JP5376184B2 - 車両用i型サスペンションアーム - Google Patents

車両用i型サスペンションアーム Download PDF

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Description

本発明は、車両用I型サスペンションアーム、特に、鋼板によって管状に形成されている本体部分と、この本体部分の両端部にそれぞれ固着されている一対の連結部分とを備えている車両用I型サスペンションアームに関する。
この種の車両用I型サスペンションアームは、例えば、下記特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されているサスペンションアームでは、管状に形成されている本体部分(一般に、鋼板を管状に成形することにより形成されている)が全体を同一の外径で形成されている。この場合において、サスペンションアームの本体部分における端部では、本体部分の端部に固着される連結部分(連結チューブまたは連結ブラケット)との接合性、すなわち、本体部分の端部における引張強度が考慮される。また、サスペンションアームの本体部分における中央部では、座屈強度および上下の曲げ強度が考慮される。
特開平5−147417号公報
このため、サスペンションアームの本体部分の外径(本体部分の端部および中央部の外径)は、上記した連結部分(連結チューブまたは連結ブラケット)との接合性を十分確保できるような本体部分の端部の外径に基づいて決められ、また、サスペンションアームの本体部分を形成している鋼板の板厚は、上記した座屈強度および上下の曲げ強度が十分確保できるような板厚に基づいて決められている。なお、従来のサスペンションアームでは、引張強度が60kgf/mm(約588MPa、通称60k級)であり板厚が3mmの鋼板を素材として、本体部分がロール成形により外径20mmの管状に形成されている。
ところで、車両用I型サスペンションアームは、車両の操安性(操縦安定性)向上のため、引張・圧縮・捩りに対する強度を確保しつつ、軽量化および捩りに対する剛性を低減する必要がある。かかる必要性に基づいて、上記した特許文献1に記載されているサスペンションアームにおいて、本体部分の外径を維持しながら本体部分を形成している鋼板の板厚を薄くすると、上記した座屈強度および上下の曲げ強度が不足するようになる。
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、車両用I型サスペンションアームにおいて、本体部分の端部の外径を維持し、かつ引張・圧縮・捩りに対する強度を確保しながら、軽量化および捩りに対する剛性の低減を目的としている。
かかる目的を達成するために、本発明においては、
鋼板によって管状に形成されている本体部分と、この本体部分の両端部にそれぞれ固着されている一対の連結部分とを備えていて、
前記本体部分が、中央にある大径部と、両端部にある一対の小径部と、これら両小径部と前記大径部をそれぞれ同軸的に連結する一対の徐変部によって構成されており、
前記大径部の断面形状が上下方向に長い楕円形状であり、前記小径部の断面形状が円形形状であり、前記徐変部の断面形状が上下方向に長い楕円形状である車両用I型サスペンションアームであり、
前記大径部が長径da1mm、短径d2mm、長さL1mmと設定され、前記小径部が直径d2mm、長さL2mmと設定され、前記徐変部が長径da1〜d2mm間で徐変、短径d2mm一定、長さL3mmと設定され、
前記本体部分の鋼板は引張強度が80kgf/mm以上130kgf/mm以下で板厚tmmが1.2≦t≦2.0と設定され、前記本体部分の長さLmmが200≦L≦500と設定され、前記小径部の直径d2mmが18≦d2≦22と設定され、
前記大径部の長径da1mmと前記小径部の直径d2mmの比da1/d2が1.0<da1/d2≦1.5と設定され、前記本体部分の長さLmmと前記大径部の長さL1mmの比L1/Lが0.1≦L1/L≦0.95と設定されていること
に特徴がある。
