JP5347729B2 - Ca処理鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は耐HIC性を有するCa処理鋼の製造方法に関する。
近年鋼材の品質要求が厳しいものになっているが、特にラインパイプに代表される耐HIC鋼において、使用環境が苛酷になり高強度化が進むにつれ、HIC割れ感受性が高い鋼材のニーズが増加している。HICは圧延時に伸延されたMnS系介在物や線状の破砕された介在物を起点として発生する。MnS系の介在物は凝固時に偏析した鋼中MnとSの反応により生じる。このMnS生成抑制には溶鋼段階で鋼中Sを下げること、さらにCaを添加することで溶鋼中介在物をCaO−Al−CaS系としてSを固定することが重要である。また線状の破砕された介在物は溶鋼の脱酸時に生成するAlクラスター介在物である。このAlクラスター介在物抑制にはCaを添加することで溶鋼中AlクラスターをCaO−Al系とし、その形態をクラスターから球状に変化させることが重要である。CaO−Al系介在物はその形状が球状であること、また融点が低いために、圧延時に破砕されない。これらのことから溶鋼へのCaの添加は溶鋼中Alの改質、MnS生成抑制に有効であり、耐HIC性能に優れた鋼材を製造する上で重要なプロセスである。
しかし介在物がCaO−Al−CaS系で球状であっても、その組成が高CaS、高CaO濃度の場合、圧延時に破砕され、割れが発生するため、介在物は適正な組成に制御する必要がある。
これまでに多くのCa添加方法が提案されてきた。
特許文献1では(ア)式、(イ)式に従う具体的なCa添加量の決定方法として、以下の二つの方法が示されている。
SCI=([Ca]+0.0095×[C])÷([O]+0.6[S]×[Mn])・・・・(ア)
0.8 ≦SCI≦ 2.3・・・・(イ)
第一の方法は、操業および製造後の鋼材組成を分析してあらかじめデータを蓄積しておき、得られた実績からCaの添加量を決定する方法である。この方法には、特殊な分析設備を必要としない利点がある。第二の方法は、製鋼処理中の途中段階で溶鋼組成を迅速分析し、(ア),(イ)式および分析結果から各処理毎にCaの添加量を決定する方法である。この方法には、製造過程で生じる外来要因を回避し、正確にCa処理を行えるという利点がある。
しかし、この方法で得られる鋼材の介在物組成は鋼中に含まれるCaO−Al−CaS系介在物の組成が、質量%でCaO:30〜60%,CaS:10%未満および残部:Al主体であって、比較的に組成範囲が広い。また、第二の方法であっても、「製鋼処理中の途中段階で溶鋼組成を迅速分析」するとの説明しかないため、その(ア)式の計算に用いた[O]濃度の精度には、なお改善の余地があるものと考えられる。
特許文献2では(ウ)式(エ)式を満足するようにCa濃度を制御する方法が示されている。
[%Ca]×[%S]0.28≦ 3.5×10-4 ・・・・(ウ)
1≦{[%Ca]−(0.18+130[%Ca])×[%O]}/1.25/[%S]・・・・(エ)
Ca−Siワイヤー添加に際しては、鋼中のCa,S,O成分を目標範囲におさめるため、脱硫処理後のS成分濃度を迅速分析により調査し、脱ガス処理後のO成分濃度を例えば15ppmとして前記の(ウ)式および(エ)式から目標カルシウム組成範囲を決定して投入量を決定するとしている。
しかし、この発明が目指す鋼中の介在物は、CaO濃度を40〜80%とするものであって、比較的に組成範囲が広い。その背景には、(エ)式に代入すべきO濃度を正確に得る手段に欠けていて上述のように「平均値として15ppm」を使わざるを得なかったことがあると推測できる。
特開平9−227989号公報 特開2001−11528号公報 特開2002−328125号公報 特開平10−311782号公報
