JP6049048B2 - ニッケル水素二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル水素二次電池に関する。
ニッケル水素二次電池は、ニッケルカドミウム二次電池に比べて高容量で、且つ環境安全性にも優れているという点から、各種の携帯電子機器等、様々な用途に使用されるようになっている。
このようなニッケル水素二次電池に用いられる正極としては、例えば、非焼結式正極が知られている。この非焼結式正極は、従来用いられていた焼結式正極に比べて正極活物質を高密度で充填できるメリットがある。しかしながら、この非焼結式正極は、活物質を高密度で充填できるものの、活物質としての水酸化ニッケル粒子の導電性が比較的低いため、活物質の利用率が低くかった。
そこで、非焼結式正極における活物質の利用率を高めるために、前記水酸化ニッケル粒子の表面に導電性が高められたコバルト化合物からなる導電性ネットワークを形成することが行われている。斯かるコバルト化合物としては、例えば、価数を3価よりも高次化したオキシ水酸化コバルト等が用いられる。このように、導電性ネットワークが形成されると正極活物質の導電性は改善され、活物質の利用率が向上するため、ニッケル水素二次電池においては、更なる高容量化が図られる。
ところで、ニッケル水素二次電池は、使用に際し、充電及び放電が繰り返し行われる。この充電及び放電にともなう充放電反応により、ニッケル水素二次電池の内部では、導電性ネットワークを形成するコバルト化合物の価数が僅かに低下する。そして、充放電の繰り返しの回数が増えていくと、コバルト化合物は、その価数の低下が蓄積されていき、それにともない徐々に導電性が低下していく。このため、導電性ネットワークは機能を充分に発揮できなくなり次第に電池の容量が低下していく。また、放電の末期には、導電性ネットワークを形成するコバルト化合物が部分的に還元され、溶出する現象も起こる。コバルト化合物において還元・溶出が起こると、前記導電性ネットワークは部分的に破壊されてしまうため、正極の導電性は低下して充電受入性が損なわれるとともに正極活物質の利用率が低下して容量低下を招いてしまう。
このように、高容量化が図られたニッケル水素二次電池においては、充放電のサイクル数の増加にともない容量低下を起こす不具合が生じるため、サイクル寿命特性の改善が望まれている。ここで、サイクル寿命特性の改善が試みられた電池としては、例えば、特許文献1に記載のアルカリ蓄電池が知られている。
特許文献1に記載のアルカリ蓄電池は、導電性ネットワークを形成するコバルト化合物に水酸化リチウムあるいはリチウムを添加している。斯かる水酸化リチウムあるいはリチウムは、コバルト化合物を安定化させ、充放電サイクルにともなうコバルト化合物の価数の低下や還元・溶出反応を抑制し、ニッケル水素二次電池のサイクル寿命特性の向上に寄与する。
特許2953463号公報
上記したように、ニッケル水素二次電池のサイクル寿命特性を向上させるには、水酸化リチウムの添加が有効である。しかしながら、水酸化リチウムの量を増加させると、電池内において、斯かる水酸化リチウムの一部が負極側に移動し、水素吸蔵合金の表面に積層するなどして負極中の水酸化リチウムの濃度が上昇する。この水酸化リチウムは、導電性が比較的低いので、負極中に多く存在すると、負極の導電性を低下させ、特に低温環境下での電池反応を抑制してしまう。水酸化リチウムを添加したニッケル水素二次電池においては、低温環境下での放電特性(以下、低温放電特性という)が低下するという問題が生ずる。しかし、低温放電特性を改善するために、水酸化リチウムの添加量を少なくすれば、電池のサイクル寿命は短くなってしまう。
このように、従来のニッケル水素二次電池では、サイクル寿命特性を向上させるには、低温放電特性をある程度犠牲にしなければならず、逆に、低温放電特性を向上させるには、サイクル寿命特性をある程度犠牲にしなければならない。つまり、従来のニッケル水素二次電池は、サイクル寿命特性と低温放電特性との両立が困難という課題がある。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、サイクル寿命特性及び低温放電特性の両立を図ることができるニッケル水素二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者は、ニッケル水素二次電池において、サイクル寿命特性及び低温放電特性の両立を図る手段を鋭意検討した。本発明者は、この検討過程で、サイクル寿命特性の向上には、アルカリ電解液中にLiOHを多く含ませることが有効であり、電池の低温放電特性を改善するには、負極中のLiOH濃度をなるべく低く抑え、正極側にLiOHを偏在させる態様とすることが有効であることを見出した。このような知見から、本発明者は、アルカリ電解液内のLiOHの量及び正極中のLiの量を制御するとともに負極に用いる水素吸蔵合金を特定し、ニッケル水素二次電池の構成の組合せを最適化することにより、本発明に想到した。
すなわち、本発明によれば、容器内に電極群がアルカリ電解液とともに密閉状態で収容され、前記電極群がセパレータを介して互いに重ね合わされた正極及び負極からなるニッケル水素二次電池において、前記アルカリ電解液は、溶質として少なくともLiOHを含み、前記溶質の総規定度をA(N)、LiOHの規定度をB(N)とした場合に、次の(I)式の関係を満たしており、
2.03≧B/(0.036×A2−0.84×A+5.56)>1・・・(I)
前記正極は、水酸化ニッケルを主成分とするベース粒子がLiを含有するCo化合物からなる導電層で覆われた正極活物質粒子を含み、前記正極中に含まれるLiの量が前記ニッケル水素二次電池内に存在するLiの総量の70%以上であり、前記負極は、希土類元素、Mg及びNiを含む希土類―Mg―Ni系水素吸蔵合金を有している、ことを特徴とするニッケル水素二次電池が提供される。
また、前記アルカリ電解液は、前記溶質としてKOH及びNaOHのうちの少なくとも一方を更に含む態様とすることが好ましい。
より好ましくは、前記アルカリ電解液は、前記ニッケル水素二次電池の容量当たりの液量が、1.3ml/Ah以下である態様とする。
更に、前記正極中に含まれるLiの量が前記ニッケル水素二次電池内に存在するLiの総量の90%以上である態様とすることが好ましい。
