JP5367312B2 - 高セルロース系被覆アーク溶接棒 - Google Patents

高セルロース系被覆アーク溶接棒 Download PDF

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Description

本発明は天然ガス及び石油の輸送用パイプラインの固定管等の突き合わせ円周溶接に使用される高セルロース系被覆アーク溶接棒に関する。
天然ガス及び石油の輸送用パイプラインの固定管等の突き合せ溶接には、ルートパス溶接時に溶接作業者が意図しない位置で溶接棒の心線と母材が短絡し、溶接が中断されてしまうショートが発生することがある。このショート発生部位には溶融金属の溶け込み不足が発生していることが多いため、ショート発生部位をグラインダーによって削った後で溶接を再開する必要があり、溶接作業効率を低下させる原因となる。また、溶接の再開部位においては溶接金属にブローホール及びスラグ巻き込み等の溶接欠陥が生じやすいため、耐ショート性を向上させることは溶接外作業時間の短縮及び溶接欠陥発生頻度の低減につながり、溶接作業者の精神的負担を低減させる効果も期待することができる。更に、ショート発生による溶接棒の心線と母材との短絡頻度を低減させることによって、溶接棒を最後まで使用することが可能となるため、省資源化にも寄与することに繋がる。
高セルロース系被覆アーク溶接棒はアーク力が強く、スラグの生成量が少ないことから下進溶接に適している。また、アーク特性から裏波溶接も容易である。しかも固定管の下進溶接における初層溶接の段階では極めて高い溶接速度が得られることから、欧米ではパイプラインの溶接現場等において古くから採用されている。例えば、特許文献1にはNaCO及びMnCOを被覆剤に添加することで、溶接棒の十分なアーク強さ、溶け込み、クレータの拡がり及びスラグの剥離性が得られ、且つ溶接継手部の性能を向上させた高セルロース系被覆アーク溶接棒が開示されている。
また、特許文献2にはMgOを被覆剤中に必須成分として含有させ、溶接作業能率を高める運棒操作時に溶接金属の垂れが発生しにくく、更に、過多のスラグ発生による作業性低下を防ぎ、且つ溶接継手部の性能を向上させた高セルロース系被覆アーク溶接棒が開示されている。更に、特許文献3には被覆剤にBを添加することによって優れた靱性を有する溶接金属が得られる高セルロース系被覆アーク溶接棒が開示されている。
特開昭60−162592号公報 特開昭63−220994号公報 特開平4−138895号公報
しかしながら、前述の従来技術には以下のような問題点がある。
初層ルートパス溶接における耐ショート性を向上させることはビード継ぎ回数の減少につながり、溶接部に生じる欠陥の発生が抑制されるため、溶接継手部の性能を向上させることができる。上述の特許文献1乃至3に記載された高セルロース系被覆アーク溶接棒を用いた溶接の対象となるのは、2層目以降のホット、フィラー及びカバーのパスが主であり、固定管の下進溶接における初層ルートパスの溶接作業性、特に溶融金属の十分な溶け込みの確保及び安定した裏波形成に不可欠である耐ショート性を向上させる手段はこれまで提案されていない。耐ショート性を向上させることは初層ルートパスのみならず、全パスにおける溶接作業性の向上及び溶接金属の品質向上に効果がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、初層ルートパス溶接においてもショートが発生しにくく、下進溶接における溶接作業性に優れ、更に、溶接部に欠陥が生じにくいため、優れた機械的性能を有する溶接金属を得ることができる高セルロース系被覆アーク溶接棒を提供することを目的とする。
本発明に係る高セルロース系被覆アーク溶接棒は、
セルロースを含む被覆剤原料を粘結剤と共に混練した被覆剤を軟鋼心線外周に被覆してなる高セルロース系被覆アーク溶接棒において、前記被覆剤は被覆剤全質量あたり
MgO:0.1乃至10質量%、
酸化鉄(FeO換算値):5乃至20質量%、
TiO:5乃至15質量%、
金属又は合金としてのFe(合金の場合はFe換算値):5乃至15質量%、
炭酸塩化合物(CO換算値):0.5乃至5.0質量%、
Al:0.3乃至5.0質量%、
ZrO:0.3乃至5.0質量%、
セルロース:20乃至40質量%を含有し、
更に、水ガラス及び硅酸鉱物を含群をSiO換算値で10乃至30質量%含有し、
