JP2011215424A - 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止性、塵埃(埃など)の付着防止を目的とした帯電防止性、密着性が高く、耐擦傷性など高い物理強度を有し、均一な面状を確保することが可能で生産性に優れた、反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】透明支持体上に、ハードコート層、少なくとも1層の無機微粒子含有層、及び屈折率1.5以下の低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、前記少なくとも1層の無機微粒子含有層のうち少なくとも1層が、導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層であり、前記無機微粒子が該無機微粒子に対して0.1〜20質量%の表面処理剤により被覆されている、反射防止フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、該反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)などのような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。そのため反射防止フィルムには、高い物理強度(硬度や耐擦傷性など)、透明性、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。更にまた、ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が、反射防止フィルムの表面に付着するのを防止するために帯電防止性が要求される。
反射防止フィルムとしては、透明支持体上に、膜厚と屈折率を制御した反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など)を有する構成を有し、反射防止層に屈折率の制御のために無機微粒子が添加されるものが一般的である。更に、上記のような要求される諸性能を付与するために、反射防止層以外にもハードコート層や導電性層など、各種機能性層が設けられる。
例えば、透明支持体上に、ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順に有する反射防止フィルムで、該ハードコート層に、無機微粒子と導電性高分子を含有させたものが知られている(特許文献1参照)。
しかし、良好な帯電防止性を発現させるためには導電性材料を少なくともその添加層表面に偏析させることが望まれるが、ハードコート層は一般的に膜厚がミクロンオーダーと厚いため、特許文献1の反射防止フィルムでは、ハードコート層表面に導電性高分子を偏析させようとするとより多く添加する必要である。更に、導電性高分子には、重合性基を有さない構造が多く、特許文献1のように、表面に偏析する導電性高分子を含むハードコート層の上に他の層を積層すると、該層とハードコート層との密着性に乏しくなり、優れた反射防止フィルムであるとはいえない。
また、ハードコート層や反射防止層以外に、導電性層又は導電性材料を含む機能性層を有する層を別途設けた反射防止フィルムが知られている(特許文献2〜5参照)。
特許文献2には、基材フィルム上に、樹脂層、ハードコート層、及び低屈折率層を設け、該樹脂層に導電性ポリマー又は導電性無機微粒子を用いて導電性を付与した反射防止フィルムが記載されている。特許文献3には、ハードコート層と反射防止層との間に、導電性高分子を用いた導電性層を有する反射防止フィルムが記載されている。特許文献4には、基材フィルムとハードコート層との間に、導電性高分子を含んだ中間層を有する反射防止フィルムが記載されている。
しかし、特許文献2や4のように、導電性層上にハードコート層及び反射防止層を有する構成の場合、フィルム最表面と導電性層との距離が遠くなり、十分な帯電防止能が得られないことがある。また、特許文献2〜4の反射防止フィルムでは、反射防止に適切なフィルム構成に更に1層導電性層を設けることになるので、1層分のコストが高くなるだけではなく、各層の屈折率制御が複雑となり、反射防止能及び生産性に優れたフィルムを作製するのが難しくなる。
特開2005−148376号公報 特開2008−26493号公報 特開2008−152245号公報 特開2009−134238号公報
上記のように、導電性材料を用いた反射防止フィルムは種々提案されているが、導電性の無機微粒子は屈折率の自由度が少ないため、各層の屈折率制御が必要な反射防止フィルムにおいて生産性に劣る場合がある。また、導電性高分子を用いる場合、他層との密着性の低下を抑えることが望まれる。更に、より生産性、均一性に優れたな反射防止フィルムを提供するために、レベリング剤を添加し、均一な塗工及び乾燥を行う場合がある。しかし、これらをすべて満足する反射防止フィルムを作製すると、無機微粒子と導電性高分子の組み合わせ方によっては、膜の均一性が悪化し、色味が劣ったり色味ムラが生じたりすることもあるため、十分な帯電防止性を発現させるとともに、反射防止性能に加えて、均一な面状を確保して色味が良くかつ色味ムラの発生が抑えられていることも望まれる。
本発明は、上記のような事情を鑑みてなされたもので、反射防止性、塵埃(埃など)の付着防止を目的とした帯電防止性、密着性が高く、耐擦傷性など高い物理強度を有し、均一な面状を確保することが可能で、色味が良くかつ色味ムラの発生が抑えられ、生産性に優れた、反射防止フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、該反射防止フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の通りである。
(1)
透明支持体上に、ハードコート層、少なくとも1層の無機微粒子含有層、及び屈折率1.5以下の低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、
前記少なくとも1層の無機微粒子含有層のうちの少なくとも1層が、導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層であり、前記無機微粒子が該無機微粒子に対して0.1〜20質量%の表面処理剤により被覆されている、反射防止フィルム。
(2)
前記無機微粒子が、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、及びケイ素の少なくとも1つの酸化物を含む、(1)記載の反射防止フィルム。
(3)
前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層の厚さが、0.001〜1μmである、(1)又は(2)記載の反射防止フィルム。
(4)
前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層が、前記低屈折率層に直接接している、(1)〜(3)のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
(5)
前記表面処理剤、下記一般式(I)で表される化合物で表される化合物である、(1)〜(4)のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
一般式(I):(R10−Si(X)4−m
(式中、R10はアルキル基又はアリール基を表す。Xは水酸基又は加水分解可能な基を表す。mは0〜3の整数を表す。R10又はXが複数存在するとき、該複数のR10又はXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
(6)
前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層の屈折率が1.5より大きく2.1以下である、(1)〜(5)のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
(7)
前記少なくとも1層の無機微粒子含有層が、屈折率が1.5より大きく1.7以下の無機微粒子含有層と、屈折率が1.7より大きく2.1以下の無機微粒子含有層とを有し、
前記反射防止フィルムが、前記ハードコート層、前記屈折率が1.5以上1.7未満の無機微粒子含有層、前記屈折率が1.7以上2.1未満の無機微粒子含有層、及び前記低屈折率層を、前記透明支持体上にこの順で有する、(1)〜(5)のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
(8)
前記屈折率が1.7より大きく2.1以下の無機微粒子含有層が、前記導電性高分子と表面処理された無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層である、(7)記載の反射防止フィルム。
(9)
(1)〜(8)のいずれか一項記載の反射防止フィルムの製造方法であって、
無機微粒子を表面処理剤を用いて表面処理する工程と、
導電性高分子と表面処理された無機微粒子層とを含有する無機微粒子含有層を、有機溶剤を主成分とし、前記表面処理された無機微粒子が分散し、かつ前記導電性高分子が溶解した塗布液を塗布して形成する工程とを含む、反射防止フィルムの製造方法。
(10)
(1)〜(8)のいずれか一項記載の反射防止フィルムを有する偏光板。
(11)
(1)〜(8)のいずれか一項記載の反射防止フィルム、又は(10)記載の偏光板を有する画像表示装置。
(12)前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層表面の表面張力が15〜35mN/mである、(1)〜(8)のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
(13)前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層が、表面張力が15〜50mN/mである塗布液を用いて形成される、(1)〜(8)及び(12)のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
(14)前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層の水に対する接触角が40度以上110度以下であること、(1)〜(8)及び(12)〜(13)のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
(15)前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する記載の無機微粒子含有層に、フッ素系ポリマーを含有する、(1)〜(8)及び(12)〜(14)のいずれか一項に記載の反射防止フィルム。
本発明によれば、帯電防止性能に優れ、生産性に優れ、フィルムの密着性が高く、耐擦傷性に優れ、均一な面状を有し、色味が良くかつ色味ムラの発生が抑えられた反射防止フィルムを得ることができる。本発明の反射防止フィルム又は偏光板を備えたディスプレイ装置(画像表示装置)は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、視認性が極めて高い。
以下、本発明の反射防止フィルムについて説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
[反射防止フィルム]
本発明の反射防止フィルムは、透明支持体上に、ハードコート層、少なくとも1層の無機微粒子含有層、及び屈折率1.5以下の低屈折率層をこの順で有し、前記少なくとも1層の無機微粒子含有層のうち少なくとも1層が、導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層である。そして、前記無機微粒子が表面処理剤により表面処理されている。即ち、該無機微粒子に対して0.1〜20質量%の表面処理剤により被覆されている。
