JP5367645B2 - 作業機 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば油圧ショベル等の作業機に関する。
一般に、作業機の代表例としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより車体が構成され、車体を構成する上部旋回体の前部側には作業装置が俯仰動可能に設けられている。そして、例えば高層建築物等の地上高さが大きな構造物を解体する場合には、上部旋回体の前部側に解体作業用の作業装置が取付けられた油圧ショベルが好適に用いられる。
ここで、解体作業用の作業装置は、通常、マルチブームと呼ばれる複数のブームを有し、該マルチブームは、上部旋回体に設けられたブラケットに基端側が回動可能にピン結合された下ブームと、該下ブームの先端側に取付けられた上ブームとにより構成されている。そして、上ブームの先端側にはミドルアームがピン結合され、該ミドルアームの先端側にはアームがピン結合され、アームの先端側には圧砕機等の作業具が取付けられる構成となっている。また、上ブームとブラケットとの間にはブームシリンダが取付けられ、該ブームシリンダの伸縮により作業装置を俯仰動させる構成となっている。
ところで、この種の解体作業用の油圧ショベルを作業現場に輸送する場合には、通常、上部旋回体から作業装置を取外すことにより、油圧ショベルを車体と作業装置とに分割し、これら車体と作業装置とを輸送車両に積載して別々に作業現場に輸送する。そして、作業現場において、油圧ショベルの車体(上部旋回体)に作業装置を組付けることにより、この作業装置を用いて地上高さが大きな構造物に対する解体作業等を行うようになっている(特許文献1,2参照)。
ここで、特許文献1による従来技術では、一端部が車体に取付けられると共に他端部がブームに取付けられるブームシリンダを、ブームに取付けたまま輸送できる構成となっている。具体的には、車体から取外されたブームシリンダのロッドの先端部をブームに仮固定するためのブラケットがブームの下面に設けられており、このブラケットにブームシリンダのロッドの先端部を仮固定した状態で、これらブームとブームシリンダとを一体的に輸送できる構成となっている。
また、特許文献2による従来技術では、ブームのフート部(基端部)とブームシリンダの一端部とがアダプタを介して車体のアタッチメント取付部材に取付けられており、ブームとブームシリンダとをアダプタに取付けたまま一体的に輸送できる構成となっている。
特開2004−132115号公報 特開2005−105521号公報
ところで、上述した特許文献1による従来技術によれば、ブームとブームシリンダとを一体的に輸送できるが、ブームとブームシリンダとを車体から取外すときや車体に取付けるときに、ブームを吊上げるためのクレーンとブームシリンダを吊上げるためのクレーンとの2台のクレーンが必要になり、その分、取付け取外し作業が面倒になる虞がある。
一方、特許文献2による従来技術によれば、ブームとブームシリンダとをアダプタを介して車体に取付けるため、アダプタ分車体重量が増大し、接地圧の増大や走行性能の低下を招く虞がある。特に、アダプタは、解体作業等の作業時(稼働時)にブームとブームシリンダとから荷重を受けるため、作業時の荷重に耐えられる強度を有するものとする必要があり、その分重量が嵩む。
しかも、アダプタは、作業時にブームとブームシリンダとの作動(揺動)を円滑に行えるようにするために、寸法精度、加工精度を確保する必要があり、製造コストが嵩む。さらには、ブームとブームシリンダとをアダプタに取付けたまま輸送する場合に、アダプタ分輸送重量が増大すると共に、輸送高さも高くなり、輸送コストが嵩むという問題もある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ブームとブームシリンダとの車体への取付け取外し作業を容易に行うことができ、しかも、ブームとブームシリンダとを安定して保管、輸送することができる作業機を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な車体と、フート部が該車体に俯仰動可能に取付けられたブームと、一端部が前記車体に取付けられると共に他端部が前記ブームに取付けられ該ブームを俯仰動させるブームシリンダとを有する作業機に適用される。
そして、請求項1の発明による作業機が採用する構成の特徴は、前記ブームと前記ブームシリンダとの間には、前記ブームを最も仰動させた状態から最も俯動させた状態までの俯仰動角範囲にわたって前記ブームに対する前記ブームシリンダの揺動を許容しつつこれらブームとブームシリンダとを連結する連結具を設ける構成としたことにある。
また、請求項2の発明による作業機は、前記連結具は、前記ブームの俯仰動角の範囲で自由に変形可能な部材により構成したことにある。
請求項1の発明によれば、ブームとブームシリンダとの間に連結具を設ける構成としているので、ブームとブームシリンダとを連結具により連結した状態で、これらブームとブームシリンダとを一体的に車体から取外したり車体に取付けることができる。このとき、ブームシリンダは連結具によりブームに連結されているから、1台のクレーンでブームとブームシリンダとを吊上げることができる(例えば、1台のクレーンでブームを吊ることにより、ブームと該ブームに連結具により連結されたブームシリンダとの両方を吊ることができる)。
