JP5331606B2 - 更生タイヤの製造方法 - Google Patents

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本発明は、台タイヤのクラウン部に未加硫のクッションゴムを介して加硫済みのプレキュアトレッドを巻回して配設し成形済みタイヤを形成した後、該成形済みタイヤに加硫処理を施すことによって前記プレキュアトレッドを前記台タイヤに加硫接着する更生タイヤの製造方法に関するものである。
空気入りタイヤの更生に関しては、パターンが付されていない未加硫のトレッドゴムを台タイヤに貼り付け、金型に入れて加硫するとともにパターンを付すリモールド方式(ホット更生方式)と、金型を使用せず加硫済みのパターン付きプレキュアトレッドを台タイヤに貼り付け、加硫缶の中で加硫するプレキュア方式(コールド更生方式)が知られている。
コールド更生方式では、図1に示すように、台タイヤ1のクラウン部に未加硫のクッショクゴム2を配設し、そのクッションゴム2の上に加硫済みのパターン付きプレキュアトレッド3を貼り付けた後、加硫エンベロープ4をタイヤに被せてから、加硫缶5に入れて加硫を行なう。加硫缶5内の圧力を5〜7kg/cm程度に、雰囲気温度を100〜130℃程度にして約2〜5時間保持することによってトレッドゴムを台タイヤに密着させる。この方式によれば加硫缶の処理温度が比較的低いので台タイヤをいためる度合いが少なく、タイヤの更生においてはこの方式が広く採用されている。
また、加硫缶を用いず、加硫エンベロープ内の圧力を制御して台タイヤとクッショクゴムを密着させながら加硫を行う方法が提案されている(例えば特許文献1)。
特開平5−154940号公報
しかしながら、上述した方法では、プレキュアトレッドのジョイント部の溝が所期した形状にならないという問題が生じていた。すなわち、図2に示すように、プレキュアトレッド3は台タイヤ1上に巻回して配設されるため、プレキュアトレッド3の周方向端部同士が接続されるジョイント部2jが存在する。図2におけるA−A断面図を図3に示し、図3を用いてジョイント部2jの溝に生ずる問題について説明する。
図3(a)に示すように、プレキュアトレッド3のジョイント部2jに接着剤としてのクッションゴム2を挟み、加硫エンベロープ4をタイヤに被せた後、タイヤを加硫缶5に入れて圧力Pで加硫を行なう。このとき、エンベロープ4は溝3aの内面に密着していないので、溝3aの内面には圧力Pがかかっていない。それゆえ、クッションゴム2が加硫されると、図3(b)に示すように、クッションゴム2の一部2pは溝3a内に押し出され、溝3aを一部塞いでしまう。
このように、ジョイント部2jの溝3aの内部に押し出し部2pが形成されると、タイヤの外観を損なうだけでなく、溝の形状によって達成するはずのノイズ低減効果および排水性能などの所期した性能を発揮できないおそれがあった。
そこで、本発明の目的は、上述した問題点を解消し、所期した性能を達成する更生タイヤの製造方法を提供することにある。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 台タイヤのクラウン部に未加硫のクッションゴムを介して加硫済みのプレキュアトレッドを巻回して配設し成形済みタイヤを形成した後、該成形済みタイヤに加硫処理を施すことによって前記プレキュアトレッドを前記台タイヤに加硫接着する更生タイヤの製造方法において、
前記プレキュアトレッドの周方向端部同士を、接着剤としての未加硫のクッションゴムを介して接続し、前記周方向端部同士を接続した接続部では、前記プレキュアトレッドの周方向一端の溝と他端の溝とが接続されており、当該接続部にて接続された周方向の溝の一部のみに、前記周方向の溝の形状に嵌合し、且つ、前記接続部を跨る詰め部材を挿入し、次いで、少なくとも前記プレキュアトレッドを覆う加硫エンベロープを被せた後加硫処理を施すことを含み、
前記接着剤としての未加硫のクッションゴムが、前記周方向の溝内において、前記接続部に含まれる前記周方向の溝の溝底位置又は該溝底位置よりもタイヤ径方向内側に位置し、
前記詰め部材が、加硫ゴムであることを特徴とする更生タイヤの製造方法。
本発明によれば、所望のトレッドパターンを形成し、所期した性能を達成する更生タイヤの製造方法を提供することができる。
コールド更生方式を説明するための図である。 プレキュアトレッドのジョイント部を説明するための図である。 従来のコールド更生方式を説明するための図である。 本発明の更生タイヤの製造方法を説明するための図である。 タイヤのトレッドパターンと、溝に嵌合する詰め部材の一例を示す図である。
以下、本発明の更生タイヤの製造方法を、図面を参照して詳しく説明する。
