JP5348397B2 - 回転電機用ステータ及びその製造方法 - Google Patents

回転電機用ステータ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ステータコアにおける複数のスロット内にコイルを配置してなる回転電機用ステータ及びその製造方法に関する。
例えば、3相交流モータとして、角線導体を周方向に一巡するよう波巻形状に形成したコイルを用い、このコイルをステータコアにおける複数のスロットに分布して配置する分布巻きを行うことが知られている(特許文献1参照)。そして、ステータコアをスロット数に対応した数のコア形成ブロックに分割形成しておき、分布巻き用のコイルをステータコアに配置する状態に組み合わせてコイル組付体を形成し、コイル組付体の外周側からコア形成ブロックを配置することによって、ステータを形成している。
また、例えば、特許文献2のモータの固定子においては、ステータコアを、切り欠け溝を形成したバックヨークと、切り欠け溝の形状に対応した形状の突起を有するT字状のティースとに分割して形成することが開示されている。ここには、ティースに巻線を巻回した後、切り欠け溝にティースの突起を圧入し、V字状の切り込み部を支点にして、ティースが軸中心方向に向く方向に、バックヨークを折り曲げ、輪状にすることが開示されている。これによれば、抜き板を打ち抜いた後の廃材の量を最小限に抑えることができる。
また、特許文献3のモータの組合せ式固定子構造においては、複数のコア片を弧状に配列することによりコア片連結部材を形成し、コア片連結部材をコア片の積層方向に相隣なる縁部同士が重なり合うように順次積層すると共に、重なり合ったコア片の縁部同士に、これらを回転自在に連結する連結手段を設けることが開示されている。これによれば、金型から取り出された後のステータコアの搬送を容易にして生産性の向上を図ることができる。
特開2008−253063号公報 特開平10−174317号公報 特開2003−174741号公報
ところで、ステータコアに磁気回路を形成する際に、ステータコアに生じる鉄損を低減するため、ティース部分の内周側端部に周方向へ突出する鍔部を形成して、セミオープンタイプのスロットを形成することが考えられる。
しかしながら、特許文献1等の分布巻きタイプのステータにおいては、ステータコアにおけるスロットを、周方向の一対の側面の全体が平行なオープンタイプのスロットに形成する必要がある。そのため、コイルに角線導体を用いた場合、セミオープンタイプのスロットを形成すると、コイルをスロット内周側の開口部から挿入することができない。
また、特許文献2、3に開示された技術は、いずれもティースの回りにコイルを巻回する集中巻きタイプのステータに関する技術であり、分布巻きタイプのステータを形成する際には採用することができない。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、セミオープンタイプのスロットに対して分布巻き状態でコイルを配置したステータを簡単に製造することができる回転電機用ステータ及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、ステータコアにおける複数のスロット内に分布巻き状態でコイルを配置してなる回転電機用ステータにおいて、
上記ステータコアは、上記スロットに対して外周側に位置するヨークコア部と、上記スロット同士の周方向間に位置し、上記ヨークコア部同士を連結するティースコア部とを組み合わせて形成してあり、
上記ティースコア部は、その一対の周方向端面における内周側端部から周方向へ鍔部を突出させてなり、
互いに隣接する上記ヨークコア部と上記ティースコア部とが対面する周方向接触面は、上記ステータコアの円中心から上記ヨークコア部の周方向中心を通るように描いたヨーク仮想中心線の方向に平行に形成してあるか、又は該ヨーク仮想中心線の方向と、上記ステータコアの円中心から上記ティースコア部の周方向中心を通るように描いたティース仮想中心線の方向との間の方向に向けて形成してあり、かつ、上記ヨークコア部及び上記ティースコア部の径方向に対して形成した複数段の周方向接触面部分と、該周方向接触面部分に隣接して形成された径方向接触面部分とによる段差面形状を有しており、
さらに、上記周方向接触面は、上記コイルへ配置した一対の上記ティースコア部の間へ外周側から上記ヨークコア部を配置することができる一方、上記コイルへ配置した一対の上記ヨークコア部の間から内周側へ上記ティースコア部を抜き出すことができない面形状に形成してあることを特徴とする回転電機用ステータにある(請求項1)。
本発明の回転電機用ステータは、ステータコアを、ヨークコア部とティースコア部とに分割することにより、セミオープンタイプのスロットに対して分布巻き状態のコイルを容易に配置することができる工夫を行なっている。
本発明においては、ヨークコア部とティースコア部とが対面する周方向接触面の法線方向(ステータコアの径方向)に対する形成方向に工夫を行っており、この周方向接触面は、コイルへ配置した一対のティースコア部の間へ外周側からヨークコア部を配置することができる一方、コイルへ配置した一対のヨークコア部の間から内周側へティースコア部を抜き出すことができない面形状に形成してある。
そして、セミオープンタイプのスロットを形成するティースコア部は、その一対の周方向端面における内周側端部から周方向へ突出する鍔部を有している。そして、ティースコア部は、円筒状の分布巻き状態に組み合わせたコイルにおける隙間へ、内周側から配置することができる。このとき、コイルの内周側からティースコア部を配置することにより、鍔部が配置の際の障害(干渉部分)になることを防止することができる。
次いで、ヨークコア部は、コイルへ配置した一対のティースコア部の間へ、外周側から配置することができる。これにより、ヨークコア部及びティースコア部の全体が組み合わさって形成された複数のセミオープンタイプのスロット内に、コイルが分布巻き状態で配置された状態を容易に形成することができる。
