JP5377283B2 - 偏光板、画像表示装置、及び偏光板の製造方法 - Google Patents
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Description
この親水化処理はケン化処理と言われるもので、一般的には濃度が1mol/L以上のアルカリ溶液に浸漬し、その後、酸溶液で中和する等の方法により行われる。この際に、光学機能層側の表面もアルカリ溶液に晒されるため、光学機能層の機能自体が損なわれる場合があった。例えば、帯電防止性能の付与のため導電性化合物を用いた帯電防止性フィルムの場合、アルカリ溶液により導電性化合物の導電性が失われ、所望の機能が得られないことがあった。そのため、帯電防止性能を有する光学フィルムにおいては、上記のようなアルカリ溶液の処理により導電性を低下させないこと、即ち耐薬品性が高いことが非常に重要であり、これらを達成する技術が強く望まれている。
また、特許文献4では、帯電防止剤の表面窒素原子量を規定することで平滑性とすべり性に優れる光学フィルムを得ることが開示されているが、耐薬品性に関する技術については予見されておらず、十分な耐薬品性を有していないことが予想される。
本発明の別の目的は、帯電防止性に優れ、かつ耐薬品性にも優れた光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、該光学フィルムを用いた反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置を提供することにある。
<1>
偏光膜と、その両側に二枚の保護フィルムを有する偏光板であって、前記二枚の保護フィルムの少なくとも一方が、
セルロースアシレートフィルム上に、親水性を有する導電性化合物を含む帯電防止層を有する光学フィルムであって、
前記帯電防止層中、前記導電性化合物は、前記帯電防止層の表面側領域より内部に偏在している光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
<2>
前記親水性を有する導電性化合物が、イオン導電性化合物又は電子伝導性化合物であることを特徴とする<1>に記載の偏光板。
<3>
前記イオン導電性化合物が、4級アンモニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする<2>に記載の偏光板。
<4>
前記4級アンモニウム塩基を有する化合物が、下記一般式(I)〜(III)で表される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーであることを特徴とする<3>に記載の偏光板。
一般式(I)中、R 1 は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又は−CH 2 COO - M + を表す。Yは水素原子又は−COO - M + を表す。Mはプロトン又はカチオンを表す。Lは−CONH−、−COO−、−CO−又は−O−を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。Qは下記群Aから選ばれる基を表す。
式中、R 2 、R 2 '及びR 2 "は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。X - はアニオンを表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
一般式(II)、(III)中、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、それぞれ独立に、アルキル基を表し、R 3 とR 4 及びR 5 とR 6 はそれぞれ互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R 7 COR 8 −、−R 9 COOR 10 OCOR 11 −、−R 12 OCR 13 COOR 14 −、−R 15 −(OR 16 ) m −、−R 17 CONHR 18 NHCOR 19 −、−R 20 OCONHR 21 NHCOR 22 −又は―R 23 NHCONHR 24 NHCONHR 25 −を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R 7 COR 8 −、−R 9 COOR 10 OCOR 11 −、−R 12 OCR 13 COOR 14 −、−R 15 −(OR 16 ) m −、−R 17 CONHR 18 NHCOR 19 −、−R 20 OCONHR 21 NHCOR 22 −又は―R 23 NHCONHR 24 NHCONHR 25 −又は−NHCOR 26 CONH−を表す。R 7 、R 8 、R 9 、R 11 、R 12 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 、R 19 、R 20 、R 22 、R 23 、R 25 及びR 26 はアルキレン基を表す。R 10 、R 13 、R 18 、R 21 及びR 24 は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。X ‐ はアニオンを表す。
Z 1 、Z 2 は−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N + [X - ]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
<5>
元素分析(ESCA)による前記帯電防止層の表面側領域の窒素又は硫黄原子量が0.5〜5mol%であることを特徴とする<3>又は<4>に記載の偏光板。
<6>
元素分析(ESCA)による前記帯電防止層の窒素又は硫黄原子量が、下記式(1)を満たすことを特徴とする<3>〜<5>のいずれか1項に記載の偏光板。
式(1) β/α>2.5
式(1)中、α、βは元素分析により求めた帯電防止層中の窒素又は硫黄原子量で、帯電防止層中の総窒素又は硫黄原子量を100mol%としたときの、αは帯電防止層の表面側領域の窒素又は硫黄原子量を表し、βはセルロースアシレートフィルム側領域での窒素又は硫黄原子量を表す。
<7>
前記β/αが、6.5>β/α>2.5を満たすことを特徴とする<6>に記載の偏光板。
<8>
前記光学フィルムの全ヘイズ値が0.1%以上1%未満で、かつJISB0601に基づく算術平均粗さRaが0.03μm以下であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載の偏光板。
<9>
前記帯電防止層の厚さが6μm〜20μmであることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1項に記載の偏光板。
<10>
前記帯電防止層が、前記導電性化合物、重合性基を二つ以上有する多官能モノマー、光重合開始剤、下記一般式(IV)又は(V)で表されるカーボネート溶剤を含有する組成物を硬化させた層であることを特徴とする<1>〜<9>のいずれか1項に記載の偏光板。
式中、R a 、R b は、それぞれ独立して、アルキル基を表す。R c はアルキレン基を表す。
<11>
前記重合性基を二つ以上有する多官能モノマーが、アクリルロイル基、メタアクリロイル基、及び−C(O)OCH=CH 2 から選ばれるいずれかの基であることを特徴とする<10>に記載の偏光板。
<12>
