しかしながら、前記特許文献1に開示される発明の場合、被調理物に挿した品温センサが第二設定温度以上を第二設定時間連続して検出することを、加熱の終了条件の一つとする。ところが、被調理物がたとえば煮物であると、煮汁が沸騰して攪拌されることで、前記品温センサの検出値がわずかな時間、第二設定温度を下回るおそれがある。そうなると、計時時間はゼロにリセットされ、再び積算されることになる。このような制御では、被調理物を加熱し過ぎたり、いつまでも被調理物の加熱が終了しなかったりするおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、被調理物の加熱し過ぎを防止すると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することにある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被調理物を収容した調理室内へ蒸気を供給して前記被調理物を加熱する加熱調理装置の運転方法であって、前記被調理物の温度が品温設定値以上となってからの積算時間が品温設定時間に達すると、前記被調理物の加熱を終了し、前記被調理物の温度が前記品温設定値以上となってからの時間を積算中、前記被調理物の温度が前記品温設定値未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び前記被調理物の温度が前記品温設定値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開することを特徴とする加熱調理装置の運転方法である。
請求項1に記載の発明によれば、被調理物の温度が品温設定値以上となってからの時間を積算中、被調理物の温度が一時的に品温設定値未満となっても、その間だけ時間の積算を中断し、再び被調理物の温度が品温設定値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する。このようにして、被調理物の温度が品温設定値以上である時間のみを順に積算し、この積算時間が品温設定時間に達すると、被調理物の加熱を終了する。被調理物の温度が一時的に品温設定値未満となっても、計時をゼロからやり直すことがないので、被調理物の加熱し過ぎを防止できると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
請求項2に記載の発明は、調理室設定値として、前記品温設定値よりも高い温度、または前記品温設定値を飽和温度とする圧力よりも高い圧力が設定され、前記調理室内の温度または圧力を前記調理室設定値とするように、前記調理室内の温度または圧力を調整することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項2に記載の発明によれば、調理室内を品温設定値よりも高い温度または圧力に調整することで、被調理物の温度が品温設定値を大きく下回ることが防止される。これにより、衛生条件を確実に満たしながら、被調理物の加熱調理を図ることができる。
請求項3に記載の発明は、前記調理室内の温度または圧力が調理室設定値以上となってからの積算時間が調理室設定時間に達し、且つ、前記被調理物の温度が品温設定値以上となってからの積算時間が品温設定時間に達すると、前記被調理物の加熱を終了することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項3に記載の発明によれば、調理室内を調理室設定値以上で調理室設定時間保つと共に、被調理物を品温設定値以上で品温設定時間保つことで、衛生条件を確実に満たしながら、被調理物の加熱調理を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値以上となってからの時間を積算中、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値未満となった場合にも、時間の積算を中断することなく継続することを特徴とする請求項3に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項4に記載の発明によれば、調理室内が調理室設定値以上となってからの時間を積算中、調理室内が調理室設定値未満となった場合にも、時間の積算を中断することなく継続することで、被調理物の加熱し過ぎを防止できると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
請求項5に記載の発明は、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値以上となってからの時間を積算中、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開することを特徴とする請求項3に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項5に記載の発明によれば、調理室内が調理室設定値以上となってからの時間を積算中、調理室内が一時的に調理室設定値未満となっても、その間だけ時間の積算を中断し、再び調理室内が調理室設定値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する。このようにして、調理室内が調理室設定値以上である時間のみを順に積算する。調理室内が一時的に調理室設定値未満となっても、計時をゼロからやり直すことがないので、被調理物の加熱し過ぎを防止できると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
