JP5347745B2 - 燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法 - Google Patents

燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池電解質膜において補強膜として用いられる多孔質膜の製造方法に関する。
燃料電池の一形態として固体高分子形燃料電池が知られている。固体高分子形燃料電池は、図4に示すように、膜電極接合体(MEA)50を主要な構成要素とし、それを燃料(水素)ガス流路および空気ガス流路を備えたセパレータ51,51で挟持して、単セルと呼ばれる1つの燃料電池52を形成している。膜電極接合体50は、イオン交換膜である電解質膜55の一方側にアノード側の電極触媒層56aと拡散層57aを積層し、他方の側にカソード側の電極触媒層56bと拡散層57bを積層した構造を持つ。
電解質膜55としては、電解質樹脂(イオン交換樹脂)であるパーフルオロスルホン酸ポリマーの薄膜(米国、デュポン社、ナフィオン膜)が主に用いられている。電解質膜において、発電耐久性やハンドリング性を向上させるために機械特性向上が必要であり、そのために、例えば、ポリテトラフルオロエチレンや高分子量ポリエチレン樹脂等の薄膜を、1軸方向あるいは2軸方向に延伸することにより多孔質化した多孔質膜を補強膜として用い、そこに電解質樹脂溶液を含浸させて補強型電解質膜とすることが行われる(特許文献1,2等参照)。
ところで、電解質膜とはイオンを通す物質のことであり、そのイオン伝導性の大きさが電池としての発電性能を大きく左右している。一方、補強膜として用いられる材料はイオン伝導性を持たず、これを電解質膜内に挿入するとイオン伝導性に対して大きな抵抗となる。従って、電解質膜としての性能を向上させるためには、電解質膜内における補強膜の体積分立を低下させることが望ましい。しかし、補強膜の体積分率が低下すると、補強効果は低下し十分な機械物性が確保できないため、膜強度不足による耐久性低下が起こる。
さらに、補強型電解質膜を用いて形成した膜電極接合体において、補強膜の膜面内における縦横方向の機械物性比は等しいことが望まれる。補強膜面内の機械物性の異方性が大きいと、電解質膨潤時の寸法変化異方性が大きくなるために、電極触媒層と電解質膜との界面に大きな縦横方向の応力ひずみ差が発生する。そのような応力ひずみ差が発生すると、反応ムラや界面剥離等を引き起こす可能性があり、電池としての耐久性に大きな影響を及ぼす。
従来、補強膜として使用されている1軸方向に延伸して得られる多孔質膜は、延伸方向に高配向であってその方向に繊維方向が揃っており、その方向での強度が大きくなる。しかし、延伸方向に直交する方向では配向性が低く、直交する2方向で強度異方性が大きく現れるのを避けられない。そのために、多孔質膜の膜面内における縦横方向の機械物性比が大きくなり、1軸延伸で得られる多孔質膜を補強膜として用いる電解質膜では、運転により電極触媒層と電解質膜との界面に無視できない応力ひずみ差が発生する恐れがある。
特許文献1,2に記載される従来の補強型電解質膜の製造において、製膜時の延伸に伴う多孔質膜の上記した強度異方性に係る課題は、特に認識されていない。その課題を解決することを目的とした燃料電池電解質膜用の多孔質膜(補強膜)とその製造方法が特許文献3に記載されている。
特許文献3に記載の製造方法では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のファインパウダーに液状潤滑剤のナフサを均一に分散させ、その混合物を予備成形した後、ペースト押出しすることで丸棒状のビードを得る。次に、このビードを一対の金属製圧延ロール間に通し、長尺の未焼成シートを作成する。この未焼成シートに1軸方向の延伸処理(延伸倍率10倍程度)を加えることで、フィブリル状のポリテトラフルオロエチレン樹脂多孔質シートとする。得られた多孔質樹脂シートを用い、延伸方向を直交方向に交差させて少なくとも2枚を積層する。積層に際して、ポリテトラフルオロエチレン懸濁液をシートの積層界面に塗布する。そして、積層体を加熱して熱融着により一体に接合することで、電解質膜用多孔質膜(多孔質補強膜)としている。さらに、特許文献3の段落0022には、「なお、得られた多孔質膜10を1軸方向あるいは直交する2軸方向にさらに延伸した多孔質膜を燃料電池電解質膜用の多孔質膜として使用することもできる。」旨、記載されている。