このため、車体に対するブームおよびブームシリンダの取付け取外し作業を容易に行うことができ、取付け取り外しの作業時間の短縮を図ることができる。しかも、連結具は、ブームを最も仰動させた状態から最も俯動させた状態までの俯仰動角範囲にわたってブームに対するブームシリンダの揺動を許容する構成としているので、作業機の作業時に連結具がブームとブームシリンダとの動きの妨げになることはなく、作業機による作業を安定して行うことができる。
また、請求項2の発明によれば、連結具をブームの俯仰動角の範囲で自由に変形可能な部材により構成しているので、該連結具を例えばロープ、ワイヤ、ケーブル、チェーン等を用いて、簡素、かつ軽量に構成することができる。このため、例えばアダプタを用いる従来技術に比べ、車体重量の増大を抑えることができ、接地圧の低減や走行性能の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態によるマルチブーム式の油圧ショベルを示す正面図である。 油圧ショベルの作業時にブームを最も仰動させた状態を示す正面図である。 油圧ショベルの作業時にブームとブームシリンダとのなす角度が最も大きくなる状態を示す正面図である。 油圧ショベルの作業時にブームを最も俯動させた状態を示す正面図である。 ブームとブームシリンダをクレーンで吊る保持工程を示す正面図である。 車体からブームとブームシリンダとを取外した状態を、取外し工程と移動工程と一緒に示す正面図である。 ブーム、ブームシリンダ、連結具等を示す図6中の矢示VII−VII方向からみた断面図である。 車体から取外されたブームとブームシリンダとを分解ブーム載置台に載置する途中の状態を、載置工程として示す正面図である。 車体から取外されたブームとブームシリンダとを分解ブーム載置台に載置した状態を示す正面図である。 ブーム、ブームシリンダ、連結具、分解ブーム載置台等を示す図9中のA部拡大正面図である。 ブーム、ブームシリンダ、連結具、分解ブーム載置台等を示す図9中の矢示XI−XI方向からみた平面図である。 ブーム、ブームシリンダ、連結具、分解ブーム載置台等を示す図11中のB部拡大平面図である。 ブーム、ブームシリンダ、分解ブーム載置台等を示す図9中の矢示XIII−XIII方向からみた断面図である。 車体から取外されたブームとブームシリンダとを分解ブーム載置台と共に輸送車両上に搭載した状態を示す正面図である。 分解ブーム載置台を単体で示す斜視図である。
以下、本発明に係る作業機の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図15を参照しつつ詳細に説明する。
図中、1はマルチブーム式の油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられた後述の作業装置12とにより大略構成され、例えば高層建築物等の地上高さが大きな構造物を解体するのに好適に用いられるものである。
ここで、上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム4と、該旋回フレーム4の前部左側に配設され運転室を画成するキャブ5と、旋回フレーム4の後端側に配設されたカウンタウエイト6と、該カウンタウエイト6の前側に配置されエンジン、油圧ポンプ等の搭載機器(図示せず)を収容する建屋カバー7とにより大略構成されている。
8は旋回フレーム4の前部側に一体に設けられたブラケットで、該ブラケット8は、後述する作業装置12の下ブーム13と左,右のブームシリンダ20、21とを回動可能(俯仰動可能)に支持するものである。ここで、ブラケット8は、左,右方向で対面して設けられ、いずれも旋回フレーム4の底板(図示せず)から上方に向けて山型状に突出した左,右のブラケット9(右側のみ図示)により構成されている。
そして、右ブラケット9には、後述の下ブーム13の右ブームフート部13Eがブーム用連結ピン10を介して取付けられると共に、後述の右ブームシリンダ21を構成するロッド21Aの先端部がシリンダ用連結ピン11を介して取付けられている。このために、例えば図6に示すように、右ブラケット9の上端側のブーム取付部9Aにはブーム用ピン挿通孔9Bが設けられており、右ブラケット9の前部下端側のシリンダ取付部9Cにはシリンダ用ピン挿通孔9Dが設けられている。
また、左ブラケット(図示せず)には、後述の下ブーム13の左ブームフート部13Dがブーム用連結ピン(図示せず)を介して取付けられると共に、後述の左ブームシリンダ20を構成するロッド20Aの先端部がシリンダ用連結ピン(図示せず)を介して取付けられている。このために、左ブラケットの上端側のブーム取付部(図示せず)にはブーム用ピン挿通孔(図示せず)が設けられており、左ブラケットの前部下端側のシリンダ取付部(図示せず)にはシリンダ用ピン挿通孔(図示せず)が設けられている。
12は上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に取付けられたマルチブーム式の作業装置で、該作業装置12は、ブームとしての下ブーム13、継ぎブーム14、上ブーム15からなるマルチブームと、上ブーム15の先端側に回動可能に取付けられたミドルアーム16と、ミドルアーム16の先端側に回動可能に取付けられた下アーム17、上アーム18からなるアームと、上アーム18の先端側に回動可能に取付けられた作業具としての圧砕機19とにより大略構成されている。