請求項6に記載の発明は、前記被調理物の温度が前記品温設定値以上となってからの積算時間が前記品温設定時間に達する前に、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値以上となってからの積算時間が前記調理室設定時間よりも長い上限設定時間に達すると、前記被調理物の加熱を終了することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項6に記載の発明によれば、被調理物が品温設定値以上となってからの積算時間が品温設定時間に達する前に、調理室内が調理室設定値以上となってからの積算時間が上限設定時間に達する場合には、上限設定時間の経過時に被調理物の加熱を終了する。品温センサの不具合などにより被調理物の温度を検出できなくても、上限設定時間により加熱を終了することで、被調理物の加熱し過ぎを防止できると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
請求項7に記載の発明は、前記調理室内と前記被調理物との温度差が設定範囲内になり、且つ、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値以上となってからの積算時間が前記調理室設定時間よりも長ければ、前記被調理物の加熱を終了することを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項7に記載の発明によれば、調理室内と被調理物との温度差が設定範囲内になり、且つ、調理室内が調理室設定値以上となってからの積算時間が調理室設定時間よりも長ければ、被調理物の加熱を終了することで、被調理物の加熱し過ぎを防止できる。
請求項8に記載の発明は、前記調理室設定値に対し所定許容帯を設定し、前記調理室内の温度または圧力を前記調理室設定値の所定許容帯内に維持するように、前記調理室内の温度または圧力を調整することを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項8に記載の発明によれば、調理室内を調理室設定値の所定許容帯内に維持するよう制御することで、調理室内の環境を所望に維持して、被調理物を加熱することができる。よって、被調理物の加熱制御を、簡易に安定して図ることができる。
請求項9に記載の発明は、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの積算時間が調理室設定時間に達し、且つ、前記被調理物の温度が前記品温設定値以上となってからの積算時間が前記品温設定時間に達すると、前記被調理物の加熱を終了し、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの時間を積算中、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値の所定許容帯の下限値未満となった場合にも、時間の積算を中断することなく継続することを特徴とする請求項8に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項9に記載の発明によれば、調理室内が調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの時間を積算中、調理室内が調理室設定値の所定許容帯の下限値未満となった場合にも、時間の積算を中断することなく継続することで、被調理物の加熱し過ぎを防止できると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
請求項10に記載の発明は、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの積算時間が調理室設定時間に達し、且つ、前記被調理物の温度が前記品温設定値以上となってからの積算時間が前記品温設定時間に達すると、前記被調理物の加熱を終了し、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの時間を積算中、前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値の所定許容帯の下限値未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び前記調理室内の温度または圧力が前記調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開することを特徴とする請求項8に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項10に記載の発明によれば、調理室内が調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの時間を積算中、調理室内が一時的に調理室設定値の所定許容帯の下限値未満となっても、その間だけ時間の積算を中断し、再び調理室内が調理室設定値の所定許容帯の下限値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する。このようにして、調理室内が調理室設定値の所定許容帯の下限値以上である時間のみを順に積算する。調理室内が一時的に調理室設定値の所定許容帯の下限値未満となっても、計時をゼロからやり直すことがないので、被調理物の加熱し過ぎを防止できると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
