JP5364395B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、茶変色およびオゾン耐久性を改善させたタイヤに関する。
タイヤのサイドウォールゴムには、酸化耐性、オゾン耐性、屈曲亀裂成長耐性、紫外線耐性の性能を維持しつつ、配合される薬品由来の茶変色を最小限に抑えることを目的として、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)やケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)が配合され、さらには静的な亀裂を抑えることを目的としてワックスが配合される。
タイヤのサイドウォールゴムにおいて、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)は、ケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)に比べ、オゾン耐性、屈曲亀裂成長耐性は優れるが、タイヤ表面に析出しやすく、熱的安定性は劣り、薬品由来の茶色がきつい。
タイヤのサイドウォールゴムにおいて、ケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)は、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)に比べ、タイヤ表面への析出し難く、茶色への着色の程度は薄いが、オゾン耐性は劣る。
それ故、タイヤのサイドウォールゴムにおいては、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)とケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)を併用することが好ましい。
フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)を酸化させ、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)のベンゼン環をキノン型(二重結合を2個)にしたパラベンゾキノリンジイミン(6QDI)(化合物名:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミン)は、ゴム成分との反応性が高く、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)に比べて、流動性を抑えることができ、タイヤ表面への析出が少ない。
タイヤトレッドにおいては、ベーストレッドに多量の老化防止剤を配合し、タイヤ使用中にキャップトレッドに移行させる技術が採用されている。この技術は、キャップゴムの厚みが薄く、溝底部で、ベースの老化防止剤が流出分を補い、有効である。
タイヤのサイドウォール構造は、タイヤ部分の中で最も薄い部分であり、サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを含む部材で構成されている。これまで、ケースやインナーライナーの各部材において老化防止剤の配合について考慮されていなかった。サイドウォールにおいてのみ、老化防止剤の配合について考慮されていた。しかし、タイヤ新品時にはフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)は過剰に配合され、タイヤ使用後にはタイヤ表面に析出したフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)が揮発し不足するという事態が生じていた。
タイヤの軽量化やタイヤの転がり抵抗の低減(転がり抵抗性能の向上)を進める目的で、タイヤのサイドウォール構造においてタイヤサイドウォール部材の厚みを3mm以下にする必要がある。つまり、タイヤのサイドウォール構造におけるタイヤサイドウォール部材の占める割合が低くなり、サイドウォール部材のみにおいて老化防止剤の配合を改良することに限界が生じている。
特許文献1には、ゴムの劣化が少なくタイヤ表面の変色が軽減された空気入りタイヤを提供することを目的として、ベース(カーカス側の内側層)に老化防止剤が保持されるタイヤトレッド部のキャップ(接地面側の外側層)/ベース(カーカス側の内側層)が開示されている。しかし、サイドウォール部への耐候性と耐変色を両立させることについては応用できない。
特許文献2には、タイヤを長時間使用の後においても破断時強度、引き裂き強度および耐オゾンクラック性等を維持する目的で、6QDI(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミン)および6PPD(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6Cともいう)を併用し、6QDI/6PPDの配合比率を規定している。しかし、サイドウォール部への耐候性と耐変色を両立させることについては応用できない。
特開2003−237316号公報 特開2001−26681号公報
本発明は、タイヤの茶変色およびオゾン耐久性を改善させたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤであって、サイドウォール(A)が(A1)ゴム成分100質量部に対して、(A2)フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜2.2質量部を含むサイドウォール用ゴム組成物からなり、ケース(B)がコードを(B1)ゴム成分100質量部に対して、(B2)フェニレンジアミン系老化防止剤0.3〜1.5質量部を含むケースコード被覆用ゴム組成物で被覆されてなるタイヤに関する。
本発明では、サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤであって、インナーライナーがタイガム層、ブチル層およびフィルム層を有し、タイガム層(C)が(C1)ゴム成分100質量部に対して、(C2)フェニレンジアミン系老化防止剤0.5〜3.0質量部を含むタイガム用ゴム組成物からなることが好ましい。
