JP5464242B2 - 清浄鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼環流型真空脱ガス設備を用いて、Cを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する清浄鋼を効率的に製造する方法に関する。
近年、鉄鋼材料の高品質化へのニーズの高まりから、P,Sなどの不純物元素の低減に加えて酸化物系介在物を極力低減することが望まれている。これら酸化物系介在物は、溶鋼環流型真空脱ガス処理(RH脱ガス処理)により低減されるため、溶鋼環流型真空脱ガス設備(RH脱ガス設備)を用いた介在物の低減方法が多数提案されている。
特許文献1には、製鋼操業において精錬途中の溶鋼から凝固塊を採取し、高精度で迅速に全酸素(T.[O])濃度を分析する方法が開示されている。
特許文献2には、転炉で未脱酸出鋼した溶鋼を、RH脱ガス設備を用いて脱炭した後、Alで脱酸を行い、そのAl脱酸直後の溶鋼サンプルの全酸素濃度を特許文献1により開示された方法により分析し、この全酸素濃度に基づいて溶鋼環流時間を適正化する、C濃度が0.0030質量%以下の極低炭素鋼の製造方法が開示されている。
特許文献3には、環流用Arガスにより未脱酸状態の溶鋼を真空槽内へ環流しつつ、真空槽内でAlを添加して脱酸し、真空槽内への環流を継続した後に処理を終えるRH脱ガス設備での精錬の際に、Al添加直前の溶鋼中溶解酸素量と、上昇側浸漬管に吹き込まれる環流用Arガス量との関係に基づいてAl添加後の処理時間を調整するRH脱ガス設備を用いた清浄鋼の溶製方法が開示されている。
特許文献2により開示された方法は、極低炭素鋼の製造に、特許文献1により開示された分析方法を適用したものであり、RH脱ガス設備を用いて溶鋼中のC濃度を0.0050質量%以下となるまで真空脱炭を行った後にAl脱酸を行う場合の、Al脱酸後のRH最適環流時間の決定方法である。したがって、RHでの脱炭処理を必須とする極低炭素鋼の製造に適するように諸要件が定められており、RHでの脱炭処理を必要とせず鋼中全酸素濃度の管理が重要な、C濃度が0.03〜0.30質量%の一般的な清浄鋼の製造に適用することはできない。
特許文献3により開示された方法は、RHでAl脱酸時に生成される脱酸生成物、すなわちAl系介在物の量を溶解酸素量から推定するものであり、溶鋼中の全酸素量を直接的に分析するものではないため、RH処理後の全酸素濃度のばらつきが大きくなると推測される。また、RHでは昇熱を目的としてAl脱酸後に溶鋼に酸素などの酸化性ガスを吹き付ける方法が多く用いられるが、この方法では昇熱によって生成されるAl量が考慮されないため、RHでAlを添加し送酸を行った後の最適環流時間を決定することができない。
特開2010−261743号公報 特開2010―280934号公報 特開平11−92821号公報
介在物の評価方法の一つとして、溶鋼中全酸素(T.[O])濃度が挙げられる。RH処理では、昇熱を目的として溶鋼にAlなどを添加し、酸素などの酸化性ガスを吹き付けることが多い。このようなRH処理において、全酸素(T.[O])濃度は、この酸化性ガスの吹き付け終了直後に最も高い値となり、その後介在物の浮上分離を目的とした溶鋼環流時間の経過により次第に減少する。
図1は、RH処理での送酸量(Nm/t)と、RH処理での送酸後の全酸素(T.[O];ppm)濃度との関係の一例を示すグラフである。
アルミキルド鋼の製造を目的とするRH処理において送酸終了後の溶鋼のサンプルを採取し、オフラインで溶鋼の全酸素(T.[O])濃度を調査したところ、RHで送酸をしなかった処理ではRH処理開始前の溶鋼中全酸素(T.[O])濃度が25〜30ppm程度であったのに対し、RHで送酸をした処理での送酸完了直後(60秒以内)の溶鋼中全酸素(T.[O])濃度は、図1にグラフで示すように、30〜70ppmとばらつきがあり、しかも、送酸量が多いほど全酸素(T.[O])濃度が高くなるといった単純な関係ではないことが確認された。したがって、送酸完了後の全酸素(T.[O])濃度を把握しないままその溶鋼環流時間を一定とした従来の方法では、過剰な環流による操業ロスを発生させることがあった。