更に、金属又は金としてのMnを2乃至10質量%(合金の場合はMn換算値)、
アルカリ金属化合物を0.5乃至5.0質量%含有し、
前記被覆剤の前記心線に対する被覆率が溶接棒全質量あたり12乃至21%であることを特徴とする。
更に、前述の高セルロース系被覆アーク溶接棒は、前記粘結剤として水ガラスを前記被覆剤に対するモル比で2.7乃至4.0含有することが好ましい。
本発明によれば、セルロースの添加による高い溶融速度を維持しつつ、十分な強さの発生アークが安定して得られるため、初層ルートパスの下進溶接においても優れた耐ショート性及び溶接作業性が得られ、更に、被覆剤中に添加される組成を特定することによって溶接部に欠陥が生じにくく、優れた機械的性能を有する溶接金属を得ることができる高セルロース系被覆アーク溶接棒を得ることができる。
本願発明者等は、耐ショート性の向上を目的として被覆剤中のFe、セルロース及びAlの添加量、並びに被覆剤の被覆率に着目した。上述の特許文献1乃至3においては、溶接作業性の改善、並びに能率性及び溶接作業性の両立を目的として、被覆剤中のFe添加量を検討することは行われていない。本願発明者等は、被覆剤中にFeを過剰に添加することが発生アークを弱め、安定性を劣化させて溶接部にショートが発生しやすくなり、被覆剤中のFe添加量を減らすことが溶融部におけるクレータの拡がり及び溶融金属のなじみ性といった溶接作業能率を低下させることに着目し、最適なFe添加量を種々検討した。しかし、良好な溶接作業能率が得られるまで鉄粉を添加すると、耐ショート性が低下してしまうという問題がある。
そこで、発生アークの安定性に寄与するセルロースに着目し、その添加量を種々検討した。被覆剤の主要成分であるセルロースは被覆剤中の含有量が少ないと発生アークが弱まり、耐ショート性が低下するだけでなく、高セルロース系被覆アーク溶接棒の特長である高い溶融速度が得られなくなる。一方、被覆剤中のセルロース含有量が多いと、発生アークが強くなりすぎるため、裏波ビードが形成されないばかりか、2層目以降のホット、フィラー、及びカバーのパスにおいて目的とする溶接金属性能を得にくくなる。しかしながら、セルロースの添加量を増やして発生アーク強さを強めたが、耐ショート性の十分な向上にはつながらなかった。
そこで、被覆剤の被覆率を種々検討することによって、目的とする溶接金属を得るために被覆剤中に添加される合金成分の添加量と被覆率とのバランスを図り、更に、上述のFe及びセルロースの添加量を調整した結果、高い溶融速度を維持しつつ、十分な強さの発生アークを安定して得られ、更に、初層ルートパスの下進溶接においても優れた耐ショート性が得られることを見出した。更に、スラグ形成剤であるAlの添加量を調整しながら添加することが、セルロースの添加量を増やすことにより低下したスラグの粘性を上昇させ、溶接部における良好なクレータの拡がり性が得られることを見出した。
以下、本発明の数値限定の理由について説明する。
「MgO含有量:0.1乃至10質量%」
MgOはスラグの粘性及び流動性に寄与する。MgOの含有量が0.1質量%未満であると、溶接作業能率を向上させる目的で行う運棒操作において、溶融金属の粘性不足によって溶融金属及びスラグの垂れの発生、耐ピット性の低下、及び溶接継手部性能の低下が発生しやすくなる。一方、MgOの含有量が10質量%を超えるとスラグの流動性が過大となり、下進溶接作業性が低下する。従って、MgOの含有量は0.1乃至10質量%である。
「酸化鉄含有量(FeO換算値):5乃至20質量%」
酸化鉄にはスラグを多孔質にしてスラグの剥離性を向上させると共に、脱酸過剰によるピットの発生を防止する効果がある。酸化鉄の含有量がFeO換算で5質量%未満であると、スラグ剥離性の向上及びピット発生抑制効果が十分に得られず、20質量%を超えるとスラグの流動性が過大となり、下進溶接作業性が低下する。従って、酸化鉄(FeO換算値)の含有量は5乃至20質量%である。
「TiO含有量:5乃至15質量%」
TiOはアークの安定性及び強度に寄与する。TiOの含有量が5質量%未満であるとアークの発生が不安定となって溶接部に融合不良等の欠陥が生じやすくなり、15質量%を超えるとアーク強度が弱くなり、溶接作業効率が低下して下進溶接作業が困難となる。従って、TiOの含有量は5乃至15質量%である。
「Fe含有量:5乃至15質量%」