そして、形成したステータにおいては、隣り合う一対のヨークコア部の間からティースコア部を内周側へ抜き出そうとしても、ティースコア部の周方向接触面が、ヨークコア部の周方向接触面によって受け止められる。これにより、ティースコア部は、コイルへ配置した一対のヨークコア部の間から内周側へ抜き出すことができない。そのため、ティースコア部の内周側に何ら他の部材を配置しなくても、ティースコア部の抜け出しを防止することができる。
それ故、本発明の回転電機用ステータによれば、セミオープンタイプのスロットに対して分布巻き状態でコイルを配置したステータを簡単に製造することができる。
第2の発明は、上記回転電機用ステータを製造する方法において、
上記コイルを、円筒状の分布巻き状態に組み合わせたコイル組合せ体を形成するコイル組合せ工程と、
上記コイル組合せ体における軸方向に平行な導体部分同士の間へ、内周側から上記ティースコア部を配置するティースコア部配置工程と、
上記コイル組合せ体に配置した上記ティースコア部同士の間へ、外周側から上記ヨークコア部を配置するヨークコア部配置工程とを含むことを特徴とする回転電機用ステータの製造方法にある(請求項)。
本発明の回転電機用ステータの製造方法は、上記回転電機用ステータの製造に適したものである。
本発明においては、まず、コイル組合せ工程として、コイルを円筒状の分布巻き状態に組み合わせて、コイル組合せ体を形成する。このコイル組合せ体は、コイルの全体をステータコアにおける複数のスロット内に分布巻き状態で配置したときの形状にすることができる。
次いで、ティースコア部配置工程として、コイル組合せ体における軸方向に平行な導体部分同士の間へ、内周側からティースコア部を配置する。このとき、円筒形状のコイル組合せ体に対して、すべてのティースコア部を配置することができる。
次いで、ヨークコア部配置工程として、コイル組合せ体に配置したティースコア部同士の間へ、外周側からヨークコア部を配置する。このとき、ヨークコア部は、ティースコア部同士の間へ順次配置することができ、全部を同時にティースコア部同士の間へ配置することもできる。
また、ティースコア部配置工程と、ヨークコア部配置工程とは交互に行うこともできる。すなわち、コイルに対して2つ以上のティースコア部を配置した後、一対のティースコア部の間にヨークコア部を配置し、次いで、ティースコア部の配置とヨークコア部の配置とを繰り返すことができる。
それ故、本発明の回転電機用ステータの製造方法によれば、セミオープンタイプのスロットに対して分布巻き状態でコイルを配置したステータを簡単に製造することができる。
実施例1において、回転電機用ステータの一部を、軸方向から見た状態で拡大して示す断面説明図。 実施例1において、コイル組合せ体に対してティースコア部を配置する状態を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、コイル組合せ体に配置したティースコア部に対してヨークコア部を配置する状態を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、コイル組合せ体に配置したティースコア部に対してヨークコア部を配置して形成したステータ中間体を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、回転電機用ステータを、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、嵌合リング部を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、嵌合リング部の係合部の連結構造を、径方向外周側から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、嵌合リング部の他の係合部の連結構造を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、回転電機用ステータを、周方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例1において、他の回転電機用ステータの一部を、軸方向から見た状態で拡大して示す断面説明図。 参考例1において、回転電機用ステータの一部を、軸方向から見た状態で拡大して示す断面説明図。 参考例1において、回転電機用ステータを、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 参考例1において、コイル組合せ体に配置したティースコア部に対してヨークコア部を配置する状態を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 参考例1において、他の回転電機用ステータの一部を、軸方向から見た状態で拡大して示す断面説明図。 参考例1において、コイル組合せ体に配置したティースコア部に対して他のヨークコア部を配置する状態を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例2において、回転電機用ステータの一部を、軸方向から見た状態で拡大して示す断面説明図。 実施例2において、コイル組合せ体に対してI状コア部を配置する状態を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例2において、コイル組合せ体に配置したI状コア部に対してT状コア部を配置する状態を、軸方向から見た状態で示す断面説明図。 実施例2において、回転電機用ステータを、軸方向から見た状態で示す断面説明図。
上述した第1、第2の発明における好ましい実施の形態につき説明する。
第1、第2の発明において、軸方向、周方向、径方向とは、円筒形状を有するステータコアに対する方向を示す。
また、上記コイルは、角線導体を用い、スロット内に配置される導体部分と、スロット外(コイルエンド部)に配置される導体部分とが、周方向に向けて波形状に繋がる波巻コイルとすることができる。この波巻コイルは、ステータコアの周方向を一巡する形状に形成したターン構成部を、径方向に複数段に重ねて配置して構成することができる。
また、上記回転電機用ステータは、モータ、ジェネレータ、モータジェネレータに用いることができ、例えば、ハイブリッド自動車又は電気自動車の走行発電用として用いることができる。また、回転電機用ステータは、3相のコイルをステータコアに配置した3相回転電機として用いることができる。
