JP5373840B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

この発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
消色可能なトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置、及び画像を発色状態から消色状態にできる画像消去装置が知られている。消色可能なトナーでは、色素と発色剤の結びつきが加熱によって断ち切られることで消色が行なわれる。従来の画像消去装置では、トナー像の消色のために、例えば用紙を120〜150℃で約2時間加熱することが必要である。
上述のように画像消色に加熱に約2時間、冷却に約1時間の時間を要することなどの理由から、これまでは、画像形成装置と画像消去装置とはそれぞれ別の装置として提供されていた。
特開2005−205625号公報
しかし、画像形成装置とは別に、画像消去装置を購入設置することはトータルとしてコストアップにつながる。そこで、消色が短時間で可能なトナーが使用できる場合は、画像形成装置と画像消去装置とを組み合わせて、設置コストの低減を図ると共に、画像形成機能と画像消去機能とが同一装置内で融合できるように装置を構成することのニーズがある。
上記課題を解決するための実施形態によれば、消去動作が指示された場合、画像形成装置が消去モードで動作するように動作モードを設定するモード設定部と、指定されたあるいは特定の収納部にセットされた画像形成済みの媒体を供給する供給部と、少なくとも加熱消色機能を有する加熱部に搬送して前記形成された画像を消色する消色部と、前記収納部にセットされた画像形成済みの最後の媒体が消色されたときは、前記消去モードから画像消去モード以外の所定のモードに復帰させる復帰部と、前記画像形成装置が前記消去モードで動作中にこの消去モードを強制的に終了して前記消去モードから画像消去モード以外の所定のモードに復帰させるための操作手段と、を備え、前記画像形成装置に使用される記録材料は、少なくとも、ロイコ染料と顕色剤を含むカプセル化した色材を、組成比で10〜30wt%含有する熱消色可能なトナーであり、前記画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であり、媒体上に画像を形成する場合、定着装置は第1の定着温度で媒体を加熱し、前記定着装置が前記第1の定着温度よりも高い第2の定着温度で画像形成済みの媒体を加熱して画像消色を行う画像形成装置が提供される。
本実施の形態の画像形成装置の概略の形状を示す斜視図である。 本実施の形態の画像形成装置の画像形成部を示す構成図である。 本実施の形態の画像形成装置の定着装置を示す構成図である。 本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。 本実施の形態の画像形成装置に設けられたコントロールパネルの外観図である。 本実施の形態のコントロールパネルに表示される画像消去操作画面を示す図である。 第3の実施の形態の画像消去動作を説明するための図である。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本実施の形態の画像形成装置の概略の形状を示す斜視図である。
画像形成装置1には、プリント部130、用紙トレイ200、スキャン部110、オートフィード部112及びコントロールパネル140が設けられている。
プリント部130は、画像情報を、例えばハードコピーもしくはプリントアウトと称される出力画像として出力する。用紙トレイ200は、画像出力に用いられる任意サイズの用紙である出力媒体をプリント部130に対して供給する。スキャン部110は、原稿から画像情報を画像データとして取り込む。オートフィード部112は、読み取りが終了した原稿を読み取り位置から排出位置に送り出し、次の原稿を読み取り位置に案内する。コントロールパネル140は、プリント部130における画像形成の開始や、スキャン部110による原稿の画像情報の読み取りの開始など画像形成装置1の動作を指示するための指示入力部である。このコントロールパネル140には、指示を入力し、操作者に対して情報を表示するための表示部141が設けられている。
図2は、本実施の形態の画像形成装置の画像形成部10を示す構成図である。図3は、本実施の形態の画像形成装置の定着装置を示す構成図である。本実施の形態の画像形成装置1は、加熱により色が消去されるトナーを用いて画像形成を行う。また画像形成装置1は、トナー像を消去する機能を有する。
