JP2014067606A - 高分子電解質膜およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜およびそれを用いた燃料電池 Download PDF

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康壮 松田
Shunichi Shimatani
俊一 島谷
Hiroyuki Nishii
弘行 西井
Toru Sugitani
徹 杉谷
Naoki Hasegawa
直樹 長谷川
Naoki Kitano
直紀 北野
Kyoko Tsusaka
恭子 津坂
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Abstract

【課題】乾燥状態と膨潤状態との間の状態変化に対する寸法変化が小さい新規な電解質膜を提供する。
【解決手段】開示される高分子電解質膜は、多孔性の積層膜20と、積層膜20に充填された高分子電解質とを含む。当該高分子電解質は、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および、−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性基を含む。積層膜20は、多孔性の第1の膜11、多孔性の第2の膜12、および、第1の膜11と第2の膜12との間に配置された多孔性の接着層13を含む。膜11および12はそれぞれ、方向によって伸び率が異なる膜である。膜11の伸び率が最小となる方向と膜12の伸び率が最小となる方向とがなす角度が45°〜90°の範囲にあるように膜11膜と膜12とが積層されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子電解質膜およびそれを用いた燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、エネルギー密度が高く、家庭用コージェネレーションシステム、携帯機器用電源、自動車用電源などの幅広い分野での使用が期待される。PEFCの電解質膜には、燃料極−酸化極間でプロトンを伝導する電解質としての機能、および、燃料極に供給される燃料と酸化極に供給される酸化剤とを分離する隔壁としての機能が求められる。電解質および隔壁としての機能が不十分であると、燃料電池の発電効率が低下する。また、プロトン伝導性、電気化学的安定性および機械的強度に優れ、燃料および酸化剤の透過性が低い高分子電解質膜が望まれる。
従来、固体高分子形燃料電池の電解質膜として、デュポン社で開発された「ナフィオン(デュポン社の登録商標)」等のパーフルオロスルホン酸膜が一般に用いられていた。しかしながら、「ナフィオン」をはじめとする従来のフッ素系高分子電解質膜は、化学的な安定性には優れるもののイオン交換容量が低いという問題や、保水性が不十分であるため電解質膜が乾燥してプロトン伝導性が低下するという問題があった。この対策としてスルホン酸基を多く導入すると、保水によって強度が極端に低下し、膜が破損しやすくなる。すなわち、ナフィオンのみからなる電解質膜は、乾燥状態と膨潤状態との間の状態変化に対する安定性が低かった。
一方、多孔膜に電解質を充填することによって、電解質膜を形成する方法も提案されている。たとえば、高いプロトン伝導度を有するイミドネットワークポリマを多孔膜に充填する方法が提案されている(特許文献1)。
国際公開WO2007/114406号パンフレット
しかし、従来の電解質膜は、乾燥状態と膨潤状態との間の状態変化に対する寸法変化が大きく、燃料電池に用いたときの耐久性が不充分であった。
このような状況において、本発明は、乾燥状態と膨潤状態との間の状態変化に対する寸法変化が小さい新規な電解質膜を提供することを目的の1つとする。
上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、本発明者らは、特定の構成を有する積層膜に高分子電解質を充填することによって、乾燥状態と膨潤状態との間の状態変化に対する寸法変化が小さい電解質膜が得られることを見出した。本発明は、この新規な知見に基づく発明である。
すなわち、本発明は、燃料電池に用いられる高分子電解質膜であって、多孔性の積層膜と、前記積層膜に充填された高分子電解質とを含み、前記高分子電解質は、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および、−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性基を含み、前記積層膜は、多孔性の第1の膜、多孔性の第2の膜、および、前記第1の膜と前記第2の膜との間に配置された多孔性の接着層を含み、前記第1および第2の膜はそれぞれ、方向によって伸び率が異なる膜であり、前記第1の膜の伸び率が最小となる方向と前記第2の膜の伸び率が最小となる方向とがなす角度が45°〜90°の範囲にあるように前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されている。
本発明によれば、乾燥状態と膨潤状態との間の状態変化に対する寸法変化が小さい高分子電解質膜が得られる。この電解質膜を用いることによって、燃料電池において使用したときに剥離などが少ない膜−電極接合体(MEA)が得られる。すなわち、本発明の電解質膜を用いることによって、耐久性が高い固体高分子形燃料電池が得られる。
図1は、本発明の高分子電解質膜の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の高分子電解質膜の他の一例を模式的に示す断面図である。
(高分子電解質膜)
本発明の高分子電解質膜(複合膜)は、燃料電池に用いられる電解質膜である。この電解質膜は、多孔性の積層膜と、その積層膜に充填された高分子電解質とを含む。この高分子電解質を、以下では「高分子電解質(E)」という場合がある。この高分子電解質(E)は、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および、−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性基を含む。
積層膜は、多孔性の第1の膜、多孔性の第2の膜、および、第1の膜と第2の膜との間に配置された多孔性の接着層を含む。第1および第2の膜はそれぞれ、方向によって伸び率が異なる膜である。ここで、「方向」とは、積層膜の主面に平行な方向を意味する。また、「伸び率」とは、実施例に記載の引っ張り試験の結果に基づいて実施例に記載の式で算出される伸び率(%)を意味する。第1の膜の伸び率が最小となる方向D1minと第2の膜の伸び率が最小となる方向D2minとがなす角度が45°〜90°の範囲にあるように第1の膜と第2の膜とが積層されている。
第1の膜の伸び率が最小となる方向D1minと第2の膜の伸び率が最小となる方向D2minとがなす角度は、60°〜90°の範囲、70°〜90°の範囲、または80°〜90°の範囲にあってもよい。この角度が90°に近い方が、膜の伸び率の異方性が小さい積層膜が得られる傾向がある。
積層膜に含まれる第1および第2の膜はそれぞれ、複数であってもよい。複数の第1の膜および/または複数の第2の膜を積層膜が含む場合、第1の膜と第2の膜とは、通常、接着層を挟んで交互に積層される。積層される膜と膜との間には、接着層が配置される。
高分子電解質膜の例を、図1および図2に示す。図1の電解質膜10は積層膜20を含み、図2の電解質膜10aは積層膜20aを含む。積層膜20および20aのそれぞれには、高分子電解質(図示せず)が充填されている。積層膜20は、「第1の膜11/接着層13/第2の膜12」という積層構造を有する。積層膜20aは、「第1の膜11/接着層13/第2の膜12/接着層13/第1の膜11」という積層構造を有する。
第1の膜の材料および物性と、第2の膜の材料および物性とは異なってもよい。すなわち、第1の膜と第2の膜とは異なる膜であってもよい。典型的な例では、第1の膜の材料および物性は、第2の膜の材料および物性と実質的に同じである。すなわち、第1の膜と第2の膜とは同じ膜である。第1の膜の厚さと第2の膜の厚さとは異なってもよいし、同じでもよい。通常、積層膜に含まれる第1の膜の厚さの合計と、積層膜に含まれる第2の膜の厚さの合計とは実質的に同じであり、前者が後者の0.9〜1.1倍の範囲にあってもよい。また、本発明の効果が得られる限り、積層膜は、第1および第2の膜に加えて第3の膜を含んでもよい。典型的な積層膜は、第1および第2の膜と、それらの間に配置された接着層とからなる。
