しかしながら、上記のように、入力電圧が下限電圧を下回ったときに電気的光源を消灯させる場合、エンジンの始動時に、セルモーター等によって電力が消費されることによる入力電圧の一時的な低下により、電気的光源の消灯が発生しやすい。
また、近年では、燃料の節約や二酸化炭素排出量の削減の観点から、信号待ち等の一時停止中にもエンジンを停止させること(いわゆるアイドリングストップ)が推奨されており、自動車に搭載され停車を検出して自動的にエンジンを停止させるアイドリングストップ装置も提供されている。そして、このようなアイドリングストップを実践する場合には上記のような消灯が発生する頻度が高くなる。
上記のような入力電圧の低下による消灯は使用者の意図によらないものであるので、その頻度は低いことが望ましい。
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、入力電圧の低下による消灯の頻度が低下した車載用点灯装置を提供することにある。
請求項1の発明は、自動車に搭載されて交流成分を含む充電電流により充電されるバッテリーを電源として電気的光源を点灯させる車載用点灯装置であって、バッテリーから入力された電力を変換して電気的光源に出力することにより電気的光源を点灯させる電力変換部と、バッテリーから電力変換部への入力電圧を検出する入力電圧検出部と、バッテリーから電力変換部への入力電圧に含まれる交流成分に応じた出力を生成するリプル検出部と、リプル検出部の出力に基いてバッテリーへの充電の有無を判定するとともに、入力電圧検出部によって検出された入力電圧と、充電の有無の判定結果とに応じて電力変換部を制御する制御部とを備え、制御部は、バッテリーへの充電が有ると判定されている状態で入力電圧検出部によって検出された入力電圧が所定の第1下限電圧を下回ったとき、並びに、バッテリーへの充電が無いと判定されていて且つ入力電圧検出部によって検出された入力電圧が第1下限電圧よりも低い所定の第2下限電圧を下回った状態が所定の低下判定時間以上継続したときに、それぞれ、電力変換部から電気的光源への電力の出力を停止させることを特徴とする。
この発明によれば、バッテリーへの充電の有無に関わらず入力電圧が第1下限電圧を下回ったときに電力変換部からの電力の出力が停止される場合に比べ、消灯の頻度が低下する。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御部は、入力電圧検出部によって検出された入力電圧の単位時間当りの低下幅である入力低下速度を随時演算するとともに、バッテリーへの充電が無いと判定されている状態で入力低下速度が所定の判定低下速度以上となったときには、入力電圧検出部によって検出された入力電圧を第2下限電圧よりも低い所定の第3下限電圧と比較し、該入力電圧が第3下限電圧未満である場合には低下判定時間の経過を待たずに電力変換部から電気的光源への電力の出力を停止させることを特徴とする請求項1記載の車載用点灯装置。
この発明によれば、入力電圧が第3下限電圧未満となったときの電力の出力の停止が行われない場合に比べ、入力電圧が低下した状態での動作の継続が抑えられる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、電力変換部からリプル検出部へのノイズの入力を抑えるフィルタ部を備えることを特徴とする。
この発明によれば、フィルタ部を設けない場合に比べ、電力変換部が発生させるノイズに起因する誤判定が抑えられる。
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、電力変換部に接続される電気的光源は放電灯であって、制御部は、入力電圧検出部によって検出された入力電圧の単位時間当りの低下幅である入力低下速度を随時演算するとともに、バッテリーへの充電が無いと判定されている状態で入力低下速度が所定の判定低下速度以上となったときから所定時間にわたり、電力変換部の出力電力を一時的に増加させることを特徴とする。
この発明によれば、電力変換部の出力電力を一時的に増加させる動作が行われない場合に比べ、電力変換部に接続された放電灯の立ち消えが抑えられる。
請求項5の発明は、請求項1〜4の発明において、電力変換部は、電気的光源としての高圧放電灯に交流電力を出力するものであって、制御部は、入力電圧検出部によって検出された入力電圧の単位時間当りの低下幅である入力低下速度を随時演算するとともに、バッテリーへの充電が無いと判定されている状態で入力低下速度が所定の判定低下速度以上となったときから所定時間にわたり、電力変換部の出力の周波数を低下させることを特徴とする。