また、上記ティースコア部において上記コイルと対面する一対の周方向の側面は、互いに平行な面に形成することができる。また、この一対の周方向の側面は、コイルに対して内周側から配置できるように、外周側に向かうに連れて幅が小さくなるテーパ面に形成することもできる。
また、第1の発明において、上記周方向接触面は、上記ステータコアの円中心から上記ヨークコア部の周方向中心を通るように描いたヨーク仮想中心線の方向に平行に形成してあるか、又は該ヨーク仮想中心線の方向と、上記ステータコアの円中心から上記ティースコア部の周方向中心を通るように描いたティース仮想中心線の方向との間の方向に向けて形成してある
これにより、上記ティースコア部とヨークコア部との配置及び抜け防止の工夫を行った上記周方向接触面の面形状を容易に実現することができる。
また、上記周方向接触面は、上記ヨークコア部及び上記ティースコア部の径方向に対して形成した複数段の周方向接触面部分と、該周方向接触面部分に隣接して形成された径方向接触面部分とによる段差面形状を有している
これにより、ステータにおいて、複数段の周方向接触面部分によって、一対のヨークコア部の間から内周側へティースコア部を抜き出すことができないようにすることができる。そのため、ティースコア部の抜け出し防止をより確実に行うことができる。
また、上記ヨークコア部及び上記ティースコア部は、これらの外周側に嵌合する嵌合リング部内に嵌入して一体化してあることが好ましい(請求項)。
この場合には、ヨークコア部及びティースコア部を嵌合リング部によって一体化し、嵌合リング部によって、ヨークコア部を外周側へ抜き出すことができないようにすることができる。
また、互いに隣接する上記ヨークコア部は、上記ティースコア部の外周側端部に対する外周側に隣接する部分である連結部において互いに連結されており、上記ヨークコア部において上記ティースコア部と対面する周方向接触面であって上記連結部から遠い側の外側周方向接触面、及び該外側周方向接触面に対面する上記ティースコア部の周方向接触面は、上記連結部を支点に上記ヨークコア部を回動させることにより、上記コイルへ配置した一対の上記ティースコア部の間へ外周側から配置することができる円弧面形状に形成し、上記ヨークコア部において上記ティースコア部と対面する周方向接触面であって上記連結部から近い側の内側周方向接触面、及び該内側周方向接触面に対面する上記ティースコア部の周方向接触面は、上記コイルへ配置した一対の上記ヨークコア部の間から内周側へ上記ティースコア部を抜き出すことができない面形状に形成してあってもよい
この場合には、複数のヨークコア部を、連結部において回動させることにより、一対のティースコア部の間に順次配置することができる。具体的には、ヨークコア部を、コイルへ配置した一対のティースコア部の間へ、外周側から配置するとき、ヨークコア部及びティースコア部において、連結部から遠い側の周方向接触面が、連結部を円中心とする円弧面形状に形成してあることにより、先に一対のティースコア部の間に配置したヨークコア部と繋がる連結部を支点にして、これから配置するヨークコア部を回動させることにより、一対のティースコア部の間へ外周側から配置することができる。
また、上記外側周方向接触面及びこれに対面する上記周方向接触面は、上記連結部における回動中心の回りに描いた仮想円に沿った円弧接触面部分と、該円弧接触面部分に対する径方向の外周側位置において、該円弧接触面部分よりも大きな半径で上記連結部における回動中心の回りに描いた仮想円に沿った段差接触面部分とを有しており、上記内側周方向接触面及びこれに対面する上記周方向接触面は、上記ヨークコア部及び上記ティースコア部の径方向に対して形成した複数段の周方向接触面部分と、該周方向接触面部分に隣接して形成された径方向接触面部分とによる段差面形状を有していてもよい
この場合には、外側周方向接触面における段差接触面部分と、内側周方向接触面における複数段の周方向接触面部分とによって、一対のヨークコア部の間から内周側へティースコア部を抜き出すことができないようにすることができる。そのため、ティースコア部の抜け出し防止をより確実に行うことができる。
また、上記連結部は、上記ヨークコア部において径方向の厚みが最も小さい部分によって形成し、上記ヨークコア部は、上記連結部を塑性変形させることによって回動可能とすることができる。この場合には、連結部の形成が容易であり、特別な工夫をすることなく、連結部によって複数のヨークコア部を連結させておくことができる。
また、上記連結部は、上記ティースコア部の外周側端部の外周側に隣接する部分にヒンジピンを設けて形成し、上記ヨークコア部は、上記ヒンジピンを中心に回動可能にすることもできる。この場合には、ヒンジピンによって、組付の際に連結部を円滑に回動させることができる。また、ヒンジピンによって複数のヨークコア部を連結させておくことができる。
また、上記連結部によって連結された複数の上記ヨークコア部のうち、最も端に位置する一対の最端ヨークコア部には、外周側に突出する一対の突起部が形成してあり、該一対の突起部に止め金具を嵌合して、上記一対の最端ヨークコア部が上記ティースコア部から外周側へ外れることを防止していてもよい
この場合には、簡単な構造によって、ヨークコア部の外れ防止を行うことができる。
また、上記ヨークコア部は、一対の上記スロットの間のティース部分、該ティース部分の外周側に位置するヨーク部分及び当該一対のスロットに対して外周側に位置するヨーク部分を一体化したT状コア部からなり、上記ティースコア部は、上記T状コア部同士を連結するI状コア部からなり、上記I状コア部におけるティース部分にのみ、その一対の周方向端面における内周側端部から周方向へ突出する鍔部を形成してなり、互いに隣接する上記T状コア部と上記I状コア部とが対面する周方向接触面は、上記コイルへ配置した一対の上記I状コア部の間へ外周側から上記T状コア部を配置することができる一方、上記コイルへ配置した一対の上記T状コア部の間から内周側へ上記I状コア部を抜き出すことができない面形状に形成してあることが好ましい(請求項)。
