JP2014067609A - プロトン伝導性の電解質膜およびその製造方法、ならびにそれを用いた膜・電極接合体および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】特性が高い新規な高分子電解質およびそれを含む電解質膜を提供する。
【解決手段】開示される電解質膜の製造方法は、3つ以上の官能基(C)を有する化合物、官能基(A)を両端に有するオリゴマー(O)、および溶媒を含む溶液(S)を多孔質膜10内に浸透させる工程(i)と、官能基(A)と官能基(C)との反応を促進する反応促進剤を多孔質膜内の溶液(S)に添加し、官能基(A)と官能基(C)との反応を多孔質膜内で生じさせる工程(ii)とを含む。工程(ii)において、多孔質膜に対して外側に向かって張力11aを加えた状態で上記反応を生じさせる。官能基(C)は、官能基(A)と反応することによって、所定の酸性基またはその前駆体を生成する官能基である。
【選択図】図1
【解決手段】開示される電解質膜の製造方法は、3つ以上の官能基(C)を有する化合物、官能基(A)を両端に有するオリゴマー(O)、および溶媒を含む溶液(S)を多孔質膜10内に浸透させる工程(i)と、官能基(A)と官能基(C)との反応を促進する反応促進剤を多孔質膜内の溶液(S)に添加し、官能基(A)と官能基(C)との反応を多孔質膜内で生じさせる工程(ii)とを含む。工程(ii)において、多孔質膜に対して外側に向かって張力11aを加えた状態で上記反応を生じさせる。官能基(C)は、官能基(A)と反応することによって、所定の酸性基またはその前駆体を生成する官能基である。
【選択図】図1
Description
本発明は、プロトン伝導性の高分子電解質膜およびその製造方法、ならびにそれを用いた膜・電極接合体および燃料電池に関する。
近年、次世代のエネルギー源として燃料電池が脚光を浴びている。中でも、電解質膜にプロトン伝導性膜を用いる固体高分子形燃料電池は、エネルギー密度が高いことから、家庭用コージェネ電源、携帯機器用電源、電気自動車の電源、および簡易補助電源等の広い分野での使用が期待されている。固体高分子形燃料電池において、電解質膜は、プロトンを伝導するための電解質として機能するとともに、燃料である水素などを直接混合させない隔膜としても機能する。この様な電解質膜には、高いイオン交換容量、電気的化学的に高い安定性、低い電気抵抗、高い力学的強度、燃料ガス(水素ガスや酸素ガスなど)に対するバリア性が要求される。
燃料電池用の電解質膜として、酸性基(特にスルホン酸基)を有し、高いプロトン伝導性を持つ高分子膜が注目されている。その中でも、デュポン社によって開発されたパーフルオロスルホン酸膜(ナフィオン(登録商標))等が一般に用いられている。しかしながら、「ナフィオン」を始めとする従来のフッ素系高分子イオン交換膜は、化学的な安定性には優れるものの酸性基の量を表すイオン交換容量が低く、また保水性が不充分であった。
これら従来の電解質膜を固体高分子形燃料電池に用いた場合、始動前の電解質膜は、乾燥した状態にある。一方、燃料電池が作動すると、反応ガスに含まれる加湿水や、電池反応によって生成する水によって膜が膨潤する。従って、固体高分子形燃料電池の始動と停止とを繰り返すと、電解質膜が膨潤と収縮とを繰り返す。その結果、電解質膜が裂けたり、あるいは、電解質膜から電極が剥離したりして、性能の低下をもたらす場合がある。この問題の対策として高分子中に酸性基を多く導入すると、保水によって膜の強度が極端に低下し、膜が容易に破損したり、膜が水に溶解しやすくなる傾向がある。
このような問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1(特開2003−272664号公報)には、以下の工程を有する架橋含浸フィルムの製造方法が開示されている(請求項3および4)。
(1)−SO2F基およびSO2NHR基(Rは、H、非置換炭化水素基または置換炭化水素基)を有するパーフルオロ共重合体と、液状のフルオロオリゴエーテルとを所定の比率で含む混合物を、ポリテトラフルオロエチレン多孔質フィルムに塗布し、
(2)多孔質フィルムを、加圧下、160〜340℃に加熱することにより、含浸フィルムとし、
(3)含浸フィルムをルイス塩基で処理した後に、加水分解および酸処理する。
(1)−SO2F基およびSO2NHR基(Rは、H、非置換炭化水素基または置換炭化水素基)を有するパーフルオロ共重合体と、液状のフルオロオリゴエーテルとを所定の比率で含む混合物を、ポリテトラフルオロエチレン多孔質フィルムに塗布し、
(2)多孔質フィルムを、加圧下、160〜340℃に加熱することにより、含浸フィルムとし、
(3)含浸フィルムをルイス塩基で処理した後に、加水分解および酸処理する。
また、特許文献1には、以下の事項が記載されている。
(a)原料混合物は、フルオロオリゴエーテルの可塑化効果によって、優れた溶融成形加工性を示す点(段落[0059])、
(b)加圧下で加熱することによって、多孔質フィルムの空隙にパーフルオロ共重合体を含む組成物が充填されると同時に、分離したフルオロオリゴエーテルが多孔質フィルムの外側に排出される点(段落[0062])、および、
(c)ルイス塩基で処理することによって、スルホンアミド基の一部がスルホンイミド架橋構造になる点(段落[0063])。
(a)原料混合物は、フルオロオリゴエーテルの可塑化効果によって、優れた溶融成形加工性を示す点(段落[0059])、
(b)加圧下で加熱することによって、多孔質フィルムの空隙にパーフルオロ共重合体を含む組成物が充填されると同時に、分離したフルオロオリゴエーテルが多孔質フィルムの外側に排出される点(段落[0062])、および、
(c)ルイス塩基で処理することによって、スルホンアミド基の一部がスルホンイミド架橋構造になる点(段落[0063])。
特許文献1に開示されているように、多孔質膜にパーフルオロ共重合体を充填して架橋させることによって得られる複合電解質膜は、電解質のみからなる膜に比べて、機械的強度が高い。しかしながら、この方法では、当量重量(EW)を600g/eq程度までしか下げられず、高い電気伝導度は得られない。
また、特許文献2(特開2005−174800号公報)および特許文献3(国際公開WO2007/114406(A1)パンフレット)には、所定の強酸基(ビススルホンイミド基(−SO2NHSO2−)、スルホンカルボンイミド基(−SO2NHCO−)、またはビスカルボンイミド基(−CONHCO−))を含む固体高分子電解質が開示されている。この電解質は、2つ以上の反応性官能基Aおよび/またはBを備える第1のモノマーと、3つ以上の反応性官能基Aおよび/またはBを備える第2のモノマーとを反応させることによって形成される。反応性官能基Aと反応性官能基Bとは、それらが互いに反応することによって上記強酸基を生成可能な官能基である。このような方法によって、高い電気伝導度を有する高分子電解質が得られることが、特許文献2および3に記載されている。
また、特許文献2は、上記第1のモノマーおよび第2のモノマーを含む溶液を多孔質膜に含浸させた後に、それらを反応させることによって得られる電解質を開示している(請求項5)。同様に、特許文献3は、多孔質膜の細孔内に電解質が充填された複合電解質膜の製造方法を開示している(請求項14)。多孔質膜の細孔内に充填された電解質は、多孔質膜中に充填した上記第1のモノマーと第2のモノマーとを反応させてイミドネットワークポリマを形成した後、そのイミドネットワークポリマをプロトン化することによって形成されている。
特許文献2および3に開示されている方法によれば、多量の強酸基を分子鎖中に備え、かつ、強酸基を介して分子鎖が架橋された高分子電解質が得られる。この高分子電解質は、従来の電解質に比べて格段に高い伝導度を持つ。また、この高分子電解質は、化学架橋と、分子鎖が物理的に絡み合うことによって形成される物理架橋とを併せ持つ構造を有する。
しかしながら、特許文献2および3に記載の製造方法では、架橋反応に長時間を要する場合があった。また、架橋反応が不均一に生じて、高分子電解質の充填率が不充分となる場合があった。
このような状況において、本発明の目的の1つは、特性が高い新規な高分子電解質膜を提供すること、およびそれを効率よく製造する方法を提供することである。
上記目的を達成するために、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜の製造するための本発明の方法は、(i)3つ以上の官能基(C)を有する少なくとも1種の化合物、官能基(A)を両端に備えるオリゴマー、および溶媒を含む溶液(S)を多孔質膜内に浸透させる工程と、(ii)前記オリゴマーの前記官能基(A)と前記少なくとも1種の化合物の前記官能基(C)との反応を促進する反応促進剤を、前記多孔質膜内の前記溶液(S)に添加し、前記オリゴマーの前記官能基(A)と前記化合物(Y)の前記官能基(C)との反応を前記多孔質膜内で生じさせる工程と、を含む。前記(ii)の工程において、前記多孔質膜に対して外側に向かって張力を加えた状態で前記反応を生じさせる。前記官能基(C)は、前記官能基(A)と反応することによって、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基またはその前駆体を生成する官能基である。
本発明によれば、特性が高い新規な高分子電解質膜を効率よく製造できる。
本発明の実施形態について、以下に説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。また、以下で説明する化合物は、特に記載がない限り、単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
(高分子電解質膜の製造方法)
プロトン伝導性を有する高分子電解質膜を製造するための本発明の方法は、以下の工程(i)および(ii)を含む。本発明の方法は、工程(i)の前に、工程(x)を含んでもよい。それらの工程について、以下に説明する。
プロトン伝導性を有する高分子電解質膜を製造するための本発明の方法は、以下の工程(i)および(ii)を含む。本発明の方法は、工程(i)の前に、工程(x)を含んでもよい。それらの工程について、以下に説明する。
(工程(x))
工程(x)では、第1の鎖状部分と第1の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの官能基(A)とを有する少なくとも1種の第1のモノマーと、第2の鎖状部分と第2の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの官能基(B)とを有する少なくとも1種の第2のモノマーとを反応させることによって、官能基(A)を両端に備えるオリゴマーを合成する。より具体的には、工程(x)において、第1のモノマーの官能基(A)と第2のモノマーの官能基(B)とを反応させることによって、官能基(A)を両端に備えるオリゴマーを合成する。
