信号インタフェース方式を実現するシステム構成を示す図である。図14Aは第2実施形態のレーザ駆動方式の基本原理を説明する図である。
前述の第1実施形態(第1例)のシステム構成では、ライトストラテジ回路290Xから送られる記録パルス信号は、チャネルクロックよりも細かいタイミング情報を持つものであるが、近年の記録速度向上に伴う次のような課題が問題となる。第1には、パワーレベルの増加により伝送本数が増える点である。第2には、フレキシブル基板51に起因する周波数特性(伝送帯域)のため記録パルス信号を正確に伝送することが困難になる点である。記録パルス信号の間隔が正確に伝送できなくなり、記録速度向上の障害になるのである。
一方、第1実施形態(第2例)のシステム構成では、フレキシブル基板51で伝送される信号は、記録クロックと記録データとなり、何れもチャネルクロック単位の信号である。このため、フレキシブル基板51での伝送特性の影響を受け難く、第1例での問題点が解消される。しかしながら、ライトストラテジ回路290Yには、位相同期回路、メモリ、アドレスエンコーダ、タイミング生成回路を含むので、レーザ駆動回路200Yが大規模になる、消費電力が増え、発熱の問題が発生するなどの難点がある。
そこで、第2実施形態のシステム構成では、レーザ駆動回路の回路規模を第1実施形態(第2例)のシステム構成ほどは増大させることなく、伝送本数や伝送帯域の問題点を解決することのできる仕組みにする。その手法の基本的な考え方は、先ず、ライトストラテジ技術を適用する場合の各タイミングでのレーザ発光のパワーレベル情報(記録波形制御信号パターン)を光ピックアップ14(たとえばレーザ駆動回路200)側で記憶しておく。また、スペースとマークの繰返しの切替りタイミングを示す基準パルスの取得タイミングを規定する情報を含んだリセット信号RS(第1の伝送信号)と、分割された駆動信号(つまりレーザ発光レベル)の切替りタイミングを示す切替えパルスの取得タイミングを規定する情報を含んだエッジ信号ES(第2の伝送信号)を使用する。リセット信号RSとエッジ信号ESを、図1および図1Aのライトストラテジ信号として扱う。記録系に関して、ライトストラテジ回路290をドライブ基板側に配置する第1実施形態(第1例)のシステム構成と同様の信号インタフェース方式を採ることをベースに、信号線の種類を低減して伝送するのである。
ドライブ基板からの2種のパルス信号から基準パルスと切替えパルスを生成し、基準パルスで記録波形制御信号パターンの初期レベルにし、以後切替えパルスごとに記録波形制御信号パターンに従いライトストラテジ技術を適用する発光パワーレベルに切り替える。そして、基準パルスが生成される都度、再度、前記と同様の処理を行なう。このような方式を、本明細書では、シーケンシャル(sequential)方式と称する。シーケンシャル方式は、ライトストラテジ回路290をドライブ基板側に搭載するという点では従前の通常方式と共通するが、フレキシブル基板51を介する信号伝送線の種類が少なくて済む。
図14に示すように、ドライブ基板は、ライトストラテジ回路290の後段に、シーケンシャル対応の伝送信号生成部500を有する。伝送信号生成部500は、ライトストラテジ回路290からのライトストラテジ信号(たとえば4〜5ch)に基づき第1の伝送信号と第2の伝送信号を生成する。伝送信号生成部500は、第1および第2の伝送信号をフレキシブル基板51を介してレーザ駆動回路200に供給する。
光ピックアップ14側のレーザ駆動回路200は、デジタル信号処理部57の伝送信号生成部500と整合するパルス生成部202と、発光波形生成部203と、パワーモニタ回路300を有する。パルス生成部202は、第1および第2の伝送信号に基づいて基準パルスと切替えパルスを生成する。発光波形生成部203は、基準パルスと切替えパルスを使用して記録波形制御信号パターンに従った電流信号を生成する。
