以下、本発明の一実施の形態の情報送受信システムについて、図1~図30を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施例である構造物管理装置1が有する機能について説明するための機能ブロック図である。ここでは、構造物の一例として、鉄道を構成する橋梁やトンネルなどの構造物を管理する構造物管理装置1について説明する。
構造物管理装置1は、2次元展開図の入力を受け、ユーザの操作入力に基づいて、2次元展開図から、3次元情報としての構造図(以下、3次元展開図と称する)を生成し、これを登録することができる。2次元展開図から生成される3次元展開図には、路線情報が含まれる。また、構造物管理装置1は、ユーザの操作入力に基づいて、登録されている3次元展開図、または、登録されている3次元展開図から生成される2次元展開図に、例えば、橋梁やトンネルなどの構造物のひび割れやゆがみなどの変状を反映させ、3次元構造物情報として、例えば、路線ごとや構造物ごとに管理可能なように登録することができる。また、構造物管理装置1は、橋梁やトンネルなどの構造物のFEM解析結果、および、配筋情報の入力を受け、登録されている3次元構造物情報と比較解析することが可能である。
構造物管理装置1は、操作入力部11、データ入力部12、入力制御部13、構造物情報変換処理部14、3次元構造物情報データベース15、画像処理解析部16、2次元情報に対する変状情報処理部17、3次元情報に対する変状情報処理部18、FEM解析結果比較処理部19、出力制御部20、表示制御部21、表示部22、および、データ出力部23を含んで構成されている。構造物管理装置1は、情報処理装置に対応する。
操作入力部11は、例えば、キーボード、タッチパッド、タッチパネル、マウスなどの入力デバイスにより構成されている。操作入力部11は、ユーザから、構造物管理装置1の各部への操作の指令や、各処理に必要な操作などの操作入力を受け、入力制御部13に供給する。
データ入力部12は、例えば、通信部やリムーバブル記録媒体の読み取り装置などで構成され、データの入力を受け、入力制御部13に供給する。データ入力部12に入力されるデータには、例えば、2次元展開図、橋梁やトンネルなどの構造物のコンクリート強度や鋼材強度等の材料特性、橋梁やトンネルなどの構造物の変状が撮像された写真等の画像データ、それらの画像データから他の装置において解析されて得られた変状情報、橋梁やトンネルなどの構造物のFEM解析結果、設計値および設計で用いる線材モデルによる計算結果、各種実測値、ならびに、構造物の配筋情報などがある。
入力制御部13は、操作入力部11から入力されたユーザの操作入力に関する情報、または、データ入力部12から入力された各種データの供給を受け、構造物管理装置1の各部に供給する。
構造物情報変換処理部14は、データ入力部12により入力された2次元の図面情報を3次元展開図に変換する処理を実行する。構造物情報変換処理部14は、操作入力部11、または、データ入力部12から、変換する2次元の図面に対応する構造物がいずれの路線の構造物であるか、この図面は路線内どの位置であるかを示すキロ程情報、2次元の図面情報を3次元展開図に変換するために必要な寸法情報、橋梁やトンネルなどの構造物のコンクリート強度や鋼材強度等の材料特性などの入力を受ける。そして、構造物情報変換処理部14は、変換された3次元展開図に、路線情報、寸法情報、および、位置情報、また、必要に応じて、構造物の材料特性などを対応付けて、3次元構造物情報データベース15に登録する。構造物情報変換処理部14が有する機能の詳細については、図2および図3を用いて説明する。
3次元構造物情報データベース15は、構造物情報変換処理部14、2次元情報に対する変状情報処理部17、および、3次元情報に対する変状情報処理部18の処理により生成された3次元構造物情報、ならびに、FEM解析結果比較処理部19の処理によって生成された、3次元構造物情報とFEM解析との比較解析結果が記録されるデータベースである。3次元構造物情報データベース15は、情報記録手段に対応する。