工程(x)では、第1の鎖状部分と第1の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの官能基(A)とを有する少なくとも1種の第1のモノマーと、第2の鎖状部分と第2の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの官能基(B)とを有する少なくとも1種の第2のモノマーとを反応させることによって、官能基(A)を両端に備えるオリゴマーを合成する。より具体的には、工程(x)において、第1のモノマーの官能基(A)と第2のモノマーの官能基(B)とを反応させることによって、官能基(A)を両端に備えるオリゴマーを合成する。
工程(x)では、官能基(A)と官能基(B)とが反応することによって、両端が官能基(A)であるオリゴマー、両端が官能基(B)であるオリゴマー、および一端が官能基(A)で他端が官能基(B)であるオリゴマーが生成する可能性があるが、両端が官能基(A)であるオリゴマーが少なくとも合成される。以下では、両端が官能基(A)であるオリゴマーを、「オリゴマー(O)」という場合がある。
官能基(B)は、官能基(A)と反応することによって、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基またはその前駆体を生成する官能基である。以下では、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−を、総称して、「イミド基類(G)」という場合がある。換言すれば、官能基(A)および官能基(B)は、それらが反応することによってイミド基類(G)またはその前駆体を生成する官能基である。
典型的には、第1のモノマーに含まれる官能基(A)は2つのみであり、第2のモノマーに含まれる官能基(B)は2つのみである。なお、官能基(A)は、工程(x)の反応条件において、官能基(A)同士で反応しないか、または、官能基(A)同士で実質的に反応しないことが好ましい。同様に、官能基(B)は、工程(x)の反応条件において、官能基(B)同士で反応しないか、または、官能基(B)同士で実質的に反応しないことが好ましい。また、通常、第1のモノマーは、工程(x)の反応条件において官能基(B)と反応する官能基を官能基(A)以外に含まず、工程(x)の反応条件において官能基(A)と反応する官能基を含まず、官能基(A)を2つだけ含む。また、通常、第2のモノマーは、工程(x)の反応条件において官能基(A)と反応する官能基を官能基(B)以外に含まず、工程(x)の反応条件において官能基(B)と反応する官能基を含まず、官能基(B)を2つだけ含む。
典型的には、第1のモノマーは、第1の鎖状部分と2つの官能基(A)のみによって構成され、第2のモノマーは、第2の鎖状部分と2つの官能基(B)のみによって構成される。しかし、第1のモノマーの第1の鎖状部分、および、第2のモノマーの第2の鎖状部分は、官能基(A)および(B)と反応しない側鎖(たとえば官能基)をペンダント状に有していてもよい。そのようなモノマーを用いる場合には、オリゴマー(O)の鎖中に、官能基(A)および(B)と反応しない側鎖(たとえば官能基)がペンダント状に配置される。一方、第1および第2の鎖状部分が直鎖状である第1および第2のモノマーを用いることによって、直鎖状のオリゴマー(O)が得られる。
第1および第2のモノマーは、分子内にC−H結合とC−F結合のいずれか一方を備えているものでもよく、あるいは、双方を備えているものでもよい。分子内にC−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まないモノマーを用いることによって、高分子鎖がパーフルオロ骨格からなり、耐熱性および耐酸化性に優れたプレポリマおよび固体高分子電解質が得られる。そのため、そのようなモノマーは、オリゴマー(O)の原料として特に好適である。
官能基(A)および官能基(B)は、これらを直接反応させることによってイミド基類(G)を形成するものであってもよいし、これらの反応によってイミド基類(G)の前駆体を形成するものであってもよい。イミド基類(G)の前駆体は、イミド基類(G)中のNHの水素原子が他の原子または原子団になっているものである。この前駆体は、公知の適当な処理によってイミド基類(G)に変換することが可能である。たとえば、イミド基類(G)中のNHの水素原子がtert−ブトキシカルボニル基である場合には、トリフルオロ酢酸や、4mol/Lの塩酸−酢酸エチル溶液などの強酸で処理することによって、NHに変換することが可能である。
官能基(A)と官能基(B)との組み合わせには、種々の組み合わせがある。好ましい組み合わせの一例では、官能基(A)が、以下の式(F1)で表される少なくとも1種の官能基、または、以下の式(F2)で表される少なくとも1種の官能基であり、官能基(B)が、以下の式(F3)で表される少なくとも1種の官能基、または、以下の式(F4)で表される少なくとも1種の官能基である。
(F1)−SO2NZ1Z2
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。]
(F2)−CONZ1Z2
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。]
(F3)−SO2X
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。]
(F4)−COX
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。]
(F1)−SO2NZ1Z2
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。]
(F2)−CONZ1Z2
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。]
(F3)−SO2X
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。]
(F4)−COX
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。]
上記(F1)および(F2)で表される官能基において、Z1およびZ2に用いることができる金属原子の例には、KやNaなどのアルカリ金属原子や、Cuなどの遷移金属原子が含まれる。
上記(F1)または(F2)で表される官能基と、上記(F3)または(F4)で表される官能基との組み合わせは、官能基変換を加えることなく直接反応させることが容易である場合が多いので、官能基(A)および官能基(B)の組み合わせとして特に好適である。また、これらの官能基は、未反応のまま残った場合であっても、適当な処理を施すことによって、スルホン酸基またはカルボン酸基に変換できるので、高い電気伝導度を有するプレポリマおよび固体高分子電解質が得られる。
上記(F1)または(F2)で表される官能基の中でも、(Z1、Z2)の組み合わせが、(H、H)、(H、M)、(Si(CH3)3、M)、または、(H、Si(CH3)3)であるものは、高い反応性を有しているため、官能基(A)として好適である。ここで、Mは金属原子を表す。また、上記(F3)または(F4)で表される官能基の中でも、XがF、Cl、BrまたはIからなるものは、高い反応性を有しているため、官能基(B)として好適である。
第1のモノマーは、1種類のモノマーのみで構成されてもよいし、複数種のモノマーで構成されてもよい。また、第2のモノマーは、1種類のモノマーのみで構成されてもよいし、複数種のモノマーで構成されてもよい。たとえば、第2のモノマーの官能基(B)は、−SO2Xのみであってもよいし、−SO2Xと−COXとの組み合わせであってもよい。
通常、第1のモノマーの第1の鎖状部分、および、第2のモノマーの第2の鎖状部分は、それぞれ、フッ素で置換されていてもよい炭化水素鎖で構成される。中でも、−(CF2)m−(ただし、mは自然数)で表される鎖状部分が好ましい。第1の鎖状部分および第2の鎖状部分のそれぞれを構成する炭素原子の数は、1〜20の範囲にあってもよく、たとえば3〜8の範囲にあってもよい。
第1および第2のモノマーとしては、種々のモノマーがある。中でも、次に示すモノマー(1)および(2)は第1のモノマーとして好適であり、モノマー(3)および(4)は第2のモノマーとして好適である。これらのモノマーを用いて形成される直鎖状オリゴマーは、分子鎖がパーフルオロ骨格であるため、耐熱性および耐酸化性に優れた固体高分子電解質が得られる。そのため、これらのモノマーは、原料モノマーとして好適である。
(1)Z1Z2NO2S−(CF2)m−SO2NZ1Z2
[式(1)において、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(2)Z1Z2NOC−(CF2)m−CONZ1Z2
[式(2)において、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(3)XO2S−(CF2)m−SO2X
[式(3)において、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(4)XOC−(CF2)m−COX
[式(4)において、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(1)Z1Z2NO2S−(CF2)m−SO2NZ1Z2
[式(1)において、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(2)Z1Z2NOC−(CF2)m−CONZ1Z2
[式(2)において、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(3)XO2S−(CF2)m−SO2X
[式(3)において、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。mは1〜20の自然数を示す。]
(4)XOC−(CF2)m−COX
[式(4)において、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。mは1〜20の自然数を示す。]
モノマー(1)〜(4)の式において、mは3〜8の範囲にあってもよい。なお、モノマー(1)〜(4)からなる群より選ばれるモノマーが2種類以上用いられる場合、その鎖長(式中のm)は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、式(1)〜(4)のモノマーの官能基の好ましい例には、式(F1)〜(F4)で述べた好ましい例が含まれる。