画像形成部10の感光体ドラム11は、φ60mmの支持部材表面に有機感光体(OPC:Organic Photo Conductor)を備える。感光体ドラム11は、“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで矢印s方向に駆動される。感光体ドラム11周囲には、帯電チャージャ12、レーザ露光装置13、現像装置14、転写チャージャ16、剥離チャージャ17、クリーニングブレード18aを有するクリーナ18、除電LED19が配置されている。
帯電チャージャ12は、感光体ドラム11の回転に従い順次感光体ドラム11を−750Vに一様に帯電する。レーザ露光装置13は、帯電された感光体ドラム11上の照射位置13bに画像情報に応じたレーザ光13aを照射する。
給紙カセット装置20から記録媒体である用紙Pが給紙ローラ21により取り出される。感光ドラム11上にトナー像が形成されるのと同期して、用紙Pは、レジストローラ22により、画像形成部10の転写チャージャ16の位置に搬送される。画像形成部10により用紙Pには消色トナーからなる未定着のトナー像が形成される。給紙カセット装置20は、未使用の用紙及びリユースの用紙を共に給紙可能である。
画像形成部10の上方には、定着装置26が配置される。定着装置26は、記録媒体である用紙Pを加熱加圧定着する。定着装置26は、定着回転体である定着ローラ27と、この定着ローラ27に圧接する加圧回転体である加圧ローラ28を有する。又定着装置26は、用紙Pを定着ローラ27と、加圧ローラ28間のニップに導く入り口ガイド26aを有する。
定着ローラ27は鉄製の中空円筒シリンダーの表面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をコーティングして構成されている。定着ローラ27は内部にIHコイル(誘導加熱コイル)30を有している。定着ローラ27は、内部から直接誘導加熱される。サーミスタ31は定着ローラ27の表面の温度を検知する。サーミスタ31の出力によりIHコイル30の電流が制御され、定着ローラ27の表面の温度が、所定の温度に制御される。
加圧ローラ28は、金属シャフト上に発泡シリコンスポンジゴム等からなる弾性体層を形成し、表面にPFA(テトラフルオルエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体)チューブを被覆して形成されている。加圧ローラ28の硬度はASKER−Cで約55°である。加圧ローラ28は、弾性体層によりニップを約6mmと大きく取れるようにして、省エネ定着の為の低熱容量化を図っている。
定着装置26の用紙Pの搬送方向下流には、定着後用紙Pを所定方向に排出する排紙ローラ32が設けられる。
図4は、本実施の形態の画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、上述のプリント部130、スキャン部110、コントロールパネル140と共に、更に、制御部100、ROM、DRAM、内部記憶装置(HDD)を備えている。そして、これらの各部はシステムバスを介して接続されている。
制御部100は、システムバスを介して接続される各部を制御する。ROMは、画像形成装置1が動作するために必要な種々の制御プログラムを記憶する。このROM内には、後述する画像形成動作及び画像消去動作を制御するための各プログラムが記憶されている。各プログラムは、制御部100によって実行が制御される。DRAMは、各プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶するバッファメモリである。
図5は、本実施の形態の画像形成装置に設けられたコントロールパネル140の外観図である。コントロールパネル140には、タッチパネルディスプレイ141と操作部170とが設けられている。タッチパネルディスプレイ141はタッチパネルで構成され、画像形成装置1の状態、操作手順、ユーザに対する各種指示などが表示される。操作部170には、画像形成装置1を操作するためのスタートボタンを含む各種の操作ボタンが設けられている。
次に画像形成装置1による画像形成プロセスについて説明する。