図14A(2)に示すように、シーケンシャル方式では、リセット信号RSとエッジ信号ESの2種類の入力信号を使用して、基準パルスとしてのリセットパルスRPと切替えパルスとしてのエッジパルスEPを生成する。リセット信号RSは、ライトストラテジ回路内蔵の構成のレーザ駆動回路における記録波形制御信号パターンの開始エッジ(図14A(1)のエッジパルスEP1)と同じエッジを示す信号である。エッジ信号ESは、それ以外のエッジタイミング(図14A(1)のエッジパルスEP2,EP3,EP4,EP5)を合成したものと同じエッジを示す信号である。
図14A(3)に示すように、メモリ回路の各レジスタに、記録波形制御信号パターンを示す各発光パワーレベルの情報を順に記憶しておく。リセットパルスRPに基づき基準パワーレベルの情報を読み出す。基準パワーレベルの情報に続く各タイミングでの発光パワーレベルの情報は、エッジパルスEPに基づき順に読み出す。
つまり、レーザ駆動回路200内に、高速に動作するリセット機能付のシーケンシャルアクセスメモリを備え、読み出す順番に各パワーレベル情報を保持しておく。そして、切替えパルス(エッジパルスEP)が生成される都度、基準パワーレベルの情報の次から順番に、発光パワーレベルの情報を選択して読み出す。また、どの発光パワーレベルが選択されていても、基準パルス(リセットパルスRP)のリセット機能により、基準パルスが生成されるタイミングで、先頭エリアの情報(基準パワーレベルの情報)を読み出す。
図14Aで示したように、ライトストラテジ回路290で生成される記録波形制御信号パターンを規定する各エッジパルスEP1〜EP5の内、エッジパルスEP1がリセットパルスRPに対応する。そこで、伝送信号生成部500は、エッジパルスEP1に基づき、リセット信号RSを生成する。また、エッジパルスEP2〜EP5がエッジパルスEPに対応するので、伝送信号生成部500は、エッジパルスEP2〜EP5に基づきエッジ信号ESを生成する。
以下、第2実施形態のシステム構成の理解の容易化のため、最初に、シーケンシャル方式の基本的な仕組みについて説明し、その後に、当該システム構成における本実施形態のレーザ発光波形の補正の仕組みについて説明する。
[シーケンシャル方式の基本]
図15〜図16Dは、シーケンシャル方式を採用したレーザ駆動方式の基本的な仕組みを説明する図である。図15は、シーケンシャル方式を実現するドライブ基板側のデジタル信号処理部57に備えられる伝送信号生成部500Vの基本構成例を説明する図である。図15Aは、基本構成の伝送信号生成部500Vの動作を説明する図である。図16は、レーザ駆動回路200V(特に、図1Aの駆動電流制御部47に対応)の基本構成例を説明する図である。図16Aは、基本構成のレーザ駆動回路に使用されるメモリ回路(発光レベルパターン記憶部)の記憶情報と電流スイッチとの関係を説明する図である。図16Bおよび図16Cは、基本構成のレーザ駆動回路200Vの動作を説明する図である。図16Dは、図16Bおよび図16Cに示す記録波形制御信号パターンに対応したメモリ回路のレジスタ設定情報を説明する図である。
基本構成は、記録モード時に、1つの第1の伝送信号および1つの第2の伝送信号をレーザ駆動回路200Vに供給して、ライトストラテジ技術で半導体レーザ41を駆動するものである。第1の伝送信号としては、スペースとマークの繰返しの切替りタイミングを示す基準パルスの取得タイミングがエッジで示されているリセット信号RSを使用する。第2の伝送信号としては、レーザ発光レベルの切替りタイミングを示す切替えパルスの取得タイミングがエッジで示されているエッジ信号ESを使用する。
[回路構成:伝送信号生成部]
図15に示すように、ドライブ基板側の伝送信号生成部500Vは、リセット信号RSを生成するために、RS型フリップフロップ510とD型フリップフロップ512を有する。RS型フリップフロップ510のR入力端にはノンリターンゼロデータNRZIDATAを入力し、S入力端にはエッジパルスEP1を入力する。RS型フリップフロップ510の非反転出力端 Qは、D型フリップフロップ512のクロック入力端CKと接続されている。D型フリップフロップ512の反転出力端xQはD入力端と接続され、1/2分周回路が構成されるようになっている。この伝送信号生成部500の動作例が図15Aに示されている。