オリゴマー(O)の重合度に特に限定はない。高分子電解質に求められる条件に応じて、オリゴマー(O)の平均重合度が好ましい範囲となるように反応条件(たとえば、反応時間、反応温度、反応促進剤の量など)を選択できる。オリゴマー(O)は、たとえば、3量体〜15量体の範囲にあってもよい。オリゴマーの重合度によって、該オリゴマーを用いて得られる電解質の架橋密度を制御することができるため、電解質の強度、含水率、保水性等を制御することが可能である。オリゴマー(O)の鎖状部分は、第1のモノマーの第1の鎖状部分、第2のモノマーの第2の鎖状部分、およびイミド基類(G)で構成される。本発明の方法では、予め合成したオリゴマー(O)を架橋するため、オリゴマー(O)の鎖長の平均および分布、および、オリゴマー(O)に含まれるイミド基類(G)の数の平均および分布を制御しやすい。
工程(x)で合成されるオリゴマーの末端基(第1の鎖状部分と第2の鎖状部分とイミド基類(G)またはその前駆体とによって構成される鎖状部分の両端にある基)の60モル%以上が官能基(A)であることが好ましい。この割合が高いほど、官能基(A)を両端に備えるオリゴマー(O)の割合が多くなる。工程(x)で合成されるオリゴマーの末端基に占める官能基(A)の割合は、70モル%以上や、80モル%以上や、90モル%以上や、95モル%以上であってもよい。この割合を高めることによって、架橋密度が高くなり、充分なネットワーク構造を形成できる。
工程(x)で合成されるオリゴマーの末端基に占める官能基(A)の割合は、反応条件を変えることによって調整できる。たとえば、第1のモノマーと第2のモノマーとの合計に占める第1のモノマーのモル比を増やすことによって、オリゴマーの末端基に占める官能基(A)の割合を高めることができる。具体的には、第2のモノマーに対し、1.1〜2.5倍モル量の第1のモノマーを用いることが好ましく、1.25〜2倍モル量の第1のモノマーを用いることがより好ましい。
工程(x)における反応は、第1のモノマーおよび第2のモノマーを、所定の溶媒中に溶解または分散させた状態で反応させることによって行うことができる。当該溶媒は、所定の条件下において原料モノマーを溶解または分散可能であり、かつモノマー末端の変化・分解を起こさないものであればよい。すなわち、溶媒は、極性溶媒であってもよいし、無極性溶媒であってもよい。溶媒の例には、溶液(S)の調製に用いることができる溶媒の例として後述する溶媒が含まれる。
それらの溶媒の中でも、極性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましい。別の観点では、溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性の極性有機溶媒がより好ましい。溶媒中の原料モノマーの濃度は特に限定されるものではなく、原料モノマーの種類に応じて適切な濃度を選択すればよい。
原料モノマーを反応させる際には、官能基(A)と官能基(B)との反応速度を大きくする物質(すなわち、触媒作用を有する物質:反応促進剤)を溶媒に加えることが好ましい。そのような物質(試薬)の例には塩基性化合物が含まれ、具体的には、工程(ii)の反応を促進させる塩基性化合物の例として後述する塩基性化合物が含まれる。別の観点では、触媒作用を有する物質として、ルイス塩基を用いることができる。触媒作用を有する物質の量は、反応条件等に応じて適切な量を選択すればよい。
工程(x)における反応温度は、オリゴマー(O)を効率よく合成可能な温度であればよい。反応温度は、具体的には、25〜120℃の範囲にあることが好ましく、40〜100℃の範囲にあることがより好ましい。反応時間は、反応温度に応じて適切な時間を選択すればよい。通常、反応時間は、1分〜240時間の範囲にある。
工程(x)の反応は、原料モノマーの変質(加水分解等)を防ぐために、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい(以下の工程(ii)においても同様である)。また、反応温度、反応時間、および反応時の圧力は、特に限定されるものではなく、原料の種類、混合液の濃度、触媒作用を有する物質の種類および量等に応じて適切な値を選択すればよい。また、反応中に、反応液に対して、撹拌したり、せん断したり、振動を加えたりすることが好ましい。
(工程(i))
工程(i)では、3つ以上の官能基(C)を有する少なくとも1種の化合物、官能基(A)を両端に備えるオリゴマー、および溶媒を含む溶液を多孔質膜内に浸透させる。以下では、工程(i)で用いられる溶液を「溶液(S)」という場合がある。官能基(A)を両端に備えるオリゴマー(O)の例には、工程(x)で合成されるオリゴマー(O)が含まれるが、本発明はこれに限定されない。
工程(i)では、3つ以上の官能基(C)を有する少なくとも1種の化合物、官能基(A)を両端に備えるオリゴマー、および溶媒を含む溶液を多孔質膜内に浸透させる。以下では、工程(i)で用いられる溶液を「溶液(S)」という場合がある。官能基(A)を両端に備えるオリゴマー(O)の例には、工程(x)で合成されるオリゴマー(O)が含まれるが、本発明はこれに限定されない。
官能基(C)は、官能基(A)と反応することによって、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基またはその前駆体を生成する官能基である。換言すれば、官能基(A)および官能基(C)は、それらが反応することによってイミド基類(G)またはその前駆体を生成する官能基である。
以下では、3つ以上の官能基(C)を有する少なくとも1種の化合物を、「架橋モノマー(M)」という場合がある。また、この明細書では、架橋モノマー(M)のうち、複数の官能基(C)を結ぶ骨格を「架橋部分」と呼ぶ場合がある。
通常、官能基(C)は、工程(ii)の反応条件において、官能基(C)同士で反応しないか、または、官能基(C)同士で実質的に反応しない官能基である。また、通常、架橋モノマー(M)は、工程(ii)の反応条件において官能基(A)と反応する官能基を官能基(C)以外に含まず、また、工程(ii)の反応条件において官能基(C)と反応する官能基を含まない。
官能基(C)の例には、官能基(B)について例示した官能基が含まれる。官能基(B)と官能基(C)とは同一であってもよいし、異なってもよい。また、官能基(C)を結ぶ架橋部分に特に限定はないが、一例では、芳香族炭化水素(たとえばベンゼン)や、炭化水素鎖、およびそれらの水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されたもので構成される。
好ましい一例では、官能基(A)が、上記式(F1)で表される少なくとも1種の官能基、または、上記式(F2)で表される少なくとも1種の官能基であり、官能基(B)および前記官能基(C)が、それぞれ独立に、上記式(F3)で表される少なくとも1種の官能基、または、上記式(F4)で表される少なくとも1種の官能基である。
溶液(S)は、架橋モノマー(M)およびオリゴマー(O)を、所定の溶媒中に溶解させることによって調製できる。当該溶媒は、所定の条件下において原料モノマーを溶解可能なものであればよい。すなわち、溶媒は、極性溶媒であってもよいし、無極性溶媒であってもよい。溶媒の例には、以下のものが含まれる。
(1)n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素などの無極性溶媒、
(2)アセトニトリル(MeCN)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジクロロメタン、HCFC−225などの非プロトン性極性溶媒。
(1)n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素などの無極性溶媒、
(2)アセトニトリル(MeCN)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジクロロメタン、HCFC−225などの非プロトン性極性溶媒。
これらの中でも、極性溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましい。別の観点では、溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性の極性有機溶媒がより好ましい。なお、溶質の溶解性、生産性の観点から、溶質溶解性、揮発性および沸点の少なくとも1つが異なる複数種の溶媒を混合して用いてもよい。溶媒中の架橋モノマー(M)およびオリゴマー(O)の濃度は特に限定されるものではなく、それらの種類に応じて適切な濃度を選択すればよい。
架橋モノマー(M)の溶解性が低いために溶液(S)における架橋モノマー(M)の濃度を好ましい濃度とすることができない場合がある。特に、官能基(C)として−SO2Clおよび/または−COClを用いる場合には、そのような傾向が大きい。架橋モノマー(M)の溶解性が低い場合には、後述する反応促進剤(たとえば塩基性化合物)を溶液(S)に加えることによって、架橋モノマー(M)の溶解性を高めることが可能である。この場合に溶液(S)に添加する反応促進剤の好ましい量については、後述する。
なお、溶液(S)の調製において、多孔質膜に対する親和性が高い溶媒を用いることによって、多孔質膜への高分子電解質の充填率を高めることができる。たとえば、多孔質膜が炭化水素系材料(ポリエチレンなど)からなる場合には、溶媒として、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等を用いてもよい。また、多孔質膜がフッ素樹脂材料(ポリテトラフルオロエチレンなど)からなる場合には、溶媒として、アセトン、テトラヒドロフラン等を用いてもよい。
溶液(S)を多孔質膜中に浸透させる方法に特に限定はなく、公知の方法を用いてもよい。たとえば、加圧または減圧した後に常圧に戻すなどの圧力変化によって、溶液(S)を多孔質膜中に圧入してもよい。また、せん断応力を加えることによって溶液(S)を多孔質膜中に圧入してもよい。また、溶媒が充填された多孔質膜を溶液(S)に浸漬することによって、溶液(S)を多孔質膜内に拡散させ、それによって溶液(S)を多孔質膜中に浸透させてもよい。たとえは、原料溶液の充填率を上げるために、多孔質膜内を脱気してもよい。また、多孔質膜に対してぬれ性の高い溶媒に多孔質膜を浸漬し、多孔質膜中の気泡を除去してもよい。また、反応容器内を減圧して脱気を促進させる方法や超音波を照射する方法を用いてもよい。また、これらの手法のいくつかを組み合わせてもよい。
多孔質膜の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。多孔質膜の材料の例には、以下のものが含まれる。
(1)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)などの炭化水素系ポリマー、
(2)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系ポリマー、
(3)多孔質シリカ、多孔質セラミックスなどの無機材料。
(1)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)などの炭化水素系ポリマー、