Feは鉄粉及び/又はFe−Mn若しくはFe−Si等の合金によって添加される。Feは溶接作業性、溶接部におけるクレータの拡がり性、及び溶接金属の母材へのなじみ性を向上させる作用があるが、被覆材中のFe含有量が5.0質量%未満であるとこれらの作用は十分に得られない。一方、被覆材中のFe含有量が15質量%を超えるとアークの強度及び安定性が低下するため、アークの持続性が低下して耐ショート性が低下する。従って、Fe含有量は5乃至15質量%である。
「炭酸塩化合物(CO換算値):0.5乃至5.0質量%」
COは主として石灰によって添加され、シールドガス発生剤及びスラグ形成剤として作用する。換算値としてのCOの含有量が0.5質量%未満であるとアーク部における大気シールド性が低下して合金元素が適正に溶融部に供給されず、継手部性能が低下する。また、溶接金属内の酸素量が多くなって溶接金属の靱性が低下する。一方、COの含有量が5.0質量%を超えるとスラグの生成量が多くなって下進溶接の作業性が低下する。従って、COの含有量は0.5乃至5.0質量%である。なお、炭酸塩化合物としては、CaCO、MgCO、BaCO等が使用される。
「Al含有量:0.3乃至5.0質量%」
Alはアークの安定性及びスラグの粘性を上昇させ、スラグ形成剤として作用する。また、Alは溶融部におけるクレータの拡がり性を上昇させる。Alの含有量が0.3質量%未満であるとアークの安定性、スラグの粘性、及びクレータの拡がり性上昇が十分に得られず、5.0質量%を超えるとスラグの生成量が増加し、スラグ剥離性も低下するため溶接作業性が低下する。従って、Alの含有量は0.3乃至5.0質量%である。
「ZrO含有量:0.3乃至5.0質量%」
ZrOは発生アークの集中性及びビード表面の光沢を上昇させる作用がある。また、ZrOは溶接金属の母材へのなじみ性を向上させる。ZrOの含有量が0.3質量%未満であると、アーク集中性、ビード表面の光沢、及び溶接金属の母材へのなじみ性の向上が十分得られず、5.0質量%を超えると発生スラグが緻密になって剥離性が低下する。従って、ZrOの含有量は0.3乃至5.0質量%である。
「セルロース含有量:20乃至40質量%」
セルロースは発生アークの安定性に寄与し、十分な強度の発生アークを安定して得られることによって耐ショート性を向上させる作用を有する。セルロースの含有量が20質量%未満であるとアークが弱く、不安定になり、耐ショート性も低下する。セルロースの含有量が40質量%を超えると発生アーク強度が強くなり、裏波ビードが形成されにくくなる。従って、セルロースの含有量は20乃至40質量%である。
「水ガラス、硅酸鉱物、金属Si、及びSi合金からなる群から少なくとも1種以上(SiO換算値)の含有量:10乃至30質量%」
SiOはアーク強度を上昇させ、クレータの拡がり性、及び溶接金属の母材へのなじみ性を向上させる。水ガラス、硅酸鉱物、金属Si、及びSi合金のSiO換算含有量が10質量%未満であるとアーク強度の上昇、クレータの拡がり性、及び溶接金属の母材へのなじみ性向上が十分得られず、30質量%を超えるとスラグ発生量が過剰になると共に、スラグの流動性が過大となるため、下進溶接の作業性が低下する。従って、水ガラス、硅酸鉱物、金属Si、及びSi合金からなる群から少なくとも1種以上(SiO換算値)の含有量は10乃至30質量%である。
「金属、合金又は酸化物としてのMn(合金又は酸化物の場合はMn換算値):2乃至10質量%」
Mnは脱酸剤として不可欠な成分であり、更に、溶接金属の強度上昇に寄与する。Mn酸化物、金属Mn、及びMn合金のMn換算含有量が2質量%未満であると脱酸不足によって健全な溶接金属が得られなくなり、10質量%を超えると脱酸過剰となってビード表面にピットが発生しやすくなる。従って、金属、合金又は酸化物としてのMn(合金又は酸化物の場合はMn換算値)の含有量は2乃至10質量%である。
「アルカリ金属化合物:0.5乃至5.0質量%」
アルカリ金属化合物は、アーク安定性及び耐ブローホール性を改善するため、必要に応じて添加される。このアルカリ金属化合物は、水ガラスの1種の成分である。アルカリ金属化合物が0.5質量%未満であると、アーク安定性及び耐ブローホール性改善の効果が十分に得られず、5.0質量%を超えると、アークの拡がり性が低下してビード幅が狭くなり、ビードが過剰に盛り上がる。また、耐吸湿性が劣化しやすくなる。従って、アルカリ金属化合物は、添加する場合は、0.5乃至5.0質量%とする。
「被覆剤の心線に対する被覆率:溶接棒全質量あたり12乃至21%」