本発明の目的は、Cを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する溶鋼のRH処理中に、全酸素(T.[O])濃度が最も高くなると考えられる送酸完了直後の全酸素(T.[O])濃度を迅速に分析し、この分析値に基づいて溶鋼環流時間を最適に調整することができる、効率的な清浄鋼の製造方法を提供することである。
本発明を実施することによって、Cを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する清浄鋼の製造時における溶鋼環流時間の最適化が可能になり、過剰な環流時間を抑制しRH操業の合理化を達成することができる。
Alを含有する清浄鋼の製造では、RH脱ガス処理においてAl系介在物を減少させる対策が採られており、特に、溶鋼にAlを添加して酸素を吹き付ける昇熱処理を施した場合には、酸素吹き付け完了後のAl系介在物減少対策が極めて重要になる。
そのAl系介在物減少対策としては、一般に酸素吹き付け完了後に溶鋼還流時間を確保し、介在物を浮上分離させる方法が採用されており、Al系介在物の浮上分離効果は溶鋼中のAl系介在物量に依存するため、Al系介在物量が多いほど溶鋼還流時間を長くする必要があるという一般的傾向は知られていた。しかし、その還流時間を最適にするための、RH処理中の溶鋼中全酸素(T.[O])濃度を、溶鋼の還流を終える前に知ろうとしてもその術がなかった。
この問題を解決するためには、Alを添加して酸素を吹き付けた後の溶鋼からサンプルを採取し、その全酸素(T.[O])濃度を分析して、溶鋼の還流を終える前に適切な還流時間を決定し、決定した環流時間で環流を行う必要がある。
この必要に対して、溶鋼中全酸素濃度(T.[O])を短時間でかつ精度よく分析する方法として、特許文献1により開示された方法に準じて、以下に示すような分析方法を検討し、確立した。
(A)鉄鋼試料を黒鉛るつぼに入れて不活性ガス中で加熱融解し、発生した一酸化炭素または二酸化炭素のいずれかひとつあるいは両方の赤外線吸収度から該試料中の酸素濃度を測定する方法において、機械加工したままの試料に対して、予め真空アークプラズマ処理により試料表面の酸化皮膜を除去、清浄化する前処理を施した後、大気と接触させることなく、直接黒鉛るつぼに投入する。
(B)溶鋼から採取した鋼塊を切断して作製したスライス片に対して、プレスにより打ち抜いた小片を試料として用い、予め空焼きして、待機させた黒鉛るつぼに前処理を施した試料を投入する。
(C)真空アークプラズマ処理により試料表面を清浄化する試料前処理装置と、不活性ガス中加熱融解−赤外線吸収法を動作原理とする酸素分析装置とから構成され、それぞれを、鉛直上下に配置するとともに真空または不活性ガスで内部を置換した連結管で連結し、前処理済み試料を試料前処理装置から連結管を介して落下させて酸素分析装置へ供給する。
この分析方法をオンラインで適用することにより、送酸完了直後の全酸素(T.[O])濃度を溶鋼還流完了までに把握し、最適な還流時間を決定することが可能になる。
具体的には、次のような分析値の精度および分析に要する時間で全酸素濃度(T.[O]濃度)を分析することが可能となる。
(i)分析値の精度
酸素含有量50ppm以下の鋼に対して、分析値のばらつきは3ppm以内に収まること。ただし、このばらつきの値は標準偏差の3倍で定められているため、標準偏差は±1ppmに収まることと換言できる。
(ii)分析に要する時間
鋼塊試料を受け取ってから、試料加工および清浄化前処理を経て、分析により酸素濃度が判明するまでの時間(以下、分析所要時間と称する)は4分間以内であること。より望ましくは3分間以内であること。