RS型フリップフロップ510の非反転出力端 Qは、エッジパルスEP1の立上りエッジに同期してアクティブHとなりノンリターンゼロデータNRZIDATAの立上りエッジに同期してインアクティブLとなる。RS型フリップフロップ510の非反転出力端 Qの出力パルスは、D型フリップフロップ512のクロック入力端CKに供給され1/2に分周される。
RS型フリップフロップ510の非反転出力端 Qの出力パルスをリセット信号RSとすれば、その立上りエッジでリセットパルスRPを規定することになる。RS型フリップフロップ510の反転出力端xQの出力パルスをリセット信号RSとすれば、その立下りエッジでリセットパルスRPを規定することになる。D型フリップフロップ512の非反転出力端 Qや反転出力端xQの出力パルスをリセット信号RSとすれば、その両エッジでリセットパルスRPを規定することになる。よって、リセット信号RSの片エッジでリセットパルスRPを規定するシステム構成にする場合にはD型フリップフロップ512は不要である。
また、伝送信号生成部500Vは、エッジ信号ESを生成するために、4入力型のORゲート520とD型フリップフロップ522を有する。ORゲート520の各入力端には、エッジパルスEP2〜EP5が供給される。ORゲート520の出力端は、D型フリップフロップ522のクロック入力端CKと接続されている。D型フリップフロップ522の反転出力端xQはD入力端と接続され、1/2分周回路が構成されるようになっている。
こうすることで、エッジパルスEP2〜EP5の何れかの立上りエッジに同期して、D型フリップフロップ522の非反転出力端 Qや反転出力端xQは、L,Hが順番に変化する。
よって、D型フリップフロップ522の非反転出力端 Qや反転出力端xQの出力パルスをエッジ信号ESとすれば、その両エッジでエッジパルスEPを規定することになる。
[回路構成:レーザ駆動回路]
図16のように、基本構成のレーザ駆動回路200Vは、リセットパルス生成部210Vとエッジパルス生成部220Vを有するパルス生成部202V、発光レベルパターン記憶部230V、電流源部240、電流スイッチ部250、レーザ駆動部270を備える。リセットパルス生成部210Vは第1パルス生成部の一例で、エッジパルス生成部220Vは第2パルス生成部の一例である。
レーザ駆動回路200Vの内、パルス生成部202Vとレーザ駆動部270を除く部分が記録波形生成部に対応する。レーザ駆動回路200Vには、ドライブ基板側のデジタル信号処理部57に備えられる伝送信号生成部500から、第1の伝送信号としてのリセット信号RSと第2の伝送信号としてのエッジ信号ESが供給される。
パルス生成部202Vは、リセット信号RSとエッジ信号ESを使用して、リセットパルスRPとエッジパルスEPを生成する。たとえば、リセットパルス生成部210Vは、リセット信号RSに基づきリセットパルスRPを生成する。エッジパルス生成部220Vは、エッジ信号ESに基づきにエッジパルスEPを生成する。つまり、リセットパルスRPの生成タイミングはリセット信号RSのエッジに同期し、エッジパルスEPの生成タイミングはエッジ信号ESのエッジに同期させるものである。ここでは、リセットパルスRPおよびエッジパルスEPは何れもアクティブHのパルス信号であるものとする。
リセットパルス生成部210Vは第1エッジ検出部の一例であるエッジ検出回路212を有している。エッジパルス生成部220Vは第2エッジ検出部の一例であるエッジ検出回路222を有している。エッジ検出回路212,222としては、たとえば、NAND(またはAND)ゲートやNOR(またはOR)ゲートやインバータやEX−ORゲートなどのゲート回路を利用するなど公知のものを適用すればよい。非反転型の論理ゲートを遅延素子として使用し、入力パルス信号と遅延素子の出力をEX−ORゲートに入力すると両エッジをアクティブHで検出できる。反転型の論理ゲートを遅延素子として使用し、入力パルス信号と遅延素子の出力を、ANDゲートに入力すると立上りエッジをアクティブHで検出でき、NORゲートに入力すると立下りエッジをアクティブHで検出できる。
