以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
図1は本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。図示した情報処理システム100は、2台の上位装置101(101-1,101-2)と4台の情報処理装置102(102-1,102-2,102-3,102-4)を、通信網103で相互に接続した構成となっている。通信網103は、例えば、LAN(Local Area Network)等によって構成される。この通信網103に接続される上位装置101の台数と情報処理装置102の台数は、ここで記述した台数に限らず変更可能である。ただし、上位装置101の接続台数は1台以上とし、情報処理装置102の接続台数は2台以上とする。また、後述する電源制御処理を実施するうえでは、通信網103に上位装置10が接続されていなくてもよい。
通信網103に接続された4台の情報処理装置102-1,102-2,102-3,102-4は、それぞれ通信機能を有している。また、4台の情報処理装置102-1,102-2,102-3,102-4は、例えば、後述するIPアドレス(Internet Protocol Address)の登録により、「一群の情報処理装置」として相互に関連付けられている。このため、通信網103に接続された各々の情報処理装置102-1,102-2,102-3,102-4は、4台で一つの群れを構成している。
各々の上位装置101-1,101-2は、通信網103に接続されている4台の情報処理装置102-1,102-2,102-3,102-4のうち、いずれかの情報処理装置102に通信網103を介して処理の指示を送る。この指示を受けた情報処理装置102は、当該指示にしたがって所定の処理を行なう。つまり、上位装置101と情報処理装置102の関係は、上位装置101が処理を指示する側で、情報処理装置102が指示された処理を実行する側となっている。
具体的な事例として、上位装置101がパーソナルコンピュータ等の端末装置で構成され、情報処理装置102がプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像処理装置で構成されるものとする。そうした場合、上位装置101となる端末装置は、情報処理装置102となる4台の画像処理装置のうち、いずれかの画像処理装置に対して、通信網103を通して画像情報を印刷する旨の指示(以下、「印刷指示」)を送る。そして、この印刷指示を受けた画像処理装置は、印刷指示された画像情報を用紙等の記録材に印刷出力する処理を行なう。ただし、情報処理装置102は、画像処理装置に限らず、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ等で構成してもかまわない。
本発明の実施の形態においては、上記事例で記述したように、通信網103に接続された2台の上位装置101が端末装置であって、通信網103に接続された4台の情報処理装置102が画像処理装置である場合を例に挙げて、画像処理システム100に関する詳細な説明を行なう。
図2は本発明の実施の形態に係る画像処理装置(情報処理装置)の全体的な構成例を示すブロック図である。図示した画像処理装置1の構成は、上記4台の情報処理装置102にそれぞれ適用されるものである。画像処理装置1は、主電源スイッチ2と、副電源スイッチ3と、第1電源部4と、第2電源部5と、継電器(リレー)6と、コントローラ7と、操作部8と、画像読取部9と、画像形成部10とを備えている。
主電源スイッチ2は、図示しないACコンセントに対して抜き差しされる電源プラグ11と継電器6との間でスイッチング動作(オン/オフ)するものである。主電源スイッチ2は、ACコンセントに電源プラグ11を差し込んだ状態で、例えば、機械的(人為的)な押圧操作により、入(オン)/切(オフ)される。主電源スイッチ2は、AC100VでACコンセントから供給される電源をオン/オフするスイッチである。このため、主電源スイッチ2をオフ(切)にすると、画像処理装置1への電源の供給が完全に停止された状態となる。主電源スイッチ2は、最初に画像処理装置1を設置する場合や、設置後に画像処理装置1を別の場所に移動する場合などにオン/オフ操作される。
副電源スイッチ3は、主電源スイッチ2と同様に、例えば、機械的(人為的)な押圧操作により、入(オン)/切(オフ)されるものである。副電源スイッチ3は、画像処理装置1内で副電源スイッチ3を含めた最小限の機能部分への電源供給を残して、他の部分への電源の供給を停止させたり、当該停止状態から復帰させたりするためのスイッチである。副電源スイッチ3は、例えば、機械的に押下操作された場合に、そのときのスイッチ自身の状態(入/切)によって、スイッチが入れられる場合とスイッチが切られる場合がある。
具体的には、副電源スイッチ3が切られている状況で、副電源スイッチ3が押下操作された場合は、当該押下操作によって副電源スイッチ3が入れられる。また、副電源スイッチ3が入れられている状況で、副電源スイッチ3が押下操作された場合は、当該押下操作によって副電源スイッチ3が切られる。以降の説明では、主電源スイッチ2及び副電源スイッチ3の各々について、電源スイッチが入れられた状態をオン状態、電源スイッチが切られた状態をオフ状態とも記す。
副電源スイッチ3が入れられた場合は、副電源スイッチ3からコントローラ7にオン信号が出力される。また、副電源スイッチ3が切られた場合は、副電源スイッチ3からコントローラ7にオフ信号が出力される。
副電源スイッチ3は、電源プラグ11がACコンセントに差し込まれた状態で主電源スイッチ2がオン状態にあるときは、常時、電源スイッチとしての機能を果たす。また、副電源スイッチ3は、電源プラグ11をACコンセントに差し込んで主電源スイッチ2をオン状態にしてから、主電源スイッチ2をオフ状態にするまで(又はACコンセントから電源プラグ11を抜くまで)の間、前述した機械的な押下操作によりオン(入)/オフ(切)される。副電源スイッチ3が切られた状態では、画像処理装置1が実質的に電源オフの状態となる。このため、画像処理装置1を使用する使用者は、画像処理装置1の電源をオンしたい場合と、画像処理装置1の電源をオフしたい場合に、それぞれ副電源スイッチ3をオン/オフ操作することになる。
主電源スイッチ2及び副電源スイッチ3に適用されるスイッチの方式は、例えば、シーソー方式、押ボタン方式などの方式であってもかまわない。また、主電源スイッチ2と副電源スイッチ3に互いに異なるスイッチ方式(例えば、主電源スイッチ2がシーソー方式で、副電源スイッチ3が押ボタン方式など)を採用してもよい。
第1電源部4は、主電源スイッチ2がオン状態にあるときに、コントローラ7に対して、規定の電圧(図例では5V)で電源を供給するものである。
第2電源部5は、主電源スイッチ2がオン状態で、かつ継電器6がオン(閉じ)状態にあるときに、操作部8、画像読取部9及び画像形成部10に対して、それぞれ規定の電圧(図例では5Vと24V)で電源を供給するものである。