ここで、前記希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、Mn及びCoを除いて構成された組成からなる態様とすることが好ましい。
より好ましくは、前記希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、一般式:Ln1−xMg(Ni1−y(ただし、式中、Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ca、Sr、Sc、Y、Ti、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも一つの元素、Tは、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Fe、Al、Ga、Zn、Sn、In、Cu、Si、PおよびBから選ばれる少なくとも一つの元素、添字x、y、zは、それぞれ0<x≦1、0≦y≦0.5、2.5≦z≦4.5を示す)で表される組成を有する態様とする。
本発明によれば、ニッケル水素二次電池において、低温放電特性を低下させることなく、サイクル寿命特性を向上させることができるので、サイクル寿命特性と低温放電特性の両立を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るニッケル水素二次電池を部分的に破断して示した斜視図である。
以下、本発明に係るニッケル水素二次電池(以下、単に電池と称する)2を、図面を参照して説明する。
本発明が適用される電池2としては特に限定されないが、例えば、図1に示すAAサイズの円筒型の電池2に本発明を適用した場合を例に説明する。
図1に示すように、電池2は、上端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を備えている。外装缶10は導電性を有し、その底壁35は負極端子として機能する。外装缶10の開口内には、導電性を有する円板形状の蓋板14及びこの蓋板14を囲むリング形状の絶縁パッキン12が配置され、絶縁パッキン12は外装缶10の開口縁37をかしめ加工することにより外装缶10の開口縁37に固定されている。即ち、蓋板14及び絶縁パッキン12は互いに協働して外装缶10の開口を気密に閉塞している。
ここで、蓋板14は中央に中央貫通孔16を有し、そして、蓋板14の外面上には中央貫通孔16を塞ぐゴム製の弁体18が配置されている。更に、蓋板14の外面上には、弁体18を覆うようにしてフランジ付き円筒形状の正極端子20が固定され、正極端子20は弁体18を蓋板14に向けて押圧している。なお、この正極端子20には、図示しないガス抜き孔が開口されている。
通常時、中央貫通孔16は弁体18によって気密に閉じられている。一方、外装缶10内にガスが発生し、その内圧が高まれば、弁体18は内圧によって圧縮され、中央貫通孔16を開き、この結果、外装缶10内から中央貫通孔16及び正極端子20のガス抜き孔を介してガスが放出される。つまり、中央貫通孔16、弁体18及び正極端子20は電池のための安全弁を形成している。
外装缶10には、電極群22が収容されている。この電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28からなり、これらは正極24と負極26との間にセパレータ28が挟み込まれた状態で渦巻状に巻回されている。即ち、セパレータ28を介して正極24及び負極26が互いに重ね合わされている。電極群22の最外周は負極26の一部(最外周部)により形成され、外装缶10の内周壁と接触している。即ち、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。
そして、外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に正極リード30が配置されている。詳しくは、正極リード30は、その一端が正極24の内端に接続され、その他端が蓋板14に接続されている。従って、正極端子20と正極24とは、正極リード30及び蓋板14を介して互いに電気的に接続されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の絶縁部材32が配置され、正極リード30は絶縁部材32に設けられたスリット39を通して延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の絶縁部材34が配置されている。
更に、外装缶10内には、アルカリ電解液(図示せず)が注入されている。このアルカリ電解液は、電極群22に含浸され、正極24と負極26との間での充放電反応を進行させる。このアルカリ電解液としては、溶媒に水を用い、溶質に少なくとも水酸化リチウム(LiOH)を含む水酸化リチウムの水溶液が用いられる。ここで、このアルカリ電解液には、溶質として、水酸化カリウム(KOH)及び水酸化ナトリウム(NaOH)のうちの少なくとも一方を更に含有させることが好ましい。
本発明においては、アルカリ電解液にLiOHをなるべく多く含ませる。つまり、本発明で用いるアルカリ電解液は、溶媒としての水の中にLiOHが飽和状態を超えて含まれている。このように、アルカリ電解液にLiOHが多く含まれていると、LiOHあるいはLiを正極側に偏在させることが容易となる。その結果、正極の導電性ネットワークを安定化でき、良好な導電性の確保に寄与する。
ここで、電池内の水分に対してLiOHが飽和状態となる基準は、温度、アルカリカチオンの濃度、量に依存するため、本発明者は、LiOHが飽和状態となる条件につき鋭意検討した。その結果、以下のような関係を見出した。
常温域(25℃)において、一定量の水(溶媒)に対して、溶解している溶質の総規定度をA(N)とし、溶質のうちのLiOHが飽和する濃度をLiOH飽和濃度U(N)とした場合、Uは次の式(II)で求められる。
U=0.036×A2−0.84×A+5.56・・・(II)