前記光学フィルムが、前記帯電防止層上に、前記帯電防止層より屈折率の低い低屈折率層を有する反射防止フィルムであることを特徴とする<1>〜<11>のいずれか1項に記載の偏光板。
<13>
<1>〜<12>のいずれか1項に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
<14>
偏光膜と、その両側に二枚の保護フィルムを有する偏光板の製造方法であって、前記二枚の保護フィルムの少なくとも一方が、
セルロースアシレートフィルム上に帯電防止層を有する光学フィルムであって、
親水性を有する導電性化合物、重合性基を二つ以上有する多官能モノマー、光重合開始剤、下記一般式(IV)又は(V)で表されるカーボネート溶剤を含有する組成物を前記セルロースアシレートフィルム上に塗布し硬化させることで前記帯電防止層中、前記導電性化合物が、前記帯電防止層の表面側領域より内部に偏在している帯電防止層を形成することを特徴とする偏光板の製造方法。
式中、R a 、R b は、それぞれ独立して、アルキル基を表す。R c はアルキレン基を表す。
<15>
前記親水性を有する導電性化合物が、イオン導電性化合物又は電子伝導性化合物であることを特徴とする<14>記載の偏光板の製造方法。
<16>
前記イオン導電性化合物が、4級アンモニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする<15>に記載の偏光板の製造方法。
<17>
前記4級アンモニウム塩基を有する化合物が、一般式(I)〜(III)で現される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーであることを特徴とする<16>に記載の偏光板の製造方法。
一般式(I)中、R 1 は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又は−CH 2 COO - M + を表す。Yは水素原子又は−COO - M + を表す。Mはプロトン又はカチオンを表す。Lは−CONH−、−COO−、−CO−又は−O−を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。Qは下記群Aから選ばれる基を表す。
式中、R 2 、R 2 '及びR 2 "は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。X - はアニオンを表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
一般式(II)、(III)中、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、それぞれ独立に、アルキル基を表し、R 3 とR 4 及びR 5 とR 6 はそれぞれ互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R 7 COR 8 −、−R 9 COOR 10 OCOR 11 −、−R 12 OCR 13 COOR 14 −、−R 15 −(OR 16 ) m −、−R 17 CONHR 18 NHCOR 19 −、−R 20 OCONHR 21 NHCOR 22 −又は―R 23 NHCONHR 24 NHCONHR 25 −を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R 7 COR 8 −、−R 9 COOR 10 OCOR 11 −、−R 12 OCR 13 COOR 14 −、−R 15 −(OR 16 ) m −、−R 17 CONHR 18 NHCOR 19 −、−R 20 OCONHR 21 NHCOR 22 −又は―R 23 NHCONHR 24 NHCONHR 25 −又は−NHCOR 26 CONH−を表す。R 7 、R 8 、R 9 、R 11 、R 12 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 、R 19 、R 20 、R 22 、R 23 、R 25 及びR 26 はアルキレン基を表す。R 10 、R 13 、R 18 、R 21 及びR 24 は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。X ‐ はアニオンを表す。
Z 1 、Z 2 は−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N + [X - ]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
本発明は、上記<1>〜<17>に関するものであるが、その他の事項(たとえば下記[1]〜[17]に記載した事項など)についても参考のために記載した。
セルロースアシレートフィルム上に、親水性を有する導電性化合物を含む帯電防止層を有する光学フィルムであって、
前記帯電防止層中、前記導電性化合物は、前記帯電防止層の表面側領域より内部に偏在していることを特徴とする光学フィルム。
[2]
前記親水性を有する導電性化合物が、イオン導電性化合物又は電子伝導性化合物であることを特徴とする[1]に記載の光学フィルム。
[3]
前記イオン導電性化合物が、4級アンモニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4]
前記4級アンモニウム塩基を有する化合物が、下記一般式(I)〜(III)で表される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーであることを特徴とする[3]に記載の光学フィルム。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R7COR8−、−R9COOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16)m−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R7COR8−、−R9COOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16)m−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−又は−NHCOR26CONH−を表す。R7、R8、R9、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20、R22、R23、R25及びR26はアルキレン基を表す。R10、R13、R18、R21及びR24は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。X‐はアニオンを表す。
Z1、Z2は−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N+[X-]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
[5]
元素分析(ESCA)による前記帯電防止層の表面側領域の窒素又は硫黄原子量が0.5〜5mol%であることを特徴とする[3]又は[4]に記載の光学フィルム。
[6]
元素分析(ESCA)による前記帯電防止層の窒素又は硫黄原子量が、下記数式(1)を満たすことを特徴とする[3]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルム。
式(1) β/α>2.5