(第1および第2の膜)
本発明で用いられる第1および第2の膜はそれぞれ、伸び率に異方性がある膜である。延伸膜の場合、膜の伸び率の方向依存性は、通常、延伸の条件によって決まる。そのため、2軸延伸で形成された延伸膜は、通常、長手方向(縦方向)とそれに直交する幅方向(横方向)のうちの一方が伸び率が最大となる方向であり、他方が伸び率が最小となる方向である。第1および第2の膜はそれぞれ、伸び率が最小となる方向における伸び率Tmin(%)と、伸び率が最大となる方向における伸び率Tmax(%)とが、0.05≦Tmin/Tmax≦0.7(たとえば、0.05≦Tmin/Tmax≦0.5)を満たす膜であってもよい。
第1および第2の膜の材料となる樹脂の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテンなど)が含まれる。ポリオレフィン樹脂は、1種を単体で使用してもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよいし、共重合体として用いてもよい。また、第1および第2の膜はそれぞれ、複数の層で構成されていてもよいし、異なる複数の樹脂で構成されていてもよい。これらの中でも、化学的安定性が高い点、および、プロトン伝導の阻害性が低い点から、第1および第2の膜はそれぞれ、多孔性のポリテトラフルオロエチレン膜であることが好ましい。
多孔性の第1および第2の膜の形成方法に限定はなく、公知の方法で形成してもよく、たとえば以下の方法で形成してもよい。1つの方法では、樹脂を溶融押出し成形したのち、低温延伸してから高温延伸することによって製膜する(乾式製膜法)。他の1つの方法では、樹脂と被抽出剤との混合物を成形・延伸などの処理によって膜状にした後、被抽出剤を溶媒等で抽出して除去することによって製膜する(湿式製膜法)。
以下に、第1および第2の膜として好ましいPTFE膜を製造するための方法の一例について説明する。PTFE膜は、一般的なPTFE多孔膜の製造方法で製造できる。この製造方法において、PTFEの結晶融解温度(融点)以上の温度で焼成することが好ましい。そのような焼成によって、PTFE膜を構成するPTFEは、通常、示差走査熱量測定において吸熱のピークが322〜332℃の範囲にあり且つ結晶融解熱量が40J/g以下であるPTFEとなる。焼成は、たとえば340℃以上の温度で行われ、一例では350℃〜390℃の範囲にある温度で行われる。結晶融解温度以上の温度に加熱されたPTFE膜は、伸び率が小さくなる。しかし、現在、伸び率がより小さい膜が求められている。そのため、本発明の電解質膜は、特定の構成を有する積層膜を用いている。なお、示差走査熱量測定(DSC測定)の昇温速度はたとえば10℃/分である(以下のDSC測定においても同様である)。
PTFE多孔膜(第1および第2の膜)は、通常の方法で作製できる。具体的には、まず、樹脂(PTFE)に炭化水素系助剤を混合して混合物を得る。次に、その混合物をシート状または円筒状に押し出し、さらに所定の厚さになるように圧延し乾燥する。押し出しおよび圧延を容易にするため、通常、30〜100℃の範囲(好ましくは35〜80℃の範囲)の温度に材料を加熱して押し出しおよび圧延を行う。押し出しは、通常、押し出しのシリンダーの径のたとえば1/10〜1/100の径を有する絞りを通過させることによって樹脂にシェアーをかけて行う。押し出しのシリンダーの径に対する絞りの径の比率によって、延伸膜の長手方向の伸び率や強度がある程度決定される。圧延は、ロールを用いた圧延であってもよいし、ロールを用いない圧延(プレス)であってもよい。圧延によって、膜の厚さおよび幅を所定の範囲とすることができる。ロールを用いた圧延の場合、ロールによって膜を巻き取るときの膜の張力を変えたり、ロール間のギャップを変えながらロールによる圧延を繰り返したりすることによって、膜の厚さおよび幅を調整できる。押し出し後の樹脂を圧延する場合、圧延の条件(膜の幅や厚さの変化)によって、伸び率が高い方向が決定されることがある。
乾燥された膜は、所定の温度において所定の倍率で延伸される。延伸の方法や延伸の条件によって、得られる膜の伸び率が最大となる方向が決定される。典型的な延伸の一例では、膜の長手方向の延伸(縦延伸)を行った後に、膜の幅方向の延伸(横延伸)が行われる。縦延伸は、たとえば、100〜380℃の範囲の温度において2〜20倍の範囲の倍率で行われる。また、横延伸は、たとえば、30〜380℃の範囲の温度において、5〜30倍の範囲の倍率で行われる。ある方向の延伸倍率を高くすると、その方向には伸びにくい膜が得られる傾向がある。そのため、延伸の方向および倍率を変えることによって、伸び率の方向依存性を制御することが可能である。
通常、PTFEの延伸時にPTFEの融点以上の温度にPTFEを加熱することによって、PTFEの焼成を行う。焼成は、縦延伸時に行ってもよいし、横延伸時に行ってもよい。いずれの場合においても、焼成されたPTFEは、通常、DSC測定における結晶融解熱量が40J/g以下となり、吸熱ピークが327±5℃の範囲(322〜332℃の範囲)に現れる。
PTFE以外の樹脂からなる第1および第2の膜も、PTFE膜と同様の方法で形成できる。ただし、押し出し、圧延、および延伸を行う際の温度は、その樹脂に応じた温度を選択する。PTFE以外の樹脂でも、特定の方向の延伸倍率を高くすることによって、通常、その方向における伸び率が小さい膜が得られる。
第1および第2の膜の、厚さ、目付量(面密度)、および気孔率は、電解質膜に求められる特性に応じて選択すればよい。第1および第2の膜の一例では、厚さが5μm〜100μmの範囲(たとえば5μm〜50μmの範囲)にあり、気孔率が50%〜95%の範囲(たとえば60%〜90%の範囲)にある。
なお、第1および第2の膜には、市販の膜を用いてもよい。同様に、接着層および高分子電解質には市販のものを用いてもよい。
(接着層)
接着層は、多孔性であり、第1の膜と第2の膜とを接着できる層であればよい。具体的には、第1および第2の膜の材料よりも低い融点を有する材料を含む多孔性の層を接着層として用いることができる。接着層の形態に限定はなく、たとえば、所定の材料からなる不織布、織布、またはネットであってもよい。
接着層に用いることができる材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンが含まれる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。接着層の材料は、第1および第2の膜に応じて選択される。典型的な一例では、接着層がポリテトラフルオロエチレンを含まない。
好ましい一例では、接着層は、融点が140℃以下(たとえば100〜140℃の範囲)の熱可塑性樹脂を含む。一例の接着層は、融点が140℃以下(たとえば100〜140℃の範囲)の熱可塑性樹脂からなるものである。この構成によれば、接着層よりも高い融点を有する樹脂(たとえばPTFE)からなる第1および第2の膜の物性を大きく変化させることなくそれらを容易に接着できる。融点が100〜140℃の範囲にある熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレンやポリブテンなどのポリオレフィンが含まれる。
接着層は、芯/鞘構造を有する樹脂で形成されてもよい。たとえば、接着層は、熱可塑性樹脂からなる鞘部分と、当該熱可塑性樹脂よりも融点が高い樹脂からなる芯部分とを含む繊維によって構成されていてもよい。鞘部分の材料には、第1および第2の膜よりも融点が低い熱可塑性樹脂を用いることができ、たとえば、融点が100〜140℃の範囲にある樹脂(たとえば上述した樹脂)を用いることができる。このような芯/鞘構造を有する接着層を用い、鞘部分の融点以上で芯部分の融点未満の温度で加熱して第1の膜と第2の膜とを接着することによって、接着層の芯部分の強度を保持したままで積層膜を形成できる。そのため、機械的強度が高い芯部分を含む接着層を用いることによって、機械的強度が高い積層膜(および電解質膜)を得ることが可能である。また、芯/鞘構造を有する接着層を用いることによって、第1の膜と第2の膜とを鞘部分で強固に接着することが可能である。