画像処理解析部16は、データ入力部12により入力された、例えば、橋梁やトンネルなどの構造物のひび割れ等の変状が撮像された写真や映像等の画像データを画像解析して変状を抽出し、2次元情報に対する変状情報処理部17、または、3次元情報に対する変状情報処理部18に供給する。画像処理解析部16による画像データからの変状の抽出方法は、例えば、述した非特許文献1に記載の技術などを用いることが可能である。また、画像処理解析部16による画像データからの変状の抽出方法は、それ以外の方法であってもよい。
2次元情報に対する変状情報処理部17は、3次元構造物情報データベース15に登録されている3次元展開図を読み出して2次元展開図に変換し、変状情報を2次元展開図に反映させる処理を実行する。2次元情報に対する変状情報処理部17は、変状情報が反映された2次元展開図を3次元展開図に変換し、3次元構造物情報として、3次元構造物情報データベース15に登録する。2次元情報に対する変状情報処理部17が有する機能の詳細については、図4から図7を用いて後述する。
3次元情報に対する変状情報処理部18は、3次元構造物情報データベース15に登録されている3次元展開図を読み出して、変状情報を3次元展開図に反映させる処理を実行する。3次元情報に対する変状情報処理部18は、変状情報が反映された3次元展開図を、3次元構造物情報として、3次元構造物情報データベース15に登録する。3次元情報に対する変状情報処理部18が有する機能の詳細については、図8を用いて後述する。
FEM解析結果比較処理部19は、構造物の所定の位置のFEM解析結果、設計値および設計で用いる線材モデルによる計算結果、各種実測値、ならびに、対応する位置の配筋情報を取得し、3次元構造物情報データベース15に登録されている対応する位置の3次元構造物情報を読み出して、それぞれ、比較可能なように表示出力させたり、所定の比較処理を実行する。FEM解析結果比較処理部19が有する機能の詳細については、図9から図22を用いて後述する。
出力制御部20は、操作入力部11から入力されたユーザの操作入力に基づいて、構造物情報変換処理部14、2次元情報に対する変状情報処理部17、3次元情報に対する変状情報処理部18、および、FEM解析結果比較処理部19の各部の処理に必要な情報、または、これらの処理によって生成された情報の表示またはデータ出力を制御する。また、出力制御部20は、操作入力部11から入力されたユーザの操作入力に基づいて、3次元構造物情報データベース15に登録されている3次元構造物情報の表示またはデータ出力を制御する。出力制御部20は、表示される情報を表示制御部21へ、データ出力される情報をデータ出力部23へ供給する。
表示制御部21は、出力制御部20から供給された情報の表示部22への表示を制御する。
表示部22は、例えば、液晶ディスプレイ、タッチパネルなどの表示デバイスにより構成され、表示制御部21の制御に基づいて、所定の情報を表示する。
データ出力部23は、通信部やリムーバブル記録媒体の読み取り装置などで構成され、出力制御部20から供給された情報を出力したり、記録させる。
図2は、構造物情報変換処理部14が有する機能について説明するための機能ブロック図である。
構造物情報変換処理部14は、2次元図面情報取得部41、寸法・位置情報取得部42、路線情報取得部43、および、3次元展開図変換処理部44を含んで構成されている。
2次元図面情報取得部41は、入力制御部13より供給される2次元展開図の情報を取得し、3次元展開図変換処理部44に供給する。
寸法・位置情報取得部42は、入力制御部13から供給された2次元展開図を3次元展開図に変換するために必要な寸法情報、および、路線内どの位置であるかを示すキロ程情報、また、必要に応じて、橋梁やトンネルなどの構造物のコンクリート強度や鋼材強度等の材料特性などを取得し、3次元展開図変換処理部44に供給する。寸法・位置情報取得部42は、構造物が路線単位ではなく、構造物単位で管理される場合、キロ程情報に代わって、対応する図面が構造物のどの部分に位置するかを示す位置情報を取得するものであってもよい。また、寸法・位置情報取得部42は、入力制御部13から、例えば、鉄筋のかぶりや継手位置等、構造物の表面から判断できない情報の供給を受けた場合、これらの情報を、3次元展開図変換処理部44に供給する。寸法・位置情報取得部42は、数値情報取得手段に対応する。
