JP5333293B2 - 離型フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

離型フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は離型フィルムおよびその製造方法に関する。より詳しくは、ICチップやLED等の半導体封止工程、あるいは、多層プリント配線板製造時の積層熱プレス工程やフレキシブルプリント配線板製造時のカバーレイ貼付工程等の実装工程の歩留まり向上に用いられる離型フィルムおよびその製造方法に関する。
携帯電話等のモバイル機器の小型化、薄型化に伴い、ICチップやLED等の半導体素子の小型化、薄型化が進んでいる。これら素子を封止している封止チップ形状も変化しており、最近では、従来の表面実装用素子に見られる、リードフレームが封止チップから伸びるように配置された形状ではなく、素子上に端子が直接配置された形状になるチップ・サイズ・パッケージ(CSP)やボール・グリッド・アレイ(BGA)、クアッド・フラット・ノウリード・パッケージ(QFN)といった形状の実装用封止チップが主流となりつつある。このような形状にすることで、実装面積を小さくするといった利点があり、機器の小型化に貢献している。また、薄型化に関しても、ベアチップ自身が薄くなるだけでなく、封止層厚も薄くなることで貢献している。
しかし、このような形状を実現するために、製造工程で割れやすくなったり、端子部に封止材がはみ出したりして、製造歩留まりが低下している。その不具合を改良するために、例えば、離型フィルムによるアシスト成型を用いた封止方法が提案され普及している(特許文献1,2参照)。しかし、上記文献に記載される離型フィルムの材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)およびポリイミドは高価であり、また廃棄する際に焼却処理が出来ないという問題がある。
また、特許文献3では、ポリ(4−メチルペンチン−1)製のフィルムにフッ素ゴム成分層を積層した離型フィルムが開示されている。しかしこのフィルムは成型温度に対する耐熱性が不十分で、高温での機械強度が著しく低下してしまうため、多層構造にしても封止成型中にフィルムが破れるなどの不具合が生じるという問題があった。
一方、携帯電話、液晶テレビ、パーソナルコンピュータ等の情報家電用デバイスの高性能化、複雑化、薄型化、小型化に伴い、プリント配線板やフレキシブルプリント配線板(FPC)上に形成される配線幅の微細化や絶縁層の薄厚化、多層化が進んでいる。そのため、これら配線板に形成された配線間の埋め込み性確保の為に、多層プリント配線板用プリプレグの低粘度化や、FPCカバーレイ接着剤の低粘度化が要求されている。しかし、低粘度化に伴い、配線板端子部へのはみ出しによる導通不良や、配線板端部からのはみ出しによりプレス板が汚れて歩留まりが低下するといった問題が生じている。通常、これらの不具合を解消するため、ポリ(4−メチルペンチン−1)や熱可塑性環状オレフィン樹脂、ETFEなどのフィルムが離型フィルムとして用いられる。しかしポリ(4−メチルペンチン−1)や熱可塑性環状オレフィン樹脂は耐熱性の不足による機械的強度低下のため製造中にフィルムが破損するなどの不具合が生じたり、柔軟性不足のためプリプレグや接着剤のはみ出しによる導通不良が生じたりする場合があった。一方ETFEは高価格の上廃棄の際に焼却処理が出来ないという問題があった。
また特許文献4では、環状オレフィン類を重合させてなる架橋樹脂フィルムが開示されており、離型フィルムとして使用できることが開示されている。しかしこの文献で開示されるフィルムは、柔軟性に欠け、基板端子部へのはみ出しを押さえることが出来ないだけでなく、プレス時に配線やチップに傷をつけたり、高温加圧プロセス中に、離型フィルム自身の機械的特性、特に柔軟性が低下するという問題があった。またこのフィルムは、封止材やプリプレグ、接着剤に使用されるエポキシ樹脂との離型性も十分ではなかった。
特開2000−167841号公報 特開2001−250838号公報 特開2002−158242号公報 特開2001−253934号公報
本発明の目的は、上述のような問題点を解消し、ICチップやLED等の半導体封止工程、あるいは、多層プリント配線板積層製造時の熱プレス工程やフレキシブルプリント配線板製造時のカバーレイ貼付工程等の実装工程の歩留まりを向上させることが可能な、耐熱性と柔軟性を兼ね備えた離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上述の目的を達成すべく鋭意検討した結果、架橋環状オレフィン重合体に非相溶なエラストマー成分を含有させることで、架橋環状オレフィン重合体の機械的特性および熱特性を活かし、かつ柔軟性を付与できることを見出し、この架橋環状オレフィン重合体を用いたフィルムにより上述の目的を達成できることを見出した。さらに本発明者らは、環状オレフィンモノマー、該環状オレフィンモノマーの架橋重合体と非相溶であるエラストマーおよび重合触媒を含む重合性組成物を塊状重合することで、本発明のフィルムを製造することが可能であることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第一によれば、架橋環状オレフィン重合体および該重合体と非相溶であるエラストマーを含む、樹脂組成物からなる離型フィルムが提供される。
前記エラストマーはオレフィン系エラストマーであることが好ましく、該オレフィン系エラストマーはエチレン−αオレフィン共重合エラストマーおよびエチレン−プロピレン−ジエン共重合エラストマーから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
前記離型フィルムは半導体封止工程またはプリント基板製造用に用いられることが好ましい。
本発明の第二によれば、環状オレフィンモノマー、該環状オレフィンモノマーの架橋重合体と非相溶であるエラストマーおよび重合触媒を含む重合性組成物を塊状重合して、架橋環状オレフィン重合体および該重合体と非相溶であるエラストマーを含む、樹脂組成物を得る工程を含む、離型フィルムの製造方法が提供される。
前記の製造方法では、前記重合性組成物を支持体に塗布し、前記塊状重合を該支持体上で行うものであることが好ましい。
前記重合触媒はルテニウムカルベン錯体であることが好ましい。
本発明によれば、耐熱性と柔軟性を兼ね備えた離型フィルムおよびその製造方法が提供される。本発明の離型フィルムは、ICチップやLED等の半導体封止工程、あるいは、多層プリント配線板積層製造時の熱プレス工程やフレキシブルプリント配線板製造時のカバーレイ貼付工程等の実装工程に好適に用いることができる。