本発明では、サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤであって、サイドウォール(A)の厚みが1.5〜2.7mmであることが有効である。
本発明によれば、特定の老化防止剤を含むゴム組成物なるサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを組み合わせてタイヤにすることで、タイヤの茶変色およびオゾン耐久性を改善させたタイヤを提供することができる。
本発明におけるタイヤのサイドウォールの断面を模式的に表した図である。 本発明におけるタイヤのサイドウォールの断面を模式的に表した図である。 本発明におけるタイヤのサイドウォールの断面を拡大して模式的に表した図である。
本発明では、サイドウォール部材のみならず、タイヤのサイドウォール部を構成するケースおよびインナーライナー、そしてインナーライナーを構成するタイガム層、ブチル層およびフィルム層も含めて、老化防止剤の配合を設計する。
フェニレンジアミン系老化防止剤(「6C」と記す)は流動性が高く、タイヤ表面から揮発・流出し易い。そこで、本発明では、ケースやより内側のタイガム層にも配合することが好ましい。
Figure 0005364395
また、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)は加工中にブチルゴムの焼けを促進するので、インナーライナーを構成するブチル層に配合するのは好ましくない。
ケースはサイドウォールに隣接し、実質的にサイドウォールと同じく、特にサイドウォールの厚みが薄い場合、タイヤ使用初期〜中期の老化防止剤のタイヤ表面からの減量を抑制できない。そこで、主に、タイガム層において、ゴム成分100質量部に対して、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)を1〜2質量部程度配合し、サイドウォールへの配合量を減らすのが好ましい。
フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)は濃い茶色を発色し、ケトンアミン縮合物系老化防止剤(「RD」、あるいは「224」と記す)は薄い茶色を発色する。
Figure 0005364395
ケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD、あるいは224)は、オゾンにはあまり有効ではない為、サイドウォールに配合されるフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)を全てケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)に代替することはできない。故に、タイヤのサイドウォール部からインナーライナー部にかけて、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)とケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)の配合量を適宜調節することが必要である。
タイヤがオゾン、紫外線または酸素に曝されるとゴム中にラジカルが発生する。老化防止剤が発生したラジカルを速やかにトラップし無害化することができれば、発生したラジカルのゴムの二重結合への付着やゴム構造の異性化を防止することができる。しかし、発生したラジカルのゴムの二重結合への付着やゴム構造の異性化を防止することができなければ、ゴムポリマーの切断やゴムポリマーの分岐が生じて、ゴムの破断特性が低下する。
また、酸素元素がゴムポリマーに付着し、ゴムポリマーがケトン・カルボキシル化すれば、ゴム配合中の酸素濃度が増す。その結果、ゴムポリマーの酸化が更に進行し、耐亀裂成長性あるいは破断強度が悪化する場合もある。フェニレンジアミン系老化防止剤(「810−NA」あるいは「3C」と記す)は、フェニレンジアミン系老化防止剤(6C)に比べて、オゾン耐性に優れるというメリットはあるものの、ゴムへの溶解度が低く、揮発し易く、長期にわたってゴム中に存在しないというデメリットも有するため、タイヤにはあまり使用されない。
Figure 0005364395
ケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)を単独で処方する場合、ブルーム耐性は優れているが、オゾン耐性が十分でなく、ケトンアミン縮合物系老化防止剤(RD)のサイドウォールへの配合量を多くする必要がある。
パラベンゾキノリンジイミン(「6QDI」と記す)(化合物名:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミン)は、加硫後50%が還元されフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)に戻り、残り50%がキノン型でポリマーに付着する。キノン型は、流動性が低く、タイヤ表面への移出は緩やかで、長期間に渡り効き目が持続する。
Figure 0005364395
サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤにおいて、サイドウォールのみにフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)を配合するよりも、ケースおよびインナーライナーにもフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)を配合することで、茶変色およびオゾン耐久性を改善させルことができる。つまり、サイドウォール、ケースおよびインナーライナーにフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)を配合することで、タイヤ新品時および使用時を通じて、安定したオゾン劣化耐性(酸化劣化耐性)および茶変色耐性が優れた、黒色外観の良好なタイヤを得ることができる。
