JP2004151042A - グロー放電発光分光分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置や試料の大型化を伴わず、迅速かつ確実に大気の侵入を防止することができる高精度のグロー放電分光分析方法及び装置を提供する。
【解決手段】陽極管と、該陽極管と陰極の間に介在して試料を当接・支持する支持ブロックを有し、該陽極管と陰極の間に直流電圧又は高周波電圧を印加して試料をスパッタリングする給電手段を備えるグロー放電発光分光分析装置において、前記試料と支持ブロックの当接部に不活性ガス充満部を設けてなり、不活性ガス充満部は、試料押さえに嵌挿されその先端が支持ブロックに当接するリング状部材と、該リング状部材に取り付けられ、前記リング状部材を貫通して設けられたガス通路を通して不活性ガス充満室内を排気し又は不活性ガスを充満する不活性ガス供給管及び排気管によって構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】陽極管と、該陽極管と陰極の間に介在して試料を当接・支持する支持ブロックを有し、該陽極管と陰極の間に直流電圧又は高周波電圧を印加して試料をスパッタリングする給電手段を備えるグロー放電発光分光分析装置において、前記試料と支持ブロックの当接部に不活性ガス充満部を設けてなり、不活性ガス充満部は、試料押さえに嵌挿されその先端が支持ブロックに当接するリング状部材と、該リング状部材に取り付けられ、前記リング状部材を貫通して設けられたガス通路を通して不活性ガス充満室内を排気し又は不活性ガスを充満する不活性ガス供給管及び排気管によって構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はグロー放電発光分光分析装置に係り、特にグロー放電部への外気侵入防止装置を備えた高精度グロー放電発光分光分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧力500〜1300Pa程度のアルゴン等の不活性ガス雰囲気中でグロー放電を発生させ、生じたイオンを陰極である試料表面に衝突させることによって生ずるスパッタリング現象によって試料表面の原子をたたき出し、それをプラズマ中で励起させ、それが基底状態に戻る際に放出する元素固有の光波長を分光器で分光して元素を同定する分析法はグロー放電発光分光分析法と呼ばれている。この方法は試料表面の深さ方向分析に広く用いられている。
【0003】
このグロー放電発光分光分析は典型的には図5に示すグリム放電管を有する装置によって行われる。しかし、例えば試料中の100ppm以下(質量比、以下同様)の微量酸素あるいは窒素を定量分析しようとした際、これらの元素のバックグランド強度が高く、正確な分析ができないという問題が発生していた。この問題は、図5に示す装置において、試料Sの表面と試料Sを保持する支持ブロック4の間を気密に保持するためのOリング8の僅かな隙間からグロー放電部に大気が侵入し、それにより窒素(N)や酸素(O)等の元素のバックグランド強度が上昇するために生ずるものである。
【0004】
この問題を解決するため、試料台のシール(Oリング)を2重とし、その間を減圧もしくは放電ガス封入とすることにより、大気がプラズマ内に混入することを防止する技術が開示されている(特開平1−206237号公報)。また、Oリング周囲に放電ガスを流し加圧状態とすることによってプラズマ内に大気が混入することを防ぐ技術が開示されている(特開平8−338761号公報)。さらに、試料表面に凹凸がある、あるいは湾曲しているなどの理由でOリングシール部から放電管内に大気成分が侵入し、放電管内の真空が維持できない場合の対策として、試料全体を外気と遮断する試料装着装置を用い、その内部を排気する装置が開示されている(特開平7−225187号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平1−206237号公報に開示された手段では、従来のシール部の外側にさらにシール部を重ねるため、試料の最小径を従来に比べ約2倍(面積比では約4倍)にせざるを得なくなり、小さい試料しか準備できない場合はグロー放電発光分光分析を断念せざるを得ない場合が生ずる。さらに放電管周囲の構造を大きくする必要があり、装置コストが上がるという問題もある。特開平8−338761号公報に開示された手段は、このような装置の大型化による問題はない。しかし、Oリングシール部周囲に均一に放電ガスを流すことは困難であり、そのためOリング周囲の一部から大気が混入することは避けられない。特開平7−225187号公報に開示された手段は、大気の影響を抑制することが可能であるが、試料装着部内部の排気に時間がかかるほか、装着装置内部の圧力を最適値に維持するための吸排気設備が必要であり、装置コストが上がるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、装置や試料の大型化を伴わず、迅速かつ確実に大気の侵入を防止することができる高精度のグロー放電発光分光分析装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、陽極管と、該陽極管と陰極の間に介在して試料を当接・支持する支持ブロックを有し、該陽極管と陰極の間に直流電圧又は高周波電圧を印加して試料をスパッタリングする給電手段を備えるグロー放電発光分光分析装置において、前記試料と支持ブロックの当接部に不活性ガス充満部を設けてなり、不活性ガス充満部は、試料押さえに嵌挿されその先端が支持ブロックに当接するリング状部材と、該リング状部材に取り付けられ、前記リング状部材を貫通して設けられたガス通路を通して不活性ガス充満室内を排気し又は不活性ガスを充満する不活性ガス供給管及び排気管によって構成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明装置の一実施例をその断面構造によって示す模式図であって、従来から使用されているグロー放電発光分光分析装置の本体A(これは従来装置と同じである)に不活性ガス充満部Bを付加して設けている。