<反射防止フィルムの層構成>
本発明の反射防止フィルムは、上記のとおり、透明支持体上に、ハードコート層、少なくとも1層の無機微粒子含有層、及び屈折率が1.5以下の低屈折率層をこの順に有する。更に、目的に応じて、その他の機能性層を単独若しくは複数設けることができる。
本発明に係る無機微粒子含有層とは、ハードコート層及び屈折率が1.5以下の低屈折率層とは別に、無機微粒子を含有する層を指す。具体的には、中屈折率層や高屈折率層などの反射防止層や、更に導電性高分子を含有することによる帯電防止層を兼ねた反射防止層、及び耐擦傷性を付与する密着層などが挙げられる。無機微粒子含有層の無機微粒子は、主に層の屈折率の制御や表面物性制御、及び各層の密着性付与のために用いられ、そのために無機微粒子の種類、含有量等が適宜調整することがきる。
本発明に係る無機微粒子含有層の層数は、本発明の反射防止フィルムの目的・機能によって、適宜層数を調整することが可能である。好ましくは1〜3層、より好ましくは1〜2層であり、更に好ましくは2層であり、そのうち少なくとも1層は導電性高分子及び表面処理された無機微粒子を含有する。
本発明に係る無機微粒子含有層のうち導電性高分子及び表面処理された無機微粒子が含有する無機微粒子含有層は、帯電防止性の観点から、低屈折率層に直接接していることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい態様としては、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して、透明支持体上、ハードコート層、無機微粒子含有層、及び低屈折率層などが積層された反射防止フィルムを挙げることができる。
本発明の反射防止フィルムは、最も単純な構成では、透明支持体上に、ハードコート層、1層の無機微粒子含有層、及び低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、透明支持体又はハードコート層よりも屈折率の高い高屈折率層と、透明支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。反射防止層の構成例としては、透明支持体側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(透明支持体又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する透明支持体上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
上記反射防止層が、高屈折率層/低屈折率層の2層構成や中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の3層構成の場合、本発明に係る無機微粒子含有層が高屈折率層や中屈折率層であることが好ましく、導電性高分子及び表面処理された無機微粒子を有する無機微粒子含有層が高屈折率層であることがより好ましい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。
・透明支持体/ハードコート層/無機微粒子含有層/低屈折率層
・透明支持体/ハードコート層/無機微粒子含有層/無機微粒子含有層/低屈折率層
・透明支持体/防湿層/ハードコート層/無機微粒子含有層/低屈折率層
・透明支持体/防湿層/ハードコート層/無機微粒子含有層/無機微粒子含有層/低屈折率層
・防湿層/透明支持体/ハードコート層/無機微粒子含有層/低屈折率層
・防湿層/透明支持体/ハードコート層/無機微粒子含有層/無機微粒子含有層/低屈折率層
上記構成において、無機微粒子含有層を2層有する場合、帯電防止性の観点から、低屈折率層側の無機微粒子含有層が導電性高分子及び表面処理された無機微粒子を含んでいる層であることが好ましい。
また、反射防止フィルムの湿熱耐久性を維持し、透明支持体の劣化や、偏光板の色味変化を抑えるために、防湿層を設けることができる。防湿層は透明支持体に近い層であることが好ましく、上記例のように、透明支持体とハードコート層の間、若しくはハードコート層とは反対側の透明支持体上に形成されていることが好ましい。
本発明に係る無機微粒子含有層は、反射防止性及び生産性の観点から、ハードコート層に近い側から、屈折率が1.5より大きく1.7以下の無機微粒子含有層と、屈折率が1.7より大きく2.1以下の無機微粒子含有層とを有することが好ましい。各層は直接接していても良いし、他の層を介して接していてもよい。より好ましくは、ハードコート層、屈折率が1.5より大きく1.7以下の無機微粒子含有層(中屈折率層として機能)、屈折率が1.7より大きく2.1以下の無機微粒子含有層(高屈折率層として機能)、及び低屈折率層がこの順に直接接して積層されていることである。上記いずれの場合も、帯電防止性の観点から、屈折率が1.7より大きく2.1以下の無機微粒子含有層が導電性高分子及び表面処理された無機微粒子を含んでいる層であることが好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムを低反射フィルムとして適用する場合、無機微粒子含有層は屈折率が1.5より大きく2.1以下(好ましくは1.7より大きく2.1以下)である無機微粒子含有層を含むことが好ましい。より好ましくは、ハードコート層、屈折率が1.5より大きく2.1以下である無機微粒子含有層(高屈折率層として機能)、及び低屈折率層がこの順に直接接して積層されていることが好ましい。更に、屈折率が1.5より大きく2.1以下である無機微粒子含有層は、導電性高分子及び表面処理された無機微粒子を含んでいる層であることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムの各層は、蒸着、大気圧プラズマ、塗布などの方法により形成することができるが、生産性の観点からは、塗布により形成することが好ましい。
以下、本発明の反射防止フィルムを構成する各層について説明する。
<無機微粒子含有層>
本発明の反射防止フィルムでは、少なくとも1層の無機微粒子含有層が、ハードコート層上に積層されている。更には、無機微粒子含有層の少なくとも1層には、導電性高分子及び表面処理された無機微粒子が含まれる。本発明に係る無機微粒子含有層の層構成については、上述したとおりである。
以下、本発明係る無機微粒子含有層を構成する材料について、詳細に説明する。
<無機微粒子>
本発明に係る無機微粒子含有層に用いられる無機微粒子としては、金属又は非金属元素からなる粒子、及びそれらの元素の酸化物、窒化物、又は炭化物からなる粒子が挙げられる。
本発明に用いることのできる好ましい無機微粒子としては、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、アルミニウム、錫、アンチモン、マンガン、亜鉛、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、タンタル、セリウム、チタン等の金属微粒子、炭素、ケイ素等の非金属微粒子、あるいは、これらの元素の酸化物、窒化物、炭化物、ハロゲン化物等が挙げられるが、中でも、金属酸化物微粒子が好ましい。
これらの無機微粒子としては、特に膜強度を高める観点から、例えば、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化セリウム、酸化チタン、参加モリブデン、酸化タングステン等の金属酸化物微粒子、酸化ケイ素等の非金属酸化物微粒子等を用いることができる。これらの無機微粒子を用いて無機微粒子含有層を形成する場合、着色することなく、透明性に優れた無機微粒子含有層を形成し得る。
上記のなかでも、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、又はケイ素の酸化物であることがより好ましい。これらの金属酸化物からなる微粒子は、一般的に非導電性であり、金属酸化物からなる微粒子で無機微粒子含有層の屈折率を制御することができるだけではなく、反射防止フィルムの表面抵抗を後述する導電性高分子によって独立して制御することができる。更に、チタン、ジルコニウムの酸化物は高い屈折率を示すため、本発明の反射防止フィルムにおいて無機微粒子含有層が中屈折率層又は高屈折率層として機能する際に、最も好ましい。
本発明に用いる無機微粒子の1次平均粒子径は、1〜100nmであることが好ましく、2〜50nmであることが更に好ましく、3〜25nmであることが最も好ましい。この範囲であると、無機微粒子含有層の透明性を維持し、屈折率を層内で均一に制御できるので好ましい。
本発明に係る無機微粒子含有層の無機微粒子の含有量は、10〜95質量%であることが好ましく、15〜85質量%であることがより好ましく、15〜75質量%であることが特に好ましい。無機微粒子は1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類上を併用する場合には、その合計の含有量が上記範囲にあることが好ましい。
<表面処理>
本発明において、導電性高分子を含む無機微粒子含有層の無機微粒子は、表面処理されていて、無機微粒子に対して0.1〜20質量%の表面処理剤により被覆されている。無機微粒子を表面処理することにより、導電性高分子とともに同一の溶媒への溶解性が向上し、生産性良く無機微粒子含有層を形成することができる。表面処理剤による被覆量は、0.5〜17質量%であることが好ましく、1〜13質量%であることがより好ましい。表面処理剤による無機微粒子の被覆量(被覆率:質量%)は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより、表面処理時の原料である表面処理剤の添加量と表面処理後の原料の残存量とを測定し、以下の式により求めることができる。
[(表面処理剤の添加量)−(表面処理剤の残存量)/(無機微粒子の添加量)]
導電性高分子を含まない他の無機微粒子含有層の無機微粒子も、無機微粒子の屈折率を制御したり、凝集性を制御する目的で、表面処理されていてもよい。
無機微粒子の表面処理方法としては、カップリング処理、グラフト重合、界面活性剤及びポリマーの吸着点を用いた無機微粒子の表面被覆、無機微粒子の主成分とは異なる金属酸化物を用いた、いわゆる「コア/シェル構造」の金属酸化物等、公知の方法を使用することができる。本発明に用いる無機微粒子では、カップリング処理を用いるのが好ましい。
本発明に係る無機微粒子含有層の少なくとも1層には、導電性高分子を含有しているため、同一の溶媒で導電性高分子と無機微粒子が溶解することが肝要である。無機微粒子の表面処理、とくにカップリング処理やグラフト重合は、一般的に親水的な表面を疎水化する「疎水化処理」と呼ばれ、導電性高分子を使用する際には、疎水化処理の程度を制御する必要がある。よって、本発明で用いる表面処理は、導電性高分子と相溶するための表面処理方法であることが、好ましい。
本発明では、導電性高分子を併用するにあたって、無機微粒子を表面処理する際の表面処理剤の使用量が、無機微粒子に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上17質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以上13質量%以下であることが最も好ましい。この範囲の表面処理剤を用いると、表面処理が過剰に行われることがなく、好ましい。表面処理が過剰に行われると、無機微粒子の表面が表面処理剤により過剰に被覆され、後述する導電性高分子の種類によってはショック凝集が起こることがある。
本発明において、これらの表面処理された無機微粒子は、目的に応じて導電性高分子を使用しない無機微粒子含有層にも使用することができる。
