JP5327796B2 - 橋梁通過車両の車重計測システム、橋梁通過車両の車重計測方法、およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
図28に示すように、2つの車軸検知用ひずみ計2002a、2002bと軸重算出用ひずみ計2001の設置間隔をそれぞれD1、D2とすると、前記の通過タイミングT1、T2から、車軸が軸重算出用ひずみ計の直上を通過した時刻Tは、例えば次式(1)、(2)で算出される。
なお、前記のように、橋梁の維持管理をする上で重要なのは橋梁を通過する重量車両の車両重量を求めることである。したがって、本システムで検知する車両10は主に、トレーラーなどの重量車両となる。
図3に示すように、軸重算出用ひずみ計7は、道路を支える橋脚61a、61bの間の桁63に設置される。軸重算出用ひずみ計7によって計測されたひずみは、軸重算出用データ36として車両重量算出装置3に送信される。
車軸検知用ひずみ計9は、桁63の桁端に設置される。図4に示すように、車線ごとの車両方向ごとに座標軸Xを設定した場合、車軸検知用ひずみ計9は、車両が荷重計測範囲(X=0[m]からX=L[m]の範囲)に進入したときのひずみを計測し、進入データ32として車両重量算出装置3に送信する。ここで、荷重計測範囲とは、橋梁上において軸重算出用ひずみ計7にひずみが計測される範囲であり、荷重を支える部材の間隔に等しく、桁と橋脚から成る単純な構造の橋では桁の長さになる。よってこの場合は、橋脚61a、61b間の桁63の長さL[m]となる。
なお、影響線データ40は、橋梁の個々の荷重計測範囲ごとに異なるため、複数の荷重計測範囲について処理を行う場合には、それぞれの影響線データを記憶しておく必要がある。
ここで、車両画像データベース41に記憶される辞書画像データの生成について図6及び図7を参照しつつ説明する。図6に示すように、ある車種G、例えば、「トレーラー」の学習用サンプル画像データを複数集め、例えばエッジ点抽出による2値化などの特徴画像に加工する。全ての加工済み画像を1次元のベクトルとみなし、個々の共分散行列を作成して全て足し合わせ、足し合わせた行列について固有値と固有ベクトルを求める。求めた固有値の大きい順にd個の固有ベクトルを足し合わせ、足し合わせたベクトルを元の画像のサイズに変換し、車種Gの辞書画像データとする。
以上の処理をすべての車種、例えば、「大型トラック」、「タンクローリー」、「ミキサ車」、「大型ダンプ」などに対して行い、全ての車種の辞書画像データを作成し、車両画像データベース41に記憶させる。
なお、監視カメラ5の撮影方向やズームなどが遠隔操作可能で、路面との相対的な位置関係が変化する場合には、撮影方向やズームなどの情報から、位置対応表データ43の情報を再計算することとなる。
次に、車両重量算出システム1の動作について説明する。
図9は、車両重量算出システム1の処理全体の流れを示す概略フローチャートである。
車両検知処理部21は、カメラ5が撮影した監視映像データ31と車軸検知用ひずみ計9により計測された進入データ32を基にカメラ5が撮影した車両10の車両検知処理を行い(ステップS101)、検知車両画像データ33を出力して記憶部15に記憶させる。
次に、図10から図12を参照しつつ、車両検知処理(ステップS101)について説明する。
図10に示すように、まず、車両検知処理部21は、カメラ5によって撮影された監視映像データ31を記憶部15から読み出し、背景画像を作成する(ステップS201)。
ここで、監視映像データ31を取得する監視カメラ5の撮影方向は、監視領域となる道路面に対して固定されており、その相対的な位置関係は不変であるか、もしくは、撮影方向とカメラの位置を把握できるものとする。監視映像データ31は、一定時間毎に画像フレームを取得することで得られ、各画像フレームには取得時刻が付与される。通常利用される監視映像は、例えばNTSC(National Television System Committee)規格に従っており、毎秒30枚の画像フレームが取得される。
