JP5372394B2 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は半導体装置及びその製造方法に関するものであり、特に、ゲート絶縁膜として高誘電率膜を用いた絶縁ゲート型半導体装置におけるフェルミレベルピンニングを防止するための構成に関するものである。
近年のワイヤレス通信技術の発展や情報コンテンツの多様化により、携帯情報端末で処理する情報量が飛躍的に増大し、情報処理の中核を担うLSIには微細化、低消費電力化、高速動作化、及び、低電圧化が要求されている。
このような要請に応えるために、LSIを構成するMOSFETのゲート酸化膜の薄膜化が急速に進んでおり、既に、物理的限界まで薄膜化されたゲート絶縁膜をさらに薄膜化すると、キャリアが直接ゲート絶縁膜をトンネリングしてゲートリーク電流が増大する問題が発生する。
例えば、ゲート長が65nmのMISFETにおいては、等価酸化膜厚(EOT:Equivalent Oxide Thickness)で1.2〜1.6nmのゲート絶縁膜が要求されるが、ゲート絶縁膜として従来と同様にSiO膜を用いた場合には、トンネル電流によりゲートリーク電流が許容値を超えてしまう。
そこで、EOTとして上記の膜厚を維持するとともに、ゲートリーク電流を抑制するために、SiO(比誘電率〜3.9)に代わって高誘電率の絶縁膜、即ち、High−k膜の採用が検討されており、このようなHigh−k膜としてはHfO(比誘電率〜25)、Al(比誘電率9〜11)が挙げられる。
このような、High−k膜をゲート絶縁膜として採用することによって、同じEOTでも物理的膜厚を厚くすることができ、それによって、キャリアのトンネルを防止してゲートリーク電流を抑制することができる。
特に、ゲート絶縁膜として、比誘電率が非常に大きなHfOを用いた場合には、ゲートリーク電流抑制効果が大きくなるので、High−k膜としてはHfO、HfSiON、HfAlOやHfAlON等のHfを含んだHigh−k膜の研究が盛んに行われている。
しかし、Hfを含んだHigh−k膜をゲート絶縁膜として用いた場合、多結晶Siゲート電極の仕事関数が不純物濃度で変化しないフェルミレベルピンニング(FLP:Fermi Level Pinning)が発生し、このフェルミレベルピンニングはp型の場合に顕著であることが報告されている。
このような、フェルミレベルピンニングの原因としては、
(1)High−k/Si界面での酸素が抜けたことが原因になり、HfとSiとの間で結合が発生し、このHf−Si結合が原因となってピンニングが起こることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、
(2)High−k/Si界面では、High−k膜中に酸素欠損が数多くあり、この酸素欠陥が有している電荷が2- であり、この電荷に起因して界面に電気双極子が発生して、バンドの湾曲を引起し、ピンニングが起こるという仮説が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
このようなフェルミレベルピンニングが発生すると、特に、p型多結晶Siに対しては仕事関数の制御が不可能になり、Vth制御ができなくなり、High−k膜の実用化への大きな障害となっている。
そこで、フェルミレベルピンニングを回避するために、High−k/多結晶Si界面にSiO膜やSiN膜を挿入することが検討されている。
また、ゲート電極をPtシリサイドやNiシリサイド等のシリサイド電極とした場合、その組成比を変えることで、フェルミレベルピンニングを除去することも試みられている。
しかし、SiO膜を挿入した場合には、フェルミレベルピンニングを除去できないことが判明した。
これは、通常の熱酸化膜はフレキシブル性に欠けるハードなTridymite構造に近いアモルファス構造のSiO膜であるため、酸素欠損に伴って発生するボンドの組み換えにより構造緩和ができないためである。
また、SiN膜を挿入する場合には、2nm程度の膜厚にする必要があり、その結果、EOTを増加してしまい、デバイス特性が劣化するという問題がある。
また、シリサイド電極の組成比を変えた場合には、シリサイド電極の仕事関数はその組成比に依存するため、ゲート電極の仕事関数を任意に設定することが困難になるという問題がある。
C.Hobbs et al.,IEEE Trans.Electron Devices,vol.51,pp.971−983,2004 K.Shiraishi et al.,VLSI Symp.Tech.Dig.,2004,pp.108−110
