JP4843928B2 - 固体高分子電解質膜、固体高分子型燃料電池用膜電極接合体及び固体高分子電解質膜の製造方法 - Google Patents

固体高分子電解質膜、固体高分子型燃料電池用膜電極接合体及び固体高分子電解質膜の製造方法 Download PDF

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本発明は固体高分子電解質膜、固体高分子型燃料電池用膜電極接合体及び固体高分子電解質膜の製造方法に係わり、特に機械的強度、化学安定性及び寸法安定性に優れた固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜を備える固体高分子型燃料電池用膜電極接合体及び固体高分子電解質膜の製造方法に関する。
従来より各分野において種々のイオン交換膜からなる分離膜が利用されている。近年活発に開発が進められている固体高分子型燃料電池にも分離膜の一種であるイオン交換膜が固体高分子電解質膜として用いられている。固体高分子型燃料電池は、出力密度が高く、作動温度が低いために小型化も可能なことから、自動車などの移動体用や分散発電システム、家庭用のコージェネレーションシステムとして広く普及することが期待されている。
一般に固体高分子型燃料電池では、20〜120μm程度の厚さの固体高分子電解質膜が用いられており、化学的に安定なスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換膜が用いられる場合が多い。発電を行うときには、この電解質膜の両面に金属触媒を含む触媒層を接合して膜触媒層接合体を作製し、その両外側にカーボンペーパーやカーボンクロス等からなるガス拡散層をそれぞれ配置させて膜電極接合体を作製する。更にガス拡散層の両外側には、ガス流路が形成された導電性のセパレータがそれぞれ配置され、単セルと呼ばれる発電の最小単位を形成する。しかし、通常の発電時に単セルで発生する電圧は1V以下のため、実用的な電圧を得る場合には、この単セルを複数積層したスタックが用いられる。
上記触媒層の形成は、金属触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質樹脂(イオン交換樹脂)とを主要固形成分として分散媒中に分散させた液を、固体高分子電解質膜に直接塗布するか、別途用意した基材上に塗布した後、固体高分子電解質膜にホットプレス法等により転写することによって行われる。
しかし、固体高分子電解質膜はその含水率に依存して寸法が変化する。また、機械的強度も充分でないために、膜電極接合体を作製するときに、製造工程上の位置合わせが困難であったり、製造中にしわが生じたり、固体高分子電解質膜が破れたりすることがある。また、しわ等がなく作製された膜電極接合体でも、セル組立てやスタック化のときの扱いが困難であったり、電池運転中に固体高分子電解質膜が破れたりすることがあり、電池の信頼性が必ずしも充分ではない。そのため、膜電極接合体は充分な機械的強度、化学安定性、寸法安定性を備えていることが好ましい。
上記問題を解決する方法として、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)多孔膜にスルホン酸基を有するフッ素系イオン交換ポリマーを含浸させた膜を使用することが提案されている(特許文献1参照)。また、フィブリル状、織布状、又は不織布状のパーフルオロカーボン重合体で補強された陽イオン交換膜も提案されている(特許文献2参照)。しかし、どちらも含水時にイオン交換膜が伸びる応力を抑える効果が充分でないために大きな寸法変化があり、また、機械的強度も充分ではなかった。
また、直径が8μm程度の垂直な連通孔を有する膜支持体に電解質を導入する方法(特許文献3参照)や、面積が0.2〜30000nm2の厚さ方向に垂直な連通孔を有する膜支持体にイオン交換基を導入する方法も提案されている(特許文献4参照)が、このような膜支持体は種類が限られるなどの制約条件があり、必ずしも化学的に安定な支持体を選択できない等の問題がある。また、孔径が小さい場合には、実用的な大きさの大面積の支持体に、充分な開口率を確保できるように孔を形成することは、時間もコストもかかり生産効率の観点で問題がある。
また、イオン導電性を必要とされない膜電極接合体の主面周辺部に中心を切り抜いた額縁状の補強膜を配置することにより、セル組立てやスタック化のときの取扱い性を向上させ、また膜周辺部の強度を向上させることも提案されている(特許文献5参照)。しかし、周辺部に額縁状のフィルムを配置させても、イオン交換膜との密着が悪いためにしわが生じるなど量産時の生産性に課題がある。
特公平5−75835号公報 特公平6−231779号公報 米国特許第4673624号公報 特開2002−203576号公報 特許第3052536号公報
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、機械的強度、化学安定性及び寸法安定性に優れた固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜を備える固体高分子型燃料電池用膜電極接合体及び固体高分子電解質膜の製造方法を提供することを目的とする。
