JP5354609B2 - 夜光ホース - Google Patents
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例えば、整備工場などで利用されている、エアーツールは、エアーコンプレッサーで生成された圧縮空気を使用し、エアーモーターと回転式ハンマーによって、大きなトルクを発生させ、ボルトやナットを回すエアーインパクトレンチを駆動させる。住宅建築現場で用いられる釘打ち機やタッカーなどに於いても同様である。この時、エアーコンプレッサーからこれらのエアーツールへ圧縮空気を供給するためには、エアーホースが用いられ、エアーツールのハンドリングを考慮し、柔軟性や可とう性が要求される。また、多種多様のエアーツールを用いる場合はエアーホースで色分けし視認性を向上させ区別する場合もある。
しかしながら、これまでのエアーホースなどのホース類は、夜間になるとそれ自体の視認性に乏しく、夜間の作業性に劣るなどの問題がある。
このほか、安全面で住宅建築現場において不意の停電やブレーカー遮断において発生した暗闇でホースが足に絡まり作業上危険な場合が発生していた。
しかしながら、夜光塗料を用いて製作した夜光ホースでは、塗料が剥がれ落ちてしまう、夜光成分の特性から水分付着による劣化などの課題がある。
また、夜光テープを貼ったものでは、テープがはがれ易く、また可とう性に乏しく、ホースへ求められる柔軟性に適していないという欠点があった。
さらに、夜光機能を得るために蓄光顔料を樹脂に練り込む場合は、蓄光顔料粉体の組成上、アルミナ粉体が樹脂造粒機を傷めてしまう難点があり、使用できる蓄光顔料に制限があり発光輝度の向上が課題であった。
更には、蓄光顔料粉体は、その組成にアルミナを用いるので硬度が高く、造粒機のシリンダー、スクリューを磨耗させ傷めるだけではなく、金属粉が混入するので造粒後の樹脂も、くすんだ色合いに成ってしまう課題があった。特に、輝度の高い夜光粉体は、粒径が60〜160μmと比較的大きく、前途した理由により樹脂に練り混みができなかった。
また、輝度の低い蓄光粉体を用いて樹脂造粒する場合でも、コンタミネーションの問題から清掃に多くの工数を要した。場合によっては専用機が必要であることの課題がある。
さらに、樹脂に練り込む場合は、10重量%以上の比率で練り込むことをしないと発光を実感できない。また、ホースの構造上、樹脂の厚さ分に比例した量の高価な夜光粉体を準備しないとならないので、コスト高となってしまう。
しかも、樹脂に練り込む場合は、夜光粒同士が影となり、全方向から励起光が当たらなくなるため、発光効率を落とすことになる。
ここで、軟質熱可塑性樹脂は軟質塩化ビニル系樹脂であり、プライマー中間層を構成する樹脂成分は塩化ビニル系樹脂ペーストであることが好ましい。
また、プライマー中間層には、さらに繊維構造体が全周にわたって挟持されていること好ましい。
上記繊維構造体は、好ましくは組紐である。
さらに、本発明のホースにおいて、インナーホース、およびアウターホースは、光の透過性のよい透明樹脂を用いることが好ましい。
更に、昼夜の視認性、デザイン性を得るために、アウターホースに着色する場合は、該アウターホースを着色する顔料としては、蓄光顔料への励起光波長と発光波長を透過する物性を有する材質であることが好ましい。例えば、蛍光イエロー顔料がそれに相当する。
特に、インナーホースとアウターホースのホース中間層であるプライマー中間層は、通常、0.07〜0.2mmのごく薄い層である。この結果、輝度の高い蓄光顔料は、造粒粒径が60〜160umと大きいが、プライマー中間層に挟み込むことで使用が可能となるだけでなく、このプライマー中間層により該顔料が一様に引き伸ばされて配向される結果、発光輝度を明るくすることができる。もちろん、この方法では造粒粒径が60um以下の蓄光顔料を使用することもできる。
一般に、樹脂に蓄光顔料を練り込む場合は、10重量%以上の比率で練り込むことをしないと発光を実感できない。また、樹脂の厚さ分に比例した量の高価な夜光粉体を準備しないとならないので、コスト高となってしまう。本発明のホースの場合は、中間層が、蓄光顔料および樹脂成分を主成分としているので、蓄光顔料を構成する夜光粒がプライマーであるため樹脂成分により一様に引き延ばされる構造を得られるので必要最小限で、最大の輝度を発生できる。