接着層は、プロトン伝導を阻害しにくい層、すなわち、プロトン伝導阻害性が低い層であることが好ましい。具体的には、接着層は、第1および第2の膜(たとえばPTFE多孔膜)よりもプロトン伝導性が低い層であることが好ましい。
接着層に求められる上記の特性、および、燃料電池内で使用するために求められる特性(強度および寸法安定性など)を考慮すると、接着層は、ポリオレフィンを含む層(不織布、織布、またはネット)であることが好ましく、融点が異なる2種類以上の樹脂を有する接着層であることがより好ましい。好ましい接着層の一例は、ポリオレフィンからなる鞘部分と、鞘部分よりも高い融点を有する樹脂からなる芯部分とを含む芯/鞘構造を有する繊維によって構成された接着層である。
接着層の、厚さ、目付量、および気孔率は、電解質膜に求められる特性に応じて選択すればよい。たとえば、厚さは、積層膜に含まれる膜を充分な接着強度で接着できる範囲で選択される。接着層の一例では、厚さが1μm〜200μmの範囲(たとえば5μm〜150μmの範囲)にあり、目付量が0.1g/m2〜100g/m2の範囲(たとえば2g/m2〜50g/m2の範囲)の範囲にあり、気孔率が30%〜95%の範囲(たとえば50%〜95%の範囲)にある。目付量が小さいと溶融樹脂によるプロトン伝導の阻害性は低くなるが、目付量が小さすぎると、第1および第2の膜との接着性が低下して剥離しやすくなる。一方、目付量が大きいと、第1および第2の膜との接着性は高くなるが、目付量が大きすぎると、溶融樹脂によるプロトン伝導の阻害性が高くなる。接着層の孔径は、第1および第2の膜(たとえばPTFE多孔膜)の孔径よりも小さくてもよいが、同じ程度かまたはそれよりも大きいことが好ましい。
(積層膜)
積層膜の厚さは、5μm〜200μmの範囲にあることが好ましく、高分子電解質膜の強度やプロトン伝導性を考慮すると、10μm〜100μmの範囲にあることがより好ましい。積層膜が薄いと、得られる高分子電解質膜のプロトン伝導性は高くなるが、薄すぎると、積層膜の強度が低下し、また、燃料である水素が透過しやすくなるという問題が生じる。一方、積層膜が厚いと、得られる高分子電解質膜の強度が高くなるとともに燃料の透過性が低くなるが、厚すぎると、プロトン伝導性が低下する。
第1および第2の膜、ならびに積層膜の孔径は、それぞれ、高分子電解質の充填性を考慮すると、0.1μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、1μm〜5μmの範囲にあることがより好ましい。孔径が小さすぎると、高分子電解質を均一に充填しにくくなる。一方、孔径が大きすぎると、高分子電解質を保持する機能が弱くなる。高分子電解質の充填量を多くするとプロトン伝導度が高くなるため、プロトン伝導度を高める観点では、積層膜の気孔率は高い方が好ましい。積層膜の気孔率は、50〜95%の範囲にあることが好ましく、実用上問題がない限り、60〜95%の範囲にあることがより好ましい。積層膜の一例では、気孔率が50%以上(たとえば50%〜95%の範囲)であり、且つ、厚さが5μm以上である。
(高分子電解質(E))
上述したように、積層膜に充填される高分子電解質(E)は、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および、−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性基を含む。以下では、これらの酸性基を総称して「イミド基類(G)」という場合がある。一例の高分子電解質(E)は、イミド基類(G)以外の酸性基を含まない。典型的な高分子電解質(E)は、イミド基類(G)を含む鎖状部分と、その鎖状部分を架橋する架橋部分とを含む。好ましい一例では、鎖状部分と架橋部分とがイミド基類(G)で結合される。すなわち、鎖状部分がイミド基類(G)を含み、さらに、鎖状部分と架橋部分との結合部分がイミド基類(G)を含む。鎖状部分および架橋部分は、炭化水素鎖、フッ化炭素鎖、芳香族性を有する環状構造(たとえば芳香環)、芳香族性を有さない環状構造(たとえば脂環式構造)を含んでもよく、通常は、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つで構成される。高分子電解質の構造の例については、後述する。
本発明の好ましい一例では、第1および第2の膜がPTFE多孔膜であり、接着層がポリオレフィン(たとえばポリエチレン)を含むかポリオレフィン(たとえばポリエチレン)からなる接着層であり、高分子電解質(E)が上述の高分子電解質である。
(高分子電解質膜の特性)
本発明の高分子電解質膜は、高い寸法安定性を有する。好ましい一例では、本発明の電解質膜は、乾燥状態から膨潤状態に変化させたときの、縦方向における寸法変化率L(%)と横方向における寸法変化率T(%)との平均が、10%以下(たとえば5%以下)である。なお、これらの寸法変化率は、実施例に記載の方法で測定できる。また、好ましい他の一例では、寸法変化率L(%)および寸法変化率T(%)が共に10%以下(たとえば5%以下)である。
また、本発明によれば、乾燥状態から膨潤状態に変化させたときの寸法変化の異方性が小さい電解質膜を得ることが可能である。上記寸法変化LおよびTの平均が5%以下である膜は、寸法変化の異方性が小さい膜であるといえる。
(高分子電解質膜の製造方法)
本発明の高分子電解質膜を製造するための方法の一例を以下に説明する。なお、本発明の高分子電解質膜について説明した事項は以下の製造方法に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。
この製造方法は、工程(i)および(ii)を含む。工程(i)では、多孔性の積層膜を形成する。工程(ii)では、当該積層膜に高分子電解質(E)を充填する。以下に、工程(i)および(ii)について説明する。
この積層膜は、上述したように、第1の膜、第2の膜、および、第1の膜と第2の膜との間に配置された接着層とを含む。積層膜は、積層膜に含まれる膜を接着層で接着して一体化することによって形成できる。接着方法の例には、ホットプレス、ラミネート、圧接、粘着等の方法が含まれる。ただし、得られた高分子電解質膜が膨潤・収縮したときに接着層と膜とが剥離しないような接着性が得られる限り、接着方法に限定はない。接着方法の好ましい一例は、積層膜を構成する膜および層を重ね合わせて一体とした状態で、それらを加熱しながら加圧する方法である。
接着の際の加熱・加圧の条件によって、得られる積層膜の膜厚、孔径、および、気孔率が変化し、高分子電解質の充填性に大きく影響する。電解質膜を構成する膜同士の接着性を考慮すると、接着層を構成する材料のうちの少なくとも1つの材料の融点以上の温度に加熱した状態で加圧することが好ましい。加圧時の圧力は、0.01MPa〜1MPaの範囲にあることが好ましく、0.1MPa〜0.8MPaの範囲にあることがより好ましい。圧力が高いと、膜と接着層との接着性が増加するとともに膜厚のバラツキが抑えられる。しかし、圧力が高すぎると、膜の孔径が小さくなるとともに膜の気孔率が低下し、その結果、高分子電解質の充填が難しくなって、得られる電解質膜のプロトン伝導性が低下する。一方、圧力が低いと、膜の孔径および気孔率を維持できるが、圧力が高すぎると、膜と接着層との接着性が低下し、また、膜厚のバラツキも大きくなる。なお、加熱・加圧する時間に限定はなく、充分な接着性が得られる範囲で選択すればよい。
工程(ii)では、多孔性の積層膜に高分子電解質(E)を充填する。高分子電解質(E)は、その原料となる複数種のモノマーを積層膜内で重合することによって、積層膜に充填できる。当該複数種のモノマーは、それらが反応することによってイミド基類(G)またはその前駆体が形成されるモノマーである。
工程(ii)の一例では、第1、第2、および第3のモノマーを用いて高分子電解質(E)またはその前駆体を合成する。第1のモノマーは、第1の鎖状部分と第1の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの官能基(A)とを有するモノマーである。第2のモノマーは、第2の鎖状部分と第2の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの官能基(B)とを有する。第3のモノマーは、3つ以上の官能基(C)を有するモノマーである。官能基(B)および官能基(C)は、それぞれ、官能基(A)と反応することによって、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および、−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性基またはその前駆体を生成する官能基である。換言すれば、官能基(B)および官能基(C)は、それぞれ、官能基(A)と反応することによって、イミド基類(G)またはその前駆体を生成する官能基である。第3のモノマーによって、架橋構造が形成される。なお、両端に官能基(A)を備えるオリゴマーと、3つ以上の官能基(C)を有するモノマーとを反応させることによって、高分子電解質(E)またはその前駆体を合成してもよい。