ここで、下ブーム13は、例えば図7に示すように、前,後方向に延び下ブーム13の上面を構成する上フランジ13Aと、該上フランジ13Aと上,下方向で対面しつつ前,後方向に延び下ブーム13の下面を構成する下フランジ13Bと、左,右方向で対面しつつ上フランジ13Aと下フランジ13Bとの間に配置され下ブーム13の左,右の側面を構成する左,右のウェブ13Cとにより、断面が四角形状のボックス構造体として形成されている。
また、例えば図11に示すように、下ブーム13の基端側には、二又状に分岐した左,右のブームフート部13D,13Eが設けられている。そして、これら左,右のブームフート部13D,13Eは、それぞれブーム用連結ピン10を介して旋回フレーム4のブラケット8(左,右のブラケット9)に回動可能(俯仰動可能)に取付けられる構成となっている。このために、左,右のブームフート部13D,13Eには、ブーム用連結ピン10が挿通されるブーム側ピン挿通孔13G(例えば図6,13等参照)がそれぞれ設けられている。
また、下ブーム13の上フランジ13Aには、下ブーム13を後述のクレーン40により吊るときにワイヤ、フック等を係止する複数(4個)の係止ブラケット13Fが、下ブーム13の長さ方向および幅方向に互いに離間して設けられている。
20,21は旋回フレーム4のブラケット8(左,右のブラケット9)と下ブーム13との間に設けられた左,右のブームシリンダで、該各ブームシリンダ20,21は、下ブーム13を含んで構成されるマルチブームを俯仰動させるものである。ここで、各ブームシリンダ20,21は、一端部となる各ロッド20A,21Aの先端部が、旋回フレーム4のブラケット8にそれぞれシリンダ用連結ピン11を介して回動可能に取付けられている。このために、各ロッド20A,21Aの先端部には、シリンダ用連結ピン11を挿通するシリンダ側ピン挿通孔20B,21B(例えば図6,13等参照)が設けられている。一方、各ブームシリンダ20,21のうち他端部となるボトム部は、下ブーム13の左,右のウェブ13Cに回動可能に取付けられている(ピン結合されている)。
また、マルチブームを構成する上ブーム15とミドルアーム16との間にはミドルアーム16を作動(回動)させるミドルアームシリンダ22が設けられている。また、ミドルアーム16とアームを構成する下アーム17との間にはアームを作動(回動)させるアームシリンダ23が設けられている。さらに、アームを構成する上アーム18と圧砕機19との間には、圧砕機19を回動させる作業具シリンダ24が設けられている。
25は下ブーム13の両側面にそれぞれ固定されたブーム側ブラケットで、該各ブーム側ブラケット25は、後述する連結ロープ31の一端部(例えば図6,7,10に示す状態で上側となる端部)を下ブーム13の左,右のウェブ13Cに揺動可能に連結するものである。ここで、各ブーム側ブラケット25は、例えば図7に示すように、下ブーム13のウェブ13Cに溶接により固定され一端側(例えば図6,7,10に示す状態で下側となる端部)に向かう程ウェブ13Cから離れるように傾斜した略四角形状の取付板部25A、該取付板部25Aの一端側を折曲げることによりウェブ13Cに対し平行に設けられた略三角形状の連結板部25B、該連結板部25Bとウェブ13Cとの間に設けられた補強板部25C等により構成されている。そして、連結板部25Bには、連結ロープ31の一端部が連結ピン26を介して揺動可能に連結(ピン結合)されている。
27は左,右のブームシリンダ20,21にそれぞれ固定されたシリンダ側ブラケットで、該各シリンダ側ブラケット27は、後述する連結ロープ31の他端部(例えば図6,7,10に示す状態で下側となる端部)を左,右のブームシリンダ20,21に揺動可能に連結するものである。ここで、各シリンダ側ブラケット27は、例えば図7に示すように、ブームシリンダ20,21を支持(抱持)するための筒部材27Aと、連結ロープ31の他端部を連結する略三角形状の連結板部27Bとにより大略構成されている。
ここで、筒部材27Aは、ブームシリンダ20,21の径方向外側から当該ブームシリンダ20,21を抱持する一対の半円筒状片27A1により構成され、該各半円筒状片27A1の端部には、それぞれ結合部27A2が設けられている。そして、各半円筒状片27A1によってブームシリンダ20,21を抱持し、各半円筒状片27A1の結合部27A2をボルト28とナット29とを用いて固定することにより、シリンダ側ブラケット27の筒部材27Aをブームシリンダ20,21に固定できるように構成している。
また、筒部材27Aの外周面には連結板部27Bが溶接により固定されている。そして、連結板部27Bには、連結ロープ31の他端部が連結ピン30を介して揺動可能に連結(ピン結合)されている。
31は下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21との間に設けられた連結具としての左,右の連結ロープで、該各連結ロープ31は、後述するように下ブーム13の俯仰動角範囲で自由に変形可能な部材として構成されている。このために、各連結ロープ31は、例えば鋼線を撚り合わせてなるワイヤーロープ(鋼索)やケーブル等からなるロープ本体31Aと、該ロープ本体31Aの一端部に設けられブーム側ブラケット25に連結ピン26を介して揺動可能に連結される一方のフォークエンド31Bと、ロープ本体31Aの他端部に設けられシリンダ側ブラケット27に連結ピン30を介して揺動可能に連結される他方のフォークエンド31Bとにより大略構成されている。