背景画像81の作成は一定時間毎に行われ、他の処理とは関係なく常時更新するものとする。一定時間毎に背景画像81を更新していくことで、天候や時間による明るさの変動なども適宜反映することが可能になる。
前述した図3に示す橋梁では、進入データを計測する荷重計測範囲は橋桁63全体であり、車軸検知用ひずみ計9は車両10の進入方向の桁端に設置される。つまり、車軸検知用ひずみ計9で重量車両の進入を検知した時点で、車両10が荷重計測範囲に入ったとみなす。荷重計測範囲は桁63と平行なX軸を考えると桁63上の位置X=0[m]からX=L[m]までとなる。
また、監視映像データ31と進入データ32の計測タイミングは同期されており、一定の間隔Δt[秒]で、毎秒一定数(1/Δt)のデータが取得されているものとする。
判定基準となる進入データ32の閾値は、例えば、事前に軸重の判明している車両を車軸検知用ひずみ計9を設置した橋梁を通過させることによって値を決定し、入力部12より入力を受け付け、予め記憶部15に記憶される。
図12に示すように、カメラ5と路面の位置関係は固定であることから、監視画像フレーム中の車軸検知用ひずみ計9の設置位置を事前に特定しておくことは可能である。そして、進入データ32の取得によって重量車両の先頭の車軸が車軸検知用ひずみ計9上に乗っていることが分かるため、前記監視画像フレーム中の位置から後方一定範囲の領域を切り出す。なお、この処理の時点では車両の大きさが分からないため、検知した車両の全体が入らない場合がある。このような場合でも、検知車両画像の利用目的は、車両画像データベース41との照合による車両の型番特定、監視映像データ31における車両領域の追跡による車軸位置を特定に検知車両画像を用いることにあるため、この利用目的においては、車両10の全体が検知車両画像に含まれていなくてもよく、上記で定めた一定範囲の大きさで作成しておけばよいこととなる。
次に、図13、図14を参照しつつ、軸間隔特定処理部22による軸間隔特定処理について説明する。
図13に示すように、まず、軸間隔特定処理部22は、車両検知処理によって求められた検知車両画像データ33を車両画像データベース41に記憶されている辞書画像データと照合して、検知車両の車種を特定する(ステップS301)。車種の特定は、図14に示される手法により行う、軸間隔特定処理部22は、検知車両画像データ33に対して、辞書画像データと同様の加工を行い特徴画像とし、この特徴画像をベクトルAとする。そして、軸間隔特定処理部22は、軸間隔特定処理部22ベクトルAと、車両画像データベース41に記憶された全ての辞書画像データのベクトルB(固有値の大きい順にd個の固有ベクトルを足し合わせたベクトル)との内積を算出して、これを、ベクトルAの大きさの値(|A|)とベクトルBの大きさの値(|B|)の積で除することにより類似度(cosθ)を算出する。
次に、図15、図16を参照しつつ、ステップS103の軸位置特定処理について説明する。
軸位置特定処理は、監視映像データ31に対して、検知車両画像データ33を時系列的に追跡することで、車両の位置、即ち、検知した車軸の位置を一定時間毎に検出するものである。なお、先頭の車軸の位置が検出できれば、他の車軸は軸間隔データから算出可能であるため、軸位置特定処理の対象となるのは、検知車両の先頭の車軸のみである。
なお、(x0,y0)は、入力となる検知車両画像データ33が最初に切り出された際の監視映像データ31における座標、つまり、車両10の先頭の軸が、車軸検知用ひずみ計9上に存在していることを示していることになり、ここを原点として距離を求めることで、車両の先頭軸の車軸検知用ひずみ計9からの距離が分かることになる。このことから、出力する位置データは、車軸検知用ひずみ計9から、先頭の車軸までの距離を移動画素数で示した値となる。
なお、車軸検知用ひずみ計9が、前述したように荷重計測範囲前に設置された場合には、荷重計測範囲までのずれの分を当該処理において補正することになる。
ステップS401、S402、S403の処理は当該車両10が荷重計測範囲を退出するまで繰り返し実行され、先頭軸の位置を示す位置データが記憶部15に追加して記憶されることになる。