継電器6は、主電源スイッチ2と第2電源部5とをつなぐ電源ケーブル(不図示)の途中に設けられている。継電器6は、コントローラ7から出力される制御信号にしたがってオン・オフ(開・閉)動作する。主電源スイッチ2がオン状態にあるときに、コントローラ7から出力される制御信号にしたがって継電器6がオン状態になると、操作部8、画像読取部9及び画像形成部10に対して、第2電源部5から電源が供給される。また、主電源スイッチ2がオン状態にあるときに、コントローラ7から出力される制御信号にしたがって継電器6がオフ状態になると、操作部8、画像読取部9及び画像形成部10に対して、第2電源部5からの電源の供給が停止する。
コントローラ7は、操作部8、画像読取部9及び画像形成部10を含めて、画像処理装置1全体の動作を統括的に制御するものである。コントローラ7の内部の構成については後段で説明する。
操作部8は、画像処理装置1を使用する使用者によって操作されるものである。さらに詳述すると、操作部8は、画像処理装置1を使用する使用者が各種の情報を入力したり、使用者に対して各種の情報を表示したりするためのユーザーインターフェース(以下、「UI」とも記す)となるものである。操作部8は、例えば、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部とによって構成される。
画像読取部9は、原稿に記録された画像を光学的に読み取るものである。画像読取部9は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子を用いたイメージスキャナによって構成される。
画像形成部10は、被記録材となる用紙に画像を形成(印刷出力)するものである。画像形成部10は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、熱転写方式などの印刷方式で用紙に画像を印刷する印刷エンジンを用いて構成される。画像形成部10が用紙に形成する画像の元になる画像情報は、画像読取部9が原稿から読み取った画像情報だけでなく、外部の装置からネットワーク、公衆回線等を介して受信した画像情報や、USBメモリ等の携帯型記録媒体から読み出した画像情報であってもよい。画像情報は、電子的な情報(データ)であって、画像データと同義である。このため、以降の説明では、画像情報を画像データとも記す。
<コントローラの構成>
図3はコントローラ内部の構成例を示すブロック図である。コントローラ7は、CPU(中央演算処理装置)21と、システムメモリ22と、プログラムメモリ23と、ハードディスクドライブ(以下、「ハードディスク」と略称)24と、電源制御回路25と、タイマー26と、ネットワークインターフェース回路(ネットワークIF回路)27と、PHY(physical layer)チップ28と、UI(ユーザーインターフェース)制御回路29と、ビデオインターフェース回路(ビデオIF回路)30とを備えている。
CPU21には、メモリバス31を介してシステムメモリ22及びプログラムメモリ23が接続されている。CPU21は、例えばSATA規格でハードディスク24とつながっている。CPU21にはPCI(Peripheral Components Interconnect bus)バス32を介して電源制御回路25及びネットワークインターフェース回路27が接続されている。また、CPU21には、上記PCIバス32とは別系統のPCIバス33を介してUI制御回路29及びビデオインターフェース回路30が接続されている。
CPU21は、プログラムメモリ23に格納された各種のプログラムをシステムメモリ22に読み出して実行することにより、各種の処理を行なうものである。CPU21は、システムメモリ22に対するデータの書き込み及び読み出しを制御するメモリコントローラを内蔵している。ただし、メモリコントローラは、CPU21と別個に構成されていてもよい。
システムメモリ22は、CPU21のワークメモリとして用いられる。システムメモリ22は、揮発性記憶媒体としてコントローラ7に設けられたものである。システムメモリ22は、半導体記憶素子の一つである、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)を用いて構成される。ここでは一例として、セルフリフレッシュ(自己再書き込み動作)機能を有するDRAMを用いてシステムメモリ22が構成されているものとする。揮発性記憶媒体とは、電源の供給が断たれると記憶内容が消失する記憶媒体をいう。
プログラムメモリ23は、画像処理装置1が提供する機能を実現するための各種のプログラムを格納するものである。プログラムメモリ23に格納されるプログラムには、例えば、画像処理装置1の動作を制御する制御プログラム、画像処理装置1が取り扱う画像データに画像処理(例えば、色変換、色補正、階調補正、拡大縮小、画像回転、スクリーン生成などの処理)を施す画像処理プログラムなどが含まれる。プログラムメモリ23は、例えば、PROM(Programmable Read Only Memory)を用いて構成される。
ハードディスク24は、画像処理装置1が取り扱う画像データを含めて、各種のデータを記憶するために用いられる。ハードディスク24は、不揮発性記憶媒体としてコントローラ7に設けられたものである。不揮発性記憶媒体とは、電源の供給を断っても記憶内容を保持する記憶媒体をいう。
電源制御回路25は、前述した継電器6を動作させて、操作部8、画像読取部9及び画像形成部10への電源の供給を制御したり、コントローラ7内部の電源の供給を制御したりするものである。電源制御回路25には、前述した副電源スイッチ3からオン信号又はオフ信号が入力される。
電源制御回路25は、コントローラ7の内部を含めて、画像処理装置1の各部への電源の供給を制御するものである。電源制御回路25は、画像処理装置1の電源状態を、予め決められた条件に基づいて設定又は変更する。電源制御回路25が設定する画像処理装置1の電源状態には、単位時間あたりの消費電力が異なる複数の電源状態がある。ここでは一例として、電源オン状態、スリープ状態、電源オフ状態といった3つの電源状態が存在するものとする。このうち、電源オフ状態は「第1の電源状態」の一実施例に相当するものとなり、スリープ状態は「第2の電源状態」の一実施例に相当するものとなる。画像処理装置1の電源状態の切り替えは、電源制御回路25により行なわれる。
電源オン状態は、画像処理装置1が実際に画像形成動作を行なっている場合や画像形成動作を終えて処理待ちで待機している場合に適用される電源状態である。画像処理装置1が電源オン状態にあるときは、第1電源部4から供給される電源によってコントローラ7内のすべての機能部に電源が供給された状態になるとともに、第2電源部5から供給される電源によって操作部8、画像読取部9及び画像形成部10のすべてに電源が供給された状態になる。このため、電源オン状態のもとでは、画像処理装置1の通信機能が起動した状態になる。以降の説明では、画像処理装置1が画像形成動作中にあるときの電源オン状態を「ラン状態」とも記し、画像処理装置1が処理待ちで待機中にあるときの電源オン状態を「スタンバイ状態」とも記す。