この発明によれば、電力変換部の出力電圧において単位時間当りのゼロクロス点の個数が減少することにより、電力変換部に接続された高圧放電灯の立ち消えが抑えられる。
請求項6の発明は、請求項1〜5の発明において、電力変換部は、定期的にノイズを発生させるノイズ源を含み、制御部は、ノイズ源によるノイズが発生する期間中には、リプル検出部の出力に関わらず、バッテリーへの充電が有ると判定することを特徴とする。
この発明によれば、実際にはバッテリーへの充電が有るにも関わらずノイズ源のノイズによりバッテリーへの充電が無いと判定されてバッテリーの電圧が低下した状態での効率の悪い動作が継続されてしまうといったことを避けることができる。
請求項1の発明によれば、制御部は、バッテリーへの充電が有ると判定されている状態で入力電圧検出部によって検出された入力電圧が所定の第1下限電圧を下回ったとき、並びに、バッテリーへの充電が無いと判定されていて且つ入力電圧検出部によって検出された入力電圧が第1下限電圧よりも低い所定の第2下限電圧を下回った状態が所定の低下判定時間以上継続したときに、それぞれ、電力変換部から電気的光源への電力の出力を停止させるので、バッテリーへの充電の有無に関わらず入力電圧が第1下限電圧を下回ったときに電力変換部からの電力の出力が停止される場合に比べ、消灯の頻度が低下する。
請求項2の発明によれば、制御部は、入力電圧検出部によって検出された入力電圧の単位時間当りの低下幅である入力低下速度を随時演算するとともに、バッテリーへの充電が無いと判定されている状態で入力低下速度が所定の判定低下速度以上となったときには、入力電圧検出部によって検出された入力電圧を第2下限電圧よりも低い所定の第3下限電圧と比較し、該入力電圧が第3下限電圧未満である場合には低下判定時間の経過を待たずに電力変換部から電気的光源への電力の出力を停止させるので、入力電圧が第3下限電圧未満となったときの電力の出力の停止が行われない場合に比べ、入力電圧が低下した状態での動作の継続が抑えられる。
請求項3の発明によれば、電力変換部からリプル検出部へのノイズの入力を抑えるフィルタ部を備えるので、フィルタ部を設けない場合に比べ、電力変換部が発生させるノイズに起因する誤判定が抑えられる。
請求項4の発明によれば、電力変換部に接続される電気的光源は放電灯であって、制御部は、入力電圧検出部によって検出された入力電圧の単位時間当りの低下幅である入力低下速度を随時演算するとともに、バッテリーへの充電が無いと判定されている状態で入力低下速度が所定の判定低下速度以上となったときから所定時間にわたり、電力変換部の出力電力を一時的に増加させるので、電力変換部の出力電力を一時的に増加させる動作が行われない場合に比べ、電力変換部に接続された放電灯の立ち消えが抑えられる。
請求項5の発明によれば、電力変換部は、電気的光源としての高圧放電灯に交流電力を出力するものであって、制御部は、入力電圧検出部によって検出された入力電圧の単位時間当りの低下幅である入力低下速度を随時演算するとともに、バッテリーへの充電が無いと判定されている状態で入力低下速度が所定の判定低下速度以上となったときから所定時間にわたり、電力変換部の出力の周波数を低下させるので、電力変換部の出力電圧において単位時間当りのゼロクロス点の個数が減少することにより、電力変換部に接続された高圧放電灯の立ち消えが抑えられる。
請求項6の発明によれば、電力変換部は、定期的にノイズを発生させるノイズ源を含み、制御部は、ノイズ源によるノイズが発生する期間中には、リプル検出部の出力に関わらず、バッテリーへの充電が有ると判定するので、実際にはバッテリーへの充電が有るにも関わらずノイズ源のノイズによりバッテリーへの充電が無いと判定されてバッテリーの電圧が低下した状態での効率の悪い動作が継続されてしまうといったことを避けることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態は、図2に示すように、自動車(図示せず)に搭載されたバッテリーEと電気的光源としての高圧放電灯DLとに接続され、バッテリーEを電源として高圧放電灯DLを点灯させるものである。