このように、溶鋼中の成分濃度に応じて適量のCaを添加し、生成する介在物の組成を制御しようとした発明は多数存在している。しかし、いずれの発明においてもCa添加前のO濃度を知る必要があるところ、いずれの発明においてもそのO濃度を正確に得る方法が具体的に示されていない。このことは、Ca処理のために知る必要があるO濃度を正確に得るための方法が、現在に至るまで確立されていなかったということに起因している。
その結果、各発明における介在物組成は、30〜60%、40〜80%のように比較的に広い範囲にしかコントロールすることができず、耐HIC鋼の溶製にそのまま適用してみても、所期の効果を挙げることができなかった。
そこで、本発明は、介在物組成が高度に制御され優れた耐HIC性を有するCa処理鋼の製造方法を提供することを目的とする。
これらの問題を解決するためには、Ca添加前の溶鋼からサンプルを採取し、Ca添加までにT.[O]を分析し、適切なCa添加量を決定する必要がある。
T.[O]を短時間でかつ精度よく分析する方法として、以下に示すような分析方法を使用した。
(i)鉄鋼試料を黒鉛るつぼに入れて不活性ガス中で加熱融解し、発生した一酸化炭素または二酸化炭素のいずれかひとつあるいは両方の赤外線吸収度から該試料中の酸素濃度を測定する方法を用いる。
(ii)該試料表面の酸化皮膜を除去、清浄化する前処理として真空アークプラズマ処理を、アークプラズマ放電開始時の真空度を5Pa以上35Pa以下かつ、アークプラズマ出力電流を15A以上55A以下とする条件下において施す。
(iii)溶鋼から採取した鋼塊に対して、高さ1.5mm以上7mm以下、表面積Sと体積Vの比(S/V)が1.05以上1.30以下となるように機械加工して得た小片を試料として用いる。
(iv)前記アークプラズマ放電を前記試料に、合計4回以下であって、かつ合計処理時間として0.2秒以上1.2秒以下施した後、
該試料を大気と接触させることなく、直接、分析時の温度よりも高い温度で加熱、清浄化した後、分析する温度に下げて待機させた黒鉛るつぼへ投入する。
この分析方法をオンラインで適用することにより、Ca処理前のT.[O]濃度をCa添加前までに把握し、適切なCa添加量を決定することが可能になった。
具体的には、次のような分析値の精度および分析に要する時間でT.[O]濃度を分析することが可能となった。
(1)分析値の精度
酸素含有量50ppm以下の鋼に対して、誤差が±2ppm以内に収まること。好ましくは誤差が±1ppmに収まること。
(2)分析に要する時間
鋼塊試料を受け取ってから、試料加工、清浄化前処理を経て、分析により酸素濃度が判明するまでの時間(以下、「分析所要時間」と称する。)は、5分以下。好ましくは4分以下。
以下に図面を用いてこの分析方法を詳しく説明する。
図1はこの本発明に係る分析方法を実施するための鉄鋼中酸素分析装置を模式的に示したものである。
本発明に係る分析方法に求められる短時間かつ高精度分析を実現するために、本発明で組み合わせる要素技術の内、迅速かつ再現性の高い試料前処理方法として、真空アークプラズマ処理を選択した。例えば、特許文献3に開示された金属中成分分析用試料の調整方法及び装置を適用すればよい。予め真空に保った試料前処理装置1内に、隔離バルブ4を介して、真空度をほとんど変化させることなく、処理前試料投入口3から試料を挿入することができる。その後、真空アークプラズマ処理により、試料表面の酸化皮膜を数秒で除去する。該装置では、試料を自動搬送するため、試料形状を円柱またはブロック(直方体)に限定する。試料は、試料台に載置して処理するため、試料台と接する面は処理されない。そこで、試料を反転させて処理する必要がある。つまり、ひとつの試料に対して、少なくとも2回は放電する必要がある。放電回数が増えると、試料が長時間加熱されることになり、一旦、酸化皮膜除去された試料表面は再び酸化されてしまう。したがって、試料表面の酸化皮膜を確実、正確かつ再現性良く除去し、精錬操業上必要とされる分析精度を確保するため、下記の条件でアークプラズマ処理する必要がある。