このため本発明は、1個あたりの平均断面積が0.01〜6mm2で厚さ方向に対してほぼ平行である貫通孔が多数個形成されており、かつ該貫通孔に基づく開口率が60〜80%である多孔シートの前記貫通孔に、イオン交換樹脂が充填されている第1の層を1層以上有し、該第1の層の少なくとも片面には、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層が形成されていることを特徴とする固体高分子電解質膜を提供する。
このような構成を有する固体高分子電解質膜は、多孔シートにより補強されている。この多孔シートは多数の貫通孔により開口率が60〜80%となっており、各貫通孔はイオン交換樹脂により充填されている。固体高分子電解質膜は各貫通孔がイオン交換樹脂により充填された第1の層(以下、充填層という)と、その少なくとも片面にイオン交換樹脂のみからなる第2の層(以下、樹脂層という)が形成されて電解質膜が構成されると、導電性が高まり好ましい。ここで貫通孔を充填するイオン交換樹脂と樹脂層のイオン交換樹脂とは同じでも異なっていてもよいが、樹脂層は多孔シートにより補強されていないので、樹脂層を構成するイオン交換樹脂は貫通孔に充填されるイオン交換樹脂よりも強度が高い樹脂、例えばイオン交換容量の低い樹脂を使用する等、異なるものを使用することも有効である。
なお、充填層は、多孔シートにより補強されるためイオン交換樹脂自体の強度はあまり高くなくてもよい。したがって、得られる膜の導電性を高めるためにイオン交換容量が高くて強度が高くないイオン交換樹脂を使用することもできる。
また、充填層は固体高分子電解質膜中に2枚以上重ねて存在させてもよい。この場合当該2枚以上の充填層は同じでも異なっていてもよく、隣接して重なっていてもイオン交換樹脂からなる層を介して重なっていてもよい。
また、本発明は、1個あたりの平均断面積が0.01〜6mm2で厚さ方向に対してほぼ平行である貫通孔が多数個形成されており、かつ該貫通孔に基づく開口率が60〜80%である領域1と、該領域1の外縁部であって前記領域1よりも開口率が低いか又は貫通孔を有しない領域2とからなる多孔シートの前記貫通孔に、イオン交換樹脂が充填されている第1の層を1層以上有し、該第1の層の少なくとも片面には、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層が形成されていることを特徴とする固体高分子電解質膜を提供する。
この場合、開口率の高い領域1で補強された膜の外縁部の領域2は、より補強されているので、膜としての取扱い性は向上し、寸法安定性もより高まる。
更に、本発明は、前記第1の層と前記第2の層の間に第3の層が形成され、該第3の層には、前記イオン交換樹脂と補強フィラーとが含有されたことを特徴とする。
更に、本発明は、上述の固体高分子電解質膜の両面に、触媒を含む触媒層が配置されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜電極接合体を提供する。
以上説明したように本発明によれば、含水率の変化による寸法変化が小さく、機械的強度が高い固体高分子電解質膜が提供できる。この電解質膜を用いることにより、固体高分子型燃料電池用膜電極接合体を作製する製造工程において、膜の位置合わせが容易になり、また製造中に膜にしわが生じたり膜が破れたりすることが起こらなくなる。また、得られた膜電極接合体も機械的強度が高くなり、含水率の変化による寸法変化が小さくなる。このため、信頼性が高く、高性能、高耐久性の固体高分子型燃料電池を得ることができ、当該燃料電池は、水素/酸素燃料電池にも直接メタノール型燃料電池にも使用できる。
本発明における多孔シートは、厚さ方向に対してほぼ平行な方向に貫通している貫通孔を多数個有しており、当該多数個の貫通孔を有している領域は開口率が60〜80%となっている。本発明における多孔シートの第1の実施態様は図2に示すとおり、多孔シート10の全面に貫通孔11が多数個形成されている。また、本発明における多孔シートの第2の実施態様は図3に示すとおり、多数個の貫通孔21が形成されている領域1(201)と、貫通孔を有しないか又は領域1(201)よりも開口率が低い領域2(202)とからなっている。すなわち、多孔シートの第2の実施態様は、第1の実施態様の多孔シート10の外縁部のみ貫通孔を無くした又は低減した構造である。これは、領域2において電解質としての機能を必要としない使い方をする場合に有効であり、第2の実施態様の多孔シートを有する方が固体高分子電解質膜の強度はより高まる。
これらの多孔シート10、20を得る方法としては、シートに対して多数の貫通孔を加工する方法が採用できるが、具体的には、基材となる無孔シートを機械的に打ち抜く方法や、無孔シートに対してレーザー光線を用いて孔を形成する方法等がある。機械的に打ち抜く方法では、数百から数万の孔を一度に形成できる抜き型を用いることもできる。このときに、シートを数十枚、数百枚、又は数千枚重ねることにより、短時間に多数の貫通孔を加工することが可能となる。また、ドリル加工も適しており、多軸NCドリル機を用いかつシートを数十枚、数百枚、又は数千枚重ねることにより、短時間に多数の貫通孔を加工することが可能であり、生産効率を高くできる。