詳しく説明すると、本実施形態は、フィルタ部10を介してバッテリーEから入力された直流電圧(以下、「入力電圧」と呼ぶ。)Vinの電圧値を変換した直流電圧(以下、「出力電圧」と呼ぶ。)Vdcを出力するDC−DCコンバータ11と、コモンモードチョークコイルCCを介して高圧放電灯DLに接続されDC−DCコンバータ11の出力を交流電力に変換して高圧放電灯DLに出力することで高圧放電灯DLを点灯させるインバータ12と、DC−DCコンバータ11とインバータ12とをそれぞれ制御する制御部2とを備える。すなわち、DC−DCコンバータ11とインバータ12とが請求項における電力変換部を構成する。
フィルタ部10は、バッテリーEの高電圧側の出力端とDC−DCコンバータ11との間に接続されたノーマルモードチョーク(インダクタ)と、それぞれ一端がノーマルモードチョークの一端ずつに接続されるとともに他端がグランドに接続された2個のアクロスザラインコンデンサとからなる、LCローパスフィルタである。
DC−DCコンバータ11は、一端に入力電圧Vinが入力された一次巻線を有するトランスT0と、トランスT0の一次巻線の他端とグランドとの間に接続されたNMOSからなるスイッチング素子Q0と、カソードがトランスT0の二次巻線の一端に接続されたダイオードD0と、一端がダイオードD0のアノードに接続され他端がトランスT0の二次巻線の他端とともにグランドに接続された出力コンデンサC0と、スイッチング素子Q0をオンオフ駆動する第1駆動回路11aとを備え、出力コンデンサC0の両端電圧Vdcを出力電圧とする、周知のフライバック・コンバータである。すなわち、第1駆動回路11aがスイッチング素子Q0を周期的にオンオフ駆動することで、バッテリーEからの入力電圧Vinがスイッチング素子Q0のオンデューティに応じた出力電圧Vdcに変換されて出力される。
第1駆動回路11aは、DC−DCコンバータ1のスイッチング素子Q0に流れる電流(以下、「スイッチング電流」と呼ぶ。)が多いほど高い電圧を出力するスイッチング電流検出部CDと、スイッチング電流検出部CDの出力電圧が非反転入力端子に入力されるとともに反転入力端子には制御部2から制御電圧Vopが入力されたコンパレータCP1と、コンパレータCP1の出力電圧がリセット端子Rに入力されるとともにセット端子Sには制御部2からセット電圧Vsが入力されるRS型のフリップフロップ回路FFと、一方の入力端子がフリップフロップ回路FFの出力端子Qに接続され他方の入力端子には制御部2からセット電圧Vsが入力されるとともに出力端子がスイッチング素子Q0のゲートに接続された論理積回路ANDとを備える。上記のセット電圧Vsは、HレベルとLレベルとの間で所定の周波数で周期的に切り替わるものである。すなわち、セット電圧VsがHレベルとなったときにスイッチング素子Q0がオンされ、スイッチング素子Q0がオンされた後にはスイッチング電流は徐々に増加し、スイッチング電流の電流値が制御電圧Vopに応じた所定値に達したときにフリップフロップ回路FFのリセット端子Rへの入力がHレベルとなることでスイッチング素子Q0がオフされ、次にセット電圧VsがHレベルとなるまでスイッチング素子Q0がオフ状態に維持される。つまり、制御電圧Vopが高いほどスイッチング素子Q0のオンデューティが大きくされる。
インバータ12は、2個のスイッチング素子Q1〜Q4の直列回路が2組、DC−DCコンバータ11の出力端間に互いに並列に接続されてなるフルブリッジ回路と、各スイッチング素子Q1〜Q4をオンオフ駆動する第2駆動回路12aとを備え、上記フルブリッジ回路の各直列回路のスイッチング素子Q1〜Q4の接続点を出力端とする、周知のフルブリッジインバータである。すなわち、互いに対角に位置するスイッチング素子Q1〜Q4同士が同時にオンされ、且つ、互いに直列に接続されたスイッチング素子Q1〜Q4の少なくとも一方がオフされるように、第2駆動回路12aが各スイッチング素子Q1〜Q4を周期的にオンオフ駆動することで、DC−DCコンバータ11の出力電圧Vdが矩形波状の交流電圧に変換されて出力される。ここで、DC−DCコンバータ11の出力端間が短絡されてしまうことを防ぐために、互いに対角に位置して同時にオンされる一方の組の各スイッチング素子Q1,Q4がオンされる期間と、他方の組の各スイッチング素子Q2,Q3がオンされる期間との間には、インバータ12の全てのスイッチング素子Q1〜Q4がオフされる期間(デッドタイム)が設けられる。