JP5354409B2 - ファンシーヤーンの特徴付け方法 - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1の上位概念に記載のファンシーヤーンの特徴付け方法に関する。本発明は、繊維研究所(オフライン)だけでなく、例えば紡錘作業や巻繊作業など、繊維生産(オンライン)にも適用可能である。
ファンシーヤーンは、その構造または繊維の組成が通常のスムースヤーンとは異なる糸のことである。このファンシーヤーンは、機織工場やメリヤス工場の製品において、品質を向上させるための要素として利用されている。ファンシーヤーンは通常、スラブと呼ばれる複数の厚いまたは薄い箇所を有する。スラブ径は、スラブどうしの間にある、ベース糸と呼ばれる糸の径よりも非常に大きいまたは小さい。ところが、意図的に厚さに変化を付けて構造化された糸でも、ベース糸が識別されずに、ファンシーヤーンとして数えられることがある。そこで、益々の需要が見込まれるファンシーヤーンに関して、信頼性が高く有効な特徴付け方法が求められている。ベース糸径、スラブ径増分、スラブ質量、スラブ長、スラブ間距離などといった変数は、特に重要である。このような変数は、例えば、現在のファンシーヤーンの品質管理や、特定のファンシーヤーン複製に必要な製造パラメータの識別に使用できる。
糸の特徴付け方法および装置は、既知である。これらは通常、糸を長手方向に容量スキャンおよび/または光スキャンする方法に基づいている。容量スキャンの動作原理では、糸の質量に対応する信号が付与されるが、光スキャンの動作原理では、糸の径に比例した信号が供給される。スキャン信号は、アナログ方式またはデジタル方式で評価され、評価の一つまたは複数の結果が出力される。このような糸の特徴付け方法および装置の例が、欧州特許出願公開第0578975号または欧州特許出願公開第0249741号に開示されている。いずれも、本保護資産の権利所有者によって世界中で販売されている、糸試験システムのUSTER▲R▼TESTERに関するものである。
糸の色彩に関する情報、すなわち分光反射特性に関する情報の取得についても既知である。例えば国際公開第2004/044579号において、糸に光を当てるための多色の光源が提供される。糸によって反射される光は、少なくとも二種類の異なるスペクトル域内で個別に検出される。少なくとも二種類の検出信号から、糸の色彩に関する情報が得られる。異なる波長における、繊維材料の同時光スキャンもまた、スイス特許第674379号または独国特許第19859274号から既知である。
国際公開第2005/071150号、国際公開第2005/038105号および国際公開第2005/037699号は、特にファンシーヤーンについて言及している。国際公開第2005/037699A1号の教示内容を、以下に要約する。
● ベース糸の径の判定方法。最初に、長い糸長にわたって、糸径の平均値を算出する。この平均値を糸径の個々の値から減算する。他の負の値に隣接した、測定済みの負の値の平均値をベース糸径として定義する。
● スラブの始点、終点および長さの判定方法。スラブの始点は、ベース糸の上限径を超えたときに存在し、その径が限界値を超えた部分は、特定の糸の長さにわたって持続している。限界径を下回ったときが、スラブの終点であり、その径が限界値を下回った部分は、ある一定の糸長にわたって持続している。スラブ長は、スラブの始点とスラブの終点との間の距離を表す。
● スラブ径の判定方法。スラブ内で、複数の最大径を判定する。スラブ径は、これら最大径の平均値として定義される。
上述の教示内容により、ファンシーヤーンの有効な特徴付けが可能となるが、いくつかの欠陥も存在している。大量のデータが発生するので、結果が曖昧となり、処理が困難となる。読出しを明確に表現するための好適な可能性に関する詳細については、記載されていない。開示の方法では、ベース糸の径が長すぎたりスラブ長が短すぎたりする結果となる。
本発明の目的は、発生したデータ量を削減するファンシーヤーンの特徴付け方法を明示することである。スラブおよび仮想ベース糸の情報は別々に得られ、出力することができる。さらに本発明によって、ファンシーヤーン特性の視覚的確認を改善することができる。
本発明の目的は、請求項1に記載されている方法によって達成される。各従属請求項には、好ましい実施形態が具体的に記載されている。
好ましくは一連のスラブとベース糸を備えるファンシーヤーンの、本発明による特徴付け方法によれば、ファンシーヤーンの少なくとも一つの特性を、ファンシーヤーンの長手方向沿いにスキャンすることができる。そこで得られたスキャン値が評価され、評価結果が出力される。評価結果の出力としては、ベース糸質量、ベース糸径、スラブ間距離、スラブ増加質量、スラブ径増分、スラブ径、スラブ長および/またはスラブ質量などのファンシーヤーンパラメータが好ましい。評価には、スキャン値の円滑化または理想化が含まれる。好ましい実施形態では、円滑化または理想化されたスキャン値と当初のスキャン値の関連付け、つまり、差分の生成が評価に含まれる。好ましくは、円滑化または理想化されたスキャン値を個別に評価し、一方ではスラブに関する情報を、他方では仮想ベース糸に関する情報を得る。曲線の理想化パラメータを特定することにより、生成されるデータ量を削減できる。
上述のように、測定曲線が定める領域の面積を利用することによって、スラブと糸の欠陥箇所とを確実に識別できる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明についてさら詳細に説明する。
図1に、本発明による方法を実施するための装置1を模式的に示す。前記装置には、ベース糸91とスラブヤーン92および92’とを含み、矢印xで示す長手方向に移動する、ファンシーヤーン9をスキャンするスキャン部2が備わっている。ここでの「スキャン」とは、前記ファンシーヤーン9を、好適に等間隔の複数位置において、順次読出し記録するという意味であることを理解されたい。前記スキャン部2自体は、既知であるため、本明細書でさらに詳細に説明する必要はない。前記スキャン部2は、容量センサ、光センサまたは他のセンサを備え、さらに、複数の同じまたは異なるセンサを備えてもよい。前記スキャン部2は、前記読出しを事前に評価する評価部も備えることができる。前記評価部は、第一のデータリード線23上で、前記ファンシーヤーン9の質量、厚さまたはその他の特性に関する指標となる、好ましい電気信号を出力する。
