JP5355038B2 - 非焼結式ニッケル極及びアルカリ蓄電池 - Google Patents
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Description
この種のニッケル製の金属体には、スポンジ状のものがある。スポンジ状の金属体は、現在、発泡ウレタンに金属めっきをしてから、発泡ウレタンを加熱分解させて作製されている。このとき、金属めっきの目付量は、例えば400g/m2に設定される。
また、スポンジ状の金属体では、目付量を300g/m2とした場合、めっき厚さが11μm以下にはなるものの、導電性が低下してしまう。このようなスポンジ状の金属体を含む非焼結式ニッケル極を用いてアルカリ蓄電池を作製した場合、高率放電特性等の特性が低下してしまう。
本発明は上述した事情に基づいてなされ、その目的とするところは、アルカリ蓄電池に適用したときに、当該電池の放電特性及びサイクル寿命が改善され、内部短絡が防止される非焼結式ニッケル極を提供することにある。
また、本発明の他の態様によれば、上記非焼結式ニッケル極と、負極と、アルカリ電解液とを備えることを特徴とするアルカリ蓄電池が提供される(請求項3)。
また、この非焼結式ニッケル極によれば、金属繊維の平均長が長いことにより、巻回されたときに表面から突出する金属繊維の数が少ない。その上、金属繊維の平均壁厚が5μm以下であり、表面から突出する金属繊維の強度が低い。
請求項3のアルカリ蓄電池は、非焼結式ニッケル極の導電性が高いため、高率放電特性において優れている。また、導電性が高いことにより、非焼結式ニッケル極では活物質の利用率が高く、このアルカリ蓄電池は長寿命である。更に、この非焼結式ニッケル極によれば、巻回されたときに表面から突出する金属繊維の数が少なく、且つ、金属繊維の強度が低いので、金属繊維がセパレータを突き破ることが防止される。この結果として、このアルカリ蓄電池が円筒形の場合には、内部短絡も防止される。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものを用いることができる。
正極合剤は、正極活物質粒子と、正極板の特性を改善するための種々の添加剤粒子と、これら正極活物質粒子及び添加剤粒子の混合粒子を正極芯体に結着するための結着剤とからなる。
結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等をそれぞれ用いることができる。
具体的には、結着剤として、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及び、ポリアクリル酸ナトリウム(SPA)のうちから選択される1種以上を使用することができる。正極合剤は、例えば、正極活物質粒子100質量部に対して、例えば0.1質量部以上0.5質量部以下の結着剤を含む。
フェルト状の3次元の網目構造を有する正極芯体は、以下のように作製することが出来る。
不織布の目付量は、例えば、25g/m2以上60g/m2以下の範囲にある。また、図3を参照すると、繊維40の外径Doの平均値は、例えば、50μm以上130μm以下の範囲にあり、繊維40の長さLoの平均値は、例えば、40mm以上70mm以下の範囲にある。このような不織布は、例えば、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法等によって作製することができる。
従って、正極芯体は、繊維40の外形形状を複製した多数の中空の金属繊維によって構成されている。そして、正極芯体にあっては、不織布での繊維40同士の接合部の外形形状をも複製しており、金属繊維同士が接合されている。
また、正極芯体の単位面積当たりの質量、則ち目付量は、250g/m2以上400g/m2以下の範囲にある。
正極板24は、以下のようにして作製することができる。
正極芯体に正極合剤になるペーストを充填し、ペーストを乾燥させる。それから、乾燥状態の正極合剤が充填された正極芯体を圧延して厚みを調整した後、所定の寸法に裁断し、正極板24が得られる。
そして、この正極板24によれば、金属繊維の平均長が長いことにより、巻回されたときに表面から突出する金属繊維の数が少ない。その上、金属繊維の平均壁厚が5μm以下であり、表面から突出する金属繊維の強度が低い。
まず、正極芯体としての金属体を以下のようにして作製した。
表1に示すa−1〜e4の条件でフェルト状の不織布の作製を試みた。これらの条件は、不織布の繊維の外径の平均値と長さの平均値において相互に異なっている。一方、いずれの条件でも、繊維はPPとPEの混合繊維であり、不織布の作製方法としては、乾式法を採用した。不織布の目付量は30g/m2である。
得られた不織布に、ニッケルを300g/m2の目付量にてめっきした。それから、ニッケルめっきされた不織布を酸素の存在下で加熱して、PPとPEの混合繊維を分解した。続けて、残ったニッケルめっきを還元雰囲気下で焙焼し、ニッケルからなるフェルト状の3次元の網目構造を有する正極芯体を作製した。
