JP5366589B2 - 試料容器及びグロー放電分析装置 - Google Patents
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Description
支持ブロックは、該支持ブロックに押圧された試料によって封止される。そして、該陽極と、試料との間にはアルゴン等の不活性ガスが供給され、高周波電圧が印加される。高周波電圧が印加された陽極と、試料との間には、グロー放電が発生する。グロー放電によって発生したイオンは試料表面に衝突し、試料表面の原子がたたき出される。該原子は、プラズマ中で励起し、基底状態に戻る際、元素固有の波長を有する光(以下、グロー放電発光という)を放射する。グロー放電分光分析装置は、グロー放電発光を分光器にて分光分析し、試料表面の元素を同定する。
また、特許文献1、2と同様の構成によって、小さな外形サイズの試料又は分析面を含む表面全体が細かい凹凸面又は多孔質の面になった試料であっても、試料及び陽極間への大気の侵入を確実に防止し、分光分析を正確に行うことができるグロー放電分光分析装置が開示されている(例えば、特許文献3)。
なお、原理的には、パージガス置換型のグローブボックス中にグロー放電分光分析装置を設置し、不活性ガス雰囲気中で試料の分光分析を行うことも考えられる。しかし、グロー放電分光分析装置を収容できるような専用の大型グローブボックスを用意することは困難であり、非現実的である。
また、試料容器は、試料を出し入れするための開口部と、開口部を開閉するシャッタ部材とを備えているため、グロー放電分析装置本体から取り外した試料容器の開口部を開き、試料を収容し、該開口部を閉じることができる。従って、グローブボックスの不活性ガス雰囲気中で、試料容器に試料を収容することが可能になる。また、試料容器の開口部を閉じることによって、空気に晒すことなく、試料をグローブボックスから搬出することが可能になる。
更に、試料容器は取付部を備えているため、グロー放電分析装置本体の電極及び試料が密封されるように、試料容器をグロー放電分析装置本体に取り付けることができる。従って、グロー放電分析装置本体に試料容器を取り付け、開口部を開くことによって、試料を空気に晒すことなく、試料及び電極を対向配置することができ、該試料の分析が可能になる。
よって、不活性ガス雰囲気中での取り扱いを要する試料のグロー放電分析が可能になる。
従って、不活性ガス供給口及び不活性ガス排気口をシャッタ部材よりも開口部側に設ける場合に比べ、密閉可能な試料収容空間の容積をより大きくすることが可能になる。言い換えると、所用の試料収容空間を確保し、試料容器を小型化することが可能になる。
また、試料容器をグロー放電分析装置本体に取り付けた状態における、シャッタ部材と、グロー放電分析装置間本体との距離を短くすることができるため、試料容器取付時の密閉空間に残留する空気の量を最小限にすることが可能になる。なお、僅かに残留した空気は、グロー放電分析装置本体によって排気される。
また、第1乃至第3シール部材によって、試料収容体と、試料押圧部材、シャッタ部材及びグロー放電分析装置本体との間をシールする。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る試料容器1の構成を模式的に示す斜視図、図2は、試料容器1の構成を模式的に示す側断面図、図3は、図2のIII−III線断面図、図4は、試料容器1を備えたグロー放電分光分析装置の構成を模式的に示す側断面図である。本実施の形態1に係るグロー放電分光分析装置は、図4に示すように、陽極33(電極)を有するマーカス型のグロー放電管3及び分光器4が設けられたグロー放電分光分析装置本体2と、試料Sを収容し、該試料Sが陽極33に対向するように保持する試料容器1とを備える。
対向した陽極33と、試料Sとの間には、不活性ガスが供給され、高周波電圧が印加される。高周波電圧の印加によって、陽極33と、試料Sとの間にはグロー放電が発生する。グロー放電によって発生したイオンは試料S表面に衝突し、試料Sの原子がたたき出される。該原子は、プラズマ中で励起し、基底状態に戻る際、元素固有の波長を有するグロー放電発光Lを放射する。グロー放電発光Lは、分光器4に入射し、演算部61によって分光分析されるように構成されている。