前記第一のデータリード線23は、前記スキャン部2の出力信号を評価するのに好適な、評価部3に引き込まれている。したがって、前記第一のデータリード線23には、例えばマイクロプロセッサなどといった、好適なアナログおよび/またはデジタル評価部が備わっている。この前記第一のデータリード線23は、さらに、データを格納するためのメモリー装置などといった、別の装置を備えてもよい。前記評価部3は、コンピュータであることが好ましい。
前記装置1はさらに、実測データおよび/または評価の結果を出力する出力部4を備える。前記出力部4は、第二のデータリード線34を介して前記評価部3に接続されている。前記出力部4は、例えば、モニターおよび/またはプリンターであって良い。前記装置1には、ユーザー側でデータを入力するための入力部5を備えることが好ましい。前記入力部5は、例えば、キーボード、マウスおよび/またはタッチスクリーンなどであって良い。
図2に、前記スキャン部2の出力信号100の一例を示す。これにより、例えば前記ファンシーヤーン9の長さ単位(図1を参照)あたりの質量Mの指標となる変数が、前記ファンシーヤーン9の長さを示すx軸方向にプロットされる。このような測定信号Mは通常、糸の容量センサによって付与される。前記ファンシーヤーン9の厚さも、長さ軸x方向に、同様の方法で示されるが、縦軸と横軸とでは、目盛のほか分解能が異なる可能性がある。厚さ信号は通常、光糸センサによって供給される。曲線M(x)は、連続しているとは限らないが、通常、数ミリメートルごとの間隔で前記ファンシーヤーン9上に設けられたスキャンポイント(図2に図示せず)を用いて構成される。前記間隔は、前記スキャン部2のスキャン速度と前記ファンシーヤーン9の移動速度によって異なる。信号M(x)は、ベース糸質量Mまたはベース糸径に対応する、ノイズフロア101を含む。スラブに対応するピーク102は、前記ノイズフロア101から大きく突出している。前記ピーク102があることによって、長いヤーン長にわたる読出しM(x)の平均値Mが、前記ノイズフロア101に対してかなり高くなるので、前記ベース糸質量Mの指標としては好適とはいえない。ところで、図2およびそれ以降の考察内容は例示に過ぎず、本発明の内容を限定するものではないことに留意されたい。また、ファンシーヤーンやベース糸の種類も限定されない。
ベース糸質量Mは、以下のように、本発明によって判定することが好ましい。ここでは、図2に示されている実測質量Mの頻度分布H(M)を判定する。このような頻度分布H(M)は、図3に模式的に示されている。長い糸長にわたる頻度分布H(M)の判定における糸長とは、例えば少なくとも10箇所、好ましくは少なくとも100箇所の、多数のスラブを含むものとして理解されたい。前記ファンシーヤーン9の頻度分布H(M)には、少なくとも二つの極大値121、122が含まれている。すなわち、前記ベース糸91に関する第一の極大値121と、スラブ92、92’...に関する少なくとも一つの第二の極大値とが含まれている。定義から、実質的に全ての前記極大値121、122の中で、最小質量Mを持つ前記ベース糸91に属するのは、前記極大値121だけである。したがって、前記極大値121が頻度分布H(M)において生じる最小質量Mを、ベース糸質量Mとする。糸本体または前記ベース糸91の糸数は、ベース糸質量Mから算出される。同様の方法により、ベース糸の径を算出することもできる。
本発明による、ベース糸質量を判定する方法の別の実施形態によれば、頻度分布H(M)において前記極大値121が生じる最小質量を含む、質量インターバルIが定義される(図3を参照)。質量インターバルIは、「最小」質量に関して対称的であってもよいが、必ずしもその必要はない、つまり、「最小」質量は、最小インターバルIの中間であってもよいが、必ずしもその必要はない。質量インターバルIの上限は、全体的質量平均Mの未満において選択することが好ましい。質量インターバルIの幅と位置は、前記評価部3によって自動的に算出される、例えば、「最小」質量の±5%など、固定方法で事前に規定されたものであってもよいし、またはユーザーが入力してもよい。平均値は、この質量インターバルIで実測された全ての質量Mに対して後で生成される。ベース糸質量は、この平均値として定義される。
図4に、図2の測定曲線M(x)の断面をさらに詳細に示す。以後、スラブ長L、スラブ間距離L、増加質量ΔMおよびスラブ総質量Mなどのさらなるファンシーヤーンパラメータを求める方法について、図4を参照しながら説明していく。
スラブ92の始点103と終点104とを確定するため、ベース糸質量Mより大きい既定の閾値Mを設ける。閾値Mは、例えば「ベース糸質量Mの110%」などとして、前記評価部3によって自動的に算出されても、ユーザーによって入力されても良い。前記スラブ92の始点103は、ノイズフロア101が閾値Mを超えたときの点である。外れ値によるアーチファクトを排除するために、既定の糸長にわたる限界値を超える箇所の存在、すなわち、閾値Mを超える測定ポイントに続き、閾値Mよりも高い値を有するさらなる測定ポイントの存在をコントロールすることも可能である。また、さらに正確に前記スラブ92の前記始点103を定めるには、前記スラブ92の前記始点103を、読出しがベース糸質量Mに対して初めて小さくまたは等しくなる点、すなわち別の既定値または算出値より小さくまたは等しくなる点まで、測定曲線M(x)上をかなり負の方向に遡る。そしてこれを、スラブ92の始点103とする。前記スラブ92の前記終点104も、同様の方法で、必要な変更を加えて判定される。読出しが、信号ピーク102の閾値Mを超えると、読出しがベース糸質量Mより小さくなるまたは等しくなるまで、測定曲線M(x)上をかなり正の方向に進める。必要に応じて、別の閾値を用いてスラブの前記始点103とスラブの前記終点104とを判定することも可能である。
本発明によるスラブ長Lは、前記スラブ92の前記始点103と前記終点104との間の距離である。スラブ間距離Lは、スラブの前記終点104と、後続の信号ピーク102’が属する後続スラブ92’の始点103’との間の距離である。二つの隣接したスラブ92および92’間の距離は、スラブ長とスラブ間距離の合算値L+Lと表わされる。スラブ長Lおよびスラブ間距離Lは、2センチメートルないし数メートルであることが一般的である。