ここで、例えば、溶質の総規定度Aが6(N)の場合、LiOH飽和濃度Uは1.82(N)、溶質の総規定度Aが7(N)の場合、LiOH飽和濃度Uは1.44(N)、溶質の総規定度Aが8(N)の場合、LiOH飽和濃度Uは1.14(N)となる。つまり、LiOHの濃度が、これらLiOH飽和濃度Uの値を超えると飽和状態を超えて、いわゆる過飽和状態となる。
以上の知見から、アルカリ電解液中に実際に含有させるLiOHの規定度をB(N)とした場合、本発明のアルカリ電解液としては、B/(0.036×A2−0.84×A+5.56)>1の関係を満たすものを用いる。つまり、この関係を満たしていれば、LiOHは、過飽和な状態となり、アルカリ電解液中に多く含まれていることになる。
なお、具体的な電池内のカチオン量は、以下の方法により求めることができる。まず、電池の質量を測定する。その後、電池を分解し、斯かる電池の構成部材を80℃で乾燥する。そして、乾燥後の電池の構成部材の質量を測定し、その変化量から水分量を算出する。次いで、電池の構成部材のうちから極板及びセパレータを取り出して硝酸により溶解処理を行う。その後、溶解液からK、Na、Liを定量し、KOH、NaOH、LiOHに換算してカチオン量を求める。
ここで、電池の単位容量当たりの電解液の液量(容量液比)を増加させていくと電池反応に必要な電解液量が十分確保されるので、低温放電特性及びサイクル寿命特性は向上する。しかし、アルカリ電解液の液量が、1.3ml/Ahを超えると、低温放電特性及びサイクル寿命特性の向上の度合いが低下してくる。このため、電池内に注入されるアルカリ電解液の液量は、ニッケル水素二次電池の容量当たりの液量として求めた場合に、1.3ml/Ah以下の範囲とすることが好ましい。
また、本発明のアルカリ電解液は、正極の導電性ネットワークの安定化に寄与し、正極の導電性を良好にするので、液量が少なくても電池反応を十分進行させることができる。よって、本発明の電池は、従来の一般的な電池の電解液量よりも比較的少ない量の電解液を用いて電池を構成できる。このように、電解液量を少なくできるとその分だけ電池内の活物質量を増やせるので、電池の更なる高容量化にも貢献する。よって、より好ましくは、アルカリ電解液の液量を1.0ml/Ah以下とする。一方、アルカリ電解液の液量が0.5ml/Ah未満となると電池反応が阻害されるので、アルカリ電解液の液量の下限は、0.5ml/Ah以上とすることが好ましい。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものを用いることができる。このセパレータ28は、硫酸によりスルフォン化処理することが好ましい。このスルフォン化処理の後、中和処理が行われるが、このとき、LiOHを使用するとセパレータ中にLiOHを担持できるので好ましい。
正極24は、多孔質構造を有する導電性の正極集電体と、この正極集電体の空孔内に保持された正極合剤とからなる。
このような正極集電体としては、例えば、ニッケルめっきが施された網状、スポンジ状若しくは繊維状の金属体、あるいは、発泡ニッケルシートを用いることができる。
正極合剤は、図1中円S内に概略的に示されているように、正極活物質粒子36と、結着剤42とを含む。この結着剤42は、正極活物質粒子36を互いに結着させると同時に正極合剤を正極集電体に結着させる働きをなす。ここで、結着剤42としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ディスパージョン、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)ディスパージョンなどを用いることができる。
一方、上記した正極活物質粒子36は、ベース粒子38と、ベース粒子38の表面を覆う導電層40とを有している。
ベース粒子38は、水酸化ニッケル粒子又は高次の水酸化ニッケル粒子である。ベース粒子38の平均粒径は、8μm〜20μmの範囲内に設定することが好ましい。非焼結式正極においては、正極活物質の表面積を増大させることにより、正極の電極反応面積を増大させることができ、電池の高出力化を図ることができるので、正極活物質のベースとなるベース粒子38としても、その平均粒径を20μm以下の小径粒子とすることが好ましい。ただしベース粒子の表面に析出させる導電層40の厚さを同等とした場合に、ベース粒子38を小径にするほど導電層40の部分の割合が多くなり単位体積当たりの容量の低下を招く弊害がある。また、ベース粒子38の製造歩留まりを考慮して粒径は8μm以上とすることが好ましく、より好ましくは10μm〜16μmとする。
なお、上記した水酸化ニッケルには、コバルト及び亜鉛のうちの少なくとも一方を固溶させることが好ましい。ここで、コバルトは正極活物質粒子間の導電性の向上に寄与し、亜鉛は、充放電サイクルの進行に伴う正極の膨化を抑制し、電池のサイクル寿命特性の向上に寄与する。
ここで、水酸化ニッケル粒子に固溶される上記元素の含有量は、水酸化ニッケルに対して、コバルトが2〜6重量%、亜鉛が3〜5重量%とすることが好ましい。
ベース粒子38は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、硫酸ニッケルの水溶液を調製する。この硫酸ニッケル水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させることにより水酸化ニッケルからなるベース粒子38を析出させる。ここで、水酸化ニッケル粒子に亜鉛及びコバルトを固溶させる場合は、所定組成となるよう硫酸ニッケル、硫酸亜鉛及び硫酸コバルトを秤量し、これらの混合水溶液を調製する。得られた混合水溶液を攪拌しながら、この混合水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させることにより水酸化ニッケルを主体とし、亜鉛及びコバルトを固溶したベース粒子38を析出させる。
導電層40は、リチウムを含有しているコバルト化合物(以下、リチウム含有コバルト化合物という)からなる。このリチウム含有コバルト化合物は、詳しくは、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)やコバルト水酸化物(Co(OH)2)などのコバルト化合物の結晶中にリチウムが取り込まれた化合物である。このコバルト化合物は極めて高い導電性を有することから、正極内にて活物質の利用率を高めることができる良好な導電性ネットワークを形成する。そして、コバルト化合物に取り込まれたリチウムは、コバルト化合物の安定化に寄与する。
