以下、本発明にかかる育苗ポット用収納トレイの実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
本発明の育苗ポット用収納トレイ1は、所定サイズの育苗ポット50(図4参照)を縦横方向に並べて収納するものであって、樹脂等の材料を成形処理することにより製造される。本実施形態においては、射出成形によって一体に成形される。図1〜図3に示すように、収納トレイ1は、底部10、底部10の外周から上方に延びた外周部20、上縁を構成する枠部30、及び育苗ポット50を支持する収納トレイ1の縦方向及び横方向に延びる格子状の支持部材40から構成される。また、育苗ポット50が収納される空間を収納部S1とする。収納部S1によって、収納トレイ1は縦方向及び横方向に区画される。なお、本実施形態においては、収納トレイ1には、長辺方向に7個、短辺方向に4個の合計28個の所定サイズの育苗ポット50を収納できる。
ここで、本実施形態において収納トレイ1に収納される所定サイズの育苗ポット50の形状について、図4に基づいて説明する。育苗ポット50は、いわゆる9cmの角形タイプであり、薄肉の鉢形状をしている。詳しくは、円形の底面部51と、底面部51から上方に向けて大径となるように傾斜した側面部52とを有し、底面部51と側面部52とによって内部に土壌を収容可能な収容部53が形成される。また、育苗ポット50の側面部52の上端は、平面視で略正方形に形成される。本実施形態の育苗ポット50は、ポリプロピレン(PP)を主成分として、ポリエチレン(PE)を所定量混入した軟質の樹脂材料からなる。
収納トレイ1の底部10は、収納される育苗ポット50を支持する。本実施形態においては、図2に示すように、底部10は、8角形の底支持部11で構成されて、底支持部11の中央には、十字形状の底リブ部12を有する。また、底部10には、底支持部11から起立して、収納される育苗ポット50の側面部52に沿って上方に傾斜して延びる傾斜部13が設けられる。このように、底部10及び傾斜部13によって育苗ポット50を収納する、独立した収納部S1が形成される。
傾斜部13は、底支持部11の外周において、収納トレイ1の長辺方向及び短辺方向にそれぞれ2個ずつ設けられる。なお、以下長辺方向の傾斜部を13aとして、短辺方向の傾斜部を13bとする。図1に示すように、長辺方向の傾斜部13aの上端は、枠部30の短辺32又は支持部材40の縦リブ44(詳細は後述)に連結される。また、短辺方向の傾斜部13bの上端は、枠部30の長辺31又は支持部材40の横リブ41(詳細は後述)に連結される。このように、傾斜部13が連結される支持部材40も収納部S1を形成する。なお、枠部30に連結される傾斜部13は、収納トレイ1の外周部20を構成する。ここで、縦リブ44に連結される傾斜部13a1は、外周部20を構成する傾斜部13aよりも急な角度としている(図3(a)参照)。以後、縦リブ44に連結される傾斜部を13a1で示す。
また、支持部材40は、収納トレイ1の底部10と枠部30との間に設けられ、収納トレイ1の長辺方向に延びる横リブ41と、短辺方向に延びる縦リブ44とからなる格子状の部材で構成される。本実施形態においては、支持部材40の横リブ41は、収納トレイ1の長辺に平行となるように、短辺方向の3箇所に等間隔に設けられ、縦リブ44は、短辺に平行となるように、長辺方向の6箇所に等間隔に設けられる。なお、図2に示すように、各収納部S1の支持部材40は、収納トレイ1の長辺方向に対向する縦リブ44の相互間の距離が、短辺方向に対向する横リブ41の相互間の距離よりも小さくなるように配置される。これにより、対向する縦リブ44及び横リブ41によって形成される収納部S1は、上方から見ると縦リブ44が長い長方形をなす。
図1及び図2に示すように、支持部材40の横リブ41は、収納トレイ1の底部10から所定の高さH1(図3(a)参照)の位置に配設される。なお、支持部材40が形成される高さH1は、枠部30の下端部36a(詳細は後述)よりも低い位置であることが好ましい。また、長辺方向の端部に位置する横リブ41は、枠部30の短辺32に連結される接続部43を有する。