リセットパルス生成部210Vは、入力されるリセット信号RSの立上りおよび立下りの何れか一方のエッジ(ここでは立上りエッジ)をエッジ検出回路212により検出してリセットパルスRPを生成し、発光レベルパターン記憶部230Vに供給する(図16B参照)。変形例としては、リセット信号の立上りおよび立下りの双方のエッジを検出してリセットパルスRPを生成してもよい(図16C参照)。
エッジパルス生成部220Vは、エッジ信号ESの立上りと立下りの双方のエッジをエッジ検出回路222により検出してエッジパルスEPを生成し、発光レベルパターン記憶部230Vに供給する。スペースとマークの繰返しの1サイクル当たりに、リセットパルスRPは1つ生成すればよいが、エッジパルスEPは複数生成する必要があるので、エッジ信号ESの両エッジからエッジパルスEPを生成することでエッジ信号ESの周波数を低く抑える。
発光レベルパターン記憶部230Vは、ライトストラテジ技術を適用する場合の各タイミングにおけるレーザ発光のパワーレベル情報(記録波形制御信号パターン)を記憶する。たとえば発光レベルパターン記憶部230Vは、複数のレジスタ232_1〜232_k(纏めてレジスタセット231と称する)と各レジスタ232_1〜232_kの出力に設けられた読出しスイッチ234_1〜234_kを備える。
レジスタセット231は、主記憶部として機能する。各レジスタ232_1〜232_kの出力線や対応する読出しスイッチ234_1〜234_kは、ライトストラテジ技術を適用する際のレーザパワーの多値レベルを設定可能な複数である。多値レベルの数とレジスタ232_1〜232_kの出力線や読出しスイッチ234_1〜234_kの数は同一であってもよいし、デコーダを使用することで異なるようにしてもよい。ここでは同数とする。
発光レベルパターン記憶部230Vは、記録波形制御信号パターンに従って、記録波形制御信号パターンの初期レベルを先頭に各発光パワーレベルの情報やそれに対応する電流スイッチ部250の切替え態様を規定する情報が順にレジスタ232_1〜232_kに記憶される。初期レベルの情報を保持するレジスタ232_1に接続される読出しスイッチ234_1の制御入力端には、リセットパルス生成部210VからリセットパルスRPが供給される。2段目以降のレジスタ232_2,…,232_kに接続される読出しスイッチ234_2,…,234_kの制御入力端には、エッジパルス生成部220VからエッジパルスEPが共通に供給される。読出しスイッチ234_2,…,234_kは、レジスタ232_2,…,232_kの出力をエッジパルスEPごとに順番に選択するシーケンシャルスイッチである。
発光レベルパターン記憶部230Vは、記録モード時に、リセットパルスRP、エッジパルスEP、およびレジスタ232に保存しておいたパワーレベル情報に基づき、電流スイッチ部250の各電流スイッチをオン/オフする複数の電流切替パルスSWを出力する。具体的には、発光レベルパターン記憶部230Vは、レジスタ232_2,…,232_kに保存してあるパワーレベル情報(本例では電流スイッチ部250を制御する電流切替パルスSW)をエッジパルスEPのタイミングで順番に読み出して行く。そしてリセットパルスRPのタイミングで初期レベル(基準レベル)情報を記憶するレジスタ232_1の読出しに戻す。
電流源部240は、基準電流生成部242(基準電流設定レジスタ)と電流出力型のDA変換部244(IDAC)を備えている。基準電流生成部242は、半導体レーザ41の発光パルス波形における記録モード時の多値並びに再生(読取り)モード時のリード(Read)の各パワーレベルに対応するデジタルの各基準電流値を発光レベルパターン記憶部230Vの情報に基づき生成する。たとえば、発光レベルパターン記憶部230Vに、各発光パワーレベルに対応する電流情報を多ビットデジタルデータで設定しておき、各発光パワーレベルに対応する各基準電流生成部242はその電流情報を取り込む。