特開平8−13179号公報 特開平9−194609号公報 特開2008−4500号公報
本発明者らは、燃料電池電解質膜用の多孔質膜について、多くの実験と研究を継続して行ってきているが、その過程において、前記特許文献3に記載の方法で製造される燃料電池電解質膜用の多孔質膜は、1枚の未焼成シートを直交する2軸方向に圧延することで異方性の小さい等方性シートとし、それを2軸延伸することで得られる多孔質膜と比較して、強度および弾性率が向上した多孔質膜が得られることを確認したが、一方において、通気性(物質透過性)が低下することを知った。
また、上記した多孔質膜を複合させた補強型電解質膜に、加水分解処理と酸処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質樹脂前駆体を用いて形成される触媒層を転写あるいは積層して膜電極接合体とする場合に、加水分解処理および酸処理に伴う補強型電解質膜の面内膜寸法変化を抑制することができず、触媒層の多孔構造が破壊されることを経験した。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、強度異方性のある未焼成の樹脂シートを2枚以上積層して形成される燃料電池電解質膜用の多孔質膜において、高機械特性と高通気性(高物質透過性)の双方を満足することができ、結果として、プロトン伝導性を付与するために加水分解処理および酸処理を必要とする場合でも、それに伴う寸法変化を抑制することのできる多孔質膜を製造するためのより改良された製造方法を開示することを課題とする。また、その製造方法で作られた多孔質膜を補強膜に持つ補強型電解質膜、およびその補強型電解質膜を備えた膜電極接合体を提供することも課題とする。
上記の課題を解決すべく、本発明者らはさらに実験と研究を行うことにより、前記通気性の低下は、延伸して多孔質化した多孔質樹脂シートを積層するときに積層界面に塗布したポリテトラフルオロエチレン懸濁液が接合層として介在すること、また積層シートを熱融着することによって生じることを知見した。この懸濁液の塗布または熱融着は、高延伸処理後のシート同士を安定した状態に接合するのには必要となる処理であるが、結果として成形される接合層によって、シート間の多孔質構造の連続性が阻害され、通気性が低下したものと解される。
本発明は、上記の知見に基づきなされたものであり、本発明による燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法は、基本的に、高異方性のある未焼成の樹脂シートの2枚以上を全体として等方性を持つように配向方向を異ならせて積層して樹脂シート積層体を作る積層工程と、前記樹脂シート積層体を直交する二軸方向に延伸して多孔質樹脂シートとする延伸工程と、を含むことを特徴とする。
本発明による製造方法では、出発時の樹脂シートとして、従来知られた製膜法である延伸製膜法によって作成した高異方性のある未焼成の樹脂シートをそのまま用いる。すなわち、作成された樹脂シートに、別途の延伸処理を施して多孔質化する処理を行わない。そして、延伸処理を施さない高異方性のある未焼成の樹脂シートの2枚以上を全体として等方性を持つように配向方向を異ならせて積層する。積層に際して、従来法のように、接合層を形成するための例えばポリテトラフルオロエチレン懸濁液を塗布する処理および熱融着は行わない。
次に、前記積層体を直交する二軸方向に延伸する。この延伸処理により、未焼成の樹脂シートは多孔質化するとともに、樹脂シートのフィブリル化(繊維化)が進行し、繊維化した部分同士が絡み合うことにより、隣接する多孔質化したシート同士の積層界面は、しっかりと接合した状態となる。すなわち、従来法のように、前記した接合層を形成するためのポリテトラフルオロエチレン懸濁液を塗布する処理を行わなくても、各層間が安定した状態に接合した多孔質膜が得られる。
すなわち、本発明による燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法によれば、高異方性のある未焼成の樹脂シートの2枚以上を全体として等方性を持つように配向方向を異ならせて単に積層し、それを直交する二軸方向に延伸するようにしたことにより、多孔質膜全体としては面内の機械物性の異方性が小さくなり、電解質膨潤時の寸法変化異方性を抑制することができるとともに、延伸後のフィブリル繊維が高配向状態となることから、高機械特性を備えた多孔質補強膜となる。さらに、ポリテトラフルオロエチレン懸濁液などからなる接合層が界面に存在しないことから高通気性も確保される。