一方、支持部材40の縦リブ44は、横リブ41の間に位置するものは、横リブ41と同じ高さ(H1)に配設される。また、短辺方向の端部の縦リブ44は、枠部30の長辺31に連結される。このとき、短辺方向端部の縦リブ44は、枠部30の長辺31に向けて傾斜して設けられる。以後、傾斜した縦リブを44aで示す(図3(b)参照)。
ここで、枠部30は、対向する一対の長辺31と短辺32とにより構成される。枠部30の各辺は、図3に示すように、折り返し部34を頂点として、内側部35と外側部36とを有する。また、内側部35には、傾斜部13(外周部20)、及び接続部43が連結される。外側部36は、下端部36aが解放されており、作業者が収納トレイ1を持ち運ぶ際に、指を引掛けることができる。
なお、収納トレイ1の寸法は、枠部30によって外周寸法が決定され、外周部20の高さによって高さ寸法が決定される。収納トレイ1の外周寸法及び高さ寸法は、従来のSSトレイやカゴトレイの外周寸法及び高さ寸法と略同じである。そのため、従来のSSトレイやカゴトレイと同様に扱うことができ、梱包や運送に関わる種々の装置のサイズや、店頭における展示場所のスペース等を変更する必要がない。
続いて、収納トレイ1に収納された育苗ポット50について説明する。育苗ポット50は、収納トレイ1の収納部S1に収納され、その際には、育苗ポット50の底面部51が、底部10の底支持部11上に載置される。図5に、収納トレイ1に育苗ポット50を縦横方向に並べた状態の平面図を示す。ここで、縦方向とは、収納トレイ1の短辺方向のことであり、横方向とは、長辺方向のことである。このとき、育苗ポット50は、収納トレイ1の長辺方向と短辺方向とでは異なる支持状態となる。そのため、略正方形の育苗ポット50の形状は、略長方形に変形した状態で収納トレイ1に収納される。
図6(a)に、図5の矢印C−C方向における断面の概略図を示す。これは、長辺方向から見た育苗ポット50の収納状態を示す。この状態では、育苗ポット50の側面部52は、縦リブ44によって押圧される。そのため、育苗ポット50の側面部52は、外周部20によって支持される領域の角度よりも急な角度となる。また、縦リブ44よりも上方の側面部52は、隣接する育苗ポット50の側面部52に接すると、押圧されて垂直方向に延びる。この状態での、長辺方向に隣接する育苗ポット50の底面部51の中心間距離をL1aとする(以下、長辺方向の中心間距離L1aと呼ぶ。)。ここで、育苗ポット50は、収納部S1に収納されるため、育苗ポット50の長辺方向の中心間距離L1aは、長辺方向に隣接した収納部S1の底部10の中心間距離に等しい。なお、傾斜した縦リブ44aによって支持される育苗ポット50は、側面部52の上縁付近まで押圧される。
図7に、収納部S1に収納されるべき所定サイズの育苗ポット50の側面部52の上端同士を自然状態で相互に接触させた状態を示す。なお、この育苗ポット50は、内部に土壌を収容していない状態である。この自然状態の育苗ポット50の底面部51の中心間距離をL2とする(以下、自然状態の中心間距離L2と呼ぶ。)。
図6(a)と図7からも明らかなように、長辺方向に隣接した収納部S1の底部10の中心間距離は、自然状態の中心間距離L2(図7参照)よりも小さくなる。そのため、収納部S1に収納された所定サイズの育苗ポット50の長辺方向の中心間距離L1aは、自然状態の中心間距離L2よりも小さくなる(L1a<L2)。よって、収納トレイ1には、長辺方向に詰めた状態で、多数の育苗ポット50を収納することができる。
一方、図6(b)には、図5の矢印D−D方向における断面の概略図を示す。これは、短辺方向から見た育苗ポット50の収納状態を示し、図示のように、育苗ポット50は、短辺方向には、支持部材40によって側面部52を支持された状態で収納される。この状態では、育苗ポット50の側面部52は、支持部材40の横リブ41に当接することで支持される。この状態での短辺方向に隣接する育苗ポット50の底面部51の中心間距離をL1b(以下、短辺方向の中心間距離L1bと呼ぶ。)とする。