第2駆動回路12aは、例えば、それぞれインバータ12のスイッチング素子Q1〜Q4のうち互いに対角に位置する2個ずつに対応付けられるとともに制御部2に接続された2個の入力端子を有し、いずれかの入力端子への入力電圧がHレベルである期間には該入力端子に対応付けられた2個のスイッチング素子Q1〜Q4をオン制御するものである。この場合、各スイッチング素子Q1〜Q4のオンオフの周波数(すなわち、高圧放電灯DLに出力される電力の周波数。以下、「動作周波数」と呼ぶ。)は、上記の各入力端子への入力電圧の周波数に一致する。上記のような第2駆動回路12aは周知技術で実現可能であり、汎用のドライバIC(例えば、インターナショナル・レクティファイアー社製のIR2111や、フィリップス社製のUBA2032TSなど)を用いてもよいので、詳細な図示並びに説明は省略する。
また、本実施形態は、高圧放電灯DLの始動のための高電圧パルスを発生させる回路として、始動部13と、始動部13の電源を生成する始動電源部14とを備える。
始動電源部14は、DC−DCコンバータ11のトランスT0の二次巻線とダイオードD0との接続点と始動部13とにそれぞれ抵抗を介して接続され4個の抵抗と4個のダイオードとで構成された周知のコッククロフト・ウォルトン回路であり、DC−DCコンバータ11のトランスT0の二次巻線に誘導された電圧を整流及び昇圧して始動部13に入力する。
始動部13は、インバータ12から高圧放電灯DLへの導電路に二次巻線が挿入されたトランスT1と、トランスの一次巻線の両端間に接続されたスパークギャップSGとコンデンサC1との直列回路とからなり、トランスT1の一次巻線とスパークギャップSGとの接続点が始動電源部14に接続されるとともに、スパークギャップSGとコンデンサC1との接続点がグランドに接続されている。すなわち、電源が投入された直後には、始動電源部14の出力によって始動部13のコンデンサC1が充電される。コンデンサC1の両端電圧が充分に上昇してスパークギャップSGに絶縁破壊が発生すると、トランスT1において一次巻線に急激に流れるコンデンサC1の放電電流により二次巻線に誘導電圧が発生する。この誘導電圧がDC−DCコンバータ11の出力電圧に重畳されて発生する高電圧パルスによって高圧放電灯DL内で放電が開始されることで、高圧放電灯DLは点灯を開始(すなわち始動)する。
さらに、本実施形態は、フィルタ部10とDC−DCコンバータ11との間に接続され入力電圧Vinに応じた電圧を制御部2に入力する入力電圧検出部31と、出力電圧Vdcに応じた電圧を制御部2に入力する出力電圧検出部32と、DC−DCコンバータ11とインバータ12との間でグランドに流れる電流(すなわちインバータ12から高圧放電灯DLへの出力電流の絶対値にほぼ等しい電流。以下、「出力電流」と呼ぶ。)に応じた電圧を制御部2に入力する出力電流検出部33と、バッテリーEとフィルタ部10との間に接続され入力電圧Vinにおける交流成分(リプル)の有無に応じた出力を生成して制御部2に入力するリプル検出部34とを備え、制御部2は、上記の各検出部31,32,33,34からの入力に応じて動作する。
具体的には、制御部2は、予め定められた目標電力を、出力電圧検出部32の出力から得られる出力電圧Vdcで除した値である目標電流を演算するとともに、得られた目標電流と、出力電流検出部33の出力から得られる出力電流との差に応じた制御電圧Vopを、第1駆動回路11aのコンパレータCP1の反転入力端子に入力する。以上により、高圧放電灯DLに出力される電力を上記の目標電力とするようなフィードバック制御が達成される。
入力電圧検出部31と出力電圧検出部32と出力電流検出部33とは、いずれも、周知技術(例えば、オペアンプを用いて電圧を変換する回路)で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
また、リプル検出部34は、図3に示すように、非反転入力端子がグランドに接続され、反転入力端子には入力電圧Vinが抵抗とコンデンサとの直列回路を介して入力されるとともに出力端子と反転入力端子とが抵抗とコンデンサとの並列回路を介して接続され、入力電圧Vinの微分値に比例する電圧である入力微分電圧Vidを出力する微分回路を構成するオペアンプOPと、反転入力端子にはオペアンプOPから入力微分電圧Vidが入力されて非反転入力端子には図4に示すような周期的な矩形波状のクロック電圧Vclが入力され出力端子が制御部2に接続されたコンパレータCP2とを備える。すなわち、入力微分電圧Vidが図4上段に曲線で示すような波形である場合、リプル検出部34から制御部2への入力電圧(以下、「リプル検出電圧」と呼ぶ。)Vrpは図4下段に示すような波形となる。制御部2は、リプル検出部34から入力されたリプル検出電圧Vrpに基いて、バッテリーEへの充電の有無を判定する。