式(1)中、α、βは元素分析により求めた帯電防止層中の窒素又は硫黄原子量で、帯電防止層中の総窒素又は硫黄原子量を100mol%としたときの、αは帯電防止層の表面側領域の窒素又は硫黄原子量を表し、βはセルロースアシレートフィルム側領域での窒素又は硫黄原子量を表す。
[7]
前記光学フィルムの全ヘイズ値が0.1%以上1%未満で、かつJIS B0601に基づく算術平均粗さRaが0.03μm以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルム。
[8]
前記帯電防止層の厚さが6μm〜20μmであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の光学フィルム。
[9]
前記帯電防止層が、前記導電性化合物、重合性基を二つ以上有する多官能モノマー、光重合開始剤、下記一般式(IV)又は(V)で表されるカーボネート溶剤を含有する組成物を硬化させた層であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の光学フィルム。
[10]
前記重合性基を二つ以上有する多官能モノマーが、アクリルロイル基、メタアクリロイル基、及び−C(O)OCH=CH2から選ばれるいずれかの基であることを特徴とする[9]に記載の光学フィルム。
[11]
セルロースアシレートフィルム上に帯電防止層を有する光学フィルムの製造方法であって、
親水性を有する導電性化合物、重合性基を二つ以上有する多官能モノマー、光重合開始剤、下記一般式(IV)又は(V)で表されるカーボネート溶剤を含有する組成物を前記セルロースアシレートフィルム上に塗布し硬化させることで前記帯電防止層を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
[12]
前記親水性を有する導電性化合物が、イオン導電性化合物又は電子伝導性化合物であることを特徴とする[11]記載の光学フィルムの製造方法。
[13]
前記イオン導電性化合物が、4級アンモニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする[11]又は[12]に記載の光学フィルムの製造方法。
[14]
前記4級アンモニウム塩基を有する化合物が、一般式(I)〜(III)で現される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーであることを特徴とする[13]に記載の光学フィルムの製造方法。
[15]
[1]〜[10]のいずれかに記載の光学フィルム光学フィルム上に、前記帯電防止層より屈折率の低い低屈折率層を有することを特徴とすることを特徴とする反射防止フィルム。
[16]
偏光膜と、その両側に二枚の保護フィルムを有する偏光板であって、前記二枚の保護フィルムの少なくとも一方が、[1]〜[10]のいずれかに記載の光学フィルム、又は[15]に記載の反射防止フィルムであることを特徴とする偏光板。
[17]
[1]〜[10]のいずれかに記載の光学フィルム、[15]に記載の反射防止フィルム、又は[16]に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
このように、帯電防止層において、特定の導電性化合物をセルロースアシレートフィルム側に偏在させることにより、帯電防止性と耐薬品性に優れた光学フィルムが得られる。
本明細書において、「セルロースアシレートフィルム側領域」(以下、「基材側領域」とも言う)とは、帯電防止層の前記「帯電防止層の表面側領域」以外の領域であり、帯電防止層の最表面からの深さが0.5μm〜1μmの領域のことを指す。
本発明の光学フィルムの帯電防止層において、導電性化合物は、上記の「表面側領域」より内部に偏在させる。本明細書において、導電性化合物が帯電防止層の内部に偏在するとは、導電性化合物が「表面側領域」よりも「セルロースアシレートフィルム側領域」に多く存在していることをいう。導電性化合物は「表面側領域」に存在する量に対して「セルロースアシレートフィルム側領域」に存在する量の比が2.5より大きいことが好ましい。
導電性化合物の存在量は、帯電防止層中の窒素又は硫黄原子量を測定することで見積もることができる。帯電防止層中において、「表面側領域」の窒素又は硫黄原子量に対する「セルロースアシレートフィルム側領域」の窒素又は硫黄原子量の比は2.5より大きいことが好ましい
上記の導電性化合物の偏在は、帯電防止層を形成する際に用いる溶剤の種類、量の選択、また帯電防止塗布液の濃度等により達成することができるが、特定の親水性溶剤を用いる方法には本発明の特定の導電性化合物を偏在させ易く、更に面状を良好にできる点で好ましい方法である。
親水性溶剤を用いた場合に導電性化合物が偏在し易い理由は詳細には判明していないが、本発明の導電性化合物は親水性を有しているために親水性溶剤との親和性が高く、更に溶剤の基材溶解性(セルロースアシレートフィルムの溶解性)が高い場合、溶剤との親和性によってセルロースアシレートフィルム(基材)の界面へと引き寄せられることに起因していると考えている。したがって、親水性かつ基材溶解性の高い溶剤では、原理的には導電性化合物が帯電防止層内部に偏在し、耐薬品性に優れた光学フィルムが得られる可能性はあるが、溶剤によっては導電性化合物の偏在が達成されないこともある。後述するように、本発明では、特定のカーボネート系溶剤を用いることが好ましい。
なお、本発明の光学フィルムの帯電防止層において、導電性化合物は上記の「表面側領域」より内部に偏在させるが、導電性化合物は帯電防止層中全体に存在し、帯電防止層内部に導電性化合物が存在する層と存在しない層との界面は存在しない。
(光学フィルムの層構成)
本発明の光学フィルムは、セルロースアシレートフィルム上に帯電防止層を有し、更に目的に応じて、必要な機能層を単独又は複数層設けてもよい。例えば、光学フィルムの物理強度を更に高めるためにハードコート層を有したり、光学干渉によって反射率が減少するように各層の屈折率、膜厚、層順及び層の数等を考慮して積層したりした光学フィルムを挙げることができる。
透明支持体/帯電防止層
透明支持体/帯電防止層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止層/ハードコート層
透明支持体/帯電防止層/防眩層
透明支持体/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止層/ハードコート層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
透明支持体/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
本発明の光学フィルムにおいては、透明支持体(基材)としてセルロースアシレートフィルムを用いる。
セルロースアシレートフィルムであれば、特に限定されないが、ディスプレイに設置する場合は、セルローストリアセテートフィルムを偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてそのまま用いることができるため、生産性やコストの点でセルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。
セルロースアシレートフィルムの厚さは、通常、25μm〜1000μm程度であるが、取り扱い性が良好で、かつ必要な基材強度が得られる40μm〜200μmが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。更にセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明の光学フィルムの帯電防止層は、親水性を有する導電性化合物を含有する。