この導電層40は、以下の手順により形成される。
まず、ベース粒子38をアンモニア水溶液中に投入し、この水溶液中に硫酸コバルト水溶液を加える。これにより、ベース粒子38を核として、この核の表面に水酸化コバルトが析出し、水酸化コバルトの層を備えた中間体粒子が形成される。得られた中間体粒子は、高温環境下にて空気中に対流させられ、水酸化リチウム水溶液が噴霧されつつ、所定の加熱温度、所定の加熱時間で加熱処理が施される。ここで、前記加熱処理は、80℃〜100℃で、30分〜2時間保持することが好ましい。この処理により、前記中間体粒子の表面の水酸化コバルトは、高次化され導電性の高いコバルト化合物(オキシ水酸化コバルト等)となるとともに水酸化リチウムを介してリチウムを取り込む。これにより、リチウムを含有したコバルト化合物からなる導電層40で覆われた正極活物質粒子36が得られる。
ここで、導電層40としてのコバルト化合物には、ナトリウムを含有させると、導電層の安定性が更に増すので好ましい。前記コバルト化合物にナトリウムを更に含有させるには、高温環境下にて空気中に対流させられた前記中間体粒子に対し、水酸化リチウム水溶液とともに水酸化ナトリウム水溶液を噴霧して加熱処理を行う。これにより、リチウム及びナトリウムを含有したコバルト化合物からなる導電層40で覆われた正極活物質粒子36が得られる。
正極24は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記したようにして得られた正極活物質粒子36、水及び結着剤42を含む正極合剤ペーストを調製する。正極合剤ペーストは例えばスポンジ状のニッケル製金属体に充填され、乾燥させられる。乾燥後、水酸化ニッケル粒子等が充填された金属体は、ロール圧延されてから裁断され、正極24が作製される。
このようにして得られた正極24中においては、図1中の円Sに示すように、表面が導電層40で覆われたベース粒子38からなる正極活物質粒子36が互いに接触し、斯かる導電層40により導電性ネットワークが形成される。
本発明の電池2においては、正極内に含まれるLiの量Wは、電池内に含まれているLiの総量の70%以上とする。
このように、電池内のLiが正極内に偏在することにより、導電性ネットワークを形成するコバルト化合物の価数の低下や還元・溶出反応を抑制し、ニッケル水素二次電池のサイクル寿命特性を向上させることができる。ここで、Liの量Wは、電池内に含まれているLiの総量の80%以上とするとサイクル寿命特性がより向上するので好ましく、より好ましくは、90%以上とする。
ここで、上記した実施態様のような正極活物質粒子に対してLiOHを用いてアルカリ処理する方法は、正極にLiを偏在させる処理が簡易に行えるので好適である。
なお、電池内のLiを正極内に偏在させる手段として、正極合剤ペーストにLiOHを混入させる態様を採ることもできる。
また、正極24には、添加剤として、Y化合物、Nb化合物及びW化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種を更に添加することが好ましい。この添加剤は、充放電が繰り返された場合に、導電層からコバルトが溶出することを抑制し、導電性ネットワークが破壊されることを抑える。このため、サイクル寿命特性の向上に寄与する。なお、前記Y化合物としては、例えば、酸化イットリウム、前記Nb化合物としては、例えば、酸化ニオブ、前記W化合物としては、例えば、酸化タングステン等を用いることが好ましい。
この添加剤は、正極合剤中に添加され、その含有量は、正極活物質粒子100重量部に対して、0.2〜2重量部となる範囲に設定することが好ましい。これは、添加剤の含有量が、0.2重量部より少ないと、導電層からのコバルトの溶出を抑える効果が得られず、2重量部を超えると前記効果は飽和してしまうとともに、正極活物質の量が相対的に低下し容量低下を招くからである。
次に、負極26について説明する。
本発明者は、電池の低温放電特性を向上させる検討の過程で、以下に示すような事項を見出した。
まず、−20℃程度の低温環境でも良好な低温放電特性を確保するには、腐食処理により、負極の水素吸蔵合金の表面にNiリッチな腐食層を形成することが有効である。
また、水素吸蔵合金の種類によって、上記した腐食処理に対する挙動が異なることを見出した。詳しくは、水素吸蔵合金の種類がAB5型系の場合、腐食処理により、結晶レベルでの合金劣化は起きにくいものの、合金粒子の割れが発生することを見出した。一方、水素吸蔵合金の種類が希土類−Mg−Ni系の場合、腐食処理により結晶レベルでの変化は生じるものの、合金粒子の割れが殆ど発生しないことを見出した。
合金粒子に割れが発生すると、放電性が低下するため低温放電特性の確保が難しくなる。このため、上記のように合金粒子の割れが殆ど発生しない希土類−Mg−Ni系合金は、AB5型系合金に比べ、低温放電特性の確保に有効であると考えられる。
また、負極中のLiOHあるいはLiの濃度が低温放電特性に影響を与えることを見出した。ここで、更なる検討の結果、負極の水素吸蔵合金として、AB5型系の合金のようにMn及びCoを含む水素吸蔵合金を用いた場合、これらMn及びCoといった成分が溶出し、正極側のLiOHあるいはLiを遊離させること、及び、遊離したLiOHあるいはLiが負極側へ移動し負極内に蓄積することを見出した。
以上のような知見のもと、本発明においては、希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金を採用することとした。この希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金を含む負極26について、以下に詳しく説明する。
負極26は、帯状をなす導電性の負極基板(芯体)を有し、この負極基板に負極合剤が保持されている。
負極基板は、貫通孔が分布されたシート状の金属材からなり、例えば、パンチングメタルシートや、金属粉末を型成形して焼結した焼結基板を用いることができる。負極合剤は、負極基板の貫通孔内に充填されるばかりでなく、負極基板の両面上にも層状にして保持されている。