【0009】
グロー放電発光分光分析装置の本体Aは、グロー放電手段として典型的なグリム放電管として構成されている。ここに示す装置では、陰極プレートを兼ねる支持ブロック4と陽極ブロック2とが絶縁材5を介して接合されている。陽極ブロック2には陽極管21が一体形成されており、この陽極管21は支持ブロック4に挿通されて試料Sの分析面に近接している。試料Sの分析面側は支持ブロック4に設けたOリング8を介して陰極を兼ねる試料押さえ3により支持ブロック4に気密状態を維持できるように押し付けられて当接・支持された状態となっている。そして、この状態で真空排気孔12から系内を減圧し、アルゴン供給孔11から所定圧力のアルゴンガスを供給できるようになっている。
【0010】
上記本体装置において、系内を排気後、所定圧力のアルゴンガスを導入し、適当な電源により陽極管−陰極間に所定の電圧(直流電圧又は高周波電圧)を印加すると、グロー放電が起こり、生じたアルゴンガスイオンが高電界で加速され、陰極である試料表面に衝突してスパッタリング作用によりはじき出され、さらに励起され、これが基底状態に戻る際に元素固有の光Lを放出する。この光Lを、窓板10を通して、分光器20に導き、光Lの強度を測定するようになっている。
【0011】
不活性ガス充満部Bは、試料押さえ3に嵌挿されその先端が支持ブロック4に当接するリング状部材15および該リング状部材15に取り付けたガス通路であるガス供給管16及び排気管17によって構成される。これらガス供給管16及び排気管17はそれぞれバルブVにより開閉自在になっている。図1に示すように試料Sを装着後、試料押さえ3によって試料Sを固定すると、リング状部材15と試料押さえ3の間はOリング8によって気密が維持され、支持ブロック4側近傍において支持ブロック4、試料S、試料押さえ3及びリング状部材15によって囲まれる不活性ガス充満室18が形成される。
【0012】
前記リング状部材15には、不活性ガス供給管16及び排気管17が取り付けられており、前記リング状部材15を貫通して設けられたガス通路を通して前記不活性ガス充満室18内を排気しあるいは不活性ガスを充満できるようになっている。なお、前記リング状部材15と支持ブロック4との当り面及び試料押さえ3の側面には適当なシール部材、たとえばOリング8が設けられている。
【0013】
不活性ガス充満室18には試料Sと支持ブロック4との接触部が通じている。したがって、不活性ガス充満室18内を排気管17を通して排気し、次いで不活性ガス源(図示しない)から不活性ガス供給管16を通して適当な不活性ガス(たとえばアルゴン)を不活性ガス充満室18内に導入して充満することにより、試料Sと支持ブロック4との当接部を不活性ガス雰囲気とすることができる。これにより、試料Sと支持ブロック4との接触部から大気が放電管内に混入することを防止することができる。
【0014】
なお、不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン等あるいはこれらの混合ガスが利用可能であるが、一般に放電ガスに利用されるアルゴンを用いるのが望ましい。
【0015】
以上、本発明の実施形態を典型的な例に基づいて説明した。しかしながら本発明の適用対象は上記例に限られるものではなく、広くグロー放電発光分光分析装置に適用し得る。たとえば、その放電形式は直流、交流(高周波電流)を問わない。また、不活性ガス充満室へのガスの充満は、ガスを連続供給して行っても、あるいは、ガスの充満後はガスの供給を止め、ガス供給管のバルブを閉じてガスの封入状態として行ってもよい。このような変形は本発明の技術的範囲から逸脱しない限り自由に行い得る。
【0016】
【実施例】
図1に示す装置を用い、炭素鋼を試料として窒素および酸素濃度の測定を行った。測定条件は下記に示すとおりである。
【0017】
(実施例1)
▲1▼放電条件
電流:直流800V(定電圧)、放電時のアルゴンガス圧:300Pa
▲2▼不活性ガス充満室へのガス充満
ガス種:アルゴン
ガス充満条件:試料装填後、不活性ガス充満室に500ml/minの流量で1分間供給した後、入側および出側バルブを閉鎖してガスを封入した。
【0018】
(実施例2)
▲1▼放電条件
電流:高周波電流:出力40W、放電時のアルゴンガス圧:250Pa
▲2▼不活性ガス充満室へのガス充満
ガス種:アルゴン
ガス充満条件:試料装填後、不活性ガス充満室に200ml/minの流量で連続供給した。
【0019】