被覆率を増加することは合金成分の添加比率の調整範囲を広げることになり、被覆剤へのセルロース添加範囲が拡大する。被覆率が12%未満であると保護筒としての被覆の機能が不十分になると共に、溶接棒の電極によるつかみ付近の被覆が焼け落ちて溶接棒が使用できなくなる棒焼けが発生しやすくなる。一方、被覆率が21%を超えるとアークの集中性が低下して裏波ビードが形成されにくくなり、更に、2層目以降の溶接において発生アークが弱くなり、スラグ発生量も増えるため下進溶接作業性が低下する。従って、被覆剤の溶接棒に対する被覆率は12乃至21%である。
「水ガラスの被覆剤に対するモル比:2.7乃至4.0」
粘結剤として添加される水ガラスの被覆剤に対するモル比が2.7未満であると、被覆剤の耐吸湿性が低下するため、発生アークの強度及び安定性が低下して溶接作業性が低下する。一方、水ガラスの被覆剤に対するモル比が4.0を超えると粘度が高くなるため、溶接棒の乾燥工程において被覆剤が表面に割れを生じやすくなり、溶接棒の生産性が低下する。従って、水ガラスの被覆剤に対するモル比は2.7乃至4.0である。
以下、本実施形態の高セルロース系被覆アーク溶接棒の効果を示す実施例を比較例とともに示す。
表1に示す組成及び寸法を有する鋼心線の外周に被覆剤を塗布して被覆アーク溶接棒を製造し、この溶接棒を用いて溶接を行った。
母材は表2に示す組成を有する外径1240mm、肉厚16.6mmの管を図2に示すように開先のルートギャップ1.6mmで向かい合わせて配置し、この開先に対してアーク溶接を行った。なお、開先のルート部における肉厚は1.5乃至2.0mmとし、開先角度を60°とした。
Figure 0005367312
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表1に示す組成を有する鋼心線に種々の組成を有する被覆剤を被覆して実施例及び比較例の被覆アーク溶接棒の供試材とした。なお、被覆材の鋼心線への塗布に用いる粘結剤として水ガラスを使用し、この水ガラスの被覆材に対するモル比を種々変化させた。各実施例及び比較例における被覆アーク溶接棒の被覆材の組成を表3−1乃至表3−2に示す。
Figure 0005367312
Figure 0005367312
表3−1乃至表3−2に示す組成を有する被覆材を塗布した実施例及び比較例の被覆アーク溶接棒を用い、表1及び図2に示す母材管に対してアーク溶接を行い、溶接作業時のアーク強さ、アーク安定性、耐スラグ垂れ性、及び耐ショート性について評価した。また、溶接後のスラグ剥離性及び裏波ビードの安定性を、目視によって評価した。なお、耐ショート性については、管の鉛直上方から時計回りに90度の位置より鉛直下方までの溶接位置において、溶接作業性の差が顕著に表れるため、この溶接位置による作業性を重点的に評価した。そして、各項目について従来に比して特に優れているものを◎、優れているものを○、従来と同等である又は若干劣るものを△、特に劣るものを×として表3に示す。
次に、各実施例及び比較例の被覆アーク溶接棒を用いて溶接した溶接部について、JIS Z3104に規定される放射線透過試験による溶接部等級評価、及びJIS Z3128に規定されるシャルピ衝撃試験による吸収エネルギ測定を行った。そして、放射線透過試験による溶接部等級判定を表3に示す。また、シャルピ衝撃試験による溶接部の吸収エネルギについては、vE−29℃が40J以上であるものを良好と判定し、良好であるものは○、良好でないものを×として表4に示す。
Figure 0005367312
No.1乃至12は、本発明の請求項1を満足する実施例である。No.1乃至12はいずれも優れた溶接作業性、被覆剤特性、並びに溶接部の耐欠陥性及び衝撃性能が得られた。
比較例No.13はフラックス中のMgOの含有量が本発明の範囲を下回り、溶接金属の垂れが発生し、溶接部の耐欠陥性が低下した。比較例No.14はMgOの含有量が本発明の範囲を超え、スラグの流動性が過大となり、溶融プールが形成されにくかった。比較例No.15はフラックス中のSiOの含有量が本発明の範囲を下回り、アーク強度が小さく、耐ショート性及び裏波ビードの安定性が低下した。比較例No.16はSiOの含有量が本発明の範囲を超え、アーク強度が過大となってスラグの垂れが発生し、裏波ビードの安定性が低下した。