次に、図17から図21を参照しつつ、ステップS101の影響線データ変換処理について説明する。前述したように、影響線データ40とは、橋桁上の位置X(0≦X≦L)に1[t(トン)]の1軸の車軸を載せたときに軸重算出用ひずみ計7で計測されるひずみεを示し、これを、位置Xの関数として定義することにより得られるデータである。そして、記憶部15に記憶させる影響線データ40は、荷重が分かっている試験車両に橋梁を通過させた際のひずみのデータを1[t]の1軸の車軸の場合に換算することにより求められるものである。この換算は、図17に示すように、1[t]の1軸の車軸を載せた場合と、W[t]の1軸の車軸を載せた場合では、得られるひずみの特性が、W倍になるという関係を利用する。例えば、図18に示すように、4[t]の軸重の試験車両を通過させて計測した場合、得られたひずみのデータを1/4の値にすることにより、影響線データ40を求めることができることになる。
次に、図22から図25を参照しつつ、車重算出処理について説明する。
車重算出処理では、Weigh In Motionとして広く知られている車重算出手法を利用し、影響線データ変換処理で作成した時間軸影響線データ35を、車軸の数だけ、時間軸上に配置し、最小二乗法によって実際に計測されたひずみデータと適合するような倍率を見つけることで、各車軸の重量を算出する。最終的に各軸重を合計して車重を得る。
車重算出部25は、時間軸影響線データ35から、データが保存されている時刻の範囲(t≦T≦t+Δt×n)を取得し、対応する範囲のデータを軸重算出用ひずみ計7で計測された軸重算出用データ36から切り出して比較用データを生成し、生成した比較用データを記憶部15に記憶させる(ステップS601)。そして、車重算出部25は、最小二乗法を用いて、比較用データに最も適合する影響線データ変換処理で作成した各車軸の時間軸影響線データ35の各倍率を求めて、各軸の質量を算出し(ステップS602)、軸重総和を求めて車両10の車重を算出する(ステップS603)。
また、本実施形態では、荷重計測範囲内には1台の車両10が存在するとして処理を説明したが、複数の重量車両を同時に考慮する場合には、上記の1台の場合の処理を複数、同時並行に実行すればよい。
3………車両重量算出装置
5………カメラ
7………軸重算出用ひずみ計
9………車軸検知用ひずみ計
10………車両
11………制御部
15………記憶部
21………車両検知処理部
22………軸間隔特定処理部
23………軸位置特定処理部
24………影響線データ変換処理部
25………車重算出部
31………監視映像データ
32………進入データ
33………検知車両画像データ
34………先頭軸位置データ
35………時間軸影響線データ
36………軸重算出用データ
37………通過車両重量記憶部
40………影響線データ
41………車両画像データベース
42………軸間隔データベース
43………位置対応表データ
Claims (6)
- 道路のひずみを計測するひずみ計と、前記ひずみにより前記道路を走行する複数の車軸を有する車両の車両重量を算出する車両重量算出装置とを備えた車両重量算出システムであって、
前記車両重量算出装置は、
前記車両の車種に対応した軸間隔データを、前記車種に対応付けて予め記憶する軸間隔データ記憶部と、
前記ひずみ計によってひずみが計測される荷重計測範囲に進入した前記車両を予め決められた時間ごとに撮影した監視映像データを用いて当該車両の車種を特定し、前記軸間隔データ記憶部を参照して当該車両の軸間隔データを特定する軸間隔特定処理部と、
前記監視映像データと前記軸間隔データとを基に、前記予め決められた時間ごとの前記車両の車軸の位置を特定する軸位置特定処理部と、
基準となる軸重を有する車軸が定速で前記道路を通過した際のひずみを当該車軸の位置ごとに示した影響線データを、前記軸位置特定処理部によって特定された前記予め決められた時間ごとの車軸の位置に基づいて変換し、前記車両の通過に要した時間の影響を前記影響線データに反映した時間軸影響線データを生成する影響線データ変換処理部と、