そこで、本発明者は、従来の高誘電率膜界面の状況を鋭意検討したので、その結果を図9乃至図14を参照し説明する。
図9は、50%の酸素欠損の場合のHfO界面の説明図であり、図9(a)は分子結合図であり、図9(b)は界面における局所状態密度(LDOS:Local Density Of States)の説明図である。
図9(a)から明らかなように、界面においてSi原子は相互に結合してダイマー(dimer)を形成しているが、50%酸素欠損の場合には、残存しているO原子がダイマーに作用して非対称ダイマーとなる。
この場合、図9(b)から明らかなように、バンドギャップ中には準位は形成されていないが、非対称ダイマーはダイポール(電気双極子)を形成するために、このダイポールがバンドの湾曲を引起し、ピンニングが起こると考えられる(Dipole型FLP)。
図10は、50%の酸素欠損の場合のフェルミレベルシフトの説明図であり、図10(a)はp型シリコン基板フェルミレベルシフトの説明図であり、また、図10(b)p型多結晶シリコン層のフェルミレベルシフトの説明図である。
図10(a)から明らかなように、p型シリコン基板の場合には、価電子帯(図におけるマイナスエネルギー側)の端部近傍にあるはずのEが界面ダイポールの影響により価電子帯の端部から大きくシフトしている。
なお、図10(b)から明らかなように、p型多結晶シリコン層の場合には価電子帯の端部にEが存在している。
図11は、100%の酸素欠損の場合のHfO界面の説明図であり、図11(a)は分子結合図であり、図11(b)は界面における局所状態密度(LDOS:Local Density Of States)の説明図である。
図11(a)から明らかなように、界面においてSi原子は相互に結合してダイマー(dimer)を形成しているが、酸素原子が界面において100%欠損しているので、二等辺三角形状の対称ダイマーとなる。
この場合、図11(b)から明らかなように、バンドギャップ中には多くの準位が形成されてメタリック状態となり、この界面の金属化によりフェルミレベルがシフトしてピンニングが起こると考えられる(界面準位型FLP)。
図12は、100%の酸素欠損の場合のフェルミレベルシフトの説明図であり、図12(a)はp型シリコン基板フェルミレベルシフトの説明図であり、また、図12(b)はp型多結晶シリコン層のフェルミレベルシフトの説明図である。
12(a)から明らかなように、p型シリコン基板の場合には、価電子帯の端部近傍にあるはずのEが界面ダイポールの影響により価電子帯の端部から大きくシフトしている。
また、図12(b)から明らかなように、p型多結晶シリコン層の場合にも価電子帯の端部にあるはずのEが界面ダイポールの影響により価電子帯の端部から大きくシフトしている。
図13は、このようなフェルミレベルのシフトを模式的に示したものであり、左側に示すSiO/多結晶シリコンの場合には、多結晶シリコン層中におけるフェルミレベルは、p型の場合には価電子帯の端部近傍に存在し、n型の場合には伝導帯の端部近傍に存在している。
しかし、HfO/多結晶シリコンの場合には、多結晶シリコン層中におけるフェルミレベルは、n型の場合には殆ど移動しないものの、p型の場合には価電子帯の端部近傍に存在するはずのフェルミレベルが伝導帯側にシフトすることになる。
図14は、HfO/多結晶シリコン界面の実効仕事関数と上部電極の仕事関数の界面酸素欠損量依存性の説明図であり、図14(a)はBドープのp型多結晶シリコンの場合の上部電極の仕事関数(WF:Work Function)と実効仕事関数(Effective WF)を示し、図14(b)はAsをドープしたn型多結晶シリコンの場合の上部電極の仕事関数と実効仕事関数を示している。
図から明らかなように、p型多結晶シリコンの場合には、実効仕事関数が、0.6〜0.8eV程度小さくなる方向にシフトしているのに対して、n型多結晶シリコンの場合には、実効仕事関数が、0.3〜0.2eV程度大きくなる方向にシフトしているのが分かる。
以上の結果、フェルミレベルピニングは、HfO/多結晶シリコン界面における酸素欠損による対称ダイマー或いは非対称ダイマー等のSi原子同士の結合によるダイマーの形成が原因であることが明確になった。
したがって、本発明は、高誘電率ゲート絶縁膜/多結晶シリコン界面におけるダイマーの発生を既存の製造工程になじみやすい工程により抑制して、フェルミレベルピンニングを除去することを目的とする。