本発明による燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法において、延伸後の多孔質樹脂シートを焼成する焼成工程をさらに含むこともできる。焼成処理を行うことにより、層間界面で熱融着が生じ、層間界面の一層の一体化が図られる。
本発明において、出発材料となる樹脂材料は、従来の補強型電解質膜で使用されている多孔質補強膜を作成するのに用いられる樹脂材料であってよく、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、高分子量ポリエチレン樹脂などが挙げられる。積層後の延伸の容易性からポリテトラフルオロエチレン樹脂は特に好ましい。
上記のようにして作成した多孔質膜と電解質樹脂とを定法により複合化することで燃料電池用の電解質膜とされ、該電解質膜に定法により電極触媒層および拡散層を積層することにより膜電極接合体とされる。得られる膜電極接合体は、電解質膜に備える補強膜としての多孔質膜の膜面内における縦横方向の機械物性比がほぼ等しいことから、発電時に、電極触媒層と電解質膜との界面に膨潤による縦横方向の応力ひずみ差が発生することはなく、発電性能が高くかつ寿命の長い膜電極接合体となる。
本発明によれば、強度異方性がなくかつ高強度特性と高通気性を備えた燃料電池電解質膜用の多孔質膜を得ることができる。本発明による多孔質膜を補強膜に持つ電解質膜を備えた膜電極接合体は、発電性能が高くかつ寿命の長いものとなる。
本発明の方法により燃料電池電解質膜用の多孔質膜を製造する一態様を説明する図。 図1に示す多孔質膜と電解質樹脂とを複合化して電解質膜とする一態様を説明する図。 実施例と比較例の燃料電池セルでの発電性能を示すグラフ。 燃料電池の一例を示す模式図。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態により説明する。
本発明による燃料電池電解質膜用の多孔質膜10を製造するに際しては、最初に、図1(a)に示すように高異方性を持つ未焼成の樹脂シート1を作る。樹脂シート1は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のファインパウダーに液状潤滑剤を均一に分散させ、その混合物を混練してペースト状とし、それを押出成形等により丸棒状のビードとし、このビードを一対の金属製圧延ロール間を通すことで得られる長尺の未焼成の高異方性樹脂シートを、所定の大きさに切断することで作ることができる。
所定の大きさの高異方性を持つ樹脂シート1の2枚以上を、全体として等方性を持つように配向方向を異ならせて積層する。図1(b)に示す例では、2枚の高異方性を持つ樹脂シート1a,1bを、その配向方向を互いに直交させた状態で単に貼り合わせ、図1(c)に示すように、全体として等方性となった積層体2としている。積層後、積層体2を直交する2軸方向に二軸延伸することで、樹脂シート1a,1bは多孔質化するとともに、図1(d)に示すように、高強度かつ等方的なPTFE多孔質膜(補強膜)10が得られる。二軸延伸は、同時二軸延伸でもよく、逐次二軸延伸でもよいが、等方的な機械強度を得やすいことから、同時二軸延伸はより好ましい。
後の実施例に示すよう、上記のようにして形成した多孔質膜10は、等方的な未焼成シートの延伸により得られる多孔質膜よりも、高機械特性(高弾性率、高最大強度)を得ることができる。また、一方向に高配向した(高異方性)シートの同時二軸延伸は、延伸ムラや膜裂けが発生することから、通常困難であるが、本発明による方法を用いることで、延伸前の積層シートのバルク配向を等方的にすることができ、二軸同時延伸が可能となる。これにより、多孔構造を均質化することができる。
また、本発明による方法では、延伸前に樹脂シートを積層させるために、各シート界面において、延伸時に繊維化(フィブリル化)が起こり、シート間の密着性が向上する。