さらに、プライマー中間層は、塩化ビニル系樹脂ペースト(プラスチゾル)などの樹脂成分に蓄光顔料である夜光粉体を適量混ぜ込み、ホース成形時に行うため造粒機の制限を受けないので、前記課題を解決できる。
さらに、インナーホース、アウターホースの中間のプライマー中間層蓄が0.07〜0.2mm、好ましくは0.05〜0.15mmと薄く形成されるので蓄光顔料である夜光粒が一様に引き延ばされ整列する構造を取るので蓄光顔料同士の遮光がなく、発光効率が良い。また、インナーホース、アウターホースが共に透明であると、ホースに対し励起光が通過するので、プライマー中間層に位置する蓄光顔料の全方向から励起できることにより、効率良く励起光があたるので、結果的に効率良く励起できる。
このうち、軟質塩化ビニル系樹脂としては、重合度が1,000〜4,000の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、下記に例示するようなフタル酸エステルなどの可塑剤を60〜100重量部配合した塩化ビニル系樹脂組成物が好ましく用いられる。
本発明のホースは、プライマー中間層2として、従来のインナーホース1とアウターホース3との接着剤成分に加えて、蓄光作用をなす、蓄光顔料を配合することにより、当該プライマー中間層2が、接着成分と蓄光作用をなすものである。
なお、昼夜の視認性、デザイン性を得るために、アウターホースに着色する場合は、アウターホースを着色する顔料として、蓄光顔料への励起光波長と発光波長を透過する物性を有する材質であることが好ましい。例えば、蛍光イエロー顔料がそれに相当する。
この場合、蛍光イエロー顔料としては、「蛍光イエロー」もしくは「蛍光エロー」と称される各種の市販品が上市されている。この場合、蛍光イエロー顔料の配合量は、アウターホースを構成する樹脂成分全体(樹脂のほか、可塑剤、安定剤を含む)に対し、通常、0.3〜1.5重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%である。
上記繊維構造体の編組方法は、例えば、スパイラル巻き,ブレード編み,ニッティング編み、組み紐等があげられる。
すなわち、上記インナーホース1用材料(例えば、軟質塩化ビニル系樹脂組成物)を管状(円筒状)に押出成形する。つぎに、このインナーホース1の外周面に対して、所定の引揃数および打込数で、補強糸をブレード編み等して繊維構造体(中間層)2を形成する。続いて、上記繊維構造体2の外周面に、所定の接着剤(例えば、蓄光顔料含有塩化ビニル系樹脂ペースト)を、ディッピング法,スプレー法,ロールコート法,刷毛塗り等の方法により塗工し、次いで上記アウターホース3用材料(例えば、軟質塩化ビニル系樹脂組成物)を押出成形することにより、インナーホース1の外周面に繊維構造体で補強されたプライマー中間層2が形成され、さらにその外周面にアウターホース3が形成されてなるホース(図2参照)を作製することができる。
さらに、本発明のホースにあっては、夜間作業時における視認性の観点から、プライマー中間層の厚みは、通常、0.07〜0.2mm、好ましくは0.05〜0.15mm、さらに好ましくは0.07〜0.1mmである。
インナーホース用およびアウターホース用の軟質塩化ビニル系樹脂組成物として次のような組成物を調製した。
すなわち、重合度が約2,800の塩化ビニル系樹脂(大洋塩ビ社製のTH2800)100重量部に対し、可塑剤としてジイソノニルフタレートを53重量部、ジ−2−エチルヘキシルアジペート20重量部、そのほか熱安定剤などの添加剤を適量配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物のコンパウンドを調製した。インナーホース用、アウターホース用ともに同じ材料を用いた。
まず、塩化ビニル系樹脂ペーストとして、重合度が750の塩化ビニル系樹脂(大洋塩ビ社製のリューロペースト)100重量部に対し、可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレートを60重量部、ジ−2−エチルヘキシルアジペートを10重量部、そのほか熱安定剤などの添加剤を適量配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物のコンパウンドを調製した。