以下に、図面を用いて、この分析方法を詳しく説明する。
図2は、本発明により開示された分析方法を実施するための鉄鋼中酸素分析装置を、模式的に示す説明図である。図2における各符号をまとめて示すと、1:前処理装置、
2:酸素分析装置、3:処理前試料投入口、4:隔離バルブ、5:前処理済試料投入口、6:架台、7:リフター、8:連結管、9:前処理済試料途中取出口である。
本発明に求められる短時間かつ高精度の分析を実現するために、組み合わせる要素技術の内、迅速かつ再現性の高い試料前処理方法として、真空アークプラズマ処理を選択する。例えば、特開2002−328125号公報により開示された金属中成分分析用試料の調整方法及び装置を適用すればよい。
図2において、予め真空に保った前処理装置1内に、隔離バルブ4,4を介して、真空度を殆ど変化させることなく、処理前試料投入口3から試料を挿入する。その後、前処理装置1において真空アークプラズマ処理により、試料表面の酸化皮膜を数秒間で除去する。ここで、試料表面の酸化皮膜を確実、正確かつ再現性良く除去し、精錬操業上必要とされる分析精度を確保するため、下記の条件でアークプラズマ処理することが望ましい。
(1)真空度:10Pa以上100Pa以下(酸素分圧2〜20Torr)、より望ましくは、20Pa以上50Pa以下とする。真空アークプラズマ処理による試料表面酸化皮膜除去反応は真空度が高いほど促進されるが、真空度が100Paを超えると、試料温度上昇に伴う再酸化反応が顕著になるため望ましくない。一方、真空度が10Paより低いと、酸化皮膜除去反応自体が進行しなくなるため、望ましくない。したがって、最適な真空度(あるいは酸素分圧)が存在する。なお、処理時に真空度が一定値に保持されるよう、真空排気バルブとガス導入バルブの開閉を制御する圧力制御機構を有することがなお望ましい。
(2)処理時間:0.2秒間以上0.6秒間以下とする。より望ましくは0.2秒間以上0.5秒間以下とする。
(3)処理回数:1回とする。
(4)アークプラズマ出力電流:20A以上40A以下、より望ましくは30Aとする。
処理後の試料は、大気と接触させることなく、分析装置に配置した前処理済試料投入口5を通じて、最終的に酸素分析装置2内の黒鉛るつぼに投入される。前処理装置1と酸素分析装置2の前処理済試料投入口5は、真空または不活性ガスで内部を置換された連結管8により連結される。不活性ガス種は、空気との比重差を考慮して、連結管8内を確実にガス置換して、処理後の試料の再酸化を防止する観点、さらには経済的な観点から、Arが望ましい。
特開2002−328125号公報により開示された装置では、前処理済試料は払い出された後、別置きの酸素分析装置に移送される。しかし、本発明では迅速性が要求されることから、図2に例示するように、前処理装置1と酸素分析装置2をそれぞれ鉛直上下に配置し、試料を、連結管8内を自由落下させて移送するように構成される。
図2に示される装置では、酸素分析装置2が床面に近い位置に配置され、酸素分析装置2の内部の清掃がガス中の不純物吸着剤の交換等、装置の維持管理作業に支障をきたす。そこで、架台6に組み込まれた装置全体をリフター7に載せて昇降可能とし、この作業の際には装置全体を上げて、作業性を確保することが望ましい。このリフター7の駆動方式は特に問わないが、装置全体では相当な重量であることから、操作性の観点で、自動油圧式が望ましい。また、リフター7の可動部は伸縮可能な材料で覆い、作業者が挟まれることのないように安全性に配慮した構造を有することが望ましい。
さらに、連結した酸素分析装置2が故障して使えない場合や、分析待ちの前処理済試料を別の酸素分析装置で分析する場合に備えて、前処理装置1と酸素分析装置2の連結管8の途中に前処理済試料の取出口9を設けることが望ましい。