カップリング処理は、シランカップリング処理、チタネートカップリング処理、アルミネートカップリング処理等、公知のカップリング処理方法を使用することができる。本発明に用いる無機微粒子では、表面処理剤としてシランカップリング剤を用いたカップリング処理を用いるのが好ましい。
本発明に用いることのできる好ましいシランカップリング剤について、説明する。
シランカップリング剤としては、下記一般式(I)に示すオルガノシラン化合物が挙げられる。
一般式(I):(R10−Si(X)4−m
(式中、R10はアルキル基又はアリール基を表す。Xは水酸基又は加水分解可能な基を表す。mは0〜3の整数を表す。R10又はXが複数存在するとき、該複数のR10又はXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
一般式(I)について説明する。
10は、アルキル基又はアリール基を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜30のものが好ましく、炭素数1〜16のものがより好ましく、炭素数1〜6のものが特に好ましい。
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基又は加水分解可能な基を表す。
加水分解可能な基としては、例えば、アルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO−(Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。RCOO−としては、例えば、CHCOO−、CCOO−等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
mは0〜3の整数を表す。mとして好ましくは0、1又は2であり、より好ましくは1である。
10又はXが複数存在するとき、該複数のR10又はXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10が表すアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1−プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基又は置換アリール基であることが好ましい。なかでも、該置換アルキル基又は置換アリール基が更にビニル重合性基を有することが好ましく、この場合、一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物として表すことができる。
Figure 2011215424
(式中、R10はアルキル基又はアリール基を表す。Xは水酸基又は加水分解可能な基を表す。Rは水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。Yは単結合、エステル基、アミド基、エーテル基又はウレア基を表す。Lは2価の連結基を表す。nは0又は1を表す。)
一般式(II)について説明する。
は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子を表す。上記アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。Rとしては、水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基又はウレア基を表す。単結合、エステル基及びアミド基が好ましく、単結合及びエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
Lは、2価の連結基であり、具体的には、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル基、エステル基、アミド基)を有する置換若しくは無置換のアルキレン基、又は内部に上記連結基を有する置換若しくは無置換のアリーレン基である。なかでも、置換若しくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル連結基又はエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
nは0又は1を表す。nとして好ましくは0である。
10は、一般式(I)のR10と同義であり、置換若しくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは、一般式(I)のXと同義であり、ハロゲン、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
10又はXが複数存在するとき、該複数のR10又はXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を含め、本発明において好ましいオルガノシラン化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン等が挙げられる。
この中でも硬化組成物中での無機微粒子の分散安定性、塗布液を用いて無機微粒子含有層を形成する場合の塗布液の溶解性、耐擦傷性の観点からテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明のシランカップリング処理は、例えば上記の態様が好ましいが、他の例として特開平11−326601号公報、特開2000−9908号公報、特開2000−9908号公報、特開2006−225513号公報、特開2005−148681号公報、特開2006−257407号公報等の方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
<導電性高分子>
本発明の反射防止フィルムにおいて、無機微粒子含有層のうち、少なくとも1層の無機微粒子含有層には、導電性高分子を含有する。以下、無機微粒子含有層に含有する好ましい導電性高分子について説明する。
本発明で用いる導電性高分子は、透明で導電性を有する高分子であり、単一の素材若しくは複数の素材の複合体である。
導電性高分子としては、イオン導電性を示すカチオン性又はアニオン性のポリマー、又は電子伝導性を示すπ共役系導電性ポリマーとそれに付随するドーパントの複合体が好ましく用いられる。特にπ共役系導電性ポリマーとそれに付随するドーパントの複合体が好ましい。
<π共役系導電性ポリマー>
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性及びバインダ樹脂への分散性又は溶解性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
このようなπ共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール類の例には、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)等が挙げられる。
ポリチオフェン類の例には、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)等が挙げられる。
ポリアニリン類の例には、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
なかでも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が抵抗値、反応性の点から好適に用いられる。更には、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高い上に、耐熱性が向上する点から、より好ましい。また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性や、バインダー樹脂との相溶性及び分散性を向上させるためより好ましい。アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないため、メチル基が好ましい。
導電性高分子をバインダーとしても利用することで、本発明のような帯電防止性を付与すると同時に、無機微粒子含有層上に更に他の層を積層した場合に、該層と無機微粒子含有層との界面密着性を向上させるために、本発明で使用する導電性高分子には、重合性基を有していてもよい
<ドーパント>
導電性高分子は、前記π共役系導電性高分子とドーパントの複合体であることが好ましい。ドーパントは、高分子ドーパントであることが好ましく、特に分子内にアニオン性基を有するポリアニオンをドーパントとすることが特に好ましい。
以下、ポリアニオンからなるドーパントのことをポリアニオンドーパントいう。このポリアニオンドーパントは、導電性高分子に化学酸化ドープして塩を形成して複合体を形成する。
ポリアニオンドーパントのアニオン基としては、導電性高分子への化学酸化ドープが起こり、かつアニオン基のプロトン酸がビニル基、グリシジル基、ヒドロキシ基のいずれかと結合可能な官能基であることが好ましい。具体的には、硫酸基、リン酸基、スルホ基、カルボキシ基、ホスホ基等が好ましく、更に、化学酸化ドープの観点から、スルホ基、カルボキシ基がより好ましい。
スルホ基を有するポリアニオンドーパントとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
カルボキシ基を有するポリアニオンドーパントとしては、例えば、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
導電性高分子は、溶媒中、上記π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と前記高分子ドーパント(好適にはポリアニオン)の存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
導電性材料は、電気伝導性と熱安定性をより向上させるためにポリアニオンドーパント以外のドーパントを含有してもよい。そのドーパントとしては、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸などが挙げられ、具体的には、有機カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸、有機シアノ化合物、フラーレン化合物などが挙げられる。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、塩化ヨウ素、臭化ヨウ、フッ化ヨウ素等が挙げられる。
プロトン酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸や、有機カルボン酸、フェノール類、有機スルホン酸等が挙げられる。
更に、有機カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、ショウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、トリフェニル酢酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、アントラセンスルホン酸、ピレンスルホン酸などが挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
有機シアノ化合物としては、例えば、ジクロロジシアノベンゾキノン(DDQ)、テトラシアノキノジメタンテトラシアノアザナフタレンなどが挙げられる。
フラーレン化合物としては、例えば、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレンなどが挙げられる。
本発明において、高分子ドーパントは、架橋点形成化合物と架橋することができる。これにより、無機微粒子含有層と他層との密着性を高め、優れた耐擦傷性を実現することができる。