前記ひずみ計によって計測された前記車両のひずみと前記時間軸影響線データとに基づいて当該車両の車両重量を算出する車両重量算出部と、
を備えることを特徴とする車両重量算出システム。 - 複数の車種の車両画像を記憶する車両画像記憶部を更に備え、
前記軸間隔特定処理部は、
前記監視映像データから検出した当該車両の車両画像と、前記車両画像記憶部に記憶された車両画像との類似度を算出し、最も類似度が高い車両画像の車種を、当該車両の車種と特定することを特徴とする請求項1に記載の車両重量算出システム。 - 前記車両が前記荷重計測範囲に進入した場合の前記監視映像データから当該車両の検知車両画像を求める車両検知処理部を更に備え、
前記軸位置特定処理部は、
前記予め決められた時間ごとに撮影した監視映像データにおいて、前記車両検知処理部が求めた検知車両画像と類似する領域を検出し、前記予め決められた時間ごとの領域の移動画素数を求め、前記移動画素数に対応した距離から前記予め決められた時間ごとの車軸の位置を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の車両重量算出システム。 - 前記車両重量算出部は、前記ひずみ計によって計測されたひずみに、車軸ごとの時間軸影響線データを最も適合させるパラメータを求め、前記パラメータから車軸ごとの重量を算出し、算出された車軸ごとの重量の総和を当該車両の車両重量とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の車両重量算出システム。
- 道路のひずみを計測するひずみ計により、前記道路を走行する複数の車軸を有する車両の車両重量を算出する車両重量算出方法であって、
前記車両の車種に対応した軸間隔データを、前記車種に対応付けて予め軸間隔データ記憶部に記憶させるステップと、
軸間隔特定処理部が、前記ひずみ計によってひずみが計測される荷重計測範囲に進入した前記車両を予め決められた時間ごとに撮影した監視映像データを用いて当該車両の車種を特定し、前記軸間隔データ記憶部を参照して当該車両の軸間隔データを特定するステップと、
軸位置特定処理部が、前記監視映像データと前記軸間隔データとを基に、前記予め決められた時間ごとの前記車両の車軸の位置を特定するステップと、
影響線データ変換処理部が、基準となる軸重を有する車軸が定速で前記道路を通過した際のひずみを当該車軸の位置ごとに示した影響線データを、前記軸位置特定処理部によって特定された前記予め決められた時間ごとの車軸の位置に基づいて変換し、前記車両の通過に要した時間の影響を前記影響線データに反映した時間軸影響線データを生成するステップと、
車両重量算出部が、前記ひずみ計によって計測された前記車両のひずみと前記時間軸影響線データとに基づいて当該車両の車両重量を算出するステップと、
を含むことを特徴とする車両重量算出方法。 - 道路のひずみを計測するひずみ計により、前記道路を走行する複数の車軸を有する車両の車両重量を算出するコンピュータに、
前記車両の車種に対応した軸間隔データを、前記車種に対応付けて予め軸間隔データ記憶部に記憶させる第1ステップと、
前記ひずみ計によってひずみが計測される荷重計測範囲に進入した前記車両を予め決められた時間ごとに撮影した監視映像データを用いて当該車両の車種を特定し、前記軸間隔データ記憶部を参照して当該車両の軸間隔データを特定する第2ステップと、
前記監視映像データと前記軸間隔データとを基に、前記予め決められた時間ごとの前記車両の車軸の位置を特定する第3ステップと、
基準となる軸重を有する車軸が定速で前記道路を通過した際のひずみを当該車軸の位置ごとに示した影響線データを、前記第3ステップによって特定された前記予め決められた時間ごとの車軸の位置に基づいて変換し、前記車両の通過に要した時間の影響を前記影響線データに反映した時間軸影響線データを生成する第4ステップと、
前記ひずみ計によって計測された前記車両のひずみと前記時間軸影響線データとに基づいて当該車両の車両重量を算出する第5ステップと、
を実行させるためのプログラム。
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