路線情報取得部43は、入力制御部13から供給された2次元展開図に対応する構造物がいずれの路線の構造物であるかを示す情報を取得し、3次元展開図変換処理部44に供給する。路線情報取得部43は、構造物が路線単位ではなく、構造物単位で管理される場合、図面に対応する構造物を管理する場合に1つのまとまりとして認識するための情報、例えば、構造物の名称などを取得するものとしてもよい。路線情報取得部43は、認識情報取得手段に対応する。
3次元展開図変換処理部44は、2次元図面情報取得部41から供給された2次元展開図を、寸法・位置情報取得部42から供給された寸法情報や位置情報に基づいて、例えば、図3に示されるような、3次元展開図に変換する処理を実行する。3次元展開図変換処理部44は、例えば、あらかじめ標準的な形状情報を保有し、対象構造物の寸法情報や位置情報の供給を受けることにより、3次元展開図を作成することも可能である。そして、3次元展開図変換処理部44は、変換された3次元展開図に、寸法・位置情報取得部42から供給された位置情報、および、路線情報取得部43から供給された路線情報または構造物名を対応付けるとともに、必要に応じて、橋梁やトンネルなどの構造物のコンクリート強度や鋼材強度等の材料特性や、鉄筋のかぶりや継手位置等、構造物の表面から判断できない情報などを対応付けて、3次元構造物情報データベース15に登録する。3次元展開図変換処理部44は、第1の3次元展開図変換処理手段に対応する。
したがって、3次元展開図変換処理部44により生成される3次元展開図は、3次元構造物情報データベース15においては、路線ごとに1つの大きな構造物として登録される。換言すれば、3次元構造物情報データベース15に路線すべての構造物が登録されたとき、3次元のバーチャル線区のデータが構成され、線区全体を管理するにあたって、仮想的に可視化することができる。路線名と路線内の位置を示すキロ程を用いた区画を指定することによって、例えば、図3に示されるような、橋梁の一部に対応する3次元展開図の一部を、3次元構造物情報データベース15から読み出すことが可能である。
また、路線名以外のまとまりで構造物を管理することが求められている場合には、例えば、構造物の名称などが指定されることにより、3次元構造物情報データベース15において、3次元展開図変換処理部44により生成される3次元展開図を構造物ごとに管理することも可能となる。この場合、構造物の名称と、その基準点からの位置情報を指定することにより、例えば、図3に示されるような、橋梁の一部に対応する3次元展開図の一部を、3次元構造物情報データベース15から読み出すことが可能である。
図4は、2次元情報に対する変状情報処理部17が有する機能について説明するための機能ブロック図である。
2次元情報に対する変状情報処理部17は、3次元展開図取得部51、2次元展開図変換処理部52、変状情報取得部53、変状情報反映処理部54、2次元図出力処理部55、および、3次元展開図変換処理部56を含んで構成されている。
3次元展開図取得部51は、入力制御部13から供給されたユーザの操作入力に基づいて、3次元構造物情報データベース15に登録されている、所定の路線の所定箇所の3次元展開図を取得し、2次元展開図変換処理部52に供給する。
2次元展開図変換処理部52は、入力制御部13から供給されたユーザの操作入力に基づいて、3次元展開図取得部51から供給された3次元展開図の各部、または、その一部分を、2次元展開図に変換する処理を実行する。2次元展開図変換処理部52は、変換して生成した2次元展開図を、変状情報反映処理部54、および、2次元図出力処理部55に供給する。
変状情報取得部53は、入力制御部13、または、画像処理解析部16から供給された、例えば、ひび割れ等の2次元の変状を示す情報を取得し、変状情報反映処理部54に供給する。
変状情報反映処理部54は、2次元展開図変換処理部52から供給された2次元展開図の所定の箇所に、変状情報取得部53から供給された変状情報を反映させる。この時、変状情報反映処理部54は、変状情報に対して、回転、拡大、縮小、変形、角度補正などの所定の処理を施したのち、2次元展開図の所定の箇所に反映させることができる。1つの2次元展開図には、複数の変状情報を対応付けることができる。また、変状情報は、2次元展開図の全体に対応付けられなくてもよく、そのうちの一部分にのみ対応付けられていてもよい。変状情報反映処理部54は、変状情報の反映のために必要な情報、および、変状情報が反映された2次元展開図を、2次元図出力処理部55および3次元展開図変換処理部56に供給する。