本発明の離型フィルムを用いて半導体封止を行う工程の一例を示す図である。 本発明の離型フィルムを用いてプリント基板を製造する方法の一例を示す図である。 本発明の離型フィルムを用いてフレキシブルプリント基板を製造する方法の一例を示す図である。
本発明の離型フィルムは、架橋環状オレフィン重合体および該重合体と非相溶であるエラストマーを含む、樹脂組成物からなる。本発明で用いられる架橋環状オレフィン重合体は、環状オレフィンモノマーの重合により得られる重合体(環状オレフィン重合体)であって、三次元架橋構造を有するものである。環状オレフィン重合体が三次元架橋構造を有することは、1,2−ジクロロベンゼンに溶解しないことにより確認できる。重合体を1,2−ジクロロベンゼンに23℃で24時間浸漬させ、得られた溶液を80メッシュの金網でろ過したときの不溶分で表される架橋度は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。架橋度が低すぎると、所望の耐熱性や機械的強度が発現できず、未架橋成分が基板、金型またはプレス装置等を汚染する恐れがある。
架橋環状オレフィン重合体の製造に用いられる環状オレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例として、ノルボルネン系モノマーおよび単環環状オレフィンなどが挙げられるが、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環を含むモノマーである。具体的には、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類などが挙げられる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、カルボキシル基又は酸無水物基などの極性基が置換基として含まれていてもよい。
また、ノルボルネン環の二重結合以外に、さらに二重結合を有していてもよい。これらの中でも、離型性に優れる離型フィルムが得られるとの観点から、非極性の、すなわち炭素原子と水素原子のみで構成されるノルボルネン系モノマーが好ましい。
非極性のノルボルネン系モノマーとしては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンとも言う。)などの非極性のジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどの非極性のテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンとも言う。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンとも言う。)などの非極性のノルボルネン類;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエン、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エンなどの五環体以上の非極性の環状オレフィン類;などが挙げられる。
これらの非極性のノルボルネン系モノマーの中でも、入手が容易で耐熱性の高い架橋重合体が得られるとの観点から、非極性のジシクロペンタジエン類および非極性のテトラシクロドデセン類が好ましく、非極性のジシクロペンタジエン類がより好ましい。
極性基を含むノルボルネン系モノマーとしては、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、酢酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、2−アセチル−5−ノルボルネン、7−オキサ−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
単環環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエン、及び置換基を有するこれらの誘導体が挙げられる。
これらの環状オレフィンモノマーは1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。単環環状オレフィンの添加量は、環状オレフィンモノマーの全量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。添加量が40質量%を超えると、得られる架橋環状オレフィン重合体の耐熱性が不十分となる場合がある。
環状オレフィン重合体は、環状オレフィンモノマーを重合触媒を用いて開環メタセシス重合して得られる。重合触媒は環状オレフィンモノマーを、開環メタセシス重合させるものであれば特に限定されない。
重合触媒としては、遷移金属原子を中心にして、イオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が複数結合してなる錯体を用いることができる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、好ましい5族の原子としてはタンタルが挙げられ、好ましい6族の原子としては、モリブデン、タングステンが挙げられ、好ましい8族の原子としては、ルテニウム、オスミウムが挙げられる。
これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体を重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性に優れるため、残留未反応モノマーが少ない架橋環状オレフィン重合体を生産性よく得ることができる。
ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、以下の式(1)又は式(2)で表される錯体が挙げられ、より高活性な重合触媒が得られるとの観点から、式(1)又は式(2)で表される錯体が好ましい。
Figure 0005333293
式(1)及び(2)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでいてもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20の炭化水素基;を表す。X及びXはそれぞれ独立して、任意のアニオン性配位子を示す。L及びLはそれぞれ独立して、中性電子供与性化合物を表す。また、RとRは互いに結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい、脂肪族環又は芳香族環を形成していてもよい。さらに、R、R、X、X、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成していてもよい。