(2)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系ポリマー、
(3)多孔質シリカ、多孔質セラミックスなどの無機材料。
多孔質膜の膜厚、気孔率、および孔径等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適切な値を選択すればよい。多孔質膜が薄くなりすぎると、多孔質膜の強度が不足し、膨潤・収縮に伴う電解質の寸法変化の抑制が不充分となる場合がある。また、多孔質膜が薄くなるほど、ハンドリングが困難となる場合がある。従って、多孔質膜の膜厚は、5μm以上であることが好ましい。多孔質膜の膜厚は、より好ましくは10μm以上である。一方、多孔質膜が厚くなりすぎると、電解質膜の抵抗が大きくなり、充分な性能が得られない場合がある。従って、多孔質膜の膜厚は、500μm以下であることが好ましい。多孔質膜の膜厚は、より好ましくは100μm以下である。
多孔質膜の気孔率が低すぎると、膜全体に占める電解質の割合が低下し、抵抗が大きくなる場合がある。従って、多孔質膜の気孔率は、30%以上であることが好ましい。多孔質膜の気孔率は、より好ましくは50%以上であり、更に好ましくは70%以上である。一方、多孔質膜の気孔率が大きくなりすぎると、多孔質膜の強度が不足し、電解質膜の寸法安定性が低下する場合がある。従って、多孔質膜の気孔率は、95%以下であることが好ましい。多孔質膜の気孔率は、より好ましくは90%以下である。
多孔質膜の孔径が小さくなりすぎると、電解質の充填が困難となる場合がある。従って、多孔質膜の平均孔径は、0.1μm以上であることが好ましい。多孔質膜の平均孔径は、より好ましくは0.5μm以上である。一方、多孔質膜の孔径が大きくなりすぎると、充填した電解質が気孔から脱落しやすくなる場合がある。従って、多孔質膜の平均孔径は、5μm以下であることが好ましい。多孔質膜の平均孔径は、より好ましくは3μm以下である。なお、実施例および比較例で用いた多孔質膜の平均孔径は、バブルポイント法(JIS K 3832)の測定原理を応用した測定装置(米国のPorous Materials, Inc.社製のパームポロメーター(Perm-Porometer))によって測定したミーンフローポアサイズを平均孔径とした。
必要に応じて、多孔質膜に表面処理を施してもよい。例えば、溶媒として極性溶媒を用いる場合において、多孔質膜が極性溶媒との馴染みが悪い場合には、多孔質膜を親液化処理することが好ましい。親液化処理の方法としては、例えば、紫外線処理、プラズマ処理、コロナ処理、およびスパッタ処理などの、樹脂に対する一般的な表面改質方法を適用できる。
(工程(ii))
工程(i)の次に工程(ii)が行われる。工程(ii)では、オリゴマー(O)の官能基(A)と架橋モノマー(M)の官能基(C)との反応を促進する反応促進剤を多孔質膜内の溶液(S)に添加し、オリゴマー(O)の官能基(A)と架橋モノマー(M)の官能基(C)との反応(架橋反応)を多孔質膜内で生じさせる。この工程(ii)において、多孔質膜に対して外側に向かって張力を加えた状態で架橋反応を生じさせる。工程(ii)で用いられる反応促進剤は、オリゴマーの官能基(A)と架橋モノマー(M)の官能基(C)との反応を促進する反応促進剤である。
工程(i)の次に工程(ii)が行われる。工程(ii)では、オリゴマー(O)の官能基(A)と架橋モノマー(M)の官能基(C)との反応を促進する反応促進剤を多孔質膜内の溶液(S)に添加し、オリゴマー(O)の官能基(A)と架橋モノマー(M)の官能基(C)との反応(架橋反応)を多孔質膜内で生じさせる。この工程(ii)において、多孔質膜に対して外側に向かって張力を加えた状態で架橋反応を生じさせる。工程(ii)で用いられる反応促進剤は、オリゴマーの官能基(A)と架橋モノマー(M)の官能基(C)との反応を促進する反応促進剤である。
工程(ii)において、多孔質膜に対して(面方向において)、その外側に向かって張力を加えた状態で架橋反応を生じさせることによって、多孔質膜が面方向(膜表面と平行な方向)に収縮することを抑制できる。「多孔質膜に対して外側に向かって張力を加える」とは、別の観点では、「多孔質膜に対して、その面積が拡大する方向に張力を加える」ことを意味する。この態様には、多孔質膜の外縁を固定する態様が含まれる。多孔質膜の外縁を固定している状態では、多孔質膜の重量によって生じる力に対する応力として、固定された部分において外側に向かう張力が多孔質膜に加えられる。また、工程(ii)における架橋反応によって多孔質膜を収縮させる力が生じる場合、その力に対する応力として、固定された部分において外側に向かう張力が多孔質膜に加えられる。工程(ii)の一例では、多孔質膜に対してその面積が減少しないように張力を加えた状態で架橋反応を生じさせる。さらに、工程(ii)の別の一例では、多孔質膜に対してその面積(たとえば、多孔質膜が四角形の場合には縦×横で計算される面積)が減少しないように多孔質膜を固定した状態で架橋反応を生じさせる。
工程(ii)において多孔質膜に加える張力は、一軸方向であってもよいし、2軸方向であってもよい。たとえば、MD方向のみに張力を加えてもよいし、MD方向に直交するTD方向のみに張力を加えてもよいし、MD方向およびTD方向の両方に張力を加えてもよい。なお、MD方向およびTD方向は、それぞれ、多孔質膜作製時の膜の流れ方向(Machine Direction)および幅方向(Transverse Direction)を意味する。
多孔質膜に対してその外側に向かって張力を加える方法に特に限定はない。一例では、多孔質膜の外縁(たとえば四辺)の少なくとも一部を固定することによって、多孔質膜に対して張力を加えてもよい。このとき、多孔質膜の外縁は、治具で固定してもよいし、ピン等で固定してもよい。なお、治具やピンは、通常、溶媒や反応促進剤に対して耐性を有する材質で形成される。また、長尺の多孔質膜の一端および他端のそれぞれを異なるローラに固定した状態で、その2つのローラによって多孔質膜の長手方向に張力を加えてもよい。このとき、さらに、多孔質膜に対して、その幅方向の外側に向かって張力を加えてもよい。
多孔質膜に張力を加える方法の一例を図1に示す。図1の例では、枠状の治具11aを用いて、多孔質膜10の外縁のすべてを固定している。図2の一例では、4つの線状の治具11bを用いて、多孔質膜10の四辺を固定している。なお、図1および図2では、治具で隠れている多孔質膜10の端部を点線で示している。図3の一例では、ピン11cを用いて、多孔質膜10の外縁を固定している。
工程(ii)は、溶液(S)が浸透している多孔質膜が溶液(S)に浸漬されていない状態で行われてもよい。たとえば、工程(i)において溶液(S)に多孔質膜を浸漬することによって溶液(S)を多孔質膜に浸透させ、その後、溶液(S)から多孔質膜を取り出した状態で工程(ii)を行ってもよい。この構成によれば、電解質膜を作製するのに必要な原料の量を削減することが可能である。溶液(S)中に多孔質膜を浸漬した状態で溶液(S)ごと架橋反応(ゲル化)を進行させる場合、多孔質膜内に存在しない溶液(S)中でも反応が進行し、溶液(S)全体が消費されてしまう。一方、この構成では、多孔質膜内で反応を進行させるのに必要な量しか溶液(S)が消費されないため、効率よく電解質膜を製造できる。
一例では、長尺の多孔質膜がロール・ツ−・ロール法で処理される。すなわち、1つのロールに巻かれた長尺の多孔質膜が送り出されて別のロールに巻き取られる。その過程で、多孔質膜が溶液(S)に浸漬された後に溶液(S)から取り出される。その後、工程(ii)が行われる。工程(i)および/または工程(ii)は、2つのロール間で多孔質膜が搬送される途中で行われてもよい。2つのロールまたはその途中の搬送ロール等によって、多孔質膜の長手方向に張力を加えることができる。このとき、横延伸装置などを組み合わせて用い、多孔質膜の両側端部を治具(一例では複数のチャック)で把持し、多孔質膜の幅方向にも張力を加えてもよい。この構成によれば、工程(i)および/または工程(ii)を連続的に行うことができ、生産性を向上させることができる。
ロール・ツ−・ロール法で工程(i)を行う場合の一例を、図4に模式的に示す。図4の装置は、送り出しロール41、搬送ロール42、巻き取りロール43、および槽44を含む。槽44には、溶液45(溶液(S))が配置されている。送り出しロール41には、長尺の多孔質膜40が巻かれている。多孔質膜40は、送り出しロール41から送り出され、溶液45に浸漬されたのち、溶液45から引き上げられて巻き取りロール43に巻かれる。なお、槽44を用いる代わりに、他の方法で溶液(S)を多孔質膜に浸透させてもよい。たとえば、公知の方法で液体(S)を多孔質膜に塗布することによって、溶液(S)を多孔質膜に浸透させてもよい。塗布方法の例には、ダイ(たとえばコーターダイ)を用いる方法や、コンマロールを用いる方法が含まれる。なお、上記の方法を組み合わせて工程(i)を行ってもよい。
ロール・ツ−・ロール法で工程(ii)を行う場合の一例では、送り出しロールから巻き取りロールまでの搬送経路全体が、反応促進剤が分散している空間内に配置される。また、他の一例では、搬送経路の一部が、反応促進剤が分散している空間内に配置される。そのような一例を、図5に示す。図5の一例では、溶液(S)が浸透した多孔質膜40が、ボックス51内を通過する。ボックス51内の空間には反応促進剤が分散しており、ボックス51内を多孔質膜40が通過することによって工程(ii)が行われる。この場合、少なくとも多孔質膜40の流れ方向において外側に向かって(すなわち、上流側および下流側に向かって)張力が加えられた状態で、工程(ii)が行われる。このとき、さらに多孔質膜の幅方向の外側に向かって張力を加えてもよい。その場合の例を、図6(a)および(b)に示す。図6(a)は、線状の治具61を用いて多孔質膜40の幅方向の両端を把持して外側に張力を加える場合である。図6(b)は、複数の治具(チャック)62を用いて多孔質膜40の幅方向の両端を把持して外側に張力を加える場合である。この場合、多孔質膜40には、流れ方向において外側に向かって引っ張る張力と、幅方向において外側に向かって引っ張る張力とが加えられる。そして、その状態で架橋反応を進行させる。なお、治具の代わりに何らかの方法で多孔質膜を搬送ロールに固定することによって、張力を多孔質膜に加えてもよい。たとえば、粘着テープ等で多孔質膜を搬送ロールに固定してもよい。
工程(ii)において、反応促進剤は、蒸気、ガス、またはエアロゾルの状態で溶液(S)に添加されてもよい。一例では、溶液(S)が浸透した多孔質膜を、反応促進剤が分散している空間に配置することによって、反応促進剤が溶液(S)に添加される。反応促進剤が分散している空間は、好ましくは密閉された空間であり、たとえば密閉された容器内の空間である。なお、反応促進剤をガスの状態で空間内に分散させる場合の一例では、不活性ガス雰囲気の容器内(たとえば密閉容器内)に、溶液(S)が浸透した多孔質膜を配置し、該密閉容器内に反応促進剤のガスを導入する。また、反応促進剤を蒸気の形態で空間内に分散させる場合の一例では、不活性ガス雰囲気の容器内(たとえば密閉容器内)に、溶液(S)が浸透した多孔質膜と液体の反応促進剤とを両者が直接接触しないように配置し、加熱および/または減圧によって反応促進剤を揮発させる。なお、反応を均一に進行させる観点では、蒸気またはガスの状態で反応促進剤を空間内に分散させることが好ましい。