上記のように構成した本発明による車両用I型サスペンションアームにおいては、本体部分の中央が大径部とされているため、当該サスペンションアームにおける引張・圧縮・捩りに対する強度を大きくすることが可能である。このため、当該サスペンションアームにおいては、本体部分の端部の外径を維持しながら本体部分の素材である鋼板の板厚を薄くした場合にも、引張・圧縮・捩りに対する強度を確保することができるとともに、必要十分な座屈強度と上下の曲げ強度を確保することができて、軽量化および捩りに対する剛性の低減を図ることが可能である。また、大径部と各小径部と各徐変部がそれぞれ同軸的に連結されているため、本体部分では、各部(大径部、小径部、徐変部)の中心軸がずれることがなくて、中心軸のずれに起因する座屈強度の低下を防止することが可能である。
また、本発明では、前記大径部の断面形状が上下方向に長い楕円形状であり、前記小径部の断面形状が円形形状であり、前記徐変部の断面形状が上下方向に長い楕円形状である。しかも、前記大径部が長径da1mm、短径d2mm、長さL1mmと設定され、前記小径部が直径d2mm、長さL2mmと設定され、前記徐変部が長径da1〜d2mm間で徐変、短径d2mm一定、長さL3mmと設定され、前記本体部分の鋼板は引張強度が80kgf/mm以上130kgf/mm以下で板厚tmmが1.2≦t≦2.0と設定され、前記本体部分の長さLmmが200≦L≦500と設定され、前記小径部の直径d2mmが18≦d2≦22と設定され、前記大径部の長径da1mmと前記小径部の直径d2mmの比da1/d2が1.0<da1/d2≦1.5と設定され、前記本体部分の長さLmmと前記大径部の長さL1mmの比L1/Lが0.1≦L1/L≦0.95と設定されている。このため、本体部分の各部の断面形状が全て円形形状である場合に比して、本体部分における左右の曲げ強度に対して本体部分における上下の曲げ強度を大きくすることができて、当該サスペンションアームに加わる上下の曲げ入力が大きい場合に有効な本体部分の形状となり得る。
上記した本発明の実施に際して、前記大径部と前記徐変部の下側には、長手方向に延びる開口が形成されていることも可能である。この場合には、開口により更なる軽量化を図ることが可能であることは勿論のこと、当該サスペンションアームの内部に侵入した水・泥を開口から排出することが可能であるとともに、開口を通して当該サスペンションアームの内部に水・泥等による腐食防止のための塗装を施すことが可能である。また、小径部では、開口が設けられていないため、連結部分(連結チューブまたは連結ブラケット)と全周にて溶接等で固着することが可能であり、溶接部での強度低下を抑制することが可能であって、小径部に必要とされる強度(引張強度)を十分に確保することが可能である。
I型サスペンションアームの第1実施形態を示した正面図である。 図1に示したI型サスペンションアームの中央部分を破断した平面図である。 図2のU―U線に沿った断面図である。 図2のV―V線に沿った断面図である。 図2のW―W線に沿った断面図である。 I型サスペンションアームの第2実施形態(本発明によるI型サスペンションアームの実施形態)を示した正面図である。 図6に示したI型サスペンションアームの中央部分を破断した平面図である。 図7のX―X線に沿った断面図である。 図7のY―Y線に沿った断面図である。 図7のZ―Z線に沿った断面図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は、車両用I型サスペンションアームの第1実施形態を示していて、この第1実施形態のI型サスペンションアーム10は、マルチリンク式サスペンションのロアアームに適用されている。I型サスペンションアーム10は、図1に示したように、鋼板によって管状に形成されている本体部分11と、本体部分11の図1左方側(車幅方向内側)に固着されている連結チューブ12と、本体部分11の図1右方側(車幅方向外側)に固着されている連結ブラケット13を備えている。また、I型サスペンションアーム10は、連結チューブ12にてブッシュGBを介してサスペンションメンバ(車体)に図1の上下方向へ揺動可能に連結されていて、連結ブラケット13にてブッシュ(図示省略)を介して車輪(図示省略)を軸支するナックル(図示省略)に図1の上下方向へ揺動可能に連結されている。
本体部分11は、図1および図2に示したように、中央にある大径部11Aと、両端部にある一対の小径部11B,11Cと、これら両小径部11B,11Cおよび大径部11Aを軸線O1に対してそれぞれ同軸的に連結する一対の徐変部11D,11Eによって構成されている。また、本体部分11は、引張強度が120kgf/mm(約1176MPa、通称120k級)で板厚tが2mmである鋼板を素材として、ロール成形により管状に形成されていて、図2に示したように、長手方向における長さLが500mmに設定されている。