この塩化ビニル系樹脂ペースト用コンパウンド100重量部に対し、蓄光顔料として、根本特殊化学社製のG300Cを17重量部配合し、蓄光顔料入りの塩化ビニル系樹脂ペースト用コンパウンドを調製した。
繊維構造体用の繊維として、ポリアリレート繊維(クラレ社製、ベクトランHT500デニール)を用いた。
参考例1において、塩化ビニル系樹脂組成物のコンパウンド中に、さらに該塩化ビニル系樹脂コンパウンド100重量部に対し、イエロー系の蛍光顔料(大日精化工業社製DAMJ−754K,ケイコウエロー)を0.4重量部配合して、蛍光顔料入りのコンパウンドを調製した。
上記参考例1のインナーホース用材料を、内径6.3mm、外径7.9で管状(円筒状)に押出成形した後、その外周面に対して、参考例2の蓄光顔料を含有する塩化ビニル系樹脂ペーストをディッピングにより、厚みが0.05〜0.1mmとなるように塗工し、遠赤外線ヒーターを用いオンライン乾燥させた後そして、その外周面に、上記参考例1のアウターホース用材料を肉厚1.0mmで押出成形することで、中間層に蓄光顔料が挟持されたホースを作製した(図1参照)。このようにして得られたホースは、夜間でも鮮明に発光し、視認性が確認された。
また、暗闇に於ける足下の安全確認の面においても優れていた。
上記参考例1のインナーホース用材料を、内径6.3mm、肉厚7.9mmで管状(円筒状)に押出成形した後、その外周面に対して、所定の引揃数および打込数(引揃数:1本、打込数:24本)で、参考例3のポリアリレート繊維(クラレ社製、ベクトランHT500デニールを編組角(θ)54°、糸ピッチ間隔を1.5mmでスパイラルブレード編みして補強糸層を形成した。続いて、上記補強糸層の外周面に、上記参考例2の蓄光顔料入りの塩化ビニル系樹脂ペーストを、ディッピングにより塗工した。そして、上記塗工面をオンライン遠赤外線ヒーターにより乾燥させて、糸層を固定した後に、その外周面に、上記参考例1のアウターホース用材料を肉厚0.8mmで押出成形することにより、インナーホースの外周面に補強糸層が形成され、さらにその外周面にアウターホースが形成されてなるホースを作製した(図2参照)。このようにして得られたホースは、夜間でも鮮明に発光し、視認性が確認された。また、暗闇に於ける足下の安全確保の面においても優れていた。
中間層として、蓄光顔料を含有しない以外は、参考例2と同様の塩化ビニル系樹脂ペーストを用い、実施例1〜2と同様にして、図1あるいは図2に示すようなホースを作製したが、中間層中に蓄光顔料を含有していないため、夜間における視認性は全く発現しなかった。
参考例4で調製したイエロー系の蛍光顔料入りのコンパウンドをアウターホースに用いる以外は、実施例1と同様にして夜光ホースを作成した。
得られたホースは、実施例1と同様の作用・効果を奏するほか、エアーコンプレッサーとのデザイン相性を得ることができ、昼間の視認性にも優れることで、商品性を向上できた。
2:(繊維構造体で補強された)プライマー中間層
3:アウターホース
Claims (6)
- 少なくとも、軟質熱可塑性樹脂からなる、インナーホースとアウターホースから構成されるホースであって、インナーホースとアウターホースとの間に、蓄光顔料を含有するプライマー中間層が全周にわたって介在している夜光ホースであって、かつ該軟質熱可塑性樹脂が軟質塩化ビニル系樹脂であり、しかもプライマー中間層を構成する樹脂成分が塩化ビニル系樹脂ペーストである、夜光ホース。
- プライマー中間層には、さらに繊維構造体が全周にわたって挟持されている請求項1に記載の夜光ホース。
- 繊維構造体が組紐である請求項2に記載の夜光ホース。
- インナーホースおよび/またはアウターホースが透明である、請求項1または2に記載の夜光ホース。
- アウターホースを着色する場合、アウターホースの着色顔料として、蓄光顔料への励起光波長と発光波長を透過する物性を有する材質を用いる、請求項1〜4いずれかに記載の夜光ホース。
- 上記材質が、蛍光イエロー顔料であり、アウターホースを構成する樹脂成分全体に対し、0.3〜1.5重量%含有されている、請求項5に記載の夜光ホース。
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