ところで、バッテリーEは、自動車の駆動系に連動したローターを有してローターの回転数に応じた周波数の交流電力を生成する発電機を電源とする充電回路(図示せず)によって充電される。そして、上記の充電回路からバッテリーEへの充電電流は上記の発電機のローターの回転数に応じた周波数の交流成分を含むから、上記の充電回路による充電が有る期間中、バッテリーEからの入力電圧Vinには、上記の充電電流に含まれる交流成分と同じ周波数の交流成分が含まれることになる。制御部2は、上記の充電電流に対応する周波数の交流成分が入力電圧Vinに含まれているか否かをリプル検出電圧Vrpに基いて判定し、上記の交流成分が入力電圧Vinに含まれていると判定されれば即ちバッテリーEへの充電が有ると判定し、逆に上記の交流成分が入力電圧Vinに含まれていないと判定されれば即ちバッテリーEへの充電が無いと判定するのである。例えば、クロック電圧Vclの周波数が50kHz(すなわち周期が20μs)である場合、図4のようにリプル検出電圧Vrpにおいてクロック電圧Vclの4周期分ずつ連続するLレベル状態と矩形波とが交互に繰り返された場合、入力電圧Vinには、周期が160μs(すなわち周波数が6.25kHz)の交流成分が含まれていると考えられる。
また、本実施形態では、DC−DCコンバータ11とリプル検出部34との間にフィルタ部10が介在することで、DC−DCコンバータ11からリプル検出部34へのノイズがフィルタ部10において減衰するから、上記ノイズによる誤判定が抑えられる。
以下、制御部2の動作を説明する。なお、以下に説明する動作において入力電圧Vinと比較される各数値の具体例は、バッテリーEの定格電圧が12Vである場合を想定している。
制御部2は、図5に示すように、電源が投入されて動作を開始すると(S1)、動作に使用する各種の数値を所定の初期状態にリセットするという初期化動作を行い(S2)、次に、入力電圧検出部31からの入力に基いて入力電圧Vinが所定の動作範囲内(図では9V〜16V)にあるか否かを判定し(S3)、入力電圧Vinが動作範囲内にあると判定されるまでは次のステップS4には進まない。
そして、制御部2は、ステップS3において入力電圧Vinが動作範囲内にあると判定されると、次のステップS4では、高圧放電灯DLを始動させるための始動動作を開始するとともに、始動動作が開始されてからの経過時間である始動時間Tonの計時を0から開始する。始動動作は、具体的には例えば動作周波数を比較的に低く(例えば100kHzに)するものであって、この始動動作中に、出力電圧Vdcはいったん上昇し、始動部13が発生させる高電圧パルスにより高圧放電灯DLが始動した後に、出力電圧Vdcは低下する。制御部2は、始動動作中、出力電圧検出部33からの入力に基いて、出力電圧Vdcが高圧放電灯DLの始動に必要な所定の始動電圧(図では400V)以上に達したか否か(S6)、並びに、その後に高圧放電灯DLの始動により出力電圧Vdcが所定の点灯判定電圧(図では220V)未満まで低下したか否か(S8)を判定し、ステップS6における出力電圧Vdcの上昇からステップS8における出力電圧Vdcの低下までが判定されないまま始動時間Tonが1秒に達した場合(S5又はS7でY)、DC−DCコンバータ11とインバータ12との動作をそれぞれ停止させる(S9)。つまり、ステップS9ではDC−DCコンバータ11とインバータ12との各スイッチング素子Q0〜Q4がそれぞれオフ状態とされる。
また、制御部2は、ステップS8で出力電圧Vdcの低下までが確認されれば、図6に示すように、次のステップS10に進んで高圧放電灯DLの点灯を維持する定常動作を開始する。定常動作は、始動動作よりも動作周波数を高く(例えば200kHzに)するものであり、定常動作中はインバータ回路12から高圧放電灯DLへの出力電圧Vdlの振幅はDC−DCコンバータ11の出力電圧Vdcに略一致する。また、制御部2は、定常動作の継続時間である点灯時間を計時しており、DC−DCコンバータ11のコンパレータCP1に入力する制御電圧Vopの決定に用いられるパラメータであって高圧放電灯DLへの出力電力の目標値である目標電力を、点灯時間の増加に伴って所定の値まで徐々に増加させることで、点灯時間が所定時間に達するまでの期間には高圧放電灯DLへの出力電力を徐々に増加させ、その後は目標電力を一定に維持する。