前記ファンシーヤーン9の径増分におおよそ一致する増加質量ΔMは、もっとも単純な事例では、対応する前記信号ピーク102の最大値105とベース糸質量Mとの間の差分として定義される。スラブ長沿いのスキャン信号M(x)の変動を考慮した、増加質量ΔMを判定するための修正された方法を用いることも可能である。したがって、例えば、上記のベース糸出力Mの評価と同様に、対応するスラブ長の範囲内からもっとも一般的な値を選択してもよい。スラブの畝に関する値の平均値の生成も考慮の対象となる。増加質量ΔMは、パーセンテージ値などでベース糸質量Mの倍数として指定することが好ましいが、この場合、ベース糸質量Mは100%として定義することが好ましい。増加質量ΔMは、20%ないし500%とされるのが一般的である。
スラブ92を特徴付けるための別のパラメータが、いわゆるスラブ総質量Mである。これは実質的には、(i)スラブ長Lにわたる測定曲線M(x)の積分と、(ii)このスラブ長Lにわたるヤーン本体の質量M−Lとの差分である。スラブ総質量Mは、前記評価部の算出に基づいて判定される。前記スラブ92の糸数は、ファンシーヤーン質量Mから算出され、前記算出は、スラブ長Lによるスラブ総質量Mの除算を含んでいてもよい。
前記スラブ92の形状もまた、判定および出力される。その形状は、棒状、三角形、段々、台形またはベル状などといった、単純な幾何学形状と照合される。前記形状はそれぞれ、図18のように、出力部4などに出力される。
言及されている個々のスラブの「極大値」パラメータのみならず、一本の糸または複数の糸群の全糸部分の「全体的」パラメータも存在している。このような全体的ファンシーヤーンパラメータは、平均糸数(平均糸質量)であり、これは全ての読出しに対して平均値を生成するなどによって、算出可能である。前記ベース糸91全ての糸数も重要である。さらなる全体的ファンシーヤーンパラメータが、スラブの平均空間発生頻度すなわち長さ単位あたりの平均スラブ数である。
上記の想定されるさらなるファンシーヤーンパラメータは、スキャン実行時に動的に判定されることが好ましい。スラブパラメータは、出力可能に記憶される。個々のスラブに関する情報だけでなく、それらの順番に関する情報も提供できるようにするため、個々のスラブに連続した走査番号を割り当て、記憶すると好都合である。
同一のヤーンを一度に測定できる容量センサさらには光ヤーンセンサを、スキャン部に備えると好都合である(図1)。容量センサの出力信号と光センサの出力信号とを関連付け、評価の精度を向上させるまたは正確な評価を実現させることもできる。容量測定には、比較的ノイズの少ない信号を得られるという利点がある。しかし、信号は長さ単位あたりの質量に対応しており、糸の見た目とは一致しない。このことは、前記スラブ92の領域では、前記ベース糸91の領域とは異なる糸密度を有するファンシーヤーンにとっても、不都合である。光測定は、実質的に可視糸径を測定し、繊維のシミュレーションには特に好適であるため、糸の見た目をより良く示せる利点がある。しかし、測定信号のノイズは容量測定信号に比べ大きい。そこで、前記二種類の出力信号を好適に関連付けることで、両測定方法の利点を享受するとともに、それらの個々の欠点を排除するまたは少なくとも抑えることができる。
一方で、評価の結果は、上述のファンシーヤーンパラメータ、例えば最小値、最大値、平均値および/または標準偏差などの変数であってもよい。単位糸長あたりの前記スラブ92の数は、もう一つの重要な変数である。これらの変数は、英数字で出力される。他方、評価の結果はグラフを用いて、好適な方法で出力部4に出力される。好ましい種類の表示方法が、図5〜図11に示されている。
表示の一例として、ヒストグラム、すなわち分類された糸パラメータの分類集合別頻度をグラフ表現する。棒グラフを用いた三つの例が、図5に示されている。各グラフの縦軸は、頻度Hである。図5(a)における増加質量ΔM、図5(b)におけるスラブ長L、および図5(c)におけるスラブ間距離Lはそれぞれ、横座標に使用されている。横座標には、線形の対数目盛またはその他の目盛が付けられている。両軸の目盛および/または縮尺目盛は、自動的に算出、入力されてもよいし、オペレーターが入力することにより選択してもよい。同様に、分類すなわち集合の幅の選択も行われ得る。ただし、必ずしも全ての集合で、同じ幅が必要なわけではない。
図6の表示方法は、いわゆる散布図(プロット集合)である。この場合、ファンシーヤーン9または糸の一部分全てのスラブ92全てに関する増加質量ΔMが、スラブ長Lにわたってプロットされている。各スラブ92が、正しい位置に点としてプロットされている。この表示方法により、各スラブ92の集合の識別が容易になる。したがって、例えば図6(a)からは、検査の対象となるファンシーヤーン9には、3種類の集合111ないし113、またはスラブ92の集合が存在することが一目瞭然である。
● 短く丈の低いスラブによる第一の集合111
● 長く丈の低いスラブによる第二の集合112
● 長く丈の高いスラブによる第三の集合113
図6の散布図に従って、外れ値分析を実施する。この分析を基に、スラブ集合111ないし113の境界を定め、外れ値を除外するツールを提供することもできる。このようなツールにより、例えば散布図の部分的表面111.1ないし113.1を、図6(b)に示されているように、マウスを用いてモニター上で定義することも可能となる。一つのスラブ集合111ないし113は、各部分的表面111.1ないし113.1に割り当てられている。この部分的表面は、例えば、長方形111.1として、円形112.1として、または多角形113.1として形成してもよい。部分的表面111.1ないし113.1の外部にある点は、外れ値の集合に分類し、さらに評価および/または表現することにより、そのとおりに特徴付けること、または考慮の対象外とすることが可能である。いずれの部分的表面も定義しない場合には、散布図の全ての点をスラブとみなし、カウントする。
例えば、スラブ長Lに対するスラブ総質量Mや、増加質量ΔMに対ナるスラブ総質量Mなどといった他の散布図も可能である。散布図は、色彩を用いて表示してもよいが、この場合、異なる色彩が異なる測定値を表し、異なる点が異なる密度および/または集合または外れ値を表していてもよい(図10を参照)。二つの座標が図6の座標と一致しており、第三の座標が点密度に一致している、三次元表現法も同様に可能である(図9を参照)。
個々のファンシーヤーンの標本または複数のファンシーヤーンの標本を、散布図に表すこともできる。後者の場合、異なるファンシーヤーンの標本には、別の色を用いることで、標本間の想定される相違を表してもよい。複数のファンシーヤーンの標本では、できれば、それぞれに割り当てられた色彩で、個々のファンシーヤーンの標本の結果に加え、全てのファンシーヤーンの標本の全体的結果を表示することが好ましい。
