本発明の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の運転支援装置は、車両1に搭載された、制御ユニット10、左後側方カメラ21、右後側方カメラ22、画像処理ユニット20、方向指示器31、ブレーキセンサ32、車速センサ33、操舵角センサ34、ヨーレートセンサ35、及び報知器43により構成されている。また、制御ユニット10は、GPS(Global Positioning System)ユニット41から車両1の位置情報を取得すると共に、地図DB(データベース)42から地図データを取得する。
制御ユニット10は、CPU、メモリ等により構成された電子ユニットであり、メモリに保持された運転支援用の制御プログラムをCPUで実行することにより、車両1が交差点を旋回中であることを認識する交差点認識部11、左後側方カメラ21と右後側方カメラ22による物体の検知範囲を変更する検知範囲変更部12、画像処理ユニット20により検知範囲内で物体が検知されたときに報知を行なう報知部14、及び、報知部14による報知のレベルを変更する報知レベル変更部13として機能する。
左後側方カメラ21と右後側方カメラ22による撮像画像のデータは、画像処理ユニット20に出力され、画像処理ユニット20は、これらの撮像画像のデータに基いて、車両1の左後側方及び右後側方に存在する物体(他車両等)を検知する。なお、左後側方カメラ21及び右後側方カメラ22と画像処理ユニット20とにより、本発明の後側方物体検知部が構成される。
制御ユニット10には、方向指示器31の操作状態の検出信号、ブレーキセンサ32によるブレーキ操作の検出信号、車速センサ33による車両1の車速の検出信号、操舵角センサ34によるステアリングの操舵角の検出信号、及びヨーレートセンサ35による車両1のヨーレートの検出信号が入力され、交差点認識部11は、これらの検出信号に基づいて、車両1が交差点を旋回中であることを認識する。
次に、図2を参照して、左後側方カメラ21は車両1の左ドアミラー51に装着され、右後側方カメラ22は右ドアミラー52に装着されている。そして、画像処理ユニット20は、左後側方カメラ21の撮像画像に基づいて、車両1の左後側方に設定された左後側方検知範囲61内に存在する物体を検知する。同様に、画像処理ユニット20は、右後側方カメラ22の撮像画像に基づいて、車両1の右後側方に設定された右後側方検知範囲62内に存在する物体を検知する。
報知部14は、車両1の運転中に図3に示したフローチャートを繰り返し実行し、画像処理ユニット20により左後側方検知範囲61又は右後側方検知範囲62内で物体が検知されたときに、報知器43による報知を行なう。
図3のSTEP1で、報知部14は、画像処理ユニット20により左後側方検知範囲61又は右後側方検知範囲62内で物体が検知されているか否かを判断する。そして、物体が検知されたときはSTEP2に進み、物体が検知されていないときにはSTEP5に進んで処理を終了する。
STEP2で、報知部14は、方向指示器31が操作状態(右方向指示状態又は左方向指示状態)であるか否かを判断する。そして、方向指示器31が操作状態でないときはSTEP10に分岐し、報知部14は、報知器43により第1レベルでの報知(第1報知)を行なって、車両1の運転者に後側方の他車両の存在を認識させる。なお、報知器43としては、音声によるガイダンスやチャイム音を出力する音出力ユニットや、警報表示を行うディスプレイユニットが採用される。
図4(a)は、直線道路において第1報知がなされる状況を例示したものである。この例では、車両1の左後側方検知範囲61内で他車両70が検知され、報知部14により第1報知が実行される。
一方、STEP2で方向指示器31が操作状態であったときにはSTEP3に進み、報知部14は、方向指示器31が、物体が検知されている側を示した操作状態であるか否かを判断する。そして、方向指示器31が物体が検知されている側を示した操作状態であるとき、すなわち、左後側方検知範囲61内で物体が検知されていて、方向指示器31の操作状態が左方向指示状態であるとき、又は右後側方検知範囲62内で物体が検知されていて、方向指示器31の操作状態が右方向指示状態であるときはSTEP4に進む。
STEP4で、報知部14は、報知器43による前記第1レベルよりも報知レベルが高い第2レベルでの報知(第2報知)を実行する。具体的には、第1レベルよりも音出力ユニットの音量を上げ、さらに、ディスプレイにおける警報表示のサイズを大きくする等により、報知部14は報知レベルを高める。そして、STEP5に進み、報知部14は処理を終了する。
図4(b)は、直線道路において第2報知がなされる状況を例示したものである。この例では、車両1の運転者が方向指示器31を操作して、右後側方を他車両70が走行している隣の車線に進路変更を行おうとしていることを、方向指示器31の操作信号から認識したときに、報知部14が、第1報知よりも報知レベルが高い第2報知を行なう。
また、STEP3で、方向指示器31が物体が検知されている側を示した操作状態でないとき、すなわち、左後側方検知範囲61内で物体が検知されていて、方向指示器31の操作状態が右方向指示状態であるとき、又は右後側方検知範囲62内で物体が検知されていて、方向指示器31の操作状態が左方向指示状態であるときは、STEP10に分岐し、報知部14は第1報知を行なってSTEP5に進み、処理を終了する。