本発明では一つの貫通孔の平均断面積は0.01〜6mm2程度であり、特に0.03〜1mm2程度であることが好ましい。各貫通孔の大きさが小さすぎると、単位面積あたりの孔の数が非常に多くなるために生産性が低くなり、例えば図6に示すとおり貫通孔の平均断面積が0.005mmの場合には、1m2あたりの加工に500孔/秒の加工速度においても80時間以上要することになる。また、各貫通孔の大きさが小さすぎるとイオン交換樹脂の充填が困難となるおそれがある。一方、各貫通孔の大きさが大きすぎると、得られる電解質膜の面内を均一に補強できず、しわが生じたりし、膜に電極を均一に接合できなくなるおそれがある。上記範囲の貫通孔の断面積であれば、膜は実用上均一で充分な強度を有し、かつ生産性よく製造することが可能であり、また膜は充分なイオン伝導性を有する。
多孔シートの貫通孔の大きさや形状は均一であってもよいが、2種以上の大きさや形状のものが混在していてもよい。貫通孔の形状は特に制限されないが円形であるか又は角がない形状であることが好ましい。貫通孔が角を有するとそれが切り欠きとなり、補強体としての強度が低下するおそれがある。
多孔シートの貫通孔を有する部分の前記貫通孔に基づく開口率は上述のとおり60〜80%であるが、特に62〜78%であることが好ましく、さらには65〜75%が好ましい。開口率が低すぎるとイオン伝導性が妨げられ、高い電池特性が得られなく、また開口率が高すぎると得られる電解質膜を充分に補強できず、該膜の強度が不充分となる。また、多孔シート10、20の厚さは、3〜50μm、特に5〜30μmであることが好ましい。多孔シート10、20の厚さが薄すぎると得られる高分子電解質膜を充分に補強できないおそれがあり、厚すぎると得られる電解質膜の厚さが厚くなりすぎ、イオン伝導抵抗が高くなって抵抗損失が大きくなり、充分な性能が得られないおそれがある。
本発明における多孔シート10、20は特に限定されないが、膜厚が均一であると得られる膜を均一に補強できるので好ましい。また、貫通孔を形成するための加工の容易性から、打抜き性が容易であるか、ドリル加工性が良好であるか又はレーザー加工による穴あけが可能な材料が好ましい。
上記多孔シート10、20は、フィルム状であれば特に限定されないが、化学的な安定性も兼ね備えたものとしてPTFE、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド、ポリプロピレン又はポリエチレンからなることが好ましい。化学的安定性より機械的強度を高めたい場合はステンレスやチタンなどの金属箔も使用可能である。本発明では電解質膜中に複数枚の多孔シートを重ねて含有させることもできるが、この場合異なるポリマーからなる多孔シートを積層させることもできる。
次に本発明の固体高分子型燃料電池用膜電極接合体を説明する。図1は、本発明の実施態様の膜電極接合体を備える固体高分子型燃料電池の単セル8の断面図である。多孔シートにより補強された高分子電解質膜1とその両面に配置され高分子電解質膜1と接合している触媒層2、2’により膜・触媒層接合体6が形成されている。本発明の膜電極接合体7は膜・触媒層接合体6のみからなることもできるが、膜・触媒層接合体6の両外側に更にガス拡散層3、3’が配置されてなることが好ましい。
ガス拡散層3、3’は、通常カーボンクロスやカーボンペーパー等の導電性多孔質体からなり、集電体としての機能と膜・触媒層接合体6にほぼ均一にガスを供給できるようにガスを拡散する機能とを有する。また、触媒層2、2’は、通常白金又は白金合金がカーボンに担持された触媒を含み、更にイオン交換樹脂を含むことが好ましい。ここでいうイオン交換樹脂は、高分子電解質膜1を構成するイオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよい。
膜電極接合体7の外側には、表面にガスの流路となる溝の形成されたセパレータ5が配置され、セパレータ5にガスを流し、これが膜電極接合体7に提供される。そして、膜電極接合体7を密封するようにガスケット4がセパレータ5の表面に例えば図1に示すように配置され、単セル8が形成される。単セル8は発電の最小単位であり、固体高分子型燃料電池が実用的な電圧を得るためには、この単セル8を複数積層したスタックを作製して使用する。
このような構成では、膜電極接合体7の面内周辺部は、セパレータに挟持させるときにガスをシールするガスケット4と接触する部位を有する。その部分は電極反応を行う部位ではなくイオン導電性を有しなくてよいので、この場合には第2の実施態様の多孔シート20にイオン交換樹脂を充填させた層を有する電解質膜が好ましく使用できる。すなわち、この場合領域1(201)で電極反応を行わせ、領域2でガスケット4と接触するようにすれば、機械的強度及び寸法安定性がより高まり、セルの組立てやスタック化が容易になり、高信頼性で高性能な燃料電池を提供することが可能となる。
多孔シートにイオン交換樹脂を充填する方法は特に限定されないが、例えばイオン交換樹脂が分散媒(溶媒)に分散(溶解)した液(以下、イオン交換樹脂含有液という)を多孔シートの片面又は両面に塗工する方法やイオン交換樹脂含有液に多孔シートを含浸させた後乾燥する方法等がある。また、あらかじめイオン交換樹脂膜を成形し、該イオン交換樹脂膜を多孔シートと重ねて熱プレスすることによりイオン交換樹脂を貫通孔に圧入させてもよい。
本発明の高分子電解質膜は多孔シートの貫通孔にイオン交換樹脂が充填されてなる充填層のみからなることもできるが、該層の少なくとも片面に樹脂層が形成されていることが好ましい。高分子電解質膜が充填層のみからなる場合、膜電極接合体を形成したときに膜表面に露出している多孔シートの開口部と電極が接触することになり、電極とイオン交換樹脂との接触面積が小さくなる。そのため、電極と電解質膜との間のイオン伝導性が低くなるおそれがある。