これらの条件による鋼中窒素濃度(〔N〕)および酸素濃度(〔O〕)の測定結果は、図2(実施例1の場合)、図3(実施例2の場合)について示す。なお、図4には従来装置、すなわち不活性ガス充満室を持たない場合(図5に示すもの)による測定結果を示す。これらの測定から分かるように、従来のグロー放電管では大気がプラズマ内に混入するため、窒素及び酸素のバックグランドが高く、定量下限(σ/xが20%以上となる濃度)はそれぞれ質量比で100ppm、70ppmであったが、本発明により大気の混入を抑制することができ、窒素及び酸素のバックグランドは減少し、定量下限はそれぞれ30ppm、20ppm(実施例1の場合)、20ppm、15ppm(実施例2の場合)に改善することができた。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、装置や試料の大型化を伴わず、迅速かつ確実に大気の侵入を防止することができ、それにより高精度のグロー放電発光分光分析が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高精度グロー放電発光分光分析装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】実施例1の場合の、窒素及び酸素の検量線の一例である。
【図3】実施例2の場合の、窒素及び酸素の検量線の一例である。
【図4】従来装置による窒素及び酸素の検量線の一例である。
【図5】従来のグロー放電発光分光分析装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2:陽極ブロック
3:試料押さえ(陰極)
4:支持ブロック(陰極プレート)
5:絶縁材
8:Oリング
10:窓板
11:アルゴン供給孔
12:真空排気孔
15:リング状部材
16:不活性ガス供給管
17:排気管
18:不活性ガス充満室
20:分光器
21:陽極管
A:グロー放電発光分光分析装置の本体
B:不活性ガス充満部
S:試料
L:光路
V:バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明はグロー放電発光分光分析装置に係り、特にグロー放電部への外気侵入防止装置を備えた高精度グロー放電発光分光分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧力500〜1300Pa程度のアルゴン等の不活性ガス雰囲気中でグロー放電を発生させ、生じたイオンを陰極である試料表面に衝突させることによって生ずるスパッタリング現象によって試料表面の原子をたたき出し、それをプラズマ中で励起させ、それが基底状態に戻る際に放出する元素固有の光波長を分光器で分光して元素を同定する分析法はグロー放電発光分光分析法と呼ばれている。この方法は試料表面の深さ方向分析に広く用いられている。
【0003】
このグロー放電発光分光分析は典型的には図5に示すグリム放電管を有する装置によって行われる。しかし、例えば試料中の100ppm以下(質量比、以下同様)の微量酸素あるいは窒素を定量分析しようとした際、これらの元素のバックグランド強度が高く、正確な分析ができないという問題が発生していた。この問題は、図5に示す装置において、試料Sの表面と試料Sを保持する支持ブロック4の間を気密に保持するためのOリング8の僅かな隙間からグロー放電部に大気が侵入し、それにより窒素(N)や酸素(O)等の元素のバックグランド強度が上昇するために生ずるものである。
【0004】
この問題を解決するため、試料台のシール(Oリング)を2重とし、その間を減圧もしくは放電ガス封入とすることにより、大気がプラズマ内に混入することを防止する技術が開示されている(特開平1−206237号公報)。また、Oリング周囲に放電ガスを流し加圧状態とすることによってプラズマ内に大気が混入することを防ぐ技術が開示されている(特開平8−338761号公報)。さらに、試料表面に凹凸がある、あるいは湾曲しているなどの理由でOリングシール部から放電管内に大気成分が侵入し、放電管内の真空が維持できない場合の対策として、試料全体を外気と遮断する試料装着装置を用い、その内部を排気する装置が開示されている(特開平7−225187号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平1−206237号公報に開示された手段では、従来のシール部の外側にさらにシール部を重ねるため、試料の最小径を従来に比べ約2倍(面積比では約4倍)にせざるを得なくなり、小さい試料しか準備できない場合はグロー放電発光分光分析を断念せざるを得ない場合が生ずる。さらに放電管周囲の構造を大きくする必要があり、装置コストが上がるという問題もある。特開平8−338761号公報に開示された手段は、このような装置の大型化による問題はない。しかし、Oリングシール部周囲に均一に放電ガスを流すことは困難であり、そのためOリング周囲の一部から大気が混入することは避けられない。特開平7−225187号公報に開示された手段は、大気の影響を抑制することが可能であるが、試料装着部内部の排気に時間がかかるほか、装着装置内部の圧力を最適値に維持するための吸排気設備が必要であり、装置コストが上がるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、装置や試料の大型化を伴わず、迅速かつ確実に大気の侵入を防止することができる高精度のグロー放電発光分光分析装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、陽極管と、該陽極管と陰極の間に介在して試料を当接・支持する支持ブロックを有し、該陽極管と陰極の間に直流電圧又は高周波電圧を印加して試料をスパッタリングする給電手段を備えるグロー放電発光分光分析装置において、前記試料と支持ブロックの当接部に不活性ガス充満部を設けてなり、不活性ガス充満部は、試料押さえに嵌挿されその先端が支持ブロックに当接するリング状部材と、該リング状部材に取り付けられ、前記リング状部材を貫通して設けられたガス通路を通して不活性ガス充満室内を排気し又は不活性ガスを充満する不活性ガス供給管及び排気管によって構成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明装置の一実施例をその断面構造によって示す模式図であって、従来から使用されているグロー放電発光分光分析装置の本体A(これは従来装置と同じである)に不活性ガス充満部Bを付加して設けている。