タイヤにおいて、茶変色は商品価値を下げる。また、タイヤにおいて茶変色が生じた場合、タイヤ所有者が市販のワックス等をタイヤに後塗りし、使用したワックスの品質が悪い場合、タイヤのオゾン耐性を損ない、タイヤサイドウォール部材の亀裂を促進する可能性がある。
以下、本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナー(タイガム層)を有するタイヤについて詳細に説明する。
図1および2は、本発明におけるタイヤのサイドウォールの断面を模式的に表した図である。
図1および2には本発明のサイドウォール1、ケース2およびインナーライナー3を有するタイヤを示している。図1および2では、インナーライナー3は、ブチル層4とタイガム層(非ブチル層)5との2層で構成される空気入りタイヤを示している。なお、図1および2では、タイヤのトレッド6、ビードエイペックス7およびクリンチエイペックス8を示している。
大型トラック用タイヤ、乗用車用タイヤ、小型乗用車用タイヤではいずれも、サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有する。
耐空気漏れ性が要求される大型トラック用タイヤの場合、インナーライナーはゲージが大きい、つまり厚さが大きいブチル層の1層で構成される。
軽量化が要求される小型乗用車用タイヤの場合、インナーライナーはタイガム層無しのゲージの薄いブチル層の1層で構成される。
通常の乗用車用タイヤの場合、インナーライナーは、タイガム層およびブチル層の2層で構成される(図1)。また、通常の乗用車用タイヤの場合、インナーライナーにおけるタイガム層がバットレス部にのみ使用されることもある(図2)。
図3は、本発明におけるタイヤのサイドウォールの断面を拡大して模式的に表した図である。
図3は、本発明のサイドウォール1、ケース2およびインナーライナー3を有するタイヤ(図1)の拡大図を示している。図3では、インナーライナー3は、ブチル層4とタイガム層(非ブチル層)5との2層で構成される空気入りタイヤを示している。なお、図3では、ケース2のケースコード9を示している。
(1)本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤは、特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むサイドウォール用ゴム組成物からなるサイドウォール(A)、およびコードを特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むケースコード被覆用ゴム組成物で被覆されてなるケース(B)を有する。
(1−1)本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤのサイドウォール(A)を構成するサイドウォール用ゴム組成物は、ゴム成分(A1)およびフェニレンジアミン系老化防止剤(A2)を含有する。
(1−1−1)ゴム成分(A1)
ゴム成分(A1)は、天然ゴム(NR)およびシンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムを含有することが好ましい。
NRとしては、とくに制限はなく、通常ゴム工業で使用されるものを使用することができ、具体的には、RSS♯3、TSR20などがあげられる。また、加工性を向上させるために、NRの一部がイソプレンゴム(IR)であっても良い。
ゴム成分(A1)中のNRの含有量は、破断強度が向上するという理由から、ゴム成分中に20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムのシンジオタクチック結晶とは、たとえば、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン繊維をいう。サイドウォール(A)を構成するサイドウォール用ゴム組成物において、ゴム組成分として、シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムを含有することで、耐亀裂成長性や、硬度(Hs)を向上させることができる。
前記ブタジエンゴムのシンジオタクチック結晶含有量は、好ましくは1〜25%、より好ましくは5〜20%である。1%未満ではシンジオタクチック成分が少なすぎて充分な剛性が得られない傾向があり、25%をこえるとシンジオタクチック成分がポリブタジエン中で凝集塊をつくるため耐久性が低下してしまう。このようなシンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムとしては、宇部興産(株)製のVCR−303、412、617などがあげられる。
ゴム成分(A1)中の前記シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴムの含有量は、耐亀裂成長性や、硬度(Hs)を向上させることができるという理由から、ゴム成分中に20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
(1−1−2)フェニレンジアミン系老化防止剤(A2)
フェニレンジアミン系老化防止剤(A2)は、前記ゴム成分(A1)100質量部に対して、(A2)フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜2.2質量部を含む。
フェニレンジアミン系老化防止剤(A2)は、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)
Figure 0005364395
として、大内新興化学工業(株)製のノクラック6C、住友化学工業(株)製のアンチゲン6C、フレキシス社製のサントフレックス13、精工化学(株)製のオゾノン6C等が市販されている。
その他のフェニレンジアミン系老化防止剤(A2)としては、
トリフェニレンジアミン(DP):