次に、図5は、自車両1が交差点を旋回中(図では右折中)であるときに、上述した第1報知を行ったときに生じる不都合を説明するためのものである。車両1が交差点を右折中であるときに、車両1の左後側方に他車両70が接近して直進する場合、他車両70が左後側方検知範囲61内に進入すると、報知部14により第1報知が行なわれる。
しかしながら、車両1の運転者は右折中若しくは右折待機中であって、左方向への進路変更をする意思はない。そのため、この状況下での他車両70の検知に応じて第1報知を行なうと、運転者にとって不必要で煩わしい報知がなされることになる。
また、図6は、車両1が交差点を旋回中(図では右折中)であって、車両1が走行している車線80の内側の車線81を他車両70が走行しているときに、上述した第2報知を行ったときに生じる不都合を説明するためのものである。
車両1が交差点を右折中若しくは右折待機中であるときに、内側の車線81を、車両1の右後側方から他車両70が接近して交差点を右折する場合、他車両70が右後側方検知範囲62内に進入すると、報知部14により第2報知がなされる。
しかしながら、交差点内での進路変更は禁止されているため、車両1の運転者には、内側の車線81への進路変更をする意思はないと想定される。そのため、この状況下で他車両70の検知に応じて第2報知を行なうと、運転者にとって不必要で煩わしい報知がなされることになる。
そこで、検知範囲変更部12と報知レベル変更部13は、図5,図6で示したような状況下で、運転者にとって不必要で煩わしい報知がなされることを抑制するための処理を行う。以下、図7に示したフローチャートに従って、この処理について説明する。
図7のSTEP20,STEP21は、交差点認識部11による処理である。交差点認識部11は、STEP20で、以下の表1に示した6個の判定条件J1〜J6の成立の有無を判断し、成立した条件について、予め重み付けを持たせた値A1〜A6を付与して合算した交差点認識の判定値を算出する。
なお、上記J2,J4,J6の判定条件を用いるために、制御ユニット10のメモリには、車両1の発進履歴と制動履歴と進路変更履歴のデータが保持されている。
次のSTEP21で、交差点認識部11は、交差点認識の判定値が所定値以上になったか否かを判断し、判定値が所定値以上になったとき(車両1が交差点を旋回中であると認識したとき)はSTEP22に進み、判定値が所定値よりも小さいときにはSTEP24に分岐して、処理を終了する。
なお、必ずしも6個の判定条件J1〜J6の全てを用いて認識する必要はなく、J1〜J6のうちの少なくとも2以上を用いて、車両1が交差点を旋回中であることを認識すればよい。
STEP22は検知範囲変更部12による処理である。検知範囲変更部12は、図8に示したように、車両1の旋回方向(右折方向)の外側の検知範囲である左後側方検知範囲61を、車両1に接近する方向(図では自車両1の進行方向)に縮小する。これにより、上述した図5の状況と比較して、車両1と他車両70との間隔がさらに狭くなるまで、報知部14による第1報知がなされなくなるため、自車両1の運転者にとって不必要で煩わしい報知がなされることを抑制することができる。
また、図9に示したように、左後側方検知範囲61をさらに縮小して、左後側方検知範囲61を設定しない状態にしてもよい。この場合には、交差点を直進する他車両70の検知がなされないため、他車両70の検知に応じた報知が禁止される。
続くSTEP23は、報知レベル変更部13による処理である。報知レベル変更部13は、第2報知における報知器43の報知レベルを、第1報知における報知レベルと同程度まで下げる。
これにより、図6に示したような状況下で、内側の右折車線81を走行する他車両70が右後側方検知範囲62内で検知されたときに、報知器43による大音量或いは視認性の高い報知によって、運転者にとって不必要で煩わしい報知がなされることを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、本発明の後側方物体検知部を、左後側方カメラ21及び右後側方カメラ22と画像処理ユニット20とにより構成する例を示したが、レーダー等の他の種類の物体検知装置を用いて、後側方物体検知部を構成してもよい。
また、本実施の形態では、右側通行で車両が走行する場合を例にして説明したが、左側通行で車両が走行する場合には、自車両が交差点を左折するときに、運転者にとって不必要で煩わしい報知がなされることを抑制する効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、図7のSTEP23で、報知レベル変更部13により第2報知のレベルを下げる処理を行ったが、この処理を行わない場合であっても本発明の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、交差点認識部11は、上記表1に示した判定条件を用いて車両1が交差点を旋回中であることを認識したが、GPSユニット41により検出される車両1の位置の履歴と、地図DB42から取得可能な地図データとに基づいて、車両1が交差点を旋回中であることを認識する等、他の構成により車両1が交差点を旋回中であることを認識するようにしてもよい。