親水性を有する導電性化合物を用いることにより、該導電性化合物を基材側領域に偏在させることができ、耐薬品性を向上させることができる。
導電性化合物に親水性を持たせるため、親水性基を導電性化合物に導入してもよく、親水性基としては、高い導電性を発現させ、かつ比較的安価である観点から、カチオン性基を有することが好ましく、中でも4級アンモニウム塩基を有することがより好ましい。
本発明に用いられる導電性化合物は、親水性を有していれば特に制限はないが、イオン導電性化合物又は電子伝導性化合物が挙げられる。
イオン導電性化合物としては、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性等のイオン導電性化合物が挙げられる。電子伝導性化合物としては、芳香族炭素環又は芳香族ヘテロ環を、単結合又は二価以上の連結基で連結した非共役高分子又は共役高分子である電子伝導性化合物が挙げられる。
これらの中では帯電防止性能が高く、比較的安価で、更に基材側領域に偏在させる観点から、4級アンモニウム塩基を有する化合物(カチオン系化合物)が好適である。
高分子型の4級アンモニウム塩基を有するカチオン化合物としては、公知化合物の中から適宜選択して用いることができるが、基材側領域に偏在させる観点から、下記一般式(I)〜(III)で現される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーが好ましい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R7COR8−、−R9COOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16)m−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R7COR8−、−R9COOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16)m−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−又は−NHCOR26CONH−を表す。R7、R8、R9、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20、R22、R23、R25及びR26はアルキレン基を表す。R10、R13、R18、R21及びR24は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。X‐はアニオンを表す。
Z1、Z2は−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N+[X-]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
アルキル基は、炭素数1〜4の分岐又は直鎖のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましい。
アルキレン基は、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
アリーレン基は、炭素数6〜15のアリーレン基が好ましく、フェニレン、ジフェニレン、フェニルメチレン基、フェニルジメチレン基、ナフチレン基がより好ましく、フェニルメチレン基が特に好ましい、これらの基は置換基を有していてもよい。
アルケニレン基は、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、アリーレンアルキレン基は、炭素数6〜12のアリーレンアルキレン基が好ましい、これらの基は置換基を有していてもよい。
各基に置換してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
Yは、好ましくは水素原子である。
Jは、好ましくはフェニルメチレン基である。
Qは、好ましくは群Aから選ばれる下記一般式(VI)であり、R2、R2'及びR2"は各々メチル基である。
X-は、ハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオンなどが挙げられ、好ましくはハロゲンイオンであり、より好ましくは塩素イオンである。
p及びqは、好ましくは0又は1であり、より好ましくはp=0、q=1である。
A、B及びDは、好ましくはそれぞれ独立に、炭素数2〜10の置換又は無置換のアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基を表し、好ましくはフェニルジメチレン基である。
X-は、ハロゲンイオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオンなどが挙げられ、好ましくはハロゲンイオンであり、より好ましくは塩素イオンである。
Eは、好ましくはEは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基を表す。
Z1、Z2が、−N=C−基とともに形成する5員又は6員環としては、ジアゾニアビシクロオクタン環等を例示することができる。
好ましくはポリ(パラフェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)が挙げられ、より好ましくはポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール又はこれらの誘導体、更に好ましくはポリチオフェン及びその誘導体の少なくともいずれかが挙げられる。
一般に、電子伝導性化合物は水を主成分とする溶媒に溶解することから、化合物としては親水性を有するが、このような電子伝導性化合物を有機溶剤に可溶化するには、電子伝導性化合物を含む組成物中に、有機溶剤との親和性を上げる化合物(例えば可溶化補助剤等)や有機溶剤中での分散剤等を添加する、あるいは疎水化処理したポリアニオンドーパントを用いることにより、有機溶剤に可溶化することができる。これらの方法により本発明で示される有機溶剤へも溶解可能となるが、化合物としての親水性は残っており、本発明の方法を適用すれば導電性化合物の偏在が可能である。
式(1) β/α>2.5
式(1)中、βは元素分析により求めた帯電防止層中の窒素又は硫黄原子量で、帯電防止層中の総窒素又は硫黄原子量を100mol%としたときの、αは帯電防止層の表面側領域の窒素又は硫黄原子量を表し、βはセルロースアシレートフィルム側領域での窒素又は硫黄原子量を表す。
β/α>2.5であると、良好な帯電防止性と耐薬品性が得られるため好ましい。より好ましくは6.5>β/α>2.5である。
ESCAによる元素分析は、予めエッチング速度を決めておいた帯電防止層の表面から、一定深さづつ層をエッチングして元素分析を行い、これを繰り返して表面から内部側への深さ方向への組成変化を測定する。組成変化を検出するためのエッチング方法には制限が無いが、有機物層の深さ方向の組成変化を測定する場合は、C60イオン銃を用いたエッチングによる測定は、試料の損傷を少なくできるため好ましい。
塗布組成物には、更に、重合性基を二つ以上有する多官能モノマーや光重合開始剤を含有させて、塗布後、多官能モノマーを硬化させることで帯電防止層を形成してもよい。このように帯電防止層を形成すると、層の硬度が向上し、膜強度や耐擦傷性を改善することができる。
(重合性基を二つ以上有する多官能モノマー)