DA変換部244は、基準電流生成部242で生成された電流情報(デジタルデータ)をアナログに変換して出力する。各DA変換部244には、APC制御部58からフレキシブル基板51を介してレーザパワー指示電圧PWが供給されている。各DA変換部244は、レーザパワー指示電圧PWに基づきDA変換のゲインを調整する。半導体レーザ41の発光パワーは、レーザパワー指示電圧PWに応じた一定値にフィードバック制御される。
電流スイッチ部250は、記録モード時に、DA変換部244にてアナログ信号に変換された各パワー基準電流の何れか1つもしくは任意の組合せ(重畳)にするべく、電流スイッチ252(Current SW)を備えている。電流スイッチ部250は、発光レベルパターン記憶部230Vから読み出された複数のレベル情報(具体的には電流切替パルスSW)に基づき電流スイッチ252をオン/オフすることで発光パワーを制御する。
記録モード時の多値レベルとしては、本例では、クール(Cool)、イレーズ(Erase )、ピーク(Peak)、オーバードライブ(Over Drive)の4値を採用している(図16A、図16Bを参照)。これに対応して、基準電流生成部242は、4つのレベルの基準電流を生成する各別の基準電流生成部242C,242E,242P,242OD、並びにリード用の基準電流生成部242Rを備えている。DA変換部244としては、基準電流生成部242にて生成された各基準電流をアナログ信号に変換するべく、それぞれDA変換部244C,244E,244P,244OD,244Rを備えている。電流スイッチ252も、各別に252C,252E,252P,252OD,252Rを備える。
基準電流生成部242が生成する各基準電流としては、たとえば図16Aに示すように、クール、イレーズ、ピーク、オーバードライブの4値のそれぞれに対応する各別のIc,Ie,Ip,Iodにする。これに応じて、電流スイッチ252を制御する電流切替パルスSWの出力パターン情報も発光レベルパターン記憶部230Vに記憶される。記録モード時には、4値レベルを制御するために、発光レベルパターン記憶部230Vの各レジスタ232からは4種の電流切替パルスSW_1〜SW_4が出力される。クール、イレーズ、ピーク、オーバードライブの別に基準電流Ic,Ie,Ip,Iodが対応する電流スイッチ252C,252E,252P,252ODに供給される。よって、4種の電流切替パルスSW_1〜SW_4の何れか1つをアクティブにして1つの電流スイッチ252をオンすればよい。
レーザ駆動部270は、レーザ切替回路272とドライバ回路274を有する。レーザ切替回路272としては、一例として、CD系統用の第1半導体レーザ41_1、DVD系統用の第2半導体レーザ41_2、次世代DVD系統用の第3半導体レーザ41_3の3系統を切り替える3入力−1出力型のスイッチを有している。ドライバ回路274は、第1半導体レーザ41_1を駆動する第1ドライバ回路274_1、第2半導体レーザ41_2を駆動する第2ドライバ回路274_2、第3半導体レーザ41_3を駆動する第3ドライバ回路274_3を有する。レーザ駆動部270は、CD,DVD,次世代DVDの3種類の記録媒体用の半導体レーザ41_1,41_2,41_3に対応しており、記録媒体によって半導体レーザ41を切り替える。
このような構成により、レーザ駆動回路200Vは、半導体レーザ41の閾値電流を供給するバイアス電流と複数の電流パルスの組合せによりライトストラテジ技術が適用される多値パワーの発光波形を生成するようにしている。図示しないレーザパワー制御系(APC制御系)では、半導体レーザ41のレーザパワーが、この多値パワーの発光波形となるように、多値パワーを制御する。
[動作:基本構成]