画像形成プロセスの開始により画像形成部10では“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで矢印s方向に回転する感光体ドラム11が、帯電装置12により一様に−750Vに帯電される。そして感光体ドラム11は、レーザ露光装置13により原稿情報に応じたレーザ光を照射され静電潜像を形成される。次いで静電潜像は現像装置14により消色トナーを用いて現像され、感光体ドラム11上には消色トナーからなるトナー像が形成される。
本実施の形態では、消色トナーとして、以下のケミカル方法によって作成したカプセル式熱消色トナーを用いた。
(1)バインダー樹脂、WAX微粒化液
バインダー樹脂としてPes系樹脂を用いた。Pes系樹脂、アニオン性乳化剤、中和剤を用いて高圧ホモジナイザーを用いて樹脂微粒化液を作成した。
(2)WAX分散液の調整
ライスWAXを用いて上記樹脂と同様の方法で微粒化液を得た。
(3)トナーの調整
ロイコ染料:CVL(クリスタルバイオレットラクトン)、顕色剤:4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、温度コントロール剤:ラウリン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル
上記を加熱溶融して、周知のコアセルベーション法によりカプセル化した。そのカプセル化した色材とトナーバインダー樹脂分散液、WAX分散液を硫酸Al〔Al2(SO4)3〕を用いて凝集、融着し、さらに洗浄、乾燥することによりトナーを得た。トナーには適宜外添剤を付与した。このトナーを以下カプセル式消色トナーと呼ぶ。
なお、本実施の形態で使用するカプセル式消色トナーは、外添剤を付与する前のトナーの10wt%がカプセル化した色材の量となる様に製造した。
現像装置14は、体積平均粒子径5〜12μmの上述のカプセル式消色トナーと体積平均粒子径30〜80μmの磁性キャリアの混合物である二成分現像剤を用いる。カプセル式消色トナーの真比重は約0.9から1.2g/cm3の範囲である。形成された用紙上の消色トナー像を90℃以上に加熱することによりカプセル内の色素と発色剤の結びつきが加熱によって断ち切られ、トナー像の色が消去される。現像装置14の現像ローラ14aには約−550Vの現像バイアスが印加され、反転現像により感光ドラム11上の静電潜像にトナー像を形成する。
一方、給紙カセット装置20から用紙Pが供給される。用紙Pはレジストローラ22により感光体ドラム11上のトナー像の形成に同期して転写チャージャ16位置に送られ、感光体ドラム11上のトナー像を転写される。
トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム11から剥離された後、定着装置26に送られる。なお、定着ローラの表面温度は160℃になるように制御されている。用紙Pは定着ローラ27及び加圧ローラ28間に挿通され、トナー像を加熱加圧定着される。定着ローラ27及び加圧ローラ28が逆クラウン形状となっているため、定着ローラ27と加圧ローラ28間のニップに挿通する際に、用紙Pは両端部が中央部より確実に先に引き込まれる。加圧ローラ28の逆クラウン形状により用紙Pは、中央から端部方向に引っ張られながら加熱加圧定着され、シワの発生を防止される。定着装置26にて、カプセル式消色トナーによるトナー像を定着終了後、用紙Pは排紙ローラ32により所定方向に排出される。
転写終了後、感光体ドラム11は、クリーナ18により残留トナーをクリーニングされ、除電LED19により残留電荷を除去され、画像形成プロセスを終了する。
“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secでは、カプセル化した色材の温度が90℃を超える事はなく、画像形成時に消色する事はなかった。但し、本実施例の、カプセル式消色トナーによる定着後の画像濃度は、視認性の点でぎりぎり許容される程度の画像濃度(0.3)であった。これにより、画像の視認性を確保するためには、カプセル式消色トナーの色材の量は、10wt%以上であることが望ましい事がわかる。なお、画像の視認性は、測定器(例えば、X−rite)を用いて評価した。
続いて、従来の画像消去プロセスについて説明する。