本発明に係る分析方法を実現するために組み合わせる要素技術の内、溶鋼から採取した鋼塊より簡便かつ迅速に分析試料を得る方法として、溶鋼から採取した鋼塊を切断して作製した高さ(厚さ)が2.5mmより大きく、7mmより小さいスライスに対して、打ち抜いた小片を試料として用いることが望ましい。具体的には、例えば、特開平10−311782号公報に開示された分析試料の調整方法及び装置を適用すればよい。試料表面の酸化皮膜を確実、正確かつ再現性良く除去するためには、試料底面の直径と高さから計算される表面積Sと体積Vの比S/Vが、1.00以上1.45以下となる形状を確保することが望ましい。この理由は現時点で十分解明できていないが、電極形状などアーク処理部の形状に依存して、アークプラズマの空間分布において効率的な処理に好適な位置が限定されることに対応しているものと推察される。
本発明に係る分析方法を実現するために組み合わせる要素技術の内、高精度な全酸素(T.[O])濃度の分析方法として、不活性ガス中加熱融解−赤外線吸収法を動作原理とする酸素分析装置2を用いることが望ましい。この分析法では、試料ホルダと試料の脱酸反応剤(炭素)供給源を兼ねる黒鉛るつぼを使用する。分析に先立って、るつぼ表面に吸着した酸素や汚染を除去するため、分析時よりもやや高い温度でるつぼだけを予め加熱する、いわゆる「空焼き」処理を実施する。
市販の酸素分析装置で鋼中の全酸素(T.[O])濃度を分析する際には、通常、るつぼ、すなわち試料を1800℃〜2200℃程度の温度に加熱する。「空焼き」処理により、黒鉛るつぼから発生する酸素、一酸化炭素あるいは二酸化炭素が分析値を変動させる影響を低減し、本発明で要求される高い分析精度を実現するためには、分析時の温度よりも100℃以上高い温度で15秒間以上加熱すればよい。
市販の酸素分析装置では、まず、分析装置内に試料を取り込み、試料周辺の雰囲気をキャリアガスであるヘリウムガスで置換する間に、るつぼの交換、電極の清掃および「空焼き」処理を実施する。したがって、試料を投入してから分析値が判明するまで時間が比較的長いという問題があった。そこで、本発明では、るつぼの交換、電極の清掃および「空焼き」処理を先行させ、分析可能な状態にある酸素分析装置に清浄化前処理した試料を投入することにより迅速化を実現することができる。
また、通常、全酸素(T.[O])濃度の分析に際して、検出したガス量を試料中の酸素濃度に変換するため、試料重量を精密に秤量する必要がある。真空アークプラズマ処理前後での試料重量変化を評価した結果、試料の形状や表面酸化度合いによって多少ばらつきはあるものの、高々1mg程度の減量であったことから、試料重量0.5〜1.0gに対しては実用上無視できる程度の誤差しか与えないことが判明した。そこで、本発明を実施する際には、機械加工して得た後に予め秤量した分析試料を、真空アークプラズマ処理し、大気と接触させることなく、そのまま酸素分析装置2に挿入することとした。
この鋼中酸素分析方法を活用して、Cを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する溶鋼250〜300トンを対象として、溶鋼環流型真空脱ガス設備を用いて清浄鋼を製造する際に、酸素供給条件や溶鋼環流条件を変えて、適正な溶鋼環流処理条件を検討した結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に列記の通りである。
(1)溶鋼環流型真空脱ガス設備を用いて、Cを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する清浄鋼を製造する方法であって、
Alを含有する溶鋼250〜300トンに酸素を供給して溶鋼温度を上昇させた後、該溶鋼からサンプルを採取し、
前記溶鋼を環流ガス流量1.0〜3.0Nm/分で環流させつつ、
該サンプルの全酸素濃度の分析値(T.[O])に基づいて、該サンプル採取時点からの溶鋼環流時間を(1)式および(2)式を満たすように調整すること
を特徴とする清浄鋼の製造方法。
−0.5≦t≦t+0.5 ・・・(1)
=−(1/k)×ln{(T.[O]−10)/(T.[O]−10)}