揮発性が低いアミンを反応促進剤として用いる場合、反応促進剤および溶液(S)が配置された密閉容器内を減圧することによって、反応促進剤の揮発を促進してもよい。また、加熱によって反応促進剤の揮発を促進してもよい。また、オリゴマー(O)と架橋モノマー(M)との反応を阻害しない物質であって且つ揮発しやすい物質と、反応促進剤とを共沸することによって、反応促進剤の揮発を促進してもよい。
反応促進剤の例には、塩基性化合物(たとえばアミン)が含まれる。反応促進剤の好ましい一例は、活性プロトンを有さない第三級アミンである。第三級アミンを用いることによって、副反応を抑制できる。より具体的には、反応促進剤の例には、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリメチルアミン(TMA)、トリプロピルアミン(TPA)、トリブチルアミン(TBA)、ジアザバイシクロウンデセン(DBU)、カリウムt−ブトキシド、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)等の塩基性化合物が含まれる。別の観点では、触媒作用を有する物質として、ルイス塩基を用いることができる。なお、反応促進剤は、1種類のみを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
工程(ii)で形成される高分子電解質(ネットワークポリマ)の分子量に特に限定はない。高分子電解質に求められる特性に応じて、高分子電解質の分子量が好ましい範囲となるように反応条件(たとえば、反応時間、反応温度、反応促進剤の量など)を選択できる。
本発明の高分子電解質(ネットワークポリマー)は、オリゴマー(O)と、架橋モノマー(M)とを反応させることによって合成される。官能基(A)と官能基(C)との反応性は、本発明の高分子電解質の生産性に大きな影響を与える。特許文献3に示されている実施例では、ネットワークポリマーを形成するための重合反応が極めて遅く、24時間以上かかっている。このため、大量生産および低コスト化の大きな問題となる。そこで鋭意検討した結果、本発明者らは、官能基(C)として−SO2Clまたは−COClを用いた場合には、架橋反応が極めて速く、極めて短い時間でネットワークポリマーが得られることを見出した。
そのため、架橋モノマー(M)の官能基(C)は、−SO2Clおよび/または−COClであることが好ましい。そのような架橋モノマー(M)としては、種々のモノマーがある。中でも、以下に示すモノマー(5)〜(8)および(9)〜(12)は、架橋モノマー(M)として好適である。架橋モノマー(M)として架橋部分がフッ化炭素鎖であるものを用いることによって、高分子電解質の鎖状部分がパーフルオロ骨格となり、耐熱性および耐酸化性に優れた固体高分子電解質が得られる。なお、本願明細書における「架橋部分」は、モノマー(5)および(9)ではベンゼン環であり、モノマー(6)〜(8)および(10)〜(12)では−CF−および/または−CF2−で構成されるパーフルオロ鎖である。
[モノマー(5)において、Y1、Y2、およびY3は、SO2ClまたはCOClを示す。Y1=Y2=Y3である。Z3は、水素原子またはフッ素原子を示す。]
[モノマー(6)において、Aは0〜20の整数を示す。P1、P2、P3、およびP4は、SO2ClまたはCOClを示す。P1=P2=P3=P4である。]
[モノマー(7)および(8)において、Aは0〜20の整数を示し、Bは1〜20の自然数を示し、Cは1〜20の自然数を示す。P1、P2、およびP3は、SO2ClまたはCOClを示す。P1=P2=P3である。]
[モノマー(9)において、Y1、Y2、およびY3は、SO2ClまたはCOClを示す。Y1、Y2、およびY3は、Y1=Y2=Y3以外の組み合わせである。Z3は、水素原子またはフッ素原子を示す。]
モノマー(9)の式において、「Y1=Y2=Y3以外の組み合わせ」の例には、Y1=Y2≠Y3である場合、Y1≠Y2=Y3である場合、および、Y2≠Y3=Y1である場合が含まれる。
[モノマー(10)において、Aは0〜20の整数を示す。P1、P2、P3、およびP4は、SO2ClまたはCOClを示す。P1、P2、P3、およびP4は、P1=P2=P3=P4以外の組み合わせである。]
[モノマー(11)および(12)において、Aは0〜20の整数を示し、Bは1〜20の自然数を示し、Cは1〜20の自然数を示す。P1、P2、およびP3は、SO2ClまたはCOClを示す。P1、P2、およびP3は、P1=P2=P3以外の組み合わせである。]
モノマー(10)の式において、「P1=P2=P3=P4以外の組み合わせ」の例には、P1=P2=P3≠P4である場合、P1=P2=P4≠P3である場合、P1=P3=P4≠P2である場合、P1≠P2=P3=P4である場合、P1=P2≠P3=P4である場合、P1=P3≠P2=P4である場合、P1=P4≠P2=P3である場合が含まれる。また、モノマー(11)および(12)の式において、「P1=P2=P3以外の組み合わせ」の例には、P1=P2≠P3である場合、P1≠P2=P3である場合、および、P2≠P3=P1である場合が含まれる。
架橋モノマー(M)の好ましい一例は、実施例で用いられるBTSCである。
工程(ii)では、官能基(A)と官能基(C)とが反応することによって、ネットワークポリマーが合成される。この反応では、官能基(A)と官能基(C)とが同じモル量となるように、架橋モノマー(M)とオリゴマー(O)とを反応させればよい。しかし、架橋反応によって生成するイミド基類(またはその前駆体)の量や、反応性を調整するために、官能基(C)が、オリゴマー(O)の官能基(A)の0.2〜3倍モル量の範囲(たとえば0.8〜1.2倍モル量の範囲)となるように、架橋モノマー(M)およびオリゴマー(O)の量を調整してもよい。
工程(ii)における反応温度は、使用する溶媒や試薬の沸点未満であって、架橋モノマー(M)の官能基(C)とオリゴマー(O)の官能基(A)とを効率よく反応させることができる温度であればよい。反応温度は、具体的には、25〜100℃の範囲にあることが好ましく、50〜90℃の範囲にあることがより好ましい。反応時間は、反応温度に応じて適切な時間を選択すればよい。工程(ii)における反応は比較的速く進行するため、反応時間は、通常、20時間以下(たとえば10時間以下や5時間以下や1時間以下)である。一例の反応時間は、1秒〜20時間の範囲にあるが、1秒未満であってもよい。
本発明の製造方法において、オリゴマー(O)、架橋モノマー(M)、および塩基性化合物(反応促進剤)を溶媒中で一度に混合すると、それらがすぐに反応してゲル状の高分子電解質が合成されてしまい、それらの材料を含む溶液を多孔質膜に含浸することが困難になる場合がある。さらに、短時間で電解質膜を製造するには、官能基(C)が−SO2Clおよび/または−COClである多官能架橋モノマーを用いることが好ましいが、そのような架橋モノマー(M)は有機溶媒に難溶性である。そのため、原料の溶液中における架橋モノマー(M)の濃度を高めることができず、その結果、多孔質膜中に充填される電解質の量が少なくなってしまう。
そこで鋭意検討した結果、本願発明者等は、反応を促進させる目的で加える反応促進剤(たとえば塩基性化合物)を、反応が急激に進行しない程度に有機溶媒に加えることによって上記問題を解決できることを見出した。すなわち、適切な量の反応促進剤(たとえば塩基性化合物)を有機溶媒に添加することによって、有機溶媒に難溶性である架橋モノマー(M)の溶解性が向上し、高濃度の反応溶液を調製できる。一方、初期に加える反応促進剤の量を適切な範囲とすることによって、多孔質に浸透させる前に反応溶液がゲル化することを防止できる。さらに、反応溶液を多孔質膜に浸透させた後に、当該反応溶液にさらに反応促進剤(塩基性化合物)を加えることによって、反応(ゲル化)を速やかに進行させ、高分子電解質膜を短時間で製造できる。
すなわち、電解質膜の製造方法の一例では、工程(i)において溶液(S)に反応促進剤(塩基性化合物)を添加してもよい。好ましい一例では、架橋モノマー(M)が官能基(C)として−SO2Clおよび/または−COClを含み、反応促進剤が塩基性化合物であり、工程(i)で用いられる溶液(S)が、当該塩基性化合物を含む。そして、工程(ii)において、多孔質膜中の溶液(S)に当該塩基性化合物がさらに添加される。官能基(C)としてSO2Clおよび/または−COClを含む架橋モノマー(M)の溶解性を高める点で特に好ましい塩基性化合物としては、トリエチルアミンなどのアミン類が挙げられる。
工程(i)において溶液(S)に加えられる反応促進剤の量は、架橋反応が急激に進行せず、且つ、必要な量の架橋モノマー(M)が有機溶媒に溶解する量であればよい。一例では、工程(i)において反応溶液に加えられる反応促進剤の量は、少なくとも、反応溶液を多孔質膜に浸透させることに必要な時間(たとえば1時間)は、反応溶液が液体状態(たとえばゲル化していない状態)に保たれる量である。また、別の一例では、工程(i)において溶液(S)に加えられる反応促進剤の量は、架橋反応が急激に進行する所定量より少ない量である。
溶液(S)の溶媒が、オリゴマー(O)の溶解性は高いが架橋モノマー(M)の溶解性が低い溶媒である場合には、溶液(S)の調製時に適切な量の反応促進剤を添加し、一部のオリゴマー(O)と一部の架橋モノマー(M)との反応を進行させて、架橋剤の溶解性を高めてもよい。添加する反応促進剤の量は、必要に応じて適宜選択すればよい。ただし、反応促進剤の添加量が多すぎると溶液(S)の調製時にゲル化が生じてしまう場合がある。一方、反応促進剤の添加量が少なすぎると、架橋モノマー(M)の溶解性の向上が不充分になる場合がある。反応促進剤の添加量は、オリゴマー(O)と架橋モノマー(M)とを反応させてゲル化するのに必要な量の70〜95mol%の範囲にあってもよく、好ましくは75〜93mol%の範囲、より好ましくは80〜90mol%の範囲にある。なお、工程(i)において溶液(S)に添加する反応促進剤と、工程(ii)において溶液(S)に添加する反応促進剤とは、同じであってもよいし異なってもよい。
本発明の製造方法の好ましい一例は、以下の条件を満たす。
(a)第3のモノマーが、上述したモノマー(5)〜(12)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、たとえばモノマー(5)または(9)である。
(b)工程(i)で用いられる溶媒が、非プロトン性の極性有機溶媒(たとえば、アセトンやアセトニトリル)である。