スリープ状態は、例えば、画像処理装置1が処理待ちで待機してから実質的に画像形成動作を休止している時間が、予め設定された時間を超えた場合に適用される電源状態である。スリープ状態は、消費電力で比較すれば、オフ状態より高く、オン状態より低い消費電力の状態である。画像処理装置1が処理待ちで待機している時間はタイマー26を用いて計測される。画像処理装置1がスリープ状態にあるときは、継電器6がオフ状態となって、操作部8、画像読取部9及び画像形成部10への電源の供給が断たれる。また、画像処理装置1がスリープ状態にあるときは、図4に示すように、コントローラ7の内部で、ハードディスク24、UI制御回路29及びビデオインターフェース回路30への電源の供給が断たれる。スリープ状態では画像処理装置1の通信機能を担うネットワークインターフェース回路27及びPHYチップ28に電源が供給される。このため、スリープ状態のもとでは、画像処理装置1の通信機能が起動した状態になる。
電源オフ状態は、副電源スイッチ3が押下操作されて当該副電源スイッチ3がオン状態からオフ状態に切り替わった場合、つまり副電源スイッチ3が切られた場合に適用される電源状態である。画像処理装置1が電源オフ状態にあるときは、図5に示すように、前述したスリープ状態で電源の供給が断たれる部分に加えて、コントローラ7の内部で、CPU21、プログラムメモリ23、ネットワークインターフェース回路27、PHYチップ28への電源の供給が断たれる。つまり、画像処理装置1(コントローラ7を含む)の内部で、システムメモリ22、電源制御回路25、タイマー26だけに電源が供給された状態になる。電源オフ状態に移行するときは、CPU21のレジスタ情報や復帰のための情報が、CPU21によってシステムメモリ22に書き込まれるとともに、CPU21によってシステムメモリ22がセルフリフレッシュモードに設定される。電源オフ状態では、画像処理装置1の通信機能を担うネットワークインターフェース回路27及びPHYチップ28への電源の供給が断たれる。このため、電源オフ状態のもとでは、画像処理装置1の通信機能が停止した状態になる。
タイマー26は、時間の計測を計時手段として設けられたものである。
ネットワークインターフェース回路27は、前述した通信網103を介して、自装置以外の他の装置(図例では端末装置34)と通信するためのものである。端末装置34は、前述した上位装置101として通信網103に接続されるものである。ネットワークインターフェース回路27は、PHYチップ28を介して、前述した通信網103に接続される。
UI制御回路29は、操作部8との間で操作用のデータをやり取りするものである。操作用のデータには、UI制御回路29から操作部8に送られるデータと、操作部8からUI制御回路29に送られるデータがある。例えば、UI制御回路29から操作部8に送られるデータとしては、操作部8の表示部に各種の操作用の画面を表示するための表示データなどがある。また、操作部8からUI制御回路29に送られるデータとしては、操作部8の入力部で使用者が入力した入力データなどがある。
ビデオインターフェース回路30は、画像データの入出力デバイスとなる画像読取部9及び画像形成部10との間で、各種のデータ(画像データ、制御データなど)の受け渡しを行なうものである。例えば、画像読取部9が原稿の画像を光学的に読み取ったときに得られる画像データは、画像読取部9からビデオインターフェース回路30へと送り込まれる。また、画像形成部10が用紙に出力すべき画像データは、ビデオインターフェース回路30から画像形成部10へと送り込まれる。また、画像読取部9の動作を制御するための制御データは、ビデオインターフェース回路30から画像読取部9に送り込まれ、画像形成部10の動作を制御するための制御データは、ビデオインターフェース回路30から画像形成部10に送り込まれる。
図6は主として電源の制御に係る画像処理装置1の機能構成を示すブロック図である。図6において、制御手段40は、画像処理装置1のコンピュータを用いてソフトウェア的に実現されるものである。画像処理装置1のコンピュータのハードウェア資源には、CPU21、システムメモリ22、プログラムメモリ23、ハードディスク24及び電源制御回路25が含まれる。
CPU21は、プログラムメモリ23に格納されたプログラムをシステムメモリ22に読み出して実行することにより、所定の処理を実行する。電源制御回路25は、例えば、集積回路チップからなり、予めチップ内に組み込まれたプログラムにしたがって所定の処理を実行する。ソフトウェアによるプログラム実行以外にも、例えば、論理回路や順序回路、またその組み合わせ回路で所定の処理を実行する形態でも構わない。制御手段40は、CPU21がプログラムを実行することで実現される処理機能と、電源制御回路25がプログラムを実行することで実現される処理機能とを用いて構成される。ここで記述したプログラムは、発明の1つとして抽出してもよい。また、このプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体に格納して提供してもよいし、有線又は無線による通信手段によって提供してもよい。
制御手段40は、電源状態切り替え制御部41と、時刻合わせ部42と、設定用情報取得部43と、復帰期間設定部44と、復帰要因検出部45と、電源状態切り替え部46とを備えている。このうち、電源状態切り替え制御部41及び電源状態切り替え部46の機能は、画像処理装置1の電源状態が電源オフ状態のときでも、それらの機能が停止しないように、電源制御回路25によって実現される機能となる。これに対して、時刻合わせ部42、設定用情報取得部43、復帰期間設定部44及び復帰要因検出部45の各機能は、
CPU21によって実現される機能となる。ただし、これに限らず、設定用情報取得部43、復帰期間設定部44及び復帰要因検出部45のうち、一部の機能を電源制御回路25によって実現してもよい。
制御手段40には、上述した副電源スイッチ3、タイマー26、ネットワークインターフェース回路27の他に、時計部47が接続されている。時計部47は、画像処理装置1に内蔵されるものである。時計部47は、現在の時刻を計時する計時手段として設けられている。時計部47は、画像処理装置1の電源状態が電源オフ状態になっても、現在の時刻を計時し続けるようになっている。
電源状態切り替え制御部41は、自装置(画像処理装置1)の電源状態の切り替えを制御するものである。電源状態切り替え制御部41は、後述するように、復帰期間設定部44で設定された復帰期間や、復帰要因検出部45による復帰要因の検出結果に基づいて、自装置(画像処理装置1)の電源状態の切り替えを制御する。
時刻合わせ部42は、時計部47の現在の時刻を基準時刻に合わせるものである。時刻合わせ部42は、ネットワークインターフェース回路27を介して、通信網103上に存在する外部の装置から、基準時刻を示す情報(以下、「基準時刻情報」)を取得する。そして、時刻合わせ部42は、取得した基準時刻情報を用いて、時計部47の現在の時刻が基準時刻に一致するように、時計部47の時刻合わせを行なう。