本実施形態においては、短辺方向の中心間距離L1bは、自然状態の中心間距離L2と等しく(L1b=L2)、長辺方向の中心間距離L1aよりも大きくなるようにしている(L1a<L1b=L2)。これにより、長辺方向に詰め込まれた育苗ポット50は、短辺方向に向けて変形するため、支持部材40の横リブ41によって確実に支持される。なお、短辺方向の中心間距離L1bは、長辺方向の中心間距離L1aと同様に、自然状態の中心間距離L2よりも小さくなる(L1b<L2)ようにしてもよい。
また、本実施形態においては、長辺方向の中心間距離L1a及び短辺方向の中心間距離L1bは、底面部51の自然状態での最大寸法D1(図7参照)以上となるように設定している。つまり、隣接する収納部S1の底部10の中心間距離も、育苗ポット50の底面部51の自然状態での最大寸法D1以上となる、これにより、隣接する収納部S1の底部10の間には、隙間が形成される。なお、これらの中心間距離L1a,L1bが、底面部51の最大寸法D1よりも小さい場合には、育苗ポット50を収納部S1に収納する際に、底面部51と支持部材40とが干渉するため、収納作業が容易に行えなくなる。しかし、上記のように設定することにより、育苗ポット50の収納部S1は、平面視で底面部51の面積を確実に確保することができるため、収納作業を容易にすることが可能となる。
上述のように、本実施形態の収納トレイ1においては、収納トレイ1の長辺方向に詰め込まれた状態で育苗ポット50が収納されるため、同じサイズの従来のSSトレイよりも多くの育苗ポット50を収納することができる。具体的には、本実施形態の収納トレイ1は、長辺方向における一端側から他端側までの収納部S1の全てに育苗ポット50を収納すると、7個の育苗ポット50を収納することができる。一方、この状態での育苗ポットの一端側の一端から他端側の他端までの距離内に、育苗ポット50を自然状態で並べた場合には、6個しか並べられない。これは、同じサイズのSSトレイに収納できる個数と同じである。このように、長辺方向には同じ距離で多くの育苗ポット50を並べることができるため、収納トレイ1には、より多くの育苗ポット50を収納することができる。
また、本実施形態にかかる収納トレイ1に収納される育苗ポット50は、詰め込まれた長辺方向は、縦リブ44によって側面部52が支持されるため、収納された育苗ポット50のうちの1つが取り出されたとしても、隣接する育苗ポット50の転倒を防止することができる。なお、この状態では、傾斜部13aで支持されない領域に側面部52が膨らむことにより、縦リブ44によってより確実に支持されることとなり、育苗ポット50の安定感が増す。
一方、図6(b)に示すように、収納トレイ1の短辺方向においては、育苗ポット50は、側面部52が支持部材40の横リブ41及びによって支持される。そのため、育苗ポット50が取り出されたとしても、隣接する育苗ポット50は移動や変形等はなく、安定した収納状態を維持することができる。
ここで、収納トレイ1に収納された端部に位置する育苗ポット50について説明する。長辺方向から見て両端の育苗ポット50は、図6(a)に示すように、外側の側面部52が、収納トレイ1の短辺側の外周部20(傾斜部13a)によって支持される。また、短辺方向から見て両端側の育苗ポット50は、図6(b)に示すように、外側の側面部52が、収納トレイ1の長辺側の外周部20(傾斜部13b)によって支持される。なお、外周部20は、自然状態の育苗ポット50の側面部52の傾斜角度と略同じ角度としてもよい。