また、前記高分子ドーパントは、少なくとも2種の官能基を有し、少なくとも1種はアニオン性基、少なくとも他の1種はアニオン性基でない基であることが好ましい。
前記高分子ドーパントが有する官能基のうち、前記π共役系導電性高分子と塩を形成しなかった残存アニオン性基、又はアニオン性基でない基は後述する架橋点形成化合物と架橋していてもよい。
前記高分子ドーパントのアニオン性基でない官能基としては、後述する架橋点形成化合物と架橋する基であれば特に限定されないが、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられ、それぞれ、2−ビニルエタノール、(ヒドロキシメチル)ビニルケトン、(2−ヒドロキシエチル)ビニルケトン、アリルアミン、2−アミノエチルビニルエーテル、3−ビニルオキシ−1−プロパンアミン、2−アリルアミノエタンチオールなどを高分子ドーパントに共重合することにより導入される。アニオン性基でない官能基を有する単量体の共重合比としては1〜50モル%が好ましく、5〜30モル%が特に好ましい。1モル%を下回ると架橋点数が不十分となり、50モル%を超えると、アニオンドーパントとして十分に機能しない。
<π共役系導電性ポリマーと高分子ドーパントからなる複合体>
以下、π共役系導電性ポリマーと高分子ドーパントの複合体においてポリアニオンドーパントを例にとって説明する。
複合体の形成の際には、導電性高分子の主鎖の成長と共にポリアニオンドーパントのアニオン基が導電性高分子と塩を形成するため、導電性高分子の主鎖はポリアニオンドーパントに沿って成長する。よって、得られた導電性高分子とポリアニオンドーパントは無数に塩を形成した複合体になる。この複合体においては、導電性高分子のモノマー3ユニットに対して1ユニットのアニオン基が塩を形成し、短く成長した導電性高分子の数本が長いポリアニオンドーパントに沿って塩を形成しているものと推定されている。
導電性高分子とポリアニオンドーパントとを複合した複合体を形成する方法としては、例えば、ポリアニオンドーパントの存在下、導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合する方法などが挙げられる。
化学酸化重合においてモノマーを重合するために使用される酸化剤、酸化触媒としては、前記前駆体モノマーを酸化させてπ共役系導電性高分子を得ることができるものであればよく、例えば、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム、ぺルオキソ二硫酸カリウム等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が挙げられる。
また、化学酸化重合は溶媒中で行われてもよい。その際に使用される溶媒としては、ポリアニオンドーパント及び導電性高分子を溶解するものであれば特に制限されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、クレゾール、フェノール、キシレノール、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、ジメチルイミダゾリン、酢酸エチル、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジフェニルスルホン等が挙げられる。これら溶媒は必要に応じて、1種類若しくは2種類以上の混合溶媒で用いることができる。
本発明では、上記の導電性高分子として、市販のものも用いることができる。例えば、セプルジーダ SAS−PD(信越ポリマー(株)製)、Baytron P(エイチ・シー・スタルク社製)などが挙げられ、好ましく使用できる。
本発明に係る無機微粒子含有層中の導電性高分子の含有量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.002〜2.5質量%であることがより好ましく、0.005〜1質量%であることが特に好ましい。
また、導電性高分子が前述したπ共役系導電性ポリマーと高分子ドーパントの複合体である場合には、π共役系導電性ポリマーのユニットあたりの分子量と、高分子ドーパントのユニットあたりの分子量の比が1:1〜1:5であることが好ましく、1:1〜1:2であることがより好ましい。
本発明において、導電性高分子を用いる際、架橋点形成化合物を使用することができる。架橋点形成化合物とは、複数の架橋反応基を有し、少なくとも1つの架橋反応基は導電性高分子と架橋する化合物を指す。
架橋点形成化合物は、導電性高分子がπ共役系導電性高分子と高分子ドーパントからなる複合体であるとき、高分子ドーパントと架橋することが好ましく、高分子ドーパントの残存アニオン性基、及び/又はアニオン性基でない官能基と架橋することが特に好ましい。
架橋点形成化合物において、高分子ドーパントのアニオン性基、又はアニオン性基でない基と架橋する基としては、好ましくは、水酸基、アルコキシシリル基、環状エーテル基、イソシアナート基であり、より好ましくはグリシジル基、オキセタン基、イソシアナート基であり、最も好ましくはイソシアナート基を部分構造として有する基である。
本発明の好ましい1つの態様においては、高分子ドーパントのポリアニオンの残存アニオン基(例えば、スルホ基、カルボキシル基)と、架橋点形成化合物の水酸基、アルコキシシリル基、環状エーテル基、が反応してエステルを形成して、架橋を行うものである。また、本発明の別の好ましい態様としては、高分子ドーパントのアニオン性基でない基(例えば水酸基、アミノ基)と、架橋点形成化合物の環状エーテル基、イソシアナート基、が反応して、架橋を行うものである。
これらの反応基を有効に反応させるために各種、触媒や各種の重合開始剤を使用してもよい。
環状エーテル基については、3級アミン、4級アンモニウム塩などの触媒や、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などの光カチオン開始剤を使用してもよい。
イソシアナート基については、3級アミンや有機金属化合物などの触媒を使用してもよい。
本発明の好ましい態様として、架橋点形成化合物は、高分子ドーパントと架橋する基と、高分子ドーパントと架橋する基以外の反応性基を有することが好ましい。高分子ドーパントと架橋する基以外の反応性基としては、エチレン性不飽和二重結合を有する基が好ましく、具体的には(メタ)アクリル基、アリル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリルアミド基を部分構造として有する基を有することが好ましい。
これらの反応基を有効に反応させるために各種、触媒や各種の重合開始剤を使用してもよく、特に各種の光ラジカル開始剤が好ましく用いられる。
架橋点形成化合物の別の好ましい態様として、架橋点形成化合物が、高分子ドーパントと架橋する基とエチレン性不飽和二重結合を有する基を有するオリゴマーであることが好ましい。高分子ドーパントと架橋する基とエチレン性不飽和二重結合を有する基については、前述した通りである。
高分子ドーパントと架橋する基とエチレン性不飽和二重結合を有する基を有するオリゴマーの質量平均分子量としては、分子量が300未満の成分を除いた場合に、500〜10000が好ましく、500〜5000がより好ましく、700〜3000が最も好ましい。
高分子ドーパントと架橋する基とエチレン性不飽和二重結合を有する基を有するオリゴマーにおける分子量が300以上の成分のうち、分子量が10000より大きい成分は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましい。10質量%より多く含有すると、高分子ドーパントと架橋する基とエチレン性不飽和二重結合を有する基を有するオリゴマーを含有する(硬化性)組成物を硬化させて得られる硬化皮膜は、透明性や基板との密着性が劣る場合がある。
架橋点形成化合物の塗布量としては、1平米あたり、0.01g〜3.0gが好ましく、0.02〜2.0gがより好ましく、0.05g〜1.0gが最も好ましい。
本発明に係る無機微粒子含有層は、後述する塗布方法により容易に形成することができる。無機微粒子含有層形成用の塗布液には、無機微粒子、導電性高分子以外にも、下記面状改良剤、硬化性樹脂、光重合開始剤、更に必要に応じて他の添加剤を含有させることができる。
<面状改良剤>
本発明に係る無機微粒子含有層形成用の塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。面状改良剤としてはフッ素系ポリマーを添加することが更に好ましい。
面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。ここで、塗布液の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗布液の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗布液の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。好ましくは、塗布液の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であり、更に好ましく2mN/m以上下げる面状改良剤、特に好ましくは3mN/m以上下げる面状改良剤である。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物が挙げられる。好ましい化合物の例は、特開2005−115359号、特開2005−221963号、特開2005−234476号、特開2007−93822、特開2009−14917に記載の化合物を挙げることができる。
無機微粒子含有層形成用の塗布液における面状改良剤の添加量は、塗布液の全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜2.5質量%が特に好ましい。
<硬化性樹脂>
本発明に係る無機微粒子含有層は、層の強度の観点から、塗布液に硬化性樹脂を含有させ、該硬化性樹脂を硬化させて形成することが好ましい。
硬化性樹脂としては、重合性化合物が好ましく、重合性化合物としては電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーが好ましく用いられる。これらの化合物中の官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
更にはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
なかでも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。更に好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
無機微粒子含有層形成用の塗布液における硬化性樹脂の添加量は、塗布液の全固形分に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。硬化性樹脂は、層の屈折率を満たす範囲で調整することが好ましい。
<光重合開始剤>
本発明に係る無機微粒子含有層形成用の塗布液には、膜質を更に強化するために、光十号開始剤を使用することができる。光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<無機微粒子含有層の膜厚・物性>
本発明に係る無機微粒子含有層の厚さは、0.001〜1μmが好ましく、10〜500nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが更に好ましく、70〜150nmであることが特に好ましい。