本発明においてヘテロ原子とは、周期表15族及び16族の原子をいう。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S)、砒素原子(As)、セレン原子(Se)などが挙げられる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、及びSが好ましく、Nが特に好ましい。
中性電子供与性化合物は、ヘテロ原子含有カルベン化合物とその他の中性電子供与性化合物に大別することができ、より高活性な重合触媒が得られるとの観点から、ヘテロ原子含有カルベン化合物が好ましい。ヘテロ原子含有カルベン化合物の中でも、カルベン炭素の両側にヘテロ原子が隣接して結合していることが好ましく、カルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含んでヘテロ環が形成されているものがより好ましい。また、カルベン炭素に隣接するヘテロ原子が嵩高い置換基を有していることが好ましい。
好ましいヘテロ原子含有カルベン化合物としては、以下の式(3)又は式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005333293
式(3)又は式(4)において、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20個の炭化水素基;を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
前記式(3)又は式(4)で表される化合物の具体例としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1−シクロヘキシル−3−メシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、前記式(3)又は式(4)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
また、ヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(1)及び式(2)において、アニオン(陰イオン)性配位子XとXは、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、弗素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、沃素原子(I)などのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
前記式(1)において、XとLが互いに結合して多座キレート化配位子を形成しているルテニウムカルベン錯体の例としては、下式(5)で表されるシフ塩基配位錯体が挙げられる。
Figure 0005333293
式(5)において、Zは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、NR12、PR12又はAsR12を表し、R12は、RおよびRで例示したものと同様である。
式(5)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい1価の有機基を表す。ヘテロ原子を含んでいてもよい1価の有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、アリール基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜20のカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキルスルホン酸基、アリールスルホン酸基、炭素数1〜20のホスホン酸基、アリールホスホン酸基、炭素数1〜20のアルキルアンモニウム基及びアリールアンモニウム基を挙げることができる。
これらのヘテロ原子を含んでいてもよい1価の有機基は、置換基を有していてもよく、また、互いに結合して環を形成していてもよい。置換基の例としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基及びアリール基を挙げることができる。また、環を形成する場合の環は、芳香環、脂環及びヘテロ環のいずれであってもよい。
式(5)中、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はヘテロアリール基を表し、これらの基は、置換基を有していてもよく、また、互いに結合して環を形成していてもよい。置換基の例としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシル基及びアリール基を挙げることができ、環を形成する場合の環は、芳香環、脂環及びヘテロ環のいずれであってもよい。
前記式(1)で表される錯体化合物の具体例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、ヘテロ原子含有カルベン化合物及び中性電子供与性化合物が各々1つ結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
式(6)で表される、XとLが互いに結合して多座キレート化配位子を形成しているルテニウムカルベン錯体;などが挙げられる。
Figure 0005333293
式(6)において、Mesはメシチル基を表す。R及びRは、それぞれ、水素原子又はメチル基であって、少なくとも一方はメチル基である。R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい1価の有機基を表す。なお、「1価の有機基」としては、上述したR〜Rと同様のものが挙げられる。
前記式(2)で表される錯体化合物の具体例としては、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの錯体化合物の中でも、前記式(1)で表され、かつ配位子として前記式(3)または(4)で表される化合物を1つ有するものが最も好ましい。
これらのルテニウムカルベン錯体は、Org. Lett., 1999年, 第1巻, 953頁, Tetrahedron. Lett., 1999年, 第40巻, 2247頁や、国際公開公報2003/062253号パンフレットなどに記載された方法によって製造することができる。