これまで、カプセル式トナー像の色の消去は、例えば、(株)東芝製の専用消去装置「e−blue(登録商標)用消去装置:TMD−HE01」を用いて行われていた。この装置内で用紙Pは120〜150℃で約2時間加熱され、トナー像の色が消去される。その後、約1時間自動冷却が行われた。トナー像を消去した用紙Pをリユースする際には、加熱により若干貼り付いた用紙P同士をはがす為に軽くさばいて給紙カセット装置20に供給する。給紙カセット装置20に供給されたリユースの用紙Pは、上記画像形成プロセスに従い画像形成に供される。しかしながら、上述の消去装置による消色は時間がかかるため、すぐに用紙を再利用したい場合には対応できなかった。
本実施の形態では、カプセル式消色トナーの瞬時消去性を活かして、画像形成装置1を用いて画像を消去する。
カプセル式消色トナーにより画像が形成された用紙Pは、活用終了後にトナー像の色を消去して再利用するために、給紙カセット装置20にセットされる。ユーザは、画像消去のための操作を実行する。画像が形成された用紙Pは、特定のカセット装置20あるいは手差し装置にセットするようにしても良い。
図6は、本実施の形態のコントロールパネル140に表示される画像消去操作画面を示す図である。
ユーザは画像消去操作画面から、画像消去モードボタンを押下し、更に給紙元カセットとして、カセット1〜4、手差しの内から再利用のための用紙Pが格納されたカセットを指定する。そして、コントロールパネル140の操作部170に設けられたスタートボタンを押すと消去動作が開始される。なお、この画像消去操作画面は、この構成に限定されず、従来の操作画面に画像消去のための操作ボタンを組み込んで構成しても良い。また、カセットを指定せず、特定のカセットから再利用のための用紙Pを取り出すようにしても良い。
画像消去モードでは、感光体ドラム11は、“第2の用紙搬送速度”周速21mm/secで矢印s方向に駆動される。画像消去モードでは、感光体ドラム11には、レーザ露光装置13による画像情報に応じた静電潜像は形成されない。即ち、用紙Pは、前述の画像形成時と同様のルートを経て、定着装置26に搬送される。
画像消去モードでは、定着装置26も“第2の用紙搬送速度”21mm/secで用紙を加熱/加圧定着しつつ用紙を搬送する。この時の定着ローラ27の表面温度は画像形成時と同じ160℃である。画像形成プロセスよりも遅い搬送速度によって用紙を加熱することで用紙上のトナー像は90℃以上に加熱され、カプセル式消色トナーの瞬時消色性により、消色することが出来た。
上述の動作を給紙カセット装置20内の用紙が無くなるまで継続する。そして、給紙カセット装置20内の用紙が無くなった事を検知し、かつ最終の用紙が装置から排出されたことを検知した時点で、自動的に画像消去モード以外の所定のモード(通常印字モードやReadyモードや省エネモード等)へ復帰する。画像消去モードが自動的に終了して画像消去モード以外の所定のモード(通常印字モードやReadyモードや省エネモード等)に復帰するように構成することにより、例えば夜間等、通常印字がほとんど無い時間帯を利用して、複数枚の活用終了した用紙のトナー像の色を消去する事ができる。
また、上述の画像消去画面に画像消去モードを強制的に終了させる強制終了ボタンが設けられている。このボタンが操作されたときは、画像消去モードを終了して画像消去モード以外の所定のモード(通常印字モードやReadyモードや省エネモード等)へ復帰する。
なお、上述の実施の形態では、定着ローラ27を加熱したが、加圧ローラ28も併せて加熱しても良い。用紙Pは、消去トナーが印字された面が定着ローラ27に直接接触するように用紙カセット20内にセットされたが、この形態に限られず、消去トナーが印字された面の裏面が定着ローラ27に直接接触するように用紙カセット20内にセットされていてもよい。定着ローラ27および加圧ローラ28の加熱の有無、加熱温度などの加熱条件、“第2の用紙搬送速度”の条件、用紙の厚さ、種類などを適宜選択することによって、用紙カセット20内の用紙の置き方に依存しない画像消去モードとすることができる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態では、画像消去モードにおいて、用紙が感光体ドラム11を経由しない点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
図3を参照しつつ第2の実施の形態の消色動作について説明する。