樹脂層は、多孔シートにイオン交換樹脂を充填する際の塗工により形成することもできるし、別途基材上に樹脂層を作製しておいてホットプレス等により充填層と接合してもよい。また、貫通孔の充填のための塗工により形成された樹脂層と、別途作製した樹脂層との両方を有していてもよい。またイオン交換樹脂が充填された多孔シートの上に、イオン交換樹脂含有液を塗布して樹脂層を形成することもできる。樹脂層を形成するイオン交換樹脂は、多孔シートを充填するイオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよい。更に、これらの方法を繰り返して行ったり組み合わせて行うこともできる。
多孔シートとして多孔シート20を使用する場合で樹脂層を表面に形成する場合は、例えば図4に示す2つの方法が挙げられる。図4は、多孔シートの実施の態様2を用いた高分子電解質膜の態様を示す断面図である。図4(A)では、多孔シート20の孔21にはイオン交換樹脂が充填されており、その両面に樹脂層22、22’が形成されている。樹脂層22、22’は多孔シート20とほぼ同じ面積となっている。
一方、図4(B)では、同様に多孔シート20の孔21にはイオン交換樹脂が充填されており、その両面に樹脂層22、22’が形成されているが、その両面の樹脂層22、22’は、多孔シート20の面積より小さく、領域1(201)の面積よりやや大きくなっている。多孔シート20の領域2(202)は、電極反応を行わないので、樹脂層22、22’が積層されている必要はなく、コストを考慮するとイオン交換樹脂の使用量が低減できる点で図4(A)の態様より図4(B)の態様の方が好ましい。
また、本発明では固体高分子電解質膜の強度を更に高めるために、多孔シートのイオン交換樹脂からなる充填層に短繊維状の補強フィラーを分散して含有させてもよい。具体的には、平均繊維径が0.01〜20μm、平均繊維長が1〜10mm、アスペクト比が5以上の短繊維状の補強フィラーが充填層中に分散していると孔の内部のより微小な部位も補強されるので、膜全体の強度が高まり、この膜を有する電池は運転時の耐久性が更に向上する。このような補強フィラーは、あらかじめ上述のイオン交換樹脂含有液に分散、含有させておき、該液を塗工することにより容易に充填層に含有される。
補強フィラーとしては、例えばフィブリル状のフルオロカーボン重合体やポリプロピレン等からなる短繊維等が挙げられる。フィブリル状のフルオロカーボン重合体としては、具体的にはPTFE及びテトラフルオロエチレンに基づく重合単位を95モル%以上含む共重合体が挙げられる。フィブリル状のPTFEは、PTFEの粉末にせん断力を付与することにより得られる。具体的にイオン交換樹脂含有液にPTFEのフィブリルを含有させる方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
例えば後処理によりイオン交換樹脂となる樹脂として−SO2F基を有する含フッ素重合体と、PTFEの粉末とを混合し、この混合物を2軸押出し成形しペレットを得る。PTFEをよりフィブリル化させたい場合は、このペレットを押出し成形してフィルム化してもよい。次いで得られたペレット又はフィルムにおいて加水分解、酸型化処理し、−SO2F基をスルホン酸基(−SO3H基)に変換し、これを分散媒に分散させることにより得る。ここで、ペレットを得るための2軸押出し機で混練の際(及び押出し成形してフィルム化する際)に、PTFEにはせん断力が付与されてフィブリル化する。
このような補強フィラーは、多孔シートの充填層のみに含まれていてもよいが、多孔シートの少なくとも片面に樹脂層を有している場合は、該樹脂層に含まれていてもよい。少なくとも、イオン交換膜の最表層は短繊維状の補強フィラーが含有されていないイオン交換樹脂のみからなる層である方が、表面がより平坦になり、ガス分離性が向上するので好ましい。すなわち、充填層とイオン交換樹脂のみからなる樹脂層との間に、イオン交換樹脂と補強フィラーとからなる別の樹脂層が形成された構成が好ましく採用できる。
本発明における高分子電解質膜の厚さは、水素/酸素型の固体高分子型燃料電池に使用する場合は、15〜100μmであることが好ましく、特に30〜50μmであることが好ましい。また直接メタノール型燃料電池の場合は、膜のメタノールの透過を抑える必要があるため100〜250μmが好ましい。電解質膜の厚さが厚い場合は、多孔シートを複数枚含有させることが膜の補強の点では効果的である。
本発明におけるイオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(エーテル結合性の酸素原子等を含んでいてもよい)からなる陽イオン交換樹脂が好ましいが、陽イオン交換樹脂であれば、炭化水素系重合体や部分フッ素化された炭化水素系重合体からなる陽イオン交換樹脂なども使用できる。また、イオン交換樹脂は単一でも2種以上のイオン交換樹脂を混合したものであってもよい。
上記のようにして得られた固体高分子型燃料電池では、アノード側には水素ガスが供給され、カソード側には酸素又は空気が供給される。アノードにおいては、H2→2H++2e-の反応が起こり、カソードにおいては1/2O2+2H++2e-→H2Oの反応が起こり、化学エネルギーが電気エネルギーに変換される。また、このほかに、アノードにメタノールが供給される直接メタノール型燃料電池にも本発明の膜電極接合体は好ましく使用できる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[例1(実施例)]