以下では、3つ以上の官能基(C)を有する少なくとも1種の第3のモノマーを、「架橋モノマー(M)」という場合がある。また、この明細書では、架橋モノマー(M)のうち、複数の官能基(C)を結ぶ骨格を「架橋部分」という場合がある。また、両端に官能基(A)を備えるオリゴマーを、オリゴマー(O)という場合がある。
工程(ii)の一例では、第1、第2、および第3のモノマー(架橋モノマー(M))を同時に積層膜中で反応させる。この一例における工程(ii)は、工程(ii−A)および工程(ii−B)を含んでもよい。工程(ii−A)では、少なくとも1種の第1のモノマーと、少なくとも1種の第3のモノマーとを含む液体(溶液または分散液)を積層膜中に充填する。次の工程(ii−B)では、積層膜中の液体にさらに第2のモノマーを加えてそれらのモノマーを反応させ、それによって、イミド基類(G)を含む高分子電解質またはイミド基類の前駆体を含む高分子を形成する。
工程(ii)の他の一例では、オリゴマー(O)と第3のモノマー(架橋モノマー(M))とを積層膜中で反応させる。この一例における工程(ii)は、工程(ii−a)および工程(ii−b)を含んでもよい。工程(ii−a)では、少なくとも1種の第1のモノマーと、少なくとも1種の第2のモノマーとを反応させることによって、官能基(A)を両端に備えるオリゴマー(O)を合成する。次の工程(ii−b)では、少なくとも1種の第3のモノマーとオリゴマー(O)とを積層膜中で反応させ、イミド基類(G)を含む高分子電解質またはイミド基類の前駆体を含む高分子を形成する。
上記の工程(ii−B)および工程(ii−b)によってイミド基類(G)の前駆体が形成される場合には、さらに、当該前駆体をイミド基類(G)に変換する処理を行うことによって、高分子電解質を形成する。イミド基類(G)の前駆体は、イミド基類(G)中のNHの水素原子が他の原子または原子団になっているものである。この前駆体は、公知の適当な処理によってイミド基類(G)に変換することが可能である。たとえば、イミド基類(G)中のNHの水素原子がtert−ブトキシカルボニル基である場合には、トリフルオロ酢酸や、4mol/Lの塩酸−酢酸エチル溶液などの強酸で処理することによって、NHに変換することが可能である。
官能基(A)と官能基(B)との組み合わせには、種々の組み合わせがある。好ましい組み合わせの一例では、官能基(A)が、以下の式(F1)で表される少なくとも1種の官能基、または、以下の式(F2)で表される少なくとも1種の官能基であり、官能基(B)が、以下の式(F3)で表される少なくとも1種の官能基、または、以下の式(F4)で表される少なくとも1種の官能基である。
(F1)−SO2NZ12
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH33を示す。]
(F2)−CONZ12
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH33を示す。]
(F3)−SO2
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。]
(F4)−COX
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。]
上記(F1)および(F2)で表される官能基において、Z1およびZ2に用いることができる金属原子の例には、KやNaなどのアルカリ金属原子や、Cuなどの遷移金属原子が含まれる。
上記(F1)または(F2)で表される官能基と、上記(F3)または(F4)で表される官能基との組み合わせは、官能基変換を加えることなく直接反応させることが容易である場合が多いので、官能基(A)および官能基(B)の組み合わせとして特に好適である。また、これらの官能基は、未反応のまま残った場合であっても、適当な処理を施すことによって、スルホン酸基またはカルボン酸基に変換できるので、高い電気伝導度を有するプレポリマおよび固体高分子電解質が得られる。
また、上記(F1)または(F2)で表される官能基の中でも、(Z1、Z2)の組み合わせが、(H、H)、(H、M)、(Si(CH33、M)、または、(H、Si(CH33)であるものは、高い反応性を有しているため、官能基(A)として好適である。ここで、Mは金属原子を表す。また、上記(F3)または(F4)で表される官能基の中でも、XがF、Cl、BrまたはIからなるものは、高い反応性を有しているため、官能基(B)として好適である。
第1のモノマーは、1種類のモノマーのみで構成されてもよいし、複数種のモノマーで構成されてもよい。また、第2のモノマーは、1種類のモノマーのみで構成されてもよいし、複数種のモノマーで構成されてもよい。たとえば、第2のモノマーの官能基(B)は、−SO2Xのみであってもよいし、−SO2Xと−COXとの組み合わせであってもよい。
通常、第1のモノマーの第1の鎖状部分、および、第2のモノマーの第2の鎖状部分は、それぞれ、フッ素で置換されていてもよい炭化水素鎖で構成される。中でも、−(CF2m−(ただし、mは自然数)で表される鎖状部分は、電子吸引性の観点から、強酸基の解離性が向上してプロトン伝導性が向上するため好ましい。第1の鎖状部分および第2の鎖状部分のそれぞれを構成する炭素原子の数は、1〜20の範囲にあってもよく、たとえば3〜8の範囲にあってもよい。
第1のモノマーと第2のモノマーとの組み合わせには、種々の組み合せがある。好ましい組合せの一例では、第1のモノマーが以下のモノマー(1)および/または(2)であり、第2のモノマーが以下のモノマー(3)および/または(4)である。
(1)H2NO2S−(CF2)m−SO2NH2
[式(1)において、mは1〜20の自然数を示す。]
(2)H2NCO−(CF2)m−CONH2
[式(2)において、mは1〜20の自然数を示す。]
(3)XO2S−(CF2)m−SO2
[式(3)において、Xは、F、Cl、Br、I、またはOHを示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(4)XOC−(CF2)m−COX
[式(4)において、Xは、F、Cl、Br、I、またはOHを示す。mは1〜20の自然数を示す。]
モノマー(1)〜(4)の式において、mは3〜8の範囲にあってもよい。なお、モノマー(1)〜(4)からなる群より選ばれるモノマーが2種類以上用いられる場合、その鎖長(式中のm)は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、式(1)〜(4)のモノマーの官能基の好ましい例には、式(F1)〜(F4)で述べた好ましい例が含まれる。第1および第2のモノマーは、公知の方法で合成でき、たとえば、特開2005−174800号公報や国際公開WO2007/114406(A1)パンフレットに記載の方法で合成できる。
オリゴマー(O)の重合度に特に限定はない。高分子電解質に求められる条件に応じて、オリゴマー(O)の平均重合度が好ましい範囲となるように反応条件(たとえば、反応時間、反応温度、反応促進剤の量など)を選択できる。オリゴマー(O)は、たとえば、3量体〜15量体の範囲にあってもよい。オリゴマーの重合度によって、該オリゴマーを用いて得られる電解質の架橋密度を制御することができるため、電解質の強度、含水率、保水性等を制御することが可能である。オリゴマー(O)の鎖状部分は、第1のモノマーの第1の鎖状部分、第2のモノマーの第2の鎖状部分、およびイミド基類(G)で構成される。本発明の方法では、予め合成したオリゴマー(O)を架橋するため、オリゴマー(O)の鎖長の平均および分布、および、オリゴマー(O)に含まれるイミド基類(G)の数の平均および分布を制御しやすい。