2次元図出力処理部55は、2次元展開図変換処理部52から供給された2次元展開図、2次元展開図変換処理部52により生成された2次元展開図、または、2次元展開図に変状情報を対応付けるために必要な情報、もしくは、変状情報が反映された2次元展開図を出力制御部20へ出力する。出力制御部20に出力された2次元展開図等は、表示制御部21の制御により、表示部22に表示される。2次元図出力処理部55は、表示制御手段に対応する。
ユーザは、例えば、図5に示されるように、表示部22に表示された2次元展開図の所定の位置に、入力制御部13から入力された、または、画像処理解析部16により解析された、例えば、ひび割れなどの変状を示す情報a,b,およびcを対応付けることが可能である。ユーザは、操作入力部11を用いて、変状を示す情報a,b,またはcの拡大縮小、回転、変形、角度補正、または、位置を決定する操作入力を行うことができる。これにより、ユーザは、複雑な3次元展開図上ではなく、通常の検査において使用される場合と同等の2次元展開図上への変状の登録を行うことができる。
変状情報反映処理部54は、例えば、図5に示されるように、ひび割れなどの変状を示す情報a,b,およびcの一部が重複している場合であっても、操作入力部11により入力されるユーザの操作入力に基づいて、それらの位置を2次元展開図上に対応付けることが可能である。また、ユーザは、表示部22の表示を参照し、操作入力部11を操作して、変状情報を追加または削除することが可能である。変状情報反映処理部54は、例えば、図5の2次元展開図に対応付けられた変状情報のうち、操作入力部11により入力されたユーザの操作入力に基づいて、図6に示されるように、図中dで示される部分のひび割れを削除したり、図中eで示される部分のひび割れを追加することができる。これにより、ユーザは、例えば、画像処理において誤検出されたり、正しく検出されなかった変状についての修正処理を容易に行うことが可能となる。
3次元展開図変換処理部56は、変状情報反映処理部54から供給された変状情報が反映された2次元展開図を、例えば、図7に示されるような3次元展開図に変換し、路線情報、位置情報に加えて、変状情報が対応付けられた3次元構造物情報として、3次元構造物情報データベース15に出力して登録させる。3次元展開図変換処理部56は、第2の3次元展開図変換処理手段に対応する。
図8は、3次元情報に対する変状情報処理部18が有する機能について説明するための機能ブロック図である。
3次元情報に対する変状情報処理部18は、3次元展開図取得部61、変状情報取得部62、変状情報反映処理部63、および、3次元図出力処理部64を含んで構成されている。
3次元展開図取得部61は、入力制御部13から供給されたユーザの操作入力に基づいて、3次元構造物情報データベース15に登録されている、所定の路線の所定箇所の3次元展開図、すなわち、例えば、図3を用いて説明したような3次元展開図を取得し、3次元展開図変換処理部56および3次元図出力処理部64に供給する。
変状情報取得部62は、入力制御部13、または、画像処理解析部16から供給された、例えば、欠けや歪み等の3次元で検出される変状、または、3次元展開図の一部に登録可能な2次元の変状を示す情報を取得し、変状情報反映処理部63に供給する。
変状情報反映処理部63は、3次元展開図取得部61から供給された3次元展開図の所定の箇所に、変状情報取得部62から供給された変状情報を反映させる。この時、変状情報反映処理部63は、変状情報に対して、回転、拡大、縮小、変形などの所定の処理を施したのち、3次元展開図の所定の箇所に反映させることができる。
変状情報が対応付けられた3次元展開図は、例えば、図7に示される場合と同様となる。1つの3次元展開図には、複数の変状情報を対応付けることができる。また、変状情報は、3次元展開図の全体に対応付けられなくてもよく、そのうちの一部分にのみ対応付けられていてもよい。変状情報反映処理部63は、変状が対応付けられた3次元展開図を、路線情報、位置情報に加えて、変状情報が対応付けられた3次元構造物情報として、3次元構造物情報データベース15に出力して登録させる。また、変状情報反映処理部63は、変状情報の反映のために必要な情報、および、変状情報が反映された3次元展開図を、3次元図出力処理部64に供給する。