本発明において、無機微粒子含有層の上に更に別の層を積層する際、別の層の塗布液の表面張力よりも無機微粒子含有層表面の表面張力が高いことが好ましいため、無機微粒子含有層表面の表面張力は適宜調整する必要があるが、無機微粒子含有層表面の表面張力は、15〜35mN/mであることが好ましい。この表面張力であれば、均一性の高い無機微粒子含有層を形成することができ、積層した層の塗布性に優れており、かつ積層した層と無機微粒子含有層との密着性を保つことができる。
本発明において、反射防止フィルムとしての表面抵抗は、10〜1013Ω/sqであることが好ましく、10〜1012Ω/sqであることが更に好ましく、10〜1011Ω/sqであることが最も好ましい。
導電性高分子を含む無機微粒子含有層表面での表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜1011Ω/sqであることが更に好ましく、10〜1010Ω/sqであることが最も好ましい。これらの表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
無機微粒子含有層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、無機微粒子含有層の全ヘイズ値が、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
また、波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
<透明支持体>
本発明の反射防止フィルムの透明支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルムポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度のものを用いることができるが、好ましくは25μm〜250μmであり、30μm〜90μmであることがより好ましい。
透明支持体の巾は任意のものを使うことができるが、ハンドリング、得率、生産性の点から通常は100〜5000mmのものが用いられ、800〜3000mmであることが好ましく、1000〜2000mmであることが更に好ましい。透明支持体はロール形態の長尺で取り扱うことができ、通常100m〜5000m、好ましくは500m〜3000mのものである。
透明支持体の表面は平滑であることが好ましく、平均粗さRaの値が1μm以下であることが好ましく、0.0001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.1μmであることが更に好ましい。
<セルロースアシレートフィルム>
本発明に用いる透明支持体としては、上記各種フィルムの中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましい。
セルロースアシレートフィルムについては力学特性、透明性、平面性などを改良する目的のため、種々の改良技術が知られており、公開技報2001−1745に記載された技術は公知のものとして本発明のフィルムに用いることができる。
本発明ではセルロースアシレートフィルムの中でもセルローストリアセテートフィルムが特に好ましく、セルロースアシレートフィルムに酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることが更に好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。更にセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性及び耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
<ハードコート層>
本発明の反射防止フィルムは、フィルムの物理的強度を付与するために、透明支持体の一方の面にハードコート層を設ける。ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。ハードコート層は、防眩層としての機能を果たしてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計からは、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.49〜1.90であり、更に好ましくは1.50〜1.80である。本発明の態様である、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層ある態様では、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、更に好ましくは2μm〜15μm、最も好ましくは3μm〜10μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に直接、又は他の層を介し塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わり又はそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜15.0μm、好ましくは1.5〜10.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー又は無機微粒子、或いは両者を加えることができる。無機微粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機微粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが5%〜15%であることが好ましく、5%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明の反射防止フィルムの目的に応じて、ハードコート層の表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.08μm以下であり、更に好ましくは0.06μm以下である。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
<面状改良剤>
ハードコート層形成用の塗布液には、本発明に係る無機微粒子含有層と同様、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、無機微粒子含有層を形成するのと同様、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
<光重合開始剤>
ハードコート層形成用の塗布液には、本発明に係る無機微粒子含有層と同様、光重合開始剤を使用することができる。
<防眩層>
ハードコート層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で、防眩層の機能を有していてもよい。
防眩性を付与する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
<透光性粒子>
本発明で用いることができる防眩層の1つの好ましい態様は、ハードコート層に防眩性を付与するための透光性粒子を含有させ、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものである。
上記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大若しくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。
防眩性層の膜厚は、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記範囲内とすることで、ハードコート性、カール、脆性を満足することができる。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.08μm以下であり、更に好ましくは0.06μm以下である。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
<低屈折率層>
本発明の反射防止フィルムでは、反射率を低減するため、屈折率1.5以下の低屈折率層を有する。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.5であることが好ましく、1.25〜1.48であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることが更に好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
好ましい低屈折率層形成用塗布液(硬化物組成)の態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、が挙げられる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、1つの態様としては、グリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。又別の態様としては、水酸基等の官能基を有するモノマーを用い含フッ素共重合体を合成後、更にそれら置換基を修飾して架橋性若しくは重合性の官能基を導入するモノマーを使用する方法である。これらモノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者の態様は特開平10−25388号公報及び特開平10−147739号公報により開示されている。
上記含フッ素共重合体には、溶解性、分散性、塗布性、防汚性、帯電防止性などの観点から、適宜共重合可能な成分を含むことができる。特に防汚性・滑り性付与のためには、シリコーンを導入することが好ましく、主鎖にも側鎖にも導入することができる。主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法は、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法が挙げられる。また、側鎖に導入する方法は、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、反応性基を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。
これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記ハードコート層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明に係る低屈折率層には、上記のハードコート層の頁で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明に係る低屈折層には、無機微粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明に係る低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
<中・高屈折率層>
本発明の光学フィルムは、反射防止性を高めるために高屈折率層や中屈折率層を設けることができる。
高屈折率層の屈折率は、1.7より大きく2.1以下であることが好ましく、1.7より大きく1.9以下であることが更に好ましい。高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。中屈折率層の屈折率は、1.5より大きく1.7以下であることが好ましく、1.6以上1.7以下であることが更に好ましい。
前述のとおり、高屈折率層及び中屈折率層を本発明に係る無機微粒子含有層であることが好ましいが、特開2008−262187号公報に記載の高屈折率層及び中屈折率層が挙げられ、これらの態様は本発明にも適用することができる。