本実施の形態1に係る試料容器1は、開口部11cを有し、試料Sを収容する試料収容体11と、試料収容体11の開口部11cを開閉させるスライド式のシャッタ部材12とを備える。
また、試料押圧部材13は、電圧印加電極を兼ねている。分光分析の際、試料押圧部材13には、図示しない高周波電源が接続され、高周波電圧が印加される。孔部11dの内周面には、試料収容体11と、試料押圧部材13の円柱部分13aとの間をシールするシール部材(第1のシール部材)16aが設けられている。シール部材16aは、例えばOリングである。
また、試料収容体11の円筒部11bには、試料収容体11に不活性ガスを供給する不活性ガス供給口14と、試料収容体11から不活性ガスを排気する不活性ガス排気口15とが設けられている。不活性ガス供給口14には、逆止弁14aが設けられ、不活性ガス排出口には、試料収容体11内の圧力が所定圧力以上になった場合に開状態になる安全弁15aが設けられている。
また、シャッタ保持環11fの円筒部11b側環状面には、シャッタ部材12と、シャッタ保持環11fとの間をシールするシール部材(第2のシール部材)16cが設けられている。
更に、シャッタ保持環11fのグロー放電分光分析装置本体2側環状面には、試料収容体11と、グロー放電分光分析装置本体2との間をシールするシール部材(第3のシール部材)16dが、設けられている。
更にまた、シャッタ保持環11fのグロー放電分光分析装置本体2側には、陽極33及び試料Sが密封されるように、試料収容体11をグロー放電分光分析装置本体2に着脱可能に取り付けるための取付部11hが形成されている。取付部11hは、シャッタ保持環11fのグロー放電分光分析装置本体2側へ突出した環状部と、図1に示すように、環状部の周方向に沿った適宜箇所に複数形成されたL字状溝部とで構成されている。
グロー放電分光分析装置本体2は、グロー放電管3、分光器4、試料Sをグロー放電管3へ押圧するための押圧ピストン5、演算部61、表示部62及びプリンタ部63を備える。
陽極33は、前記凹部に嵌合する円板状の陽極基部33aを有する。陽極基部33aの略中央には、中心線方向に貫通した陽極光路孔33bと、外側へ臨むように突出した陽極円筒部33cとが形成されている。
また、陽極支持ブロック31は、中心線方向に貫通した光路孔31cを略中央部に有する。光路孔31cの分光器4側端部には、グロー放電発光Lを分光器4へ導くレンズ36が配されている。陽極円筒部33c及び試料S間で発生したグロー放電発光Lは、陽極円筒部33c、陽極光路孔33b、光路孔31c及びレンズ36を通じて、分光器4へ導かれる。
更に、陽極支持ブロック31は、光路孔31c、陽極光路孔33b、陽極円筒部33cへ不活性ガスを供給する不活性ガス導入路31aと、光路孔31c等を通流した不活性ガスを排気する不活性ガス排気路31bを有する。
図5は、開状態にある試料容器1の構成を模式的に示す斜視図、図6は、開状態にある試料容器1の構成を模式的に示す側断面図である。本実施の形態1に係る試料容器1は、図1,2,5,6に示すように、シャッタ部材12を長手方向へ移動させることによって、試料収容体11の開口部11cを開閉させることができる。
図8は、試料容器1の使用手順を示す流れ図である。
まず、試料容器1及び試料Sをパージガス置換型のグローブボックスに搬入する(ステップS1)。試料容器1がグロー放電分光分析装置本体2に取り付けられている場合、グロー放電分光分析装置本体2から試料容器1を取り外して、グローブボックスに搬入する。
従って、所用の試料S収容空間を確保し、かつ試料容器1を小型化することが可能になる。
また、試料容器1をグロー放電分光分析装置本体2に取り付けた状態における、シャッタ部材12と、グロー放電分光分析装置間本体との距離を短くすることができるため、試料容器1取付時の密閉空間に残留する空気の量を最小限にすることができ、試料Sが空気に晒されることをより確実に防止することができる。