3次元図出力処理部64は、3次元展開図取得部61から供給された3次元展開図、もしくは、変状情報反映処理部63から供給された、変状情報の反映のために必要な情報、または、変状情報が反映された3次元展開図を出力制御部20へ出力する。出力制御部20に出力された3次元展開図等は、表示制御部21の制御により、表示部22に表示される。変状情報反映処理部63は、表示部22を参照したユーザの操作入力に基づいて、図5または図6を用いて説明した2次元展開図における場合と同様にして、変状情報を追加または削除することが可能である。
図9は、FEM解析結果比較処理部19が有する機能について説明するための機能ブロック図である。
FEM解析結果比較処理部19は、3次元構造物情報取得部71、FEM解析結果情報取得部72、配筋情報取得部73、比較解析部74、比較解析結果出力制御部75、および、設計情報取得部76を含んで構成されている。
3次元構造物情報取得部71は、入力制御部13から供給されたユーザの操作入力に基づいて、3次元構造物情報データベース15に登録されている、所定の路線の所定箇所の3次元構造物情報を取得し、比較解析部74へ供給する。所定の路線の所定箇所の3次元構造物情報は、例えば、図10に示されるように、3次元展開図に変状情報が反映されているものである。
FEM解析結果情報取得部72は、データ入力部12および入力制御部13を介して入力されるFEM解析結果を取得し、比較解析部74へ供給する。FEM解析結果情報取得部72は、複数のFEM解析結果を取得することが可能である。ここでは、解析モデルとして、図11に示されるように、防音壁、路盤コンクリート、高欄等の版上構造をソリッド要素でモデル化し、2次部材の剛性を考慮するケースであるCase1と、2次部材を版上荷重としてのみ考慮するケースであるCase2の、2ケースのFEM解析結果を取得するものとして、以下の比較解析について説明する。また、図10に示される3次元展開図に対応する位置のFEMメッシュ図の一例を図12に示す。
FEM解析結果の例として、図13に、Case1における設計荷重100%時の最大主ひずみコンター、図14に、Case2における設計荷重100%時の最大主ひずみコンターの解析結果の一例を示す。ここで、ひずみの単位はμである。また、FEM解析結果の他の例として、図15に、Case1における設計荷重100%時の鉄筋応力コンター、図16に、Case2における設計荷重100%時の鉄筋応力コンターの解析結果の一例を示す。ここで、応力の単位はN/mm2である。これらの解析は、鉄筋コンクリートまたは無筋コンクリートを対象としたソリッド要素として、コンクリートのひび割れや鉄筋の降伏を考慮した非線形材料構成則を適用しておこなわれた。なお、支点条件は、支承線上の位置の桁下面に弾性要素を介して鉛直変位を拘束するものとした。また、解析条件は、列車荷重をEA-17、設計速度を80km/h、曲線半径Rを400m、軌道種別をスラブ軌道、支間長/桁長を8200m/8.980m、施工基面幅を4810m、桁高を7000mであるものとし、主桁本体および版上構造に関する死荷重を載荷した後に、列車荷重+衝撃荷重+遠心荷重を、活荷重の200%に達するまで20%ずつ増分させて解析を行った。
配筋情報取得部73は、データ入力部12および入力制御部13を介して入力される配筋情報を取得し、比較解析部74へ供給する。図10に示される3次元構造物情報に対応する位置の配筋情報の一例を、図17に示す。図17の配筋情報は、図18に示されるような、鉄筋の折り曲げやフック等も考慮されて作成されている。
設計情報取得部76は、データ入力部12および入力制御部13を介して入力される設計値および設計で用いる線材モデルによる計算結果、ならびに、各種実測値を取得し、比較解析部74へ供給する。ここでは、支間中央のたわみと活荷重の倍率の関係についての設計値、および、支間中央の列車通過時におけるたわみの計測値が最大0.3mmであるという情報が取得され、比較解析部74へ供給されるものとして説明する。