大径部11Aは、図1〜図3に示したように、断面形状が円形形状であり、直径(外径)d1が27.6mmの一定であって、長手方向における長さL1が160mmに設定されている。また、大径部11Aの下側(車両下側)には、長手方向に延びる開口(スリット)OPが設けられていて、この開口OPは、図3に示したように、軸中心に対して周方向に開口している角度θが26.9deg(度)に設定されている。
各小径部11B,11Cは、図1、図2および図4に示したように、断面形状が円形形状であり、直径(外径)d2が19.7mmの一定であって、長手方向における長さL2が15mmに設定されている。また、小径部11Bは、図2の左方端の全周にて溶接により連結チューブ12の外周に固着されている。また、小径部11Cは、図2の右方端の全周にて溶接により連結ブラケット13の左端部に固着されている。なお、連結チューブ12または連結ブラケット13に固着された各小径部11B,11Cには、図4からも明らかなように、開口(スリット)が設けられておらず、連結チューブ12または連結ブラケット13との接合性が十分確保されている。
各徐変部11D,11Eは、図1、図2および図5に示したように、断面形状が円形形状であり、直径(外径)d3が各小径部11B,11Cから大径部11Aに近づくにつれて直径d2から直径d1まで直線的(一次直線的)に変化するように形成され、長手方向における長さL3が155mmに設定されている。また、各徐変部11D,11Eの下側(車両下側)には、長手方向に延びる開口OPが設けられていて、この開口OPは、図5に示したように、軸中心に対して周方向に開口している角度θが26.9deg(度)に設定されていて、大径部11Aの下側に設けた開口OP(図3参照)と連続している。
上記のように構成した第1実施形態においては、I型サスペンションアーム10における本体部分11に、引張強度が120kgf/mmで板厚tが2mmである鋼板が用いられるとともに、本体部分11の中央に、大径部11A(直径d1が27.6mm)が設けられているため、従来のサスペンションアーム(本体部分の引張強度が60kgf/mmで直径が20mm)に比して、当該I型サスペンションアーム10における引張・圧縮・捩りに対する強度を大きくすることが可能であるとともに、必要十分な座屈強度と本体部分11の中央における上下の曲げ強度を確保することが可能である。
また、第1実施形態のI型サスペンションアーム10においては、各小径部11B,11Cの直径d2(19.7mm)を、従来のサスペンションアームにおける本体部分の直径(20mm)と同程度に維持しながら、当該I型サスペンションアーム10における本体部分11の板厚(2mm)が、従来のサスペンションアームの本体部分の板厚(3mm)に比して薄くなっていても、上述したように引張・圧縮・捩りに対する強度を確保することができるとともに、必要十分な座屈強度と本体部分11の中央における上下の曲げ強度を確保することができて、軽量化および捩りに対する剛性の低減を図ることが可能である。
また、第1実施形態のI型サスペンションアーム10においては、本体部分11の大径部11Aと各小径部11B,11Cと各徐変部11D,11Eが、軸線O1に対してそれぞれ同軸的に連結されているため、本体部分11では、各部(大径部11A、各小径部11B,11C、各徐変部11D,11E)の中心軸がずれることがなくて、中心軸のずれに起因する座屈強度の低下を防止することが可能である。
また、この第1実施形態においては、大径部11Aと各徐変部11D,11Eの下側に、長手方向に延びる開口OPが形成されているため、この開口OPによりI型サスペンションアーム10の更なる軽量化を図ることが可能であることは勿論のこと、本体部分11の内部に侵入した水・泥を開口OPから排出することが可能であるとともに、開口OPを通して本体部分11の内部に水・泥等による腐食防止のための塗装を施すことが可能である。また、各小径部11B,11Cは、連結チューブ12または連結ブラケット13に全周にて溶接で固着されているため、溶接部での強度低下を抑制することが可能であり、各小径部11B,11Cに必要とされる強度(引張強度)を十分に確保することが可能である。