この場合は、上記ヨークコア部を、ティース部分を有するT形状のT状コア部として形成している。また、T状コア部におけるティース部分には、コイルに対して外周側から配置することができるよう上記鍔部を形成していない。そして、T状コア部は、コイルへ配置した一対のI状コア部の間へ、外周側から配置することができる。その後、形成したステータにおいては、隣り合う一対のT状コア部の間からI状コア部を内周側へ抜き出そうとしても、I状コア部の周方向接触面が、T状コア部の周方向接触面によって受け止められる。これにより、I状コア部は、コイルへ配置した一対のT状コア部の間から内周側へ抜き出すことができない。そのため、I状コア部の内周側に何ら他の部材を配置しなくても、I状コア部の抜け出しを防止することができる。
また、上記T状コア部におけるティース部分における一対の周方向の側面は、互いに平行な面に形成することができる。また、この一対の周方向の側面は、コイルに対して外周側から配置できるように、外周側に向かうに連れて幅が大きくなるテーパ面に形成することもできる。
また、上記周方向接触面は、上記ステータコアの中心から上記T状コア部におけるティース部分の周方向中心を通るように描いたT状コア仮想中心線の方向に平行に形成してあるか、又は該T状コア仮想中心線の方向と、上記ステータコアの中心から上記I状コア部の周方向中心を通るように描いたI状コア仮想中心線の方向との間の方向に向けて形成してあってもよい
この場合には、上記T状コア部とI状コア部との配置及び抜け防止の工夫を行った上記周方向接触面の面形状を容易に実現することができる。
また、上記T状コア部及び上記I状コア部は、これらの外周側に嵌合する嵌合リング部内に嵌入して一体化してあることが好ましい(請求項)。
この場合には、T状コア部及びI状コア部を嵌合リング部によって一体化し、嵌合リング部によって、T状コア部を外周側へ抜き出すことができないようにすることができる。
以下に、本発明の回転電機用ステータ及びその製造方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の回転電機用ステータ1は、図5、図9に示すごとく、ステータコア2における複数のスロット21内に分布巻き状態でコイル6を配置してなる。
ステータコア2は、図1、図5に示すごとく、スロット21に対して外周側に位置するヨークコア部3と、スロット21同士の周方向Cの間に位置し、ヨークコア部3同士を連結するティースコア部4と、ティースコア部4及びヨークコア部3の外周側に嵌合する嵌合リング部5とに分割してある。そして、ステータコア2は、ヨークコア部3及びティースコア部4を嵌合リング部5内に嵌入して一体化してある。
図1に示すごとく、ティースコア部4は、その一対の周方向端面42における内周側端部から周方向Cへ(コイル6に対する内周側に対向する位置に)鍔部43を突出させてなる。そして、互いに隣接するヨークコア部3とティースコア部4とが対面する周方向接触面31、41は、コイル6へ配置した一対のティースコア部4の間へ外周側からヨークコア部3を配置することができる一方、コイル6へ配置した一対のヨークコア部3の間から内周側へティースコア部4を抜き出すことができない面形状に形成してある。
以下に、本例の回転電機用ステータ1及びその製造方法につき、図1〜図10を参照して詳説する。
本例の回転電機用ステータ1は、ハイブリッド自動車において、モータ、ジェネレータ、又はモータジェネレータとして用いられる。また、本例の回転電機は、3相回転電機であり、ステータコア2に対して、U相、V相、W相の3相のコイル6を分布巻き状態で配置して構成されている。
図1に示すごとく、本例のステータコア2に形成するスロット21は、セミオープンタイプのスロット21であり、ティースコア部4に形成された鍔部43によって、回転電機において磁気回路を形成する際に、ステータ1に生じる鉄損を低減する。鍔部43は、ティースコア部4の内周側面421における周方向Cの両端部から周方向Cに延長形成されている。ティースコア部4の鍔部43と、これに隣接するティースコア部4の鍔部43との間には、若干の間隙が形成されている。
また、ヨークコア部3とティースコア部4との間の接触部分は、鉄損の発生を防止するため、隙間ができないよう全体が接触している。
また、図9に示すごとく、本例のコイル6は、断面略四角形状の角線導体をステータコア2の周方向Cを一巡する波巻形状に形成した波巻コイル6である。この波巻コイル6は、スロット21内に配置される導体部分62と、スロット21外に配置される導体部分(コイルエンド部)63とが、周方向Cに向けて波形状に繋がって形成されている。また、この波巻コイル6は、ステータコア2の周方向Cを一巡する形状に形成したターン構成部を、径方向Rに複数段に重ねて配置して構成されている。
波巻コイル6を構成する角線導体は、導体部の表面に絶縁被膜を形成してなる。波巻コイル6は、角線導体をステータコア2の寸法に応じた適宜箇所で折り曲げて形成されている。
本例のヨークコア部3及びティースコア部4は、複数の電磁鋼板を軸方向Lに積層してなる。図示は省略するが、ヨークコア部3及びティースコア部4は、同じ電磁鋼板から同時に成形された共取り品を周方向Cに互いに隣接させてステータコア2を形成することができる。
図5に示すごとく、本例のステータコア2は、24個のスロット21を有しており、ヨークコア部3及びティースコア部4は、24個に分割して形成されている。
また、図1に示すごとく、周方向接触面31、41は、ヨークコア部3及びティースコア部4の径方向Rに対して複数段の周方向接触面部分311、411を形成し、周方向接触面部分311、411の間に形成された径方向接触面部分312、412による段差形状を有している。本例においては、ティースコア部4においてスロット21を形成する一対の周方向端面(周方向側面)42がコイル6に対する外周側の位置まで形成されており、コイル6に対する外周側の位置において、内周側から径方向接触面部分312、412と周方向接触面部分311、411とが交互に2段回に形成されている。
また、ヨークコア部3は、ヨーク仮想中心線A1に対して対称形状に形成してあり、ティースコア部4は、ティース仮想中心線A2に対して対称形状に形成してある。