基準時刻情報の取得に関しては、例えば、前述した通信網103に時計サーバが接続された環境であれば、この時計サーバのIPアドレスを時刻合わせ部42に登録しておいて、当該時計サーバから基準時刻情報を取得する仕組みとすればよい。
また、これ以外にも、通信網103に接続されている4台の情報処理装置102のうち、いずれか1台の情報処理装置102に内蔵された時計部の現在の時刻を基準時刻として取り扱ってもよい。本発明の実施の形態においては、情報処理装置102-1に内蔵された時計部の現在の時刻を基準時刻として取り扱うものとする。その場合は、少なくとも情報処理装置102-1を除く3台の情報処理装置102-2,102-3,102-4に、それぞれ基準時刻情報の取得先として情報処理装置102-1のIPアドレスが登録する。そして、情報処理装置102-1を除く3台の情報処理装置102-2,102-3,102-4は、上記時刻合わせ部42の機能を用いて、IPアドレスで指定された共通の情報処理装置102-1から基準時刻情報を取得する。
設定用情報取得部43は、画像処理装置(自装置)1の電源状態を電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる復帰期間を設定するための情報(以下、「復帰期間設定情報」)を取得するものである。
設定用情報取得部43が取得する復帰期間設定情報には、次のような情報が含まれる。
(1)一群の装置を対象とした電源制御の開始時刻
(2)一群の装置を対象とした電源制御の終了時刻
(3)1回あたりの復帰維持時間
(4)一群に属する装置の台数
(5)復帰の順番
(6)一群に属する装置のIPアドレス
復帰期間は、例えば、通信網103に接続される情報処理装置102の台数をN(Nは2以上の自然数)台と定義すると、一群に属するN台の情報処理装置102を、M(MはNより小さい自然数)台ずつ循環的に電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる条件で、各々の情報処理装置102に割り当てられる期間である。
本発明の実施の形態においては、通信網103に4台の情報処理装置102が接続されているネットワーク環境で、当該4台の情報処理装置102を1台ずつ循環的に電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる条件で、各々の情報処理装置102に復帰期間を割り当てるものとする。この場合は、N=4、M=1となる。ただし、これに限らず、Mの値は、Nの値よりも小さい自然数で規定されることから、M=2であってもよいし、M=3であってもよい。M=2の場合は、4台のうちの2台を順に組み合わせを変えてスリープ状態に復帰させればよい。同様に、M=3の場合は、4台のうちの3台を順に組み合わせを変えてスリープ状態に復帰させればよい。
復帰期間の割り当ては、一群に属する各々の情報処理装置102に、前述した復帰期間設定情報を共有させることにより行なう。復帰期間設定情報の共有は、例えば、いずれか1台の情報処理装置102に事前に復帰期間設定情報を登録(格納)しておき、当該復帰期間設定情報を登録済みの情報処理装置102から、他の情報処理装置102が復帰期間設定情報を取得することにより実現される。ただし、これに限らず、一群に属する情報処理装置102とは別の管理サーバに復帰期間設定情報を登録(格納)しておき、当該管理サーバから各々の情報処理装置102が復帰期間設定情報を取得する仕組みであってもよい。本発明の実施の形態においては、一例として、前者の仕組みを採用し、情報処理装置102-1に復帰期間設定情報を登録するものとする。
ここで記述する「循環的」とは、例えば、装置A、装置B、装置Cといった3台の装置で一群の装置を構成するものとすると、電源オフ状態からスリープ状態に復帰する装置が、装置A→装置B→装置C→装置A→装置B→装置C→装置A→装置B→装置C→装置A→装置B→装置C→装置A→装置B→…(以後、同様の繰り返し)と順に入れ替わる(ローテーションする)ことを意味する。この場合、電源オフ状態からスリープ状態に復帰する装置が、例えば、装置B→装置Cと入れ替わるときは、装置Bの電源状態がスリープ状態から電源オフ状態に移行するのと入れ替わりで、装置Cの電源状態が電源オフ状態からスリープ状態に復帰する。つまり、装置A、装置B、装置Cは、入れ替わり方式で1台ずつ交互(順)にスリープ状態に復帰する。
復帰期間は、上記3台の装置A,B,Cのうち、1台の装置が、あるタイミングで電源オフ状態からスリープ状態に復帰してから、当該装置Aがスリープ状態から電源オフ状態に戻るまでの期間(時間の長さ)となる。また、装置Aを例にとると、装置Aの復帰期間は、装置Aが電源オフ状態からスリープ状態に復帰する時刻(以下、「復帰時刻」)と、当該復帰時刻を起点として装置Aをスリープ状態に維持する時間の長さ(以下、「復帰維持時間」)によって規定される。装置Aの復帰期間(復帰時刻)は、前述したように3台の装置A,B,Cを装置A→装置B→装置Cの順で1台ずつ電源オフ状態からスリープ状態に復帰させるのに要する期間を1つの周期とすると、各々の周期ごとに設定される。この点は、他の装置B,Cについても同様である。
前述した復帰期間設定情報のうち、一群の情報処理装置を対象とした電源制御の開始時刻に関しては、例えば、午後6時(18時)で登録する。また、一群の情報処理装置を対象とした電源制御の終了時刻に関しては、例えば、午前9時で登録する。この場合、一群の情報処理装置を対象とした電源制御は、ある日の午後6時に始まって、翌日の午前9時に終了となる。
1回あたりの復帰維持時間に関しては、例えば、30分で登録する。
復帰の順番に関しては、一群に属するN台の情報処理装置を対象に、1番からN番まで登録する。本発明の実施の形態においては、4台の情報処理装置102で一群を構成している。このため、一例として、情報処理装置102-1を1番に、情報処理装置102-2を2番に、情報処理装置102-3を3番に、情報処理装置102-4を4番に、それぞれ登録するものとする。
そうした場合、4台の情報処理装置102を1台ずつ循環的に復帰させる場合は、4台の情報処理装置102がすべて電源オフ状態になっている状況のもとで、図7に示すように、スリープ状態に復帰させる情報処理装置102を順に切り替える。以下にさらに詳しく説明する。