比較解析部74は、3次元構造物情報取得部71から供給された3次元構造物情報、FEM解析結果情報取得部72から供給されたFEM解析結果、配筋情報取得部73から供給された配筋情報、ならびに、設計情報取得部76から供給された設計値、設計で用いる線材モデルによる計算結果、および、各種実測値に基づいて、比較解析処理を実行する。FEM解析は、複雑な形状や性質を持つ物体を小部分に分割することで近似し、全体の挙動を予測するものであり、所定の解析モデルに対して、自由に荷重の大きさや方向など条件を変えて何度もシミュレーションすることができるものである。このため、FEM解析は、例えば、設計時に、または、耐震構造の確認等が必要となった時などに広く用いられている。
比較解析部74は、例えば、支間中央でのたわみについて、実構造物の計測値、図13および図14に示される解析より得られる応答値、および、計算値を比較解析することが可能である。図19に、支間中央のたわみと活荷重の倍率の関係を示す。また、図20に設計荷重100%時の変形図を示す。図19の縦軸は、スパン中央部の鉛直変位の下向きのたわみを示している。また、図19の横軸は、活荷重の載荷倍率を示しており、0%時が死荷重(主桁自重および版上構造の死荷重)のみの載荷状態を示している。また、図19においては、設計値として、設計時に考慮している主部材の全断面剛性で算定したたわみ量を示している。図19より、Case2の解析値の活荷重倍率40%以降にたわみ量が増加したのは、コンクリートに引張ひび割れが発生したことに起因することがわかる。この設計値は、Case1の解析値よりも大きく、Case2の解析値よりも小さい。また、Case1の解析値が計測値である最大0.3mmを概ね評価する結果となった。これにより、たわみ量が2次部材の影響を受ける傾向があり、この構造物は、2次部材の影響を考慮した解析モデルCase1を用いて、ひび割れや鉄筋応力を評価することが妥当であることがわかる。
また、比較解析部74は、桁下面のひび割れについて、FEM解析結果と、3次元構造物情報、すなわち、ひび割れの位置が記載された展開図と、解析上のひび割れ発生範囲を比較することができる。比較解析部74は、後述する比較解析結果出力制御部75を制御して、例えば、桁下面のひび割れについて、図21に示すように、配筋情報に対して、FEM解析結果、および、3次元構造物情報を、容易に比較可能なように、3次元的に平行に並べて表示させることができる。FEM解析結果情報取得部72から供給された、図14に示されるCase2における設計荷重100%時の最大主ひずみコンターの解析結果では、桁下面にひび割れが発生する判定となるが、図13に示されるCase1における設計荷重100%時の最大主ひずみコンターの解析結果では、桁下面にひび割れは発生しないという判定結果となる。このように、配筋情報、FEM解析結果、および、3次元構造物情報を、容易に比較可能なように並べて表示させることにより、この構造物のひび割れは、力学的な影響により発生したものではないことがわかる。
また、比較解析部74は、列車通過時の鉄筋応力度について、図15および図16に示される解析より得られる応答値と設計で想定する値とを比較することができる。図22に、スラブ桁下面の鉄筋応力度の最大値と活荷重の倍率の関係を示す。図22の縦軸は、スラブ桁軸方向鉄筋(引張鉄筋)の応力度を、引張を正として示している。図22より、版上構造をモデルに考慮したCase1の解析値と、主桁のみをモデル化したCase2の解析値において、鉄筋応力に大きな差異があることを確認することができる。なお、Case2の解析値の活荷重倍率40%以降に見られる鉄筋応力の増加は、コンクリートのひび割れの発生に伴うものである。図22には、設計時に考慮している主部材のひび割れを考慮して算出した鉄筋応力度を示すが、この設計時における算出値は、Case2の解析値よりも大きな値となった。これは、コンクリートの引張性能の考慮の有無の影響によるものである。ここでは、Case1の解析値より、鉄筋には列車通過時において、15N/mm2程度の応力の増加となることがわかる。
比較解析部74は、比較解析処理のためにユーザが参照必要な情報、および、上述したような比較解析処理結果を、比較解析結果出力制御部75および3次元構造物情報データベース15に供給する。