図16Bと図16Cに示すように、書込み用のデータ入力はノンリターンゼロデータNRZIDATAであるものとする。スペース長は2Tで、マーク長は2T以上(図では2T,3T,4T,5Tを例示)であるとする。最高速信号は2T繰返しとなる。
ライトストラテジ技術を適用するとき、各スペース長2Tにおいて、前半の1T時にはクールレベル、後半の1T時にはイレーズレベルにする。マーク長2T時において、前半の1T時にはイレーズレベル、後半の1T時にはオーバードライブレベルにする。マーク長3T時において、1番目の1T時にはイレーズレベル、2番目の1T時にはオーバードライブレベル、3番目の1T時にはピークレベルにする。
マーク長4T時において、1番目の1T時にはイレーズレベル、2番目の1T時にはオーバードライブレベル、3番目の1T時にはピークレベル、4番目の1T時にはオーバードライブレベルにする。マーク長5T時において、1番目の1T時にはイレーズレベル、2番目の1T時にはオーバードライブレベル、3番目の1T時にはピークレベル、4番目の1T時にはピークレベル、5番目の1T時にはオーバードライブレベルにする。つまり、マーク長5T時には、3〜4番目の2T時にはピークレベルを維持し、その後の5番目の1T時にオーバードライブレベルに遷移する。
また、マーク長に関わらず、スペースの後半からマークの1番目にかけての2T時にはイレーズレベルを維持し、その後の1T時にオーバードライブレベルに遷移する。各発光パワーレベルには、O.D.>Peak>Erase >Coolの関係がある。
このような記録波形制御信号パターンに対応して、図16Dに示すように、1段目のレジスタ232_1には初期レベルとしてクールレベルの情報を記憶する。2段目のレジスタ232_2にはイレーズレベル、3段目のレジスタ232_2にはオーバードライブレベル、4段目のレジスタ232_2にはピークレベル、5段目のレジスタ232_5にはオーバードライブ、の各情報を記憶する。
1つのリセット信号RSと1つのエッジ信号ESを入力パルス信号として使用する。1つのリセット信号RSの立上りエッジまたは立上りエッジおよび立下りエッジに基づきリセットパルスRPを生成する。1つのエッジ信号ESの両エッジに基づきエッジパルスEPを生成する。そして、発光レベルパターン記憶部230Vの各レジスタ232_1〜232_5に記憶した各パワーレベル情報を先頭エリア(本例ではクール)から順番に読み出していく。たとえば、リセットパルスRPがアクティブHのときに読出しスイッチ234_1をオンさせて1段目のレジスタ232_1のパワーレベル情報を読み出す。この後、エッジパルスEPがアクティブHとなる都度、シーケンシャルスイッチ構成の読出しスイッチ234_2〜234_5を順番にオンさせてレジスタ232_2〜232_5のパワーレベル情報を順番に読み出す。
たとえば、マーク長4Tやマーク長5Tの記録時には、順番に全てのパワーレベル情報を読み出すと、クール→イレーズ→オーバードライブ→ピーク→オーバードライブの順でレーザ発光パワーが切り替わる。
ノンリターンゼロデータNRZIDATAのマーク長によっては全てのレベルを出力することはなく、たとえば、マーク長2Tの記録時には、オーバードライブからクールにパワーを遷移させる必要が生じる。その場合、クールにしたいオーバードライブ直後のタイミングでリセットパルスRPがアクティブHとなるようにリセット信号RSを供給することで、オーバードライブの次にクールの情報が読み出される。同様に、マーク長3Tの記録時には、ピークからクールにパワーが遷移するように、クールにしたいピーク直後のタイミングでリセットパルスRPがアクティブHとなるようにリセット信号RSを供給すればよい。
次に、この第2実施形態(シーケンシャル方式)のシステム構成における本実施形態のレーザ発光波形の補正の仕組みについて説明する。なお、通常レベルデータに補正量データを注入(加算または減算)する方式で説明するが、通常レベルデータと補正レベルデータを切り替える方式にすることも可能である。