本発明の一観点によれば、半導体基板と、前記半導体基板上方に形成されたHf、Zr或いはAlの少なくとも一つと酸素とを含むゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された1原子層乃至2原子層の厚さの炭素からなるキャップ層と、前記キャップ層上に形成されたシリコンを含むゲート電極と、前記ゲート電極の両側にソース領域及びドレイン領域とを有する半導体装置が提供される。
また、本発明の別の観点からは、半導体基板上方にHf、Zr或いはAlの少なくとも一つと酸素とを含むゲート絶縁膜を堆積する工程と、前記ゲート絶縁膜上に1原子層乃至2原子層の厚さの炭素を含むキャップ層を堆積する工程と、前記キャップ層上にシリコンを含むゲート電極を堆積する工程と、前記ゲート電極の両側にソース領域及びドレイン領域を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法が提供される。
本発明では、Hf、Zr或いはAlを構成元素として含む酸化物系の高誘電率膜と多結晶シリコンからなるゲート電極との間に、1原子層乃至2原子層の厚さの炭素(C)を含むキャップ層を設けているので、Siより格子定数の小さなC同士がダイマー結合せず、それによって、Si−Si結合のダイマーも発生しないのでフェルミレベルピンニングの発生を抑制することができる。
また、50%の酸素欠損の場合も、ダイポールの生成が抑制される。
ここで、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態のMISFETの概略的構成図であり、n型シリコン基板11上にHfO、HfSiO、HfSiON、HfAlO、HfAlON、ZrO、ZrSiO、ZrSiON、ZrAlO、ZrAlON、又は、Al等の酸素を含む高誘電率膜12、厚さが、例えば、1原子層乃至2原子層のCからなるキャップ層13、及び、多結晶シリコンからなるゲート電極14を順次積層してゲート構造を構成するとともに、ゲート構造の両側にp型ソース・ドレイン領域15を形成し、その上にソース・ドレイン電極16を形成したものである。
図2は、キャップ層界面の分子構造のモデル図であり、キャップ層13と高誘電率膜12との界面でキャップ層13を構成するC原子の一部が高誘電率膜12を構成するHf原子と結合するとともに、C原子同士はSiより格子定数が小さいのでダイマーを構成しないので、Si−Si結合のダイマーが消失している様子を示している。
なお、ここでは説明を簡単にするために、高誘電率膜12としてHfOを、キャップ層13としてC膜を、また、ゲート電極14として多結晶シリコンを用いて示している。
なお、高誘電率膜12とシリコン基板との界面にSiO膜を設けているが、これは移動度の低下を抑制するために設けている。
図3は、本発明の実施の形態におけるゲート電極をBドープのp型多結晶シリコンとし、界面における酸素欠損が100%の場合の局所的状態密度の説明図であり、図3(a)はキャップ層における局所的状態密度、図3(b)はp型多結晶シリコン層における局所的状態密度、であり、図3(c)はp型シリコン基板の局所的状態密度の説明図である。
図から明らかなように、p型多結晶シリコン層及びp型シリコン基板のいずれの局所的状態密度もp型に起因して価電子帯の端部近傍にフェルミレベルが位置しており、フェルミレベルのシフトが発生していないことが分かり、したがって、非対称ダイマーが形成されていないことが分かる。
なお、図3(a)から明らかなように、C層をキャップ層とした場合にはC層中に界面準位が発生するが、フェルミ準位よりエネルギー的に上であり、FLPを抑止する。
なお、この界面準位は、Cの格子定数はゲート電極を構成するSiの格子定数より小さいため一部の結合手が未結合の状態になるために発生すると考えられる。
図4は、本発明の実施の形態におけるゲート電極をAsドープのn型多結晶シリコンとし、界面における酸素欠損が100%の場合の局所的状態密度の説明図であり、図4(a)はキャップ層における局所的状態密度、図4(b)はn型多結晶シリコン層における局所的状態密度、であり、図4(c)はn型シリコン基板の局所的状態密度の説明図である。
図から明らかなように、n型多結晶シリコン層及びn型シリコン基板のいずれの局所的状態密度もn型に起因して導電帯の端部近傍にフェルミレベルが位置しており、フェルミレベルのシフトが発生していないことが分かり、したがって、非対称ダイマーが形成されていないことが分かる。
なお、図4(a)から明らかなように、C層をキャップ層とした場合にはC層中に界面準位が発生するが、n型の場合も理想界面と同程度のシフトである。