工程(ii−a)で合成されるオリゴマーの末端基(第1の鎖状部分と第2の鎖状部分とイミド基類(G)またはその前駆体とによって構成される鎖状部分の両端にある基)の60モル%以上が官能基(A)であることが好ましい。この割合が高いほど、官能基(A)を両端に備えるオリゴマー(O)の割合が多くなる。工程(ii−a)で合成されるオリゴマーの末端基に占める官能基(A)の割合は、70モル%以上や、80モル%以上や、90モル%以上や、95モル%以上であってもよい。この割合を高めることによって、架橋密度が高くなり、充分なネットワーク構造を形成できる。
工程(ii−a)で合成されるオリゴマーの末端基に占める官能基(A)の割合は、反応条件を変えることによって調整できる。たとえば、第1のモノマーと第2のモノマーとの合計に占める第1のモノマーのモル比を増やすことによって、オリゴマーの末端基に占める官能基(A)の割合を高めることができる。具体的には、第2のモノマーに対し、1.1〜2.5倍モル量の第1のモノマーを用いることが好ましく、1.25〜2倍モル量の第1のモノマーを用いることがより好ましい。
工程(ii−a)における反応は、第1のモノマーおよび第2のモノマーを、所定の溶媒中に溶解または分散させた状態で反応させることによって行うことができる。当該溶媒は、所定の条件下において原料モノマーを溶解または分散可能であり、かつモノマー末端の変化・分解を起こさないものであればよい。すなわち、溶媒は、極性溶媒であってもよいし、無極性溶媒であってもよい。溶媒の例には、工程(ii−b)の反応で用いることができる溶媒の例として後述する溶媒が含まれる。
それらの溶媒の中でも、極性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましい。別の観点では、溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性の極性有機溶媒がより好ましい。溶媒中の原料モノマーの濃度は特に限定されるものではなく、原料モノマーの種類に応じて適切な濃度を選択すればよい。
原料モノマーを反応させる際には、官能基(A)と官能基(B)との反応速度を大きくする物質(すなわち、触媒作用を有する物質:反応促進剤)を溶媒に加えることが好ましい。そのような物質(試薬)の例には塩基性化合物が含まれ、具体的には、工程(ii−b)の反応を促進させる塩基性化合物の例として後述する塩基性化合物が含まれる。別の観点では、触媒作用を有する物質として、ルイス塩基を用いることができる。触媒作用を有する物質の量は、反応条件等に応じて適切な量を選択すればよい。適切な量を選択することによって、原料モノマーを含む反応液の粘度を調節できる。
工程(ii−a)における反応温度は、オリゴマー(O)を効率よく合成可能な温度であればよい。反応温度は、具体的には、25〜120℃の範囲にあることが好ましく、40〜100℃の範囲にあることがより好ましい。反応時間は、反応温度に応じて適切な時間を選択すればよい。通常、反応時間は、1分〜240時間の範囲にある。
工程(ii−a)の反応は、原料モノマーの変質(加水分解等)を防ぐために、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい(以下の工程(ii−b)においても同様である)。また、反応温度、反応時間、および反応時の圧力は、特に限定されるものではなく、原料の種類、混合液の濃度、触媒作用を有する物質の種類および量等に応じて適切な値を選択すればよい。また、反応中に、反応液に対して、撹拌したり、せん断したり、振動を加えたりすることが好ましい。
工程(ii−a)の次に工程(ii−b)が行われる。工程(ii−b)では、架橋モノマー(M)とオリゴマー(O)とを反応させる。具体的には、架橋モノマー(M)の官能基(C)と、オリゴマー(O)の官能基(A)とを反応させる。この反応によって、オリゴマー(O)同士が架橋される。
通常、官能基(C)は、工程(ii−b)の反応条件において、官能基(C)同士で反応しないか、または、官能基(C)同士で実質的に反応しない官能基である。また、通常、架橋モノマー(M)は、工程(ii−b)の反応条件において官能基(A)と反応する官能基を官能基(C)以外に含まず、また、工程(ii−b)の反応条件において官能基(C)と反応する官能基を含まない。
官能基(C)の例には、官能基(B)について例示した官能基が含まれる。官能基(B)と官能基(C)とは同一であってもよいし、異なってもよい。また、官能基(C)を結ぶ架橋部分に特に限定はないが、一例では、芳香族炭化水素(たとえばベンゼン)や、炭化水素鎖、およびそれらの水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたもので構成される。
また、官能基(A)と官能基(C)との好ましい組み合わせの一例では、官能基(A)が、上記の式(F1)で表される少なくとも1種の官能基、または、上記の式(F2)で表される少なくとも1種の官能基であり、官能基(C)が、上記の式(F3)で表される少なくとも1種の官能基、または、上記の式(F4)で表される少なくとも1種の官能基である。
高分子電解質の分子量に特に限定はない。高分子電解質に求められる特性に応じて、高分子電解質の分子量が好ましい範囲となるように反応条件(たとえば、反応時間、反応温度、反応促進剤の量など)を選択できる。
本発明の高分子電解質(ネットワークポリマー)は、オリゴマー(O)と、架橋モノマー(M)とを反応させることによって合成される。官能基(A)と官能基(C)との反応性は、本発明の高分子電解質の生産性に大きな影響を与える。特許文献3に示されている実施例では、ネットワークポリマーを形成するための重合反応が極めて遅く、24時間以上かかっている。このため、大量生産および低コスト化の大きな問題となる。そこで鋭意検討した結果、本発明者らは、官能基(C)として−SO2Clまたは−COClを用いた場合には、架橋反応が極めて速く、極めて短い時間でネットワークポリマーが得られることを見出した。
そのため、架橋モノマー(M)の官能基(C)は、−SO2Clおよび/または−COClであることが好ましい。そのような架橋モノマー(M)としては、種々のモノマーがある。中でも、以下に示すモノマー(5)〜(8)および(9)〜(12)は、架橋モノマー(M)として好適である。架橋モノマー(M)として鎖状部分がフッ化炭素鎖であるものを用いることによって、高分子電解質の鎖状部分がパーフルオロ骨格となり、耐熱性および耐酸化性に優れた固体高分子電解質が得られる。なお、本願明細書における「架橋部分」は、モノマー(5)および(9)ではベンゼン環であり、モノマー(6)〜(8)および(10)〜(12)では−CF−および/または−CF2−で構成されるパーフルオロ鎖である。
Figure 2014067606
[モノマー(5)において、Y1、Y2、およびY3は、SO2ClまたはCOClを示す。Y1=Y2=Y3である。Z3は、水素原子またはフッ素原子を示す。]
Figure 2014067606
[モノマー(6)において、Aは0〜20の整数を示す。P1、P2、P3、およびP4は、SO2ClまたはCOClを示す。P1=P2=P3=P4である。]
[モノマー(7)および(8)において、Aは0〜20の整数を示し、Bは1〜20の自然数を示し、Cは1〜20の自然数を示す。P1、P2、およびP3は、SO2ClまたはCOClを示す。P1=P2=P3である。]
Figure 2014067606
[モノマー(9)において、Y1、Y2、およびY3は、SO2ClまたはCOClを示す。Y1、Y2、およびY3は、Y1=Y2=Y3以外の組み合わせである。Z3は、水素原子またはフッ素原子を示す。]
モノマー(9)の式において、「Y1=Y2=Y3以外の組み合わせ」の例には、Y1=Y2≠Y3である場合、Y1≠Y2=Y3である場合、および、Y2≠Y3=Y1である場合が含まれる。
Figure 2014067606
[モノマー(10)において、Aは0〜20の整数を示す。P1、P2、P3、およびP4は、SO2ClまたはCOClを示す。P1、P2、P3、およびP4は、P1=P2=P3=P4以外の組み合わせである。]
[モノマー(11)および(12)において、Aは0〜20の整数を示し、Bは1〜20の自然数を示し、Cは1〜20の自然数を示す。P1、P2、およびP3は、SO2ClまたはCOClを示す。P1、P2、およびP3は、P1=P2=P3以外の組み合わせである。]