[膜の作製]
厚さ25μmのパーフルオロアルコキシエチレン重合体からなるフィルム(商品名:トヨフロンPFA、東レ社製)に、ドリル加工によってφ500μmの貫通孔(1個あたりの平均断面積約0.196mm2)を、中心間距離が580μmになるように、中心部の約100mm角に千鳥配列で約34800個開孔させ、約120mm角の多孔シート1を作製した。この多孔シート1の開口率は68%である。
これを、シリコーン系離型剤で表面を処理した厚さ約100μmのポリエチレンテレフタレート製基材(以下、実施例においてこれと同様の基材をPET基材という)の上に配置し、この上にCF2=CF2に基づく繰り返し単位とCF2=CF−OCF2CF(CF3)−OCF2CF2SO3Hに基づく繰り返し単位とからなるイオン交換樹脂の分散液(イオン交換容量:1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂、商品名:フレミオン、旭硝子社製、以下分散液aという)をダイコート法で総厚みが35μmになるように塗工し、80℃で乾燥させることにより膜Aを得た。
ここで膜Aは、多孔シート1の開口部にイオン交換樹脂が充填された厚さ25μmの充填層とその表面の補強されていない厚さ10μmの樹脂層とから構成されていることになる。
次に、膜AからPET基材を剥離し、膜Aの表裏を反転させ、今度は基材と接していなかった面が基材と接するようにして再度別途用意したPET基材の上に配置した。この上に分散液aをダイコート法で総厚みが45μmになるように塗工し、80℃で乾燥させ、更に120℃で30分の熱処理をし、PET基材を剥離することにより膜Bを得た。膜Bは厚さ25μmの充填層の両面に、補強されていない厚さ10μmの樹脂層が積層された、3層の構成となっている。このようにして得られた膜Bについて、下記の方法で引張弾性率及び寸法変化率を測定すると表1に示すとおりの結果となった。また、膜Bを用いて下記のとおり燃料電池を作製指標化すると表2に示す結果となった。
[引張弾性率の測定]
測定する膜を幅5mm、全長75mmの短冊状の大きさのサンプルとし、標線間距離25mm、チャック間距離50mmとなるようにし、試験速度50mm/分にて引張試験を行い、得られた変位と荷重のチャートから初期の10%の歪の傾きを求め、その傾きから引張弾性率を求める。
[寸法変化率の測定]
測定する膜を25℃、RH50%の状態で24時間放置した後、中心部を50mm角に切り出し、その後90℃の温水に16時間浸漬する。次いでこの膜の各辺(互いに直行する辺1及び辺2)の寸法を測定し、温水浸漬前に対する寸法の変化率を算出する。なお、膜サンプルにおいてどちらの辺を辺1とするかは任意に決める。
[燃料電池の作製と評価]
まず、以下のとおり触媒層を作製する。すなわち、分散液aと、白金をカーボン上に55質量%担持させた担持触媒とを、エタノールと水の混合分散媒(質量比で1:1)に分散させ、固形分濃度14質量%の触媒分散液を得て、これをシリコーン系離型剤で表面を処理した厚さ100μmのPETフィルム上にダイコート法で塗工し、80℃で乾燥して厚さ10μm、白金担持量が約0.4mg/cm2の触媒層を形成する。
次に、上述の膜(例1の場合は膜B)の両面に、5cm角に切り抜いた上記触媒層を1枚ずつそれぞれ配置し、転写法により触媒層を膜に転写して膜・触媒層接合体を作製する。このとき、転写は温度130℃で3MPaの圧力とし、膜・触媒層接合体は25cm2の触媒層が中心に配置されるようにして、外形を110mm×90mmの長方形とする。
次に、カーボンブラックとPTFE粒子とからなる厚さ約10μmの導電層が表面に形成された、厚さ約300μmのカーボンクロスを2枚用意してガス拡散層とし、上記膜・触媒層接合体の両面に配置しガス拡散層付の膜電極接合体を得る。
反応ガス供給流路を備えた一対のセパレータの間に、この膜電極接合体を、ガスケットを周囲に配置して挟み込み、電池性能測定用の有効電極面積が25cm2である燃料電池セルとする。セル温度70℃とし、この電池のアノードに水素ガス、カソードに空気をそれぞれ供給する。なお、供給するガスは、水素ガスの利用率70%、空気の利用率40%とし、それぞれ70℃に設定されたバブラーを通して加湿してから電池に供給する。電流密度とセル電圧の関係、及び1kHzの交流ミリオームメータで測定される内部抵抗の結果を表2に示す。
[例2(実施例)]
テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とCF2=CF−OCF2CF(CF3)O(CF22SO2Fに基づく繰り返し単位とからなる共重合体粉末(イオン交換容量1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂)9730gとPTFE粉末(商品名:フルオンCD−1、旭硝子社製)270gとを混合し、2軸押出し成形によりペレット9500gを得る。この成形によりPTFE粉末は少なくとも一部がフィブリル化する。このペレットを、溶液全体の質量の30%のジメチルスルホオキシドと15%の水酸化カリウムとを含む水溶液中で加水分解し、1モル/Lの塩酸に室温で16時間浸漬して上記共重合体粉末を酸型(スルホン酸基)に変換し、水洗、乾燥する。これをエタノールに分散させることにより、固形分濃度10%(質量比)の分散液bが得られる。