p型のシフトを抑制する結果、n型に対して不都合な新たなシフトは発生していないことが分かる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態においては、高誘電率膜とゲート電極との間に、格子定数がシリコン層より小さなCを含むキャップ層を介在させているので、高誘電率膜/キャップ層界面に酸素抜けによる酸素欠損が発生しても、ボンドの組み換えにより酸素欠陥は消滅し、非対称ダイマー或いは対称ダイマーは形成されず、その結果、ゲート電極にフェルミレベルピンニングが発生することがない。
この場合のCを含むキャップ層は理想的には、グラファイト状のC膜であるが、実際には微量のSiもC膜中に拡散してキャップ層面内において拡散したSi原子がSi−C結合を形成していると考えられが、キャップ層全体としてSiCの特性を示すものではない。
なお、1原子層乃至2原子層の極薄膜からなるキャップ層を形成する場合には、スパッタ法を用いれば良い。
次に、以上の事項を前提として、図5乃至図7を参照して本発明の実施例1のMISFETの製造工程を説明する。
まず、図5(a)に示すように、n型シリコン基板21に素子分離領域22を形成したのち、全面にLL−D&A(Layer−by−Layer Deposition & Annealing)法を用いて厚さが1.6nm〜5.0nm、例えば、2.4nmのHfAlOからなる高誘電率膜23を堆積させる。
なお、このLL−D&A法による成長工程においては、例えば、基板温度を200〜300℃とした状態で、Hf源としてHf〔N(CH(TDMAH)を用い、Al源としてAl(NH(TMA)を用い、O源としてHOを用い、キャリアガスとしてNガスを用いて、一原子層単位の成長を行う。
例えば、Al原子層及びHfO原子層を交互に堆積させ、堆積させる毎にRTA(Rapid Thermal Anneal)を行って成膜するものであり、HfAlOにおけるHf:Alの比は、Al原子層とHfO原子層の積層数で制御すれば良く、ここでは、例えば、Hf:Al=6:4とする。
次いで、図5(b)に示すように、例えば、スパッタ法を用いて、100℃以下の基板温度、例えば、室温(〜23)において、C膜24を堆積させる。
この時、C膜24はトランジスタのVthに影響を与えないように、その膜厚が最終的なキャップ層としての膜厚が1原子層乃至2原子層(〜2.5Å)になるように成膜する。
次いで、図5(c)に示すように、CVD法を用いて、例えば、650℃の基板温度において、C膜24上に多結晶シリコン層25を堆積する。
この段階で、C膜24は、C原子が上方の多結晶シリコン層25を構成するSiと結合するとともに、下方の高誘電率膜23を構成するHf,Al,Oとも結合して1原子層乃至2原子層のキャップ層26となる。
次いで、図6(d)に示すように、フォトリソグラフィー工程とドライエッチング工程を用いて多結晶シリコン層25乃至高誘電率膜23を例えば、65nm長さに成形することによって、ゲート絶縁膜27及びゲート電極28からなるゲート構造を形成する。
次いで、図6(e)に示すように、ゲート構造をマスクとしてBイオン29を浅く注入することによってp型エクステンション領域30を形成する。
次いで、図6(f)に示すように、全面にSiO膜を形成したのち、異方性エッチングを施すことによってサイドウォール31を形成する。
次いで、ゲート構造及びサイドウォール31をマスクとしてBイオン32を注入することによってp型ソース・ドレイン領域33を形成するとともに、ゲート電極28にBをドープする。
次いで、図7(g)に示すように、全面にCo膜を堆積させたのち、熱処理により合金化することによって、p型ソース・ドレイン領域33及びゲート電極28の表面にCoシリサイド電極34を形成したのち、未反応のCo膜を除去する。
次いで、図7(h)に示すように、全面にBPSGからなる層間絶縁膜35を堆積させる。
次いで、図7(i)に示すように、Coシリサイド電極34に対するビアホールを形成し、次いで、このビアホール内をTiN膜を介してWで埋め込んでプラグ36を形成することによって、MISFETの基本構造が完成する。
このように、本発明の実施例1においては、ゲート絶縁膜として高誘電率のHfAlOを用いる際に、厚さが1原子層乃至2原子層のCを含む膜、理想的にはC膜からなるキャップ層をゲート絶縁膜のゲート電極との間に介在させているので、HfAlO/C膜界面において酸素抜けによる酸素欠損が発生しても、Siより格子定数の小さなCが介在することにより、Si−Si結合によるダイマーの発生を抑制することができる。
その結果、酸素欠損に起因するバンドギャップ間に準位が発生したり、或いは、ダイポールが発生することがないので、フェルミレベルピンニングが発生することはない。
次に、図8を参照して本発明の実施例2のMISFETを説明するが、上記の実施例1において、高誘電率膜とシリコン基板の界面にSiO膜を形成したものである。