<塗布方法>
本発明の反射防止フィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを透明支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも1層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、透明支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明の反射防止フィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cc/m以下)では特開2006−122889号に記載の製造方法を採用することにより塗膜の均一性を向上させることができる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法においては、無機微粒子を表面処理剤を用いて表面処理する工程と、導電性高分子と表面処理された無機微粒子層とを含有する無機微粒子含有層を、有機溶剤を主成分とし、前記表面処理された無機微粒子が分散し、かつ前記導電性高分子が溶解した塗布液を塗布して形成する工程を含む。
本発明において、主成分である有機溶剤とは、塗布液中に、有機溶剤が好ましくは70〜98質量%、より好ましくは85〜96質量%含まれていることを意味する。
無機微粒子の表面処理については、前述のとおり、表面処理剤により行うことができる。無機微粒子を添加した溶液に表面処理剤を添加し、攪拌することにより表面処理し、表面処理した無機微粒子の分散液を作製することもできる。
無機微粒子含有層形成用の塗布液は、上記のように特定量の表面処理剤により表面処理した無機微粒子の分散液と、導電性高分子を有機溶媒に添加し、有機溶媒を溶解させることにより準備する。ここで、表面処理した無機微粒子を用いているので、導電性高分子によりショック凝集が起こるのを防ぐことができる。
導電性高分子、無機微粒子、バインダー成分及び重合開始剤のすべてを良好に溶解させる観点から、有機溶媒は、SI単位系で表される溶解度パラメータ(SP値、単位(J/mol)1/2)が15以上であるものが好ましく、具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、エタノール、メタノールなどが挙げられる。より効率よく溶解すること、若しくは塗工後に効率よく有機溶媒を除去することを目的として、複数の有機溶媒を使用してもよい。
該塗布液を上記のような塗布方法により塗布し、無機微粒子含有層を形成することができる。
本発明の反射防止フィルムを形成するにあたって、無機微粒子含有層の形成は、表面張力が15〜50mN/mである塗布液を用いて形成されることが好ましい。表面張力が20〜40mN/mであることが更に好ましく、表面張力が22〜30mN/mであることが、異なる無機微粒子含有層や低屈折率層を積層する際に、塗布安定性に優れているため、反射防止フィルムの膜厚ムラが最も小さくなるという観点で、最も好ましい。
本発明の反射防止フィルムを形成するにあたって、無機微粒子含有層の上に更に別の層を積層する際の該層との密着性向上の観点で、無機微粒子含有層の水に対する接触角が40度以上110度以下であることが好ましい。複数の無機微粒子含有層を形成する際に、透明支持体から最表面層に積層する層の接触角が段階的に大きくなることが好ましい。例えば、ハードコート層上の無機微粒子含有層の水に対する接触角が50度であれば、更に上に積層される別の無機微粒子含有層の水に対する接触角が60度以上110度以下であることが好ましい。
<反射防止フィルムの画像表示装置への適用>
<偏光板>
本発明の反射防止フィルムは、偏光膜の片側又は両側に配置された保護フィルムとして、偏光板に使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明の反射防止フィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、かつ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やセルロースアセテートフィルムの厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明の反射防止フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70°傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
<本発明の使用形態>
本発明の反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。また、本発明の反射防止フィルムは、プラズマディスプレイパネル(PDP)又は陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレー上に用いることができる。
(1)液晶表示装置
本発明の反射防止フィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120°にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech.Papers(予稿集)28(1997)845頁記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59頁(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各公報に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),577−580頁及び同707−710頁に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
(2)液晶表示装置以外のディスプレー
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、更に蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明の反射防止フィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<その他>
本発明の反射防止フィルムは、有機EL素子等の保護フィルムとして用いることができる。
本発明の反射防止フィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。
<実施例1>
〔反射防止フィルムの作製〕
下記に示す通りに、各層形成用の塗布液を調整して各層を形成して、反射防止フィルムNo.1〜12を作製した。
(ハードコート層用塗布液Aの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液Aとした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295(大阪有機化学(株)製)225質量部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)225質量部、メチルエチルケトン 199質量部、メチルイソブチルケトン 30質量部、MEK−ST(シリカゾル(平均粒径20nmのシリカ、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製) 309質量部、MIBK−ST(シリカゾル(平均粒径20nmのシリカ、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製) 77質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 14質量部、を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液Bを調製した。
(ハードコート層用塗布液Bの調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液Bとした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295(大阪有機化学(株)製)750.0質量部に、質量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50.0質量部、セプルジーダ SAS−PD(信越ポリマー(株)製) 100質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液Bを調製した。
(表面処理無機微粒子分散物Aの作製)
平均粒径20nmの酸化ジルコニウム微粒子の40質量%メタノール分散液200gを、攪拌装置、温度計及び還流冷却管を装着した500mlのガラス製三口フラスコに入れた。ここに2N塩酸0.2gを加え、窒素気流下で60℃に昇温した後、表面処理剤(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越シリコーン(株)製))10gを添加し、4時間攪拌を続け、酸化ジルコニウム微粒子を表面処理した。更に、溶媒置換をおこない、酸化ジルコニウム微粒子の50質量%メチルエチルケトン分散液とし、表面処理無機微粒子分散物Aを作製した。
表面処理後の酸化ジルコニウム粒子における表面処理剤の被覆量は、ガスクロマトグラフィーにより、原料である3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの残存量を測定して求めたところ、13質量%であった。
(表面処理無機微粒子分散物Bの作製)
表面処理無機微粒子分散物Aの作製において、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを15gとした以外は、表面処理無機微粒子分散物Aと同様の方法で表面処理を行い、50質量%メチルエチルケトン分散液とし、表面処理無機微粒子分散物Bを作製した。
表面処理後の酸化ジルコニウム粒子における表面処理剤の被覆量は、ガスクロマトグラフィーにより、原料である3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの残存量を測定して求めたところ、19質量%であった。
(表面処理無機微粒子分散物Cの作製)
表面処理無機微粒子分散物Aの作製において、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを20gとした以外は、表面処理無機微粒子分散物Aと同様の方法で表面処理を行い、50質量%メチルエチルケトン分散液とし、表面処理無機微粒子分散物Cを作製した。
表面処理後の酸化ジルコニウム粒子における表面処理剤の被覆量は、ガスクロマトグラフィーにより、原料である3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの残存量を測定して求めたところ、25質量%であった。
(表面処理無機微粒子分散物Dの作製)
表面処理無機微粒子分散物Aの作製において、平均粒径25nmの酸化チタン微粒子40質量%とした以外は、表面処理無機微粒子分散物Aと同様の方法で表面処理を行い、50質量%メチルエチルケトン分散液とし、表面処理無機微粒子分散物Dを作製した。
表面処理後の酸化チタン粒子における表面処理剤の被覆量は、ガスクロマトグラフィーにより、原料である3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの残存量を測定して求めたところ、13質量%であった。
(無機微粒子含有層用塗布液Aの調製)