まず、復帰の順番が1番で登録されている情報処理装置102-1の電源状態を電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる。次に、情報処理装置102-1の電源状態をスリープ状態から電源オフ状態に戻すのと入れ替わりで、復帰の順番が2番で登録されている情報処理装置102-2の電源状態を電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる。次に、情報処理装置102-2の電源状態をスリープ状態から電源オフ状態に戻すのと入れ替わりで、復帰の順番が3番で登録されている情報処理装置102-3の電源状態を電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる。次に、情報処理装置102-3の電源状態をスリープ状態から電源オフ状態に戻すのと入れ替わりで、復帰の順番が4番で登録されている情報処理装置102-4の電源状態を電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる。次に、情報処理装置102-4の電源状態をスリープ状態から電源オフ状態に戻すのと入れ替わりで、復帰の順番が1番で登録されている情報処理装置102-1の電源状態を再び電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる。
このように4台の画像形成部10を復帰の順番にしたがって1番から4番まで電源オフ状態からスリープ状態に復帰させるのに要する期間(さらに詳しくは、復帰の順番が1番で登録されている情報処理装置102-1の電源状態を電源オフ状態からスリープ状態に復帰させてから、当該情報処理装置102-1の電源状態を再び電源オフ状態からスリープ状態に復帰させるまでの期間)が1周期となる。以降は、この周期の繰り返しで、1番から4番までの情報処理装置102を1台ずつ順に復帰させることになる。このため、4台の情報処理装置102は、各々の周期内で1回ずつ電源オフ状態からスリープ状態に復帰することになる。また、1つの周期内では、4台の情報処理装置102が、時間軸上で1台ずつ交互(順)に電源オフ状態からスリープ状態に復帰することになる。
一群に属する情報処理装置の台数に関しては、本実施の形態の場合は4台で登録する。一群に属する情報処理装置の台数は、以下に記述するIPアドレスの登録数で代用してもよい。
一群に属する情報処理装置のIPアドレスに関しては、通信網103上で一群を構成する4台の情報処理装置102に割り当てられているIPアドレスをすべて登録する。換言すると、復帰期間設定情報の1つとして、事前にIPアドレスが登録される情報処理装置102が、一群の情報処理装置102を構成するものとなる。このため、一群の情報処理装置102は、IPアドレスの登録によって相互に関連付けられる。
前述したように復帰期間設定情報を情報処理装置102-1に登録する場合は、登録に必要な各々の情報を、情報処理装置102-1を操作する操作者がキーボード等で入力してもよいし、情報処理装置102-1が通信網103を利用して取得してもよい。
復帰要因検出部45は、復帰要因の有無を検出するものである。復帰要因は、復帰期間設定部44で設定された復帰期間に合わせて自装置の電源状態をスリープ状態に復帰しているときに、当該復帰状態を復帰期間後も維持するかどうかを判断するための判断材料となる。
電源状態切り替え部46は、電源状態切り替え制御部41からの指示にしたがって自装置(画像処理装置1)の電源状態を切り替えるものである。電源状態切り替え部46は、電源オン状態(スタンバイ状態)からスリープ状態への切り替えや、スリープ状態から電源オフ状態への切り替え、さらには電源オフ状態からスリープ状態への切り替えや、スリープ状態から電源オン状態(スタンバイ状態又はラン状態)への切り替えを行なう。
続いて、上記画像処理装置1の機能構成を用いて行なわれる電源制御処理の具体的な処理内容について説明する。なお、ここでは前述したとおり基準時刻の取得先と復帰期間設定情報の取得先が、いずれも情報処理装置102-1で登録されているものとする。そうした場合、情報処理装置102-1を除く3台の情報処理装置102-2,102-3,102-4では、次のような処理が行なわれる。
まず、電源制御処理の開始に先立って、時刻合わせ部42は、画像処理装置1の電源状態が電源オン状態又はスリープ状態にあるときに、基準時刻の取得先として登録されている情報処理装置102-1から基準時刻の情報を取得し、当該基準時刻に合わせて時刻合わせ部42の現在の時刻を合わせておく。こうした時刻合わせは、基準時刻の取得先として登録されている情報処理装置102-1を除く3台の情報処理装置102-2,102-3,102-4で同様に行なわれる。このため、通信網103に接続されている4台の情報処理装置102に内蔵されている時計部の現在時刻はすべて一致した状態となる。
また、電源制御処理の開始に先立って、設定用情報取得部43は、復帰期間設定情報の取得先として登録されている情報処理装置102-1から復帰期間設定情報を取得し、復帰期間設定部44は、設定用情報取得部43で取得した復帰期間設定情報を用いて復帰期間を設定する。ただし、復帰期間設定情報の取得先として登録されている情報処理装置102-1では、事前に自装置に登録されている復帰期間設定情報を用いて復帰期間を設定する。
ここでは、説明の便宜上、一群の情報処理装置を対象とした電源制御の開始時刻を「Ts」とし、一群の情報処理装置を対象とした電源制御の終了時刻を「Te」とする。また、1回あたりの復帰維持時間を「Tr」とする。そして、前述したとおりTs=18時、Te=9時、Tr=30分で登録されているものとする。一群に属する情報処理装置の台数は、前述したとおりN=4で登録され、復帰の順番は、前述したとおり情報処理装置102-1が1番、情報処理装置102-2が2番、情報処理装置102-3が3番、情報処理装置102-4が4番に登録されているものとする。
また、一群に属する情報処理装置のIPアドレスは、例えば、情報処理装置102-1のIPアドレスが「192.168.0.1」で登録され、情報処理装置102-2のIPアドレスが「192.168.0.2」で登録され、情報処理装置102-3のIPアドレスが「192.168.0.3」で登録され、情報処理装置102-4のIPアドレスが「192.168.0.4」で登録されているものとする。
こうした復帰期間設定情報の取得処理は、復帰期間設定情報の取得先(登録先)となる情報処理装置102-1を除く3台の情報処理装置102-2,102-3,102-4で同様に行なわれる。このため、通信網103に接続されている4台の情報処理装置102で復帰期間設定情報が共有され、これによって各々の情報処理装置102に復帰期間が割り当てられることになる。
そうした場合、復帰期間設定情報を共有する各々の情報処理装置102では、次の計算式に基づいて、自装置に割り当てられた復帰期間(復帰時刻、復帰維持時間)を求める。
復帰時刻=Ts+(J―1+N×i)×(Tr−α)
復帰維持時間=Tr
“J”は、復帰の順番を示す数値である。“i”は、スリープ状態への復帰を1周期ごとに1回ずつ繰り返す際の繰り返し回数で、0,1,2,3,…の整数をとる。この繰り返し回数iは、電源制御が開始されて最初の周期ではi=0、次の周期ではi=1、その次の周期ではi=2といった具合に、順にインクリメントされる。“α”は、J番目にスリープ状態に復帰させた情報処理装置102の復帰維持時間Trと、(J+1)番目にスリープ状態に復帰させた情報処理装置102の復帰維持時間Trとが重なり合う時間である。このαで規定される時間は、0(零)であってもよい。