まず、図8(a)に示すように、n型シリコン基板21に素子分離領域22を形成したのち、熱酸化によって厚さが、例えば、1nmのSiO膜37を形成する。
次いで、全面にLL−D&A法を用いて厚さが1.6nm〜5.0nm、例えば、2.4nmのHfAlOからなる高誘電率膜23を堆積させる。
以降は、図8(b)に示すように、上記実施例1と全く同様に、最終的なキャップ層としての膜厚が1原子層乃至2原子層(〜2.5Å)になるようにC膜24を成膜する。
次いで、図8(c)に示すように、C膜24上に多結晶シリコン層25を堆積する。
この段階で、C膜24は、C原子が上方の多結晶シリコン層25を構成するSiと結合するとともに、下方の高誘電率膜23を構成するHf,Al,Oとも結合して1原子層乃至2原子層のキャップ層26となる。
次いで、図8(d)に示すように、フォトリソグラフィー工程とドライエッチング工程を用いてゲート絶縁膜27及びゲート電極28からなるゲート構造を形成する。
次いで、p型エクステンション領域30、サイドウォール31、p型ソース・ドレイン領域33を順次形成するとともに、ゲート電極28にBをドープする。
次いで、p型ソース・ドレイン領域33及びゲート電極28の表面にCoシリサイド電極34を形成したのち、BPSGからなる層間絶縁膜35を堆積させる。
次いで、Coシリサイド電極34に対するプラグ36を形成することによって、MISFETの基本構造が完成する。
このように、本発明の実施例2においては、シリコン基板と高誘電率膜の界面に、SiO膜を設けているので、チャネル領域を走行するキャリアの移動度の低下を抑制することができる。
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能であり、例えば、各実施例においてはpチャネル型MISFETを例に説明しているが、nチャネル型MISFETにも適用されるものである。
また、上記の実施例1及び実施例2においては、ゲート電極として多結晶Siを用いているが、多結晶Siに限られるものではなく、Niシリサイド(仕事関数=4.7eV)、Ptシリサイド(仕事関数=4.9eV)、Taシリサイド、Erシリサイド、或いは、Irシリサイド等の金属シリサイド、または、Pt(仕事関数=5.7eV)等の金属を用いても良いが、仕事関数の観点からはNiシリサイドが特に望ましい。
また、上記の実施例1においては、高誘電率膜の製造方法としてLL−D&A法を用いているが、LL−D&A法に限られるものではなく、通常のALD法或いはLPCVD法を用いても良いものであり、さらには、スパッタ法を用いても良いものである。
また、上記の実施例1及び実施例2においては、高誘電率膜としてHfAlO或いはHfOを用いているがHfAlO或いはHfOに限られるものではなく、Hfを構成元素とする高誘電率膜であれば良く、例えば、HfSiON、HfSiO、或いは、HfAlON等を用いても良く、さらには、Alでも良い。
また、Hfの代わりにZrを含む高誘電率膜でも良く、例えば、ZrO、ZrSiO、ZrSiON、ZrAlO、或いは、ZrAlON等を用いても良い。
即ち、ZrはHfと同じ族に属しており、価電子の数は同じであり、したがって、酸化物を構成した場合の結晶構造でみて、ほぼ同じ格子定数を有しているので、Hfと同等の効果が得られる。
因に、monoclinic構造の結晶の場合には、
HfO:a=5.29Å,b=5.18Å,c=5.12Å
ZrO:a=5.15Å,b=5.21Å,c=5.31Å
であり、また、cubic構造の場合には、
HfO:a=b=c=5.12Å
ZrO:a=b=c=5.07Å
である。
以上の実施例1及び実施例2を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 半導体基板と、前記半導体基板上方に形成されたHf、Zr或いはAlの少なくとも一つと酸素とを含むゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された1原子層乃至2原子層の厚さの炭素からなるキャップ層と、前記キャップ層上に形成されたシリコンを含むゲート電極と、前記ゲート電極の両側にソース領域及びドレイン領域とを有する半導体装置。
付記2) 前記多結晶シリコン層が、Bをドープしたp型多結晶シリコン層である付記1に記載の半導体装置。
付記3) 前記ゲート絶縁膜が、HfO、HfSiO、HfSiON、HfAlO、HfAlON、ZrO、ZrSiO、ZrSiON、ZrAlO、ZrAlON、又は、Alのいずれか一つを含む付記1または付記2に記載の半導体装置。