実値とは別に、散布図上で一つまたは複数のスラブ集合ごとに、公称値または公称領域を表してもよい。公称値と実値とを、他の表示方法で比較してもよいし、単純に数値を用いて比較してもよい。このような公称値−実値間比較によって、例えば、複写の質(実値)の制御または既定のファンシーヤーン(公称値)の制御が可能となる。
散布図ではなく、図7のような表または分類マトリックスを用いて結果を表示することも可能である。表の両軸は、表6の散布図の両軸に一致している。それぞれのスラブ92の数が、表の各フィールドに入力される。スラブ92の絶対数に加え、例えばパーセントまたは千単位でそれらの相対的割合を表示することも可能である。したがって、各表のフィールドには、図6に関して記述されているような、集合111ないし113と同様に、スラブ92の集合が示されている。表のフィールドのサイズは、所望の分類に関して選択される。表のフィールドのサイズの選択では、分解能は十分微細になるが、表はそれでもなお明確であるように留意すべきである。図7の例では、比較的小さなフィールドが選択されており、それにより図6に関して記述されている三つの集合111ないし113よりも、細かい分類が可能となっている。表のフィールドには、色彩、パターンまたは灰色の階調が埋め込まれるが、可視性を向上させるため、これらをさらに別の数のスラブ92に割り当てることができる。
散布図(図6)だけでなく分類マトリックス(図7)でも、相互に独立して、両軸に線形の対数目盛またはその他の目盛を付けてもよい。軸の目盛および/または縮尺目盛は、自動的に算出されても、オペレーターによって選択、入力されてもよい。図7の分類マトリックスにおける表のフィールドの幅と高さ、すなわち分類の選択も同様に行われる。図8には、識別されたファンシーヤーンパラメータに関する、さらなる好ましい出力形式が示されている。これは、スラブのスラブ長L、スラブ間距離L、増加質量ΔM、径増分およびスラブ数#の五つのパラメータに関する、五つの主カラムに細分化された表の事例である。それらの各部分に関する最初の四つの主カラムは、個々のパラメータの最小値M
Figure 0005354409
の各行には、糸全体の値または検査した糸の部分の値のほか、個々のスラブ集合111な
Figure 0005354409
Figure 0005354409
している。当然のことながら、表は別の方法で構成してもよい。いずれの場合も、識別されたファンシーヤーンパラメータを表を用いて示すことにより、データ数を削減できる。また、表を用いることで、関連するファンシーヤーンの特異点を早急に検出し、ファンシーヤーンどうしを容易に比較できる。
ファンシーヤーンパラメータの評価の結果に関する別の表示方法が、図9に示されている。これは三次元(3D)における表面表現の事例である。三次元のうちの二次元に相当する二本の水平軸は、図6の散布図の場合のように、二本の水平軸がスラブ長Lと増加質量ΔMに対応している。第三の、垂直次元は、図6の散布図内の点密度または図7の数字に相当する、実値の個々の発生頻度Hを示している。このようにして得られた3D表面表現によって、個々のファンシーヤーン9の特異性を、山(レンジ)として視覚的に認識できる。このような二つの「山」を概観比較することで、関連するファンシーヤーンが類似した特性を備えているのか、または別の特性を備えているのか、さらには、後者の場合には、主たる相違点がどこにあるのかが早急に明らかとなる。ただし、図9の例は、図6の例とは異なるファンシーヤーンに関するものであるという点に留意されたい。図6のファンシーヤーンには、スラブ92の三つの集合111ないし113があり、図9のファンシーヤーンには、114、115の二つの集合しかない。
図9の三次元表現法は、二次元に縮小することも可能である。図10には、図9の「山」を二本の水平軸LE、Mによって展開し、平面に投影することによって生じる図が表されている。したがって、図9の「山」114、115が「等高線」すなわち同じ頻度Hの線分によって表されている「マップ」が形成されている。「等高線」の代わりに、各種頻度Hを可視化させるため、色彩やクロスハッチを用いてもよい。
図5ないし図10の表示方法には、個々のスラブの順序に関する情報は考慮されていない。この情報は、図2に表現されているように、完全に測定系列で表されている。ここからは、測定変数(数値×単位)のような、増加質量、スラブ長およびスラブ間距離などの個々のヤーンパラメータを判定し、さらに、次々に発現するそれらの順序に従って、これら測定変数をリストアップすることが可能となる。縮小された測定データのこのような英数字リストは、特定の場合には有益であると考えられるが、その一方で明確さに欠ける。個々のスラブの順序に関する情報は、図11の表示方法では完全に考慮されているが、ここでは、英数字表と比べ、図形で明確さおよび可視認識性が改良されるという利点がある。各スラブ92と、隣接したベース糸91には、横棒が描画されている。横棒は、二個の部分、すなわち個々のスラブ長Lを表す左側の第一の長さと、個々のスラブ間距離Lを表す右側の第二の長さを有する。その下側にある次の棒は、後続のスラブなどの特徴付けを行う。図11の横棒は、当然、垂直カラムによって置き換えることも可能である。長さL、L以外の測定変数は棒としてプロット可能であり、例えば、スラブ質量や関連するベース糸質量なども棒としてプロットすることができるので、ベース糸質量がさまざまな構造化された糸では、特に利点があるであろう。二本以上のスラブパラメータ、例えば、多段スラブ(図16を参照)では、第一のスラブ長LE、1、第二のスラブ長LE、2および関連するスラブ間距離Lなどを棒またはカラムで示すことも可能である。
図12には、明確な方法で、少なくとも個々のスラブの順序に関する情報の一部を表す表示方法が示されている。これは、図6の場合に、集合111ないし113で幾分実現化されているようなスラブの分類を想定した、分類マトリックスの例を表している。いずれの場合も、二本の隣接したスラブ92、92’のペアを想定しており、それらのうちの最初のスラブ92を「先行スラブ」と呼び、第二のスラブ92’を「後続スラブ」と称する。横軸が先行スラブ92を表し、縦軸が後続スラブ92’を表している図12の分類マトリックスに対応する入力は、各92、92’ペアに関するものである。図12の仮想の例からは、実際に、前記第一の集合111(図6を参照)の二本のスラブと、前記第二の集合112の二本のスラブは連続することがないが、前記第一の集合111のスラブは前記第二の集合112のスラブの後ろに従うことは多く、前記第三の集合113のスラブは前記第一の集合111のスラブの後ろに従うことはさらに多いということを類推できるであろう。