・・・(2)
t:サンプル採取時点からの溶鋼環流時間(分)
k:脱酸速度定数:0.15(1/分)
T.[O]:RH処理後の全酸素濃度の目標値(質量ppm)
T.[O]:前記サンプルの全酸素濃度の分析値(質量ppm)
(2)前記サンプルの全酸素濃度の分析値(T.[O])は、
前記溶鋼から採取したサンプルの凝固後に機械加工して分析用試料を作成し、該分析用試料を黒鉛るつぼに入れて不活性ガス中で加熱融解し、発生した一酸化炭素または二酸化炭素のいずれかひとつあるいは両方の赤外線吸収度から該試料中の酸素濃度を測定する方法であって、前記機械加工したままの試料に対して、真空度を10Pa以上100Pa以下とし、かつ、アークプラズマ出力電流を20A以上40A以下とする条件下で、0.6秒間以下の真空アークプラズマ処理を1回のみ行って前記試料表面の酸化皮膜を除去、清浄化する前処理を施した後、大気と接触させることなく、直接、黒鉛るつぼに投入する鉄鋼中酸素分析方法
により求められること
を特徴とする、(1)項に記載された清浄鋼の製造方法。
本発明によれば、溶鋼環流型真空脱ガス設備を用いてCを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する清浄鋼を製造する際に、酸素供給条件やその間の溶鋼環流条件に関係なく、RH脱ガス処理後の全酸素(T.[O])濃度を目標値に制御することができ、要求される全酸素(T.[O])濃度に応じた効率的なRH脱ガス処理を行うことが可能となる。
図1は、RH処理での送酸量(Nm/t)と、RH処理での送酸後の全酸素濃度(T.[O];ppm)との関係の一例を示すグラフである。 図2は、本発明により開示された分析方法を実施するための鉄鋼中酸素分析装置を、模式的に示す説明図である。 図3は、サンプル採取後の溶鋼環流時間(分)と、溶鋼環流中全酸素(T.[O])濃度との関係の一例を示すグラフである。
転炉などで溶製したC濃度が0.03〜0.30質量%、P濃度0.050質量%以下、S濃度0.010質量%以下の溶鋼を、取鍋へ出鋼する。この際、溶鋼は脱酸しても未脱酸としてもよく、脱酸する場合はSi濃度0.02〜1.0質量%、Mn濃度0.10〜2.50質量%に調整する。
本発明に係る清浄鋼の製造方法は、取鍋内溶鋼に2本足浸漬管を設置して真空槽内を真空排気し、片方の浸漬管から環流用不活性ガスを吹き込むRH脱ガス設備を用いて、Cを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する溶鋼に酸素を供給して溶鋼温度を上昇させ、その後溶鋼を還流させてAlを含有する清浄鋼を製造する方法である。
Cを0.03質量%以上含有する溶鋼を対象とする理由は、Cを0.03質量%未満にするためにはRHでの真空脱炭処理を通常必要とするため、そのような類の真空脱炭処理を施された溶鋼を対象としないことを明確にするためである。
一方、Cを0.30質量%以下含有する溶鋼に制限する理由は、全酸素濃度の管理を重視する鋼種がこの程度のC濃度以下に多いためである。
RH脱ガス設備において、溶鋼に酸素を供給する前に、Cを0.03〜0.30質量%のほか、当該溶鋼を用いて製造する製品の規格濃度に近い濃度まで溶鋼成分を調整し、さらに供給酸素量が反応してAlを生成するのに見合うsol.Al濃度が含有されるよう、溶鋼中にAlを添加する。
酸素供給を開始する前の溶鋼中sol.Al濃度は特に規定する必要はないが、酸素供給終了後のsol.Al濃度は、当該処理中の溶鋼により製造する製品のAl規格濃度に近い濃度である必要がある。
酸素供給を完了した直後(60秒間以内)に溶鋼からサンプルを採取し、直ちにその全酸素(T.[O])濃度を分析するほか、同じタイミングで他の成分も分析することは可能であるので、製品の規格濃度に合うようにCやAlのほか、各合金成分の濃度を微調整することは可能である。但し、そのような微調整を行わなくて済むほうが望ましいことは当然である。