請求項11に記載の発明は、前記調理室設定値が温度で設定され、前記調理室内の温度を検出して制御するか、前記調理室設定値が温度で設定され、この温度を飽和温度とする圧力に換算し、前記調理室内の圧力を検出して制御するか、前記調理室設定値が圧力で設定され、前記調理室内の圧力を検出して制御するか、前記調理室設定値が圧力で設定され、この圧力を飽和圧力とする温度に換算し、前記調理室内の温度を検出して制御するか、前記調理室設定値が温度で設定され、この温度を飽和温度とする圧力にも換算し、前記調理室内の温度および圧力を検出して制御するか、前記調理室設定値が圧力で設定され、この圧力を飽和圧力とする温度にも換算し、前記調理室内の圧力および温度を検出して制御することを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項11に記載の発明によれば、飽和蒸気の場合、温度と圧力とは所定の関係にあるので、温度と圧力とを適宜換算することで、設定値を温度または圧力で設定し、調理室内の温度および/または圧力を検出して制御することができる。
請求項12に記載の発明は、前記品温設定値に対し所定許容帯を設定し、前記被調理物の温度が前記品温設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの積算時間が前記品温設定時間に達すると、前記被調理物の加熱を終了し、前記被調理物の温度が前記品温設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの時間を積算中、前記被調理物の温度が前記品温設定値の所定許容帯の下限値未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び前記被調理物の温度が前記品温設定値の所定許容帯の下限値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項12に記載の発明によれば、被調理物が品温設定値の所定許容帯の下限値以上となってからの時間を積算中、被調理物が一時的に品温設定値の所定許容帯の下限値未満となっても、その間だけ時間の積算を中断し、再び被調理物が品温設定値の所定許容帯の下限値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する。このようにして、被調理物が品温設定値の所定許容帯の下限値以上である時間のみを順に積算する。被調理物が一時的に品温設定値の所定許容帯の下限値未満となっても、計時をゼロからやり直すことがないので、被調理物の加熱し過ぎを防止できると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
さらに、請求項13に記載の発明は、前記各設定値と前記各設定時間は、変更可能に設定されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の加熱調理装置の運転方法である。
請求項13に記載の発明によれば、各設定値と各設定時間を変更することで、被調理物を所望に加熱することができる。
本発明によれば、被調理物の加熱し過ぎを防止すると共に、いつまでも被調理物の加熱が終了しない不都合を防止することができる。
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の運転方法が好適に適用される加熱調理装置1の一例を示す概略構成図であり、一部を断面にして示すと共に使用状態を示している。
加熱調理装置1は、被調理物2を収容した調理室3内へ蒸気を供給して、被調理物2を加熱調理する装置である。加熱調理装置1は、加熱調理後に被調理物2を真空冷却する機能や、加熱調理前に冷凍状態の被調理物2を真空解凍する機能などを備えていてもよい。真空冷却とは、調理室3内の気体を外部へ吸引排出して、調理室3内を減圧することで、被調理物2からの水分蒸発を促し、その気化潜熱で被調理物2を冷却することをいう。また、真空解凍とは、減圧下の調理室3内へ蒸気を供給することで、温度の低い蒸気により被調理物2を解凍することをいう。
加熱調理装置1には、蒸し庫、蒸煮機、蒸煮冷却機、または飽和蒸気調理機が含まれる。蒸し庫は、蒸気で被調理物2を蒸す装置である。蒸煮機は、蒸気で被調理物2を蒸したり煮たりする装置である。蒸煮冷却機は、蒸煮機に真空冷却機能を付加したものであり、蒸気で被調理物2を蒸したり煮たりした後、調理室3内を減圧して被調理物2の真空冷却を図る装置である。飽和蒸気調理機は、調理室3内の圧力を調整することで、調理室3内の飽和蒸気温度を調整して、所望温度の蒸気により調理室3内の被調理物2の加熱を図る装置である。飽和蒸気調理機は、蒸煮冷却機と同様に、加熱調理後に所望により、調理室3内を減圧して被調理物2の真空冷却を図ることができるのがよい。
図示例の加熱調理装置1は、被調理物2が収容される調理室3と、この調理室3内の気体を外部へ吸引排出して調理室3内を減圧する減圧手段4と、減圧された調理室3内へ外気を導入して復圧する復圧手段5と、調理室3内へ蒸気を供給して被調理物2を加熱する給蒸手段6と、大気圧との差圧により調理室3内の気体を外部へ排出する排気手段7と、調理室3内の圧力を検出する圧力センサ9と、調理室3内に収容された被調理物2の温度(品温)を検出する品温センサ10と、これらセンサ9,10の検出信号や経過時間などに基づき前記各手段4〜7を制御する制御手段11とを備える。但し、調理室3内の圧力を検出する圧力センサ9に代えてまたはこれに加えて、調理室3内の温度を検出する温度センサを用いてもよい。
被調理物2は、各種の食材または食品であり、液体に浸かっていてもよい。たとえば、煮物を作るために具材を煮汁に浸けたものでもよく、被調理物2は、適宜、ホテルパンなどの容器に入れられて、調理室3に出し入れされる。