そして、各連結ローブ31は、下ブーム13に対し各ブームシリンダ20,21をそのボトム部を中心とする揺動を許容しつつ、これら下ブーム13と各ブームシリンダ20,21とを連結している。より具体的には、各連結ロープ31は、下ブーム13を最も仰動させた状態から最も俯動させた状態までの俯仰動角範囲、すなわち、図2に示すように下ブーム13を最も仰動させた俯仰動角度α1の状態から、図4に示すように下ブーム13を最も俯動させた俯仰動角度α2の状態までの範囲にわたって、下ブーム13に対する各ブームシリンダ20,21の揺動を許容できるように構成している。
このために、各連結ロープ31の長さL(図7参照)は、次のように設定している。すなわち、下ブーム31を、図2に示す最も仰動させた状態から図4に示す最も俯動させた状態までの間で俯仰動させたとき、下ブーム13に固定された各ブーム側ブラケット25と各ブームシリンダ20,21に固定された各シリンダ側ブラケット27との間の距離K1,K2,K3(図2,3,4参照)は、図3に示す状態、すなわち、俯仰動角度α3の状態で最も長くなる。
より詳しく説明すると、図3に示すように、ブーム用連結ピン10の中心O1とシリンダ用連結ピン11の中心O2とを結んだ仮想線X−Xとブームシリンダ20,21の中心軸線Y−Yとのなす角度βが90度となる状態で、ブームシリンダ20,21の中心軸線Y−Yと下ブーム13の中心線Z−Zとのなす角度γ1が最大角となる。そして、このとき、下ブーム13に固定されたブーム側ブラケット25とブームシリンダ20,21に固定されたシリンダ側ブラケット27との間の距離K2が最も長くなる。
そこで、各連結ロープ31の長さLは、図3に示す状態におけるブーム側ブラケット25とシリンダ側ブラケット27との間の距離K2以上の長さになるようにして、下ブーム13の俯仰動角度α1,α2,α3(図2ないし図4参照)が何れの状態でも各連結ロープ31に張力が加わらないようにしている。したがって、解体作業等の作業時(稼働時)に、各連結ロープ31により下ブーム13と各ブームシリンダ20,21とが連結されていても、これら下ブーム13と各ブームシリンダ20,21との動きが各連結ロープ31により妨げられることはない。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて例えば建築物の解体作業を行うときには、下部走行体2を走行させ、また、上部旋回体3を旋回させつつ、作業装置12を用いて建築物を解体する。
このような作業時、下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とは左,右の連結ロープ31により連結されているが、これら各連結ロープ31の長さLは十分に長いため、図2ないし図4に示すように、下ブーム13と各ブームシリンダ20,21との動きが各連結ロープ31により妨げられることはない。
次に、油圧ショベル1を作業現場等に輸送する場合には、例えば下ブーム13から継ぎブーム14を取外した後、上部旋回体3から下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とを取外し、これらを輸送車両に積載して作業現場等に輸送する。
そして、本実施の形態では、油圧ショベル1の上部旋回体3から下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とを取外したときに、取外された下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とを載置するために分解ブーム載置台32を用いており、以下、本実施の形態に用いる分解ブーム載置台32について、図6ないし図15を参照しつつ説明する。
この分解ブーム載置台32は、下ブーム13とブームシリンダ20,21とを旋回フレーム4のブラケット8(左,右のブラケット9)から取外したときに、下ブーム13の左,右のブームフート部13D,13Eと左,右のブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aの先端部とを載置するものである。ここで、分解ブーム載置台32は、例えば図15に示すように、後述する基台部33と、ブーム支持部36と、シリンダ支持部37とにより大略構成されている。
33は下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とを地面34または輸送車両35上に支持する基台部で、該基台部33は、地面34または輸送車両35上に置かれ水平方向に延びる一対の下梁33Aと、該各下梁33Aの上面に設けられ上,下方向に延びる一対の支柱33Bと、該各支柱33Bの上端部を連結する上側連結梁33Cと、各下梁33Aの一端部(例えば図9で右側となる端部)を連結する下側連結梁33Dと、各下梁33Aの中間部を連結する中間連結梁33Eと、上側連結梁33Cの両端部と下側連結梁33Dの両端部との間に斜め方向に架け渡された一対の筋交い33Fとにより大略構成されている。
そして、一対の下梁33A、一対の支柱33B、上側連結梁33C、下側連結梁33D、中間連結梁33E、一対の筋交い33Fは、何れも断面が矩形で中空の角形鋼管等により形成されており、互いに溶接により固定することにより基台部33を構成している。
36は基台部33のうち上側連結梁33Cの両端部にそれぞれ設けられた一対のブーム支持部で、該各ブーム支持部36は、左,右のブームフート部13D,13Eをそれぞれ地面34または輸送車両35上から浮かせた状態で支持するものである。ここで、各ブーム支持部36は、鋼板等の板材により形成された一対の支持板36Aにより構成され、該各支持板36Aの互いに対応する位置には、後述のブーム用支持ピン38を挿通するピン挿通孔36Bが設けられている。