比較例No.17はフラックス中のTiOの含有量が本発明の範囲を下回り、アークの発生が不安定となって耐ショート性が低下した。比較例No.18はTiOの含有量が本発明の範囲を超え、アーク強度が低下し、耐ショート性が低下した。比較例No.19は、フラックス中のFe含有量が本発明の範囲を下回り、溶接部におけるクレータの拡がり性、及び溶接金属の母材へのなじみ性が低下した。比較例No.20は、Fe含有量が本発明の範囲を超え、アーク強度が弱く耐ショート性が低下した。
比較例No.21はフラックス中のFeOの含有量が本発明の範囲を下回り、スラグ剥離性が低下してスラグの焼き付きが発生した。比較例No.22はFeOの含有量が本発明の範囲を超え、スラグの流動性が過大となってスラグの垂れが発生し、下進溶接作業性が低下した。比較例No.23はフラックス中のMnの含有量が本発明の範囲を下回り、脱酸不足となって溶接部にピットが発生した。比較例No.24はMnの含有量が本発明の範囲を超え、脱酸過剰となって衝撃性能が低下した。
比較例No.25はフラックス中のセルロースの含有量が本発明の範囲を下回り、アーク強度が弱く、アークが不安定となって耐ショート性が低下した。比較例No.26はセルロースの含有量が本発明の範囲を超え、発生アーク強度が強くなり、裏波ビードの安定性が低下した。比較例No.27はフラックス中のAlの含有量が本発明の範囲を下回り、アークの安定性が低下しスラグの生成量が不足して、裏波ビードの安定性が低下した。比較例No.28はAlの含有量が本発明の範囲を超え、スラグの生成量が増加し、更に、スラグ剥離性が低下してスラグ焼き付きが発生した。
比較例No.29はフラックス中のZrOの含有量が本発明の範囲を下回り、アークの集中性が低下して耐ショート性が低下した。比較例No.30はZrOの含有量が本発明の範囲を超え、発生スラグが緻密になって剥離性が低下した。比較例No.31はフラックス中のCOの含有量が本発明の範囲を下回り、溶接部の大気からのシールド性が低下して、溶接継手部性能及び衝撃性能が低下した。比較例No.32はCOの含有量が本発明の範囲を超え、スラグ生成量が多くなってスラグの垂れが発生し、耐ショート性も低下した。
比較例No.33は被覆剤の被覆率が本発明の範囲を下回り、アークの安定性及び耐ショート性が低下した。比較例No.34は被覆率が本発明の範囲を超え、スラグ生成量の増加によってスラグの垂れが発生し、下進溶接が困難となった。
本発明の範囲を満足する実施例1乃至12の中でも、実施例1乃至10は請求項2の範囲を満足する実施例である。実施例11は水ガラスのモル比が本発明の請求項2の範囲を下回り、請求項2を満たす実施例1乃至10に比して被覆剤の耐吸湿性が低下し、発生アークの強度及び安定性が低下した。実施例12は水ガラスのモル比が本発明の請求項2の範囲を超え、被覆剤が表面に割れを生じた。
被覆アーク溶接棒による溶接部を示す図である。 突き合わせ円周溶接における母材管を示す図である。
符号の説明
1:被覆アーク溶接棒、11:心線、12:被覆剤、2:母材、3:溶接機、4:開先、g:開先ギャップ

Claims (2)

  1. セルロースを含む被覆剤原料を粘結剤と共に混練した被覆剤を軟鋼心線外周に被覆してなる高セルロース系被覆アーク溶接棒において、前記被覆剤は被覆剤全質量あたり
    MgO:0.1乃至10質量%、
    酸化鉄(FeO換算値):5乃至20質量%、
    TiO:5乃至15質量%、
    金属又は合金としてのFe(合金の場合はFe換算値):5乃至15質量%、
    炭酸塩化合物(CO換算値):0.5乃至5.0質量%、
    Al:0.3乃至5.0質量%、
    ZrO:0.3乃至5.0質量%、
    セルロース:20乃至40質量%を含有し、
    更に、水ガラス及び硅酸鉱物を含群をSiO換算値で10乃至30質量%含有し、
    更に、金属又は金としてのMnを2乃至10質量%(合金の場合はMn換算値)、
    アルカリ金属化合物を0.5乃至5.0質量%含有し、
    前記被覆剤の前記心線に対する被覆率が溶接棒全質量あたり12乃至21%であることを特徴とする高セルロース系被覆アーク溶接棒。
  2. 前記粘結剤として水ガラスを前記被覆剤に対するモル比で2.7乃至4.0含有することを特徴とする請求項1に記載の高セルロース系被覆アーク溶接棒。
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