ファンシーヤーン9の各種スラブは、様々な色彩を持つ可能性がある。したがって、前記ファンシーヤーン9の色彩に関する情報を取得することが望ましいであろう。これについては、上述の技術から好適な前記スキャン部2と前記評価部3(図1を参照)が既知である。取得した色彩情報に関する可能な表示方法の一つが、図13に示されている。ここでは、異なった色彩のスラブの測定された割合値が表された、円グラフの事例が示されている。図13の例では、ファンシーヤーンには、それぞれ45%と55%の頻度で生じる、赤(R)と青(B)のスラブが含まれている。二色以上に展開することも当然可能である。前記出力部4(図1を参照)で着色出力が可能な場合、個々の円の部分が、対応する色で表示される。分円図も円グラフの代わりに用いることができる。
図13の円グラフには、カラースラブの順序に関する情報は含まれていない。この情報は、図14の表示方法に、少なくとも部分的に存在するにすぎない。図12と同様に、いずれの場合も、二本の連続したスラブが考慮され、それらの色彩R、Bの発生頻度が表にプロットされており、ここでは表の横軸が先行スラブの色彩R、Bを表し、縦軸が後続スラブの色彩R、Bを表している。図14の表からは、色彩の変化がこの仮想例では頻繁に発生しており、同色の二つの隣接したスラブはむしろまれであることが類推されるであろう。
仮想例によって、図15の三次元カラムチャートには、単一の表示方法における形状情報と色彩情報とをいかに関連付けるかが示されている。したがって、形状情報は、図面の平面上に置かれ、図5(a)と図5(b)のそれぞれの情報と一致している。増加質量ΔMの集合発生頻度は、図15(a)の図にプロットされ、スラブ長Lの集合発生頻度は、図15(b)の図にプロットされている。色彩情報R、Bに第三の次元が使用されている。図15(a)の図からは、赤のスラブRが、青のスラブBよりも増加質量ΔMが小さい傾向にあることが類推されるであろう。図15(b)の図は、赤のスラブRが青のスラブBより長い傾向にあることを示している。
上述の図5ないし図15には、増加質量ΔM(または径増分)、スラブ長L、スラブ間距離Lおよび色彩の、ファンシーヤーンパラメータを表すいくつかの例だけが示されている。同様の方法および二次元または三次元の方法で、これらのパラメータと別のファンシーヤーンパラメータとの間のさらなる関係をグラフ表示することも、当然のことながら可能である。
これまで単段スラブについて説明してきたが、以後、多段スラブについて考察することとする。二段ファンシーヤーンに関する一連の読出しの一つの例が、図4と同じ表示方法で図16にも示されている。ここで、長さ単位あたりの第一のスラブ総質量ME、1、第一の増加質量ΔMおよび第一のスラブ長LE、1を有する第一のスラブ段と、長さ単位あたりの第二のスラブ総質量ME、2、第二の増加質量ΔMおよび第二のスラブ長LE、2を有する第二のスラブ段との間を識別することが可能であろう。上述のパラメータは、単段ファンシーヤーンに関して記述されている方法と同様の方法で判定することが可能である。
多段ファンシーヤーンのパラメータに関する一つの可能な表示方法が、図17に示されている。ここでは、横軸が分類された増加質量ΔMに一致している事例が示されている。図5(a)を参照されたい。表の線分は、ファンシーヤーンの異なる段を表している。個々の発生頻度が、表の各フィールドにプロットされている。ファンシーヤーンは、図17の仮想例では二段であるが、ここでは二種類の形式で前記第二の段が発生している。一方では増加質量ΔMが比較的小さく、もう一方では増加質量ΔMが比較的大きい。スラブ長LE、1、LE、2...についても、同様の表示方法が可能である。
ファンシーヤーンのさらに別のパラメータが、いわゆるパターン長である。これは、ファンシーヤーンで周期的に繰り返される、もっとも短いスラブ配列の長さである。この順配列内にはいっさい周期性はない、すなわち、例えばスラブ間距離Lなどの少なくとも一つのスラブパラメータが、ランダムまたは擬似ランダムである。パターン長は、図2の短い糸に関する読出しとの相互関係の算出などによって取得することができる。全ての読出しとの、このような相互関係の算出では、膨大な量の計算が必要になるであろう。作業量を削減するために、例えば増加質量、スラブ長およびスラブ間距離などの個々のヤーンパラメータを識別する際に、測定データを事前に縮小しておき、この縮小したデータに基づいて相互関係を算出することもできる。同様の方法で、もっとも望ましくないサブパターンの検出やそれらの長さに関する情報を取得することさえもできる。パターン長および/またはサブパターン長は、英数字形式または図形形式で表現されることが好ましい。
図2の測定信号M(x)のスペクトルグラフもまた、ファンシーヤーンに関する有効な情報を提供する。スペクトルグラフを判定するため、測定信号M(x)にフーリエ変換を適用することが好ましい。スペクトルグラフ|F{M}|の一つの仮想例またはフーリエ変換の実際の部分のもっとも詳細な例が図18に示されているが、ここでこれらは常として、周期長Lが、好ましくは対数目盛として横軸に選択されている。通常は、スペクトルグラフ|F{M}|には、空間発生頻度または周期長Lの比較的広範囲にわたる分布131が表示される。前記最大値132の位置からスラブの平均距離を類推することが可能であろう。スペクトルグラフ|F{M}|における顕著なピークは、ファンシーヤーン内の最も望ましくない周期性を示している。一方でその周期性は、個々のスラブに関連付けることもできる。スラブ長Lとスラブ間距離Lが変化する定常的スラブ間距離L+Lを有するファンシーヤーンの場合、前記最大値132が、顕著なピークとして現れる。このことを確認するために、少なくとも10個、好ましくは100個以上のスラブ間距離を有するヤーン長を測定しなくてはならない。その一方でこの周期性は、パターンにも関連付けられる。少なくとも10個、好ましくは100個以上のパターン長に相当する、十分に長い測定系列では、スペクトルグラフ|F{M}|の長い畝領域における個々のピーク133の位置から、そのパターンを読み出すこともできるであろう。