重合触媒の使用量は、(重合触媒中の金属原子:環状オレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。重合触媒の量が少なすぎると、重合反応率が低下して重合体中にモノマーが残留したり、架橋重合体の架橋度が低下して得られる離型フィルムの耐熱性が低下したりするおそれがある。重合触媒の量が多すぎると、製造コストの上昇を招き、また反応速度が速くなりすぎて、後述する塊状重合の時にフィルム状に成形することが困難になる場合がある。
重合触媒は、重合活性を制御し、重合反応率を向上させる目的で活性剤(共触媒)と併用することもできる。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズ、珪素のアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。具体的には、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド等のアルミニウム化合物;トリアルコキシスカンジウム等のスカンジウム化合物;テトラアルコキシチタン等のチタン化合物;テトラアルキルズズ、テトラアルコキシスズ等のスズ化合物;テトラアルコキシジルコニウム等のジルコニウム化合物;ジメチルモノクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラクロロシラン、ビシクロヘプテニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のシラン化合物;などを用いることができる。
活性剤の使用量は、(重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
重合触媒は、重合活性を制御し、重合反応速度を調節する目的で重合調節剤と併用することもできる。重合調節剤としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタンなどのリン化合物;エーテル、エステル、ニトリルなどのルイス塩基;等が好適に挙げられる。これらの使用量は重合触媒1モルに対し通常0.01〜50モル、好ましくは0.05〜10モルである。
本発明の離型フィルムを製造する方法としては、溶液重合による方法および塊状重合による方法のいずれも採用することができるが、溶媒除去の工程が不要で、重合と同時にフィルム形状に成形された樹脂組成物を得られるとの観点から、塊状重合による方法が好ましい。
塊状重合による方法では、環状オレフィンモノマー、該環状オレフィンモノマーの架橋重合体と非相溶であるエラストマー、重合触媒および必要に応じ用いられる添加剤を混合して重合性組成物を調製し、これを塊状重合してフィルム形状に成形する。そして、重合後または重合と同時に、得られる環状オレフィン重合体を架橋させて架橋環状オレフィン重合体とすることで本発明の離型フィルムを得ることができる。
本発明では、得られる架橋環状オレフィン重合体と非相溶なエラストマーを用いる。かかるエラストマーを用いることにより、架橋環状オレフィン重合体の耐熱性能および離型性能を維持しつつ、かつ離型フィルムに柔軟性を付与させることができる。ここでエラストマーとは、0℃以上でゴム弾性を有し、少なくともガラス転移点が0℃以下にひとつ存在する高分子のことである。また非相溶とは、二つ以上の成分が混和せず、電子顕微鏡で観察した場合、相分離した状態で観察される状態のことである。通常、透明な重合体に非相溶な成分を添加すると、透明性が低下することで確認できる。
かかるエラストマーの具体例としては、エチレン−αオレフィン共重合エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエン共重合エラストマー、ブチルゴム等のオレフィン系エラストマー;天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の共役ジエンゴムおよびその架橋物;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)とその水素化物(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)とその水素化物(SEPS)等のスチレン含有熱可塑性エラストマー;が挙げられる。
中でも、架橋環状オレフィン重合体の耐熱性能および離型性能を維持しつつ、かつ柔軟性を付与できるとの観点から、炭化水素モノマーのみの重合体である非極性なエラストマーであることが好ましく、架橋環状オレフィン重合体との相溶性が低いとの観点からオレフィン系エラストマーがより好ましく、入手が容易で安価であるとの観点から、エチレン−αオレフィン共重合エラストマーおよびエチレン−プロピレン−ジエン共重合エラストマーがさらに好ましい。エチレン−αオレフィン共重合エラストマーとしては、エチレン−プロピレンエラストマー、エチレン−ブテンエラストマーおよびエチレン−オクテンエラストマーが挙げられ、エチレン−プロピレンエラストマーが特に好ましい。架橋環状オレフィン重合体と相溶するエラストマーを用いると、架橋環状オレフィン重合体の性能、とりわけ耐熱性能を損なう恐れが高いため、好ましくない。
エラストマーは、1種類もしくは異なる化学構造のものを複数併用して使用することも可能である。エラストマーの使用量は、架橋環状オレフィン重合体100重量部に対し通常0.5〜90重量部、好ましくは2〜60重量部、より好ましくは2〜30重量部の範囲である。使用量が少なすぎると離型フィルムに柔軟性を付与する効果が発現し難く、多すぎると架橋環状オレフィン重合体の性能、すなわち高温での機械的強度等を損なう場合がある。