(c)塩基性化合物(反応促進剤)がアミン類(たとえばトリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン)である。
(a)第3のモノマーが、上述したモノマー(5)〜(12)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、たとえばモノマー(5)または(9)である。
(b)工程(i)で用いられる溶媒が、非プロトン性の極性有機溶媒(たとえば、アセトンやアセトニトリル)である。
(c)塩基性化合物(反応促進剤)がアミン類(たとえばトリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン)である。
なお、上記の一例では、オリゴマー(O)が、以下の第1および第2のモノマーで形成されたものであってもよい。
(a)第1のモノマーが、上述したモノマー(1)および(2)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(b)第2のモノマーが、上述したモノマー(3)および(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(a)第1のモノマーが、上述したモノマー(1)および(2)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(b)第2のモノマーが、上述したモノマー(3)および(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
そして、この一例では、工程(i)で溶液(S)に加えられる塩基性化合物(反応促進剤)の量は、オリゴマーの末端官能基に対して0.5倍モル〜15倍モルの範囲であってもよく、2倍モル〜12倍モルの範囲であることが好ましく、4倍モル〜10倍モルの範囲であることがより好ましい。
本発明の製造方法によれば、多孔質膜への高分子電解質の充填率を高めることができる。その結果、高分子電解質膜のガス透過性を低減することが可能であり、また、燃料電池の出力特性を向上させることが可能である。また、本発明の製造方法によれば、生産性よく高分子電解質および高分子電解質膜を製造できる。
さらに、本発明の製造方法では、多孔質膜に対して面方向の外側に向かって張力をかけた状態でゲル化(工程(ii)の架橋反応)が行われる。そのため、多孔質膜内に浸透した溶液(S)中においてゲル化が進行する際に、ゲル化に伴う収縮が、主に多孔質膜の厚み方向に限定される。そのため、多孔質膜内に形成される高分子電解質は、多孔質膜の厚み方向に押しつぶされる形態でゲル化される。その結果、多孔質膜内への高分子電解質(ゲル)の充填率が向上する。
さらに、ゲル化に伴う収縮が、主に多孔質膜の厚み方向に限定されるため、多孔質膜そのものも厚み方向に押しつぶされた状態となる。そのため、高分子電解質(ゲル)の含水に伴う膨潤を抑制するという多孔質膜の効果が、面方向よりも膜厚方向で大きくなる。その結果、本発明の方法によって製造された電解質膜は、含水時に、面方向に膨潤しにくく膜厚方向に膨潤しやすい膜となる。含水時に電解質膜が面方向に大きく膨潤する場合、発電時の温度変化時、湿度変化時、あるいは取り出す電流密度の変化時に、膜・電極接合体(MEA)の電極が剥離したり、電極端部において電解質膜が破れたりしやすくなる。一方、膜厚方向の変化はMEAの電極部によって緩和することが可能であるため、含水時に選択的に膜厚方向に膨潤する電解質膜を用いる場合には上述した問題が生じにくい。したがって、本発明の方法で製造される電解質膜は、膜・電極接合体の耐久性の向上に貢献できる。
また、本発明の製造方法によれば、多孔質膜内の高分子電解質の充填率を高くすることが可能である。そのため、本発明によれば、イオン伝導度が高い電解質膜を製造できる。また、本発明によれば、発電時の燃料電池において、燃料ガスおよび酸化剤ガスのリークを低減することが可能である。
(電解質膜)
本発明の電解質膜は、プロトン伝導性を有する電解質膜であって、燃料電池に用いられる電解質膜である。この電解質膜は、電解質膜を製造するための本発明の方法で製造される。別の観点では、本発明の電解質膜は、多孔質膜と、多孔質膜内に配置された本発明の高分子電解質とを含む電解質膜である。高分子電解質は、多孔質膜の空隙や表層などに配置され、多孔質膜内でネットワークを形成している。具体的には、高分子電解質は、複数の鎖状部分と、複数の鎖状部分を架橋する架橋部分とを含む。複数の鎖状部分のそれぞれは、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基を含む。また、架橋部分と鎖状部分との結合部分は、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基を含む。
本発明の電解質膜は、プロトン伝導性を有する電解質膜であって、燃料電池に用いられる電解質膜である。この電解質膜は、電解質膜を製造するための本発明の方法で製造される。別の観点では、本発明の電解質膜は、多孔質膜と、多孔質膜内に配置された本発明の高分子電解質とを含む電解質膜である。高分子電解質は、多孔質膜の空隙や表層などに配置され、多孔質膜内でネットワークを形成している。具体的には、高分子電解質は、複数の鎖状部分と、複数の鎖状部分を架橋する架橋部分とを含む。複数の鎖状部分のそれぞれは、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基を含む。また、架橋部分と鎖状部分との結合部分は、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基を含む。
(膜・電極接合体および燃料電池)
本発明の膜・電極接合体は、燃料電池に用いられる膜・電極接合体であって、プロトン伝導性の電解質膜を含み、その電解質膜が本発明の電解質膜である。電解質膜以外の部分に特に限定はなく、たとえば公知の構成を適用できる。
本発明の膜・電極接合体は、燃料電池に用いられる膜・電極接合体であって、プロトン伝導性の電解質膜を含み、その電解質膜が本発明の電解質膜である。電解質膜以外の部分に特に限定はなく、たとえば公知の構成を適用できる。
本発明の燃料電池は、膜・電極接合体を含む燃料電池であって、その膜・電極接合体が、本発明の電解質膜を含む。電解質膜以外の部分に特に限定はなく、たとえば、公知の固体高分子形燃料電池の構成を適用できる。
以下では、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、以下の実施例および比較例で用いられる、C3F、C3A、およびBTSCは、公知の方法で合成できる。具体的には、以下の方法で合成できる。
(1)パーフルオロ脂肪族ジスルホニルフロライドの合成
パーフルオロ脂肪族ジスルホニルフロライド(FSO2−Rf−SO2F)は、米国特許第2,732,398号明細書に記載されているように、対応する脂肪族ジスルホニルフロライドの電解フッ素化によって得ることができる。例えば、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(C3F)は、プロパン−1,3−ジスルホニルフロライドの電解フッ素化によって得ることができる。
パーフルオロ脂肪族ジスルホニルフロライド(FSO2−Rf−SO2F)は、米国特許第2,732,398号明細書に記載されているように、対応する脂肪族ジスルホニルフロライドの電解フッ素化によって得ることができる。例えば、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(C3F)は、プロパン−1,3−ジスルホニルフロライドの電解フッ素化によって得ることができる。
(2)パーフルオロ脂肪族ジスルホンアミドの合成
パーフルオロ脂肪族ジスルホンアミド(H2NO2S−Rf−SO2NH2)は、相当するパーフルオロ脂肪族ジスルホニルフロライド(FSO2−Rf−SO2F)を液体アンモニアと反応させることによって得ることができる。例えば、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(C3A)は、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(C3F)を液体アンモニアと反応させることによって得ることができる。
パーフルオロ脂肪族ジスルホンアミド(H2NO2S−Rf−SO2NH2)は、相当するパーフルオロ脂肪族ジスルホニルフロライド(FSO2−Rf−SO2F)を液体アンモニアと反応させることによって得ることができる。例えば、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(C3A)は、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(C3F)を液体アンモニアと反応させることによって得ることができる。
具体的には、以下の方法でC3Aを得た。まず、アルゴン置換して冷却した9.6Lの液体アンモニア中に、1200gのC3Fを1時間かけて滴下した。この液体を一晩かけて昇温した後、アルゴンガスでバブリングすることによってアンモニアを除去した。その後、反応生成物の抽出、脱水、および精製を行い、C3Aである白色結晶(530g)を得た。
(3)1,3,5−ベンゼントリスルホニルクロライド(BTSC)の合成
BTSCは、以下の方法によって合成した。まず、フラスコに濃硫酸(650g)を入れて撹拌し、ベンゼンスルホン酸ナトリウム一水和物(500g)、硫酸ナトリウム(371g)を加え、得られた混合液を340度まで加熱した。この混合液を3バッチ分調製し、それらを1つに混合した。得られた混合液を、水で洗浄し、攪拌しながら水酸化ナトリウムを加え、pHを12以上とした後、過剰の水酸化ナトリウムおよび塩をろ過で除去した。次に、ろ過後の液体を撹拌後、濃硫酸を加えてpHを6〜7とした後、活性炭を加え、70℃に加熱した。加熱した液体をろ過した後、ろ液中の反応生成物を再結晶させた。そして、ろ液を濃縮して再結晶を繰り返した。再結晶で得られた結晶を乾燥して、1,3,5−ベンゼントリスルホン酸ナトリウムの白色結晶(1.12kg)を得た。
BTSCは、以下の方法によって合成した。まず、フラスコに濃硫酸(650g)を入れて撹拌し、ベンゼンスルホン酸ナトリウム一水和物(500g)、硫酸ナトリウム(371g)を加え、得られた混合液を340度まで加熱した。この混合液を3バッチ分調製し、それらを1つに混合した。得られた混合液を、水で洗浄し、攪拌しながら水酸化ナトリウムを加え、pHを12以上とした後、過剰の水酸化ナトリウムおよび塩をろ過で除去した。次に、ろ過後の液体を撹拌後、濃硫酸を加えてpHを6〜7とした後、活性炭を加え、70℃に加熱した。加熱した液体をろ過した後、ろ液中の反応生成物を再結晶させた。そして、ろ液を濃縮して再結晶を繰り返した。再結晶で得られた結晶を乾燥して、1,3,5−ベンゼントリスルホン酸ナトリウムの白色結晶(1.12kg)を得た。