モノマー(10)の式において、「P1=P2=P3=P4以外の組み合わせ」の例には、P1=P2=P3≠P4である場合、P1=P2=P4≠P3である場合、P1=P3=P4≠P2である場合、P1≠P2=P3=P4である場合、P1=P2≠P3=P4である場合、P1=P3≠P2=P4である場合、P1=P4≠P2=P3である場合が含まれる。また、モノマー(11)および(12)の式において、「P1=P2=P3以外の組み合わせ」の例には、P1=P2≠P3である場合、P1≠P2=P3である場合、および、P2≠P3=P1である場合が含まれる。
工程(ii−b)では、官能基(A)と官能基(C)とが反応することによって、ネットワークポリマーが合成される。この反応では、官能基(A)と官能基(C)とが同じモル量となるように、架橋モノマー(M)とオリゴマー(O)とを反応させればよい。しかし、架橋反応によって生成するイミド基類(またはその前駆体)の量や、反応性を調整するために、官能基(C)が、オリゴマー(O)の官能基(A)の0.2〜3倍モル量の範囲(たとえば0.8〜1.2倍モル量の範囲)となるように、架橋モノマー(M)およびオリゴマー(O)の量を調整してもよい。
工程(ii−b)における反応は、架橋モノマー(M)およびオリゴマー(O)を、所定の溶媒中に溶解または分散させた状態で反応させることによって行うことができる。当該溶媒は、所定の条件下において原料モノマーを溶解または分散可能なものであればよい。すなわち、溶媒は、極性溶媒であってもよいし、無極性溶媒であってもよい。溶媒の例には、以下のものが含まれる。
(1)n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素などの無極性溶媒、
(2)アセトニトリル(MeCN)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジクロロメタン、HCFC−225などの非プロトン性極性溶媒。
これらの中でも、極性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましい。別の観点では、溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性の極性有機溶媒がより好ましい。溶媒中の架橋モノマー(M)およびオリゴマー(O)の濃度は特に限定されるものではなく、それらの種類に応じて適切な濃度を選択すればよい。
架橋モノマー(M)とオリゴマー(O)とを反応させる際には、官能基(A)と官能基(C)との反応速度を大きくする物質(すなわち、触媒作用を有する物質)を溶媒に加えることが好ましい。そのような物質(試薬)の例には塩基性化合物が含まれ、具体的には、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリメチルアミン(TMA)、トリプロピルアミン(TPA)、トリブチルアミン(TBA)、ジアザバイシクロウンデセン(DBU)、カリウムt−ブトキシド、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)等の塩基性化合物が含まれる。別の観点では、触媒作用を有する物質として、ルイス塩基を用いることができる。触媒作用を有する物質の量は、反応条件等に応じて適切な量を選択すればよい。適切な量を選択することによって、原料モノマーを含む反応液の粘度を調節できる。
官能基(C)として−SO2Clおよび/または−COClを用いる場合、架橋モノマー(M)の溶解性が低いために、工程(ii−B)および工程(ii−b)の反応液における架橋モノマー(M)の濃度を好ましい濃度とすることができない場合がある。そのような場合には、上述した塩基性化合物(官能基(A)と官能基(C)との反応を促進させる塩基性化合物)を溶媒に加えることによって、架橋モノマー(M)の溶解性を高めることが好ましい。
工程(ii−b)における反応温度は、使用する溶媒や試薬の沸点未満であって、架橋モノマー(M)の官能基(C)とオリゴマー(O)の官能基(A)とを効率よく反応させることができる温度であればよい。反応温度は、具体的には、25〜100℃の範囲にあることが好ましく、50〜90℃の範囲にあることがより好ましい。反応時間は、反応温度に応じて適切な時間を選択すればよい。工程(ii−b)における反応は比較的速く進行するため、反応時間は、通常、20時間以下(たとえば10時間以下や5時間以下や1時間以下)である。一例の反応時間は、1秒〜20時間の範囲にあるが、1秒未満であってもよい。
一方、工程(ii−B)において、第1のモノマー、第2のモノマー、および第3のモノマーの反応の反応温度および反応時間は、高分子電解質を合成可能な条件であればよく、特に限定されない。反応温度は、具体的には25〜120℃の範囲にあることが好ましく、40〜100℃の範囲にあることがより好ましい。反応時間は、反応温度に応じて適切な時間を選べばよく、通常1〜240時間の範囲にある。また、溶媒には、工程(ii−b)で用いることができる溶媒を用いてもよい。工程(ii−B)の反応は、工程(ii−b)の反応と同様の条件で行ってもよい。
(膜−電極接合体および燃料電池)
本発明の膜−電極接合体は、燃料電池に用いられる膜−電極接合体であって、本発明の高分子電解質膜を含む。高分子電解質膜以外の部分に特に限定はなく、たとえば公知の構成を適用できる。また、本発明の燃料電池は、膜−電極接合体を含む燃料電池であって、その膜−電極接合体が本発明の高分子電解質膜を含む。高分子電解質膜以外の部分に特に限定はなく、たとえば、公知の固体高分子形燃料電池の構成を適用できる。
以下では実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、以下の実施例および比較例における膜の評価は、下記の方法で行った。
(A)引っ張り試験
まず、延伸膜から、1cm(長手方向)×5cm(幅方向)のサンプルを切り出した。そして、このサンプルについて、島津製作所製の試験機(オートグラフ)を用いて、引っ張り試験を行った。引っ張り試験は、初期のチャック間距離を2cmとし、引っ張り速度を20cm/分として、25℃で行った。そして、サンプルが破断したときのチャック間距離から、以下の式で伸び率(%)を算出した。
伸び率(%)=100×(破断時のチャック間距離−初期のチャック間距離)/(初期のチャック間距離)
(B)示差走査熱量測定(DSC測定)
まず、膜を直径2mmの円形に打ち抜いた。そして、その円形の膜を、測定用のアルミセルに約10mgになるように詰めた後、NETZSCH製の測定器(DSC200F3)を用いてDSC測定を行った。測定において、室温から200℃までは昇温速度を20℃/分とし、200℃に達してから5分間200℃を保持し、その後は昇温速度を10℃/分とした。結晶融解熱量は、295℃〜345℃の区間にある吸熱ピークの面積を積分することによって求めた。
(C)気孔率
まず、面積が25cm2となるように膜を打ち抜いて測定用のサンプルを作製した。そして、そのサンプルの厚さ(cm)および重量(g)を測定した。サンプルの厚さは、尾崎製作所製ダイヤルシックネスゲージG−6C(1/1000mm、測定子直径:5mm)を用いて、室温で65±20%RH(RH:相対湿度)の環境で測定した(以下の膜厚の測定においても同様である)。そして、測定された厚さおよび重量と、膜の比重とを用いて、以下の式によって気孔率(%)を算出した。なお、膜の比重には、焼成されたPTFEの比重(2.18)を用いた。
気孔率(%)=(1−重量/(厚さ×25×2.18))×100
(D)イオン交換容量(IEC)
実施例および比較例で作製された高分子電解質膜を、面積が約12cm2となるように切り出して測定用のサンプルを作製した。このサンプルを濃度が3モル/Lの塩化ナトリウム水溶液に浸漬し、浸漬したままの状態で乾燥機中において60℃で72時間以上反応させた。その後、この反応によって置換されたプロトン(H+)の量を電位差自動滴定装置(AT−510:京都電子工業株式会社製)を使用して、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定することによって測定した。そして、置換されたプロトンの量を酸基の量とした。
(E)プロトン伝導度(σ)