Figure 0005364395
トリフェニレンジアミン(TD):
Figure 0005364395
テトラフェニレンジアミン(CD):
Figure 0005364395
ジフェニレンジアミン(AD):
Figure 0005364395
ジフェニレンジアミン(G−1):
Figure 0005364395
などが挙げられる。
これらフェニレンジアミン系老化防止剤の中でも、ゴムへの溶解性が適度であり、使用初期から中期にかけて、ゴム表面〜内部の耐オゾン劣化、耐紫外線劣化、耐屈曲亀裂性および耐酸化劣化をバランスよく向上できるという理由から、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)が好ましい。
フェニレンジアミン系老化防止剤(A2)として、トリフェニレンジアミン誘導体(DTPD誘導体、1,4−benzenediamine, N,N’−mixed phenyl and tolyl derivatives):
Figure 0005364395
パラフェニレンジアミン(77PD、N,N’−bis(1,4−dimetylpentyl)−p−phenylene diamine):
Figure 0005364395
を、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)と混用することができる。
DTPD誘導体は、6Cよりも高分子量であることから、移行性が少なく好ましい。また、77PDの使用は耐オゾン劣化に期待ができる。
フェニレンジアミン系老化防止剤(A2)の配合量は、ゴム表面の茶変色あるいは汚染を防ぎ、かつゴム表面〜内部の物性を保護することができるという理由から、ゴム成分(A1)100質量部に対して1.0〜2.2質量部であり、好ましくは1.2〜2.0質量部である。
(1−2)本発明のタイヤのケース(B)を構成するケースコード被覆用ゴム組成物は、ゴム成分(B1)およびフェニレンジアミン系老化防止剤(B2)を含有する。
(1−2−1)ゴム成分(B1)
ゴム成分(B1)は、天然ゴム(NR)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)を含有することが好ましい。
NRとしては、とくに制限はなく、通常ゴム工業で使用されるものを使用することができ、具体的には、RSS♯3、TSR20などがあげられる。
ゴム成分(B1)中のNRの含有量は、破断強度が向上するという理由から、ゴム成分中に30〜90質量%、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%である。
SBRとしては、タイヤ工業で従来から使用されるものを使用することができ、具体的にはJSR(株)製のSBR1502、日本ゼオン(株)製のニッポール NS116などがあげられる。
ゴム成分(B1)中のSBRの含有量は、リバージョン抑制効果が向上するという理由から、ゴム成分中に10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
(1−2−2)フェニレンジアミン系老化防止剤(B2)
フェニレンジアミン系老化防止剤(B2)は、前記ゴム成分(B1)100質量部に対して、(B2)フェニレンジアミン系老化防止剤0.3〜1.5質量部を含む。
フェニレンジアミン系老化防止剤(B2)は、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)
Figure 0005364395
として、大内新興化学工業(株)製のノクラック6C、住友化学工業(株)製のアンチゲン6C、フレキシス社製のサントフレックス13、精工化学(株)製のオゾノン6C等が市販されている。
その他のフェニレンジアミン系老化防止剤(B2)としては、
トリフェニレンジアミン(DP):
Figure 0005364395
トリフェニレンジアミン(TD):
Figure 0005364395
テトラフェニレンジアミン(CD):
Figure 0005364395
ジフェニレンジアミン(AD):
Figure 0005364395
ジフェニレンジアミン(G−1):
Figure 0005364395
などが挙げられる。
これらフェニレンジアミン系老化防止剤の中でも、ゴムへの溶解性が適度であり、使用初期から中期にかけて、ゴム表面〜内部の耐オゾン劣化、耐紫外線劣化、耐屈曲亀裂性および耐酸化劣化をバランスよく向上できるという理由から、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)が好ましい。
フェニレンジアミン系老化防止剤(B2)として、トリフェニレンジアミン誘導体(DTPD誘導体、1,4−benzenediamine, N,N’−mixed phenyl and tolyl derivatives):
Figure 0005364395
パラフェニレンジアミン(77PD、N,N’−bis(1,4−dimetylpentyl)−p−phenylene diamine):
Figure 0005364395
をN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)と混用することができる。
DTPD誘導体は、6Cよりも高分子量であることから、移行性が少なく好ましい。また、77PDの使用は耐オゾン劣化に期待ができる。
フェニレンジアミン系老化防止剤(B2)の配合量は、サイドウォール表面から失われた老化防止剤を補充し、タイヤ表面の耐オゾン劣化、耐紫外線劣化、耐屈曲亀裂性および耐酸化劣化を向上させることができるという理由から、ゴム成分(B1)100質量部に対して0.3〜1.5質量部であり、好ましくは0.5〜1.3質量部である。
本発明のタイヤのケース(B)を構成するコードは、スチールコードまたは有機繊維コードのいずれかが好ましい。