上記した第1実施形態においては、I型サスペンションアーム10における本体部分11の各部(大径部11A、各小径部11B,11C、各徐変部11D,11E)の諸元を上述したように設定して実施したが、発明者等は、I型サスペンションアーム10にて、本体部分11の各部(大径部11A、各小径部11B,11C、各徐変部11D,11E)の諸元を変更した様々な実験および解析を行って、当該サスペンションアーム10における本体部分11の鋼板の引張強度と、本体部分11の板厚tと、本体部分11の長さLと、小径部11B,11Cの直径d2と、大径部11Aの直径d1と小径部11B,11Cの直径d2の比d1/d2と、本体部分11の長さLと大径部11Aの長さL1の比L1/Lとの関係を検証した。
その結果、本体部分11の鋼板は、引張強度が80kgf/mm以上130kgf/mm以下で板厚tmmが1.2≦t≦2.0と設定され、本体部分11の長さLmmが200≦L≦500と設定され、各小径部11B,11Cの直径d2mmが18≦d2≦22と設定され、大径部11Aの直径d1mmと小径部11B,11Cの直径d2mmの比d1/d2が1.0<d1/d2≦1.5と設定され、本体部分11の長さLmmと大径部11Aの長さL1mmの比L1/Lが0.1≦L1/L≦0.95と設定された場合に、上記した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができることを知得した。
なお、発明者等は、本体部分11の鋼板の引張強度を大きくするほど本体部分11の鋼板の板厚tを小さくすることができること、全周にて溶接で固着される各小径部11B,11Cの強度(引張強度)を十分に確保するため、上述したように各小径部11B,11Cの直径d2mmが設定されること、本体部分11の座屈強度および上下方向の曲げ強度を確保しつつ軽量化を図るため、上述したように本体部分11の長さLmmが設定され、上述したように大径部11Aの直径d1mmと小径部11B,11Cの直径d2mmの比d1/d2が設定されるとともに、上述したように本体部分11の長さLmmと大径部11Aの長さL1mmの比L1/Lが設定されることを知得した。
上記した第1実施形態において、I型サスペンションアーム10の本体部分11は、大径部11Aの断面形状が円形形状であり、各小径部11B,11Cの断面形状が円形形状であり、各徐変部11D,11Eの断面形状が円形形状であるように構成して実施したが、図6〜図10に示した第2実施形態のI型サスペンションアーム20における本体部分21のように、大径部21Aの断面形状が上下方向に長い楕円形状であり、各小径部21B,21Cの断面形状が円形形状であり、各徐変部21D,21Eの断面形状が上下方向に長い楕円形状であるように構成して実施することも可能である。
第2実施形態のI型サスペンションアーム20は、図6に示したように、鋼板によって管状に形成されている本体部分21と、本体部分21の図6左方側(車幅方向内側)に固着されている連結チューブ22と、本体部分21の図6右方側(車幅方向外側)に固着されている連結ブラケット23を備えている。また、I型サスペンションアーム20は、連結チューブ22にてブッシュGBを介してサスペンションメンバ(車体)に図6の上下方向へ揺動可能に連結されていて、連結ブラケット23にてブッシュ(図示省略)を介して車輪(図示省略)を軸支するナックル(図示省略)に図6の上下方向へ揺動可能に連結されている。
本体部分21は、図6および図7に示したように、中央にある大径部21Aと、両端部にある一対の小径部21B,21Cと、これら両小径部21B,21Cおよび大径部21Aを軸線O1に対してそれぞれ同軸的に連結する一対の徐変部21D,21Eによって構成されている。また、本体部分21は、引張強度が120kgf/mm(約1176MPa、通称120k級)で板厚tが2mmである鋼板を素材として、ロール成形により管状に形成されていて、図7に示したように、長手方向における長さLが343mmに設定されている。
大径部21Aは、図6〜図8に示したように、長径(上下方向の外径)da1が27mmの一定であり、短径(左右方向の外径)d2が20mmの一定(各小径部21B,21Cの直径d2と同じ)であって、長手方向における長さL1が105mmに設定されている。各小径部21B,21Cは、図6、図7および図9に示したように、直径(外径)d2が20mmの一定であって、長手方向における長さL2が14mmに設定されている。また、小径部21Bは、図6の左方端の全周にて溶接により連結チューブ22の外周に固着されていて、連結チューブ22との接合性が十分確保されている。また、小径部21Cは、図6の右方端の全周にて溶接により連結ブラケット23の左端部に固着されていて、連結ブラケット23との接合性が十分確保されている。