<波形補正:第4実施形態>
図17は波形補正の第4実施形態の構成図、図17Aはその動作説明図である。図17に示すように、第4実施形態のレーザ駆動回路200D_3は、発光波形補正部600D_3を備える。発光波形補正部600D_3は、補正情報記憶部610D_3(補正量情報記憶部の一例)と、補正タイミング生成部630D_3と、注入切替部670D_3を備える。
電流源部240D_3は、記録系統の各基準電流生成部242とDA変換部244の間に加減算器675を具備した加減算部674を備える。加減算器675は、補正対象の電流チャネルのルート上に設けられる。たとえばクール電流Icoolに補正を加える場合であれば、基準電流生成部242CとDA変換部244Cの間に加減算器675が設けられ、その他は直接に接続される。なお、電流量を増加させる補正を行なう加算モードでの動作とするには加減算器675には加算モードを設定し、電流量を減少させる補正を行なう減算モードでの動作とするには加減算器675には減算モードを設定する。
補正情報記憶部610D_3は、電流源部240の基準電流生成部242と同様の構成をしており、補正電流生成部613_3を備える。補正電流生成部613_3は補正電流量ΔI_3に対応する補正量データΔDD_3を生成する。
補正タイミング生成部630D_3は、補正タイミング生成部630A_3と同様に、基準タイミング選択部632_3と、遅延設定部634_3と、パルス幅設定部636_3を有する。注入切替部670D_3は、補正スイッチ672_3を有する。補正タイミング生成部630D_3は、補正タイミングパルスTdelta_3 を補正スイッチ672_3に供給する。
基準タイミング選択部632_3は、パルス生成部202Dで生成(再生)されたエッジパルスEPとリセットパルスRPから、基準とするタイミングパルスを選択する。補正タイミング生成部630D_3は、その基準タイミングパルスからの遅延時間CD_3とパルス幅CT_3を設定して補正タイミングパルスTdelta_3 を生成し、補正スイッチ672_3のオン/オフを制御する。
補正スイッチ672_3は、入力端に補正電流生成部613_3からの補正量データΔDD_3が供給され、出力端が加減算部674(の加減算器675)に接続される。第2実施形態と同様に、通常レベルデータに補正量データを注入(加算または減算)する方式である。補正スイッチ672_3がオンの間、元来の電流量のデータに補正量データΔDD_3が加減算されることにより、発光波形の補正機能を実現できる。
発光波形補正部600D_3の動作について、図17Aを参照して説明する。図17A(1)は、補正を行なう前のレーザ駆動波形とレーザ発光波形を示している。ここでは、レーザ発光波形における、立下り直後の大きなアンダーシュートを補正対象とする。図17A(2)は、発光波形補正部600D_3により、Tpeak期間からTcool期間に入るときの立下り直後のアンダーシュートを小さく抑える補正を行なった場合を示す。ここでは、電流量を増加させる補正を行なう加算モードでの動作とするために、加減算器675には加算モードを設定する。
図17A(2)の下段に示すように、シーケンシャル方式の原理に基づき、エッジ信号ESとリセット信号RSの各遷移は交互に入力される。それに従い、クール電流Icoolとピーク電流Ipeakは交互にオン/オフを繰り返し、クールとピークの2値の変調を実現する。
Tcool期間に遷移する立下り直後のアンダーシュートの補正を行なうので、補正タイミング生成部630D_3は、リセット信号RSの遷移を基準とし、遅延なしで適切な幅を持たせた補正タイミングパルスTdelta_3 を生成する。
補正タイミングパルスTdelta_3 がアクティブHの間は、補正スイッチ672_3がオンとなり、クール電流Icoolを与える基準電流生成部242Cによる元来の電流量のデータI_1に補正量データΔDD_3が加算されてからDA変換部244Cに供給される。その結果、駆動電流はクール電流Icoolよりも補正電流量ΔI_3だけ増加し、駆動電流の立下り速度は等価的に抑えられ、アンダーシュートを軽減できる。