スラブのさらなるグラフ表示方法は、図19に示されているように読出しの平滑化表現法および理想化表現法である。一方で、図4の読出しは、点線で描画されている。他方、測定曲線の理想化された線分は、実線で示されている。当業者であるなら、読み出された測定曲線から、図19の方法で理想化した曲線を取得する多くの可能性が存在することを認識できるであろう。図19の応用例では、ベース糸91、91’は、事前に判定されたベース糸質量Mの高さの位置に全てが存在している、水平な直線によって近似化されている。一つのスラブ92が、側面93、94と水平な頂辺95からなる台形として、各事例で理想化されている。したがって、この台形は、必ずしも対称をなしている必要がなく、前記側面93、95の勾配の大きさは、異なっていてもよい。台形による前記スラブ92の近似化は、当業者にとって既知の方法および基準に従って成立させることかできる。前記側面93は、最小二乗法または他の方法でその位置が判定されている略直線であってもよい。台形の高さ、すなわち頂辺95の位置は、台形の面積が実際の測定曲線未満の領域の面積に等しいという基準に従って判定される。スラブ長Lは、例えば台形の基準長すなわち、スラブの始点103とスラブの終点104との間の距離として定義されるが、ここでスラブの前記始点103とスラブの前記終点104とは、ベース糸質量Mを表す水平線と、左側側面93または右側側面94との交点である。または、スラブ長Lは、高さの二分の一の台形の幅として定義することもできるが、これは底辺の長さと頂辺の長さの合算値の二分の一に等しい。増加質量ΔMは、台形の高さすなわち底辺と頂辺との間の距離として定義される。場合によっては、台形は、三角形(頂辺長さがゼロに等しい台形)または長方形(全てが直角の台形)の特殊な場合に変形する。理想化された測定曲線の他の形状も同様に可能である。このような一連の理想化された曲線により、ファンシーヤーンの特性の可視性が改良される。例えば、高さ、ベース長、ルーフ長、スラブ長Lまたは台形の側面勾配などといった、理想化曲線のパラメータは、例えば表に特性変数として出力することもできるし、またさらなる評価に使用することも可能である。このような変数の出力により、データ量が縮小される。
ファンシーヤーンの製造工程の不備によって、図20に示されているように、薄い箇所106がスラブ102のすぐ横に生じる可能性がある。このような望ましくない前記薄い箇所106を、本発明によって検出することができる。前記スラブ102に関する量を表すそれらの数字または割合が、結果として出力される。50%という前記薄い箇所の割合は、前記薄い箇所106が全てのスラブ106の半分までで、すぐ横に観察されることを意味しており、このことは、製造工程の不備を示唆している。
ファンシーヤーンを製造における紡錘作業では、以下の二つの現象を識別する必要がある。
● 不完全箇所、不規則な箇所および、厚い箇所や薄い箇所などといった欠陥を、糸に生じる可能性のある、仮想ベース糸の製造と、
● 所望のスラブが、例えば厚みとして仮想ベース糸に取り込まれる、スラブの製造。
これら二つの現象は、場合によっては従来の糸試験法および装置で識別することが不可能であるか、または困難である。
図4は、例示目的の曲線である分、スラブ102やベース糸101に対応する部分が明らかである。しかし実際には、前記ベース糸101における望ましくない厚さの変動は非常に大きく、その結果これらが、閾値Mを超え、最終的に評価時に誤ってスラブとみなされる可能性がある。したがって、測定値に混入する。その結果、製造工程で誤った測定値が取り込まれる可能性がある。例えば、長く厚い箇所または糸質量の変動が小さなスラブとみなされた場合には、大きなスラブが生成されるように、スラブ製造の工程が部分的に変更されてしまう。このような指標は、欠陥の実際の原因を軽減することなく、おそらくは一回の動程で、スラブ構造を不必要に変えてしまう。
ここで、好ましい実施形態による、スラブの定義を指定することにより、この問題を解決する。図4に関して記述されている方法は、閾値Mの設定時に、一次元増加質量だけしか考慮されないので欠点があると考えられる。すでに述べたように、特定の長さにわたって限界値を超える箇所が持続するはずである、という制限事項を課すことによって、このような欠陥を軽減しようと試みにもかかわらず、スラブを最適に認識するに至ってはいない。測定曲線の下側の領域の観察、すなわち、ここで考慮の対象としている何がその領域に相当するのかについての考察、つまり測定曲線の特定の積分の観察を行えば、さらに利点があることが実証されている。このような領域の面積は、長方形による方法または台形による方法と同様に、既知の数値積分法の一つによって少なくとも近似的に算出することも可能である。図21は、長さ座標xの関数として、この方法で算出された面積A(x)の代表的単位を示しているが、ここで事前に判定されたベース糸質量M(図4を参照)は、その面積を判定するための基準としての役割を果たす。A(x)の値は、前記ベース糸101の領域内で、値ゼロの付近で変動する。増加質量が大きい場合であっても、厚い箇所によって、大きな面積の変化がもたらされることはない。というのも、これらはいずれの場合も、短いインターバルで延びているに過ぎないからである。実際のスラブ92は、スラブ102の始点に設定されるような、曲線A(x)に対し有意に上昇を生じさせるという点で、厚い箇所とは異なっている。前記スラブ92の位置としても記述される前記スラブ92の極大値105は、前記曲線A(x)の変向点に位置している。スラブの前記終点104以降においては、前記曲線A(x)が再度スラブ総質量を示す定数値付近で変動する。このようなスラブの前記終点104を確認する場合には、曲線のさらなる単位を、値Mの減算によって、値ゼロに戻すことができる。それ以後は、別のベース糸が追従するなどである。このようにして、全てのスラブおよびスラブの位置は、確実に検出され、厚い箇所と識別される。
スラブの識別には、いくつかの基準、例えば以下のような三つの基準を同時に満たすことを条件とすることが好ましい。
(i)面積A(x)の既定の閾値を超えている、
(ii)前記スラブ長Lの既定の閾値を超えている、および
(iii)増加質量ΔMの既定の閾値を超えている。
これらの基準が同時に満たされたときのみ、糸の欠陥ではなく、適切なスラブが存在していることを、確実に予測することができる。