本発明の離型フィルムに用いられる樹脂組成物には、各種の用途、目的に応じた離型フィルムの特性改質や機能付与、成形作業性の改善などを目的として各種の添加剤を含有させることができる。そのような添加剤の例としては、酸化防止剤、充填材、消泡剤、発泡剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、難燃剤、湿潤剤及び分散剤、離型滑剤、可塑剤などが挙げられる。特に、架橋環状オレフィン重合体の耐久性および保存安定性を向上するためには、酸化防止剤を含有させることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えばパラベンゾキノン、トルキノン、ナフトキノン等のキノン類;ハイドロキノン、パラ−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等のハイドロキノン類;ジ−t−ブチル・パラクレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール等のフェノール類;ナフテン酸銅やオクテン酸銅等の銅塩;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムマレエート、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類;キノンジオキシムやメチルエチルケトオキシム等のオキシム類;トリエチルアミン塩酸塩やジブチルアミン塩酸塩等のアミン塩酸塩類;が挙げられる。これら酸化防止剤は架橋環状オレフィン重合体の高温時の機械的特性や前記エラストマーとの相溶性、フィルム形成作業性及び保存安定性等の条件により適宜、種類及び量を選択すればよい。中でもフェノール類が、架橋環状オレフィン重合体との相溶性が高く、均等に分散することが可能であり、離型フィルム全体の耐久性および保存安定性を向上できるため好ましい。酸化防止剤は、1種類または異なる化学構造の酸化防止剤を複数併用して使用することが可能である。酸化防止剤の使用量は、架橋環状オレフィン重合体100重量部に対し通常0.001〜10重量部である。
充填材としては、例えばシリカ、珪砂、ガラス粉、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレーなどの無機充填材;木粉、ポリエステルやポリスチレンビーズなどの有機充填材;が挙げられる。充填材の使用により、得られる架橋環状オレフィン重合体の収縮率、弾性率や熱伝導率、導電性などの物性を向上させることができる。充填材の粒径、形状、アスペクト比、品位などのグレードは架橋環状オレフィン重合体の物性により、適宜決めることができる。これらの充填材を使用する場合の使用量は架橋環状オレフィン重合体100重量部に対し好ましくは5〜400重量部、より好ましくは10〜300重量部である。
離型滑剤としては、シリコンオイルやステアリン酸亜鉛等が挙げられる。離型滑剤の添加により得られる離型フィルムの成形性、離型性、ハンドリング性などの改良やフィルム自身に潤滑剤特性などの機能を付与することができる。離型滑剤の使用量は、架橋環状オレフィン重合体100重量部に対し、好ましくは0.1〜200重量部である。
上記の環状オレフィンモノマー、該環状オレフィンモノマーの架橋重合体と非相溶であるエラストマー、重合触媒および必要に応じ用いられる添加剤を混合して重合性組成物を調製する。重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。また、重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、可塑剤またはエラストマーを溶剤として用いてもよい。
重合性組成物の室温における粘度は、所望の離型フィルムの厚みにもよるが、通常3〜30,000Pa・s、好ましくは5〜500Pa・sである。エラストマーとして、得られる架橋環状オレフィン重合体とは非相溶だが環状オレフィンモノマーには溶解するものを用いると、その種類および使用量を適宜選択することで、重合性組成物の粘度を調整することができる。
重合性組成物を塊状重合してフィルム形状に成形する方法としては、例えば、重合性組成物を支持体上に注ぐか又は塗布し、塊状重合する方法や、重合性組成物を型内で塊状重合する方法、が挙げられる。薄く均一なフィルムを連続的に製造することができるので、重合性組成物を支持体上に注ぐか又は塗布し、塊状重合する方法が好ましい。
用いられる支持体としては、得られる架橋環状オレフィン重合体が離型性に優れるため、樹脂、ガラス、金属など一般公知の素材を幅広く選択できる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン;ナイロンなどのポリアミド;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;が挙げられ、入手が容易であるのでポリエステルが好ましい。支持体の形状としては、材料が金属であればドラムやベルト、樹脂であればフィルムやベルトなどが挙げられる。樹脂フィルムが入手が容易で安価なため好ましい。
重合性組成物を支持体へ塗布する方法は特に制限されず、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
重合性組成物を、必要に応じ重合触媒が活性を発現する温度まで加熱することによって塊状重合を行う。重合させるための加熱温度は、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃である。重合性組成物を加熱する方法としては特に制約されず、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。重合反応の時間は重合触媒の量および加熱温度により適宜決めることができるが、通常1分間〜24時間である。
得られる環状オレフィン重合体を架橋させて架橋環状オレフィン重合体を得る。架橋は重合後に行っても、重合と同時に行ってもよいが、より少ない工程で工業的有利に本発明の離型フィルムを得られるので、重合と同時に行うことが好ましい。
架橋の方法としては、(a)環状オレフィンモノマーの少なくとも一部に架橋性モノマーを用いて、これを重合させることにより三次元架橋構造を有する重合体とする方法;(b)重合性組成物に架橋剤を添加して塊状重合を行い、さらに重合と同時または重合後に架橋反応を行って架橋する方法;(c)環状オレフィン重合体に光または電子線を照射することにより、重合後に架橋反応を行って架橋する方法;が挙げられる。これらの方法は2以上を併用してもよい。これらの内、得られる離型フィルムの物性制御のし易さや経済性の点から、(a)の方法が好ましい。
(a)の方法に用いられる架橋性モノマーとしては、炭素−炭素二重結合を2以上有する環状オレフィンモノマーを用いることができ、具体的にはジシクロペンタジエンおよびトリシクロペンタジエンが挙げられる。架橋性モノマーの使用量や、重合時の加熱温度により架橋密度を制御することができる。架橋性モノマーの使用量は、離型フィルムの用途に応じて適正な架橋密度が様々であるため特に限定されないが、環状オレフィンモノマー全量中の架橋性モノマーの割合で、0.1〜100モル%となる量が好ましい。