負極合剤は、図1中円R内に概略的に示されているが、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子44、導電助剤46及び結着剤48を含む。この結着剤48は水素吸蔵合金粒子44及び導電助剤46を互いに結着させると同時に負極合剤を負極基板に結着させる働きをなす。ここで、結着剤48としては親水性若しくは疎水性のポリマー等を用いることができ、導電助剤46としては、カーボンブラックや黒鉛を用いることができる。
水素吸蔵合金粒子44における水素吸蔵合金としては、希土類元素、Mg、Niを含む希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金が用いられる。詳しくは、Mn及びCoを除いて構成された組成からなる希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金である。より詳しくは、この希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金の組成は、一般式:
Ln1−xMg(Ni1−y
で表されるものが用いられる。
ただし、式中、Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ca、Sr、Sc、Y、Ti、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも一つの元素、Tは、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Fe、Al、Ga、Zn、Sn、In、Cu、Si、PおよびBから選ばれる少なくとも一つの元素を表し、添字x、y、zは、それぞれ0<x≦1、0≦y≦0.5、2.5≦z≦4.5を満たす数を表す。
この希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金の結晶構造は、AB2型及びAB5型が組み合わされてなる、いわゆる超格子構造を有している。
水素吸蔵合金粒子44は、例えば、以下のようにして得られる。
まず、所定の組成となるよう金属原材料を秤量して混合し、この混合物を例えば誘導溶解炉で溶解してインゴットにする。得られたインゴットに、900〜1200℃の不活性ガス雰囲気下にて5〜24時間加熱する熱処理を施す。この後、インゴットを粉砕し、篩分けにより所望粒径に分級して、水素吸蔵合金粒子44が得られる。
また、負極26は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、水素吸蔵合金粒子44からなる水素吸蔵合金粉末、導電助剤46、結着剤48及び水を混練して負極合剤ペーストを調製する。得られた負極合剤ペーストは負極基板に塗着され、乾燥させられる。乾燥後、水素吸蔵合金粒子44等が付着した負極基板はロール圧延及び裁断が施され、これにより負極26が作製される。
なお、負極内のLi量は、水素吸蔵合金に対し0.2重量%以下に規制することが、低温放電特性向上のために好ましい。
以上のようにして作製された正極24及び負極26は、セパレータ28を介在させた状態で、渦巻き状に巻回され、電極群22に形成される。
このようにして得られた電極群22は、外装缶10内に収容される。引き続き、当該外装缶10内には所定量のアルカリ電解液が注入される。その後、電極群22及びアルカリ電解液を収容した外装缶10は、正極端子20を備えた蓋板14により封口され、本発明に係る電池2が得られる。
得られた電池2は、使用可能状態とするために活性化処理が施される。このとき、斯かる活性化処理は、60℃以上の高温で充電状態で行うことが好ましい。この態様の活性化処理によれば、アルカリ電解液中、正極合剤中及びセパレータ中に存在する水酸化リチウムからリチウムを取り込み、正極活物質の導電層にリチウムを容易に固定でき、正極へのリチウムの偏在化が容易に行える。
以上のように、本発明の電池2は、LiOHが過飽和状態のアルカリ電解液を用いる構成と、正極中に含まれるLiの量を電池2内に含まれるLiの総量の70%以上とする構成と、負極26に含まれる水素吸蔵合金の種類を特定する構成とが組み合わされていることを特徴としている。本発明の電池2は、斯かる構成の組合せの相乗効果により、正極活物質の導電性ネットワークを安定化させて電池のサイクル寿命特性を向上させ、しかも、低温放電特性の劣化を抑制する。このため、本発明の電池2は、サイクル寿命特性の向上及び低温放電特性の向上の両立が図られた優れた電池となっている。
(実施例1)
1.電池の製造
(1)正極の作製
ニッケルに対して亜鉛4重量%、コバルト1重量%となるように、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛及び硫酸コバルトを秤量し、これらを、アンモニウムイオンを含む1N(規定度)の水酸化ナトリウム水溶液に加え、混合水溶液を調整した。得られた混合水溶液を攪拌しながら、この混合水溶液に10N(規定度)の水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して反応させ、ここでの反応中、pHを13〜14に安定させて、水酸化ニッケルを主体とし、亜鉛及びコバルトを固溶したベース粒子38を生成させた。
得られたベース粒子38を10倍の量の純水で3回洗浄した後、脱水、乾燥した。なお、得られたベース粒子38は、平均粒径が10μmの球状をなしている。
次に、得られたベース粒子38をアンモニア水溶液中に投入し、その反応中のpHを9〜10に維持しながら硫酸コバルト水溶液を加えた。これにより、ベース粒子38を核として、この核の表面に水酸化コバルトが析出し、厚さ約0.1μmの水酸化コバルトの層を備えた中間体粒子を得た。ついで、この中間体粒子を80℃の環境下にて酸素を含む高温空気中に対流させ、12N(規定度)の水酸化ナトリウム水溶液及び4N(規定度)の水酸化リチウム水溶液を噴霧して、45分間の加熱処理を施した。これにより、前記中間体粒子の表面の水酸化コバルトが、導電性の高いオキシ水酸化コバルトとなるとともに、オキシ水酸化コバルトの層中にナトリウム及びリチウムが取り込まれ、ナトリウム及びリチウムを含有したコバルト化合物からなる導電層40が形成される。その後、斯かるオキシ水酸化コバルトの層を備えた粒子を濾取し、水洗いしたのち、60℃で乾燥させた。このようにして、ベース粒子38の表面にナトリウム及びリチウムを含有したオキシ水酸化コバルトからなる導電層40を有した正極活物質粒子36を得た。なお、前記ナトリウム及びリチウムは、正極活物質粒子に対し、前記ナトリウムが0.2重量%、前記リチウムが0.1重量%を含有されている。