(a)真空度:5Pa以上35Pa以下。真空アークプラズマによる試料表面酸化皮膜除去反応は真空度が高いほど促進されるが、35Paを超えると、試料温度上昇に伴う再酸化反応が顕著になるため好ましくない。一方、5Paより低いと、酸化皮膜除去反応自体が進行しなくなるため、好ましくない。したがって、最適な真空度が存在する。
なお、処理時に真空度が一定値に保持されるよう、真空排気バルブとガス導入バルブの開閉を制御する圧力制御機構を有することがなお好ましい。
(b)アークプラズマ出力電流:15A以上55A以下とする。
(c)処理時間:ひとつの試料に対して、合計の処理時間は0.2秒以上1.2秒以下とする。
(d)処理回数:ひとつの試料に対して、合計の処理回数は4回以下とする。
処理後の試料は、大気と接触させることなく、分析装置2に配置した前処理済試料投入口5を通じて、最終的に黒鉛るつぼに投入する。試料前処理チャンバーと分析装置の試料投入口は真空または不活性ガスで内部を置換した連結管8で連結する。不活性ガス種としては、空気との比重差を考慮して、連結管内を確実にガス置換して、処理後の試料の再酸化を防止する観点、さらには経済的な観点から、Arが好ましい。特許文献3に開示された装置構成では、前処理済試料は払い出された後、別置きの酸素分析装置に移送される。しかし、本発明の目的では迅速性が要求されることから、試料前処理装置1と酸素分析装置2を、それぞれ鉛直上下に配置し、連結管8内を自由落下させて、試料を移送する方法、すなわち図1のような装置構成を採用した。
この本発明の装置構成では、酸素分析装置2が床面に近い位置に配置され、分析装置2内部の清掃がガス中の不純物吸着剤の交換等、装置の維持管理作業に支障をきたす。そこで、架台6に組み込まれた装置全体をリフター7に載せて昇降可能とし、当該作業の際には装置全体を上げて、作業性を確保した。このリフター7の駆動方式は特に問わないが、装置全体では相当な重量であることから、操作性の観点で、自動油圧式が好ましい。また、リフター7の可動部は伸縮可能な材料で覆い、作業者が挟まれることのないよう、安全性に配慮した構造を有することが望ましい。
さらに、連結した酸素分析装置2が故障して使えない場合や、分析待ちの前処理済試料を別の酸素分析装置で分析する場合に備えて、試料前処理装置1と酸素分析装置2の連結管8途中に、前処理済試料の取出口9を設ける。
本発明で組み合わせる要素技術の内、溶鋼から採取した鋼塊より簡便かつ迅速に分析試料を得る方法として、溶鋼から採取した鋼塊を切断して作製した高さ(厚さ)が1.5mm以上7mm以下のスライスに対して、打ち抜いた円柱状小片を試料として用いる。具体的には、例えば、特許文献4に開示された分析試料の調整方法及び装置を適用すればよい。試料表面の酸化皮膜を確実、正確かつ再現性良く除去するためには、試料底面の直径と高さから計算される表面積Sと体積Vの比S/Vが「1.05≦S/V≦1.30」を満たすような形状を確保する必要がある。
この理由は現時点で十分解明できていないが、電極形状などアーク処理部の形状に依存して、アークプラズマの空間分布において効率的な処理に好適な位置が限定されることに対応しているものと推察される。
本発明で組み合わせる要素技術の内、高精度な鋼中酸素分析方法として、不活性ガス中加熱融解−赤外線吸収法を動作原理とする酸素分析装置を選択した。この分析法では、試料ホルダと試料の脱酸反応剤(炭素)供給源を兼ねる黒鉛るつぼを使用する。
分析に先立って、るつぼ表面に吸着した酸素や汚染を除去するため、分析時よりもやや高い温度でるつぼだけを予め加熱する、いわゆる「空焼き」処理を実施する。「空焼き」処理により、黒鉛るつぼから発生する酸素、一酸化炭素あるいは二酸化炭素が分析値を変動させる影響を低減できる。市販の酸素分析装置で鋼中の酸素を分析する際には、通常、るつぼ、すなわち試料を1800℃〜2200℃程度の温度に加熱する。本発明で要求される高い分析精度を実現するためには、例えば、分析時の温度よりも100℃以上高い温度で、かつ、15秒以上加熱すればよい。