分散液aのかわりに分散液bを用いる以外は例1と同様にして、分散液bを多孔シート1に塗工し、乾燥して充填層が多孔シート1で補強され、膜中にPTFEのフィブリルが分散している膜Cを作製する。この膜Cについて例1と同様に引張弾性率及び寸法変化率の測定を行うと、表1に示す結果となる。また、膜Cを用いて例1と同様に膜電極接合体を作製し評価すると、表2に示す結果となる。
[例3(実施例)]
厚さ12μmのポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)に、ドリル加工によってφ500μmの貫通孔(1個あたりの平均断面積約0.196mm2)を、中心部の約100mm角に中心間距離が580μmになるように千鳥配列で約34800個開孔させた外形約120mm角の多孔シート2を作製した。この多孔シート2の開口率は68%である。
PET基材の上に多孔シート2を配置し、この上に分散液bをダイコート法で総厚み15μmとなるように塗工し80℃で乾燥させた。更にその上に分散液aをダイコート法で総厚みが21μmになるように塗工し80℃で乾燥させる。得られる膜を前記基材から剥離し、膜の表裏を反転させて、再度別途用意したPET基材の上に配置し、その上から例1と同様に分散液aをダイコート法で総厚みが30μmになるように塗工し、80℃で乾燥させる。その後、この膜に120℃で30分の熱処理を加え膜Dを得る。膜Dの断面図を図5に示す。
膜Dは、多孔シート2(30)に分散液bを塗工することにより多孔シート2(30)の孔が分散液bにより充填される。この充填部33と多孔シート2(30)とにより充填層35が構成されている。更に分散液bは多孔シート2(30)の厚みより厚く塗工しているため、分散液bからなるPTFEフィブリル含有層34が形成されている。この上に分散液aにより形成された層が補強されていない樹脂層32であり、表裏逆転させた後に分散液aにより形成された層が補強されていない樹脂層32’である。
膜Dは、厚さ9μmの樹脂層32’、厚さ12μmの充填層35、厚さ3μmのPTFEフィブリル含有層34、及び厚さ6μmの樹脂層32がこの順に積層された構成となっている。
この膜Dについて例1と同様に引張弾性率及び寸法変化率の測定を行うと、表1に示す結果となる。また、膜Dを用いて例1と同様に膜電極接合体を作製し、例1と同様に電池特性を測定すると表2に示す結果となる。
[例4(実施例)]
厚さ12μm、100mm角のポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)の中心部にドリル加工によってφ300μmの貫通孔(1個あたりの平均断面積約0.07mm2)を中心間距離が350μmになるように千鳥配列で24048個開孔させて多孔シート3を作製した。このとき孔は上記フィルムの中心部分のみにくるようにして、開孔させた中心部分の面積は約25cm2(5cm×5cm)とした。この中心部分における開口率は67%である。
多孔シート3を例1における多孔シート1と同様にPET基材の上に配置し、分散液aをダイコート法で総厚みが21μmになるように塗工し、80℃で乾燥させる。得られる膜を前記基材から剥離し、表裏を反転させて、再度別途用意したPET基材の上に配置する。この上から分散液aをダイコート法で総厚みが30μmになるように塗工し、80℃で乾燥させ、その後、得られる膜に120℃で30分の熱処理を加えてPET基材を剥離し、膜Eを得る。膜Eは、多孔シート3の開口部がイオン交換樹脂で充填された厚さ12μmの充填層の両面に、補強されていない厚さ9μmの樹脂層が積層された構成となっている。
この膜Eの開口させた中心部分について例1と同様に引張弾性率及び寸法変化率の測定を行うと、表1に示す結果となった。また、膜Eを用いて例1と同様に膜電極接合体を作製し、例1と同様に評価すると表2に示す結果となった。
膜電極接合体を構成する膜Eは、額縁状の周辺部が孔の開いていないポリフェニレンスルフィドフィルムからなっているため、周辺部からの引裂き強度が大幅に向上し、形状安定性にも非常に優れ、ハンドリングも容易である。
[例5(比較例)]
テトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位とCF2=CF−OCF2CF(CF3)−OCF2CF2SO3Hに基づく繰り返し単位とからなる厚さ30μmのイオン交換膜(イオン交換容量:1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂、商品名:フレミオンSH−30、旭硝子社製)について、例1と同様の方法で引張弾性率及び寸法変化率の測定を行った。結果を表1に示す。また、この膜を用いて例1と同様の方法で膜電極接合体を作製し評価した。結果を表2に示す。
[例6(実施例)]
厚さ12μmのポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)に、ドリル加工によってφ300μmの貫通孔(1個あたりの平均断面積約0.07mm2)を、中心間距離が580μmになるように、千鳥配列で中心約100mm角に約95000個開孔させた外形約120mm角の多孔シート4を作製した。この多孔シート4の開口率は68%である。
次に分散液aをダイコート法で総厚みが18μmになるように厚さ約100μmのテトラフルオロエチレンーエチレン共重合体のシート(商品名:フルオンETFE、旭硝子社製、以下ETFEシートという)に塗工した後、乾燥炉を用いて120℃で30分で乾燥させた。