復帰期間を規定する復帰時刻及び復帰維持時間のうち、復帰時刻は、繰り返しの周期ごとに異なる時刻に設定されるが、復帰維持時間は、繰り返しの周期によらず同じ時間に設定される。具体的には、各々の情報処理装置102で次のような条件で復帰期間が設定される。
情報処理装置102-1で復帰期間を設定する場合は、当該情報処理装置102-1の復帰の順番が1番で登録されていることから、J=1となる。このため、情報処理装置102-1の場合、最初の周期(i=0)では、復帰時刻=Ts及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=1)では、復帰時刻=Ts+4×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=2)では、復帰時刻=Ts+8×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。この場合、4台の画像形成部10を1番から4番まで順に電源オフ状態からスリープ状態に復帰させるのに要する期間、つまり1周期の時間的な長さは、“4×(Tr−α)”となる。このため、情報処理装置102-1で繰り返し回数iの値がインクリメントされるごとに、復帰時刻が“4×(Tr−α)”だけずれることになる。
情報処理装置102-2で復帰期間を設定する場合は、当該情報処理装置102-2の復帰の順番が2番で登録されていることから、J=2となる。このため、情報処理装置102-2の場合、最初の周期(i=0)では、復帰時刻=Ts+(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=1)では、復帰時刻=Ts+5×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=2)では、復帰時刻=Ts+9×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。以降は、情報処理装置102-2で繰り返し回数iの値がインクリメントされるごとに、復帰時刻が“4×(Tr−α)”ずつずれることになる。
情報処理装置102-3で復帰期間を設定する場合は、当該情報処理装置102-3の復帰の順番が3番で登録されていることから、J=3となる。このため、情報処理装置102-3の場合、最初の周期(i=0)では、復帰時刻=Ts+2(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=1)では、復帰時刻=Ts+6×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=2)では、復帰時刻=Ts+10×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。以降は、情報処理装置102-3で繰り返し回数iの値がインクリメントされるごとに、復帰時刻が“4×(Tr−α)”ずつずれることになる。
情報処理装置102-4で復帰期間を設定する場合は、当該情報処理装置102-4の復帰の順番が4番で登録されていることから、J=4となる。このため、情報処理装置102-4の場合、最初の周期(i=0)では、復帰時刻=Ts+3(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=1)では、復帰時刻=Ts+7×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。次の周期(i=2)では、復帰時刻=Ts+11×(Tr−α)及び復帰維持時間=Trの条件で復帰期間が設定される。以降は、情報処理装置102-4で繰り返し回数iの値がインクリメントされるごとに、復帰時刻が“4×(Tr−α)”ずつずれることになる。
本発明の実施の形態において、復帰期間設定部44は、予め設定された電源制御の開始時刻Tsにあわせて電源制御処理が開始される前に、画像処理装置1の電源状態が電源オン状態又はスリープ状態のもとで、少なくとも最初の周期(i=0)に適用する復帰期間の設定を終えておく。そして、次回の周期に適用する復帰期間の設定は、今回の周期で画像処理装置1の電源状態をスリープ状態に復帰している期間に行なう。
なお、復帰期間の割り当ては、復帰期間設定情報が登録される情報処理装置102又は管理サーバの内部で、一群に属するN台の情報処理装置102ごとに、前述した計算式に基づいて、各周期の復帰時刻と復帰維持時間を求め、その求めた情報を各々の情報処理装置102が取得することで実現する仕組みとしてもよい。
<電源制御処理>
図8は画像処理装置1で行なわれる電源制御処理の手順を示すフローチャートである。この電源制御処理は、4台の情報処理装置102の電源状態がすべて電源オフ状態のときに、復帰期間設定情報に含まれる電源制御の開始時刻Tsにしたがって、各々の情報処理装置102で開始されるものである。
まず、電源状態切り替え制御部41は、時計部47が計時している現在の時刻が予め復帰期間設定部44で設定された復帰時刻になったかどうかを確認する(ステップS1)。そして、現在の時刻が復帰時刻に達していない場合は否定判定し、現在の時刻が復帰時刻に達した場合は肯定判定する。
現在の時刻が復帰時刻に達していない場合、電源状態切り替え制御部41は、副電源スイッチ3が入れられたかどうかを確認する(ステップS13)。副電源スイッチ3が入れられていない場合は否定判定してステップS1に戻る。副電源スイッチ3が入れられた場合は、肯定判定して電源状態切り替え部46に電源状態の切り替えを指示し、この指示を受けて電源状態切り替え部46が画像処理装置1の電源状態を電源オフ状態からスタンバイ状態に復帰させる(ステップS14)。
電源状態切り替え部46による電源オフ状態からスタンバイ状態への復帰処理は、電源オフ状態からスリープ状態への復帰と、スリープ状態からスタンバイ状態への復帰の2段階で行なわれる。また、電源状態切り替え部46によってスタンバイ状態に復帰した画像処理装置1は、その後、副電源スイッチ3がオフされないかぎり(又はスタンバイ状態に維持される時間が予め設定された時間に到達しないかぎり)、再び電源オフ状態に移行することはない。このため、ステップS14でスタンバイ状態に復帰させた場合は、今回の復帰期間が過ぎても、画像処理装置1の電源状態がスタンバイ状態又はスリープ状態で遷移する。したがって、画像処理装置1の通信機能は起動中の状態に維持される。
一方、現在の時刻が復帰時刻に達した場合、電源状態切り替え制御部41は、画像処理装置1の電源状態を電源オフ状態からスリープ状態に復帰させる(ステップS2)。
次に、電源状態切り替え制御部41は、タイマー26を用いて時間の計測を開始する(ステップS3)。タイマー26による時間の計測は、画像処理装置1の電源状態が電源オフ状態からスリープ状態に復帰するタイミングに合わせて開始される。