各徐変部21D,21Eは、図6、図7および図10に示したように、短径d2が20mmの一定(各小径部21B,21Cの直径d2と同じ)であって、各小径部21B,21Cから大径部21Aに近づくにつれて長径(上下方向の外径)da3がd2からda1まで直線的(一次直線的)に変化するように形成され、長手方向における長さL3が105mmに設定されている。なお、大径部21Aおよび各徐変部21D,21Eの下側には、第1実施形態の大径部11Aおよび各徐変部11D,11Eの下側に設けられた開口OPに相当する開口が設けられていない。
上記のように構成した第2実施形態においては、I型サスペンションアーム20における本体部分21に、引張強度が120kgf/mmで板厚tが2mmである鋼板が用いられるとともに、本体部分21の中央に、大径部21A(直径d1が27mm)が設けられているため、従来のサスペンションアーム(本体部分の引張強度が60kgf/mmで直径が20mm)に比して、当該I型サスペンションアーム20における引張・圧縮・捩りに対する強度を大きくすることが可能であるとともに、必要十分な座屈強度と本体部分21の中央における上下の曲げ強度を確保することが可能である。
また、第2実施形態のI型サスペンションアーム20においては、各小径部21B,21Cの直径d2(20mm)を、従来のサスペンションアームにおける本体部分の直径(20mm)と同じに維持しながら、当該I型サスペンションアーム20における本体部分21の板厚(2mm)が、従来のサスペンションアームの本体部分の板厚(3mm)に比して薄くなっていても、上述したように引張・圧縮・捩りに対する強度を確保することができるとともに、必要十分な座屈強度と本体部分21の中央における上下の曲げ強度を確保することができて、軽量化および捩りに対する剛性の低減を図ることが可能である。
また、第2実施形態のI型サスペンションアーム20においては、本体部分21の大径部21Aと各小径部21B,21Cと各徐変部21D,21Eが、軸線O1に対してそれぞれ同軸的に連結されているため、本体部分21では、各部(大径部21A、各小径部21B,21C、各徐変部21D,21E)の中心軸がずれることがなくて、中心軸のずれに起因する座屈強度の低下を防止することが可能である。
また、この第2実施形態においては、I型サスペンションアーム20における本体部分21において、大径部21Aの断面形状が上下方向に長い楕円形状であり、各徐変部21D,21Eの断面形状が上下方向に長い楕円形状であるように形成されているため、本体部分21における左右の曲げ強度に対して本体部分21における上下の曲げ強度を大きくすることが可能である。このため、この第2実施形態におけるI型サスペンションアーム20の本体部分21は、当該サスペンションアーム20に加わる上下の曲げ入力が大きい場合に有効な形状となり得る。
また、この第2実施形態においては、大径部21Aおよび各徐変部21D,21Eの下側に、第1実施形態における開口OPに相当する開口が設けられていないため、第1実施形態のサスペンションアーム10の本体部分11に比して、座屈強度および本体部分21の中央における上下の曲げ強度を向上させることが可能である。
上記した第2実施形態においては、I型サスペンションアーム20における本体部分21の各部(大径部21A、各小径部21B,21C、各徐変部21D,21E)の諸元を上述したように設定して実施したが、発明者等は、I型サスペンションアーム20にて、本体部分21の各部(大径部21A、各小径部21B,21C、各徐変部21D,21E)の諸元を変更した様々な実験および解析を行って、当該サスペンションアーム20における本体部分21の鋼板の引張強度と、本体部分21の板厚tと、本体部分21の長さLと、小径部21B,21Cの直径d2と、大径部11Aの長径da1と小径部21B,21Cの直径d2の比da1/d2と、本体部分21の長さLと大径部21Aの長さL1の比L1/Lとの関係を検証した。