溶鋼の全酸素(T.[O])濃度が判明したら、前記した(2)式に当てはめてサンプル採取時以降の必要溶鋼環流時間を計算し、その計算値±0.5分間の溶鋼環流時間を経過させた後に溶鋼環流を停止してRH処理を終える。
目標とする全酸素(T.[O])濃度以下にするためには、基本的にはサンプル採取時以降の溶鋼環流時間を(2)式の計算値とすればよいのであるが、処理条件の多少のバラツキや溶鋼環流操作停止タイミングに絡む操業上の都合などを配慮して、実際上は(2)式の計算値±0.5分間の溶鋼環流時間になるよう調整すれば、所望するレベルの清浄鋼を製造するためのRH処理時間を最適化することができる。
従来から、Alを含有する溶鋼のRH処理においては、送酸完了後の溶鋼還流時間に応じて全酸素濃度(T.[O])が減少することが分っていた。しかし、従来はRH送酸完了後の全酸素濃度(T.[O])の値を、溶鋼環流完了前に正確に知る具体的な方法が知られていなかった。そのため、RH送酸完了後の全酸素(T.[O])濃度の値を製品に応じて必要なレベルに制御しようとする試みは難しく、必要な全酸素(T.[O])濃度以下が着実に達成されるように、送酸完了後の環流時間を経験的に長めに決定していた。したがって、溶鋼環流時間が過剰になる場合が多かった。
しかし、RH送酸完了後の全酸素(T.[O])濃度の値を、図2に示す装置を用いて溶鋼環流中に正確かつ迅速に知ることが出来るので、目標となる全酸素(T.[O])濃度に必要な環流時間を決定することができ、過剰なRH処理時間を削減することが可能となる。
そこでまず、本発明者らは、前記した溶鋼中全酸素(T.[O])濃度の迅速分析方法の確立に注力した。そして、その分析方法を、Alを含有する溶鋼の清浄化処理時に溶鋼環流時間の適正化に利用することができるように開発を進めた。
従来は、RH処理後の全酸素(T.[O])濃度の目標は要求される品質レベルによって決定すればよかったが、そのRH処理後の全酸素(T.[O])濃度の目標値に到達するのに必要な溶鋼環流時間が、具体的には不明であった。そこでRH送酸完了後から溶鋼環流中にサンプリングを実施し、溶鋼環流時間と全酸素(T.[O])濃度の関係を調査した。
その結果を図3にグラフで示す。図3は、サンプル採取後の溶鋼環流時間(分)と、溶鋼環流中全酸素(T.[O])濃度との関係の一例を示すグラフである。
図3のグラフ中の実線は、送酸完了直後にサンプルを分析して得た全酸素(T.[O])濃度に対して、(2)式によりサンプル採取時以降の環流時間に対応するT.[O]濃度(T.[O])を算出して図示したものであり、プロットはその時点で採取したサンプルのT.[O]濃度分析値である。
なお、送酸を実施しなかった場合についても、RHでの環流開始前に採取したサンプルを用いてT.[O]濃度分析を行い、環流開始以降の計算値を点線で示すと共に、そのサンプルの分析値をプロットして示した。
図3のグラフより(2)式を用いてRHの溶鋼還流時間に対応する全酸素(T.[O])濃度の推移を推定することが可能であり、逆に、全酸素(T.[O])濃度の目標値によって最適な溶鋼環流時間を予測することが可能であることも分かった。
本発明者らは、上述した知見をオンライン操業に反映させるために、全酸素(T.[O])濃度を短時間でかつ精度よく分析する方法として、前記した鉄鋼中酸素の迅速分析方法を確立して使用したのである。
転炉から出鋼した後、CやMn等の各成分を調整し、さらにRHにて酸素を供給して溶鋼温度を上昇させた後、酸素供給停止から約30秒間が経過した時点で溶鋼のサンプリングを実施した。そのサンプルを用いて前記した分析方法により4分間以内でT.[O]濃度を分析し、(2)式を用いて目標の全酸素(T.[O])濃度とするのに必要な溶鋼環流時間を計算し、その計算値に対して±0.5分間以内に溶鋼環流を停止して、RH脱ガス処理を終了した。