続いて、図8に基づいて、支持部材40による育苗ポット50の側面部52の支持部分について詳細に説明する。支持部材40に接続される傾斜部13bは、収容部53に土壌を収容しない状態で収納トレイ1に収納された育苗ポット50の側面部52との間に隙間G1が形成される形状とすることが好ましい。本実施形態においては、図8(a)に示すように、側面部52の傾斜角度を傾斜部13bの傾斜角度よりも急な角度とすることにより、隙間G1を形成している。これにより、育苗ポット50に土壌を収容した状態であれば、土壌の重みにより側面部52が隙間G1方向に膨張することによって傾斜部13bと密着するため、支持部材40の横リブ41による育苗ポット50保持力をより高めることができる。なお、図8(b)に示すように、傾斜部13bを曲線とすることで隙間G2を形成してもよい。
図9には、複数個の収納トレイ1を重ねた状態を示す。以後、重ねられた他の収納トレイを1Aとする。本実施形態の収納トレイ1は、底面を構成する底部10より、傾斜部13bと支持部材40とが所定高さH1(図3参照)で突出しているが、突出している領域は傾斜しているため、図示のように他の収納トレイ1Aの傾斜部13bAと重なることにより、支持部材40,40A同士を干渉することなく積み重ねることができる。なお、収納トレイ1を積み重ねた状態では、収納トレイ1の枠部30の折り返し部34が、他の収納トレイ1Aの枠部30Aの外側部36Aの下端部36aAと当接することで、収納トレイ1を確実に支持することができる。
以上、本発明にかかる一実施形態を説明したが、底部10の底支持部11から上方に起立する傾斜部13において、一方向に設けられる2個の傾斜部13を連結する連結部材を形成してもよい。連結部材は、底部10に対して並行であっても、傾斜していてもよく、傾斜部13の中間に設けることが好ましい。また、傾斜部13a、13b同士を部分的に連結してもよく、周囲の一回りをすべて連結してもよい。これにより、連結部材によって、収納される育苗ポット50の側面部52が周囲方向に支持され、連結部材よりも下方の側面部が膨らむことにより、抜け止めされる。そのため、収納トレイ1の運送時の振動があっても、育苗ポット50の飛び出しを確実に防止することができる。
また、底部10をそれぞれ独立して設けたが、これに限ることはなく、周囲の底部10を連結させてもよい。例えば、底支持部11の幅を広くすることで、隣接する底支持部11と一部を接触させて連結させてもよく、十字形状の底リブ部12を延長することで、隣接する底リブ部12と連結させてもよい。これにより、収納トレイ1の底面がより強固となり、土壌が収容された育苗ポット50が収納された状態であっても、収納トレイ1の底部10が下方膨らむ等の変形を防止できる。
なお、底部10の形状は、上記実施形態においては8角形としたが、これに限ることはなく、4角形やその他の多角形、また円形としてもよい。
さらに、本実施形態においては、収納トレイ1に収納される育苗ポット50の短辺方向の中心間距離L1bを、長辺方向の中心間距離L1aよりも大きくしたが、これに限ることはなく、短辺方向の中心間距離L1bを小さく(L1b<L1a)してもよい。なお、この場合には、短辺方向の中心間距離L1bを、自然状態の中心間距離L2よりも小さくする。
次に本発明にかかる育苗ポット用収納トレイの別実施形態について図10〜図12に基づいて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態にかかる収納トレイ100は、底部110、底部110の外周から上方に延びた外周部120、上縁を構成する枠部130、及び育苗ポット50(図4参照)を支持する支持部材140から構成される。また、育苗ポット50が収納される空間を収納部S2とする。収納部S2によって、収納トレイ100は縦方向及び横方向に区画される。なお、本実施形態においても、収納トレイ100には、長辺方向に7個、短辺方向に4個の合計28個の所定サイズの育苗ポット50を収納できる。
収納トレイ1の底部110は、収納される育苗ポット50を支持する。底部110は、収納トレイ1の長辺方向に延びる長辺部111、長辺部111に直交して短辺方向に延びる短辺部112、及び円形部113とから構成される。本実施形態においては、長辺部111及び短辺部112は、それぞれ平行に設けられるリブ部材であり、図11に示すように、底部10において交差することで格子形状が形成される。