本発明では、塗布組成物に重合性不飽和基を2つ以上有する多官能モノマーを含むことが好ましい。該重合性不飽和基を2つ以上有する多官能モノマーは、硬化剤として機能することができ、帯電防止剤との併用により導電性と塗膜の強度や耐擦傷性を両立させることが可能となる。重合性不飽和基は2つ以上であり、3つ以上であることがより好ましい。
非含フッ素多官能モノマーについては、特開2009−98658号公報の段落[0114]〜[0122]に記載されており、本発明においても同様である。
本発明の帯電防止層を形成するためには、塗布組成物に光重合開始剤が含まれることが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
本発明においては、基材側領域に導電性化合物を偏在させ、良好な帯電防止性と耐薬品性を得る観点で、塗布組成物に一般式(IV)又は一般式(V)で表されるカーボネート系溶剤を含有することが好ましい。
式中、Ra、Rbは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、RCは炭素数2又は2のアルキレン基が好ましい。
炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。一般式(1)の溶剤として具体的には、例えば、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボーネート、ジイソプロピルカーボネート、非対称の例としては、メチルエチルカーボネート、メチルn−プロピルカーボネート、エチルn−プロピルカーボネートが挙げられる。
炭素数2又は3のアルキレン基としては、エチレン基、イソプロピレン基が挙げられる。一般式(2)の溶剤としては、具体的には、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレンが挙げられる。
一般式(IV)又は一般式(V)で表されるカルボネート系溶剤の沸点は、85℃以上が好ましく、90℃以上140℃以下であることが、耐薬品性向上の観点から好ましい。
一般式(IV)又は一般式(V)で表されるカルボネート系溶剤のなかでも、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネートが好ましく、ジメチルカーボーネートがより好ましい。
本発明の帯電防止層又は帯電防止層形成用の塗布組成物には各種の界面活性剤を使用することも好適である。一般的に界面活性剤は乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制したり、帯電防止層の表面凹凸や塗布物のハジキを改良できることがある。更には、帯電防止化合物の分散性を向上させることで、より安定で高い導電性を発現できる場合があり好適である。
(1)1+cosθH2O=2√γsd(√γH2Od/γH2Ov)+2√γsh(√γH2Oh/γH2Ov)
(2)1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2d/γCH2I2v)+2√γsh(√γCH2I2h/γCH2I2v)
ここで、γH2O d=21.8°、γH2O h=51.0°、γH2O v=72.8°、γCH2I2 d=49.5°、γCH2I2 h=1.3°、γCH2I2 v=50.8°である。
前記界面活性剤は、帯電防止層形成用塗布組成物の全固形分中に0.01〜0.5質量%含有されることが好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましい。
本発明の帯電防止層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることができる。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
更に、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組み合わせて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
また、本発明に用いることができるバインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。屈折率差を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
本発明における帯電防止層用組成物は、導電性化合物、重合性基を二つ以上有する多官能モノマー、光重合開始剤及びカーボネート系溶剤を含有することが好ましい。
帯電防止層を形成するための塗布組成物における各成分の好ましい含有量について説明する。なお、ここで含有量とは塗布組成物中の全固形分に対する各成分の固形分の比率(質量%)である。導電性化合物の含有量は、0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜30質量%が更に好ましく、1〜20質量%が最も好ましい。重合性基を二つ以上有する多官能モノマーの含有量は50〜99質量%が好ましく、75〜99質量%が更に好ましく、80〜97質量%が最も好ましい。光開始剤の含有量は1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
導電性化合物の含有量が上記範囲にあると、十分な帯電防止効果と耐薬品性を得ることができ、膜強度が弱めることもない。重合性基を二つ以上有する多官能モノマーが50質量%以上であれば、十分な膜強度が得られる。光開始剤の含有量が1質量%以上であると硬化反応が促進し、十分な膜強度が得られる。
全溶剤含有量が30質量%より少ないと、本発明の効果が得られ難いことや組成物が高粘度となるためにレベリング性が低下し面状が悪化するため好ましくない。また、全溶剤含有量が80質量%より多いと、本発明の効果は得られるが、所定の膜厚を達成するための塗布量が増大し、乾燥時間が長くなることで生産性を低下させることがあり好ましくない。
本発明における帯電防止層は、屈折率が1.48〜1.65であることが好ましい。更に望ましくは1.48〜1.60、最も好ましくは1.48〜1.55である。上記範囲内とすることで基材との干渉ムラを抑制し、更に低屈折率層を積層した際の反射色味をニュートラルにすることができるため好ましい。
本発明の光学フィルムの硬度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
全ヘイズ値としては0.1%以上0.5%未満がより好ましい。Raは0.001μm以上0.015μm以下であることがより好ましい。
このような表面抵抗率とするための帯電防止層における導電性化合物の含有量は、帯電防止剤の種類により異なるが、イオン導電性化合物の場合0.1〜3.5g/m2であることが好ましく、0.5〜2.5g/m2であることがより好ましい。電子伝導性化合物の場合は、0.01〜1.0g/m2であることが好ましく、0.05〜0.5g/m2であることがより好ましい。
本発明の光学フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
まず帯電防止層形成用組成物が調製される。次に、該組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥する。マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号公報参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