比較解析結果出力制御部75は、比較解析部74から供給された、比較解析処理のためにユーザが参照必要な情報、および、比較解析処理結果を、例えば、図21を用いて説明したようにして、出力制御部20に供給する。出力制御部20は供給されたデータを表示制御部21に供給し、表示部22への表示を制御する。また、比較解析処理のためにユーザが参照必要な情報、および、比較解析処理結果は、これ以外の表示方法であってもよい。
FEM解析結果比較処理部19の処理により、例えば、FEM解析結果における所定の条件下でのシミュレーション結果と、実際の変状とを容易に比較することが可能となる。例えば、図21に示されるような情報により、FEM解析結果によって変状が発生すると予測された箇所や規模と、実際の変状の発生箇所や規模を容易に比較することができる。変状が発生すると予測された箇所や規模と、実際の変状の発生箇所や規模が異なる場合においては、シミュレーション時の荷重の大きさや方向などの条件を再検討することが可能である。具体的には、例えば、構造物の供用時においては、設計時に想定した作用と異なる作用がかかる場合も想定される。FEM解析結果比較処理部19の処理により、構造物の変状発生の原因が、想定とは異なる作用にあるか、材料劣化等の性能低下にあるかを、明確にすることができる。更に、FEM解析結果比較処理部19の処理により、例えば、FEM解析結果における所定の条件下でのシミュレーション結果、設計値および設計で用いる線材モデルによる計算結果、ならびに、各種実測値を、容易に比較することが可能となる。例えば、図19および図22を用いて説明したように、防音壁、路盤コンクリート、高欄等の版上構造をソリッド要素でモデル化し、2次部材の剛性を考慮するケースであるCase1と、2次部材を版上荷重としてのみ考慮するケースであるCase2の、2ケースのFEM解析結果を用いた比較処理を行うことにより、いずれのケースを用いて、ひび割れや鉄筋応力を評価することが妥当であるかを判定することが可能となる。また、これらの比較解析結果を、構造物の今後の変状の進展の予測に用いることも可能である。これらの比較解析結果を、構造物の今後の変状の進展の予測に用いることにより、実構造物のありのままを踏まえて、将来予測を含む、4次元的な性能評価を行うことが可能となる。
このように、構造物管理装置1は、2次元図面情報を取得する2次元図面情報取得部41と、管理時に1つのまとまりとして認識される単位を示す情報を取得する路線情報取得部43と、2次元図面情報取得部41により取得された2次元図面情報が、単位内のいずれの位置に対応するかを示す位置情報、および、2次元図面情報に付随する寸法情報からなる数値情報を取得する寸法・位置情報取得部42と、寸法・位置情報取得部42により取得された数値情報に基づいて、2次元図面情報取得部41により取得された2次元図面情報を3次元展開図に変換する3次元展開図変換処理部44と、3次元展開図変換処理部44により生成された3次元展開図に、路線情報取得部43により取得された単位を示す情報を対応付けて記録する3次元構造物情報データベース15とを備える。したがって、3次元のバーチャル線区のデータを構築して管理することができ、線区全体を管理するにあたって、仮想的に可視化することができる。したがって、橋梁などの構造物を、その全体、または、路線ごとに容易に管理することができる。また、構造物管理装置1においては、各部の処理結果が、3次元構造物情報データベース15に蓄積される。したがって、例えば、蓄積されたデータと、類似構造物の検討結果等とを比較することで、構造物の更なる維持管理における高精度化や効率化を図ることが可能となる。
以上においては、構造物管理装置1が一つの装置として構成されているものとして説明したが、上述した構造物管理装置1の各機能は、複数の装置に分割され、それぞれ情報を授受可能なものとしてもよい。具体的には、例えば、データ入力部12、操作入力部11、表示部22、データ出力部23などを、他の機能を有する装置とは異なる装置として構成してもよい。また、3次元構造物情報データベース15として外部のデータベースを利用し、データ入力部12およびデータ出力部23を介して、情報を授受することが可能なようにしてもよい。