アルゴンガス雰囲気下で、上記1,3,5−ベンゼントリスルホン酸ナトリウム(1100g)をフラスコに入れ、これに塩化チオニル(5L)およびジメチルホルムアミド(660mL)を滴下して加えた。そして、反応液を70℃で18時間加熱還流した。その後、反応液を氷水に注いで反応を停止させ、しばらく撹拌した。析出した結晶を濾別し、減圧乾燥した。得られた結晶に酢酸エチルを加えて加熱した後、ろ過を行った。得られたろ液中の反応生成物の再結晶を繰り返し、BTSCの白色結晶(620g)を得た。
(実施例1)
実施例1では、本発明の電解質膜を作製した。
実施例1では、本発明の電解質膜を作製した。
1−1.直鎖状オリゴマー1の合成
N2雰囲気下において、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(C3A):46.5g(0.150mol)と、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(C3F):31.6g(0.100mol)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA):64.6g(0.500mol)とを含むアセトニトリル(MeCN)溶液を撹拌しながら、80℃で48時間反応させ、褐色溶液を得た。この反応を以下に示す。
N2雰囲気下において、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンアミド(C3A):46.5g(0.150mol)と、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルフロライド(C3F):31.6g(0.100mol)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA):64.6g(0.500mol)とを含むアセトニトリル(MeCN)溶液を撹拌しながら、80℃で48時間反応させ、褐色溶液を得た。この反応を以下に示す。
上記反応で得られた褐色溶液の溶媒をエバポレーターによって除去した後、4N水酸化ナトリウム水溶液を250mL加え、その後、アセトニトリルによって有機層を抽出した。抽出した有機層をエバポレーターで濃縮させた後、2N塩酸水溶液を250mL加えてそのまま30分撹拌した。次に、有機層をジエチルエーテルで洗浄した後、真空乾燥によって溶媒を完全に除去し、薄い肌色の固形物を61.8g得た。得られた固形物について、19F NMRスペクトルを測定し、上記反応によって得られた直鎖状オリゴマー(以下では、「直鎖状オリゴマー1」という場合がある)は、平均6.0量体であると算出された。また、直鎖状オリゴマー1の末端基のうち、93.5mol%が−SO2NH2であり、6.5mol%が−SO3Hであった。
1−2.電解質膜の作製
N2雰囲気下において、直鎖状オリゴマー1:4.91g(2.57mmol)と、1,3,5−ベンゼントリスルホニルクロライド(BTSC):0.64g(1.71mmol)とに、アセトニトリル4.91gを加えて撹拌し、溶液1を調製した。溶液1では、BTSCはほとんど溶解しなかった。この溶液1に、トリエチルアミン(Et3N):1.87g(18.49mmol)を少しずつ滴下していくと、未溶解であったBTSCが溶解し、溶液2を得た。一方、多孔質膜を用意し、その四辺を外側に向かって張力が加えられるように枠体で固定した。多孔質膜には、超高分子量ポリエチレン製の多孔質膜(帝人ソルフィル株式会社製、空孔率82%、平均孔径0.8μm、膜厚20μm)を用い、枠体には、感圧接着層付樹脂シートを用いた。
N2雰囲気下において、直鎖状オリゴマー1:4.91g(2.57mmol)と、1,3,5−ベンゼントリスルホニルクロライド(BTSC):0.64g(1.71mmol)とに、アセトニトリル4.91gを加えて撹拌し、溶液1を調製した。溶液1では、BTSCはほとんど溶解しなかった。この溶液1に、トリエチルアミン(Et3N):1.87g(18.49mmol)を少しずつ滴下していくと、未溶解であったBTSCが溶解し、溶液2を得た。一方、多孔質膜を用意し、その四辺を外側に向かって張力が加えられるように枠体で固定した。多孔質膜には、超高分子量ポリエチレン製の多孔質膜(帝人ソルフィル株式会社製、空孔率82%、平均孔径0.8μm、膜厚20μm)を用い、枠体には、感圧接着層付樹脂シートを用いた。
次に、溶液2をシャーレ内に配置し、枠体に固定された多孔質膜を溶液2に浸漬した。該シャーレを、二方コックを取り付けた1000mlセパラブルフラスコ内に移し、減圧処理によって脱気を行い、多孔質膜内の空隙に溶液2を含浸させた。以上のようにして、工程(i)を行った。
次に、工程(ii)を行った。まず、溶液2が浸透した多孔質膜を溶液2から取り出し、枠体に固定された多孔質膜を1000mlセパラブルフラスコ内に吊り下げて固定した。次に、該1000mlセパラブルフラスコの底面に、トリエチルアミン10g、およびアセトン2.5g(トリエチルアミンの揮発を促進する目的で添加)を添加した。この際、トリエチルアミンおよびアセトンが多孔質膜に直接接触しないようにした。そして、セパラブルフラスコ内を大気圧から0.02MPa減圧した後、70℃で3時間保持することによって以下の反応を進行させた。
上記反応式の反応生成物では、オリゴマーの鎖状部分に由来する鎖状部分がイミド基類を含み、さらに、当該鎖状部分と架橋部分(BTSCのベンゼン環)との結合部分がイミド基類を含む。
上記反応によって得られた膜を、10wt%水酸化ナトリウム水溶液、10vol%硫酸水溶液、および超純水で洗浄した後、乾燥し、実施例1の電解質膜を得た。
(実施例2)
工程(ii)の条件、すなわち架橋反応を進行させる条件を変化させたことを除き、実施例1と同様の方法で実施例2の電解質膜を得た。実施例2では、反応促進剤を供給するための溶液として、トリエチルアミンとアセトンとの混合液の代わりに、30%トリメチルアミン水溶液12.5gを1000mlセパラブルフラスコの底面に配置した。そして、当該セパラブルフラスコ内を大気圧から0.02MPa減圧した後、室温で30分間保持することによって架橋反応を進行させた。これらの事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2の電解質膜を得た。
工程(ii)の条件、すなわち架橋反応を進行させる条件を変化させたことを除き、実施例1と同様の方法で実施例2の電解質膜を得た。実施例2では、反応促進剤を供給するための溶液として、トリエチルアミンとアセトンとの混合液の代わりに、30%トリメチルアミン水溶液12.5gを1000mlセパラブルフラスコの底面に配置した。そして、当該セパラブルフラスコ内を大気圧から0.02MPa減圧した後、室温で30分間保持することによって架橋反応を進行させた。これらの事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2の電解質膜を得た。
(比較例1)
比較例1では、多孔質膜を枠体に固定しなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で電解質膜を作製した。
比較例1では、多孔質膜を枠体に固定しなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で電解質膜を作製した。
(比較例2)
N2雰囲気下において、直鎖状オリゴマー1:19.11g(10.00mmol)と、1,3,5−ベンゼントリスルホニルクロライド(BTSC):2.49g(6.67mmol)とに、アセトニトリル19.1gを加えて撹拌し、溶液1を調製した。溶液1では、BTSCはほとんど溶解しなかった。この溶液1に、トリエチルアミン(Et3N):7.29g(72.00mmol)を少しずつ滴下していくと、未溶解であったBTSCが溶解し、溶液2を得た。
N2雰囲気下において、直鎖状オリゴマー1:19.11g(10.00mmol)と、1,3,5−ベンゼントリスルホニルクロライド(BTSC):2.49g(6.67mmol)とに、アセトニトリル19.1gを加えて撹拌し、溶液1を調製した。溶液1では、BTSCはほとんど溶解しなかった。この溶液1に、トリエチルアミン(Et3N):7.29g(72.00mmol)を少しずつ滴下していくと、未溶解であったBTSCが溶解し、溶液2を得た。
次に、溶液2をシャーレ内に配置し、多孔質膜を溶液2に浸漬した。多孔質膜には、実施例1で用いた多孔質膜と同じものを用いた。該シャーレを、二方コックを取り付けた1000mlセパラブルフラスコ内に移し、減圧処理によって脱気を行い、多孔質膜内の空隙に溶液2を含浸させた。以上のようにして、工程(i)を行った。
次に、該1000mlセパラブルフラスコの底面にトリエチルアミン10gとアセトン2.5g(トリエチルアミンの揮発を促進する目的で添加)とを添加した。この際、溶液2および多孔質膜が入ったシャーレ内に、トリエチルアミンおよびアセトンが直接接触しないようにした。そして、セパラブルフラスコ内を大気圧から0.02MPa減圧した後、70℃で3時間保持することによって反応を進行させた。
(比較例3)
工程(ii)の条件、すなわち架橋反応を進行させる条件を変化させたことを除き、比較例2と同様の方法で比較例3の電解質膜を得た。比較例3では、反応促進剤を供給するための溶液として、30%トリメチルアミン水溶液12.5gを1000mlセパラブルフラスコの底面に配置した。そして、当該セパラブルフラスコ内を大気圧から0.02MPa減圧した後、室温で30分間保持することによって架橋反応を進行させた。これらの事項を除いて比較例2と同様の方法で、比較例3の電解質膜を得た。
工程(ii)の条件、すなわち架橋反応を進行させる条件を変化させたことを除き、比較例2と同様の方法で比較例3の電解質膜を得た。比較例3では、反応促進剤を供給するための溶液として、30%トリメチルアミン水溶液12.5gを1000mlセパラブルフラスコの底面に配置した。そして、当該セパラブルフラスコ内を大気圧から0.02MPa減圧した後、室温で30分間保持することによって架橋反応を進行させた。これらの事項を除いて比較例2と同様の方法で、比較例3の電解質膜を得た。
(特性の評価方法)
(a)イオン交換容量(IEC)
実施例および比較例の電解質膜(面積:約2cm2)を、3モル/Lの塩化ナトリウム水溶液に浸漬し、ウォーターバス中において60℃で12時間以上反応させた。この電解質膜を室温まで冷却した後、イオン交換水で充分に洗浄した。置換されたプロトンを電位差自動滴定装置(AT−510;京都電子工業株式会社製)を使用して、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、電解質膜のイオン交換容量を算出した。
(a)イオン交換容量(IEC)