また、市販の酸素分析装置では、まず、分析装置内に試料を取り込み、試料周辺の雰囲気をキャリアガスであるヘリウムガスで置換する間に、るつぼの交換、電極の清掃および「空焼き」処理を実施する。したがって、試料を投入してから分析値が判明するまで、比較的長い時間を要する。るつぼの交換および電極の清掃、さらに「空焼き」処理を先行して実施させ、分析装置が分析可能な状態で清浄化前処理した試料を投入することで、要求される分析所要時間に応じた迅速化を実現させることができる。
通常、酸素分析に際して、検出したガス量を試料中の酸素濃度に変換するため、試料重量を精密に秤量する必要がある。真空アークプラズマ処理前後での試料重量変化を評価した結果、試料の形状や表面酸化度合いによって多少ばらつきはあるものの、高々1mg程度の減量であったことから、試料重量0.5〜1.0gに対しては実用上無視できる程度の誤差しか与えないことが判明した。そこで、本発明を実施する際には、機械加工して得た後に予め秤量した分析試料を、真空アークプラズマ処理し、大気と接触させることなく、そのまま酸素分析装置に挿入することとした。
以上の知見に基づき、以下の本発明を完成させるに至った。
(1)溶鋼を精錬して該溶鋼のRH処理を終了する以前に、該溶鋼に含まれるSの質量濃度を10ppm以下,T.[O]の質量濃度を40ppm以下とし、かつ、該RH処理を終了した後の溶鋼のT.[O]分析値に基づいて、該溶鋼へ添加するCa質量を(1)式および(2)式を満たすように調整すること、および
前記したRH処理終了後の溶鋼のT.[O]分析を、該溶鋼から採取して凝固させた試料を用い、かつ、その分析方法として
鉄鋼試料を黒鉛るつぼに入れて不活性ガス中で加熱融解し、発生した一酸化炭素または二酸化炭素のいずれかひとつあるいは両方の赤外線吸収度から該試料中の酸素濃度を測定する方法であって、
該試料表面の酸化皮膜を除去、清浄化する前処理として真空アークプラズマ処理をアークプラズマ放電開始時の真空度を5Pa以上35Pa以下かつ、アークプラズマ出力電流を15A以上55A以下とする条件下において、
溶鋼から採取した鋼塊に対して、高さ1.5mm以上7mm以下、表面積Sと体積Vの比(S/V)が1.05以上1.30以下となるように機械加工して得た小片を試料とし、
前記アークプラズマ放電を前記試料に、合計4回以下であって、かつ合計処理時間として0.2秒以上1.2秒以下施した後、
該試料を大気と接触させることなく、直接、分析時の温度よりも高い温度で加熱、清浄化した後、分析する温度に下げて待機させた黒鉛るつぼへ投入する鉄鋼中酸素分析方法を用いること
を特徴とする、Ca処理鋼の製造方法。
A(kg/t)=B×T.[O]+0.02・・・・(1)
0.003≦B≦0.006 ・・・・・(2)
A:Ca添加質量(kg/t)
B:係数
T.[O]:RH処理終了後のCa添加前の溶鋼の酸素濃度分析値(ppm)
(2)溶鋼を精錬してRH処理を終了する以前に、該溶鋼に含まれる成分を質量濃度でC:0.03%以上0.07%以下、Mn:1.1%以上1.5%以下とすることを特徴とする、上記(1)に記載のCa処理鋼の製造方法。
本発明によれば、鋼中介在物の組成を制御することができ、耐HIC性に優れた鋼材の製造が可能となる。
本発明に係る鉄鋼中酸素分析設備を模式的に示す図である。 HIC発生におよぼす、T.[O]質量濃度とCa添加量の関係を示すグラフである。 溶鋼中T.[O]質量濃度と介在物中CaO濃度の関係を示すグラフである。 比較例と本発明実施例での、Ca添加量によるHIC発生の影響を示すグラフである。 比較例と本発明実施例での、介在物中CaO濃度によるHIC発生の影響を示すグラフである。
以下、本発明に係る酸素迅速分析技術を使用した耐HIC鋼の製造方法の最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