本発明の光学フィルムには、フィルムの物理的強度を更に高めるために、ハードコート層を設けることもできる。本発明の帯電防止層がハードコート層を兼ねることも好適であるが、より高いハードコート性を付与する目的で、ハードコート層を設けることもできる。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
本発明では前記帯電防止層とは別に表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの硬度、耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で防眩層を形成してもよい。
防眩層については特開2009−98658号公報の段落[0178]〜[0189]に記載されており、本発明においても同様である。
この際、ハードコート層と帯電防止層の2層を一回の塗布工程で同時に塗布形成することにより低コストで高い生産性を得る事が可能となる。一回の塗布工程で2層を同時に形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、特開2007−293302号公報の段落番号[0032]〜[0056]等に記載の方法を利用することができる。
高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.20であることが好ましく、1.70〜1.80であることがより好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整される。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.65であることが好ましく、1.58〜1.63であることが更に好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層の形成方法は化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、オールウェット塗布による方法が好ましい。
本発明の光学フィルムは、前記帯電防止層上に直接又は他の層を介して低屈折率層を有することが好ましい。この場合、本発明の光学フィルムは、反射防止フィルムとして機能することができる。
この場合、低屈折率層は、屈折率が1.30〜1.51であることが好ましい。1.30〜1.46であることが好ましく、1.32〜1.38が更に好ましい。上記範囲内とすることで反射率を抑え、膜強度を維持することができ、好ましい。低屈折率層の形成方法も化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により、無機物酸化物の透明薄膜を用いることもできるが、低屈折率層用組成物を用いてオールウェット塗布による方法を用いることが好ましい。
光学フィルムを偏光膜の表面保護フィルム(偏光板用保護フィルム)として用いる場合、薄膜層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化する、所謂ケン化処理を行うことで、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良することができる。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、光学フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
本発明の光学フィルムの帯電防止層は、このようなケン化処理によってアルカリ水溶液に晒されても、帯電防止性能が良好に保たれる。
次に、本発明の偏光板について説明する。
本発明の偏光板は、偏光膜と該偏光膜の両面を保護する2枚の保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムの少なくとも一方が本発明の光学フィルム又は反射防止フィルムであることを特徴とする。
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルム、反射防止フィルム又は偏光板をディスプレイの最表面に有する。
本発明の光学フィルム、反射防止フィルム及び偏光板は液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いることができる。
特に、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、透過型/半透過型液晶表示装置において、液晶セルのバックライト側の最表層に用いることが特に好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
以下に本発明に関する各種測定法と、評価結果の基準を示す。
25℃、60%RH条件下に試料を2時間置いた後に超絶縁抵抗/微小電流計TR8601((株)アドバンテスト製)を用いて測定し、表面抵抗値の常用対数(logSR)で示した。logSRがより低い方が良好であり、本発明においては10以下であることが好ましい。
(2)鉛筆硬度評価
JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。光学フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する試験用鉛筆を用いて評価した。本発明においては、3H以上であることが好ましい。
(3)密着性評価
JIS K 5400に記載の碁盤目剥離法にて評価を行った。即ち、サンプル表面に1mm間隔で100個の碁盤目を入れ、セロファンテープ(ニチバン(株)製)で密着試験を行った。新しいセロファンテープを貼った後に剥離し、碁盤目中のマスの剥離が無いものが90%以上のものを○、剥離が無いものが50%以上90%未満の場合を△、それ以下は×とした。
(4)ヘイズ測定
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製 NDH2000)にて、25℃60%RH環境下でヘイズ値を測定した。ヘイズ値は0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
(5)表面粗さ測定
試料表面の中心線平均粗さ(Ra)をJIS−B0601(1982)に準じて、小坂研究所(株)製、サーフコーダー MODEL SE−3Fを用いて測定した。測定条件は、評価長さ2.5mm、カットオフ0.08mm、速度0.5mm/秒、探針径2μm、荷重30μNで行った。
(6)耐薬品性試験
試験サンプルを40℃に加温した水酸化ナトリウム水溶液(2.5N)に1.5分間浸漬処理し、その後20℃の純水で30秒洗浄した。そのサンプルを更に25℃の硫酸水溶液(0.1N)に30秒浸漬し、再度20℃の純水で30秒洗浄して耐薬品性試験を行った。試験前のlogSRとの差分をΔlogSRが小さい方が耐薬品性が良好なことを意味し、ΔlogSRが0.3以下であることが好ましい。
(7)導電性化合物の偏在性評価(α、βの測定)
ESCA(株式会社島津製作所 ESCA−3400)を用い、励起X線はMgKα (1253.6eV)、X線径は8mm、X線出力は12kVであり、光電子脱出確度は35°で測定を行った。C60イオンエッチングは10kV、10nAで行い、各々の領域についてサンプル最表層から100nm深さ毎にエッチングした後の元素分析を行い、各領域での窒素又は硫黄原子量を各々の総原子量に対してmol%を算出した。αは帯電防止層の最表面から深さが0.5μmまでの原子量を測定し、それら深さでの窒素又は硫黄原子量のmol%から平均値を算出してαとした。βは帯電防止層の表面からの深さが0.5μmから深さ1μmでの原子量を測定し、それら深さでの窒素又は硫黄原子量のmol%から平均値を算出してβとした。