表面処理無機微粒子分散物A 5.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物 1.5質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.05質量部、メチルエチルケトン66.6質量部、メチルイソブチルケトン7.7質量部及びシクロヘキサノン19.1質量部、セプルジーダ SAS−PD(信越ポリマー(株)製) 0.1質量部、下記に示すフルオロ脂肪族ポリマー SP−13 0.06質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Aを調製した。
Figure 2011215424
上記構造式中、「90」及び「10」は繰り返し単位のモル比を表す。
(無機微粒子含有層用塗布液Bの調製)
前記無機微粒子含有層塗布液Aの調整において、セプルジーダ SAS−PD(信越ポリマー(株)製)を抜いた以外は、無機微粒子含有層用塗布液Aと同様の方法で高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Cを調整した。
(無機微粒子含有層用塗布液Cの調製)
前記無機微粒子含有層塗布液Aの調整において、表面処理無機微粒子分散物Aの変わりに表面処理無機微粒子分散物B 5.1質量部とした以外は、無機微粒子含有層用塗布液Aと同様の方法で高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Cを調整した。
(無機微粒子含有層用塗布液Dの調製)
前記無機微粒子含有層塗布液Aの調整において、表面処理無機微粒子分散物Aの変わりに表面処理無機微粒子分散物C 5.1質量部とした以外は、無機微粒子含有層用塗布液Aと同様の方法で高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Dを調整した。
(無機微粒子含有層用塗布液Eの調製)
表面処理無機微粒子分散物A 10.5質量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)5.5質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート 3.5重量部、メチルエチルケトン61.9質量部、シクロヘキサノン4.5 質量部、フルオロ脂肪族ポリマー SP−13 0.06質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率無機微粒子含有層用塗布液Eを調製した。
(無機微粒子含有層用塗布液Fの調製)
表面処理無機微粒子分散物A 15.7質量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA) 1.5質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート 5.2重量部、メチルエチルケトン61.9質量部、シクロヘキサノン4.5 質量部、フルオロ脂肪族ポリマー SP−13 0.06質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Fを調製した。
(無機微粒子含有層用塗布液Gの調製)
前記無機微粒子含有層塗布液Fの調整において、セプルジーダ SAS−PD 0.1質量部を加えた以外は、無機微粒子含有層塗布液Fと同様の方法で、高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Gを調製した。
(無機微粒子含有層用塗布液Hの調製)
前記無機微粒子含有層塗布液Eの調整において、セプルジーダ SAS−PD 0.1質量部を加えた以外は、無機微粒子含有層塗布液Eと同様の方法で、中屈折率無機微粒子含有層塗布液Hを調製した。
(無機微粒子含有層用塗布液Iの調製)
前記無機微粒子含有層塗布液Hの調整において、表面処理無機微粒子分散物Aの変わりに、表面処理無機微粒子分散物Dとした以外は、無機微粒子含有層塗布液Gと同様の方法で、高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Iを調製した。
(無機微粒子含有層用塗布液Jの調製)
前記無機微粒子含有層塗布液Hの調整において、セプルジーダ SAS−PD 0.1質量部のかわりに、Baytron P(エイチ・シー・スタルク社製)0.1質量部とした以外は、無機微粒子含有層塗布液Gと同様の方法で、高屈折率無機微粒子含有層用塗布液Iを調製した。
(導電性層用塗布液Aの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA)6.6質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.05質量部、メチルエチルケトン66.6質量部、メチルイソブチルケトン7.7質量部及びシクロヘキサノン19.1質量部、セプルジーダ SAS−PD(信越ポリマー(株)製) 0.1質量部、下記に示すフルオロ脂肪族ポリマー SP−13 0.06質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して導電性層用塗布液Aを調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2011215424
上記構造式中、「50」と「50」は繰り返し単位のモル比を表す。
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g及び過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。更にヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は、0.53MPa(5.4kg/cm)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。更にこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(P−1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.422であった。
(中空シリカ粒子分散液の調製)
中空シリカ粒子微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、触媒化成工業(株)製CS60−IPA、平均粒子径60nm、シエル厚み10nm、シリカ濃度20%、シリカ粒子の屈折率1.31)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30.5部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.51部加え混合した後に、イオン交換水9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、分散液を得た。その後、シリカの含率がほぼ一定になるようにシクロヘキサノンを添加しながら、圧力30Torrで減圧蒸留による溶媒置換を行い、最後に濃度調整により固形分濃度18.2質量%の分散液を得た。得られた分散液のIPA残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ0.5%以下であった。
得られた中空シリカ粒子分散液やゾル液を用いて、下記組成の組成物を混合し、得られた溶液を攪拌後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液の組成)
DPHA 14.5g
パーフルオロオレフィン共重合体(P−1) 24.5g
中空シリカ粒子分散液(18.2質量%) 302.2g
RMS−033 5.0g
イルガキュア907 1.0g
MEK 1750g
MMPGAc 223.0g
得られた中空シリカ粒子分散液を用いて、下記組成の組成物を混合し、得られた溶液を攪拌後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・DPHA: ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
・中空シリカ粒子分散液: 前記アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランで表面修飾した中空シリカ粒子ゾル、固形分濃度18.2質量%。
・RMS−033: 反応性シリコーン(Gelest(株)製)
・MEK: メチルエチルケトン
・イルガキュア907: 光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
・MMPGAc: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業(株)製)
次に、表1で示した層構成で各層を順次積層することにより、反射防止フィルムNo.1〜15を作製した。各層個々の形成方法は、以下のとおりである。
<反射防止フィルムNo.1〜14>
(ハードコート層A〜Bの作製)
層厚80μmの透明支持体としてのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士フィルム(株)製、屈折率1.48)上に、前記組成のハードコート層用塗布液A又はBをダイコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量150mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、表2記載の厚さのハードコート層A又はBを形成した。
以上のハードコート層A又はB、及び透明支持体の上に、それぞれ所望の屈折率となるように調整した、無機微粒子含有層用塗布液A〜I、低屈折率層用塗布液をダイコーターを用いて塗布し、表1で示した層構成で各層を順次積層することにより、反射防止フィルムNo1〜14を作製した。
なお、ハードコート層を含め各層の屈折率の測定は、各層の塗布液を約4μmの厚みになるようにガラス板に塗布し、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて測定した。「DR−M2,M4用干渉フィルター546(e)nm 部品番号:RE−3523」のフィルターを使用して測定した屈折率を波長550nmにおける屈折率として採用した。
各層の膜厚は、ハードコート層、無機微粒子含有層、導電性層A、低屈折率層を積層後に反射分光膜厚計“FE−3000”(大塚電子(株)製)を用いて算出した。算出の際の各層の屈折率は上記アッベ屈折率計で導出した値を使用した。
(無機微粒子含有層A〜D及び導電性層Aの形成方法)
前記組成の無機微粒子含有層用塗布液A〜Dをダイコーターを用いて塗布、乾燥、及び紫外線硬化を行うことによって、無機微粒子含有層A〜D及び導電性層Aを形成した。塗布後の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。硬化後の層の屈折率、層厚は表2に示す。
(無機微粒子含有層E〜I及び導電性層Aの形成方法)
前記組成の無機微粒子含有層用塗布液E〜Iを、ダイコーターを用いて塗布、乾燥、及び紫外線硬化を行うことによって、無機微粒子含有層E〜Iを形成した。塗布後の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm、照射量240mJ/cmの照射量とした。硬化後の層の屈折率、層厚は表2に示す。
(低屈折率層の作製)
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの照射量とした。
<反射防止フィルムNo.15>
(ポリエチレンテレフタラート支持体を用いた反射防止フィルムの作製)