電解質膜のプロトン伝導度(電気伝導度)は、通常の膜抵抗測定セルとLCRメーター(HIOKI製、Chemical Impedance meter 3532-80)とを使用して、交流法(新実験化学講座19、高分子化学<II>、p992、丸善)によって測定した。具体的には、まず、幅1cmで長さ2cmに電解質膜を裁断し、それを3時間以上水中に浸漬した。その電解質膜(サンプル)を、膜の両面のそれぞれに1つずつ白金電極が接触するように、且つ、たわみがないようにプロトン伝導度の測定用の治具にセットした。2つの白金電極間の距離は5mmとした。この白金電極に、LCRメーターの測定端子を取り付けた。次に、電解質膜をセットした治具を、予め60℃に設定した恒温水槽で加熱しておいた超純水の入ったビーカーに入れて、LCRメーターによって抵抗を測定した。そして、測定値をプロットし、極小値の実数部分の値を膜抵抗R(Ω)とした。膨潤させたときの膜の厚さをt(cm)、サンプルの幅をh(cm)、電極間距離をL(cm)として、膜厚換算したイオン伝導率σ(S・cm-1)を以下の式から求めた。
σ=L/(R×t×h) [S・cm-1
(F)寸法変化率
電解質膜を30mm(縦方向)×20mm(横方向)のサイズに切り出して測定用のサンプルを作製した。このサンプルを、23℃で55%RHの環境下に1時間以上放置して乾燥状態とした後、縦方向の2辺の長さ(LDRY1およびLDRY2)および横方向の2辺の長さ(WDRY1およびWDRY2)を測定した。その後、このサンプルを23℃の水中に寸法が変化しなくなるまで(1時間以上)浸漬することによって、膨潤状態とした。浸漬後のサンプルについて、縦方向の2辺の長さ(LWET1およびLWET2)および横方向の2辺の長さ(WWET1およびWWET2)を測定した。そして、膨潤による、縦方向および横方向の寸法変化率、ならびに、それらの平均の寸法変化率を以下の式から求めた。
縦方向の寸法変化率(%)={(LWET1+LWET2)/(LDRY1+LDRY2)−1}×100
横方向の寸法変化率(%)={(WWET1+WWET2)/(WDRY1+WDRY2)−1}×100
平均寸法変化率(%)={(縦方向の寸法変化率)+(横方向の寸法変化率)}/2
(G)突き刺し強度
測定する膜について、カトーテック(株)製の圧縮試験機「KES−G5」を使用して針突刺し試験を行った。そして、測定によって得られた荷重変位曲線から最大荷重を読み取り、その値を突刺し強度の値とした。測定には、直径1.0mm、先端曲率半径0.5mmの針を用い、突刺し速度は2mm/sとした。
(PTFE多孔膜)
PTFE粉末(ダイキン工業株式会社製のF104)に、イソパラフィン系溶剤(エクソンモービル社製のアイソパーM)を20wt%となるように配合して、50℃の温度で、絞り比率を1/50にして平板状のシート(厚さ1mm×幅10cm)を押出した。これを、幅を変えずにロール2本でギャップを調整して厚さが0.2mmになるまで圧延した後、150℃で乾燥して延伸前のシートを作製した。次に、このシートを、長手方向に300℃で10倍延伸し、次いで、幅方向に300℃で10倍延伸した。さらに、シートの四隅を固定した状態で、380℃で60秒間シートを放置した。このようにして、PTFE多孔膜を作製した。
得られたPTFE多孔膜の長手方向(縦方向)の伸び率は18(%)であり、幅方向の伸び率は100(%)であった。得られたPTFE多孔膜の伸び率が最小となる方向は、長手方向であった。得られたPTFE多孔膜についてDSC測定を行ったところ、結晶融解温度は328℃であり、結晶融解熱量は19J/gであった。
実施例および比較例で用いた、1,3,5−ベンゼントリスルホンアミド(BTSA)、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(PPDSA)、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(PPDSF)は、以下の方法で作製した。
(1)1,3,5−ベンゼントリスルホンアミド(BTSA)の合成
まず、1,3,5−ベンゼントリスルホニルクロライド(BTSC)を、以下の方法によって合成した。最初に、フラスコに濃硫酸(650g)を入れて撹拌し、ベンゼンスルホン酸ナトリウム一水和物(500g)、硫酸ナトリウム(371g)を加え、得られた混合液を340℃まで加熱した。この混合液を3バッチ分調製し、それらを1つに混合した。得られた混合液を、水で洗浄し、攪拌しながら水酸化ナトリウムを加え、pHを12以上とした後、過剰の水酸化ナトリウムおよび塩をろ過で除去した。次に、ろ過後の液体を撹拌後、濃硫酸を加えてpHを6〜7とした後、活性炭を加え、70℃に加熱した。加熱した液体をろ過した後、ろ液中の反応生成物を再結晶させた。そして、ろ液を濃縮して再結晶を繰り返した。再結晶で得られた結晶を乾燥して、1,3,5−ベンゼントリスルホン酸ナトリウムの白色結晶(1.12kg)を得た。
アルゴンガス雰囲気下で、上記1,3,5−ベンゼントリスルホン酸ナトリウム(1100g)をフラスコに入れ、これに塩化チオニル(5L)およびジメチルホルムアミド(660mL)を滴下して加えた。そして、反応液を70℃で18時間加熱還流した。その後、反応液を氷水に注いで反応を停止させ、しばらく撹拌した。析出した結晶を濾別し、減圧乾燥した。得られた結晶に酢酸エチルを加えて加熱した後、ろ過を行った。得られたろ液中の反応生成物の再結晶を繰り返し、BTSCの白色結晶(620g)を得た。
得られたBTSCを用いて、1,3,5−ベンゼントリスルホン酸トリアミド(BTSA)を、以下の方法によって合成した。まず、アルゴン気流下で、液体アンモニア150mlと、BTSC7.48g(20mmol)のテトラヒドロフラン溶液(80mL)とを反応させた後、揮発分を除去し、1N塩酸を加えた。得られた液体から固体を濾別することによって、5.2gのBTSA(白色粉末)を得た。
(2)1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(PPDSF)
パーフルオロ脂肪族ジスルホニルフロライド(FSO2−Rf−SO2F)は、米国特許第2,732,398号明細書に記載されているように、対応する脂肪族ジスルホニルフロライドの電解フッ素化によって得ることができる。例えば、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(PPDSF)は、プロパン−1,3−ジスルホニルフロライドの電解フッ素化によって得ることができる。
(3)1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(PPDSA)の合成
パーフルオロ脂肪族ジスルホンアミド(H2NO2S−Rf−SO2NH2)は、相当するパーフルオロ脂肪族ジスルホニルフロライド(FSO2−Rf−SO2F)を液体アンモニアと反応させることによって得ることができる。例えば、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(PPDSA)は、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(PPDSF)を液体アンモニアと反応させることによって得ることができる。
具体的には、以下の方法でC3Aを得た。まず、アルゴン置換して冷却した9.6Lの液体アンモニア中に、1200gのPPDSFを1時間かけて滴下した。この液体を一晩かけて昇温した後、アルゴンガスでバブリングすることによってアンモニアを除去した。その後、反応生成物の抽出、脱水、および精製を行い、PPDSAである白色結晶(530g)を得た。
(比較例1)
アルゴン雰囲気下において、1,3,5−ベンゼントリスルホンアミド(BTSA)2.838gと1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(PPDSA)8.375gとの2種類のモノマー混合物に、アセトニトリル(MeCN)21.76gを加えて撹拌した。得られた混合溶液をさらに撹拌しながら、トリエチルアミン(TEA)16.39gを加えて、2種類のモノマーを含むモノマー溶液を得た。
一方、上述したPTFE多孔膜(支持体)を容器内に配置し、容器内をアルゴン置換した。この容器に上記のモノマー溶液を入れてPTFE多孔膜をモノマー溶液に浸漬させ、超音波を1分間照射しながら減圧した。そして、さらに減圧を行ってPTFE多孔膜内の気泡を除去した。次に、PTFE多孔膜が浸漬されているモノマー溶液に、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(PPDSF)12.804gを加えた。モル比は、BTSA:PPDSA:PPDSF=1:3:4.5とした。次に、超音波を3分間照射して、100rpmで30分間振とうを行った後、240時間50℃に保持することによって反応を進行させ、さらに90℃で72時間加熱した。このようにして、PTFE多孔膜と、それに充填された高分子とからなる複合膜を得た。