(b)の方法に用いられる架橋剤としては、公知の熱架橋剤や光架橋剤を用いることができる。熱架橋剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などのラジカル発生剤が好ましい。架橋剤の使用量は、環状オレフィンモノマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。熱架橋剤を用いる場合の架橋を行う温度は、通常100〜250℃、好ましくは150〜200℃である。また、架橋する時間は特に制約されないが、通常数分間から数時間である。
本発明において、塊状重合および架橋は、酸素および水の不存在下で行うことが好ましい。具体的には、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で塊状重合および架橋を行う方法;真空下で塊状重合および架橋を行う方法;支持体上に塗布した重合性組成物を樹脂フィルムなどで覆って密閉した状態で塊状重合および架橋を行う方法;が挙げられる。樹脂フィルムとしては前記支持体として例示したものを用いることができる。酸素または水の存在下で塊状重合および架橋を行うと、得られる離型フィルムの表面が酸化され、所望の離型性能を発揮することが困難となる場合がある。
離型フィルムを得る方法として、溶液重合による方法では、まず環状オレフィンモノマーおよび重合触媒を用いて公知の溶液重合法により環状オレフィン重合体を得る。次いでこの環状オレフィン重合体と該環状オレフィンモノマーの架橋重合体と非相溶であるエラストマーならびに必要に応じ用いられる添加剤および架橋剤を混合し、公知の成形法によりフィルム形状に成形する。成形後または成形と同時に、環状オレフィン重合体を架橋させて架橋環状オレフィン重合体とすることで、本発明の離型フィルムを得ることができる。使用できるエラストマー、添加剤および架橋剤の種類および量、架橋の方法は前記塊状重合による方法と同様である。
本発明の離型フィルムの厚さは、用途に応じて適正値が様々であり、特に限定されないが、通常、0.5〜5,000μmであり、ハンドリング性に優れるとの点からは、5〜500μmであることが好ましい。また本発明の離型フィルムの表面は、平滑であってもよいが、エンボス加工により凹凸形状を形成したものであってもよい。
本発明の離型フィルムには、気相反応、コーティング、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD、無電解メッキなど公知の表面処理技術を用いて、フィルム表面に有機物、無機物、金属などの異種素材よりなる層を形成してもよい。例えば、SiO、MgFおよびフッ素樹脂などの離型性を向上させることが可能な素材よりなる薄膜を表面層に設けたり、フッ素ガスやCF系プリカーサで表面処理を行い、離型フィルムの表面をフッ素化したりすることも好ましい。
本発明の離型フィルムは、半導体装置の製造における半導体封止工程に好適に用いられる。本発明の離型フィルムを用いて半導体封止を行う方法は特に限定されないが、例えば、(I)半導体チップを搭載したリードフレームと片側の金型内面との間に、リードフレーム基板と接触するように離型フィルムを介在させて樹脂封止する方法や、(II)半導体チップを搭載したリードフレーム基板の、半導体チップ面と少なくとも片側の金型内面の間に、封止時にチップと金型の間に封止材料が充填されるように、離型フィルムを介在させて樹脂封止する方法が挙げられる。すなわち、離型フィルムは上金型内面または下金型内面の少なくとも一方の側に介在させる。
(I)の方法は、QFNのように、封止材に直接接続端子が配置される場合に使用される方法である。離型フィルムは、金型からの離型を容易にするだけでなく、離型フィルムを接続端子表面に密着させることで、接続端子が硬化後の封止材料のはみ出しによるバリを防止し、保護する目的で使用される。
(II)の方法では、半導体チップが、例えば100μm厚のように薄い場合に非常に割れやすいため、離型フィルムは、封止後に金型から封止チップを離型するために使用される金型に装着されるエジェクタピンの使用が制限される場合、チップを破壊せず離型を容易にする目的で使用される。
図1は、上記(I)の方法の一例であり、樹脂封止によってQFNを製造する場合を例示する。QFNの製造は、通常、半導体チップを搭載した、接続端子を含むリードフレームと金型内面との間に、離型フィルムを介在させて、前記硬化後の封止チップに直接配置される接続端子表面が硬化後の封止チップから露出するように樹脂封止することで製造される。図1(a)〜(c)は、理解を容易にすべく、1ユニット分について図示してある。
上記製造方法によれば、半導体チップ(1)を搭載しパッケージング化した半導体装置が得られる。半導体チップ(1)とは、たとえば、各種回路パターンが施されたシリコンチップ等が挙げられる。
この半導体チップ(1)は、リードフレーム(20)に搭載される場合が一般的である。リードフレームは、ダイパッド(2)、接続端子部(4)、およびフレーム部(5)で構成され、半導体チップ(1)と結線される接続端子(4)を有するものであり、一般的に銅板をプレス加工、あるいはエッチング加工して作製される。接続端子(4)としては、端子または電極があげられる。半導体チップ(1)は、最終的にパッケージング化される半導体装置となるものであれば特に限定されるものではない。
半導体チップ(1)が搭載されるとは、半導体チップ(1)がリードフレーム(20)との結線を施すために固定されているこという。たとえば、リードフレーム(20)そのものに半導体チップ(1)を搭載するため、図1のようにダイパッド(2)が存在する場合には、半導体チップ(1)はそれらに接着剤によって固定したり、または両面テープなどで固定される。また、リードフレーム(20)がダイパッド(2)を直接持たない基板の場合には、たとえば一時的にテープなどで固定部分を設けて、最終的に封止樹脂(11)によって封止された後にテープなどは剥がされる場合もあるが、これらも実質的に半導体チップ(1)との結線を施すためテープ面などに仮固定し、最終的にパッケージング化されることから、これらも含めて搭載という。
これらの半導体チップ(1)を搭載したリードフレーム(20)は、一般的にワイヤボンディング(3)などの結線工程を経て、金型(6,7)内で封止樹脂(11)によりモールドされ半導体パッケージとなる。図1では、接続端子(4)がワイヤーボンディング(3)により結線されている。
図1(a)では、半導体チップ(1)の電極とリードフレーム(20)の接続端子(4)との間を金等のワイヤ(3)でボンディングしたものを、接続端子(4)が上金型(7)の側になるように配置している。リードフレームと上金型(6)の内面との間には、前記離型フィルム(8)を介在させている。前記離型フィルム(8)は上金型(7)に沿って、巻き出しリール(9)から、巻き取りリール(10)に連続的に供給可能に配置されている。