導電性化合物の溶剤分散物A 6.8質量部、DPHA 38.6質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル44.6質量部、ジメチルカーボネート 8.7質量部、光重合開始剤Irg.127(商品名イルガキュア127、チバ・ジャパン(株)製)1.3質量部を容器に添加し、撹拌の後、孔径1.0μmのポリプロピレン製フィルターでろ過し、帯電防止組成物を調整した。
・分散物A:IP−9の固形分30.7%溶液、溶剤はプロピレングリコールモノメチルエーテルとイソプロピルアルコールの質量比が30:70のもの
・分散物B:IP−13の固形分30.7%溶液、溶剤はプロピレングリコールモノメチルエーテルとイソプロピルアルコールの質量比が30:70のもの
・DPHA:商品名 KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製)
・Irg.127:商品名 イルガキュア127(チバ・ジャパン(株)製)
・PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製)
・IPA:イソプロピルアルコール(和光純薬工業(株)製)
・DMC:ジメチルカーボネート(東京化成(株)製)
・DEC:ジエチルカーボネート(和光純薬工業(株)製)
中空シリカ粒子微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シエル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5部加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、分散液(E)を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2%の分散液(F)を得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
各成分を表2のように混合し、メチルエチルケトンに溶解して固形分5%の低屈折率層用塗布液Ln1を作製した。
・「P−1」:特開2004−45462号公報に記載の含フッ素共重合体P−3(質量平均分子量約50000)
・RMS−033:メタクリロキシ変性シリコーン(Gelest(株)製)
層厚80μmの透明支持体としてのセルローストリアセテートフィルム(TD80UF、富士フィルム(株)製、屈折率1.48)上に、前記帯電防止層形成用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。60℃で約2分乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量120mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmの帯電防止層を形成し、光学フィルムを作製した(試料No.HC1〜HC11)。
上記で得られた各水準試料(試料No.HC1〜HC11)の半分に対し、上述した耐薬品性試験を行いサンプルを作製した。
本文記載の方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表3に示す。
ポリスチレンスルホン酸(分子量約10万)の2質量%の水溶液1000mlに、8.0gの3,4−エチレンジオキシチオフェンを加え20℃で混合した。この混合液に、酸化触媒液100ml(15質量%の過硫酸アンモニウムと4.0質量%の硫酸第二鉄を含む)を添加した後に、20℃で3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に1000mlのイオン交換水を添加した後に、限外ろ過法を用いて約1000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に100mlの硫酸水溶液(10質量%)と1000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約1000mlの溶液を除去した。得られた液に1000mlのイオン交換水を加えた後、限外ろ過法を用いて約1000mlの液を除去した。この操作を5回繰り返した。これにより約1.1質量%のPEDOT・PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸)の水溶液を得た。固形分濃度をイオン交換水で調整して、1.0質量%の水溶液とし、導電性化合物の溶液(A)を調製した。
各成分を下記表4のように混合し、メチルエチルケトン、IPA及びカーボネート系溶剤の混合溶媒に溶解して固形分濃度30質量%の帯電防止層用塗布液H12〜14を作製した。
また、試料No.HC1の耐薬品性試験後のサンプル作製と同様の方法で、耐薬品性試験後のサンプルを作製した。
前述の方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表5に示す。
Claims (17)
- 偏光膜と、その両側に二枚の保護フィルムを有する偏光板であって、前記二枚の保護フィルムの少なくとも一方が、
セルロースアシレートフィルム上に、親水性を有する導電性化合物を含む帯電防止層を有する光学フィルムであって、
前記帯電防止層中、前記導電性化合物は、前記帯電防止層の表面側領域より内部に偏在している光学フィルムであることを特徴とする偏光板。 - 前記親水性を有する導電性化合物が、イオン導電性化合物又は電子伝導性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
- 前記イオン導電性化合物が、4級アンモニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする請求項2に記載の偏光板。
- 前記4級アンモニウム塩基を有する化合物が、下記一般式(I)〜(III)で表される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーであることを特徴とする請求項3に記載の偏光板。
一般式(I)中、R1は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又は−CH2COO-M+を表す。Yは水素原子又は−COO-M+を表す。Mはプロトン又はカチオンを表す。Lは−CONH−、−COO−、−CO−又は−O−を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。Qは下記群Aから選ばれる基を表す。
式中、R2、R2'及びR2"は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。X-はアニオンを表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