次に、得られた複合膜を容器から取り出し、硫酸とエタノールとの混合溶液中(混合比は硫酸:エタノール=10vol%:90vol%)に複合膜を浸漬して室温で12時間撹拌し、さらに室温で12時間浸漬を続けた。次に、硫酸とエタノールと超純水との混合液中(混合比は、硫酸:エタノール:超純水=10vol%:45vol%:45vol%)に複合膜を浸漬して室温で12時間撹拌し、さらに室温で12時間浸漬を続けた。次に、NaOHと超純水との混合液中(混合比は、NaOH:超純水=:10wt%:90wt%)に複合膜を浸漬して室温で12時間撹拌し、さらに12時間浸漬を続けた。次に、硫酸と超純水との混合液中(混合比は、硫酸:超純水=10vol%:90vol%)に複合膜を浸漬して室温で12時間撹拌し、さらに室温で12時間浸漬を続けた。次に、複合膜を、室温において超純水中に浸漬して12時間撹拌することによって水洗し、さらに乾燥した。このようにして、PTFE多孔膜とそれに充填された高分子電解質とを含む高分子電解質膜(複合膜)を得た。得られた高分子電解質膜について、上述した方法で評価を行った。
(比較例2)
上記のPTFE多孔膜を2枚準備し、それらを接着層を用いることなく直接積層して接着し、積層膜を作製した。このとき、2枚のPTFE多孔膜は、一方の膜の伸び率が最小となる方向と他方の膜の伸び率が最小となる方向とがなす角度が90°となるように積層した。接着は、340℃の温度、0.27MPaの圧力で30秒間加熱・加圧することによって行った。得られた積層膜を支持体とすることを除いて、比較例1と同様の方法で支持体(積層膜)に電解質を充填して高分子電解質膜を作製した。得られた高分子電解質膜について、上述した方法で評価を行った。
(実施例1)
上述したPTFE多孔膜を2枚準備し、それらを接着層で接着して積層膜を作製した。このとき、2枚のPTFE多孔膜は、一方の膜の伸び率が最小となる方向と他方の膜の伸び率が最小となる方向とがなす角度が90°となるように積層した。また、接着層には、芯部分がポリエチレンテレフタレートで鞘部分がポリエチレンである芯/鞘構造を有する繊維からなる不織布(商品名「エルベス」、ユニチカ株式会社、目付量15g/m2)を用いた。接着は、140℃の温度、0.27MPaの圧力で30秒間加熱・加圧することによって行った。
得られた積層膜を支持体とすることを除いて、比較例1と同様の方法で支持体(積層膜)に電解質を充填して高分子電解質膜を作製した。得られた高分子電解質膜について、上述した方法で評価を行った。
(実施例2)
2枚のPTFE多孔膜がなす角度を変えたことを除いて、実施例1と同様の方法で電解質膜を作製した。実施例2では、2枚のPTFE多孔膜を、一方の膜の伸び率が最小となる方向と他方の膜の伸び率が最小となる方向とがなす角度が45°となるように積層した。得られた高分子電解質膜について、上述した方法で評価を行った。
(実施例3)
接着層が異なることを除いて、実施例1と同様の方法で積層膜を作製した。具体的には、上述したPTFE多孔膜を2枚準備し、それらを接着層で接着して積層膜を作製した。このとき、2枚のPTFE多孔膜は、一方の膜の伸び率が最小となる方向と他方の膜の伸び率が最小となる方向とがなす角度が90°となるように積層した。実施例2では、接着層として、ポリエチレン製のネット(Delstar Technologies社製の「デルネット(DELNET:登録商標)」、目付量9.1〜13.6g/m2)を用いた。接着は、実施例1と同じ条件で行った。
得られた積層膜を支持体とすることを除いて、比較例1と同様の方法で支持体(積層膜)に電解質を充填して高分子電解質膜を作製した。得られた高分子電解質膜について、上述した方法で評価を行った。
(実施例4)
2枚のPTFE多孔膜がなす角度を変えたことを除いて、実施例3と同様の方法で電解質膜を作製した。実施例4では、2枚のPTFE多孔膜を、一方の膜の伸び率が最小となる方向と他方の膜の伸び率が最小となる方向とがなす角度が45°となるように積層した。得られた高分子電解質膜について、上述した方法で評価を行った。
測定結果を表1に示す。
Figure 2014067606
なお、表1中の「支持体」とは、実施例1〜4および比較例2では積層膜を意味し、比較例1では1枚のPTFE多孔膜を意味する。また、表1中の「端部の剥離」とは、寸法変化率の測定を行ったときの、積層膜の端部の剥離の有無を意味する。
比較例1の電解質膜に比べて、実施例1〜4の高分子電解質膜(複合膜)は、寸法変化率を大幅に低減でき、平均寸法変化率が5%以下であった。また、多孔接着層を用いていない比較例2の電解質膜に比べて、実施例1〜4の電解質膜は、寸法変化率を大きく低減できた。特に、実施例1〜4の電解質膜は寸法変化率の異方性が小さかった。また、2つの膜の伸び率が最小となる方向がなす角度が90°に近いほど、寸法変化率の異方性は小さかった。
以上のように、本発明の高分子電解質膜は、強度が高く優れた寸法安定性を有する。そのため、本発明の高分子電解質膜は、燃料電池の作動時において電極との接合性に優れる。
本発明は、高分子電解質膜、ならびに、それを用いた膜−電極接合体および燃料電池に利用できる。
10、10a 電解質膜
11 第1の膜
12 第2の膜
13 接着層
20、20a 積層膜

Claims (9)

  1. 燃料電池に用いられる高分子電解質膜であって、
    多孔性の積層膜と、前記積層膜に充填された高分子電解質とを含み、
    前記高分子電解質は、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および、−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸性基を含み、
    前記積層膜は、多孔性の第1の膜、多孔性の第2の膜、および、前記第1の膜と前記第2の膜との間に配置された多孔性の接着層を含み、
    前記第1および第2の膜はそれぞれ、方向によって伸び率が異なる膜であり、
    前記第1の膜の伸び率が最小となる方向と前記第2の膜の伸び率が最小となる方向とがなす角度が45°〜90°の範囲にあるように前記第1の膜と前記第2の膜とが積層されている、高分子電解質膜。
  2. 前記接着層は、融点が140℃以下の熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の高分子電解質膜。
  3. 前記第1および第2の膜はそれぞれ、多孔性のポリテトラフルオロエチレン膜である、請求項1または2に記載の高分子電解質膜。
  4. 前記第1および第2の膜はそれぞれ、伸び率が最小となる方向における伸び率Tmin(%)と、伸び率が最大となる方向における伸び率Tmax(%)とが、0.05≦Tmin/Tmax≦0.7を満たす、請求項3に記載の高分子電解質膜。
  5. 前記ポリテトラフルオロエチレン膜は、示差走査熱量測定において吸熱のピークが322〜332℃の範囲にあり且つ結晶融解熱量が40J/g以下であるポリテトラフルオロエチレンからなる、請求項3または4に記載の高分子電解質膜。
  6. 前記接着層は、前記熱可塑性樹脂からなる鞘部分と、前記熱可塑性樹脂よりも融点が高い樹脂からなる芯部分とを含む繊維によって構成されている、請求項2に記載の高分子電解質膜。
  7. 前記積層膜は、気孔率が50%〜95%の範囲にあり、且つ、厚さが5μm以上である、請求項1〜6に記載の高分子電解質膜。
  8. 乾燥状態から膨潤状態に変化させたときの縦方向における寸法変化率L(%)および横方向における寸法変化率T(%)の平均が5%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
  9. 膜−電極接合体を含む燃料電池であって、
    前記膜−電極接合体が請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子電解質膜を含む、燃料電池。
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