その結果、本体部分21の鋼板は、引張強度が80kgf/mm以上130kgf/mm以下で板厚tmmが1.2≦t≦2.0と設定され、本体部分21の長さLmmが200≦L≦500と設定され、各小径部21B,21Cの直径d2mmが18≦d2≦22と設定され、大径部21Aの長径da1mmと小径部21B,21Cの直径d2mmの比da1/d2が1.0<da1/d2≦1.5と設定され、本体部分21の長さLmmと大径部21Aの長さL1mmの比L1/Lが0.1≦L1/L≦0.95と設定された場合に、上記した第2実施形態と同様の作用効果を得ることができることを知得した。
なお、発明者は、本体部分21の鋼板の引張強度を大きくするほど本体部分21の鋼板の板厚tを小さくすることができること、全周にて溶接で固着される各小径部21B,21Cの強度(引張強度)を十分に確保するため、上述したように各小径部21B,21Cの直径d2mmが設定されること、本体部分21の座屈強度および上下方向の曲げ強度を確保しつつ軽量化を図るため、上述したように本体部分21の長さLmmが設定され、上述したように大径部21Aの長径da1mmと小径部21B,21Cの直径d2mmの比da1/d2が設定されるとともに、上述したように本体部分21の長さLmmと大径部21Aの長さL1mmの比L1/Lが設定されることを知得した。
上記した各実施形態においては、各徐変部11D,11E(21D,21E)が、各小径部11B,11C(21B,21C)から大径部11A(21A)に近づくにつれて直線的(一次直線的)に変化(徐変)するように形成して実施したが、各徐変部が、各小径部から大径部に近づくにつれて曲線的(例えば、二次曲線的)に変化(徐変)するように形成して実施することも可能である。
また、上記した各実施形態においては、本発明によるI型サスペンションアームをマルチリンク式サスペンションのロアアームに適用して実施したが、本発明によるI型サスペンションアームは、マルチリンク式サスペンションのアッパーアームにも同様にまたは適宜変更して実施することも可能であり、また、マルチリンク式サスペンション以外の種々な形式のサスペンションにも同様にまたは適宜変更して実施することも可能である。
10…I型サスペンションアーム、11…本体部分、11A…大径部、11B,11C…小径部、11D,11E…徐変部、12…連結チューブ、13…連結ブラケット、L…本体部分の長さ、L1…大径部の長さ、L2…小径部の長さ、L3…徐変部の長さ、d1…大径部の直径、d2…小径部の直径、d3…徐変部の直径、O1…軸線、OP…開口、t…板厚、20…I型サスペンションアーム、21…本体部分、21A…大径部、21B,21C…小径部、21D,21E…徐変部、22…連結チューブ、23…連結ブラケット、L…本体部分の長さ、L1…大径部の長さ、L2…小径部の長さ、L3…徐変部の長さ、da1…大径部の長径、d2…大径部の短径、d2…小径部の直径、da3…徐変部の長径、d2…徐変部の短径

Claims (2)

  1. 鋼板によって管状に形成されている本体部分と、この本体部分の両端部にそれぞれ固着されている一対の連結部分とを備えていて、
    前記本体部分が、中央にある大径部と、両端部にある一対の小径部と、これら両小径部と前記大径部をそれぞれ同軸的に連結する一対の徐変部によって構成されており、
    前記大径部の断面形状が上下方向に長い楕円形状であり、前記小径部の断面形状が円形形状であり、前記徐変部の断面形状が上下方向に長い楕円形状である車両用I型サスペンションアームであり、
    前記大径部が長径da1mm、短径d2mm、長さL1mmと設定され、前記小径部が直径d2mm、長さL2mmと設定され、前記徐変部が長径da1〜d2mm間で徐変、短径d2mm一定、長さL3mmと設定され、
    前記本体部分の鋼板は引張強度が80kgf/mm以上130kgf/mm以下で板厚tmmが1.2≦t≦2.0と設定され、前記本体部分の長さLmmが200≦L≦500と設定され、前記小径部の直径d2mmが18≦d2≦22と設定され、
    前記大径部の長径da1mmと前記小径部の直径d2mmの比da1/d2が1.0<da1/d2≦1.5と設定され、前記本体部分の長さLmmと前記大径部の長さL1mmの比L1/Lが0.1≦L1/L≦0.95と設定されていることを特徴とする車両用I型サスペンションアーム。
  2. 請求項1に記載の車両用I型サスペンションアームにおいて、前記大径部と前記徐変部の下側には、長手方向に延びる開口が形成されていることを特徴とする車両用の車両用I型サスペンションアーム。

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