調理室3は、図示例では、一側面へ開口して中空部を有する調理室本体12と、この調理室本体12の開口部を開閉する扉13とを備える。調理室3内への被調理物2の収容は、調理室3に出し入れされる台車14を介して行ってもよいし、調理室3内に設ける棚板に対し直接に行ってもよい。調理室3内に被調理物2を収容した後、調理室本体12の開口部が扉13で気密に閉じられる。
調理室3には、前述したとおり、圧力センサ9および/または温度センサと、品温センサ10とが設けられる。圧力センサ9は、調理室3内の圧力を検出し、温度センサは、調理室3内の温度を検出し、品温センサ10は、調理室3内に収容された被調理物2の温度を検出する。図示例の品温センサ10は、測温部を被調理物2に挿し込んで、被調理物2の温度を検出する。
調理室3内へ飽和蒸気を供給して、調理室3内の被調理物2の加熱を図る場合、調理室3内の圧力と温度とは所定の関係にある。従って、調理室3内の圧力と温度とを適宜換算することで、圧力センサ9と温度センサとの内、一方または双方を用いることができる。
また、同様の理由で、制御用の各種設定値は、温度で設定されてもよいし、圧力で設定されてもよい。たとえば、後述する調理室設定値Bは、温度で設定されてもよいし、圧力で設定されてもよい。また、調理室設定値Bは、温度で設定され、それを圧力に換算して用いてもよいし、圧力で設定され、それを温度に換算して用いてもよい。そして、調理室3内の圧力を圧力センサ9で検出して制御するか、これに代えてまたはこれに加えて、調理室3内の温度を温度センサで検出して制御すればよい。圧力センサ9と温度センサとの双方を備える場合、いずれか一方のセンサが故障しても他方のセンサで制御を継続するというバックアップ機能をもたせることができる。
具体的には、(1)調理室設定値Bが温度で設定され、調理室3内の温度を検出して制御するか、(2)調理室設定値Bが温度で設定され、この温度を飽和温度とする圧力に換算し、調理室3内の圧力を検出して制御するか、(3)調理室設定値Bが圧力で設定され、調理室3内の圧力を検出して制御するか、(4)調理室設定値Bが圧力で設定され、この圧力を飽和圧力とする温度に換算し、調理室3内の温度を検出して制御するか、(5)調理室設定値Bが温度で設定され、この温度を飽和温度とする圧力にも換算し、調理室3内の温度および圧力を検出して制御するか、(6)調理室設定値Bが圧力で設定され、この圧力を飽和圧力とする温度にも換算し、調理室3内の圧力および温度を検出して制御すればよい。典型的には、調理室設定値Bは温度で設定され、この温度を飽和温度とする圧力に換算し、調理室3内の圧力を検出して制御するが、調理室設定値Bが圧力で設定されたり、調理室3内の温度を検出して制御したりしてもよい。
減圧手段4は、調理室3内の気体を外部へ吸引排出して、調理室3内を減圧する手段である。図示例では、調理室3からの排気路15に、調理室3の側から順に、真空弁16、熱交換器17、逆止弁18、および水封式の真空ポンプ19が設けられて構成される。
排気路15は、調理室3の上部に接続してもよいが、図示例では調理室3の側部で且つ調理室3内の底面よりもやや高い位置に接続される。後述するように、調理室3内への給蒸路25は、調理室3の上部に接続されるが、その場合における調理室3内からの空気排除効率を考慮したものである。
真空弁16は、減圧手段4を作動させる際、つまり真空ポンプ19を作動させる際に開かれる。真空弁16は、開度調整可能に電動弁から構成するのが好ましい。
熱交換器17は、排気路15内の蒸気を冷却し凝縮させる。そのために、熱交換器17には、熱交給水弁20を介して水が供給され排出される。熱交給水弁20は、電磁弁から構成すれば足りる。
水封式の真空ポンプ19は、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されて作動される。そのために、真空ポンプ19には、封水給水弁21を介して水が供給され排出される。真空ポンプ19を作動させる際、封水給水弁21は、真空ポンプ19の作動に連動して開かれる。封水給水弁21は、電磁弁から構成すれば足りる。
減圧手段4は、所望により、真空弁16と熱交換器17との間に、さらに蒸気エゼクタを備えてもよい。この場合、蒸気エゼクタは、入口に蒸気が供給可能とされ、出口が熱交換器17へ向けて接続され、吸入口が真空弁16を介して調理室3に接続される。従って、真空弁16を開けた状態で、入口から出口へ向けて蒸気を噴出させることで、調理室3内の気体を出口へ向けて吸引排出することができる。減圧手段4を作動させる際、通常、熱交換器17と真空ポンプ19とを連動して用いるが、減圧手段4がさらに蒸気エゼクタを備える場合には、被調理物2の真空冷却時、調理室3内が所定圧力以下且つ被調理物2が所定温度以下となってから、蒸気エゼクタを作動させるのがよい。
復圧手段5は、減圧された調理室3内へ外気を導入して、調理室3内を復圧する手段である。図示例では、調理室3内への給気路22に、調理室3へ向けて順に、無菌フィルタ23および給気弁24が設けられて構成される。このような構成であるから、調理室3内が減圧された状態で給気弁24を開くと、差圧により外気が調理室3内へ導入され、調理室3内を復圧することができる。給気弁24は、電磁弁でもよいが、図示例では電動弁が用いられている。
給蒸手段6は、調理室3内へ蒸気を導入する手段である。図示例では、調理室3内への給蒸路25に、給蒸弁26が設けられて構成され、この給蒸弁26を開くことで、蒸気供給源からの蒸気が調理室3内へ導入される。蒸気供給源としては、ボイラを用いることができる他、ボイラからの蒸気を熱源として純水または軟水を蒸気化するステンレス製の熱交換器(リボイラ)を用いることもできる。