次に、作製した正極活物質粒子100重量部に、0.3重量部の酸化イットリウム、0.6重量部の酸化ニオブ、0.2重量部のHPC(結着剤42)及び0.2重量部のPTFE(結着剤42)のディスバージョン液を混合して正極合剤ペーストを調製し、この正極合剤ペーストを正極集電体としての発泡ニッケルシートに塗着・充填した。正極活物質粒子が付着した発泡ニッケルシートを乾燥後、ロール圧延して裁断し、リチウムを含有した正極24を得た。ここで、得られた正極中の正極合剤は、図1中円Sに示すように、表面が導電層40で覆われたベース粒子38からなる正極活物質粒子36が互いに接触して存在する態様をなしており、斯かる導電層40により導電性ネットワークが形成されている。
(2)水素吸蔵合金及び負極の作製
先ず、60重量%のランタン、20重量%のサマリウム、5重量%のプラセオジム、15重量%のネオジムを含む希土類成分を調製した。得られた希土類成分、ニッケル、マグネシウム、アルミニウムを秤量して、これらがモル比で0.90:0.10:3.40:0.10の割合となる混合物を調製した。得られた混合物は、誘導溶解炉で溶解され、インゴットとされた。次いで、このインゴットに対し、温度1000℃のアルゴンガス雰囲気下にて10時間加熱する熱処理を施し、その組成が(La0.60Sm0.20Pr0.05Nd0.150.90Mg0.10Ni3.40Al0.10となる水素吸蔵合金のインゴットを得た。この後、このインゴットをアルゴンガス雰囲気中で機械的に粉砕して篩分けし、400メッシュ〜200メッシュの間に残る水素吸蔵合金粒子からなる粉末を選別した。得られた水素吸蔵合金の粉末の粒度を測定した結果、水素吸蔵合金粒子の平均粒径は60μmであった。
得られた水素吸蔵合金の粉末100重量部に対し、ポリアクリル酸ナトリウム0.4重量部、カルボキシメチルセルロース0.1重量部、スチレンブタジエンゴム(SBR)のディスバージョン(固形分50重量%)1.0重量部(固形分換算)、カーボンブラック1.0重量部、および水30重量部を添加して混練し、負極合剤のペーストを調製した。
この負極合剤のペーストを負極基板としての鉄製の孔あき板の両面に均等、且つ、厚さが一定となるように塗布した。なお、この孔あき板は60μmの厚みを有し、その表面にはニッケルめっきが施されている。
ペーストの乾燥後、水素吸蔵合金の粉末が付着した孔あき板を更にロール圧延して裁断し、超格子構造の希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金を含むAAサイズ用の負極26を作成した。
(3)ニッケル水素二次電池の組み立て
得られた正極24及び負極26をこれらの間にセパレータ28を挟んだ状態で渦巻状に巻回し、電極群22を作製した。ここでの電極群22の作製に使用したセパレータ28はポリプロピレン繊維製不織布からなる。ここで、このセパレータ28は、発煙硫酸でスルフォン化処理を施し、NaOHで中和したスルフォンセパレータであり、その厚みは0.1mm(目付量40g/m2)であった。
有底円筒形状の外装缶10内に上記電極群22を収納するとともに、KOH、NaOH及びLiOHを含む水溶液からなるアルカリ電解液を1.6ml注液した。ここで、溶質の総規定度Aは表1に示す値とした。また、KOHの濃度は4.0N(規定度)、NaOHの濃度は3.0N(規定度)とし、LiOHの規定度Bは表1に示す値とした。この後、蓋板14等で外装缶10の開口を塞ぎ、公称容量が2500mAhのAAサイズのニッケル水素二次電池2を組み立てた。このニッケル水素二次電池を電池aと称する。電池aは、分解用及び特性測定用として2個製造した。
なお、この電池aの容量当たりのアルカリ電解液の液量の比(容量液比)は、0.64ml/Ahである。
ここで、溶質の総規定度Aの値及びLiOHの規定度Bの値を用いて、下記の式(III)よりLiOHの過飽和度を求め、得られた値をLiOHの過飽和度として表1に示した。この過飽和度は、値が大きいほどLiOHは飽和状態を超えている度合いが高いことを表す。
LiOHの過飽和度=B/(0.36×A2−0.84×A+5.56)・・・(III)
(4)初期活性化処理
電池aは、以下に示す活性化処理が施された。
まず、電池aに対して、温度25℃の下にて1日放置後、同温度の下、0.1Cの充電電流で16時間の充電を行った。その後、60℃の高温槽に12時間投入した。そして、高温槽から電池aを取り出し、25℃の下に3時間放置して冷却した後、0.2Cの放電電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させた。上記したサイクルからなる初期活性化処理を2回繰り返した。このようにして、使用可能状態の電池aを得た。なお、この初期活性化処理は、充電状態で高温処理するので、充電状態での活性化高温処理と称する。
(5)Liの偏在率
ここで、電池aの分解用のものを分解し、斯かる電池の構成部材を80℃で乾燥する。その後、電池の構成部材のうちから正極板を取り出して硝酸により溶解処理を行う。そして、得られた溶解液からLiを定量し、正極中に存在するLiの量qを求めた。一方、電池aの製造に用いた正極活物質、セパレータ及びアルカリ電解液の中に存在するLiOH量から換算することにより、電池a内に含まれるLiの総量Qを予め求めておき、下記の式(IV)より、正極中のLiの偏在率を求めた。この偏在率が高いほどLiは正極中に偏在していることを表す。この結果を正極中のLi偏在率として表1に示した。
偏在率(%)=q/Q×100・・・(IV)
(実施例2)
正極を作製する際に、中間体粒子に12N(規定度)の水酸化ナトリウム水溶液のみ噴霧して加熱処理を行ったこと、セパレータをLiOHで中和したこと以外は、実施例1の電池aと同様にしてニッケル水素二次電池(電池b)を得た。