ティースコア部4は、コイル6と対面する一対の周方向端面42を、ステータコア2の円中心Oから法線方向(径方向R)に描いたティース仮想中心線A2に対して平行に形成している(図5参照)。また、一対の周方向接触面41の間の幅は、一対の周方向端面42の間の幅よりも小さくしてある。
図1に示すごとく、本例のヨークコア部3及びティースコア部4における周方向接触面31、41(周方向接触面部分311、411)は、ステータコア2の円中心Oからヨークコア部3の周方向Cの中心を通るように描いたヨーク仮想中心線A1の方向に平行に形成してある(図中、A1’で示す。)。
なお、ヨークコア部3及びティースコア部4における周方向接触面31、41(周方向接触面部分311、411)は、同図に示すごとく、ヨーク仮想中心線A1の方向A1’と、ステータコア2の円中心Oからティースコア部4の周方向Cの中心を通るように描いたティース仮想中心線A2の方向A2’との間の方向A3’に向けて形成することもできる。
図1、図9に示すごとく、コイル6における軸方向Lに平行な導体部分62は、絶縁紙61を介してスロット21内に配置されている。本例のコイル6は、スロット21内においては周方向Cに2列に並び、スロット21外の軸方向端部(ステータコア2の軸方向端面の外側)においては、軸方向Lに2列に並んでいる。
なお、図10に示すごとく、各スロット21内には、周方向Cに1列に並べてコイル6を配置することもできる。この場合、スロット21の数は、48個となり、ヨークコア部3及びティースコア部4はそれぞれ48個に分割して形成される。この場合においても、互いに隣接するヨークコア部3とティースコア部4とが対面する周方向接触面31、41は、上記スロット21内に周方向Cに2列にコイル6を並べた場合と同様に形成することができる。
図5、図6に示すごとく、本例の嵌合リング部5は、ステータ1を回転電機の周辺のフレーム等に取り付けるための取付部51を、周方向Cの複数箇所(本例では3箇所)に有している。また、嵌合リング部5は、平板状態のものを、コイル組合せ体60に対してすべてのティースコア部4及びすべてのヨークコア部3を配置したステータ中間体10に対して巻き付け(図4参照)、両端部に形成した係合部52において連結させる構造にすることができる(図5参照)。
この係合部52における連結は、図5〜図7に示すごとく、一対に形成した係合部52同士の間に嵌入部材53を嵌入して行うことができる。また、係合部52における連結は、図8に示すごとく、一対に形成した係合部52同士を係止部材54によって係止して行うこともできる。
次に、本例の回転電機用ステータ1を製造する方法について詳説する。
まず、コイル組合せ工程として、図2に示すごとく、コイル6を、円筒状の分布巻き状態に組み合わせたコイル組合せ体60を形成する。このコイル組合せ体60は、コイル6の全体をステータコア2における複数のスロット21内に分布巻き状態で配置したときの形状にする。本例のコイル6は、3相の波巻コイル6であり、ステータコア2に分布巻き状態で配置される。すなわち、各相のコイル6は、同相のスロット21内に配置された後、コイルエンド部63において他の2相分のスロット21を飛ばし、同相の他のスロット21内に配置されて、分布(分散)配置される(図9参照)。
次いで、ティースコア部配置工程として、図2に示すごとく、コイル組合せ体60における軸方向Lに平行な導体部分62同士の間へ、内周側からティースコア部4を配置する。このとき、本例においては、円筒形状のコイル組合せ体60に対して、すべてのティースコア部4を配置する。また、コイル6の内周側からティースコア部4を配置することにより、鍔部43が配置の際の障害(干渉部分)になることを防止することができる。また、ティースコア部4の鍔部43を除く部分の周方向端面42同士の間の幅は、コイル組合せ体60における軸方向Lに平行な導体部分62同士の幅よりも小さくなっており、ティースコア部4を容易に挿入配置することができる。
次いで、ヨークコア部配置工程として、図3、図4に示すごとく、コイル組合せ体60に配置したティースコア部4同士の間へ、外周側からヨークコア部3を配置する。このとき、ヨークコア部3は、ティースコア部4同士の間へ順次配置することができ、全部を同時にティースコア部4同士の間へ配置することもできる。また、本例のヨークコア部3及びティースコア部4における周方向接触面31、41は、ヨーク仮想中心線A1の方向に平行に形成してあることにより、一対のティースコア部4における周方向接触面41(周方向接触面部分411)同士の間に、ヨークコア部3における一対の周方向接触面31(周方向接触面部分311)を摺動させることができる。これにより、一対のティースコア部4の間にヨークコア部3を容易に挿入配置することができる。そして、ヨークコア部3及びティースコア部4の全体が組み合わさって形成された複数のセミオープンタイプのスロット21内に、コイル6が分布巻き状態で配置された状態を容易に形成することができる。
その後、リング部嵌合工程として、図5に示すごとく、コイル組合せ体60に対してすべてのティースコア部4及びすべてのヨークコア部3を配置したステータ中間体10を嵌合リング部5内へ嵌入する。このとき、嵌合リング部5は、平板状態のものをステータ中間体10に巻き付けて、ステータ中間体10を嵌入させることができる。こうして、コイル6、ヨークコア部3及びティースコア部4が一体化したステータを形成することができる。
本例の回転電機用ステータ1は、ステータコア2を、ヨークコア部3とティースコア部4とに分割することにより、セミオープンタイプのスロット21に対して分布巻き状態のコイル6を容易に配置することができる工夫を行なっている。
本例においては、ヨークコア部3とティースコア部4とが対面する周方向接触面31、41の法線方向(ステータコア2の径方向R)に対する形成方向に工夫を行っており、この周方向接触面31、41は、上記のごとく、コイル6へ配置した一対のティースコア部4の間へ外周側からヨークコア部3を配置することができる一方、コイル6へ配置した一対のヨークコア部3の間から内周側へティースコア部4を抜き出すことができない面形状に形成してある。