まず、図4(a)に示すように、プレキュアトレッド3のジョイント部(接続部)に接着剤としてのクッションゴム2を挟み、プレキュアトレッド3の周方向端部同士を接続する。プレキュアトレッド3には4本の周方向溝3aが形成されている場合を例として説明する。ジョイント部では、プレキュアトレッド3の周方向一端の溝3aと、他端の溝3aとが接続されている。ここで、ジョイント部において、クッションゴム2の一部が溝3a内にはみ出している場合、このはみ出したクッションゴムを切り取り、押し込み棒などで溝3aの表面を平らにする。
次に、図4(b)に示すように、ジョイント部の溝3a内に、溝3aの形状に嵌合する、すなわち、溝3aにフィットする詰め部材10、例えば加硫ゴムや金型を挿入する。
次に、図4(c)に示すように、加硫エンベロープ4をタイヤに被せ、加硫缶5に入れて圧力P(6kg/cm)で加硫を行なう。加硫エンベロープ4は一方のビード部から他方のビード部までの間の全域にわたって配置され、エンベロープシーリングエリア(図中円Bで示す)において、アークシステム6によって担持されている。また、加硫エンベロープ4はバキュームポンプ(図示省略)につながる給排気管4aを有し、加硫エンベロープ4内の圧力を調節することができる。ここで、加硫エンベロープ4をタイヤに被せた後、タイヤに密着するように、給排気管4aを介して、加硫エンベロープ4内の空気を抜く。
溝3aに詰め部材10を挿入しているので、加硫エンベロープ4にかかる圧力Pは、詰め部材10を介して溝3aの内面にもかかる。それゆえ、加硫時にプレキュアトレッドの陸部3bと同様に溝3aの内面にも圧力をPがかかることとなる。すると、クッションゴムが溝3a内に流出して押し出し部を形成するのを防止することができる。その結果、溝によってノイズ低減効果および排水性能等の所期した性能を発揮することができる。
なお、上述した例ではタイヤ周方向に連続する周方向溝3aを例として説明したが、プレキュアトレッドに形成される溝は周方向溝に限定されることはなく、任意のパターンとすることができる。
例えば、図5にタイヤのトレッドパターンと、溝に嵌合する詰め部材の一例を示すように、タイヤ周方向に連続する周方向溝3aに対しては、ジョイント部を跨る詰め部材10を挿入し、ジョイント部に接する溝3bに対しては、ジョイント部に接する詰め部材10を挿入する。
また、加硫エンベロープについて、一方のビード部から他方のビード部までの間の全域にわたって配置され、エンベロープシーリングエリアにおいて、アークシステム6によって担持されている例を説明したが、加硫エンベロープは、少なくとも前記プレキュアトレッドを覆う形状であればよい。
さらにまた、タイヤの外面部にアウターエンベロープを、タイヤの内面部にインナーエンベロープをそれぞれ配置するとともに、これらエンベロープの各両端部を互いに係止することにより内部の気密を保持する加硫エンベロープを用いることもできる。
あるいは、タイヤの外面部にアウターエンベロープを、タイヤの内部に膨張可能なチューブをそれぞれ配置するとともに、該エンベロープの各端部をリムとタイヤの各ビード部との間に挟み込むことによりエンベロープ内部の気密を保持する加硫エンベロープを用いることもできる。
これらの方法は、主に加硫時のタイヤ形状保持のためにタイヤの内面部に圧力を付加する際、かかる内面部に修理箇所があり直接そこに圧力を付加することができない場合に用いられる。
1 台タイヤ
2 クッションゴム
3 プレキュアトレッド
3a 溝
4 加硫エンベロープ
4a 給排気管
5 加硫缶
6 アークシステム
10 詰め部材

Claims (1)

  1. 台タイヤのクラウン部に未加硫のクッションゴムを介して加硫済みのプレキュアトレッドを巻回して配設し成形済みタイヤを形成した後、該成形済みタイヤに加硫処理を施すことによって前記プレキュアトレッドを前記台タイヤに加硫接着する更生タイヤの製造方法において、
    前記プレキュアトレッドの周方向端部同士を、接着剤としての未加硫のクッションゴムを介して接続し、前記周方向端部同士を接続した接続部では、前記プレキュアトレッドの周方向一端の溝と他端の溝とが接続されており、当該接続部にて接続された周方向の溝の一部のみに、前記周方向の溝の形状に嵌合し、且つ、前記接続部を跨る詰め部材を挿入し、次いで、少なくとも前記プレキュアトレッドを覆う加硫エンベロープを被せた後加硫処理を施すことを含み、
    前記接着剤としての未加硫のクッションゴムが、前記周方向の溝内において、前記接続部に含まれる前記周方向の溝の溝底位置又は該溝底位置よりもタイヤ径方向内側に位置し、
    前記詰め部材が、加硫ゴムであることを特徴とする更生タイヤの製造方法。
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