一方、z−1及びz−2の条件では、フェルト状ではなく、発泡ウレタンを用意した。そして、発泡ウレタンに、ニッケルを300g/m2及び400g/m2の目付量にてそれぞれめっきした。それから、ニッケルめっきされた発泡ウレタンを酸素の存在下で加熱して、発泡ウレタンを分解した。続けて、残ったニッケルめっきを還元雰囲気下で焙焼し、ニッケルからなるスポンジ状の3次元の網目構造を有する正極芯体を作製した。
かくして得られた正極芯体としての金属体に、正極合剤になるペーストを充填し、ペーストを乾燥させた。そして、正極合剤が充填された金属体を、厚さが0.5mmになるよう圧延してから所定寸法に裁断し、正極板を作製した。
なお、ペーストは、活物質粉末100質量部に、濃度が0.3質量%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液30質量部を添加混合して作製した。活物質粉末は、主成分として水酸化ニッケル粒子の表面に高導電性の被覆層が形成された粒子と、コバルト化合物とを含有する。被覆層はナトリウムを含有する高次コバルト化合物からなる。
市販の金属元素をMm1.0Ni3.4Co0.8Al0.2Mn0.6となるように秤量して混合したものを高周波溶解炉にて溶解し、この溶湯を鋳型に流し込んで水素吸蔵合金インゴットを作製した。そして、このインゴットを予め粗粉砕してから、不活性ガス雰囲気中で機械的に粉砕した。この後、粉砕された水素吸蔵合金の粉末を篩い分けし、平均粒径が50μm程度の水素吸蔵合金粉末を得た。
得られた正極板及び負極板を、セパレータとして厚み0.15mmのポリプロピレン製不織布を介して渦巻状に巻回して電極群を作製し、AAサイズの外装缶にこの電極群を挿入した。この後、蓋板に対する正極リードの取付工程を行うとともに、7.0Nのアルカリ電解液を外層缶内に注液した。このアルカリ電解液は、1.0NのLiOHと、1.0NのNaOHと、5.0NのKOHとを含む。それから、外装缶の開口縁をかしめて蓋板を固定し、容量が2000mAhであるAAサイズの円筒形のニッケル水素二次電池を作製した。
(1)高率放電試験
得られた各電池について、25℃の周囲温度にて、200mA(0.1It)の充電電流で16時間充電を行ってから、25℃の周囲温度にて、20A(10It)の放電電流で0.6Vの放電終止電圧まで放電させた。この放電時に測定した各電池の平均作動電圧を、高率放電作動電圧として表2に示す。
得られた各電池について、2A(1.0It)の充電電流でdV制御(ΔV=−10mV)にて充電してから、30分の休止をおいて、5A(2.5It)の放電電流で0.8Vの終止電圧まで放電させる充放電サイクルを、放電容量が1200mAh以下になるまで繰り返し、そのサイクル数を測定した。この結果をサイクル寿命として表2に示す。
(3)短絡率
得られた電池のうち、(2)のサイクル試験の結果が550サイクル以上であったものと同じ仕様の各電池について、それぞれ10000個ずつ電池電圧の測定を行い、短絡不良の発生率を調べた。結果を表2に示す。
表2からは以下のことが明らかである。
(1)金属繊維平均外径が70μm超、かつ、金属繊維の平均長が40mm以上である実施例1及び2では、平均外径が70μm未満、且つ、平均長が40mm未満である比較例2及び3と比べて、短絡率が顕著に低い。これは、比較例2及び3で用いられた金属芯体は、相対的に多数の金属繊維を含み、正極板が巻回されたときに、正極板の表面から多数の金属繊維が突出したためと考えられる。
(2)また、実施例1、2及び参考例1、2では、比較例1、2、3、4、5及び6と比べて、高率放電作動電圧が高く、そして、サイクル寿命が長い。これは、実施例1、2及び参考例1、2で用いられた金属芯体の金属繊維平均長が40mm以上と長く、導電性が高いためと考えられる。
(4)金属繊維の平均長が40mm以上70mm以下の範囲にあり、金属繊維の平均外径が70μm超140μm以下の範囲にあり、金属繊維の平均壁厚が4μm以上5μm以下の範囲にある実施例1及び2は、比較例1〜11に比べ、サイクル寿命が長い。
22 電極群
24 正極板(非焼結式ニッケル極)
26 負極板
28 セパレータ
Claims (3)
- 中空の金属繊維によって構成される3次元の網目構造の芯体と、前記芯体に保持された活物質としてのニッケル酸化物を含む合剤とを備え、
前記金属繊維の平均外径は、70μm超140μm以下の範囲にあり、
前記金属繊維の平均長は、40mm以上70mm以下の範囲にあり、そして、
前記金属繊維の平均壁厚は、4μm以上5μm以下の範囲にある
ことを特徴とする非焼結式ニッケル極。 - 前記金属繊維は、有機材料からなる繊維を互いに密着させることにより形成された不織布に金属材料をめっきした後、前記有機材料を加熱分解して得られ、前記不織布の繊維の外形形状を複製した金属繊維である
ことを特徴とする請求項1に記載の非焼結式ニッケル極。 - 請求項1又は2に記載の非焼結式ニッケル極と、負極と、アルカリ電解液とを備えることを特徴とするアルカリ蓄電池。
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