次に、復帰期間設定部44は、次回の周期に適用する復帰期間(復帰時刻、復帰維持時間)を、前述した計算式に基づいて求める(ステップS4)。例えば、繰り返しの周期として、今回の周期が1回目の周期であれば、i=1の条件で、次回(2回目)の周期に適用する復帰期間を求める。また、今回の周期が2回目の周期であれば、i=2の条件で、次回(3回目)の周期に適用する復帰期間を求める。以降、同様にして、次回の周期に適用する復帰期間を求める。繰り返し回数iに関しては、図示はしないが、繰り返しの周期が変わるたびに画像処理装置1の制御手段40で1ずつ加算される。
次に、復帰期間設定部44は、次回の周期に適用する復帰期間として求めた復帰時刻が、復帰期間設定情報に含まれる電源制御の終了時刻Teよりも前であるかどうかを判断する(ステップS5)。ここでは、次回の周期に適用する復帰時刻が電源制御の終了時刻Teよりも前であれば肯定判定し、次回の周期に適用する復帰時刻が電源制御の終了時刻Te以後であれば否定判定する。
ステップS5で肯定判定した場合は、上記ステップS4で求めた復帰期間の復帰時刻に合わせて、次回の周期に適用する復帰時刻を設定する(ステップS6)。また、ステップS5で否定判定した場合は、電源制御の終了時刻Teに合わせて、次回の周期に適用する復帰時刻を設定する(ステップS7)。
次に、復帰要因検出部45は、現在、通信網103に接続されている4台(1群)の情報処理装置102のうち、電源状態がスリープ状態又は電源オン状態に復帰している情報処理装置102の台数(以下、「復帰台数」)を確認する(ステップS8)。電源状態がスリープ状態又は電源オン状態に復帰している情報処理装置102では、ネットワークインターフェース回路27及びPHYチップ28に電源が供給される。このため復帰要因検出部45が確認する復帰台数は、通信機能が起動中の情報処理装置102の台数に相当するものとなる。なお、復帰要因検出部45が確認する復帰台数には、自装置を含めないものとする。このため、上記ステップS8で復帰要因検出部45が確認する復帰台数は、自装置以外でスリープ状態又は電源オン状態に復帰している情報処理装置102の台数となる。
復帰台数の確認処理は、上記ステップS3で自装置の電源状態をスリープ状態に復帰させてからタイマー26で計測した時間が、前述した時間Tr−αに達する前に行なう。また、確認処理は、情報処理装置102-1であれば、事前に自装置に登録されたIPアドレスを用い、それ以外の情報処理装置102-2,102-3,102-4であれば、事前に設定用情報取得部43が取得したIPアドレスを用いて、自装置以外の情報処理装置102宛てに応答要求を行ない、当該応答要求に対して実際に応答のあった情報処理装置102の台数をカウントすることで行なう。
例えば、図8に示す電源制御処理を行なっている画像処理装置1が情報処理装置102-3であると仮定すると、情報処理装置102-1のIPアドレス「192.168.0.1」と、情報処理装置102-2のIPアドレス「192.168.0.2」と、情報処理装置102-4のIPアドレス「192.168.0.4」を用いて、各々の情報処理装置102-1,102-2,102-4宛てに応答要求を行なう。そして、いずれの情報処理装置102-1,102-2,102-4からも応答がなかった場合は、復帰台数=0と確定する。また、いずれか1台の情報処理装置102から応答があった場合は、復帰台数=1台と確定し、いずれか2台の情報処理装置102から応答があった場合は、復帰台数=2台と確定し、3台の情報処理装置102から応答があった場合は、復帰台数=3台と確定する。
次に、復帰要因検出部45は、上記ステップS8で確認した復帰台数が予め設定された基準台数以上であるかどうかを判断する(ステップS9)。本発明の実施の形態においては、前述したようにN=4、M=1のネットワーク環境になっている。基準台数はMの値に合わせて設定される。このため、本発明の実施の形態においては、基準台数=1台に設定される。
上記ステップS9において、復帰台数が基準台数以上であれば、復帰要因検出部45は、復帰要因があったと認識し、その旨を電源状態切り替え制御部41に通知する。そうすると、電源状態切り替え制御部41は、自装置の電源状態をスリープ状態に維持したまま一連の処理を終える。この場合は、タイマー26の計測値が復帰維持時間Trに達した以降も、画像処理装置1の電源状態がスリープ状態に維持されることになる。
一方、上記ステップS9において、復帰台数が基準台数未満であれば、復帰要因検出部45は、ネットワークインターフェース回路27が外部の端末装置34からパケットを受信したかどうかを確認する(ステップS10)。このパケットは、画像処理装置1に対して復帰を要求する指示として、端末装置34から画像処理装置1に送信されるものとする。復帰要求の指示には、例えば、画像情報の印刷指示などが含まれる。
上記ステップS10でパケットの受信を検知した場合、復帰要因検出部45は、復帰要求があったと認識して、その旨を電源状態切り替え制御部41に通知する。そうすると、電源状態切り替え制御部41は、復帰要因検出部45からの通知を受けて上記ステップS14の処理に移行する。ステップSで14は、前述したように電源状態切り替え制御部41が電源状態切り替え部46に電源状態の切り替えを指示し、この指示を受けて電源状態切り替え部46が画像処理装置1の電源状態を電源オフ状態からスタンバイ状態に復帰させる。
また、上記ステップS10でパケットの受信を検知しなかった場合、電源状態切り替え制御部41は、上記ステップS3で時間の計測を開始させたタイマー26の計測値が復帰維持時間Trに達したかどうかを確認する(ステップS11)。そして、タイマー26の計測値が復帰維持時間Trに達していない場合は、上記ステップS10に戻る。また、タイマー26の計測値が復帰維持時間Trに達した場合は、画像処理装置1の電源状態をスリープ状態から電源オフ状態に移行させる(ステップS12)。
ステップS12で画像処理装置1の電源状態を電源オフ状態に移行させた場合は、その後、上記ステップS1に戻る。このため、上記ステップS6又はステップS7で次回の周期に適用するために設定した復帰時刻になるまで、画像処理装置1の電源状態が電源オフ状態に維持されることになる。ただし、その間に副電源スイッチ3が押されてオンした場合は、上記ステップS13で肯定判定されるため、そのオン信号を受けて電源状態切り替え制御部41が画像処理装置1の電源状態をスタンバイ状態に復帰させることになる。
以上のような電源制御処理を、電源制御の開始時刻Tsから電源制御の終了時刻Teまでの間、各々の情報処理装置102で個別に行なう。そうすると、一群に属する4台の情報処理装置102の電源状態は、次のように変化する。
すなわち、図9に示すように、4台の情報処理装置102がすべて電源オフ状態に移行した後、電源制御の開始時刻Tsになると、まず、復帰の順番が1番で登録されている情報処理装置102-1が、電源制御の開始時刻Tsと同時に電源オフ状態からスリープ状態に復帰する。なお、図9においては、電源制御の開始時刻Tsよりも前に、4台の情報処理装置102が同じタイミングでスタンバイ状態から電源オフ状態に移行しているが、電源オフ状態に移行するタイミングはバラバラであってもよい。