また、上側連結梁33Cの上面のうち各支持板36Aに挟まれた部位には、各ブームフート部13D,13Eの下面と当接することによりこれら各ブームフート部13D,13Eの位置決めを行うブーム用ガイド部材36Cが設けられている。そして、各ブームフート部13D,13Eを各ブーム支持部36に支持するときは、図13に示すように、各ブーム支持部36のピン挿通孔36Bと各ブームフート部13D,13Eのブーム側ピン挿通孔13Gとにブーム用支持ピン38を挿通することにより、各ブームフート部13D,13Eを各ブーム支持部36に支持する構成となっている。
37は基台部33のうち下側連結梁33Dの両端部に設けられた一対のシリンダ支持部で、該各シリンダ支持部37は、左,右のブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aの先端部をそれぞれ地面34または輸送車両35上から浮かせた状態で支持するものである。ここで、各シリンダ支持部37は、鋼板等の板材により形成された一対の支持板37Aにより構成され、該各支持板37Aの互いに対応する位置には、後述のシリンダ用支持ピン39を挿通するピン挿通孔37Bが設けられている。
また、各支持板37Aの間でピン挿通孔37Bよりも下側となる部位には、各ロッド20A,21Aの先端部の下面と当接することによりこれら各ロッド20A,21Aの位置決めを行うシリンダ用ガイド板37Cが設けられている。そして、各ロッド20A,21Aの先端部を各シリンダ支持部37に支持するときは、各シリンダ支持部37のピン挿通孔37Bと各ロッド20A,21Aのシリンダ側ピン挿通孔20B,21Bとにシリンダ用支持ピン39を挿通することにより、各ロッド20A,21Aの先端部を各シリンダ支持部37に支持する構成となっている。
また、各ブーム支持部36のピン挿通孔36Bの孔中心O3(図6および図9参照)と各シリンダ支持部37のピン挿通孔37Bの孔中心O4との間の距離(例えば、上,下方向の距離T1)は、ブラケット8のブーム用ピン挿通孔9Bの孔中心O1(図4および図6参照)とシリンダ用ピン挿通孔9Dの孔中心O2との間の距離(例えば、上,下方向の距離T2)よりも小さくしている。
このため、図9に示すように、下ブーム13と各ブームシリンダ20,21とを分解ブーム載置台32に載置した状態で、これら下ブーム13と各ブームシリンダ20,21とのなす角度γ2を小さくすることができ(各ブームシリンダ20,21を下ブーム13側に寄せることができ)、載置時における高さ寸法(最大高さ)H1を小さくすることができる。また、図14に示すように、輸送高さ、すなわち、輸送時における高さ寸法(最大高さ)H2も同様に小さくすることができる。
38はブームフート部13D,13Eをブーム支持部36に支持するときに用いられるブーム用支持ピンで、該ブーム用支持ピン38は、ブーム支持部36のピン挿通孔36Bとブームフート部13D,13Eのブーム側ピン挿通孔13Gとに挿通される中空管状のピン本体38Aと、該ピン本体38Aの一端部に設けられたフランジ部38Bと、該フランジ部38Bの側面に設けられブーム用支持ピン38の持運びや取付け作業を行うときに作業者が把持する把持部38Cと、ピン本体38Aの他端部に着脱可能に設けられブーム用支持ピン38の抜け止めを行う抜止め部材38Dとにより大略構成されている。
そして、図13に示すように、ブーム用支持ピン38のピン本体38Aの外径D1は、ブーム支持部36のピン挿通孔36Bの内径D2およびブームフート部13D,13Eのブーム側ピン挿通孔13G内に設けられたスリーブ13G1の内径D3よりも十分に小さくすることにより、ブーム用支持ピン38の抜き差しを容易に行えるように構成している。
39はブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aの先端部をシリンダ支持部37に支持するときに用いられるシリンダ用支持ピンで、該シリンダ用支持ピン39は、シリンダ支持部37のピン挿通孔37Bとロッド20A,21Aの先端部のシリンダ側ピン挿通孔20B,21Bとに挿通される中空管状のピン本体39Aと、該ピン本体39Aの一端部に設けられたフランジ部39Bと、該フランジ部39Bの側面に設けられシリンダ用支持ピン39の持運びや取付け作業を行うときに作業者が把持する把持部39Cと、ピン本体39Aの他端部に着脱可能に設けられシリンダ用支持ピン39の抜け止めを行う抜止め部材39Dとにより大略構成されている。
そして、図13に示すように、シリンダ用支持ピン39のピン本体39Aの外径D4は、シリンダ支持部37のピン挿通孔37Bの内径D5およびロッド20A,21Aの先端部のシリンダ側ピン挿通孔20B,21B内に設けられたスリーブ20B1,21B1の内径D6よりも十分に小さくすることにより、シリンダ用支持ピン39の抜き差しを容易に行えるように構成している。
次に、作業装置12を構成する下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とを上部旋回体3のブラケット8(左,右のブラケット9)から取外して分解ブーム載置台32に載置する方法(分解方法)と、分解ブーム載置台32に載置された下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とをブラケット8に取付ける方法(組立方法)とについて、それぞれ説明する。