圧延時に破砕せずに球状を維持する介在物は、介在物中のCaS濃度10質量%未満かつ介在物中のCaO濃度が50質量%以上60質量%以下となる低融点組成のCaO−Al系介在物である。介在物をこのような範囲に制御することで、鋼材の耐HIC性はきわめて高くなる。
本発明の要旨は(1)および(2)のCa処理鋼の製造方法、ならびに(3)のT.[O]分析方法を用いる前記(1)および(2)のCa処理鋼の製造方法にある。
(1)鋼中に含まれる介在物の組成がCaS:10質量%未満、かつCaO:50質量%以上60質量%以下とするために、溶鋼を精錬して該溶鋼のRH処理を終了する以前に、該溶鋼に含まれるSの質量濃度を10ppm以下,T.[O]の質量濃度を40ppm以下とし、かつ、該RH処理を終了した後の溶鋼のT.[O]分析値に基づいて、該溶鋼へ添加するCa質量を(1)式および(2)式を満たすように調整することを特徴とする、Ca処理鋼の製造方法。
A(kg/t)=B×T.[O]+0.02・・・・(1)
0.003≦B≦0.006 ・・・・・(2)
A:Ca添加質量(kg/t)
B:係数
T.[O]:RH処理終了後のCa添加前の溶鋼の酸素濃度分析値(ppm)
(2)溶鋼を精錬してRH処理を終了する以前に、該溶鋼に含まれる成分を質量濃度でC:0.03%以上0.07%以下、Mn:1.1%以上1.5%以下とすることを特徴とする、上記(1)に記載のCa処理鋼の製造方法。
(3)Ca添加前の溶鋼からサンプルを採取し、Ca添加までにT.[O]を分析して適切なCa添加量を決定するために、そのT.[O]を短時間でかつ精度よく分析する方法として、前記した(i)〜(iv)という特徴を有する酸素分析方法を用いることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のCa処理鋼の製造方法。
ここで、RH処理を終了する以前に、該溶鋼に含まれる成分を質量濃度でC:0.03%以上0.07%以下,Mn:1.1%以上1.5%以下とすることを特徴とする理由は以下による。
C濃度は鋼材の強度確保のため0.03%以上とし、また、中心偏析の悪化抑制のため0.07%以下とする。Mn濃度は鋼材の強度確保のため1.1%以上とするが、Mnが1.5%を超えるとMnSの生成が活発となるため、1.5%以下とする。
鋼中酸素濃度は、酸化物系介在物中の酸素および、鋼中に溶解している酸素の合計である。あらかじめAlにより脱酸された溶鋼中の溶解酸素は微量であるため、分析される鋼中酸素濃度は酸化物系介在物であると考えて問題ない。
介在物中のCaO濃度は鋼中酸素濃度、鋼中S濃度,Ca添加量に依存する。鋼中S濃度>10ppmとなると、MnS生成を抑制するためには、大量のCaを添加しなければならない。しかし、S濃度の高い溶鋼にCaを大量添加すると、CaS生成抑制が困難となるため、鋼中S濃度>10ppmとなるとCa添加による介在物組成の制御が不能となる。したがって、Ca添加前の溶鋼中S濃度は10ppm以下とする必要がある。
表1には、RH処理後の溶鋼サンプルをオフラインで別途分析し、溶鋼中の成分質量濃度及びCa添加量と介在物中のCaO質量濃度、CaS質量濃度並びに耐HIC試験結果との関係を整理して示す。耐HIC試験は、後述するNACE条件で行ったものである。
Figure 0005347729
表1に示す条件で図2に示すようにT.[O]濃度とCa添加量がHIC発生におよぼす影響を調査したところ、T.[O]濃度に対するCa添加量により、HIC発生あり、なしの領域が明確に整理できた。したがって分析されたT.[O]濃度から適正なCa添加量の範囲を(1)式(2)式のように決定した。また図3に示すように、(1)式で決定されるCa添加量の範囲内にすることで、介在物中のCaO濃度を50質量%以上60質量%以下に制御することが可能であり、極めて耐HIC性が向上することが分かった。