給蒸弁26は、開度調整可能に電動弁から構成するのが好ましい。給蒸弁26の開度を調整することで、調理室3内へ供給する蒸気の流量を調整することができる。それにより、調理室3内の圧力ひいては温度を調整することができる。
給蒸路25からの蒸気が直接に被調理物2に当たらないように、図示例では、調理室3への給蒸路25の開口部には、バッフル板27を設けている。但し、バッフル板27は、調理室3ではなく、調理室3に出し入れされる台車14や、被調理物2の容器に設けてもよい。
排気手段7は、大気圧との差圧により調理室3内の気体を外部へ排出する手段である。図示例では、調理室3からの排気路28に、排気弁29が設けられて構成される。このような構成であるから、給蒸手段6により調理室3内へ蒸気を供給しつつまたは蒸気を供給後に排気弁29を開くと、調理室3の内外の差圧により、調理室3内の空気および/または蒸気を外部へ排出することができる。排気弁29は、開度調整可能に電動弁から構成するのが好ましい。排気弁29の開度を調整することで、調理室3外へ蒸気を徐々に排出することができる。
ところで、排気手段7は、調理室3内が大気圧以上の場合、蒸気の凝縮水(ドレン)を外部へ排出するためにも用いることができる。つまり、調理室3内が大気圧以上になると、排気弁29を所定時間開くことにより、ドレンを調理室3外へ排出することができる。たとえば、調理室3内が加熱温度(後述する調理室設定値B)になるまで排気弁29を所定の中途開度まで開いた状態とし、加熱温度に到達すると排気弁29を一旦閉鎖する。そして、加熱時間中は、一定間隔で排気弁29を制御(典型的には比例制御で開度調整)すればよい。あるいは、排気路28に温度センサ(図示省略)を設けて、調理室3内の温度に対して所定温度低下したことを検出したとき、排気弁29を開き、その温度センサの検出温度が、再び調理室3内の温度と一定温度範囲まで上昇したとき、排気弁29を閉じるように制御してもよい。
制御手段11は、圧力センサ9、温度センサおよび品温センサ10の検出信号や、経過時間などに基づき、減圧手段4、復圧手段5、給蒸手段6および排気手段7を制御する制御器33である。具体的には、真空弁16、熱交給水弁20、封水給水弁21、真空ポンプ19、給気弁24、給蒸弁26および排気弁29の他、圧力センサ9および/または温度センサと品温センサ10は、制御器33に接続される。そして、制御器33は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、調理室3内の被調理物2の加熱調理などを図る。
以下、本発明の加熱調理装置1の運転方法の一実施例について説明する。
本実施例の運転方法では、調理室3内からの空気排除を図る空気排除工程と、調理室3内への蒸気供給により被調理物2の加熱調理を図る加熱調理工程と、加熱調理後の被調理物2の真空冷却を図る真空冷却工程とを順次に実行する。但し、空気排除工程と真空冷却工程の一方または双方は、所望により省略することができる。また、加熱調理工程の前後に、所望により任意の他の工程を付加してもよい。
空気排除工程に先立ち、調理室3内に被調理物2が収容され、調理室3の扉13は閉じられる。この初期状態では、真空弁16、熱交給水弁20、封水給水弁21および給蒸弁26は閉じられ、真空ポンプ19は作動を停止している。また、給気弁24および排気弁29は開かれている。
空気排除工程では、制御器33は、給気弁24および排気弁29を閉じた状態で、減圧手段4を作動させる。すなわち、給気弁24および排気弁29を閉じる一方、真空弁16、熱交給水弁20および封水給水弁21を開いて、真空ポンプ19を作動させる。これにより、調理室3内の空気を外部へ吸引排出する。このような空気排除工程は、調理室3内が所定圧力になるまで行ってもよいし、所定時間だけ行ってもよい。
また、減圧手段4により調理室3内を所定圧力まで減圧した後、減圧手段4を停止した状態で給蒸手段6により調理室3内へ蒸気供給して所望まで復圧し、その後、給蒸手段6による調理室3内への蒸気供給を停止した状態で減圧手段4により調理室3内を減圧する操作を、一回または複数回行ってもよい。このようにして調理室3内を複数回減圧する場合には、二回目以降の減圧は、その直前の減圧後の蒸気供給により加熱された被調理物2の温度に相当する飽和蒸気圧力までの減圧に止めることで、被調理物2の沸騰による煮崩れを防止することができる。
ところで、空気排除工程では、給蒸弁26を開いて調理室3内へ蒸気を供給しつつ、調理室3内の気体を外部へ吸引排出してもよい。一方、空気排除工程において給蒸弁26を閉じた状態に維持する場合、つまり単に減圧手段4により調理室3内を減圧して調理室3内からの空気排除を図る場合には、節水のために熱交給水弁20を閉じておいてもよい。
空気排除工程の終了時、制御器33は、真空弁16、熱交給水弁20および封水給水弁21を閉じると共に真空ポンプ19の作動を停止させる。
加熱調理工程では、複数の制御パターンが用意されており、その内から予め選択された制御パターンが実行される。なお、以下の説明において、各設定値と各設定時間とは、オペレータにより制御器33に対し変更可能に設定されるのが好ましい。また、その際、制御パターンの選択も、オペレータにより行われるのがよい。