さらに、制御部2は、定常動作中には、出力電圧検出部33からの入力の監視(すなわち出力電圧Vdcの監視)を行い、出力電圧Vdcに基いて、高圧放電灯DLに立ち消えが発生したか否か(S11)、並びに、短絡が発生したか否か(S12,S20)をそれぞれ判定する。
ステップS11の立ち消えの判定は、出力電圧Vdcを、上記のステップS8で用いた点灯判定電圧(図では220V)と比較することにより行われる。すなわち、制御部2は、出力電圧Vdcが点灯判定電圧未満であれば立ち消えが発生していないと判定して次のステップS12の短絡の判定に移行する。一方、出力電圧Vdcが出力電圧Vdcが点灯判定電圧以上であれば、制御部2は、立ち消えが発生していると判定し、DC−DCコンバータ11とインバータ12との動作をそれぞれ停止させ(S13)た上で、始動時間Tonが3秒に達しているか否かを判定する(S14)。そして、ステップS14において始動時間Tonが3秒以上であれば、制御部2は、ステップS4に戻って始動動作を再度開始する。また、ステップS14において始動時間Tonが3秒未満であれば、制御部2は、次に、始動時間Tonが1秒に達しているか否かを判定する(S15)。ステップS15において始動時間Tonが1秒以上であれば、つまり始動時間Tonが1秒以上3秒未満であれば、制御部2は、ステップS13で開始された停止状態をそのまま継続する(S16)。また、ステップS15において始動時間Tonが1秒未満であれば、制御部2は、ステップS3に戻って入力電圧Vinが動作範囲内であるか否かの確認からの動作を再度開始する。
また、ステップS12,S20の短絡の判定については、出力電圧Vdcが所定の短絡判定電圧(図では20V)を下回っている状態の継続時間である出力低下時間Tshが、所定の短絡判定時間(図では1秒)に達したときに短絡が発生したと判定される。すなわち、ステップS12では出力電圧Vdcが短絡判定電圧と比較され、出力電圧Vdcが短絡判定電圧以上であれば出力低下時間Tshの計時の停止(S17)を行った上で、次のステップS22(図1参照)に移行する。また、ステップS12で出力電圧Vdcが短絡判定電圧未満であった場合、出力低下時間Tshが計時中か否かを判定し(S18)、計時中でなければ出力低下時間Tshの計時を0から開始して(S19)ステップS11に戻る。また、ステップS18で出力低下時間Tshが計時中であった場合、出力低下時間Tshを短絡判定時間と比較し(S20)、出力低下時間Tshが短絡判定時間に達していなければステップS11に戻る一方、出力低下時間Tshが短絡判定時間に達していれば短絡が発生していると判定してDC−DCコンバータ11とインバータ12との動作をそれぞれ停止させる(S21)。
制御部22は、定常動作中には入力電圧検出部31からの入力の監視(すなわち入力電圧Vinの監視)も行っており、立ち消えの判定も短絡の判定もなされなかった場合には、次に、図1に示すように入力電圧Vinを所定の上限電圧Vt(例えば20V)と比較し(S22)、入力電圧Vinが上限電圧Vt以上であればDC−DCコンバータ11とインバータ12との動作をそれぞれ停止させる(S23)。
また、ステップS22において入力電圧Vinが上限電圧Vt未満であれば、制御部2は、次のステップS24からは、高圧放電灯DLを消灯させる必要があるほどに入力電圧Vinが低下している入力電圧低下状態であるか否かを判定する動作を開始する。
以下、本発明の要旨である、入力電圧低下状態であるか否かを判定する動作の内容について説明する。
制御部2は、まず、リプル検出部34から入力されたリプル検出電圧Vrpに基いて、バッテリーEへの充電の有無を判定する(S24)。そして、バッテリーEへの充電が有ると判定されれば、制御部2は、入力電圧Vinを所定の第1下限電圧Vb1(例えば6V)と比較し(S25)、入力電圧Vinが第1下限電圧Vb1未満であれば入力電圧低下状態であると判定しステップS23に進んでDC−DCコンバータ11とインバータ12との動作をそれぞれ停止させる一方、入力電圧Vinが第1下限電圧Vb1以上であれば後述する入力低下時間Tlvの計時を停止させた上で(S26)、ステップS11に戻って定常動作を継続する。