付記4) 前記キャップ層を構成する炭素原子の一部と、前記ゲート絶縁膜を構成するHf原子、Al原子、または、Zr原子の一部が直接結合している付記3に記載の半導体装置。
付記5) 半導体基板上方にHf、Zr或いはAlの少なくとも一つと酸素とを含むゲート絶縁膜を堆積する工程と、前記ゲート絶縁膜上に1原子層乃至2原子層の厚さの炭素を含むキャップ層を堆積する工程と、前記キャップ層上にシリコンを含むゲート電極を堆積する工程と、前記ゲート電極の両側にソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法。
付記6)前記ゲート絶縁膜が、HfO、HfSiO、HfSiON、HfAlO、HfAlON、ZrO、ZrSiO、ZrSiON、ZrAlO、ZrAlON、又は、Alのいずれか一つを含む付記5に記載の半導体装置の製造方法。
本発明の実施の形態のMISFETの概略的構成図である。 キャップ層界面の分子構造のモデル図である。 本発明の実施の形態におけるゲート電極をBドープのp型多結晶シリコンとし、界面における酸素欠損が100%の場合の局所的状態密度の説明図である。 本発明の実施の形態におけるゲート電極をAsドープのn型多結晶シリコンとし、界面における酸素欠損が100%の場合の局所的状態密度の説明図である。 本発明の実施例1のMISFETの途中までの製造工程の説明図である。 本発明の実施例1のMISFETの図5以降の途中までの製造工程の説明図である。 本発明の実施例1のMISFETの図6以降の製造工程の説明図である。 本発明の実施例2のMISFETの製造工程の説明図である。 50%の酸素欠損の場合のHfO 界面の説明図である。 50%の酸素欠損の場合のフェルミレベルシフトの説明図である。 100%の酸素欠損の場合のHfO 界面の説明図である。 100%の酸素欠損の場合のフェルミレベルシフトの説明図である。 フェルミレベルのシフトの模式的説明図である。 HfO /多結晶シリコン界面の実効仕事関数と上部電極の仕事関数の界面酸素欠損量依存性の説明図である。
11 n型シリコン基板
12 高誘電率膜
13 キャップ層
14 ゲート電極
15 p型ソース・ドレイン領域
16 ソース・ドレイン電極
21 n型シリコン基板
22 素子分離領域
23 高誘電率膜
24 C膜
25 多結晶シリコン層
26 キャップ層
27 ゲート絶縁膜
28 ゲート電極
29 Bイオン
30 p型エクステンション領域
31 サイドウォール
32 Bイオン
33 p型ソース・ドレイン領域
34 Coシリサイド電極
35 層間絶縁膜
36 プラグ
37 SiO

Claims (4)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板上方に形成されたHf、Zr或いはAlの少なくとも一つと酸素とを含むゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成された1原子層乃至2原子層の厚さの炭素からなるキャップ層と、
    前記キャップ層上に形成されたシリコンを含むゲート電極と、
    前記ゲート電極の両側にソース領域及びドレイン領域と
    を有する半導体装置。
  2. 前記ゲート絶縁膜が、HfO、HfSiO、HfSiON、HfAlO、HfAlON、ZrO、ZrSiO、ZrSiON、ZrAlO、ZrAlON、又は、Alのいずれか一つを含む請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記キャップ層を構成する炭素原子の一部と、前記ゲート絶縁膜を構成するHf原子、Al原子、または、Zr原子の一部が直接結合している請求項2記載の半導体装置。
  4. 半導体基板上方にHf、Zr或いはAlの少なくとも一つと酸素とを含むゲート絶縁膜を堆積する工程と、
    前記ゲート絶縁膜上に1原子層乃至2原子層の厚さの炭素を含むキャップ層を堆積する工程と、
    前記キャップ層上にシリコンを含むゲート電極を堆積する工程と、
    前記ゲート電極の両側にソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、
    を含む半導体装置の製造方法。
JP2008065163A 2008-03-14 2008-03-14 半導体装置及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5372394B2 (ja)

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