【0009】
グロー放電発光分光分析装置の本体Aは、グロー放電手段として典型的なグリム放電管として構成されている。ここに示す装置では、陰極プレートを兼ねる支持ブロック4と陽極ブロック2とが絶縁材5を介して接合されている。陽極ブロック2には陽極管21が一体形成されており、この陽極管21は支持ブロック4に挿通されて試料Sの分析面に近接している。試料Sの分析面側は支持ブロック4に設けたOリング8を介して陰極を兼ねる試料押さえ3により支持ブロック4に気密状態を維持できるように押し付けられて当接・支持された状態となっている。そして、この状態で真空排気孔12から系内を減圧し、アルゴン供給孔11から所定圧力のアルゴンガスを供給できるようになっている。
【0010】
上記本体装置において、系内を排気後、所定圧力のアルゴンガスを導入し、適当な電源により陽極管−陰極間に所定の電圧(直流電圧又は高周波電圧)を印加すると、グロー放電が起こり、生じたアルゴンガスイオンが高電界で加速され、陰極である試料表面に衝突してスパッタリング作用によりはじき出され、さらに励起され、これが基底状態に戻る際に元素固有の光Lを放出する。この光Lを、窓板10を通して、分光器20に導き、光Lの強度を測定するようになっている。
【0011】
不活性ガス充満部Bは、試料押さえ3に嵌挿されその先端が支持ブロック4に当接するリング状部材15および該リング状部材15に取り付けたガス通路であるガス供給管16及び排気管17によって構成される。これらガス供給管16及び排気管17はそれぞれバルブVにより開閉自在になっている。図1に示すように試料Sを装着後、試料押さえ3によって試料Sを固定すると、リング状部材15と試料押さえ3の間はOリング8によって気密が維持され、支持ブロック4側近傍において支持ブロック4、試料S、試料押さえ3及びリング状部材15によって囲まれる不活性ガス充満室18が形成される。
【0012】
前記リング状部材15には、不活性ガス供給管16及び排気管17が取り付けられており、前記リング状部材15を貫通して設けられたガス通路を通して前記不活性ガス充満室18内を排気しあるいは不活性ガスを充満できるようになっている。なお、前記リング状部材15と支持ブロック4との当り面及び試料押さえ3の側面には適当なシール部材、たとえばOリング8が設けられている。
【0013】
不活性ガス充満室18には試料Sと支持ブロック4との接触部が通じている。したがって、不活性ガス充満室18内を排気管17を通して排気し、次いで不活性ガス源(図示しない)から不活性ガス供給管16を通して適当な不活性ガス(たとえばアルゴン)を不活性ガス充満室18内に導入して充満することにより、試料Sと支持ブロック4との当接部を不活性ガス雰囲気とすることができる。これにより、試料Sと支持ブロック4との接触部から大気が放電管内に混入することを防止することができる。
【0014】
なお、不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン等あるいはこれらの混合ガスが利用可能であるが、一般に放電ガスに利用されるアルゴンを用いるのが望ましい。
【0015】
以上、本発明の実施形態を典型的な例に基づいて説明した。しかしながら本発明の適用対象は上記例に限られるものではなく、広くグロー放電発光分光分析装置に適用し得る。たとえば、その放電形式は直流、交流(高周波電流)を問わない。また、不活性ガス充満室へのガスの充満は、ガスを連続供給して行っても、あるいは、ガスの充満後はガスの供給を止め、ガス供給管のバルブを閉じてガスの封入状態として行ってもよい。このような変形は本発明の技術的範囲から逸脱しない限り自由に行い得る。
【0016】
【実施例】
図1に示す装置を用い、炭素鋼を試料として窒素および酸素濃度の測定を行った。測定条件は下記に示すとおりである。
【0017】
(実施例1)
▲1▼放電条件
電流:直流800V(定電圧)、放電時のアルゴンガス圧:300Pa
▲2▼不活性ガス充満室へのガス充満
ガス種:アルゴン
ガス充満条件:試料装填後、不活性ガス充満室に500ml/minの流量で1分間供給した後、入側および出側バルブを閉鎖してガスを封入した。
【0018】
(実施例2)
▲1▼放電条件
電流:高周波電流:出力40W、放電時のアルゴンガス圧:250Pa
▲2▼不活性ガス充満室へのガス充満
ガス種:アルゴン
ガス充満条件:試料装填後、不活性ガス充満室に200ml/minの流量で連続供給した。
【0019】