上記反射防止フィルムNo.1〜14の作製方法において、透明支持体を厚み100μmのPETフィルム(東洋紡績社製コスモシャインA4300)低屈折率層の乾燥条件を90℃、30秒とし、紫外線硬化条件を酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの照射量とした以外は、同様な方法で反射防止フィルム15を作製した。
以上の方法で作製した反射防止フィルム1〜15で使用した塗布液、屈折率、層厚を表1及び2に示す。反射防止フィルム試料No.1、3、9、11〜15は本発明試料であり、その他は比較試料である。
Figure 2011215424
Figure 2011215424
なお、表1における無機微粒子含有層用の塗布液の溶解の欄の「○」は、用いた無機微粒子含有層用塗布液を目視で確認し、前記塗布液が均一に溶解しているものを意味し、「×」は前記塗布液が凝集するために溶解していなかったことを意味する。この原因は、本発明の塗布液に不適な無機微粒子を使用したために、塗布液の凝集が発生したためと考える。溶解しなかった塗布液により形成した層に対しては、以下の反射防止フィルムの評価ができないため、表1及び2にて「評価不可」と記載した。
また、無機微粒子含有層の表面張力については、全自動表面張力計 CBVP−Z(協和界面科学(株)社製)によりガラスプレートを用いて25℃における表面張力を測定した。
(反射防止フィルムの評価)
以下の方法により反射防止フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表1及び2に示す。
(1)鏡面反射率
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
(2)表面抵抗値測定
全てのサンプルについて25℃、60%RH条件下に試料を2時間置いた後に同条件下で表面抵抗値(SR)を円電極法で測定した。表2には、表面抵抗値の対数(logSR)で示した。
(3)ゴミ付き性評価
反射防止フィルムの透明支持体側をCRT表面に張り付け、0.5μm以上のホコリ及びティッシュペーパー屑を、1ft(立方フィート)当たり100〜200万個有する部屋で24時間使用した。反射防止膜100cm2当たり、付着したホコリとティッシ
ュペーパー屑の数を測定し、それぞれの結果の平均値を以下のように評価した。
◎:20個未満
○:20〜49個
×:50以上
(4)スチールウール耐傷性評価(耐擦傷性)
ラビングテスターを用いて、以下の条件で擦りテストをおこなった。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
◎:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない
○:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える程度
△:一目見ただけでは分からないが、数秒見ると傷が見える、やや問題のレベル
×:傷の数が多い、若しくは一目見ただけで分かる深い傷があり、問題のレベル
なお、この耐擦傷性は、無機微粒子含有層と他層との密着性が悪いと悪化する。即ち、密着性の指標となる。
表2より、本発明に係る無機微粒子含有層用塗布液は、作製時の無機微粒子の溶解性に優れている。また、本発明に係る無機微粒子含有層を用いた反射防止フィルムは、低反射性、耐擦傷性、帯電防止性に優れている。
[実施例2]
実施例1で作成した反射防止フィルムNo.1〜15を、それぞれ、2.0mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬してフィルムの裏面の透明支持体面を鹸化処理した。80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フィルム(株)製)を同条件で鹸化処理した。延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例1の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、該反射防止フィルムの透明支持体側が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「WV−EA」{富士フィルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。TNモードで20インチの液晶表示装置:TH−20TA3型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の偏光板の代わりに本発明の偏光板の光学異方性層が液晶セル側となるようにアクリル系粘着剤を介して、観察者側に一枚貼り付けて偏光板を得た。
映り込みは明室で、黒表示したディスプレイに白い服を映りこませ、下記の基準で判定した。また、色味及び色味ムラは、黒表示させたディスプレイを観察し、下記の基準で判定した。結果を表3に示す。
(映り込み評価基準)
○:気にならない若しくはじっくり見て気になる
△:白い服の写りこみ像が少し気になるが、問題にはならない
×:白い服の写りこみ像が明瞭であり、黒表示が視認しにくく、問題のレベル
(色味評価基準)
○:正面から見たときに気にならない
△:正面から見たときに黒表示が少し黒に見えない
×:正面から見たときに黒表示が黒ではなく、問題のレベル
(画面全体での色味ムラ評価基準)
○:黒表示の色差が画面全体で認められない若しくは、認められるが気にならない
△:画面全体の中で黒表示の色差が著しく、気になる
×:画面全体の中で黒表示の色差がきわめて著しく、問題のレベル
Figure 2011215424
表3に示す通り、本発明の試料No.1、3、9、及び11〜15において、背景の映りこみが極めて少なく、反射の色味が気にならなく、色味ムラが目立たない表示品位の非常に高い画像表示装置が得られた。
[実施例3]
特開2000−154261号公報の実施例10、15、18、19に記載のOCB型液晶表示装置の視認側の最表面に、実施例1の試料をポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付けた。本発明の試料No.1、3、9、及び11〜15において、背景の映りこみが極めて少なく、反射の色味が気にならず、明室でのコントラストに優れ、かつ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、反射の色味が気にならない表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
[実施例4]
VAモードで22インチの液晶表示装置:TH22−LH10型(松下電器(株)製)に設けられている視認側の表面保護フィルムの代わりに、実施例1の試料をポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付けた。本発明の試料No.1、3、9、及び11〜15において、背景の映りこみが極めて少なく、反射の色味が気にならず、明室でのコントラストに優れ、かつ、極めて視認性に優れ、反射の色味が気にならない表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
[実施例5]
実施例1で作成した反射防止フィルムを有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、本発明の試料No.1、3、9、及び11〜15において、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い、反射の色味が気にならない表示装置が得られた。

Claims (11)

  1. 透明支持体上に、ハードコート層、少なくとも1層の無機微粒子含有層、及び屈折率1.5以下の低屈折率層をこの順で有する反射防止フィルムであって、
    前記少なくとも1層の無機微粒子含有層のうちの少なくとも1層が、導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層であり、前記無機微粒子が該無機微粒子に対して0.1〜20質量%の表面処理剤により被覆されている、反射防止フィルム。
  2. 前記無機微粒子が、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、及びケイ素の少なくとも1つの酸化物を含む、請求項1記載の反射防止フィルム。
  3. 前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層の厚さが、0.001〜1μmである、請求項1又は2記載の反射防止フィルム。
  4. 前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層が、前記低屈折率層に直接接している、請求項1〜3のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
  5. 前記表面処理剤、下記一般式(I)で表される化合物で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
    一般式(I):(R10−Si(X)4−m
    (式中、R10はアルキル基又はアリール基を表す。Xは水酸基又は加水分解可能な基を表す。mは0〜3の整数を表す。R10又はXが複数存在するとき、該複数のR10又はXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
  6. 前記導電性高分子と無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層の屈折率が1.5より大きく2.1以下である、請求項1〜5のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
  7. 前記少なくとも1層の無機微粒子含有層が、屈折率が1.5より大きく1.7以下の無機微粒子含有層と、屈折率が1.7より大きく2.1以下の無機微粒子含有層とを有し、
    前記反射防止フィルムが、前記ハードコート層、前記屈折率が1.5以上1.7未満の無機微粒子含有層、前記屈折率が1.7以上2.1未満の無機微粒子含有層、及び前記低屈折率層を、前記透明支持体上にこの順で有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の反射防止フィルム。
  8. 前記屈折率が1.7より大きく2.1以下の無機微粒子含有層が、前記導電性高分子と表面処理された無機微粒子とを含有する無機微粒子含有層である、請求項7記載の反射防止フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項記載の反射防止フィルムの製造方法であって、
    無機微粒子を表面処理剤を用いて表面処理する工程と、
    導電性高分子と表面処理された無機微粒子層とを含有する無機微粒子含有層を、有機溶剤を主成分とし、前記表面処理された無機微粒子が分散し、かつ前記導電性高分子が溶解した塗布液を塗布して形成する工程とを含む、反射防止フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項記載の反射防止フィルムを有する偏光板。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項記載の反射防止フィルム、又は請求項10記載の偏光板を有する画像表示装置。
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JP2013203929A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 無機物粒子分散体及びその製造方法
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