このようにして得られた、イオン交換樹脂が塗工されたETFEシートを120mm角に切り出したものを2枚用意し、その間に前記多孔シート4をそれぞれのイオン交換樹脂に接するようにして挟み、140℃以上の温度と3MPa以上の圧力で熱プレスすることにより一体化した。これを徐冷した後、表面のETFEシートをそれぞれ剥離し、開口部にイオン交換樹脂が圧入された厚さ12μmの多孔シート4からなる充填層と、その両面に形成されている補強されていない厚さ約14μmの樹脂層とから構成されている厚さ40μmの補強膜Xを得た。
この膜Xについて例1と同様の方法で引張弾性率、寸法変化率の測定をした。また、例1と同様の方法で膜電極接合体を作製し、例1と同様の方法で電池特性を測定した。測定結果は表1及び表2に示した。
[例7(比較例)]
厚さ12μmのポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)に、ドリル加工によってφ3mmの貫通孔(1個あたりの平均断面積約7mm2)を、中心間距離が3.5mmになるように、千鳥配列で中心約100mm角に約1020個開孔させた外形約120mm角の多孔シート5を作製する。この多孔シート5の開口率は68%である。
次に分散液aをダイコート法で総厚みが18μmになるように厚さ約100μmのETFEシートに塗工した後、乾燥炉を用いて120℃で30分で乾燥させる。
このようにして得られる、イオン交換樹脂が塗工されたETFEシートを120mm角に切り出したものを2枚用意し、その間に前記多孔シート5をそれぞれのイオン交換樹脂に接するようにして挟み、140℃以上の温度と3MPa以上の圧力で熱プレスすることにより一体化する。これを徐冷した後、表面のETFEシートをそれぞれ剥離し、開口部にイオン交換樹脂が圧入された厚さ12μmの多孔シート5からなる充填層と、その両面に形成されている補強されていない厚さ約14μmの樹脂層とから構成されている厚さ40μmの補強膜Zを得る。
この膜Yは、多孔シート5の孔部分に熱プレスしたイオン交換樹脂が盛り上がっており、全体的にしわがよったような形態となる。
この膜Yについて例1と同様の方法で引張弾性率、寸法変化率の測定をする。また、例1と同様の方法で膜電極接合体を作製し、例1と同様の方法で電池特性を測定する。測定結果は表1及び表2に示す。なお、寸法変化は、膜Z全体にしわがあるために正確に測定することは困難である。
[例8(比較例)]
厚さ12μmのポリフェニレンスルフィドフィルム(商品名:トレリナ3030−12、東レ社製)に、ドリル加工によってφ300μmの貫通孔(1個あたりの平均断面積約0.07mm2)を、中心間距離が400μmになるように、千鳥配列で中心約100mm角に約72790個開孔させた外形約120mm角の多孔シート6を作製する。この多孔シート6の開口率は54%である。
次に分散液aをダイコート法で総厚みが18μmになるように厚さ約100μmのETFEシートに塗工した後、乾燥炉を用いて120℃で30分で乾燥させる。
このようにして得られる、イオン交換樹脂が塗工されたETFEシートを120mm角に切り出したものを2枚用意し、その間に前記多孔シート6をそれぞれのイオン交換樹脂に接するようにして挟み、140℃以上の温度と3MPa以上の圧力で熱プレスすることにより一体化する。これを徐冷した後、表面のETFEシートをそれぞれ剥離し、開口部にイオン交換樹脂が圧入された厚さ12μmの多孔シート6からなる充填層と、その両面に形成されている補強されていない厚さ約14μmの樹脂層とから構成されている厚さ40μmの補強膜Zを得る。
この膜Zについて例1と同様の方法で引張弾性率、寸法変化率の測定をする。また、例1と同様の方法で膜電極接合体を作製し、例1と同様の方法で電池特性を測定する。測定結果は表1及び表2に示す。
Figure 0004843928
Figure 0004843928
本発明の実施態様の膜電極接合体を備える固体高分子型燃料電池の単セルの断面図 本発明における多孔シートの第1の実施態様を示す図 本発明における多孔シートの第2の実施態様を示す図 第2の実施の態様の多孔シートを用いた高分子電解質膜の態様を示す断面図 例3で得られる膜Dの断面図 穴1個あたりの面積と加工時間との関係を示すグラフ
符号の説明
1 高分子電解質膜
2、2’ 触媒層
3、3’ ガス拡散層
4 ガスケット
5 セパレータ
6 膜・触媒層接合体
7 膜電極接合体
8 単セル
10、20、30 多孔シート
11、21 孔
201 第1の領域
202 第2の領域
22、22’、32、32’ 樹脂層
31 充填部
33 フィブリル含有層
34 補強層

Claims (14)

  1. 1個あたりの平均断面積が0.01〜6mmで厚さ方向に対してほぼ平行である貫通孔が多数個形成されており、かつ該貫通孔に基づく開口率が60〜80%である多孔シートの前記貫通孔に、イオン交換樹脂が充填されている第1の層を1層以上有し、
    該第1の層の少なくとも片面には、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層が形成されていることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  2. 1個あたりの平均断面積が0.01〜6mmで厚さ方向に対してほぼ平行である貫通孔が多数個形成されており、かつ該貫通孔に基づく開口率が60〜80%である領域1と、該領域1の外縁部であって前記領域1よりも開口率が低いか又は貫通孔を有しない領域2とからなる多孔シートの前記貫通孔に、イオン交換樹脂が充填されている第1の層を1層以上有し、