スチールコードには、スチールコード被覆用ゴム組成物を用いる。また、有機繊維コードには、有機繊維コード被覆用ゴム組成物を用いる。ここで、有機繊維コードとは、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、アラミドなどの原料により得られるものである。なかでも吸湿性および熱安定性に優れ、さらに安価であるという理由から、原料としてはポリエステルを用いることが好ましい。
(2)本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤは、インナーライナーがタイガム層、ブチル層およびフィルム層を有し、特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むタイガム層(C)を有する。
フィルム層とは、空気遮断目的に用いるものであり、ブチル層よりも薄くできる層である。フィルム層はブチルゴム、ナイロン、SIBS(スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)等のポリマーで構成される。本発明においては特にポリマーを規定しない。
(2−1)本発明のタイヤのタイガム層(C)を構成するインナーライナー用ゴム組成物は、ゴム成分(C1)およびフェニレンジアミン系老化防止剤(C2)を含有する。
(2−1−1)ゴム成分(C1)
ゴム成分(C1)は、天然ゴム(NR)およびブチル系ゴムを含有することが好ましい。
NRとしては、とくに制限はなく、通常ゴム工業で使用されるものを使用することができ、具体的には、RSS♯3、TSR20などがあげられる。
ゴム成分(C1)中のNRの含有量は、ゴム成分中に5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
ブチル系ゴムとしては、たとえば、ブチルゴム(IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)などがあげられる。なかでも、加工性、加硫反応が適度であるという理由からが点から、塩素化ブチルゴムが好ましい。
ゴム成分(C1)中のブチル系ゴムの含有量は、加工性、加硫反応が適度であるという理由から、ゴム成分中に50〜95質量%、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは70〜85質量%である。
(2−1−2)フェニレンジアミン系老化防止剤(C2)
フェニレンジアミン系老化防止剤(C2)は、前記ゴム成分(C1)100質量部に対して、(C2)フェニレンジアミン系老化防止剤0.5〜3.0質量部を含む。
フェニレンジアミン系老化防止剤(C2)は、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)
Figure 0005364395
として、大内新興化学工業(株)製のノクラック6C、住友化学工業(株)製のアンチゲン6C、フレキシス社製のサントフレックス13、精工化学(株)製のオゾノン6C等が市販されている。
その他のフェニレンジアミン系老化防止剤(C2)としては、
トリフェニレンジアミン(DP):
Figure 0005364395
トリフェニレンジアミン(TD):
Figure 0005364395
テトラフェニレンジアミン(CD):
Figure 0005364395
ジフェニレンジアミン(AD):
Figure 0005364395
ジフェニレンジアミン(G−1):
Figure 0005364395
などが挙げられる。
これらフェニレンジアミン系老化防止剤の中でも、ゴムへの溶解性が適度であり、使用初期から中期にかけて、ゴム表面〜内部の耐オゾン劣化、耐紫外線劣化、耐屈曲亀裂性および耐酸化劣化をバランスよく向上できるという理由から、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C、あるいは6PPD)が好ましい。
フェニレンジアミン系老化防止剤(C2)として、トリフェニレンジアミン誘導体(DTPD誘導体、1,4−benzenediamine, N,N’−mixed phenyl and tolyl derivatives):
Figure 0005364395
パラフェニレンジアミン(77PD、N,N’−bis(1,4−dimetylpentyl)−p−phenylene diamine):
Figure 0005364395
をN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C)と混用することができる。
DTPD誘導体は、6Cよりも高分子量であることから、移行性が少なく好ましい。また、77PDの使用は耐オゾン劣化に期待ができる。
インナーライナーは、タイガム層(非ブチル層)とブチル層の2層で構成される。タイガム層(非ブチル層)では、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C、あるいは6PPD)の溶解量が大きく、最大で、ゴム成分100質量部に対して5質量部である。また、ブチル層ではN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C、あるいは6PPD)の溶解量が小さく、最大で、ゴム成分100質量部に対して1質量部である。つまり、ブチル層では、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6C、あるいは6PPD)がタイヤ表面(ゴム表面)に析出する可能性があり、焼け易い。
フェニレンジアミン系老化防止剤(C2)の配合量は、サイドウォール表面から失われた老化防止剤を補充し、タイヤ表面の耐オゾン劣化、耐紫外線劣化、耐屈曲亀裂性および耐酸化劣化を向上させることができるという理由から、ゴム成分(C1)100質量部に対して0.5〜3.0質量部であり、好ましくは1.0〜2.0質量部である。
パラベンゾキノリンジイミン(6QDI)(化合物名:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミン):
Figure 0005364395
