JP5353592B2 - 蒸着材料 - Google Patents
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Description
ケイ素系の物質のうち、金属ケイ素、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、炭化ケイ素等が蒸着材料として頻繁に用いられるが、中でも金属ケイ素、二酸化ケイ素がコストの安い点で望ましく、金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した材料を蒸着材料として用いる既存の技術も多い(例えば特許文献1〜3を参照)。
但し、一酸化ケイ素を直接蒸着材料として用いる場合でも、他の物質と混ぜる場合でも、スプラッシュの発生を抑えること、蒸発速度を出すことが課題となっている。昇華性の物質であるために、材料からの蒸発を制御することが難しいためである。ここでスプラッシュとは、蒸着材料が高温の微細な粒のまま飛散する現象を言う。また必要に応じて、Zr、Mg、Cなどの金属、あるいは添加物を混ぜることもできる。
これらの解決を図るため、例えば特許文献4〜8に開示されたような技術が提案されている。
請求項2に記載の発明は、前記蒸着材料をフィルム上に蒸着した膜の成分のケイ素と酸素との原子比(O/Si)が1.9以下であることを特徴とする請求項1記載の蒸着材料である。
請求項3に記載の発明は、前記蒸着材料の二酸化ケイ素がX線的に石英型の結晶構造を有していることを特徴とする請求項1記載の蒸着材料である。
本発明の蒸着材料は、金属ケイ素と一酸化ケイ素と二酸化ケイ素とを含有し、ケイ素と酸素との原子比(O/Si)が1.05〜1.6であり、かさ密度が1.2〜1.5g/cm3である。
従って本発明の蒸着材料は真空蒸着において、蒸着材料からのスプラッシュを抑え、かつ蒸発速度を上げることができる。すなわち、金属ケイ素と一酸化ケイ素と二酸化ケイ素とを含有する蒸着材料のケイ素と酸素との原子比(O/Si)を1.05〜1.6とし、かさ密度を1.2〜1.5 g/cm3としたためEBの照射に対して安定して溶解、昇華するため、スプラッシュが出にくく、かつ蒸着速度が調整されて蒸発速度を出し、バリアフィルムを製造することができる。
また、蒸着方式には抵抗加熱方式、誘導過熱方式、電子ビーム方式などある。特に電子ビーム(EB)方式では蒸着材料を局部的に急速に加熱でき、しかも蒸着材料の堆積速度をはやめ、そのため巻取蒸着加工速度を向上させて包装材料の生産性を高めることができる特徴があり、頻繁に用いられている。しかし電子ビームを直接材料に当てるため、材料が受ける熱衝撃が大きく、スプラッシュが一層発生しやすくなる問題がある。
本発明では、金属ケイ素と一酸化ケイ素と二酸化ケイ素とを含有し、ケイ素と酸素との原子比(O/Si)を1.05〜1.6とし、かさ密度を1.2〜1.5g/cm3とすることでスプラッシュの発生を抑えることができる。
金属ケイ素単体では、EBの熱によって溶融した層ができ、蒸発しないまま温度が高くなり、層がはじけてスプラッシュが多発する。一酸化ケイ素単体では、昇華性物質であるため蒸発速度は速いが、均一に昇華しにくいため、コントロールが難しい。二酸化ケイ素単体では、金属ケイ素と同じく溶融し、ガラス層ができる。また、成膜した膜がSiO2に非常に近く、ガスバリア性に乏しい。そこで、特徴の異なる3種を合わせることで、スプラッシュが出ず、蒸着速度を出せる蒸着材料とした。
かさ密度とは、材料寸法および重量を測定し、g/cm3へ単位換算することにより測定された値を意味する。
上記原子比(O/Si)を1.9以下にするには、材料作成において粉末を混合する際、O/Si比の理論値をできるだけ小さくする、焼成による材料の酸化を抑える、蒸着機の成膜室における酸素ガス発生を抑える等の手段がある。
なお、金属ケイ素のSi原子1個に対し、一酸化ケイ素におけるSi原子が1.8個、二酸化ケイ素におけるSi原子が3.2個となるように上記材料を混合した。