溶鋼に添加するCaもしくはCa含有物質は、単体金属CaもしくはCaSi、FeCaなどのCa合金またはCaを含む3種類以上の元素からなる合金など、いかなるものでもよい。Caの添加方法はCaもしくはCa含有物質をキャリアガスとともに溶鋼内に吹き込むインジェクション法やCaもしくはCa含有物質を鉄製ワイヤーに充填し、ワイヤーとともに溶鋼に添加するワイヤーフィーダー法などがあるが、いかなる方法でもよい。
本発明例では、転炉から出鋼した後、脱酸、脱硫した溶鋼をRH処理し、RH処理後にサンプルを採取し、前述した迅速分析方法を用いてトータル酸素を迅速に分析し、上記(1)式および(2)式で決定されるCa量を添加した。Ca添加には、30質量%Ca−70質量%SiのCaSi合金を充填したワイヤーフィーダー法を使用した。
結果を表2および図4,5に示す。得られた厚板からサンプルを切り出し、検鏡法により介在物の形態および組成を走査型EPMA,エネルギー分散型X線分析装置により調査するとともに、耐HIC評価試験を実施した。耐HIC評価試験は以下に示すNACE条件で行った。
NACE条件
温度:24.8±2.8℃
pH:Max4.5
溶液:5%NaCl+0.8%CHCOOH
時間:96時間
S濃度:HS飽和
S流量:100〜200cc/min
表2に示すように、本発明では介在物中CaO質量濃度:50〜60%,CaS質量濃度:10%未満に確実に制御されており、HICの発生が抑制された。
Figure 0005347729
1 前処理装置
2 酸素分析装置
3 処理前試料投入口
4 隔離バルブ
5 前処理済試料投入口
6 架台
7 リフター
8 連結管
9 前処理済試料途中取出口

Claims (2)

  1. 溶鋼を精錬して該溶鋼のRH処理を終了する以前に、該溶鋼に含まれるSの質量濃度を10ppm以下、T.[O]の質量濃度を40ppm以下とし、
    かつ、該RH処理を終了した後の溶鋼のT.[O]分析値に基づいて、
    該溶鋼へ添加するCa質量を(1)式および(2)式を満たすように調整すること、および
    前記したRH処理終了後の溶鋼のT.[O]分析を、該溶鋼から採取して凝固させた試料を用い、
    かつ、その分析方法として
    鉄鋼試料を黒鉛るつぼに入れて不活性ガス中で加熱融解し、発生した一酸化炭素または二酸化炭素のいずれかひとつあるいは両方の赤外線吸収度から該試料中の酸素濃度を測定する方法であって、
    該試料表面の酸化皮膜を除去、清浄化する前処理として真空アークプラズマ処理をアークプラズマ放電開始時の真空度を5Pa以上35Pa以下かつ、アークプラズマ出力電流を15A以上55A以下とする条件下において、
    溶鋼から採取した鋼塊に対して、高さ1.5mm以上7mm以下、表面積Sと体積Vの比(S/V)が1.05以上1.30以下となるように機械加工して得た小片を試料とし、
    前記アークプラズマ放電を前記試料に、合計4回以下であって、かつ合計処理時間として0.2秒以上1.2秒以下施した後、
    該試料を大気と接触させることなく、直接、分析時の温度よりも高い温度で加熱、清浄化した後、分析する温度に下げて待機させた黒鉛るつぼへ投入する鉄鋼中酸素分析方法を用いること
    を特徴とする、Ca処理鋼の製造方法。
    A(kg/t)=B×T.[O]+0.02・・・・(1)
    0.003≦B≦0.006・・・・・・(2)
    A:Ca添加質量(kg/t)
    B:係数
    T.[O]:RH処理終了後のCa添加前の溶鋼の酸素濃度分析値(ppm)
  2. 溶鋼を精錬してRH処理を終了する以前に、該溶鋼に含まれる成分を質量濃度でC:0.03%以上0.07%以下,Mn:1.1%以上1.5%以下とすることを特徴とする、請求項1に記載のCa処理鋼の製造方法。
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