は、加硫後50%が還元されフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)(化合物名:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):
Figure 0005364395
に戻り、残り50%がキノン型でポリマーに付着する。キノン型は、流動性が低く、タイヤ表面への移出は緩やかで、長期間に渡り効き目が持続する。
つまり、本発明で用いるフェニレンジアミン系老化防止剤(6C)の一部は、キノン型として、ゴム成分中に含まれる。
(3)本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤは、サイドウォールの厚みが1.5〜2.7mmであることが好ましい。
サイドウォールの厚さは、軽量化に役立ち、転がり抵抗性が向上するという理由から、1.5〜2.7mmであり、1.7〜2.5mmであることが好ましく、1.9〜2.3であることがより好ましい。
インナーライナーは、タイガム層(非ブチル層)とブチル層の2層で構成される。ブチル層の厚さは0.4〜1.0mmであり、タイガム層(非ブチル層)の厚さは0.6〜1.5mmである。
(4)その他の配合剤
本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤは、特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むサイドウォール用ゴム組成物からなるサイドウォール(A)、コードを特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むケースコード被覆用ゴム組成物で被覆されてなるケース(B)および特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むインナーライナー用ゴム組成物からなるインナーライナー(C)を有する。
また、本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤは、前記インナーライナーがタイガム層、ブチル層およびフィルム層を有し、特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むタイガム用ゴム組成物からなるタイガム層(D)および特定量のケトンアミン縮合物系老化防止剤を含むサイドウォール用ゴム組成物からなるサイドウォール(E)を有する。
前記タイヤを構成する各部材のゴム組成物は、前記ゴム成分(A1)〜(E1)および老化防止剤(A2)〜(E2)以外にも、タイヤ工業において一般的に使用される配合剤、たとえば、フィラーと呼ばれる補強用充填剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、老化防止剤、アロマオイル、ステアリン酸などを適宜配合することができる。
フィラーとしては、たとえば、カーボンブラックやシリカ、炭酸カルシウムなどがあげられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、破断強度、耐オゾン性および耐候性に優れるという点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、N550、N330、N660クラスを使用することができる。
カーボンブラックの配合量は、破断強度、硬度(Hs)および転がり抵抗性が向上するという理由から、ゴム成分100質量部に対して、25〜70質量部が好ましく、30〜60質量部がより好ましい。
カーボンブラックを使用する場合、破断強度、硬度(Hs)および転がり抵抗性が向上するという理由から、チッ素吸着比表面積(N2SA)は10〜120m2/gが好ましく、20〜100m2/gがより好ましい。
シリカとして具体的には、デグッサ社製のウルトラジルVN3やローディア社製のZ115GR、デグッサ社製のウルトラジル360があげられる。
シリカの配合量は、破断強度が向上するという理由から、ゴム成分100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、7〜40質量部がより好ましい。
シリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
(5)タイヤ
本発明のサイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤは、特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むサイドウォール用ゴム組成物からなるサイドウォール(A)、およびコードを特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むケースコード被覆用ゴム組成物で被覆されてなるケース(B)を有する。
また、本発明の、サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤは、インナーライナーがタイガム層、ブチル層およびフィルム層を有し、特定量のフェニレンジアミン系老化防止剤を含むタイガム層(C)を有する。
すなわち、サイドウォール用ゴム組成物を未加硫の段階でサイドウォール(A)の形状に合わせて押し出し加工し、ケースコード被覆用ゴム組成物でケースコードを被覆してケース(B)を成形し、タイガム用ゴム組成物を未加硫の段階でタイガム層(C)の形状に合わせて押し出し加工し、ブチル層あるいはフィルム層を有するインナーライナーの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上でタイヤ各部材とともに貼りあわせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによって本発明のタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例、参考例および比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