まず、下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とをブラケット8から取外して分解ブーム載置台32に載置する方法(分解方法)は、次の通りである。
すなわち、まず保持工程について述べる。この保持工程では、例えば図5に示すように、ブームシリンダ20,21を最も縮めることにより下ブーム13を最も俯動させた状態にする。また、下ブーム13から継ぎブーム14を取外す。そして、この状態で、下ブーム13をクレーン40により吊ることにより、下ブーム13をその位置に保持する。
このとき、各連結ロープ31は弛んだ状態であるが、各ブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aの先端部はブラケット8に取付けられているので、下ブーム13に連結ロープ31より連結されたブームシリンダ20,21も、その位置に保持される。また、保持工程によって下ブーム13をクレーン40により吊るしたならば、左,右のブームシリンダ20,21から油圧ホースを取外す。
次に、取外し工程について述べる。この取外し工程では、保持工程によって下ブーム13とブームシリンダ20,21とをその位置に保持した状態で、ブラケット8(左,右のブラケット9)から下ブーム13のブームフート部13D,13Eとブームシリンダ20,21のロッド20A,21Bとを取外す。このとき、ブラケット8からは、例えばブーム用連結ピン10を先に取外す。そして、ブラケット8からブーム用連結ピン10を取外したならば、下ブーム13をクレーン40により少し吊り上げることにより連結ロープ31の弛みをなくし、該連結ロープ31の弛みがなくなった状態で、ブラケット8からシリンダ用連結ピン11を取外す。
次に、移動工程について述べると、取外し工程によってブラケット8(左,右のブラケット9)から下ブーム13とブームシリンダ20,21とを取外したならば、図6に示すように、これら下ブーム13とブームシリンダ20,21とをブラケット8から移動する。このとき、下ブーム13とブームシリンダ20,21とは連結ロープ31により連結されているため、これら下ブーム13とブームシリンダ20,21とを1台のクレーン40により一体的に移動させることができる。
さらに、載置工程について述べると、移動工程によってブラケット8から移動された下ブーム13とブームシリンダ20,21とを、図8および図9に示すように、分解ブーム載置台32に載置する。このとき、図8に示すように、分解ブーム設置台32には、ブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aを先に載置する。
すなわち、クレーン40により下ブーム13およびブームシリンダ20,21を下降させ、まず、ブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aの先端部をシリンダ支持部37のシリンダ用ガイド板37Cに載せる。この状態で、ロッド20A,21Aのシリンダ側ピン挿通孔20B,21Bの孔中心O4(図9参照)とシリンダ支持部37のピン挿通孔37Bの孔中心O4とが一致するから、これらシリンダ側ピン挿通孔20B,21Bとピン挿通孔37Bとにシリンダ用支持ピン39を挿通する。このとき、シリンダ用支持ピン39の外径D4は、ピン挿通孔37Bの内径D5およびシリンダ側ピン挿通孔20B,21B内に設けられたスリーブ20B1,21B1の内径D6よりも十分に小さいから、シリンダ用支持ピン39の挿通作業を円滑に行うことができる。
そして、シリンダ用支持ピン39を挿通することにより、シリンダ支持部37にロッド20A,21Aを支持したならば、クレーン40により下ブーム13を下降させ、ブームフート部13D,13Eをブーム支持部36のブーム用ガイド部材36Cの上面に載せる。この状態で、ブームフート部13D,13Eのブーム側ピン挿通孔13Gの孔中心O3(図9参照)とブーム支持部36のピン挿通孔36Bの孔中心O3とが一致するから、これらブーム側ピン挿通孔13Gとピン挿通孔36Bとにブーム用支持ピン38を挿通する。このとき、ブーム用支持ピン38の外径D1は、ピン挿通孔36Bの内径D2およびブーム側ピン挿通孔13G内に設けられたスリーブ13G1の内径D3よりも十分に小さいから、ブーム用支持ピン38の挿通作業を円滑に行うことができる。
そして、図9に示すように、ブームフート部13D,13Eおよびロッド20A,21Aが分解ブーム載置台32に載置された状態では、下ブーム13およびブームシリンダ20,21は地面34上に安定した姿勢で支持される。このため、分解ブーム載置台32により下ブーム13およびブームシリンダ20,21を安定して(安全に)保管することができる。また、この状態で、ブームシリンダ20,21は地面34から浮いた状態で支持されるため、ブームシリンダ20,21の油圧配管等の変形、損傷を防止することができる。
次に、下ブーム13およびブームシリンダ20,21を輸送する場合の輸送方法について述べる。この輸送方法では、図14に示すように、下ブーム13およびブームシリンダ20,21を分解ブーム載置台32に載置した状態のまま(ブームフート部13D,13Eおよびロッド20A,21Aを分解ブーム載置台32により支持した状態のまま)、下ブーム13をクレーン40により吊り上げて、下ブーム13、ブームシリンダ20,21、分解ブーム載置台32を一体に輸送車両35上に搭載する。そして、これら下ブーム13、ブームシリンダ20,21、分解ブーム載置台32が一体に搭載された状態で、輸送車両35により作業現場、保管場所等に輸送する。