図10に示すように、長辺部111は、収納トレイ100の長辺方向に一端から他端まで連続して延びる直線形状であり、両端は起立して枠部130に連結される。この起立部分は、収納トレイの外周部120の一部を構成する。短辺部112は、収納トレイ1の短辺方向の一端及び他端が、長辺部111と同様に起立して、長辺部111と同様に外周部120の一部を構成し、枠部130に連結される。また、起立部分は、収納される育苗ポット50単位でも起立(以下、傾斜部143と呼ぶ)して、収納される育苗ポット50の側面部52に沿って上方に傾斜して延び、後述する支持部材140の基部141に連結される。円形部113は、円形のリブ部材であり、図11に示すように、二本ずつの長辺部111と短辺部112とが交差することにより形成される格子領域を囲む位置に形成される。また、円形部113は、収納トレイ100の長辺方向に隣接する円形部113の端部同士が接触するように形成される。
支持部材140は、収納トレイ100の底部110と枠部130との間に設けられ、収納トレイ100の長辺方向に延びる基部141と、長辺方向に所定間隔で設けられる突部142とから構成される。また、基部141には、短辺部112の傾斜部143が連結される。本実施形態においては、支持部材140は、収納トレイ100の短辺方向の3箇所に等間隔に設けられ、底部110から所定の高さH2(図12参照)に配設される。
図10及び図11に示すように、基部141は、収納トレイ100の長辺方向に一端から他端まで連続して延びており、両端が起立(以下、起立部144と呼ぶ。)して枠部130に連結される。突部142は、基部141から短辺方向の両側に突出して形成される。また、突部142は、育苗ポット50の幅寸法よりも小さい寸法で突出しており、長辺方向に所定間隔で形成される。本実施形態においては、突部142は、長辺方向に沿って6箇所に設けられる。長辺方向に隣接する各突部142の頂点の間の基部141を含む領域が、育苗ポット50の側面部52(図4参照)に当接することにより育苗ポット50を支持する。
傾斜部143は、支持部材140の基部141に対して、短辺方向に対向して連結されることにより、支持部材140を底部10からの所定高さH2(図12参照)で支持する。なお、支持部材140の高さH2は、育苗ポット50に対して1/3〜2/3の高さとすることが好ましい。具体的には、育苗ポット50の高さを75mmとした場合に、支持部材140の高さHは25mm〜50mm程度が好ましく、30mm〜40mmとすることがより好ましい。本実施形態においては、支持部材140の高さH2は30mmである。
このように、底部110から所定高さH2の位置に、支持部材140を設け、支持部材140の基部141を収納トレイ100の長辺方向の一端側から多端側まで架け渡すと共に、底部110から起立した傾斜部143が連結されているため、収納トレイ100の強度を高めることができる。そのため、収納トレイ100に多くの育苗ポット50を収納した状態であっても、底部110が長辺方向に撓むことなく、収納トレイ100を容易に持ち運ぶことができる。
ここで、図12に基づいて、育苗ポット50の収納部S2について説明する。収納部S2は、対向する支持部材140、又は、支持部材140と外周部120とによって形成される、育苗ポット50が収納される空間である。図12(a)に示すように、収納トレイ100の長辺方向には、収納部S2が連続して形成される。一方、図12(b)に示すように、収納トレイ100の短辺方向には、支持部材140の傾斜部143によって仕切られた、個別の収納部S2が形成される。
さらに、枠部130は、対向する一対の長辺131と短辺132とにより構成される。枠部130の各辺は、折り返し部133を頂点として、内側部134と外側部135とを有する(図12参照)。また、内側部134には、長辺部111と短辺部112から起立した外周部120、及び支持部材140の基部141から起立した起立部144がそれぞれ連結される。外側部135は、端部が解放される。