    該第1の層の少なくとも片面には、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層が形成されていることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  3. 前記第2の層が前記多孔シートの面積より小さく、前記領域1の面積より大きい請求項2記載の固体高分子電解質膜。
  4. 前記多孔シートは、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド、ポリプロピレン又はポリエチレンからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜。
  5. 前記多孔シートは、厚さが3〜50μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜。
  6. 前記貫通孔に充填されるイオン交換樹脂は、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜。
  7. 前記貫通孔は、前記イオン交換樹脂と補強フィラーとにより充填され、該補強フィラーは、繊維径が0.01〜20μm、繊維長が1〜10mm、アスペクト比が5以上である短繊維状の補強フィラーである請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜。
  8. 前記第2の層には前記補強フィラーが含まれない請求項7に記載の固体高分子電解質膜。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜の両面に、触媒を含む触媒層が配置されたことを特徴とする固体高分子型燃料電池用膜電極接合体。
  10. 多孔シートにより補強された固体高分子電解質膜の製造方法であって、厚さ方向に対してほぼ平行で1個あたりの平均断面積が0.01〜6mmである貫通孔が多数個形成されており、かつ前記貫通孔に基づく開口率が60〜80%である多孔シートに、イオン交換樹脂を含む塗工液を塗工することにより、前記貫通孔を前記イオン交換樹脂で充填して第1の層を形成し、該第1の層の少なくとも片面に、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層を形成することを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
  11. 多孔シートにより補強された固体高分子電解質膜の製造方法であって、厚さ方向に対してほぼ平行で1個あたりの平均断面積が0.01〜6mmである貫通孔が多数個形成されており、かつ前記貫通孔に基づく開口率が60〜80%である多孔シートに、イオン交換樹脂からなる膜を重ねて熱プレスし、前記イオン交換樹脂を前記貫通孔に圧入して充填させて第1の層を形成すると共に、該第1の層の少なくとも片面に、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層を形成することを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
  12. 多孔シートにより補強された固体高分子電解質膜の製造方法であって、1個あたりの平均断面積が0.01〜6mmで厚さ方向に対してほぼ平行である貫通孔が多数個形成されており、かつ前記貫通孔に基づく開口率が60〜80%である領域1と、前記領域1の外縁部であって前記領域1よりも開口率が低いか又は貫通孔を有しない領域2とからなる多孔シートに、イオン交換樹脂を含む塗工液を塗工することにより、前記貫通孔を前記イオン交換樹脂で充填して第1の層を形成すると共に、該第1の層の少なくとも片面に、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層を形成することを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
  13. 多孔シートにより補強された固体高分子電解質膜の製造方法であって、1個あたりの平均断面積が0.01〜6mmで厚さ方向に対してほぼ平行である貫通孔が多数個形成されており、かつ前記貫通孔に基づく開口率が60〜80%である領域1と、前記領域1の外縁部であって前記領域1よりも開口率が低いか又は貫通孔を有しない領域2とからなる多孔シートに、イオン交換樹脂からなる膜を重ねて熱プレスし、前記イオン交換樹脂を前記貫通孔に圧入して充填させて第1の層を形成すると共に、該第1の層の少なくとも片面に、前記イオン交換樹脂と同じでも異なっていてもよいイオン交換樹脂のみからなる第2の層を形成することを特徴とする固体高分子電解質膜の製造方法。
  14. 前記多孔シートは、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド、ポリプロピレン又はポリエチレンからなる請求項10〜13のいずれか1項に記載の固体高分子電解質膜の製造方法。
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