カプセル式消色トナーにより形成されたトナー像を消色する際、用紙Pは図示されない給紙部にセットされる。画像消去モードの開始が入力されたときは、用紙Pは、感光体ドラム11を経ずに、紙パスP2に供給される。用紙Pは、紙パスP2上を移動し、ゲート41の切り替えにより、定着装置26に導かれる。この搬送速度は、画像形成時の“第1の用紙搬送速度”215mm/secとは異なる、“第2の用紙搬送速度”21mm/secであり、定着装置26も“第2の用紙搬送速度”21mm/secで用紙を加熱/加圧定着しつつ用紙を搬送する。
定着装置26において、用紙P上のトナー像は加熱される。熱により色素と発色剤の結びつきが断ち切られ、画像は発色状態から消色状態に変化する。カプセル式トナー像の色が消去されることで画像消去が完了する。定着装置26の用紙Pの搬送方向下流に配置された排紙ローラ32により、画像消去された用紙Pが所定方向に排出される。この用紙を再び、給紙カセット装置20にセットすれば、画像形成用の用紙としてリユースする事ができる。
なお、定着装置26の動作条件は、第1の実施の形態で説明した画像消去時の動作条件と同じである。また、第1の実施の形態と同様に、図示されない給紙部の用紙が無くなった事を検知し、最終紙が装置から排出されたことを検知した時点で、自動的に通常印字モードへ復帰するシーケンスを採用している。
第2の実施の形態では、画像消去の場合に、感光体ドラム11を停止させる事が出来るので、感光体などの消耗品を無駄に消耗する事がない利点がある。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態では、画像形成装置が専用の画像消去用定着装置を備えている点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
図7は、第3の実施の形態の画像消去動作を説明するための図である。
第1の実施の形態とは異なり、専用の画像消去用定着装置26′が画像形成装置内の定着装置26とは別に配置されている。画像消去時は、給紙部20′にセットされたトナー像が形成された用紙P′が定着装置26′に供給される。定着装置26′は、“第2の用紙搬送速度”21mm/secで用紙を加熱/加圧しつつ用紙を搬送する。用紙P′上のトナー像は加熱される。熱により色素と発色剤の結びつきが断ち切られ、カプセル式消色トナー像の色が消去されて画像消去が完了する。
定着装置26′の搬送方向下流に配置された排紙ローラ32′により、画像消去された用紙P′が排出される。この用紙P′は、給紙カセット装置20に搬送されてセットされ、画像形成用の用紙としてリユースされる。
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態では、カプセル式消色トナーの色材の量が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
第4の実施の形態では、カプセル式消色トナーは、外添剤を添加する前トナーの30wt%がカプセル化した色材の量となる様に製造されている。この色材の量が異なるカプセル式消色トナーを用いて、第1の実施の形態に記載の内容と同じ試験を実施した。
得られた定着画像は、画像濃度も高く視認性の優れた画像であった。しかし、第1の実施の形態で説明した画像消去動作を実行してトナー像の色を消去した後の画像では、カプセルそのものの色が消え残りとして残存した。消色後画像濃度は、0.2であり、用紙をリユースするには、背景のノイズとしては許容範囲ぎりぎりであった。従って、画像有効に消去されるためには、カプセル式消色トナーの色材の量は、30wt%以下であることが望ましい。
第1の実施の形態によれば、画像の視認性を確保するためには、カプセル式消色トナーの色材の量は、10wt%以上であることが望ましい。第4の実施の形態によれば、消色が有効に機能するためにはカプセル式消色トナーの色材の量は、30wt%以下であることが望ましい。従って、望ましいカプセル式消色トナーの色材の量は、10wt%〜30wt%と考えられる。
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態では、消色動作時においても、画像形成時と同じ搬送速度で用紙を搬送する点が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位は同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