これらの条件による鋼中窒素濃度(〔N〕)および酸素濃度(〔O〕)の測定結果は、図2(実施例1の場合)、図3(実施例2の場合)について示す。なお、図4には従来装置、すなわち不活性ガス充満室を持たない場合(図5に示すもの)による測定結果を示す。これらの測定から分かるように、従来のグロー放電管では大気がプラズマ内に混入するため、窒素及び酸素のバックグランドが高く、定量下限(σ/xが20%以上となる濃度)はそれぞれ質量比で100ppm、70ppmであったが、本発明により大気の混入を抑制することができ、窒素及び酸素のバックグランドは減少し、定量下限はそれぞれ30ppm、20ppm(実施例1の場合)、20ppm、15ppm(実施例2の場合)に改善することができた。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、装置や試料の大型化を伴わず、迅速かつ確実に大気の侵入を防止することができ、それにより高精度のグロー放電発光分光分析が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高精度グロー放電発光分光分析装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】実施例1の場合の、窒素及び酸素の検量線の一例である。
【図3】実施例2の場合の、窒素及び酸素の検量線の一例である。
【図4】従来装置による窒素及び酸素の検量線の一例である。
【図5】従来のグロー放電発光分光分析装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2:陽極ブロック
3:試料押さえ(陰極)
4:支持ブロック(陰極プレート)
5:絶縁材
8:Oリング
10:窓板
11:アルゴン供給孔
12:真空排気孔
15:リング状部材
16:不活性ガス供給管
17:排気管
18:不活性ガス充満室
20:分光器
21:陽極管
A:グロー放電発光分光分析装置の本体
B:不活性ガス充満部
S:試料
L:光路
V:バルブ
Claims (1)
- 陽極管と、該陽極管と陰極の間に介在して試料を当接・支持する支持ブロックを有し、該陽極管と陰極の間に直流電圧又は高周波電圧を印加して試料をスパッタリングする給電手段を備えるグロー放電発光分光分析装置において、
前記試料と支持ブロックの当接部に不活性ガス充満部を設けてなり、不活性ガス充満部は、試料押さえに嵌挿されその先端が支持ブロックに当接するリング状部材と、該リング状部材に取り付けられ、前記リング状部材を貫通して設けられたガス通路を通して不活性ガス充満室内を排気し又は不活性ガスを充満する不活性ガス供給管及び排気管によって構成されるものであることを特徴とするグロー放電発光分光分析装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319230A JP2004151042A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | グロー放電発光分光分析装置 |
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JP2002319230A JP2004151042A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | グロー放電発光分光分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004151042A true JP2004151042A (ja) | 2004-05-27 |
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JP2002319230A Pending JP2004151042A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | グロー放電発光分光分析装置 |
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---|---|
JP (1) | JP2004151042A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7456395B2 (en) * | 2005-01-26 | 2008-11-25 | Thermo Electron (Bremen) Gmbh | Glow discharge source |
JP2010197308A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Horiba Ltd | 試料容器及びグロー放電分析装置 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002319230A patent/JP2004151042A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7456395B2 (en) * | 2005-01-26 | 2008-11-25 | Thermo Electron (Bremen) Gmbh | Glow discharge source |
JP2010197308A (ja) * | 2009-02-26 | 2010-09-09 | Horiba Ltd | 試料容器及びグロー放電分析装置 |
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