老化防止剤6C:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
Figure 0005364395
老化防止剤RD:大内新興化学工業(株)製の老化防止剤224
Figure 0005364395
老化防止剤6QDI:フレキシス社製の6QDI(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニルキノンジイミン)
Figure 0005364395
老化防止剤3C:大内新興化学工業(株)製の老化防止剤810−NA
Figure 0005364395
シンジオタクチック結晶を含むブタジエンゴム:宇部興産(株)製のVCR−412(シンジオタクチック結晶含量12%)
スチレンブタジエンゴム(SBR):乳化重合スチレンブタジエンゴム、JSR(株)製のSBR1502
天然ゴム(NR):TSR20
クロロブチルゴム(Cl−IIR):住友化学(株)製のクロロブチルHT1066
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックE(N550)(N2SA:41m2/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックH(N330)(N2SA:79m2/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラックG(N660)(N2SA:27m2/g)
シリカ:ローディア社製のZ115Gr
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
ステアリン酸:日本油脂(株)製の椿
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
不溶性硫黄:日本乾溜工業(株)製のセイミサルファー(二硫化炭素による不溶物60%、オイル分10%)
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
実施例1〜6および8〜9、参考例7および10〜11並びに比較例1〜9
(1)サイドウォール
表1〜5に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を添加し、最高温度が165℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。その後、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、最高温度が97℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を金型にてシート状に圧延し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、サイドウォールの加硫ゴムシートを作製した。
(2)ケース
表1〜5に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を添加し、最高温度が165℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。その後、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、最高温度が97℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を金型にてシート状に圧延し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、ケースの加硫ゴムシートを作製した。
(3)タイガム層(インナーライナー)
表1〜5に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を添加し、最高温度が165℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。その後、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、最高温度が97℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を金型にてシート状に圧延し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、タイガム層の加硫ゴムシートを作製した。
(4)ブチル層(インナーライナー)
表1〜5に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を添加し、最高温度が145℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。その後、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、最高温度が97℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を金型にてシート状に圧延し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、ブチル層の加硫ゴムシートを作製した。ブチル層の配合においては、ブチルの焼け防止のため、酸化亜鉛(亜鉛華)を硫黄および加硫促進剤とともに最終段階で投入した。
(5)タイヤの作成
未加硫サイドウォール用ゴム組成物はサイドウォールの形状に、未加硫ケースコード被覆用ゴム組成物はコード(帝人(株)製のポリエステルコード)を被覆してケースの形状に、未加硫タイガム用ゴム組成物はタイガム層の形状に、未加硫ブチル用ゴム組成物はブチル層の形状に成形し、組み合わせで他のタイヤ部材とともに貼り合わせて実施例1〜6および8〜9、参考例7および10〜11並びに比較例1〜9の未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15 GTO65、乗用車用夏用タイヤ)を製造した。