また、ステップS24においてバッテリーEへの充電が無いと判定されれば、制御部2は、入力電圧Vinを第1下限電圧Vb1よりも低い所定の第2下限電圧Vb2と比較し(S27)、入力電圧Vinが第2下限電圧Vb2以上であれば入力低下時間Tlvの計時を停止させた上で(S26)ステップS11に戻って定常動作を継続する。一方、ステップS27において入力電圧Vinが第2下限電圧Vb2未満であれば、制御部2は、次に、入力低下時間Tlvが計時中であるか否かを判定し(S28)、計時中でなければ入力低下時間Tlvの計時を0から開始し(S29)、ステップS11に戻って定常動作を継続する。また、ステップS28において入力低下時間Tlvが計時中であれば、制御部2は、入力低下時間Tlvが所定の低下判定時間Tst(例えば250ms)に達しているか否かを判定する(S30)。そして、ステップS30において入力低下時間Tlvが低下判定時間Tstに達していれば、制御部2は、入力電圧低下状態であると判定し、ステップS23に進んでDC−DCコンバータ11とインバータ12との動作をそれぞれ停止させる。また、ステップS30において入力低下時間Tlvが低下判定時間Tstに満たなければ、制御部2は、ステップS11に戻って定常動作を継続する。
すなわち、本実施形態においては、バッテリーEへの充電が無いと判定されている期間には、第1下限電圧Vb1よりも低い第2下限電圧Vb2よりも入力電圧Vinがさらに低い状態が低下判定時間Tst以上継続しなければ高圧放電灯DLが消灯されないから、第2下限電圧Vb2が第1下限電圧Vb1以上とされる場合や、入力電圧Vinが第2下限電圧Vb2を下回った時点で即座にステップS23で高圧放電灯DLが消灯される場合に比べ、入力電圧Vinの低下による消灯の頻度が低下する。
なお、図7に示すように、ステップS24でバッテリーEへの充電が無いと判定された場合において、さらに、入力電圧Vinの急激な低下(以下、「瞬時低電」と呼ぶ。)が発生しているか否かを制御部2が判定するステップS31と、ステップS31において瞬時低電が発生していると判定された場合に入力電圧Vinを第2下限電圧Vb2よりもさらに低い所定の第3下限電圧Vb3(例えば3V)と比較するステップS32とを追加し、ステップS31で瞬時低電が発生していないと判定された場合やステップS32で入力電圧Vinが第3下限電圧Vb3以上であった場合にはステップS27に進む一方、ステップS31で瞬時低電が発生していると判定され且つステップS32で入力電圧Vinが第3下限電圧Vb3未満であった場合には低下判定時間Tstに関わらず即座にステップS23に進んでDC−DCコンバータ11とインバータ12との停止が行われるようにしてもよい。ステップS31の具体的な動作としては、例えば、制御部2が1msおきに入力電圧Vinをサンプリングする場合、最新の入力電圧Vinが直前の(つまり1ms前の)入力電圧Vinに対して所定の瞬低判定電圧(例えば3V)以上低下しているときに瞬時低電が発生していると判定し、最新の入力電圧Vinが直前の入力電圧Vinに対して低下していない場合や低下幅が上記の瞬低判定電圧未満である場合には瞬時低電が発生していないと判定する。つまり、入力電圧Vinの低下速度が、入力電圧Vinのサンプリングの間隔(上記の例では1ms)で上記の瞬低判定電圧を除した値である判定低下速度(上記の例では3V/ms)以上となったときに瞬時低電が発生したと判定され、逆に、入力電圧Vinの低下速度が上記の判定低下速度未満となったときに瞬時低電が発生していないと判定される。上記構成を採用すれば、ステップS31での入力電圧Vinと第3下限電圧Vb3との比較結果による停止が行われない場合に比べ、入力電圧Vinが低下した状態での効率の悪い動作の継続が抑えられる。さらに、ステップS31の瞬時低電の判定を省略し、入力電圧Vinが第3下限電圧Vb3を下回った場合の即時の停止が、瞬時低電の有無に関わらず行われるようにしてもよい。
ここで、電気的光源としては高圧放電灯DLに限られず、例えば図8に示すように発光ダイオードLEDを用いてもよい。この場合、インバータ12や始動部13や始動電源部14はいずれも不要となり、図8の例ではDC−DCコンバータ11の出力端間に直接に発光ダイオードLEDを接続している。図8の場合には、DC−DCコンバータ11のみが請求項における電力変換部を構成する。