仮想ベース糸とスラブとの識別は、本発明による方法のさらなる実施形態によっていっそう単純化される。この実施形態によれば、図19による曲線の理想化単位を実際の測定曲線から減算する。このことは、図22に模式的に表現されている。ここでは、図22(a)に、当初の読出し曲線が示されており、図22(b)に、理想化曲線(図19を参照)、および図22(c)に、当初の測定曲線から理想化曲線を減算したときに生じる差分曲線が示されている。図22(b)の曲線は、(理想化された)スラブだけであり、図22(c)の曲線は、スラブのない仮想ベース糸だけである。これらの表示方法だけでも、調査の対象となるファンシーヤーンの構造がよく理解できるであろう。ただし、この方法で取得したデータについては、以下に述べるようにさらなる評価を行うこともできる。
図23は、スペクトルグラフ、すなわち図18の表示方法に一致する表現で、図22のデータの評価の結果を示している。図23(a)には、当初の読出しのスペクトルグラフ、すなわち図21(a)の曲線が示されている。すでに指摘したように、このスペクトルグラフだけではスラブと仮想ベース糸との間を識別することは困難かまたは不可能である。図23(b)と(c)の表示方法により、この問題が軽減される。図23(b)には、スラブ単独の、すなわち図22(b)の曲線のスペクトルグラフが示されている。スラブに関するこのデータにより、スラブの製造を、特定の区域に限定することができ、さらに目的とする方法でスラブの生産を変更することができる。長い波状領域におけるピークは、例えば、好適な測定で回避されるような望ましくない周期を示している。図23(c)には仮想ベース糸の、すなわち図22(c)の曲線のスペクトルグラフが示されている。このスペクトルグラフ内のピークは全て、紡錘工程や、紡錘工程の前段における、図面の配置における特定のローラーの偏心度など、特定の欠陥に関する優れたヒントを提供する。これらの欠陥は、図23(c)のスペクトルグラフ内の個々の波長によって特定することが可能である。
図22は、図6と同様、散布図でデータを容易に表現することができる。この形態の表示方法は、スラブと仮想ベース糸との間を識別するのに非常に有効でもある。模式的な例が、図24に記載されている。図24(a)には、図22(a)の曲線の当初の読出しの散布図が示されている。ここで、三つの事象が相互に関係している。
● 各糸で生じている、ほとんど混同されない厚い箇所、
● スラブおよび
● スラブとして誤って評価される厚い箇所
図24(b)には、図22(b)に表現されているように、スラブの散布図が示されている。特に、図21に関して記述されている、確実にスラブを識別する方法が使用されているときには、この散布図には、厚い箇所などの、糸の欠陥から望ましくない形で生じる点は含まれない。むしろこれには、実際のスラブしか含まれていない。図24(c)には、図22(c)の仮想ベース糸の散布図が示されている。ここに描画されている点は、スラブを表しているわけではなく、厚い箇所などの欠陥を表している。図24(c)の散布図は、適用されている糸製造工程に関する情報を提供する。
例えば、図5のヒストログラムなどのような他の表示方法も、一方でスラブに対して関連付けられるデータと、他方で仮想ベース糸に関連付けられるデータとに、同様の方法で個別に使用してもよい。
本発明による方法では、特定のフィルタ基準に従って、図2または図4内に何らかの形で表現されているような読出しにフィルタをかけることも有利であろう。
このようなフィルタ基準には、例えば下記がある。
● ネップ、厚い箇所および/または薄い箇所などのヤーンの欠陥。したがって例えば、スイス特許第678173A5号から、または米国特許第5537811A号から、電気的糸クリーナーのクリアリング限界値を設定するために、座標系により、表内に想定される糸欠陥を配置する方法が知られている。座標系の横軸は欠陥箇所の質量を表し、横軸は欠陥箇所の長さを表す。クリアリングの上限と下限がこの座標系に適用される。クリアリングの上限より上方のネップと厚い箇所、さらにはクリアリングの下限より下方の薄い箇所が、自動的に糸から除去される。少なくとも一つの「クリーニング限界値」を定義することによって、本発明による方法と同様、処理を行うことも可能である。この限界値内の厚い箇所または薄い箇所をフィルタにかけ、この限界値外のスラブだけをさらに評価、および/またはグラフ表示することができる。
● スラブの特性。したがって、短いかまたは特定のスラブ長Lを超えるスラブ、軽いかまたは特定のスラブ総質量Mを超えるスラブ、特定のスラブ形状(図19)を持つまたは持たないスラブなどは、フィルタにかけることができる。フィルタにかけられない残りのスラブだけがさらに評価され、グラフを用いて表現される。複数の異なるフィルタを備えることも可能であるために、例えば第一のフィルタによって短いスラブだけ、第二のフィルタによって長いスラブだけを評価、および/またはグラフ表示することができる。
本発明による方法は、オペレーター側で特定のパラメータを対話形式で入力できるようにすることが好ましい。入力すべきこのようなパラメータは、上述のフィルタに関するパラメータとすることができる。評価の基準を、パラメータ、例えば定義されたベース糸質量Mとして入力する。
本発明による方法では、前記方法で取得されたデータを出力するためのインタフェースを備えると有利であろう。このようなデータは、例えば、シミュレーションソフトウェアに転送される上述のようなファンシーヤーンパラメータとすることができる。したがって、シミュレーションソフトウェアは、糸から織られた、または糸から編まれたシート配列の被検糸に関するシミュレーションソフトウェアであってもよい。評価データに基づいたこのようなシミュレーションは、測定データに基づいたシミュレーションに比べ比較的迅速で、しかも簡単である。
当然のことながら、本発明は、上述の実施形態に制限されない。本発明に関する知識を有する当業者であれば、本発明の課題に属するさらに様々な変更を生み出すことが可能である。上述の、特に個々のファンシーヤーンパラメータに関する評価アルゴリズムなど、本発明による方法の個々の特徴も、本発明に従ったグラフ表示とは別に適用することもできる。本明細書は、糸質量の容量測定を焦点として述べているが、本発明は、このようなスキャンの動作原理に制限されない。実際に、おそらくは他の測定変数を用いるような他のスキャンの動作原理も、本発明による方法に従い、例えば糸径の光測定などによって、適用することも可能である。各種スキャン動作原理の組合せもまた、可能である。