(変色試験)
製造した試験用タイヤを、Jis140%荷重、速度80kphで、3万km走行させた後、サイドウォール表面の茶色の変色度合いを目視で観察し、5段階で評価した(茶変色)。
5:茶色の変色がなく、優良である
4:茶色の変色がほとんどなく、良い(許容レベル)
3:茶色の変色の度合いが小である(敏感ユーザーでクレームレベル)
2:茶色の変色の度合いが中である(クレームレベル)
1:茶色の変色の度合いが大である(クレームレベル)
(オゾンクラック試験)
製造した試験用タイヤを、JIS K 6259「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−耐オゾン性の求め方」に準じて、温度40℃、オゾン濃度50ppmの管理室内で、3万km走行させた後、サイドウォール表面の亀裂数と亀裂深さを目視で観察し、5段階で評価した(オゾン耐久)。
5:亀裂数と亀裂深さがなく、優良である
4:亀裂数と亀裂深さがほとんどなく、良い(許容レベル)
3:亀裂数と亀裂深さの度合いが小である(敏感ユーザーでクレームレベル)
2:亀裂数と亀裂深さの度合いが中である(クレームレベル)
1:亀裂数と亀裂深さの度合いが大である(クレームレベル)
以上の評価結果を表2〜5に示す。
表2〜5における以下の用語について説明する。
「6C」とは老化防止剤6Cである。
「RD」とは老化防止剤224である。
「ゲージ」とは、タイヤ仕上がりの厚み(mm)である。
「老化防止剤の配合量」とは、サイドウォール(表では「SW」と記す)、ケース、タイガム層(表では「タイガム」と記す)、ブチル層(表では「ブチル」と記す)のそれぞれにおいて、ゴム成分100質量部に対する老化防止剤の配合量(質量部)である。例えば、実施例1のSW(サイドウォール)は、6Cが1.6質量部、RDが0.6質量部含まれ、ゲージの厚みが2.0mmであることを示す。
「配合量*ゲージ」とは、上段の各部材(サイドウォール、ケース、タイガム層、ブチル層)の老化防止剤の配合量と各部材(サイドウォール、ケース、タイガム層、ブチル層)のゲージ(mm)を掛け合わせた値である。例えば、実施例1のSWは、6Cの配合量が1.6質量部であり、ゲージの厚みが2.0mmであるから、「配合量*ゲージ」は3.2となり、RDの配合量が0.6質量部であり、ゲージの厚みが2.0mmであるから、「配合量*ゲージ」は1.2となる。また、例えば、実施例1のタイガムは、6Cの配合量が1.6質量部であり、ゲージの厚みが1.0mmであるから、「配合量*ゲージ」は1.6となり、RDの配合量が0.6質量部であり、ゲージの厚みが1.0mmであるから、「配合量*ゲージ」は0.60となる。
「4種ゴム全体の配合量/ゲージ」とは、4種ゴム(サイドウォール、ケース、タイガム層、ブチル層)の老化防止剤の合計配合量を4種ゴム(サイドウォール、ケース、タイガム層、ブチル層)のゲージの合計厚み(mm)で割った値である。ここで、「4種ゴム全体の配合量」は、上段の「配合量*ゲージ」の老化防止剤の4種ゴム全体の合計配合量を示す。例えば、実施例1は、6Cの4種のゴム全体の合計配合量が4.8質量部であり、4種のゴム全体のゲージの合計厚みが4.5mmであるから、「4種ゴム全体の配合量/ゲージ」は1.07となる。また、実施例1は、RDの4種のゴム全体の合計配合量が2.8質量部であり、4種のゴム全体のゲージの合計厚みが4.5mmであるから、「4種ゴム全体の配合量/ゲージ」は0.62となる。
「SW以外の配合量/ゲージ」とは、SW以外のゴム(ケース、タイガム層、ブチル層)の老化防止剤の合計配合量をSW以外のゴム(ケース、タイガム層、ブチル層)のゲージの合計厚み(mm)で割った値である。ここで、「SW以外の配合量」は、上段の「配合量*ゲージ」の老化防止剤のSW以外のゴム全体の合計配合量を示す。例えば、実施例1は、6CのSW以外のゴム全体の合計配合量が1.6質量部であり、SW以外のゴム全体のゲージの合計厚みが2.5mmであるから、「SW以外の配合量/ゲージ」は0.64となる。また、実施例1は、RDのSW以外のゴム全体の合計配合量が1.6質量部であり、SW以外のゴム全体のゲージの合計厚みが2.5mmであるから、「4種ゴム全体の配合量/ゲージ」は0.64となる。
Figure 0005364395
Figure 0005364395
Figure 0005364395
Figure 0005364395
Figure 0005364395
1 サイドウォール
2 ケース
3 インナーライナー
4 ブチル層
5 タイガム層
6 トレッド
7 ビードエイペックス
8 クリンチエイペックス
9 ケースコード

Claims (3)

  1. サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤであって、
    サイドウォール(A)が(A1)ゴム成分100質量部に対して、(A2)フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜2.2質量部を含むサイドウォール用ゴム組成物からなり、
    インナーライナーがタイガム層とブチル層を有し、
    タイガム層(C)が(C1)ゴム成分100質量部に対して、(C2)フェニレンジアミン系老化防止剤1.0〜3.0質量部を含むタイガム用ゴム組成物からなり、
    サイドウォール(A)の厚さが1.5〜2.5mmであるタイヤ。
  2. サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤであって、
    タイガム層の厚さが0.6〜1.5mmであり、ブチル層の厚さが0.4〜1.0mmである請求項1記載のタイヤ。
  3. サイドウォール、ケースおよびインナーライナーを有するタイヤであって、
    インナーライナーがタイガム層とブチル層に加えて、さらにフィルム層を有する請求項1または2記載のタイヤ。
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