第一制御パターンでは、被調理物2の目標温度とその保持時間として、品温設定値Aと品温設定時間taとが設定されると共に、調理室3内の目標温度または目標圧力として、調理室設定値Bが設定される。そして、制御器33は、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bとするように、調理室3内の温度または圧力を調整する(図5実線)。また、制御器33は、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの時間を積算し、この積算時間が品温設定時間taに達すると、被調理物の加熱を終了する(図5一点鎖線)。
調理室設定値Bとしては、品温設定値Aよりも高い温度、または品温設定値Aを飽和温度とする圧力よりも高い圧力が設定される。なお、品温設定値Aと調理室設定値Bとは、一方に基づき他方が求められてもよい。
第一制御パターンでの加熱調理工程について具体的に説明すると、制御器33は、給蒸弁26を開いて調理室3内へ蒸気を供給する。そして、センサにより調理室3内の温度および/または圧力を監視しつつ、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bに維持するように、給蒸弁26、排気弁29および真空弁16の内、いずれか一以上の弁の開閉または開度を制御する。この際、真空弁16を閉じると共に減圧手段4を停止しておけば、調理室3内を大気圧を超える圧力としつつ、被調理物2の加熱調理を図ることができる。一方、減圧手段4を作動させて調理室3内を大気圧未満の飽和圧力として被調理物2の加熱調理を図ることもできる。この場合、調理室3内の温度および/または圧力を所望に維持するように、給蒸弁26および真空弁16の開閉または開度を制御すればよい。
また、第一制御パターンの加熱調理工程では、制御器33は、被調理物2の温度検出値が品温設定値A以上となると時間の積算を開始し、その積算時間が品温設定時間taに達すると、調理室3内への給蒸を停止して、加熱調理工程を終了する。
図2は、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの時間の積算方法を示す概略図である。この図に示すように、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの時間を積算中、被調理物2の温度が品温設定値A未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び被調理物2の温度が品温設定値A以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する。すなわち、被調理物2の温度検出値(つまり品温センサ10の検出温度)は、一旦は品温設定値A以上となった後も、一次的に品温設定値A未満となることがあるが、その間だけ時間の積算を中断し、品温設定値A以上となっている時間ta1,ta2,ta3,…を順に積算する。
たとえば被調理物2が煮物の場合、煮汁の沸騰や対流により、品温センサ10の検出温度は多少上下することがあるので、品温設定値A未満となる度に積算時間をゼロにリセットしていたのでは、被調理物2を加熱し過ぎるおそれがあるが、本実施例のように積算することで、そのような不都合を防止することができる。
なお、品温設定値A以上を品温設定時間ta連続して検出しなくても、調理室3内は、品温設定値Aよりも高い調理室設定値Bに維持されるよう制御されるので、被調理物2の温度検出値が品温設定値Aを大きく下回ることはない。よって、衛生条件を満たしながら、所期の加熱調理を実現することができる。
上述したように、加熱調理工程では、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bとするように制御するが、この際、調理室設定値Bに対し所定許容帯を設定し、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bの所定許容帯内に維持するように、調理室3内の温度または圧力を調整してもよい。
図3は、調理室3内の温度を調理室設定値Bの所定許容帯(BH〜BL)内に維持する状態を示す概略図である。この図では、調理室3内の温度と経過時間との関係を示しているが、前述したとおり温度と圧力とは換算可能であるから、調理室3内の圧力と経過時間との関係も同様といえる。
この図に示すように、調理室設定値Bの上下に許容範囲を設定する。典型的には、調理室設定値Bを中央値として、その上下に同一の許容範囲を設定する。たとえば、調理室3内を大気圧以上とする場合は調理室設定値±1℃またはそれに相当する圧力の範囲、調理室3内を大気圧未満とする場合には調理室設定値±2℃またはそれに相当する圧力の範囲を、調理室設定値Bの所定許容帯として設定する。但し、調理室設定値Bの所定許容帯をどのように設定するかは適宜に変更可能である。
このようにして調理室設定値Bに所定許容帯を設定した場合、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bの所定許容帯内に維持するように、調理室3内の温度または圧力を調整すればよい。つまり、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bの所定許容帯の上限値BHと下限値BLとの間に維持するように、給蒸手段6、減圧手段4および排気手段7の内、いずれか一以上を制御すればよい。
第二制御パターンでは、被調理物2の目標温度とその保持時間として、品温設定値Aと品温設定時間taとが設定されると共に、調理室3内の目標温度または目標圧力とその保持時間として、調理室設定値Bと調理室設定時間tbとが設定される。そして、制御器33は、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bとするように、調理室3内の温度または圧力を調整する。また、制御器33は、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの積算時間が調理室設定時間tbに達し、且つ、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの積算時間が品温設定時間taに達すると、被調理物2の加熱を終了する。