一方、下金型(6)のキャビティ内には半導体チップ(1)を配置している。接続端子(4)の配置は、全周に間隔をおいて配置する場合に限られず、全面に配置したり、対辺のみに配置してももよい。
次に、図1(b)に示すように、下金型(6)と下上金型(7)で型閉した後、トランスファー成形によりキャビティ内に封止樹脂(11)を注入・硬化させる。かかるトランスファー成形には、通常、封止樹脂(11)としてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が使用される。封止工程は、前記離型フィルム(8)を介在させて、前記接続端子(4)が露出するように行なう。
その後、図1(c)に示すように型開する。その後、前記離型フィルム(8)を、上金型(7)の内面に沿って搬送する。樹脂封止工程の後毎に、前記離型フィルム(8)の搬送工程が連続的に行なわれる。なお、樹脂封止工程の後には、必要により脱型及びアフターキュアを行った後、接続端子(4)を残してリードフレームをトリミングにより適宜にカットする。
本発明の離型フィルムは、プリント基板の製造にも好適に用いられる。本発明の離型フィルムをプリント基板の製造に用いる方法は特に限定されないが、一例として図2を参照して4層積層基板の製造方法を示す。
図2に示すように、所定温度まで加熱された真空プレス装置(図示しない)に、下部金属プレス板(31a)、シリコンゴム製のクッションシート(32a)、離型フィルム(33a)、両面配線パターンおよびスルーホールが形成されているリジッドプリント基板(34a)、熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸させてなるプリプレグ(35)、配線パターンおよびスルーホールが形成されている別のリジッドプリント基板(34b)、離型フィルム(33b)、クッションシート(32b)を重ね合わせて設置する。クッションシートは、フッ素ゴム製のものを用いてもよい。
別途真空プレス装置の上部に設置した上部金属プレス板(31b)をクッションシート(32b)と接触するまで降下させ、真空プレス装置を閉じて減圧を開始する。所定の時間経過後、圧力をかけて上下金属プレス板(31a、31b)を閉じ、プリプレグを硬化させることで2枚のプリント基板(34a、34b)を接合する。所定時間プレス後に、減圧を解除し、上下金属プレス板(31a、31b)を開け、積層された配線基板を取り出すことで、4層積層基板を製造できる。
本例では4層積層基板の製造について説明したが、積層枚数を増やすことで、更なる多層基板を作成することも可能である。また、リジッドプリント基板の積層に限らず、フレキシブルプリント基板の積層も可能である。
他の例として、図3を参照してフレキシブルプリント基板のカバーレイ貼り付け工程に本発明の離型フィルムを用いる方法を示す。カバーレイは配線層が露出しないように保護するために用いられるものであり、ポリイミドやポリエステルのフィルムが用いられる。
配線パターンが形成されたフレキシブルプリント基板の配線パターン上に、密着ロールを用いて、フレキシブルプリント基板端子のパッド部が露出するように外形を切断加工し、その後、端子部分等、カバーが不必要な部分が打ち抜き加工され、接着剤が塗布されたカバーレイを仮貼り付けする。
次いで図3に示すように、所定温度まで加熱された真空プレス装置(図示しない)に、下部金属プレス板(41a)、クッションシート(42a)、カバーレイが仮貼り付けされたフレキシブルプリント基板(43)、離型フィルム(44)、クッションシート(42b)を重ね合わせる。
別途真空プレス装置の上部に設置した上部金属プレス板(41b)をのクッションシート(42b)と接触するまで降下させ、真空プレス装置を閉じて、減圧を開始する。所定の時間経過後、圧力をかけて上下金属プレス板(41a、41b)を閉じ、カバーレイとフレキシブルプリント基板との間の接着剤を硬化することで、カバーレイをフレキシブルプリント基板に貼り付ける。所定時間プレス後に、減圧を解除し、上下金属プレス板(41a、41b)を開け、取り出すことで、カバーレイを貼り付けたフレキシブルプリント基板を製造できる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
各特性の測定、評価は下記の条件に従って行った。
(1)透明性:離型フィルムの23℃におけるヘイズ値をJIS K7136に基づき、濁度計(日本電色工業社製NDH−300A)を用いて測定した。ヘイズ値が大きいほどフィルムの透明性が低いことを表す。添加したエラストマー成分が環状オレフィン重合体に非相溶な場合、作製したフィルムの透明性が低下する。
(2)ガラス転移温度(Tg):JIS K7121に準じ、示差走査熱量計(DSC)法により、昇温速度10℃/分で−100℃から230℃まで昇温し1サイクルで測定した。示差走査熱量計は島津製作所社製DSC−60を用いた。Tgが2点観測される場合は、架橋環状オレフィン重合体とエラストマーとが非相溶であることを表す。また、Tg(2点観測される場合は高温側のTg)が高いほど、離型フィルムが耐熱性に優れることを表す。
(3)架橋度:1,2−ジクロロベンゼンに重合体を24時間振とうさせながら浸漬させた後の溶液を80メッシュの金網でろ過し、不溶分を回収し、乾燥した後の重量x(g)を測定し、浸漬前の重量y(g)に対する重量比を求め、架橋度とした。
架橋度(%)=x/y×100
(4)機械的特性:JIS K6871に準拠して、180℃にて引張強度及び伸びを測定した。引張強度が大きいと、離型フィルムが破れ難く、封止樹脂の漏れを抑制できることを表す。また伸びが大きいと、金型の密閉性が高くなり、封止樹脂のバリの生成を抑制できることを表す。
(5)エポキシ樹脂からの離型性:ビスフェノールA型エポキシ樹脂100部およびポリアミン系硬化剤25部(エポキシ樹脂と硬化剤の組合せとして;日新レジン社製Z−1/20分型)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール2部、希釈溶媒としてメチルエチルケトン200部よりなる混合液を、スリットを入れた銅箔をはさんで本実施例および比較例に記載の離型フィルム上に塗布し、6.9MPaまで加圧してオートクレーブ中で210℃で90秒間加熱し、厚さ25μmのエポキシ樹脂コート層を形成した後、このコート膜をはがすことで、離型性ならびに離型後の離型フィルムおよび銅箔表面の外観を観察した。