比較例として、酸素供給停止から約30秒間が経過した時点で溶鋼のサンプリングを実施したものの、その分析値を参考にしなかった例と、送酸を実施する必要が無いと予め分かっていたが、RH処理開始前に採取した溶鋼サンプルを用いて、本発明例と同様に全酸素(T.[O])濃度を分析した例とについても調査したので、それらの比較例と対比しつつ、本発明例について説明する。
先ず、本発明例,比較例ともに、それらの全酸素(T.[O])濃度分析用サンプルを用いて、溶鋼中の各種成分の濃度を別途分析して得た値を、表1に纏めて示す。
さらに、本発明例,比較例におけるRH処理後の目標全酸素(T.[O])濃度とそれらのサンプルの全酸素(T.[O])濃度、および(2)式にこれらの濃度を代入して得た必要環流時間(t)と、サンプル採取後の実績環流時間、ならびにRH処理後の実績全酸素(T.[O])濃度も、表1に併せて示す。このサンプル採取後の溶鋼環流時間中には、環流ガスとしてArを1.5〜2.5Nm/分の流量で供給し続け、溶鋼環流停止後に再度溶鋼からサンプルを採取して、RH処理後の溶鋼中T.[O]濃度を確認した。
Figure 0005464242
RH処理後の目標全酸素(T.[O])濃度が20ppm以下で同一の比較例1,2と本発明例1,2とを対比するとともに、RH処理後の目標全酸素(T.[O])濃度が25ppm以下で同一の比較例3,4と本発明例3とを対比すると、本発明例のほうが実績溶鋼環流時間が4〜5分間程度短くすることができ、しかも、目標としたRH処理後の全酸素(T.[O])濃度を達成できていることが確認できた。
比較例1〜4では、溶鋼環流時間とRH処理後全酸素(T.[O])濃度との関係を十分に把握できていないために、全酸素(T.[O])濃度の管理目標からの外れを防止する必要から、必要以上の溶鋼環流時間をとっていて、その分だけRH処理能率の低下と清浄鋼製造コストの上昇を招いていたことが分かった。
1 前処理装置
2 酸素分析装置
3 処理前試料投入口
4 隔離バルブ
5 前処理済試料投入口
6 架台
7 リフター
8 連結管
9 前処理済試料途中取出口

Claims (2)

  1. 溶鋼環流型真空脱ガス設備を用いて、Cを0.03〜0.30質量%含有すると共にAlを含有する清浄鋼を製造する方法であって、
    Alを含有する溶鋼250〜300トンに酸素を供給して溶鋼温度を上昇させた後、該溶鋼からサンプルを採取し、
    前記溶鋼を環流ガス流量1.0〜3.0Nm/分で環流させつつ、
    該サンプルの全酸素濃度の分析値(T.[O])に基づいて、該サンプル採取時点からの溶鋼環流時間を(1)式および(2)式を満たすように調整すること
    を特徴とする清浄鋼の製造方法。
    −0.5≦t≦t+0.5 ・・・(1)
    =−(1/k)×ln{(T.[O]−10)/(T.[O]−10)}
    ・・・(2)
    t:サンプル採取時点からの溶鋼環流時間(分)
    k:脱酸速度定数:0.15(1/分)
    T.[O]:RH処理後の全酸素濃度の目標値(質量ppm)
    T.[O]:前記サンプルの全酸素濃度の分析値(質量ppm)
  2. 前記サンプルの全酸素濃度の分析値(T.[O])は、
    前記溶鋼から採取したサンプルの凝固後に機械加工して分析用試料を作成し、該分析用試料を黒鉛るつぼに入れて不活性ガス中で加熱融解し、発生した一酸化炭素または二酸化炭素のいずれかひとつあるいは両方の赤外線吸収度から該試料中の酸素濃度を測定する方法であって、前記機械加工したままの試料に対して、真空度を10Pa以上100Pa以下とし、かつ、アークプラズマ出力電流を20A以上40A以下とする条件下で、0.6秒間以下の真空アークプラズマ処理を1回のみ行って前記試料表面の酸化皮膜を除去、清浄化する前処理を施した後、大気と接触させることなく、直接、黒鉛るつぼに投入する鉄鋼中酸素分析方法
    により求められること
    を特徴とする請求項1に記載された清浄鋼の製造方法。
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