次に、情報処理装置102-1が時刻“Ts”でスリープ状態に復帰してから(Tr−α)時間が経過すると、復帰の順番が2番で登録されている情報処理装置102-2が電源オフ状態からスリープ状態に復帰する。このとき、情報処理装置102-2がスリープ状態に復帰する時刻は“Ts+(Tr−α)”となる。一方、情報処理装置102-1は、スリープ状態に復帰してからの経過時間がTrに達すると、再び電源オフ状態に戻る。このため、情報処理装置102-1がスリープ状態に復帰している時間と情報処理装置102-2がスリープ状態に復帰している時間は、α時間だけ重なり合うことになる。
次に、情報処理装置102-2が時刻“Ts+(Tr−α)”でスリープ状態に復帰してから(Tr−α)時間が経過すると、復帰の順番が3番で登録されている情報処理装置102-3が電源オフ状態からスリープ状態に復帰する。このとき、情報処理装置102-3がスリープ状態に復帰する時刻は、“Ts+2×(Tr−α)”となる。一方、情報処理装置102-2は、スリープ状態に復帰してからの経過時間がTrに達すると、再び電源オフ状態に戻る。このため、情報処理装置102-2がスリープ状態に復帰している時間と情報処理装置102-3がスリープ状態に復帰している時間は、α時間だけ重なり合うことになる。
次に、情報処理装置102-3が時刻“Ts+2×(Tr−α)”でスリープ状態に復帰してから(Tr−α)時間が経過すると、復帰の順番が4番で登録されている情報処理装置102-4が電源オフ状態からスリープ状態に復帰する。このとき、情報処理装置102-4がスリープ状態に復帰する時刻は、“Ts+3×(Tr−α)”となる。一方、情報処理装置102-3は、スリープ状態に復帰してからの経過時間がTrに達すると、再び電源オフ状態に戻る。このため、情報処理装置102-3がスリープ状態に復帰している時間と情報処理装置102-4がスリープ状態に復帰している時間は、α時間だけ重なり合うことになる。
次に、情報処理装置102-4が時刻“Ts+3×(Tr−α)”でスリープ状態に復帰してから(Tr−α)時間が経過すると、復帰の順番が1番で登録されている情報処理装置102-1が再び電源オフ状態からスリープ状態に復帰する。このとき、情報処理装置102-1がスリープ状態に復帰する時刻は、“Ts+4×(Tr−α)”となる。一方、情報処理装置102-4は、スリープ状態に復帰してからの経過時間がTrに達すると、再び電源オフ状態に戻る。このため、情報処理装置102-4がスリープ状態に復帰している時間と情報処理装置102-1がスリープ状態に復帰している時間は、α時間だけ重なり合うことになる。また、情報処理装置102-1が時刻“Ts”でスリープ状態に復帰してから、当該情報処理装置102-1が時刻“Ts+4×(Tr−α)”でスリープ状態に復帰するまでの期間が、ちょうど1周期になる。このため、1周期の時間的な長さは、前述したとおり“4×(Tr−α)”となる。
以降、4台の情報処理装置102が外部の上位装置101からパケットの送信によって復帰の要求を受けなかった場合や、副電源スイッチ3がオンされなかった場合は、電源制御の終了時刻Teまで、各々の情報処理装置102が1台ずつ循環的にスリープ状態に復帰することになる。また、電源制御の終了時刻Teを迎えると、4台の情報処理装置102がすべてスリープ状態に復帰することになる。
このため、1台の情報処理装置102がスリープ状態のときに消費する電力をP(W;ワット)とし、上記1周期の時間的な長さをTc(h;時間)とすると、電源制御の開始時刻Tsから終了時刻Teまでの間、1周期の間に4台の情報処理装置102が消費する電力量E(Wh)は、前述した時間α=0と仮定すると、図10(A)に示すようにE=P×Tcとなる。これに対して、電源制御の開始時刻Tsから終了時刻Teまでの間、仮に、4台の情報処理装置102をすべてスリープ状態に維持するものとすると、1周期の間に4台の情報処理装置102が消費する電力量E(Wh)は、図10(B)に示すようにE=4×P×Tcとなる。このため、電源制御の開始時刻Tsから終了時刻Teまでの間、4台の情報処理装置102を1台ずつ循環的にスリープ状態に復帰させると、1周期あたりの消費電力量は1/4相当まで減少する。
また、電源制御の開始時刻Tsから終了時刻Teに至る途中で、例えば図11に示すように、スタンバイ状態に復帰している情報処理装置102-4が外部の上位装置101からパケットの送信によって復帰の要求(印刷指示など)を受けた場合は、各々の情報処理装置102の電源状態が次のように変化する。
まず、復帰の要求を受けた情報処理装置102-4は、スリープ状態からラン状態に復帰して、上位装置101からの印刷指示に基づく画像形成動作を実行する。次に、情報処理装置102-4は、画像形成動作を終えると処理待ちのスタンバイ状態に切り替わり、さらに処理待ちで待機している休止時間が予め設定された時間を超えるとスリープ状態に切り替わり、以後、スリープ状態のまま推移する。
これに対して、情報処理装置102-4の次にスリープ状態に復帰する情報処理装置102-1は、復帰期間中に復帰要因検出部45が確認した復帰台数が1台となるため、復帰要因があると認識して、復帰期間後もスリープ状態を維持する。
また、情報処理装置102-1の次にスリープ状態に復帰する情報処理装置102-2は、復帰期間中に復帰要因検出部45が確認した復帰台数が2台となるため、復帰要因があると認識して、復帰期間後もスリープ状態を維持する。
また、情報処理装置102-2の次にスリープ状態に復帰する情報処理装置102-3は、復帰期間中に復帰要因検出部45が確認した復帰台数が3台となるため、復帰要因があると認識して、復帰期間後もスリープ状態を維持する。
このため、1台の情報処理装置102-4が上位装置101から復帰要求のパケットを受信してスタンバイ状態に復帰すると、それをきっかけにして他の情報処理装置102-1,102-2,102-3が順にスリープ状態に復帰し、かつ当該スリープ状態を維持するようになる。したがって、スリープ状態に復帰している情報処理装置102が上位装置101から復帰要求を受けることをきっかけにして、4台の情報処理装置102がすべてスリープ状態に復帰した状況(換言すると、一群の情報処理装置102の通信機能をすべて起動させた状況)が自律的に作り出される。
また、電源制御の開始時刻Tsから終了時刻Teまでの途中で、いずれかの情報処理装置102が副電源スイッチ3のオンによってスタンバイ状態に復帰すると、これをきっかけにして復帰台数が基準台数以上となるため、他の情報処理装置が順にスリープ状態に復帰し、かつ当該スリープ状態を維持するようになる。このため、いずれかの情報処理装置102の副電源スイッチ3が入れられることをきっかけにして、4台の情報処理装置102がすべてスリープ状態に復帰した状況が自律的に作り出される。