そして、形成したステータ1においては、隣り合う一対のヨークコア部3の間からティースコア部4を内周側へ抜き出そうとしても、ティースコア部4の周方向接触面41(周方向接触面部分411)が、ヨークコア部3の周方向接触面31(周方向接触面部分311)によって受け止められる。これにより、ティースコア部4は、コイル6へ配置した一対のヨークコア部3の間から内周側へ抜き出すことができない。そのため、ティースコア部4の内周側に何ら他の部材を配置しなくても、ティースコア部4の抜け出しを防止することができる。なお、ヨークコア部3は、嵌合リング部5があることによって外周側へ抜き出すことができない。
それ故、本例の回転電機用ステータ1及びその製造方法によれば、セミオープンタイプのスロット21に対して分布巻き状態でコイル6を配置したステータ1を簡単に製造することができる。
参考例1
本例は、上記実施例1と比べて上記ヨークコア部3及びティースコア部4の形状が異なり、ヨークコア部3の全体を連結した場合の回転電機用ステータ1を示す例である。
本例においては、図11に示すごとく、互いに隣接するヨークコア部3を、ティースコア部4の外周側端部の外周側に隣接する部分である連結部32において互いに連結していることにより、上記嵌合リング部5を用いないようにしている。
具体的には、図11に示すごとく、本例のステータコア2は、スロット21に対して外周側に位置するヨークコア部3と、スロット21同士の周方向Cの間に位置し、ヨークコア部3同士を連結するティースコア部4とに分割してある。互いに隣接するヨークコア部3は、ティースコア部4の外周側端部の外周側に隣接する部分である連結部32において互いに連結されている。ティースコア部4は、その一対の周方向端面42における内周側端部から周方向Cへ鍔部43を突出させてなる。
同図に示すごとく、本例のヨークコア部3においてティースコア部4と対面する周方向接触面31であって連結部32から遠い側の外側周方向接触面31A、及び外側周方向接触面31Aに対面するティースコア部4の周方向接触面41Aは、連結部32を支点にヨークコア部3を回動させることにより、コイル6へ配置した一対のティースコア部4の間へ外周側から配置することができる円弧面形状に形成してある。
また、本例のヨークコア部3においてティースコア部4と対面する周方向接触面31であって連結部32から近い側の内側周方向接触面31B、及び内側周方向接触面31Bに対面するティースコア部4の周方向接触面41Bは、コイル6へ配置した一対のヨークコア部3の間から内周側へティースコア部4を抜き出すことができない面形状に形成してある。
以下に、本例の回転電機用ステータ1及びその製造方法につき、図11〜図15を参照して詳説する。
図11に示すごとく、本例の回転電機用ステータ1は、複数のヨークコア部3を、連結部32において回動させることにより、一対のティースコア部4の間に順次配置することができる構造にしている。また、ヨークコア部3とティースコア部4とが対面する周方向接触面31、41において、連結部32から遠い側の周方向接触面31A、41Aは、円弧面形状に形成すると共に、連結部32から近い側の周方向接触面31B、41Bは、面形状に形成している。
本例の連結部32は、ティースコア部4の外周側端部の外周側に隣接する部分にヒンジピン32を設けて形成してある。本例のヨークコア部3は、ヒンジピン32を中心に回動可能である。
本例の外側周方向接触面31A及びこれに対面する周方向接触面41Aは、ヒンジピン32(連結部32)における回動中心の回りに描いた仮想円に沿った円弧接触面部分312A、412Aと、円弧接触面部分312A、412Aに対する径方向Rの外周側位置において、円弧接触面部分312A、412Aよりも大きな半径でヒンジピン32における回動中心の回りに描いた仮想円に沿った段差接触面部分311A、411Aとを有している。
また、この段差接触面部分311A、411Aは、ステータコア2の円中心Oからスロット21内のコイル6の周方向Cの中心位置を通るように描いたヨーク仮想中心線A1の方向A1’と、ティースコア部4の周方向Cの中心を通るように描いたティース仮想中心線A2の方向A2’との間の方向A3’に向けて形成されている。
図11に示すごとく、本例の内側周方向接触面31B及びこれに対面する周方向接触面41Bは、ヨークコア部3及びティースコア部4の径方向Rに対して形成した複数段の周方向接触面部分311B、411Bと、周方向接触面部分311B、411Bに隣接して形成された径方向接触面部分312B、412Bとによる段差面形状を有している。本例のヨークコア部3及びティースコア部4における周方向接触面部分311B、411Bは、ステータコア2の円中心Oからスロット21内のコイル6の周方向Cの中心位置を通るように描いたヨーク仮想中心線A1の方向A1’に略平行に形成してある。
この周方向接触面部分311B、411Bは、ヨーク仮想中心線A1の方向A1’と、ティースコア部4の周方向Cの中心を通るように描いたティース仮想中心線A2の方向A2’との間の方向A3’に形成することもできる。ただし、この周方向接触面部分311B、411Bは、ヒンジピン32(連結部32)を中心にヨークコア部3を回動させる構成より、ヨークコア部3の回動ができる範囲であれば、ヨーク仮想中心線A1の方向A1’とティース仮想中心線A2の方向A2’との間の範囲よりもヨークコア部3側に外れて形成することもできる。
また、図12に示すごとく、連結部32によって連結された複数のヨークコア部3のうち、最も端に位置する一対の最端ヨークコア部3Xには、外周側に突出する一対の突起部33が形成してある。そして、本例のステータ1は、一対の突起部33に止め金具34を嵌合して、一対の最端ヨークコア部3がティースコア部4から外周側へ外れることを防止するよう構成してある。
また、本例のステータコア2における取付部35(21)は、いずれかのヨークコア部3に対して設けてある。
また、図示は省略するが、ヨークコア部3及びティースコア部4は、複数の電磁鋼板を軸方向Lに積層して形成してあると共に、同じ電磁鋼板から同時に成形された共取り品が周方向Cに互いに隣接するよう配置することができる。この場合には、互いに隣接するヨークコア部3とティースコア部4とを、微小な隙間をほとんど形成することなく対面させることができる。そのため、回転電機において磁気回路を形成する際に、ステータコア2に生じる鉄損を極力低減することができる。