第5の実施の形態では、カプセル式消色トナーは、外添剤を添加する前トナーの30wt%がカプセル化した色材の量となる様に製造されている。このカプセル式消色トナーにより形成されたトナー像を消色する際、用紙Pは給紙カセット装置20にセットされる。画像消去モードの開始が入力されたときは、画像形成部10の感光体ドラム11は、画像形成時と同じ“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで矢印s方向に駆動される。
画像消去モードでは、感光体ドラム11には、レーザ露光装置13による画像情報に応じた静電潜像は形成されない。用紙Pは、前述の画像形成時と同様のプロセスを経て、“第1の用紙搬送速度”周速215mm/secで定着装置26に搬送される。画像消去モードでは、定着装置26は第1の実施の形態での定着温度よりも高い“第2の定着温度”190℃で用紙を加熱/加圧定着しつつ用紙を搬送する。この条件の下では、用紙上のトナー像は90℃以上に加熱され、カプセル式消色トナーの瞬時消色性により、用紙Pを消色することが出来た。
上述の動作を給紙カセット装置20内の用紙が無くなるまで継続する。そして、給紙カセット装置20内の用紙が無くなった事を検知し、かつ最終の用紙が装置から排出されたことを検知した時点で、自動的に通常印字モードへ復帰する。画像消去モードが自動的に終了して画像消去モード以外の所定のモードに復帰するように構成することにより、例えば夜間等、通常印字がほとんど無い時間帯を利用して、複数枚の活用終了した用紙のトナー像の色を消去する事ができる。
ところで、画像消去モードにおいて搬送される用紙の間隔を、画像形成時での用紙の間隔と同じ約80mmにした場合は、排出された用紙同士がトナーにより貼り付いてしまう現象が発生した。これは、排出直後の用紙の温度が高いため、トナー樹脂が比較的柔らかく重なった用紙裏面に貼り付いてしまう為である。そこで、用紙間隔を種々の値に変更して試験を行なった結果、画像消去モード時の用紙間隔を約400mmとした場合は、連続100枚消去をしても、排出された用紙が貼り付くことは無かった。これは、排出された用紙が冷えた状態で、次の用紙が排出される為である。
このことから、用紙を定着装置26に供給する時間間隔を約2秒(≒400/215秒)以上に変更することで、用紙同士が貼り付く現象を回避できることがわかる。
上述の実施形態で説明したように、画像消去モード時は、画像形成時と比べて、用紙搬送速度を遅くし、または定着温度を高くする。画像消去モード時においては、予め定めた第2の用紙搬送速度、または第2の定着温度の運転条件で運転する。しかしながら、画像消去モード時のこれら運転条件は、使用する媒体(種類、厚さ)、使用するトナーの物性などによって適正値が異なることが考えられる。
そこで、例えば、使用する媒体の特性(種類、厚さ)、使用するトナーの物性(消色性能)を検知し、あるいはユーザの設定入力によって取得して、画像消去モード時の運転条件を切り替えても良い。その際、以下のような運転方法を運転条件に応じて適宜組み合わせることができる。
(1)画像消去モード時は、画像形成時と比べて、用紙搬送速度を遅くした第2の搬送速度を搬送制御系に設定する。
(2)画像消去モード時は、画像形成時と比べて、定着温度を高くした第2の定着温度を定着器に設定する。
(3)画像消去モード時は、画像形成時と比べて、用紙搬送速度を遅くした第2の搬送速度を搬送制御系に設定し、かつ定着温度を高くした第2の定着温度を定着器に設定する。
なお、上述の実施の形態で説明した各機能は、ハードウエアを用いて構成しても良く、また、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現しても良い。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
更に、各機能は図示しない記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読み込ませることで実現させることもできる。ここで本実施の形態における記録媒体は、プログラムを記録でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その記録形式は何れの形態であってもよい。
尚、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1…画像形成装置、10…画像形成部、11…感光体ドラム、12…帯電チャージャ、13…レーザ露光装置、14…現像装置、16…転写チャージャ、17…剥離チャージャ、18…クリーナ、19…除電LED、20…給紙カセット装置、21…給紙ローラ、22…レジストローラ、26…定着装置、27…定着ローラ、28…加圧ローラ、30…IHコイル、31…サーミスタ、32…排紙ローラ、100…制御部、110…スキャン部、112…オートフィード部、130…プリント部、140…コントロールパネル、141…表示部、141…タッチパネルディスプレイ。