なお、収納トレイ100の寸法は、上記実施形態と同様に、従来のSSトレイやカゴトレイの外周寸法及び高さ寸法と略同じである。そのため、同様に、従来のSSトレイやカゴトレイと同様に扱うことができる。
続いて、収納トレイ1に収納された育苗ポット50について説明する。育苗ポット50は、収納トレイ1の収納部S2に収納され、その際には、育苗ポット50の底面部51が、円形部113上に載置される。収納トレイ100に育苗ポット50を縦横方向に並べた状態の平面図は、図5と同じである。ここで、育苗ポット50は、収納トレイ100の長辺方向と短辺方向とでは異なる支持状態となる。具体的には、長辺方向には、隣接する育苗ポット50の側面部52によって押圧されることで支持され、短辺方向には、支持部材140の基部141及び突部42が育苗ポット50の側面部52に当接することで支持される。
図13(a)に、図5の矢印C−C方向における断面の概略図を示す。これは、長辺方向から見た育苗ポット50の収納状態を示し、図示のように、育苗ポット50は、長辺方向に連続した収納部S2に並べられて収納される。この状態では、育苗ポット50の側面部52は、隣接する育苗ポット50の側面部52で押圧されて、垂直方向に延びる。この状態での、長辺方向に隣接する育苗ポット50の底面部51の中心間距離をL1cとする(以下、長辺方向の中心間距離L1cと呼ぶ。)。ここで、上述の実施形態と同様に、育苗ポット50は、収納部S2に収納されるため、育苗ポット50の長辺方向の中心間距離L1cは、長辺方向に隣接した収納部S2の底部110の中心間距離に等しい。なお、収納部S2に収納される所定サイズの育苗ポット50の側面部52の上端同士を自然状態で相互に接触させた状態は、上記実施形態の図7に示す状態と同じである。この自然状態の中心間距離は、上記と同様にL2と呼ぶ。
図13(a)と図7からも明らかなように、長辺方向に隣接した収納部S2の底部110の中心間距離は、自然状態の中心間距離L2(図7参照)よりも小さくなる。そのため、収納部S2に収納された所定サイズの育苗ポット50の長辺方向の中心間距離L1cは、自然状態の中心間距離L2よりも小さくなる(L1c<L2)。よって、収納トレイ100には、長辺方向に詰めた状態で、多数の育苗ポット50を収納することができる。
一方、図13(b)には、図5の矢印D−D方向における断面の概略図を示す。これは、短辺方向から見た育苗ポット50の収納状態を示し、図示のように、育苗ポット50は、短辺方向には、支持部材140によって側面部52を支持された状態で収納される。この状態では、育苗ポット50の側面部52は、支持部材140の基部141に当接することで支持される。また、支持部材140よりも上方の側面部52は、隣接する育苗ポット50の側面部52に接すると、押圧されて垂直方向に延びる。この状態での短辺方向に隣接する育苗ポット50の底面部51の中心間距離をL1dとする(以下、短辺方向の中心間距離L1dと呼ぶ。)。
ここで、本実施形態においても、短辺方向の中心間距離L1dは、自然状態の中心間距離L2と等しく(L1d=L2)、長辺方向の中心間距離L1cよりも大きくなるようにしている(L1c<L1d=L2)。これにより、上述の実施形態と同様に、長辺方向に詰め込まれた育苗ポット50は、短辺方向に向けて変形するため、支持部材140の基部141によって確実に支持される。なお、短辺方向の中心間距離L1dは、長辺方向の中心間距離L1cと同様に、自然状態の中心間距離L2よりも小さくなる(L1d<L2)ようにしてもよい。
また、本実施形態においても、長辺方向の中心間距離L1c及び短辺方向の中心間距離L1dは、底面部51の自然状態での最大寸法D1(図7参照)以上となるように設定している。
上述のように、本実施形態の収納トレイ100においても、収納トレイ100の長辺方向に詰め込まれた状態で育苗ポット50が収納されるため、同じサイズの従来のSSトレイよりも多くの育苗ポット50を収納することができる。