なお、ここで示した構成は、第2実施形態と同様に、通常レベルデータに補正量データを注入(加算または減算)する方式であるが、第1実施形態と同様に、通常レベルデータと補正レベルデータを切り替える方式の構成にすることもできる。
<波形補正:第5実施形態>
図18は波形補正の第5実施形態の構成図、図18Aはその動作説明図である。先ず、ベースとなるレーザ駆動回路の変形部分について説明する。第5実施形態のレーザ駆動回路200Eは、発光レベルパターン記憶部230Eを具備する発光波形生成部203Eを備える。発光レベルパターン記憶部230Eは、レジスタ232の発光パワー情報を電流レベル情報そのものとしている。レジスタ232の発光パワー情報を電流レベル情報そのものとし、これを順次切り替えて電流源部240Eに供給するものである。これにより、電流源部240Eの構成は、基準電流生成部242とDA変換部244がそれぞれ1つの簡易なものとなり、電流スイッチ部250は不要となる。
このような構成に適用される第5実施形態の発光波形補正部600Eは、補正情報記憶部610Eと、補正タイミング生成部630Eと、注入切替部670を備える。各機能部の構成自体は、第2実施形態(第1例)のものと相違ない。
ベースの発光波形生成部203Eでは、リセット信号RSとエッジ信号ESの遷移によって発光レベルパターン記憶部230に格納された電流レベル情報が順番に読み出されるので、実態としては、DA変換方式と同様の動作となる。したがって、発光波形補正部600Eとして第2実施形態の各例と同様の構成をとることで、同様の作用効果が得られる。
<信号インタフェースのシステム構成:第3実施形態>
図19は、第3実施形態の信号インタフェース方式を実現するシステム構成を示す図である。前記実施形態では、光装置の一例として光ディスクODを記録媒体(メディア)に使用する記録再生装置(光ディスク装置)を例に説明したが、光装置は記録再生装置に限らない。高周波のパルス電流で負荷を駆動する各種のパルス電流生成回路に前記実施形態の技術思想を適用可能である。
光ファイバを用いた光通信装置における発光装置であってもよく、これについても前記実施形態と同様の仕組みを適用できる。要するに、レーザ光の発光制御に当たり、発光波形に異常を発生するものであれば、どのようなものにも、その波形異常を補正する前記実施形態の仕組みを適用可能である。光変調により光ディスクへの情報記録を行なう光ディスク装置に搭載される半導体レーザ駆動回路や、光変調により情報を送信する光通信装置など、半導体レーザの変調を利用する分野全般に適用できる。第3実施形態は、このような観点から、第1〜第2実施形態の発光波形補正機能を光通信システムに適用する。
光通信システム700Vでは、図19(1)に示すように、たとえばデータ送信装置710とデータ受信装置730との間が有線方式であれば光ケーブル708で接続される。データ送信装置710には、送信対象データを生成するデータ生成部712と、レーザ素子718を駆動する出力回路714(出力段)が設けられる。このような構成において、たとえば高速シリアル伝送を行なう場合、レーザ素子718を駆動する駆動電流に、オーバーシュートやアンダーシュートやリンギングや応答遅れなどの波形異常が発生し得る。
第3実施形態の光通信システム700Fは、図19(2)に示すように、第1〜第2実施形態と同様の作用(図19(3))をなす第6実施形態の発光波形補正部600Fを設ける。発光波形補正部600Fは、補正タイミング生成部630Fと駆動信号補正部690Fを有する。補正情報記憶部610Fは、補正対象の波形異常に応じてた適切な遅延量とパルス幅の補正パルスを生成し駆動信号補正部690Fに供給する。駆動信号補正部690Fは、通常レベルデータと補正レベルデータを切り替える第1実施形態の方式、通常レベルデータに補正量データを注入する第2〜第5実施形態の方式の何れでもよい。