Claims (8)

  1. 消去動作が指示された場合、画像形成装置が消去モードで動作するように動作モードを設定するモード設定部と、
    指定されたあるいは特定の収納部にセットされた画像形成済みの媒体を供給する供給部と、
    少なくとも加熱消色機能を有する加熱部に搬送して前記形成された画像を消色する消色部と、
    前記収納部にセットされた画像形成済みの最後の媒体が消色されたときは、前記消去モードから画像消去モード以外の所定のモードに復帰させる復帰部と
    前記画像形成装置が前記消去モードで動作中にこの消去モードを強制的に終了して前記消去モードから画像消去モード以外の所定のモードに復帰させるための操作手段と、
    を備え
    前記画像形成装置に使用される記録材料は、少なくとも、ロイコ染料と顕色剤を含むカプセル化した色材を、組成比で10〜30wt%含有する熱消色可能なトナーであり、
    前記画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であり、
    媒体上に画像を形成する場合、定着装置は第1の定着温度で媒体を加熱し、前記定着装置が前記第1の定着温度よりも高い第2の定着温度で画像形成済みの媒体を加熱して画像消色を行う、画像形成装置。
  2. 媒体上に画像を形成する場合の媒体の搬送速度と、画像形成済みの媒体を加熱して画像消色を行う場合の媒体の搬送速度とが同一である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 消去モード時に前記媒体の搬送速度で画像形成済みの用紙を加熱する際の用紙間の間隔が、画像形成時に前記媒体の搬送速度で搬送される際の用紙間の間隔よりも長い、請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記媒体の搬送速度で画像形成済みの用紙を加熱する際の用紙間の間隔が2秒以上である、請求項2に記載の画像形成装置。
  5. 画像形成装置の画像形成方法であって、
    消去動作が指示された場合、画像形成装置が消去モードで動作するように動作モードを設定し、
    指定されたあるいは特定の収納部にセットされた画像形成済みの媒体を供給し、
    少なくとも加熱消色機能を有する加熱部に搬送して前記形成された画像を消色し、
    前記収納部にセットされた画像形成済みの最後の媒体が消色されたときは、前記消去モードから画像消去モード以外の所定のモードに復帰し、
    前記画像形成装置が前記消去モードで動作中に強制終了が指示されたときは、この消去モードを強制的に終了して前記消去モードから画像消去モード以外の所定のモードに復帰させ、
    前記画像形成装置に使用される記録材料は、少なくとも、ロイコ染料と顕色剤を含むカプセル化した色材を、組成比で10〜30wt%含有する熱消色可能なトナーであり、
    前記画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であり、
    媒体上に画像を形成する場合、定着装置は第1の定着温度で媒体を加熱し、前記定着装置が前記第1の定着温度よりも高い第2の定着温度で画像形成済みの媒体を加熱して画像消色を行う、画像形成方法。
  6. 媒体上に画像を形成する場合の媒体の搬送速度と、画像形成済みの媒体を加熱して画像消色を行う場合の媒体の搬送速度とが同一である、請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 消去モード時に前記媒体の搬送速度で画像形成済みの用紙を加熱する際の用紙間の間隔が、画像形成時に前記媒体の搬送速度で搬送される際の用紙間の間隔よりも長い、請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記媒体の搬送速度で画像形成済みの用紙を加熱する際の用紙間の間隔が2秒以上である、請求項6に記載の画像形成方法。
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