一般式(II)、(III)中、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、アルキル基を表し、R3とR4及びR5とR6はそれぞれ互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R7COR8−、−R9COOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16)m−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R7COR8−、−R9COOR10OCOR11−、−R12OCR13COOR14−、−R15−(OR16)m−、−R17CONHR18NHCOR19−、−R20OCONHR21NHCOR22−又は―R23NHCONHR24NHCONHR25−又は−NHCOR26CONH−を表す。R7、R8、R9、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19、R20、R22、R23、R25及びR26はアルキレン基を表す。R10、R13、R18、R21及びR24は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。X‐はアニオンを表す。
Z1、Z2は−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N+[X-]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。 - 元素分析(ESCA)による前記帯電防止層の表面側領域の窒素又は硫黄原子量が0.5〜5mol%であることを特徴とする請求項3又は4に記載の偏光板。
- 元素分析(ESCA)による前記帯電防止層の窒素又は硫黄原子量が、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の偏光板。
式(1) β/α>2.5
式(1)中、α、βは元素分析により求めた帯電防止層中の窒素又は硫黄原子量で、帯電防止層中の総窒素又は硫黄原子量を100mol%としたときの、αは帯電防止層の表面側領域の窒素又は硫黄原子量を表し、βはセルロースアシレートフィルム側領域での窒素又は硫黄原子量を表す。 - 前記β/αが、6.5>β/α>2.5を満たすことを特徴とする請求項6に記載の偏光板。
- 前記光学フィルムの全ヘイズ値が0.1%以上1%未満で、かつJIS B0601に基づく算術平均粗さRaが0.03μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記帯電防止層の厚さが6μm〜20μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏光板。
- 前記重合性基を二つ以上有する多官能モノマーが、アクリルロイル基、メタアクリロイル基、及び−C(O)OCH=CH2から選ばれるいずれかの基であることを特徴とする請求項10に記載の偏光板。
- 前記光学フィルムが、前記帯電防止層上に、前記帯電防止層より屈折率の低い低屈折率層を有する反射防止フィルムであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の偏光板。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
- 偏光膜と、その両側に二枚の保護フィルムを有する偏光板の製造方法であって、前記二枚の保護フィルムの少なくとも一方が、
セルロースアシレートフィルム上に帯電防止層を有する光学フィルムであって、
親水性を有する導電性化合物、重合性基を二つ以上有する多官能モノマー、光重合開始剤、下記一般式(IV)又は(V)で表されるカーボネート溶剤を含有する組成物を前記セルロースアシレートフィルム上に塗布し硬化させることで前記帯電防止層中、前記導電性化合物が、前記帯電防止層の表面側領域より内部に偏在している帯電防止層を形成することを特徴とする偏光板の製造方法。
式中、Ra、Rbは、それぞれ独立して、アルキル基を表す。Rcはアルキレン基を表す。 - 前記親水性を有する導電性化合物が、イオン導電性化合物又は電子伝導性化合物であることを特徴とする請求項14記載の偏光板の製造方法。
- 前記イオン導電性化合物が、4級アンモニウム塩基を有する化合物であることを特徴とする請求項15に記載の偏光板の製造方法。
- 前記4級アンモニウム塩基を有する化合物が、一般式(I)〜(III)で現される構造単位の少なくとも1つの単位を有するポリマーであることを特徴とする請求項16に記載の偏光板の製造方法。
一般式(I)中、R 1 は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又は−CH 2 COO - M + を表す。Yは水素原子又は−COO - M + を表す。Mはプロトン又はカチオンを表す。Lは−CONH−、−COO−、−CO−又は−O−を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。Qは下記群Aから選ばれる基を表す。
式中、R 2 、R 2 '及びR 2 "は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。Jはアルキレン基又はアリーレン基を表す。X - はアニオンを表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
一般式(II)、(III)中、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は、それぞれ独立に、アルキル基を表し、R 3 とR 4 及びR 5 とR 6 はそれぞれ互いに結合して含窒素複素環を形成してもよい。
A、B及びDは、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R 7 COR 8 −、−R 9 COOR 10 OCOR 11 −、−R 12 OCR 13 COOR 14 −、−R 15 −(OR 16 ) m −、−R 17 CONHR 18 NHCOR 19 −、−R 20 OCONHR 21 NHCOR 22 −又は―R 23 NHCONHR 24 NHCONHR 25 −を表す。Eは単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、アリーレンアルキレン基、−R 7 COR 8 −、−R 9 COOR 10 OCOR 11 −、−R 12 OCR 13 COOR 14 −、−R 15 −(OR 16 ) m −、−R 17 CONHR 18 NHCOR 19 −、−R 20 OCONHR 21 NHCOR 22 −又は―R 23 NHCONHR 24 NHCONHR 25 −又は−NHCOR 26 CONH−を表す。R 7 、R 8 、R 9 、R 11 、R 12 、R 14 、R 15 、R 16 、R 17 、R 19 、R 20 、R 22 、R 23 、R 25 及びR 26 はアルキレン基を表す。R 10 、R 13 、R 18 、R 21 及びR 24 は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アリーレンアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選ばれる連結基を表す。mは1〜4の正の整数を表す。X ‐ はアニオンを表す。
Z 1 、Z 2 は−N=C−基とともに5員又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、≡N + [X - ]−なる4級塩の形でEに連結してもよい。
nは5〜300の整数を表す。
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