このままで、燃料電池電解質膜用の多孔質膜として使用することもできる。しかし、好ましくは、延伸後の多孔質膜10を、樹脂シート1の形成材料(例えば、PTFE)の融点以上の温度で焼成(熱固定)する。この焼成(熱固定)により、膜の強度が増加するとともに、樹脂が溶融することで膜界面は消失する。これにより、良好な多孔パスが形成され、高通気性も確保される。
なお、積層する各樹脂シート1の機械物性は同じであることが好ましいが、異なっていても差し支えない。いずれにしても、樹脂シートの延伸方向(繊維の配向方向)を互いに交差させた姿勢で積層して、全体として等方性を持つように積層すればよい。
次ぎに、得られた多孔質膜10と電解質樹脂とを複合化する。複合化は、多孔質膜10を電解質樹脂溶液中に浸漬して、多孔質膜10に電解質樹脂を含浸させた後、乾燥する方法、あるいは、図2に示すように、多孔質膜10に電解質樹脂前駆体の薄膜11,11を積層して、多孔質膜10の融点以下、かつ、電解質樹脂前駆体の融点(ガラス転移点)以上の温度で、熱圧着する等により行い、かつ加水分解、酸処理を行って電解質膜とする。それにより、本発明による燃料電池電解質膜用の多孔質膜10を補強膜として備えた電解質膜20が得られる。また、図示しないが、得られた電解質膜20にアノード側およびカソード側の電極触媒層および拡散層を積層することにより、膜電極接合体が形成される。
前記したように、本発明による多孔質膜10は強度が等方性であり、縦横方向の機械物性比がほぼ等しくなっているので、それを補強膜として持つ電解質膜20は、高強度、等方性、高物質透過性を持つ複合型(補強型)電解質膜となる。また、本発明による補強型電解質膜20を備えた膜電極接合体では、発電作用時の膨潤・収縮により、電極触媒層と電解質膜との界面に縦横方向の大きな応力ひずみ差が発生するのを回避することができ、発電性能が高くかつ寿命の長い膜電極接合体となる。
また、上記したPTFE多孔質膜を複合させた補強型電解質膜20に、加水分解処理と酸処理を行うことによりプロトン伝導性を発揮する電解質樹脂前駆体を用いて形成される触媒層を転写あるいは積層して膜電極接合体(MEA)とする場合には、加水分解処理および酸処理を行うことが必要となるが、その処理時に、面内膜寸法変化を抑制することができ、触媒層の多孔構造を破壊することなく、膜電極接合体を作成することができる。すなわち、前記した電解質前駆体樹脂(側鎖末端:−SOF)は熱的安定性には優れるが機械特性は低く、電解質前駆体樹脂の状態で電解質膜に転写し、その後、加水分解処理および酸処理を行って、側鎖末端を−SOHに変換するときに、電解質膜および触媒層の面内膨潤・収縮を伴い触媒構造を破壊する問題があるが、本発明による高強度多孔質膜を補強膜として用いることで、加水分解時の面内膨張を抑制でき、触媒層が破壊するのを抑制することができる。
以下、実施例と比較例とにより本発明を説明する。
[実施例1]
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のファインパウダーに液状潤滑剤のナフサを均一に分散させ、その混合物を予備成形した後、ペースト押出しすることで丸棒状のビードを得た。このビードを一対の金属製圧延ロール間に通し、長尺の高異方性である未焼成シートAを作成した。このシートを用い、各シートを45゜ずつ回転させて、4枚のシートを積層させて未焼成等方性の積層シートとした。そして、その積層シートを、通常の方法により二軸延伸し、焼成(熱固定)することで、異方性の小さいほぼ等方性のフィブリル構造を持つPTFE多孔質膜を得た。得られたPTFE多孔質膜について、下記の評価1(機械特性)および評価2(通気性)の評価を行った。その結果を表1に示した。
また、得られた多孔質膜を補強膜に用い、燃料電気用電解質である市販Nafion(デュポン社製)と複合化させて、複合型(補強型)電解質膜を作成し、それを用いて燃料電池セルを作成した。作成した燃料電池セルについて、発電性能を評価した。その結果を図3のグラフに示した。
評価1(機械特性):多孔質膜の機械特性として、各膜のMD方向とTD方向の最大強度(MPa)と弾性率(MPa)を特定した。
評価2(通気性):多孔質膜の通気性を比較するために、各膜のガーレー値を測定した。なお、ここでガーレー値とは、JISP8117に準拠した0.879gf/mm圧で100ccの空気が膜を透過する秒数のことを意味する。
[比較例1]