図4から図8は、加熱調理工程における調理室3内および被調理物2の温度と、経過時間との関係を示す概略図であり、縦軸を温度、横軸を時間として示している。また、実線は、調理室3内の温度変化を示し、一点鎖線は、被調理物2の温度変化を示している。但し、前述したとおり調理室3内の温度と圧力とは換算可能であるから、調理室3内の温度と経過時間との関係は、調理室3内の圧力と経過時間との関係と同様といえる。
第二制御パターンでは、図4および図5に示すように、加熱調理工程の終了条件は、基本的には、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの積算時間が調理室設定時間tbに達し、且つ、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの積算時間が品温設定時間taに達した時とする。すなわち、制御器33は、調理室3内の温度および/または圧力の検出値が調理室設定値B以上となると時間の積算を開始し、その積算時間が調理室設定時間tbに達し、且つ、被調理物2の温度の検出値が品温設定値A以上となると時間の積算を開始し、その積算時間が品温設定時間taに達すると、調理室3内への給蒸を停止して、加熱調理工程を終了する。
第二制御パターンでは、基本的には、以上のとおり制御される訳であるが、万一、品温センサ10の故障などにより、被調理物2の温度が検出できない場合には、加熱調理工程を終了できないおそれがある。そこで、図6および図7に示すように、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの積算時間が品温設定時間taに達する前に、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの積算時間が調理室設定時間tbよりも長い上限設定時間tcに達すると、被調理物2の加熱を終了するよう制御するのがよい。
また、図8に示すように、調理室3内と被調理物2との温度差ΔTが設定範囲内になり、且つ、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの積算時間が調理室設定時間tbよりも長ければ、被調理物2の加熱を終了してもよい。より具体的には、温度センサによる検出温度と品温センサ10による検出温度との差が設定範囲内になるか、圧力センサ9による検出圧力に相当する飽和温度と品温センサ10による検出温度との差が設定範囲内になり、且つ、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの積算時間が調理室設定時間tbよりも長ければ、被調理物2の加熱を終了してもよい。
第二制御パターンにおいても、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの時間の積算方法は、第一制御パターンの場合と同様である。つまり、図2に示すように、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの時間を積算中、被調理物2の温度が品温設定値A未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び被調理物2の温度が品温設定値A以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する。
一方、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの時間(tb,tc)の積算方法は、二通りあり、そのいずれを用いてもよい。第一の方法は、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの時間を積算中、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B未満となった場合にも、時間の積算を中断することなく継続する方法である。第二の方法は、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの時間を積算中、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する方法である。この第二の方法は、図2に示される時間の積算方法、つまり被調理物2の温度が品温設定値A以上となる時間の積算方法と同じといえる。
また、第二制御パターンにおいても、第一制御パターンの場合と同様に、調理室設定値Bに対し所定許容帯(BH〜BL)を設定し、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bの所定許容帯内に維持するように、調理室3内の温度または圧力を調整してもよい。つまり、図3に示すように、調理室設定値Bに対し所定許容帯を設定し、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bの所定許容帯内に維持するように、調理室3内の温度または圧力を調整してもよい。
この場合、調理室3内の温度または圧力の検出値が、調理室設定値Bの所定許容帯に入った時点から時間を積算し、この積算時間が調理室設定時間tbに達し、且つ、被調理物2の温度が品温設定値A以上となった時点から時間を積算し、この積算時間が品温設定時間taに達すると、被調理物2の加熱を終了すればよい。