本例の回転電機用ステータ1を製造するに当たっては、上記実施例1と同様に、まず、コイル組合せ工程として、コイル組合せ体60を形成し、次いで、ティースコア部配置工程として、コイル組合せ体60における軸方向Lに平行な導体部分62同士の間へ、内周側からティースコア部4を配置する。
次いで、ヨークコア部配置工程として、図11、図13に示すごとく、コイル組合せ体60に配置したティースコア部4同士の間へ、外周側からヨークコア部3を連結部32(ヒンジピン32)を中心に回動させて、順次配置する。このとき、一対のティースコア部4の間に先に配置したヨークコア部3と繋がるヒンジピン32を中心にして、これから配置するヨークコア部3を回動させることにより、このヨークコア部3を一対のティースコア部4の間へ外周側から配置することができる。また、本例のヨークコア部3は、ヒンジピン32を中心にして、円滑に回動させることができる。
また、コイル6のスロット21外において周方向Cに配置した導体部分(コイルエンド部)63の外周側端面631(図9参照)は、連結部32よりも内周側に位置する。これにより、コイルエンド部63が組付の障害になることを防止することができる。
そして、互いに隣接するヨークコア部3が連結部32によって繋がっていることにより、すべてのヨークコア部3の配置を行ったときには、コイル6、ヨークコア部3及びティースコア部4が一体化したステータ1を形成することができる。
その後、図12に示すごとく、ヒンジピン32によって連結された複数のヨークコア部3のうち、最も端に位置する一対の最端ヨークコア部3X同士を対面させ、一対の最端ヨークコア部3Xの突起部33に対して止め金具34を嵌合して、一対の最端ヨークコア部3Xがティースコア部4から外周側へ外れることを防止して、ステータ1の形成状態を維持することができる。
本例においても、ヨークコア部3及びティースコア部4の全体が組み合わさって形成された複数のセミオープンタイプのスロット21内に、コイル6が分布巻き状態で配置された状態を容易に形成することができる。また、隣り合う一対のヨークコア部3の間からティースコア部4を内周側へ抜き出そうとしても、ティースコア部4の周方向接触面41A、41B(段差接触面部分411A、周方向接触面部分411B)が、ヨークコア部3の内側周方向接触面31A、31B(段差接触面部分311A、周方向接触面部分311B)によって受け止められる。
これにより、ティースコア部4は、コイル6へ配置した一対のヨークコア部3の間から内周側へ抜き出すことができない。そのため、ティースコア部4の内周側に何ら他の部材を配置しなくても、ティースコア部4の抜け出しを防止することができる。なお、ヨークコア部3は、連結部32によって互いに連結されていることによって外周側へ抜き出すことができない。
それ故、本例の回転電機用ステータ1及びその製造方法によっても、セミオープンタイプのスロット21に対して分布巻き状態でコイル6を配置したステータ1を簡単に製造することができる。
また、図14に示すごとく、連結部32は、ヨークコア部3において径方向Rの厚みが最も小さい部分によって形成し、ヨークコア部3は、連結部32を塑性変形させることによって回動可能とすることもできる。この場合には、連結部32の形成が容易であり、特別な工夫をすることなく、連結部32によって複数のヨークコア部3を連結させておくことができる。また、この場合にも、ヨークコア部配置工程においては、図15に示すごとく、コイル組合せ体60に配置したティースコア部4同士の間へ、外周側からヨークコア部3を連結部32を中心に回動させて、順次配置することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例2
本例は、上記実施例1と比べて上記ヨークコア部3及びティースコア部4の形状が異なり、ヨークコア部3の全体を連結した場合の回転電機用ステータ1を示す例である。
本例は、ステータコア2におけるティース部分とヨーク部分との分割の仕方が上記実施例1とは異なる例である。
具体的には、図16、図19に示すごとく、本例のステータコア2は、一対のスロット21の間のティース部分35、ティース部分35の外周側に位置するヨーク部分36及び一対のスロット21に対して外周側に位置するヨーク部分36を一体化したT状コア部3Xと、一対のスロット21の間のティース部分45及びティース部分45の外周側に位置するヨーク部分46を一体化したI状コア部4Xと、I状コア部4X及びT状コア部3Xの外周側に嵌合する嵌合リング部5とに分割してある。そして、ステータコア2は、I状コア部4X及びT状コア部3Xを嵌合リング部5内に嵌入して一体化してある。
I状コア部4Xにおけるティース部分45は、その互いに平行な一対の周方向端面42における内周側端部から周方向Cへ鍔部43を突出させてなる。T状コア部3Xにおけるティース部分35は、鍔部43を形成しない互いに平行な一対の周方向端面42を形成してなる。そして、互いに隣接するT状コア部3XとI状コア部4Xとが対面する周方向接触面31、41は、コイル6へ配置した一対のI状コア部4Xの間へ外周側からT状コア部3Xを配置することができる一方、コイル6へ配置した一対のT状コア部3Xの間から内周側へI状コア部4Xを抜き出すことができない面形状に形成してある。
本例のステータコア2は、48個のスロット21を有しており、T状コア部3X及びI状コア部4Xは、それぞれ24個に分割して形成されている。
以下に、本例の回転電機用ステータ1及びその製造方法につき、図16〜図19を参照して詳説する。
図16に示すごとく、本例の周方向接触面31、41は、ステータコア2の中心からT状コア部3Xにおけるティース部分35の周方向Cの中心を通るように描いたT状コア仮想中心線A1の方向A1’と、ステータコア2の中心からI状コア部4Xの周方向Cの中心を通るように描いたI状コア仮想中心線A2の方向A2’との間の方向A3’に向けて形成してある。この周方向接触面31、41は、T状コア仮想中心線A1に平行に形成することもできる。
本例のT状コア部3Xは、T状コア仮想中心線A1に対して対称形状に形成してあり、本例のI状コア部4Xは、I状コア仮想中心線A2に対して対称形状に形成してある。