実施例および比較例の電解質膜(面積:約2cm2)を、3モル/Lの塩化ナトリウム水溶液に浸漬し、ウォーターバス中において60℃で12時間以上反応させた。この電解質膜を室温まで冷却した後、イオン交換水で充分に洗浄した。置換されたプロトンを電位差自動滴定装置(AT−510;京都電子工業株式会社製)を使用して、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、電解質膜のイオン交換容量を算出した。
(b)水膨潤率
実施例および比較例の電解質膜(面積:約6cm2)を、25℃の超純水中に一晩浸漬し、含水状態での厚み(Tw)、寸法(MDw、TDw)を測定した。なお、MDおよびTDは、それぞれ、多孔質膜作製時の膜の流れ方向(Machine Direction)および幅方向(Transverse Direction)を意味する。次に、含水状態の電解質膜を、60℃で3時間減圧乾燥した後、N2雰囲気下、25℃15%RHの条件において、乾燥状態での厚み(Td)、寸法(MDd、TDd)を測定した。そして、厚みおよび面方向における、膨潤による寸法変化率を次式から求めた。
厚み方向の水膨潤率(%)=(Tw−Td)/(Td)×100
面方向の水膨潤率(%)=[{(MDw−MDd)/(MDd)}+{(TDw−TDd)/(TDd)}]/2×100
水膨潤率異方性=(厚み方向の水膨潤率)/(面方向の水膨潤率)
実施例および比較例の電解質膜(面積:約6cm2)を、25℃の超純水中に一晩浸漬し、含水状態での厚み(Tw)、寸法(MDw、TDw)を測定した。なお、MDおよびTDは、それぞれ、多孔質膜作製時の膜の流れ方向(Machine Direction)および幅方向(Transverse Direction)を意味する。次に、含水状態の電解質膜を、60℃で3時間減圧乾燥した後、N2雰囲気下、25℃15%RHの条件において、乾燥状態での厚み(Td)、寸法(MDd、TDd)を測定した。そして、厚みおよび面方向における、膨潤による寸法変化率を次式から求めた。
厚み方向の水膨潤率(%)=(Tw−Td)/(Td)×100
面方向の水膨潤率(%)=[{(MDw−MDd)/(MDd)}+{(TDw−TDd)/(TDd)}]/2×100
水膨潤率異方性=(厚み方向の水膨潤率)/(面方向の水膨潤率)
(c)乾燥密度
実施例および比較例の電解質膜(面積:約6cm2)を、60℃で3時間減圧乾燥した後、N2雰囲気下、25℃15%RHの条件において、乾燥状態での重量(Wd)、厚み(Td)、寸法(MDd、TDd)を測定した。乾燥密度を次式から求めた。
乾燥密度=Wd/(Td×MDd×TDd)
実施例および比較例の電解質膜(面積:約6cm2)を、60℃で3時間減圧乾燥した後、N2雰囲気下、25℃15%RHの条件において、乾燥状態での重量(Wd)、厚み(Td)、寸法(MDd、TDd)を測定した。乾燥密度を次式から求めた。
乾燥密度=Wd/(Td×MDd×TDd)
(d)プロトン伝導度(σ)
10mm幅に裁断した電解質膜を超純水に一晩浸漬した後、25℃の超純水中において、LCRメータ(HIOKI製Chemical Impedance meter 3532−80)を用いて、4端子法によって交流インピーダンスを測定した。測定周波数範囲は10kHz〜1MHzとした。得られたインピーダンスの実数部分を横軸にし、虚数部分を縦軸にしてプロットを行い、極小値の実数部分の値を膜抵抗R(Ω)とした。膜の厚さをt[cm]、サンプルの幅をh[cm]、電極の取り付け距離をL[cm]として、プロトン伝導度σ[S/cm]を次式から求めた。
σ=L/(R×t×h)
10mm幅に裁断した電解質膜を超純水に一晩浸漬した後、25℃の超純水中において、LCRメータ(HIOKI製Chemical Impedance meter 3532−80)を用いて、4端子法によって交流インピーダンスを測定した。測定周波数範囲は10kHz〜1MHzとした。得られたインピーダンスの実数部分を横軸にし、虚数部分を縦軸にしてプロットを行い、極小値の実数部分の値を膜抵抗R(Ω)とした。膜の厚さをt[cm]、サンプルの幅をh[cm]、電極の取り付け距離をL[cm]として、プロトン伝導度σ[S/cm]を次式から求めた。
σ=L/(R×t×h)
測定結果を表1に示す。なお、多孔質膜単独の乾燥密度は0.15g/cm3であった。
表1に示すように、比較例の電解質膜に比べて実施例の電解質膜は、水膨潤率の異方性が大きかった。また、同じ材料からなる実施例1と比較例1とを比較すると、実施例1の電解質膜の方が、面方向の水膨潤率が低く、水膨潤率の異方性が大きく、乾燥密度およびイオン伝導度が高かった。
本発明の製造方法では、多孔質膜の面方向の収縮が抑制された状態で、オリゴマーと架橋モノマーとが反応してゲル化が進行する。そのため、ゲルが多孔質膜の厚み方向に選択的に収縮し、厚み方向にゲルが膨潤することを抑制するという多孔質膜の効果が低減される。これによって、上記の効果が達成されると考えられる。
実施例1および比較例1のいずれの場合も、溶液2から取り出した状態でゲル化を進行させた。しかし、多孔質膜を枠体で固定せずに面方向の収縮を抑制しなかった比較例1では、面方向の水膨潤率が低減されなかった。また、実施例2と比較例3とを比較した場合にも、比較例2に対する実施例1の優位性と同様の優位性が確認された。これらのことは、溶液(S)に追加で添加される反応促進剤の種類によらず、本発明の製造方法の効果が得られることを示している。
また、同じ面積の電解質膜を作製するのに、実施例1および実施例2で必要な溶液2の量が10ml以下であったのに対し、比較例2および比較例3で必要な溶液2の量は30ml以上であった。このように、多孔質膜が溶液(S)に浸漬されていない状態で工程(ii)を行うことによって、架橋反応に必要な溶液(S)の量を低減でき、また、工程(i)で用いられた溶液(S)を再利用することが可能になる。
本発明は、プロトン伝導性の高分子電解質膜、ならびに、それを用いた膜・電極接合体および燃料電池に利用できる。
Claims (11)
- プロトン伝導性を有する高分子電解質膜の製造方法であって、
(i)3つ以上の官能基(C)を有する少なくとも1種の化合物、官能基(A)を両端に備えるオリゴマー、および溶媒を含む溶液(S)を多孔質膜内に浸透させる工程と、
(ii)前記オリゴマーの前記官能基(A)と前記少なくとも1種の化合物の前記官能基(C)との反応を促進する反応促進剤を、前記多孔質膜内の前記溶液(S)に添加し、前記オリゴマーの前記官能基(A)と前記化合物(Y)の前記官能基(C)との反応を前記多孔質膜内で生じさせる工程と、を含み、
前記(ii)の工程において、前記多孔質膜に対して外側に向かって張力を加えた状態で前記反応を生じさせ、
前記官能基(C)は、前記官能基(A)と反応することによって、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基またはその前駆体を生成する官能基である、高分子電解質膜の製造方法。 - 前記(ii)の工程において、前記多孔質膜の外縁の少なくとも一部を固定することによって前記多孔質膜に対して前記張力を加える、請求項1に記載の製造方法。
- 前記(ii)の工程は、前記多孔質膜が前記溶液(S)に浸漬されていない状態で行われる、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記(ii)の工程において、前記反応促進剤が、蒸気、ガス、またはエアロゾルの状態で前記溶液(S)に添加される、請求項3に記載の製造方法。
- 前記官能基(A)が、以下の式(F1)で表される少なくとも1種の官能基、または、以下の式(F2)で表される少なくとも1種の官能基であり、
前記官能基(C)が、以下の式(F3)で表される少なくとも1種の官能基、または、以下の式(F4)で表される少なくとも1種の官能基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
(F1)−SO2NZ1Z2
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。]
(F2)−CONZ1Z2
[ただし、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、金属原子、またはSi(CH3)3を示す。]
(F3)−SO2X
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。]
(F4)−COX
[ただし、Xは、F、Cl、Br、またはIを示す。] - 前記少なくとも1種の化合物が、前記官能基(C)として−SO2Clおよび/または−COClを含み、
前記反応促進剤が塩基性化合物であり、
前記(i)の工程で用いられる前記溶液(S)が前記塩基性化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記(i)の工程の前に、
(x)第1の鎖状部分と前記第1の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの前記官能基(A)とを有する少なくとも1種の第1のモノマーと、第2の鎖状部分と前記第2の鎖状部分の両端のそれぞれに結合した2つの官能基(B)とを有する少なくとも1種の第2のモノマーとを反応させることによって、前記官能基(A)を両端に備える前記オリゴマーを合成する工程をさらに含み、
前記官能基(B)は、前記官能基(A)と反応することによって、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基またはその前駆体を生成する官能基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記(x)の工程で合成される前記オリゴマーの末端基の60モル%以上が前記官能基(A)である、請求項7に記載の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法で製造された、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜であって、
多孔質膜と、前記多孔質膜内に配置された高分子電解質とを含み、
前記高分子電解質が、複数の鎖状部分と、前記複数の鎖状部分を架橋する架橋部分とを含む、プロトン伝導性の高分子電解質であり、
前記複数の鎖状部分のそれぞれが、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基を含み、
前記架橋部分と前記鎖状部分との結合部分が、−SO2NHSO2−、−SO2NHCO−、および−CONHCO−からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性基を含む、電解質膜。 - 燃料電池用の膜・電極接合体であって、
請求項9に記載の高分子電解質膜を含む、膜・電極接合体。 - 膜・電極接合体を含む燃料電池であって、
前記膜・電極接合体が請求項9に記載の高分子電解質膜を含む、燃料電池。
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