さらに、電気的光源として高圧放電灯DLが用いられる場合において、バッテリーEへの充電が無いと判定されている状態で瞬時低電が発生していると判定されてから所定時間にわたり、制御部2が、高圧放電灯DLへの出力電力を一時的に増加させるようにしてもよく、この構成を採用すれば、上記のような出力電力の増加を行わない場合に比べて高圧放電灯DLの立ち消えが抑えられる。制御部2が高圧放電灯DLの出力電力を増加させる具体的な動作としては、例えば、目標電力を一時的に増加させるという動作や、出力電流検出部33の出力から得られた出力電流を減算する補正を行った上で制御電圧Vopの演算に用いることにより結果として上記の出力電力を増加させるという動作や、演算の結果得られた制御電圧Vopに対して上記の出力電力を増加させるような補正を加えた上でDC−DCコンバータ11の第1駆動回路11aに入力するという動作などが考えられる。高圧放電灯DLの定格電力が35Wであって高圧放電灯DLへの入力電力として定格電力プラスマイナス3Wの32W〜38Wが許容されている場合、上記動作による出力電力の増加幅は例えば2Wとする。
ところで、電気的光源として高圧放電灯DLが用いられる場合には、インバータ12の出力の極性が反転する際、インバータ12の出力電圧のデッドタイム(ゼロクロス点)で立ち消えが発生しやすい。そこで、バッテリーEへの充電が無いと判定されている状態で瞬時低電が発生していると判定されてから所定時間にわたり、制御部2が、動作周波数(すなわちインバータ12の出力の周波数)を一時的に低下させ、つまり単位時間当りの上記のデッドタイムの発生回数(ゼロクロス点の個数)を減少させることで、高圧放電灯DLの立ち消えを抑えてもよい。例えば、バッテリーEへの充電が無く且つ瞬時低電が発生していると判定されてから20周期分の時間にわたり、インバータ12の出力の極性の反転を停止させ、その後、インバータ12の出力の極性を反転させてからさらに20周期分の時間にわたり、インバータ12の出力の極性の反転を停止させる。この場合、40周期分の時間にわたり、動作周波数が40分の1とされたことになる。なお、バッテリーEへの充電が無く且つ瞬時低電が発生していると判定されてから所定時間にわたってインバータ12の出力の極性を固定してインバータ12から高圧放電灯DLへの出力を直流としてもよく、この場合には、動作周波数の低下の継続時間を、動作周波数の低下中のインバータ12の出力の周期(つまり動作周波数の逆数)の2分の1としたことになる。ただし、インバータ12の出力の各極性の継続時間の不均衡により高圧放電灯DLの電極間に温度差が発生することを避けるためには、上記のような動作周波数の一時的な低下の継続時間は、動作周波数が一時的に低下した状態でのインバータ12の出力の周期(つまり動作周波数の逆数)の整数倍とすることで、インバータ12の出力の各極性の継続時間を均等とすることが望ましい。
また、制御部2が、電力変換部たるDC−DCコンバータ11やインバータ12においてノイズが発生しやすい期間(以下、「ノイズ発生期間」と呼ぶ。)には常にバッテリーEへの充電が有ると判定するようにしてもよい。上記のノイズ発生期間としては例えばインバータ12から高圧放電灯DLへの出力電圧Vdlの反転時が考えられる。例えば、図9の上段に示すようなインバータ12の出力電圧Vdlに対し、図9の下段に示すようにインバータ12の出力電圧Vdlの反転時を含む短時間(例えばデッドタイム中)にのみLレベルとなりその他の期間にはHレベルとなるような矩形波状のマスク電圧Vmaを生成するマスク生成部(図示せず)を設け、制御部2は、ステップS24において、マスク電圧VmaがHレベルである期間にのみリプル検出回路34の出力を用いてバッテリーEへの充電の有無の判定を行い、マスク電圧VmaがLレベルである期間にはリプル検出回路34の出力に関わらずバッテリーEへの充電が有ると判定する。この構成を採用すれば、実際にはバッテリーEに充電が有るにも関わらず上記のノイズにより充電が無いと誤判定され入力電圧Vinが第1下限電圧Vb1よりも低い状態での効率の悪い動作が継続されてしまうといったことを避けることができる。光源として図8のように発光ダイオードLEDが用いられる場合であっても、定期的にノイズを発生させるようなノイズ源が存在し且つ該ノイズ源のノイズ発生期間が既知であれば、該ノイズ源のノイズ発生期間でLレベルとなるようなマスク電圧Vmaを生成するマスク生成部を設けることで、該ノイズ源のノイズによる上記のような誤判定で入力電圧Vinが低い状態での動作が継続されてしまうことを避けることができる。