このように輸送車両35上に搭載された状態でも、下ブーム13およびブームシリンダ20,21は、分解ブーム載置台32により輸送車両35上に安定した姿勢で支持されるから、これら下ブーム13およびブームシリンダ20,21を安定して(安全に)輸送することができる。
しかも、図9に示すように、各ブーム支持部36のピン挿通孔36Bの孔中心O3と各シリンダ支持部37のピン挿通孔37Bの孔中心O4との間の上,下方向の距離T1を小さくしているため、図14に示すように輸送高さH2を小さくすることができ、輸送コストを抑えることができる。
次に、分解ブーム載置台32に搭載された下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とを分解ブーム載置台32から取外してブラケット8に取付ける方法(組立方法)について述べる。
まず、例えば図9に示す状態、すなわち、下ブーム13と左,右のブームシリンダ20,21とが分解ブーム載置台32に搭載された状態で、下ブーム13をクレーン40により吊ることにより、下ブーム13をその位置に保持する。
そして、下ブーム13をその位置に保持した状態で、分解ブーム載置台32から下ブーム13のブームフート部13D,13Eとブームシリンダ20,21のロッド20A,21Bとを取外す。このとき、分解ブーム載置台32からは、例えばブーム用支持ピン38を先に取外す。そして、分解ブーム載置台32からブーム用支持ピン38を取外したならば、下ブーム13をクレーン40により少し吊り上げることにより連結ロープ31の弛みをなくし、該連結ロープ31の弛みがなくなった状態で、分解ブーム載置台32からシリンダ用支持ピン39を取外す。
そして、分解ブーム載置台32から下ブーム13とブームシリンダ20,21とを取外したならば、これら下ブーム13とブームシリンダ20,21とを分解ブーム載置台32から移動する。このとき、下ブーム13とブームシリンダ20,21とは連結ロープ31により連結されているため、図6に示すように、下ブーム13とブームシリンダ20,21とを1台のクレーン40により一体的に移動させることができる。
次いで、分解ブーム載置台32から移動された下ブーム13とブームシリンダ20,21とを、上部旋回体3のブラケット8(左,右のブラケット9)に取付ける。このとき、ブラケット8には、例えばブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aを先に取付ける。
すなわち、クレーン40により下ブーム13およびブームシリンダ20,21を下降させ、まず、ブームシリンダ20,21のシリンダ側ピン挿通孔20B,21Bの孔中心O2(例えば図4参照)をブラケット8のシリンダ用ピン挿通孔9Dの孔中心O2に合せる。そして、これらシリンダ側ピン挿通孔20B,21Bとシリンダ用ピン挿通孔9Dとの孔中心O2を合せた状態で、これらシリンダ側ピン挿通孔20B,21Bとシリンダ用ピン挿通孔9Dとにシリンダ用連結ピン11を挿通し、ブラケット8にブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aを取付ける。
そして、ブラケット8にブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aを取付けたならば、クレーン40により下ブーム13を下降させ、ブームフート部13D,13Eのブーム側ピン挿通孔13Gの孔中心O1(例えば図4参照)をブラケット8のブーム用ピン挿通孔9Bの孔中心O1に合せる。そして、これらブーム側ピン挿通孔13Gとブーム用ピン挿通孔9Bとの孔中心O1を合せた状態で、これらブーム側ピン挿通孔13Gとブーム用ピン挿通孔9Bとにブーム用連結ピン10を挿通し、ブラケット8にブームフート部13D,13Eを取付ける。
以上のように、本実施の形態によれば、下ブーム13とブームシリンダ20,21との間に連結ロープ31を設ける構成としているので、下ブーム13とブームシリンダ20,21とを連結ロープ31により連結した状態で、これら下ブーム13とブームシリンダ20,21とを一体的に上部旋回体3のブラケット8から取外したりブラケット8に取付けることができる。
このとき、ブームシリンダ20,21は連結ロープ31により下ブーム13に連結されているから、1台のクレーン40で下ブーム13とブームシリンダ20,21とを吊上げることができる(1台のクレーン40で下ブーム13を吊ることにより、下ブーム13と該下ブーム13に連結ロープ31により連結されたブームシリンダ20,21との両方を吊ることができる)。
このため、上部旋回体3のブラケット8に対する下ブーム13およびブームシリンダ20,21の取付け取外し作業を容易に行うことができ、取付け取り外しの作業時間の短縮を図ることができる。しかも、連結ロープ31は、下ブーム13を最も仰動させた状態から最も俯動させた状態までの俯仰動角範囲(俯仰動角α1から俯仰動角α2までの範囲)にわたって下ブーム13に対するブームシリンダ20,21の揺動を許容する構成としているので、油圧ショベル1の作業時に連結ロープ31が下ブーム13とブームシリンダ20,21との動きの妨げになることはなく、油圧ショベル1による作業を安定して行うことができる。