実施例1と同様にして長尺の高異方性である未焼成シートAを得た。このシートAをさらに多回圧延薄膜化、あるいは加工方向(MD方向)と加工直交方向(TD方向)に圧延することで異方性の小さいほぼ等方性のフィブリル構造を持つPTFE多孔質膜を得た。得られたPTFE多孔質膜について、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表1に示した。
また、得られた多孔質膜を補強膜に用い、燃料電気用電解質である市販Nafion(デュポン社製)と複合化させて、複合型(補強型)電解質膜を作成し、それを用いて燃料電池セルを作成した。作成した燃料電池セルについて、実施例1と同様にして、発電性能を評価した。その結果を図3のグラフに示した。
[比較例2]
実施例1と同様にして長尺の高異方性である未焼成シートAを得た。それを、高配向方向へ一軸延伸することで多孔質膜を得た。得られた多孔質膜を直交方向に積層させ、トータル物性として異方性の小さいほぼ等方性の積層多孔質膜を作成した。このときの積層膜接合方法として、界面接合力を強くすることを目的に、PTFE懸濁液を多孔質膜界面に塗布し、融点以上で熱融着させる方法を用いた。得られたPTFE多孔質膜について、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表1に示した。
また、得られた多孔質膜を補強膜に用い、燃料電気用電解質である市販Nafion(デュポン社製)と複合化させて、複合型(補強型)電解質膜を作成し、それを用いて燃料電池セルを作成した。作成した燃料電池セルについて、実施例1と同様にして、発電性能を評価した。その結果を図3のグラフに示した。
Figure 0005347745
[結果]
表1に示されるように、実施例1では、比較例1と比較して、高異方性(高配向)シートを延伸基材として用いたため、延伸後のフィブリル繊維が高配向状態となり、最大強度および弾性率ともに向上しているとがわかる。また、比較例2と比較すると、機械特性においては、同様のPTFEシートを延伸基材として用いているために大きな向上は見られないが、比較例2と違い、実施例1では膜の接合層が存在しないために、多孔構造の連続性を現す通気性において改善されており、高通気性を示すことがわかる。従って、本発明によれば、高機械特性かつ高通気性の多孔質膜を得ることができる。
また、比較例2の電解質膜は、実施例1の電解質膜と比較して、補強膜の機械特性が同等にもかかわらず、接合界面の物質透過律速による通気性低下から、電解質樹脂との複合後の物質移動(プロトン移動、水移動)が低下し、それにより、燃料電池セルの発電において高電流域での拡散律速を誘発し、発電性能が低下していることがわかる。
上記のことから、実施例1の多孔質膜を電解質膜用補強膜に用いることで、膜電極接合体に、あるいは燃料電池セルに、高機械特性(高耐久性、高ハンドリング性)かつ高発電特性(高性能)を持たせることが可能となることがわかる。
1、1a、1b…高異方性を持つ未焼成の樹脂シート、
2…全体として等方性となった積層体、
10…燃料電池電解質膜用の多孔質膜、
11…電解質樹脂前駆体の薄膜、
20…多孔質膜10を補強膜として備えた電解質膜。

Claims (5)

  1. 燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法であって、延伸して多孔質化する処理を行わない高異方性のある未焼成の樹脂シートの2枚以上を全体として等方性を持つように配向方向を異ならせて積層して樹脂シート積層体を作る積層工程と、前記樹脂シート積層体を直交する二軸方向に延伸して多孔質樹脂シートとする延伸工程と、を含むことを特徴とする燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法。
  2. 延伸後の多孔質樹脂シートを焼成する焼成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法であって、積層する樹脂シートとして高異方性のある未焼成のポリテトラフルオロエチレンシートを用いることを特徴とする燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池電解質膜用の多孔質膜の製造方法で製造された多孔質膜を備えた補強型電解質膜。
  5. 請求項4に記載の補強型電解質膜を備えた膜電極接合体。
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