本例の回転電機用ステータ1を製造するに当たっては、上記実施例1と同様に、図17に示すごとく、コイル組合せ工程として、コイル組合せ体60を形成し、次いで、I状コア部配置工程として、コイル組合せ体60における軸方向Lに平行な導体部分62同士の間へ、内周側からI状コア部4Xを配置する。このとき、円筒形状のコイル組合せ体60に対して、すべてのI状コア部4Xを配置する。また、I状コア部4Xは、コイル組合せ体60における軸方向Lに平行な導体部分62同士の間に対し、1つおきに(1つ飛ばしで)配置する。
次いで、T状コア部配置工程として、図18に示すごとく、コイル組合せ体60に配置したI状コア部4X同士の間及び軸方向Lに平行な導体部分62同士の間へ、外周側から上記T状コア部3Xを配置する。すなわち、T状コア部3Xのヨーク部分36をI状コア部4Xのヨーク部分46同士の間へ挿入配置すると同時に、T状コア部3Xのティース部分35を軸方向Lに平行な導体部分62同士の間へ挿入配置する。
その後、リング部嵌合工程として、図19に示すごとく、コイル組合せ体60に対してすべてのI状コア部4X及びすべてのT状コア部3Xを配置したステータ中間体10を嵌合リング部5内へ嵌入する。このとき、嵌合リング部5は、上記実施例1と同様に、平板状態のものをステータ中間体10に巻き付けて、ステータ中間体10を嵌入させることができる。こうして、コイル6、T状コア部3X及びI状コア部4Xが一体化したステータ1を形成することができる。
本例のステータ1においては、隣り合う一対のT状コア部3Xの間からI状コア部4Xを内周側へ抜き出そうとしても、I状コア部4Xの周方向接触面41が、T状コア部3Xの周方向接触面31によって受け止められる。これにより、I状コア部4Xは、コイル6へ配置した一対のT状コア部3Xの間から内周側へ抜き出すことができない。そのため、I状コア部4Xの内周側に何ら他の部材を配置しなくても、I状コア部4Xの抜け出しを防止することができる。なお、T状コア部3Xは、嵌合リング部5があることによって外周側へ抜き出すことができない。
それ故、本例の回転電機用ステータ1及びその製造方法によっても、セミオープンタイプのスロット21に対して分布巻き状態でコイル6を配置したステータ1を簡単に製造することができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
1 回転電機用ステータ
10 ステータ中間体
2 ステータコア
21 スロット
3 ヨークコア部
31 周方向接触面
32 連結部
3X T状コア部
4 ティースコア部
41 周方向接触面
42 周方向端面
43 鍔部
4X I状コア部
5 嵌合リング部
6 コイル
60 コイル組合せ体
A1 ヨーク仮想中心線(T状コア仮想中芯線)
A2 ティース仮想中心線(I状コア仮想中芯線)
O 円中心
L 軸方向
C 周方向
R 径方向

Claims (5)

  1. ステータコアにおける複数のスロット内に分布巻き状態でコイルを配置してなる回転電機用ステータにおいて、
    上記ステータコアは、上記スロットに対して外周側に位置するヨークコア部と、上記スロット同士の周方向間に位置し、上記ヨークコア部同士を連結するティースコア部とを組み合わせて形成してあり、
    上記ティースコア部は、その一対の周方向端面における内周側端部から周方向へ鍔部を突出させてなり、
    互いに隣接する上記ヨークコア部と上記ティースコア部とが対面する周方向接触面は、上記ステータコアの円中心から上記ヨークコア部の周方向中心を通るように描いたヨーク仮想中心線の方向に平行に形成してあるか、又は該ヨーク仮想中心線の方向と、上記ステータコアの円中心から上記ティースコア部の周方向中心を通るように描いたティース仮想中心線の方向との間の方向に向けて形成してあり、かつ、上記ヨークコア部及び上記ティースコア部の径方向に対して形成した複数段の周方向接触面部分と、該周方向接触面部分に隣接して形成された径方向接触面部分とによる段差面形状を有しており、
    さらに、上記周方向接触面は、上記コイルへ配置した一対の上記ティースコア部の間へ外周側から上記ヨークコア部を配置することができる一方、上記コイルへ配置した一対の上記ヨークコア部の間から内周側へ上記ティースコア部を抜き出すことができない面形状に形成してあることを特徴とする回転電機用ステータ。
  2. 請求項1において、上記ヨークコア部及び上記ティースコア部は、これらの外周側に嵌合する嵌合リング部内に嵌入して一体化してあることを特徴とする回転電機用ステータ。
  3. 請求項1において、上記ヨークコア部は、一対の上記スロットの間のティース部分、該ティース部分の外周側に位置するヨーク部分及び当該一対のスロットに対して外周側に位置するヨーク部分を一体化したT状コア部からなり、上記ティースコア部は、上記T状コア部同士を連結するI状コア部からなり、
    上記I状コア部におけるティース部分にのみ、その一対の周方向端面における内周側端部から周方向へ突出する鍔部を形成してなり、
    互いに隣接する上記T状コア部と上記I状コア部とが対面する周方向接触面は、上記コイルへ配置した一対の上記I状コア部の間へ外周側から上記T状コア部を配置することができる一方、上記コイルへ配置した一対の上記T状コア部の間から内周側へ上記I状コア部を抜き出すことができない面形状に形成してあることを特徴とする回転電機用ステータ。
  4. 請求項3において、上記T状コア部及び上記I状コア部は、これらの外周側に嵌合する嵌合リング部内に嵌入して一体化してあることを特徴とする回転電機用ステータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機用ステータを製造する方法において、
    上記コイルを、円筒状の分布巻き状態に組み合わせたコイル組合せ体を形成するコイル組合せ工程と、
    上記コイル組合せ体における軸方向に平行な導体部分同士の間へ、内周側から上記ティースコア部を配置するティースコア部配置工程と、
    上記コイル組合せ体に配置した上記ティースコア部同士の間へ、外周側から上記ヨークコア部を配置するヨークコア部配置工程とを含むことを特徴とする回転電機用ステータの製造方法。
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