また、本実施の形態によれば、下ブーム13とブームシリンダ20,21とを、自由に変形可能で軽量の連結ロープ31により連結しているため、例えばアダプタを用いる従来技術に比べ、車体重量の増大を抑えることができ、接地圧の低減や走行性能の向上を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、下ブーム13とブームシリンダ20,21とを分解ブーム載置台32に載置したときに、ブームフート部13D,13Eがブーム支持部36にブーム用支持ピン38を用いて支持されると共にブームシリンダ20,21のロッド20A,21Aがシリンダ支持部37にシリンダ用支持ピン39を用いて支持される構成としているので、分解ブーム載置台32により下ブーム13とブームシリンダ20,21とを地面34や輸送車両35上に安定した状態(姿勢)で載置することができる。このため、分解ブーム載置台32を用いて下ブーム13とブームシリンダ20,21とを安定して(安全に)保管、輸送することができる。
また、分解ブーム載置台32は、下ブーム13およびブームシリンダ20,21の重量(自重の一部)を支持できるものであればよい(作業時に加わる荷重に耐えられるものにする必要がない)ため、例えばアダプタを用いる従来技術に比べ、軽量に構成できると共に寸法精度、加工精度を高くする必要がなく、製造コストを抑えることができる。また、軽量に構成できる面からは、輸送時の輸送重量を小さくすることができ、輸送コストも抑えることができる。
また、分解ブーム載置台32に下ブーム13およびブームシリンダ20,21を支持するためのブーム用支持ピン38およびシリンダ用支持ピン39も、作業時に加わる荷重に耐えられるものにする必要がないため、中空で軽量なものにすることができる。このため、ブーム用支持ピン38およびシリンダ用支持ピン39の持運び、取付け、取外し等を、例えば作業員は機械等を用いずに手により容易に行うことができる。
また、分解ブーム載置台32は、ブームシリンダ20,21をシリンダ支持部37により地面34または輸送車両35上から浮かせた状態で支持する構成としているので、ブームシリンダ20,21の油圧配管等の変形、損傷を防止することができ、ブームシリンダ20,21の信頼性を確保することができる。
また、本実施の形態によれば、図9に示すように、ブーム支持部36のピン挿通孔36Bの孔中心O3とシリンダ支持部37のピン挿通孔37Bの孔中心O4との間の距離T1を小さくする構成としているので、下ブーム13およびブームシリンダ20,21を分解ブーム載置台32に載置した状態で、これら下ブーム13とブームシリンダ20,21とのなす角度γ2を小さくすることができ(ブームシリンダ20,21を下ブーム13側に寄せることができ)、載置時における高さ寸法(最大高さ)H1、輸送時における高さ寸法(最大高さ)H2(図14参照)を小さくすることができる。このため、保管、輸送に要する費用の低減化を図れる。
さらに、本実施の形態によれば、ブラケット8から下ブーム13およびブームシリンダ20,21を取外して分解ブーム載置台32に載置するときに、1台のクレーン40により保持工程、取外し工程、移動工程、載置工程を行うことができ、油圧ショベル1を分解する作業の容易化、作用時間の短縮、作業工程の簡素化を図ることができる。そして、ブラケット8から取外された下ブーム13およびブームシリンダ20,21は、載置工程により分解ブーム載置台32に載置されるため、取外された下ブーム13およびブームシリンダ20,21を安定した状態(姿勢)で保管、輸送等をすることができる。
なお、上述した実施の形態では、連結具として例えば鋼線を撚り合わせてなるワイヤーロープ(鋼索)やケーブル等により構成される連結ロープ31を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、チェーンを弾性材製のチューブにより皮膜してなるものを用いてもよい。換言すれば、ブームとブームシリンダとの間で自由に変形可能な状態でブームとブームシリンダとを連結できるものであれば、各種素材のロープ、ワイヤ、ケーブル等、各種の連結具を用いることができる。
1 油圧ショベル(作業機)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
9A ブーム取付部
9B ブーム用ピン挿通孔(ピン挿通孔)
9C シリンダ取付部
9D シリンダ用ピン挿通孔(ピン挿通孔)
13 下ブーム(ブーム)
13D 左ブームフート部(フート部)
13E 右ブームフート部(フート部)
20 左ブームシリンダ(ブームシリンダ)
21 右ブームシリンダ(ブームシリンダ)
31 連結ロープ(連結具)
32 分解ブーム載置台
33 基台部
36 ブーム支持部
36B ピン挿通孔
37 シリンダ支持部
37B ピン挿通孔

Claims (2)

  1. 自走可能な車体と、フート部が該車体に俯仰動可能に取付けられたブームと、一端部が前記車体に取付けられると共に他端部が前記ブームに取付けられ該ブームを俯仰動させるブームシリンダとを有する作業機において、
    前記ブームと前記ブームシリンダとの間には、前記ブームを最も仰動させた状態から最も俯動させた状態までの俯仰動角範囲にわたって前記ブームに対する前記ブームシリンダの揺動を許容しつつこれらブームとブームシリンダとを連結する連結具を設ける構成としたことを特徴とする作業機。
  2. 前記連結具は、前記ブームの俯仰動角の範囲で自由に変形可能な部材により構成してなる請求項1に記載の作業機
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