また、本実施形態にかかる収納トレイ100に収納される育苗ポット50は、支持部材140の基部141及び突部142によって側面部52を支持されるため、収納された育苗ポット50のうちの1つが取り出されたとしても、隣接する育苗ポット50の転倒を防止することができる。詳しくは、収納トレイ100の長辺方向においては、図13(a)に示すように、収納部S2に収納される育苗ポット50は、隣接する育苗ポット50の側面部52に押圧されることで支持される。そのため、隣接する育苗ポット50が取り出されると、側面部52が押圧されなくなるため、側面部52が膨らんで、図13(a)に仮想線で示すように、傾斜した状態となる。
このとき、隣接する育苗ポット50は、取り出された育苗ポット50と反対側に隣接する育苗ポット50の側面部52から押圧されるため、取り出された育苗ポット50に向かう力が加わるが、支持部材140の突部142が側面部52に当接しているため(図12(a)参照)、長辺方向への移動が規制される。そのため、育苗ポット50の転倒を防止することができる。なお、この状態では、側面部52が膨らむことにより、突部42によってより確実に支持されることとなり、育苗ポット50の安定感が増す。
一方、図13(b)に示すように、収納トレイ100の短辺方向においては、育苗ポット50は、側面部52が支持部材140の基部141及び突部142によって支持される。そのため、育苗ポット50が取り出されたとしても、隣接する育苗ポット50は移動や変形等はなく、安定した収納状態を維持することができる。
ここで、収納トレイ100に収納された端部に位置する育苗ポット50について説明する。長辺方向から見て両端の育苗ポット50は、図13(a)に示すように、育苗ポット50の外側の側面部52は、収納トレイ1の短辺側の外周部120によって支持される。また、短辺方向から見て両端側の育苗ポット50は、図13(b)に示すように、同様に、育苗ポット50の外側の側面部52は、収納トレイ1の長辺側の外周部120によって支持される。なお、外周部120は、自然状態の育苗ポット50の側面部52の傾斜角度と略同じ角度としてもよい。
長辺側の外周部120に支持される育苗ポット50は、短辺方向においては、一方向からしか支持部材140によって支持されないため、支持が不十分となるおそれがある。そのため、収納トレイ1の長辺側に育苗ポット50の側面部52を支持する支持部材を形成してもよい。具体的には、上記実施形態と同様に、支持部材140に形成される突部142と対向する位置の枠部130の長辺131に、同様の突部を形成することが好ましい。なお、支持部材として、枠部130の長辺131と底部110とを連結するリブ部を突部142と対向する位置に設けてもよい。これにより、収納トレイ1の長辺方向における育苗ポット50の位置を確実に規制することが可能となる。
なお、本実施形態においても、支持部材140の短辺132の傾斜部143が、収容部53に土壌を収容しない状態で収納トレイ100に収納された育苗ポット50の側面部52との間に隙間が形成される形状とすることが好ましい。また、上記実施形態と同様に、傾斜部143を曲線とすることで隙間を形成してもよい(図8(b)参照)。
また、複数個の収納トレイ100を重ねた状態では、上記実施形態と同様に、収納トレイ100の枠部130の折り返し部133が、他の収納トレイの枠部の外側部の下端と当接することで、収納トレイ100を確実に支持することができる。それにより、積み重ねられた収納トレイ100の支持部材140同士を干渉することなく積み重ねることができる。
本実施形態においては、収納トレイ100の底部110に、育苗ポット50の底面部51が載置される円形の円形部113を設けたが、これに限ることはなく、図14に示すように、円形部113を有しない底部110としてもよい。これにより、収納トレイ100の製造が簡略化され、安価に製造することができる。