本発明による方法を実施するための装置の模式図である。 ファンシーヤーンに関する一連の読出しについて、詳細には糸の質量対長さの座標を示すグラフの一例である。 図2にプロットされている実測ヤーン質量の頻度分布を示すグラフである。 図2のグラフの部分拡大図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 本発明により可能な、出力ヤーンパラメータの表示方法を示す図である。 図2と同様、二段ファンシーヤーンに関する一連の読出しについて、詳細には糸の質量対長さの座標を示すグラフの一例である。 本発明による、複数段糸の特性を出力する方法の一例である。 ファンシーヤーンに関する一連の読出しのスペクトルグラフである。 実測のスラブと理想化されたスラブとを示すグラフである。 図4と同様、薄い箇所を有する測定曲線の部分拡大図である。 長さ座標を基準とした、測定曲線の下側の領域単位を示すグラフである。 長さ座標を基準とした長さ単位あたりの質量を示す、測定曲線である。 長さ座標を基準とした長さ単位あたりの質量を示す、理想化曲線である。 長さ座標を基準とした長さ単位あたりの質量を示す、図22aの測定曲線と図22bの理想化曲線との差分曲線である。 図22(a)の曲線のスペクトルグラフである。 図22(b)の曲線のスペクトルグラフである。 図22(c)の曲線のスペクトルグラフである。 図22(a)の読出しの散布図である。 図22(b)のスラブの散布図である。 図22(c)の仮想ベース糸の散布図である。
1 装置
2 スキャン部
3 評価部
4 出力部
5 入力部
9 ファンシーヤーン
23 第一のデータリード線
34 第二のデータリード線
91 ベース糸
92 スラブ
93 スラブ側面
94 スラブ側面
95 スラブ頂辺
100 測定曲線
101 ノイズフロア
102 信号ピーク
103 スラブ始点
104 スラブ終点
105 ピークの極大値
106 スラブに隣接した薄い箇所
111−115 スラブ集合、スラブ集合
111.1−113.1 散布図の部分的領域
121 ベース糸に関する極大値
122 スラブに関する極大値
131 スペクトルグラフにおける分布
132 分布121における最大値
133 スペクトルグラフにおけるピーク
A 測定曲線より下方の領域
B 青色
H 読出し頻度
質量インターバル
L 周期長
スラブ長
スラブ間距離
+L スラブ長とスラブ間距離の合算値
M 長さ単位あたりの質量
スラブ総質量
長さ単位あたりの実測質量の平均値
長さ単位あたりのベース糸質量
閾値
R 赤色
x 長さ座標
ΔM スラブ増加質量

Claims (15)

  1. ファンシーヤーン(9)の特徴付け方法であって、前記ファンシーヤーン(9)の少なくとも一つの特性を長手方向(x)に沿ってスキャンし、前記スキャンの値を評価し、前記評価の結果を出力するものにおいて、前記評価が、前記スキャン値の平滑化または理想化、および前記平滑化または理想化されたスキャン値と当初のスキャン値との関連付けを含み、前記平滑化または理想化されたスキャン値および前記関連付けから得られたデータが個別に評価されて、一方では前記スラブ(102、102’)に関する情報を取得し、他方では仮想ベース糸に関する情報をそれぞれ取得することを特徴とする、方法。
  2. 前記関連づけが差の形成である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記円滑化または理想化は、直線部分による近似化を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ファンシーヤーン(9)のスラブ(92、92’)が、台形、三角形または長方形に近似される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ファンシーヤーン(9)のベース糸(91、91’)が、前に求められたベース糸質量(M)の高さにある水平部分によって近似される、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記評価が、前記スキャン値の信号の濾波を含むことを特徴とする、請求項1ないし5の1つに記載の方法。
  7. 糸の欠陥および/またはスラブの特性が、濾波基準として選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記評価の少なくとも一つの結果がグラフ表示の形で出力される、請求項1ないし7の1つに記載の方法。
  9. 前記平滑化または理想化されたスキャン値のグラフ表示および/または前記関連付けから得られたデータのグラフ表示が出力される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記グラフ表示が、前記ファンシーヤーン(9)上の位置(x)または時間に関してスキャン特性の記録、ヒストグラム、散布図、分類マトリックス、三次元または二次元的表示の面、カラムチャート、棒グラフ、円グラフ、分円図、表およびスペクトルグラフを含む線図の群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
  11. スラブ(92)の異なる集合(111〜113)がグラフ表示による識別される、請求項8ないし10の1つに記載の方法。
  12. 前記評価の際、前記スキャン値から測定曲線(M(x))が形成され、前記測定曲線(M(x))の下の面積(A(x))が算出される、請求項1ないし11の1つに記載の方法。
  13. 前記測定曲線(M(x))と前に求められたベース糸質量(M)または前に求められたベース糸径との間の面積(A(x))が算出される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記少なくとも一つのスキャンされる特性が、前記ファンシーヤーン(9)の質量(M)および/または径である、請求項1ないし13の1つに記載の方法。
  15. 前記評価の結果が、ベース糸質量(M)、ベース糸径、ベース糸長(L)、スラブ(92)の増加質量(ΔM)、スラブ径増分、スラブ径、スラブ長(L)、スラブ総質量(M)、平均糸数、単位長さあたりのスラブ数、パターン長、サブパターン長、形状および色を含むファンシーヤーンパラメータの群から選ばれる、請求項1ないし14の1つに記載の方法。
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