具体的には、調理室設定値Bに所定許容帯を設定する場合、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値Bの所定許容帯の下限値BL以上となってからの積算時間が調理室設定時間tbに達し、且つ、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの積算時間が品温設定時間taに達すると、被調理物2の加熱を終了すればよい。
そして、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値Bの所定許容帯に入ってからの時間を積算中、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値Bの所定許容帯を外れた場合(本実施例では下限値BL未満となった場合)にも、時間の積算を中断することなく継続すればよい(前記第一の方法)。あるいは、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値Bの所定許容帯に入ってからの時間を積算中、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値Bの所定許容帯を外れた場合(本実施例では下限値BL未満となった場合)には、時間の積算を中断し、再び調理室3内の温度または圧力が調理室設定値Bの所定許容帯の下限値BL以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開してもよい(前記第二の方法)。
このようにして加熱調理工程の実行後、所望により真空冷却工程を実行するが、被調理物2の真空冷却が不要な場合は、加熱調理工程後、直ちに調理室3内を大気圧に戻して、一連の運転が終了される。加熱調理工程の終了時、調理室3内が大気圧を超える圧力であれば、排気弁29を開いて、調理室3内が大気圧になるまで、排水および排蒸すればよい。一方、もし調理室3内が大気圧未満の圧力であれば、給気弁24を開いて、調理室3内が大気圧になるまで調理室3内に空気を送り込めばよい。
真空冷却工程では、調理室3内を減圧手段4により減圧して、被調理物2の真空冷却が図られる。具体的には、制御器33は、給気弁24、給蒸弁26および排気弁29を閉じた状態で、減圧手段4を作動させる。すなわち、給気弁24、給蒸弁26および排気弁29を閉じる一方、真空弁16、熱交給水弁20および封水給水弁21を開いて、真空ポンプ19を作動させればよい。これにより、調理室3内の気体を外部へ吸引排出して、被調理物2の真空冷却を図ることができる。
調理室3内を所望温度に保持した状態で所望時間だけ保持するか、品温センサ10による被調理物2の温度が所望温度に達すると、減圧手段4の作動を停止して、復圧手段5により調理室3内を大気圧まで復圧する。すなわち、真空弁16、熱交給水弁20および封水給水弁21を閉じて、真空ポンプ19を停止させた後、給気弁24を開けばよい。そして、調理室3の扉13を開いて、調理室3内から被調理物2を取り出して、一連の処理を完了する。
本発明の加熱調理装置1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの積算時間が品温設定時間taに達すると、被調理物2の加熱を終了する加熱調理工程を含み、被調理物2の温度が品温設定値A以上となってからの時間を積算中、被調理物2の温度が品温設定値A未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び被調理物2の温度が品温設定値A以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開する積算方法を採用する限り、その他の構成および制御は適宜に変更可能である。
また、前記実施例では、調理室設定値Bに所定許容帯を設定する場合については説明したが、これと同様に、品温設定値Aに対し所定許容帯を設定してもよい。この場合、被調理物2の温度が品温設定値Aの所定許容帯の下限値以上となってからの積算時間が品温設定時間taに達すると、被調理物2の加熱を終了すればよい。その際、被調理物2の温度が品温設定値Aの所定許容帯の下限値以上となってからの時間を積算中、被調理物2の温度が品温設定値Aの所定許容帯の下限値未満となった場合には、時間の積算を中断し、再び被調理物2の温度が品温設定値Aの所定許容帯の下限値以上となると、時間の積算をゼロにリセットすることなく再開すればよい。
また、前記実施例では、加熱調理工程は、複数の制御パターンが用意され、その内から選択された制御パターンを実行したが、制御パターンとしては、前記第一制御パターンや前記第二制御パターン以外のものを用意してもよい。たとえば、第三制御パターンも用意しておき、この第三制御パターンでは、調理室3内の目標温度または目標圧力とその保持時間として、調理室設定値Bと調理室設定時間tbとが設定される。そして、制御器33は、調理室3内の温度または圧力を調理室設定値Bとするように、調理室3内の温度または圧力を調整する。また、制御器33は、調理室3内の温度または圧力が調理室設定値B以上となってからの積算時間が調理室設定時間tbに達すると、被調理物2の加熱を終了する。この際、調理室設定時間tbの積算方法は、前記第一の方法と前記第二の方法とのいずれを採用してもよい。
また、前記実施例では、加熱調理工程は、複数の制御パターンが用意され、その内から選択された制御パターンを実行したが、いずれかの制御パターンのみが実行可能に構成されていてもよい。