また、本実施形態においては、支持部材140の基部141を収納トレイの長辺方向に延びるように形成したが、これに限ることはなく、短辺方向に延びるように基部141を設けてもよい。また、基部141を設けることなく、突部142に相当する部分のみを柱状の突起(支持柱)として形成して、平面視で育苗ポット50を斜め方向からの4箇所で支持するように構成してもよい。
さらに、本実施形態においては、収納トレイ100に収納される育苗ポット50の短辺方向の中心間距離L1dを、長辺方向の中心間距離L1cよりも大きくしたが、これに限ることはなく、短辺方向の中心間距離L1dを小さく(L1d<L1c)してもよい。なお、この場合には、短辺方向の中心間距離L1dを、自然状態の中心間距離L2よりも小さくする。
続いて、図15及び図16に、本発明にかかる収納トレイのさらに他の実施形態を示す。本実施形態においては、支持部材210を別部材で形成して、従来のカゴトレイのように、底面が平坦な収納トレイ200に対して着脱可能とする。支持部材210は、板状の樹脂を用いて真空成形によって製造される。なお、図15において、収納トレイ200の外形を一点鎖線で示す。
支持部材210は、底面を構成する底面部211と、底面部211から起立して、収納される育苗ポット50の側面部52に沿って上方に傾斜して延びる傾斜部212と、支持部材210の上面を構成する上面部213とを有する。底面部211は、上記実施形態の底部110に相当し、育苗ポット50の底面部51が載置される。底面部211は、平坦な面状であることが上記の底部110とは異なる。また、傾斜部212は、上記実施形態の傾斜部143に相当し、育苗ポット50の側面部52を当接して支持する。さらに、上面部213は、上記実施形態の基部141及び突部142の上面に相当する。支持部材210のその他の構成も上記実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
本実施形態においても、収納トレイ1の長辺方向に隣接する育苗ポット50の中心間距離が、収納されない状態で側面部52の上端同士を接触させて並べた育苗ポット50の中心間距離L2以下となるように、支持部材210の長辺方向に所定間隔で突部214を形成すると共に、対向する支持部材210及び突部214のそれぞれの間の距離を設定している。また、上面部213の当接領域によって育苗ポット50の側面部52を当接して支持するため、上記実施形態と同様に、育苗ポット50の収納作業及び取り出しが容易となる。
本実施形態においては、一枚の板状の樹脂を真空成形によって成形することで、支持部材210を作成したが、これに限ることなく、例えば、一枚の板状の樹脂に収納部に相当する孔部を形成して、孔部によって育苗ポット50の側面部52を支持するように支持部材を作成してもよい。この場合には、長辺方向に連結された孔部が形成される。また、上記実施形態の基部141及び突部142(図10参照)に相当するリブ部材を作成して、カゴトレイの長辺方向に取り付けてもよく、さらに、短辺方向にも支持部材を作成して取り付けるようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
上記の実施形態においては、長辺方向に7個、短辺方向に4個の合計28個の所定サイズの育苗ポットを収納できる収納トレイの例を示したが、収納可能な育苗ポットの数はこれに限ることはなく、もっと多い数であってもよく、少ない数であってもよい。いずれにおいても、自然状態で並べられる育苗ポットの数よりも多く収納できることが特徴である。例えば、育苗ポットや収納トレイのサイズに応じて、例えば、長辺方向に6個、短辺方向に4個の合計24個であってもよい。この場合には、収納トレイは、長辺方向に5個、短辺方向に4個の合計20個が自然状態で並べられる個数である。
また、各育苗ポットを、長辺方向及び短辺方向の両方において、底面部の中心間距離が自然状態における中心間距離よりも小さくなるように並べてもよい。さらに、収納される育苗ポットのサイズも、9cmタイプに限ることはなく、10.5cmタイプや、その他の所定のサイズであってもよいことは勿論である。