(比較例1)
負極を作製する際に、組成がMmNi3.90Co0.50Al0.30Mn0.40(但し、Mmはミッシュメタルを示す)となるAB5型系の水素吸蔵合金を用いたこと以外は、実施例1の電池aと同様にしてニッケル水素二次電池(電池c)を得た。
(比較例2)
以下の初期活性化処理を施したこと以外は、比較例1の電池cと同様にしてニッケル水素二次電池(電池d)を得た。
まず、比較例1の組み立てが完了した電池cに対し、以下に示す活性化処理を施した。すなわち、斯かる電池cを、25℃の下、12時間放置した後、60℃の高温槽に投入し、12時間放置した。その後、高温槽から当該電池を取り出し、25℃の下で3時間冷却した。そして、当該電池に対し、0.1Cの充電電流で16時間の充電を行った後、25℃の下、12時間放置し、その後、0.2Cの放電電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させた。次に、放電後の電池を60℃の高温槽に投入し、12時間放置した。そして、高温槽から取り出し、当該電池を25℃の下で3時間冷却した。冷却後の当該電池に対し、0.1Cの充電電流で16時間充電した後、25℃の下3時間放置した。放置後の電池に対し、0.2Cの放電電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させた。このようにして、使用可能な電池dを得た。なお、この活性化処理は、放電状態で高温処理するので、放電状態での活性化高温処理と称する。
(比較例3)
負極を作製する際に、組成がMmNi3.90Co0.50Al0.30Mn0.40(但し、Mmはミッシュメタルを示す)となるAB5型系の水素吸蔵合金を用いたこと以外は、実施例2の電池bと同様にしてニッケル水素二次電池(電池e)を得た。
(比較例4)
溶質の総規定度A及びLiOHの規定度Bは表1に示す値としたこと、正極を作製する際に、中間体粒子に12N(規定度)の水酸化ナトリウム水溶液のみ噴霧して加熱処理を行ったこと以外は、実施例1の電池aと同様なニッケル水素二次電池(電池f)を得た。
(比較例5)
放電状態での活性化高温処理を施したこと以外は、比較例4の電池fと同様なニッケル水素二次電池(電池g)を得た。
(比較例6)
負極を作製する際に、組成がMmNi3.90Co0.50Al0.30Mn0.40(但し、Mmはミッシュメタルを示す)となるAB5型系の水素吸蔵合金を用いたこと以外は、比較例4の電池fと同様にしてニッケル水素二次電池(電池h)を得た。
(比較例7)
負極を作製する際に、組成がMmNi3.90Co0.50Al0.30Mn0.40(但し、Mmはミッシュメタルを示す)となるAB5型系の水素吸蔵合金を用いたこと以外は、比較例5の電池gと同様にしてニッケル水素二次電池(電池i)を得た。
2.ニッケル水素二次電池の評価
(1)低温放電特性
初期活性化処理済みの電池a〜iに対し、25℃の雰囲気下にて、1.0Cの充電電流で電池電圧が最大値に達した後、10mV低下するまで充電するいわゆる−ΔV充電(以下、単に−ΔV充電という)を行い、次いで、同一の雰囲気下にて3時間放置した後、1.0Cの電流で電池電圧が0.8Vになるまで放電させた。そして、このときの電池の放電容量を測定した。ここで、この放電容量を初期容量とする。
次に、各電池につき、25℃の雰囲気下にて、1.0Cの電流で−ΔV充電を行った。その後、各電池を−20℃の低温雰囲気下にて3時間放置した後、1.0Cの電流で電池電圧が1.0Vになるまで放電させた。このときの電池の放電容量を測定した。この放電容量を低温放電容量とする。そして、次式(V)で示される低温放電率を求めた。
低温放電率(%)=(低温放電容量/初期容量)×100・・・(V)
得られた結果を低温放電率として表1に示した。
(2)サイクル寿命
初期活性化処理済みの電池a〜iに対し、25℃の雰囲気下にて、1.0Cの充電電流で、−ΔV充電を行った。充電が終了した電池を同一の雰囲気下で1時間放置した後、1.0Cの放電電流で、電池電圧が1.0Vになるまで放電させた。斯かる充電工程及び放電工程を1サイクルとした。そして、このときの電池の放電容量を測定した。ここで、第1回目のサイクルの際の放電容量を第1回目容量とする。
上記した充電工程及び放電工程を繰り返し、繰り返し回数を計数するとともに、各回の放電容量を測定した。そして、電池の放電容量が第1回目容量の60%となったときにサイクル寿命に達したものとした。このときの回数をサイクル寿命として、表1に示した。
Figure 0006049048
(3)表1の結果について
(i)LiOHの過飽和度が1を超えた構成と、正極中にLiを偏在させている構成と、負極に含まれる水素吸蔵合金として希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金を用いた構成とを組み合わせて備えている実施例1及び実施例2の電池a,bは、これらの構成の何れか又は全てを備えていない比較例1〜7の電池c〜iの電池に比べ、低温放電率及びサイクル寿命がともに優れている。このことから、上記した構成の全てを備えることが、低温放電特性の向上及びサイクル寿命特性の向上の両立に有効であることがわかる。
(ii)実施例1の電池aは、正極活物質にLiOHによる加熱処理を行っているので、正極中には、Liが多く含まれている。しかも、電池aは、LiOHを多く含むアルカリ電解液を備えており、活性化高温処理を充電状態で行っていることから、電解液中からLiを正極中に更に取り込むことができた。このため、正極中のLiの偏在率を高くすることができたと考えられる。これにより、正極活物質表面の導電性ネットワークが安定化し、サイクル寿命の向上を図ることができた。また、電池aは、水素吸蔵合金としてMn及びCoを必須としていない希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金を用いたことにより、Mn及びCoに起因する負極中のLiOHの濃度の上昇を抑制できた。これにより、低温放電特性の向上を図ることができたと考えられる。このように、電池aは、サイクル寿命特性及び低温放電特性がともに良好であり、これら特性のバランスがとれた優れた電池となっている。