変形例に係るグロー放電分光分析装置は、グロー放電分光分析装置本体2に対する試料容器1の取り付けを一度行うだけで、複数の試料S1,S2,S3,S4の分光分析を可能にするものである。変形例に係る試料容器1は、試料容器1をグロー放電分光分析装置本体2に取り付けた場合に、試料押圧部材13の円柱部分13aの中心線A1と、陽極円筒部33cの中心線A2とが芯ずれするように構成されている(図9参照)。より具体的には、グロー放電分光分析装置本体2に取り付けられた試料容器1の円板部11aの中心線と、陽極円筒部33cの中心線とが略一致するように陽極33を設け、かつ試料容器1を構成する円板部11aの中心から所定距離離隔した部位に孔部11dを形成し、該孔部11dに試料押圧部材13を進退可能に貫装すれば良い。逆に、グロー放電分光分析装置本体2に取り付けられた試料容器1の円板部11aの中心線と、陽極円筒部33cの中心線とが芯ずれするように陽極33を設け、かつ試料容器1を構成する円板部11aの中心に孔部11dを形成し、該孔部11dに試料押圧部材13を進退可能に貫装すれば良い。また、試料押圧部材13は、試料容器1の円板部11aに対して回動可能に貫装している。
なお、言うまでもなく、金属プレートMに貼着する試料の数は4つに限定されない。
以下では、本発明の課題を解決することができるグロー放電分光分析装置の他の実施形態を説明する。
図10は、実施の形態2に係るグロー放電分光分析装置の構成を模式的に示す斜視図、図11は、グロー放電分光分析装置の要部を模式的に示す横断面図である。グロー放電分光分析装置は、実施の形態1と同様のグロー放電分光分析装置本体2を備える。実施の形態2に係るグロー放電分光装置は、陽極33を覆うように形成されたグローブボックス装置7を備える。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 グロー放電分光分析装置本体
3 グロー放電管
11 試料収容体
11a 円板部
11b 円筒部
11c 開口部
11d 孔部
11h 取付部
12 シャッタ部材
13 試料押圧部材
14 不活性ガス供給口
14a 逆止弁
15 不活性ガス排気口
15a 安全弁
16a、16b、16c、16d シール部材
33 陽極
S 試料
Claims (5)
- 試料を収容し、グロー放電分析装置本体の電極に該試料が対向するように保持する試料容器であって、
開口部を有し、試料を収容する試料収容体と、
前記電極及び試料が密封されるように、前記試料収容体をグロー放電分析装置本体に着脱可能に取り付けるための取付部と、
前記グロー放電分析装置本体から離脱した前記試料収容体の開口部を開閉させるシャッタ部材と、
前記試料収容体の開口部と異なる側面に設けられた孔部及び前記シャッタ部材の窓部とを進退可能であり、試料をグロー放電分析装置本体の試料保持体へ押圧するための電圧印加電極である試料押圧部材と
を備えることを特徴とする試料容器。 - 前記試料収容体は、
前記試料収容体に不活性ガスを供給する不活性ガス供給口と、
前記試料収容体から不活性ガスを排気する不活性ガス排気口と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の試料容器。 - 前記不活性ガス供給口は逆止弁を備え、
前記不活性ガス排気口は、前記試料収容体内の圧力が所定圧力以上になった場合に開状態になる安全弁を備え、
前記シャッタ部材は、
前記不活性ガス供給口及び不活性ガス排気口よりも前記開口部側に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の試料容器。 - 前記孔部及び前記試料押圧部材間をシールする第1のシール部材と、
前記試料収容体及び前記シャッタ部材間をシールする第2のシール部材と、
前記試料収容体及び前記グロー放電分析装置本体間をシールする第3のシール部材と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の試料容器。 - 電極を有するグロー放電分析装置本体と、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の試料容器と
を備えることを特徴とするグロー放電分析装置。
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