(6)プリプレグからの離型性:大きさ200mm×200mmに打ち抜いたプリント基板積層用プリプレグ(パナソニック電工株式会社製FR−4 R−1661(G) GBタイプ)の両面を、一部を100mm×5mmの短冊状にくりぬいた200mm×200mm、25μm厚の銅箔ではさみ、さらに実施例および比較例記載の離型フィルムではさみ、真空プレス中に挿入し、6.9MPa、200℃で90分間加熱し硬化した後、このコート膜をはがすことで、離型性ならびに離型後の離型フィルムおよび銅箔の外観を観察した。
(7)カバーレイからの離型性:25μm厚のポリイミドフィルム(デュポン社製「カプトン100H」)上に、実装用接着剤(日立化成工業社製、商品名「KS9100」)を20μm厚で塗布してカバーレイフィルムを作製した。次に、厚さ50μmのポリイミドフィルム(デュポン社製、商品名「カプトン200H」)に厚さ35μmの銅箔を実装用接着剤(日立化成工業社製、商品名「KS9100」)を用いて接着して得られた銅箔付フィルムにドライフィルムレジスト(日立化成工業社製、商品名「フォテックH−9025」)をラミネートし、L/S=30μm/30μmの平行ラインパターンをフォトリソグラフィーの手法で形成させてフレキシブルプリント基板を作製した。前記パターンを形成させた100mm×200mmのフレキシブルプリント基板に、上記のカバーレイフィルム、実施例および比較例記載の離型フィルムの順に重ね合わせ、熱プレスに載置し、プレス温度200℃、圧力300N/cmで90分間プレスする。これを取り出した後に、実施例および比較例記載の離型フィルムをはがして、離型フィルムの外観を観察した。
<実施例1>
環状オレフィンモノマーとしてジシクロペンタジエン45部及び対称型トリシクロペンタジエン5部からなる混合モノマーに、重合触媒として式(7)の構造を有するルテニウム触媒(「VC843」)を0.032部、エラストマーとしてエチレン−プロピレン共重合エラストマー(ダウケミカル社製バーシファイ2300エラストマー)を1.9部、酸化防止剤(チバスペシャリティーケミカル社製イルガノックス1010)を2部混合し、反応原液(A)を得た。
一方、ジシクロペンタジエン45部及びトリシクロペンタジエン5部からなる混合モノマーに前記のエチレン−プロピレン共重合体を1.9部およびフェニルトリクロロシラン(和光純薬工業社製)を0.09部混合し、反応原液(B)を得た。
Figure 0005333293
反応原液(A)および反応原液(B)をラインミキサーで混合し、50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)製キャリアフィルム上に25℃でキャスト製膜を行った。次いでこれを窒素雰囲気下、80℃で10分加熱したのち、窒素雰囲気下、150℃で1時間加熱して厚さ50μmの離型フィルムを得た。得られたフィルムの各特性を評価した結果を表1に示す。
<実施例2>
エラストマーとして、エチレン−プロピレン共重合体を、エチレン−αブテン共重合エラストマー(ダウケミカル社製エンゲージ7467)1.9部に変更した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。結果を表1に示す。
<比較例1>
エラストマーを添加しない以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。結果を表1に示す。
<比較例2>
エチレン−プロピレン共重合体に替えて、ジシクロペンタジエン系石油樹脂(日本ゼオン社製クイントン1500)20部を添加した以外は、実施例1と同様にして離型フィルムを得た。結果を表1に示す。
<比較例3>
離型フィルムとして厚さ50μmのポリ(4−メチルペンテン−1)製のフィルム(三井化学社製オピュランX−88B)を用いた以外は、実施例1と同様にして各特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005333293
以上より明らかなように、本発明の離型フィルムは、エラストマー成分を含まない場合(比較例1)と比較してヘイズ値が高く、またガラス転移温度が2点観測されることから、得られた架橋環状オレフィン重合体と用いたエラストマーとが非相溶であることが分かる。そして、該離型フィルムは、エポキシ樹脂、プリプレグおよびカバーレイのいずれとも離型性に優れることが分かる(実施例1,2)。一方、エラストマーを含まない離型フィルム(比較例1)、架橋環状オレフィン重合体と相溶する重合体を含む離型フィルム(比較例2)、および鎖状の熱可塑性ポリオレフィンを用いた離型フィルム(比較例3)は、いずれも離型性に劣る結果となった。
1:半導体チップ
20:リードフレーム
2:ダイパッド
3:ワイヤボンディング
4:接続端子
5:フレーム
6:下金型
7:上金型
8,33a,33b,44:離型フィルム
11:封止樹脂
31a,41a:下部金属プレス板
31b,41b:上部金属プレス板
32a,32b,42a,42b:クッションシート
34a,34b:リジッドプリント基板
35:プリプレグ
43:カバーレイが仮貼り付けされたフレキシブルプリント基板

Claims (8)

  1. 架橋環状オレフィン重合体および該重合体と非相溶であるエラストマーを含む、樹脂組成物からなる離型フィルム。
  2. 前記エラストマーがオレフィン系エラストマーである請求項1に記載の離型フィルム。
  3. 前記オレフィン系エラストマーがエチレン−αオレフィン共重合エラストマーおよびエチレン−プロピレン−ジエン共重合エラストマーから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の離型フィルム。
  4. 半導体封止工程に用いられるものである請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
  5. プリント基板製造用である請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
  6. 環状オレフィンモノマー、該環状オレフィンモノマーの架橋重合体と非相溶であるエラストマーおよび重合触媒を含む重合性組成物を塊状重合して、架橋環状オレフィン重合体および該重合体と非相溶であるエラストマーを含む、樹脂組成物を得る工程を含む、離型フィルムの製造方法。
  7. 前記重合性組成物を支持体に塗布し、前記塊状重合を該支持体上で行うものである、請求項6記載の製造方法。
  8. 前記重合触媒がルテニウムカルベン錯体である請求項6または7に記載の製造方法。
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