(iii)実施例2の電池bは、実施例1の電池aに比べてアルカリ電解液のLiOHの過飽和度が低くい。また、正極活物質にLiOHによる加熱処理を行っていない。しかし、セパレータの中和処理にLiOHを用いているため、セパレータにLiOHが比較的多く含まれている。よって、充電状態で活性化高温処理を行うことにより、セパレータ中からLiを正極中に取り込むことができ、正極中のLiの偏在率を高められている。このため、電池bは電池aと同等の低温放電特性とサイクル寿命特性とを得ることができたと考えられる。
(iv)比較例1〜3の電池c〜eは、実施例1、2の電池a、bに比べ、低温放電率が低い。これは、比較例1〜3では水素吸蔵合金の種類をMn、Coを含むAB5型系としているため、負極中のLiOHの濃度の上昇が起こり、負極の導電性が低下しているためと考えられる。このことから、水素吸蔵合金にAB5型系を用いることは、低温放電特性の向上に不利であるといえる。
(v)比較例4の電池fは、水素吸蔵合金の種類が希土類―Mg―Ni系であり、正極中のLiの偏在率が70%以上である。しかしながら、アルカリ電解液のLiOHの過飽和度は1以下である。この電池fの低温放電率は、電池aと同等であるものの、サイクル寿命は、電池aより低い。このことから、アルカリ電解液中のLiOHは、過飽和である方がサイクル寿命特性の向上に有効であるといえる。
(vi)比較例5の電池gは、水素吸蔵合金の種類が希土類―Mg―Ni系である。しかしながら、正極中のLiの偏在率は70%以下であり、アルカリ電解液のLiOHの過飽和度は1以下である。この電池gの低温放電率及びサイクル寿命は、電池aよりも低い。また、電池fと比べると、特に低温放電率が低下していることがわかる。このことから、正極中のLiの偏在率が70%以上とすることが低温放電特性の向上にも寄与しているといえる。
(vii)比較例6の電池hは、正極中のLiの偏在率が70%以上である。しかしながら、水素吸蔵合金の種類がAB5型系であり、アルカリ電解液のLiOHの過飽和度は1以下である。この電池gの低温放電率及びサイクル寿命は、電池aよりも低い。このことから、正極中のLiの偏在率を70%以上としただけでは低温放電特性の向上とサイクル寿命特性の向上の両立は困難であるといえる。
(viii)比較例7の電池iは、正極中のLiの偏在率が70%以下であり、水素吸蔵合金の種類がAB5型系であり、アルカリ電解液のLiOHの過飽和度は1以下である。この電池iの低温放電率及びサイクル寿命は、電池aよりも低い。特に、低温放電率は、3%と大幅に低くなっている。このことから、水素吸蔵合金の種類、アルカリ電解液のLiOHの過飽和度及び正極中のLiの偏在率の構成が本発明の構成のように適正に組み合わされていないと低温放電特性の向上とサイクル寿命特性の向上の両立は極めて困難であるといえる。
なお、本発明は、上記した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、ニッケル水素二次電池は、角形電池であってもよく、機械的な構造は格別限定されることはない。
2 ニッケル水素二次電池
22 電極群
24 正極
26 負極
28 セパレータ
36 正極活物質粒子
38 ベース粒子
40 導電層
44 水素吸蔵合金粒子

Claims (6)

  1. 容器内に電極群がアルカリ電解液とともに密閉状態で収容され、前記電極群がセパレータを介して互いに重ね合わされた正極及び負極からなるニッケル水素二次電池において、
    前記アルカリ電解液は、溶質として少なくともLiOHを含み、前記溶質の総規定度をA(N)、LiOHの規定度をB(N)とした場合に、次の(I)式の関係を満たしており、
    2.03≧B/(0.036×A−0.84×A+5.56)>1・・・(I)
    前記正極は、水酸化ニッケルを主成分とするベース粒子がLiを含有するCo化合物からなる導電層で覆われた正極活物質粒子を含み、前記正極中に含まれるLiの量が前記ニッケル水素二次電池内に存在するLiの総量の70%以上であり、
    前記負極は、希土類元素、Mg及びNiを含む希土類―Mg―Ni系水素吸蔵合金を有している、ことを特徴とするニッケル水素二次電池。
  2. 前記アルカリ電解液は、前記溶質としてKOH及びNaOHのうちの少なくとも一方を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載のニッケル水素二次電池。
  3. 前記アルカリ電解液は、前記ニッケル水素二次電池の容量当たりの液量が、1.3ml/Ah以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル水素二次電池。
  4. 前記正極中に含まれるLiの量が前記ニッケル水素二次電池内に存在するLiの総量の90%以上である、ことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のニッケル水素二次電池。
  5. 前記希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、Mn及びCoを除いて構成された組成からなる、ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のニッケル水素二次電池。
  6. 前記希土類−Mg−Ni系水素吸蔵合金は、一般式:Ln1−xMg(Ni1−y(ただし、式中、Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ca、Sr、Sc、Y、Ti、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも一つの元素、Tは、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Fe、Al、Ga、Zn、Sn、In、Cu、Si、PおよびBから選ばれる少なくとも一つの元素、添字x、y、zは、それぞれ0<x≦1、0≦y≦0.5、2.5≦z≦4.5を示す)で表される組成を有する、ことを特徴とする請求項5に記載のニッケル水素二次電池。
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