なお、金属ケイ素のSi原子1個に対し、一酸化ケイ素におけるSi原子が0.4個、二酸化ケイ素におけるSi原子が3.9個となるように上記材料を混合した。
なお、金属ケイ素のSi原子1個に対し、一酸化ケイ素におけるSi原子が1.1個、二酸化ケイ素におけるSi原子が8.5個となるように上記材料を混合した。
シリカゾルを用いなかったこと、O/Si比の理論値を0.90としたこと、大気環境800℃で焼成したこと以外は実施例1と同じ方法で材料の作成することにより比較例1の成形体を作成した。
0/Si比の理論値を1.6としたこと、アルゴン雰囲気下1200℃で焼成したこと以外は、実施例1と同じ方法で材料の作成することにより比較例2の成形体を作成した。
0/Si比の理論値を1.45としたこと、プレス成形を行ったこと以外は、実施例2と同じ方法で材料の作成することにより比較例3の成形体を作成した。
O/Si比の理論値を1.0としたこと、大気環境1000℃で焼成したこと以外は、実施例1と同じ方法で材料の作成を行うことにより、比較例4の成形体を作成した。
プレス成形を行ったこと以外は、実施例1と同じ方法で材料の作成を行うことにより、比較例5の成形体を作成した。
二酸化ケイ素粉末が非晶質であったこと以外は、実施例1と同じ方法で材料の作成を行うことにより比較例6の成形体を作成した。
混合した粉末が金属ケイ素粉末(平均粒径10μm)及び二酸化ケイ素粉末(平均粒径10μm)であったこと、O/Si比の理論値が1.3であったこと以外は、実施例1と同じ方法で材料の作成を行うことにより比較例7の成形体を作成した。
混合した粉末が一酸化ケイ素粉末(平均粒径8μm)及び二酸化ケイ素粉末(平均粒径10μm)であったこと、O/Si比の理論値が1.3であったこと以外は、実施例1と同じ方法で材料の作成を行うことにより比較例8の成形体を作成した。
粉末が一酸化ケイ素粉末(平均粒径8μm)のみであったこと、O/Si比の理論値が1.0であったこと以外は、実施例1と同じ方法で材料の作成を行うことにより比較例9の成形体を作成した。
実施例1〜4及び比較例1〜7で作成した成形体について、O/Si比をエネルギー分散型X線分光分析装置(JDE-2300 JEOL社製)を用いて求めた。測定した結果を表1に示す。また、かさ密度を求めた結果を表1に示す。
作成した各成形体について、電子ビーム加熱方式の巻き取り式蒸着装置を用いて、実施例及び比較例の蒸着材料を、12μm厚のポリエステルフィルムに、巻き取り速度60m/minで真空蒸着させ、ガスバリアフィルムを得た。これらの蒸着の際におけるスプラッシュ発生の有無を目視で確認し、スプラッシュの出ない最大の電子ビームパワーで加工した。各実施例、比較例のスプラッシュの発生したレート及び電子ビームパワーを表1に示す。レートとは、得られた膜厚から算出され、蒸発の速度を表す。
次に、得られたガスバリアフィルムの水蒸気透過度(g/m2・day)を水蒸気透過度測定装置(PERMATRAN 3/30、mocon社製)にて40℃90%RHの雰囲気下で測定した。得られた結果を表1に示す。また、得られたガスバリアフィルムの膜組成をXPS(日本電子製 JPS-90SXV)にて計測し、O/Si比を求めた。得られた結果を表1に示す。
Claims (3)
- 金属ケイ素と一酸化ケイ素と二酸化ケイ素とを含有し、ケイ素と酸素との原子比(O/Si)が1.05〜1.6であり、かさ密度が1.2〜1.5 g/cm3であることを特徴とするEB加熱方式用の蒸着材料。
- 前記蒸着材料をフィルム上に蒸着した膜の成分のケイ素と酸素との原子比(O/Si)が1.9以下であることを特徴とする請求項1記載の蒸着材料。
- 前記蒸着材料の二酸化ケイ素がX線的に石英型の結晶構造を有していることを特徴とする請求項1記載の蒸着材料。
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