また、例えば、図1に示した構造物管理装置1の機能の一部を利用することが可能な装置を構成し、橋梁等の検査の現場において使用することができるようにしてもよい。
図23は、構造物管理システムの一例を示す機能ブロック図である。図23の構造物管理サーバー81は、図1に示した構造物管理装置1の機能のうち、主に、2次元展開図から、路線情報を含む3次元展開図を生成し、3次元構造物情報データベース15に登録する機能、3次元構造物情報データベース15に登録されている3次元展開図を2次元展開図に変換する機能、および、変状が反映された2次元展開図を取得して、これを3次元構造物情報に変換し、登録する機能を有するものである。また、図23の構造物検査管理装置82は、主に、図1に示した構造物管理装置1の2次元情報に対する変状情報処理部17が有する機能のうち、2次元展開図を表示させる機能、および、2次元展開図に変状情報を反映させる機能を有するものである。
なお、上述した場合と対応する部分については、同一の符号を付し、適宜、その詳細な説明を省略する。
構造物管理サーバー81は、データ入力部12、入力制御部13、構造物情報変換処理部14、3次元構造物情報データベース15、3次元展開図取得部51、2次元展開図変換処理部52、3次元展開図変換処理部56、通信処理部91、および、データ入出力制御部92を含んで構成されている。
通信処理部91は、構造物検査管理装置82との情報の授受を行うものである。データ入出力制御部92は、通信処理部91により構造物検査管理装置82と授受される情報の入出力を制御するものである。
構造物検査管理装置82は、操作入力部11、データ入力部12、入力制御部13、画像処理解析部16、表示制御部21、表示部22、変状情報取得部53、変状情報反映処理部54、2次元図出力処理部55、通信処理部101、および、2次元展開図取得部102を含んで構成されている。構造物検査管理装置82は、検査担当者が把持可能な、小型の装置であると好適である。
通信処理部101は、構造物管理サーバー81または構造物管理装置1との情報の授受を行うものである。2次元展開図取得部102は、通信処理部101により受信された2次元展開図を取得し、変状情報反映処理部54に供給する。
構造物管理サーバー81は、図1から図3を用いて説明した場合と同様にして、2次元展開図の入力を受け、路線情報を含む3次元展開図を生成して、3次元構造物情報データベース15に記録させる。
構造物検査管理装置82を利用するユーザは、操作入力部11を用いて、所定の路線の所定箇所の2次元展開図の受信を指令する。入力制御部13は、ユーザの操作入力に対応する情報の入力を受け、対応する2次元展開図の送信の指令を、通信処理部101を介して、構造物管理装置1、または、構造物管理サーバー81に送信する。以下、対応する2次元展開図の送信の指令が構造物管理サーバー81に送信された場合について説明する。
構造物管理サーバー81の通信処理部91は、構造物検査管理装置82から、所定の路線の所定箇所の2次元展開図の送信の指令を受けた時、データ入出力制御部92を制御して、3次元構造物情報データベース15から、対応する部分の3次元展開図を3次元展開図取得部51に供給させる。3次元展開図取得部51は、取得した3次元展開図を、2次元展開図変換処理部52に供給する。2次元展開図変換処理部52において変換されて生成された2次元展開図は、データ入出力制御部92を介して、通信処理部91に供給され、構造物検査管理装置82に送信される。
構造物検査管理装置82の通信処理部101は、受信した2次元展開図を2次元展開図取得部102に供給する。2次元展開図取得部102は、通信処理部101により受信された2次元展開図を、変状情報反映処理部54に供給する。構造物検査管理装置82のユーザは、構造物の変状を示す変状情報や、画像処理解析部16において画像解析される画像データを、データ入力部12から入力したり、操作入力部11を用いて、変状情報を操作入力する。変状情報取得部53は、入力制御部13または画像処理解析部16から、変状情報を取得する。変状情報反映処理部54は、2次元展開図取得部102から供給された2次元展開図の所定の箇所に、変状情報取得部53から供給された変状情報を反映させる。また、変状情報反映処理部54は、変状情報の反映のために必要な情報、および、変状情報が反映された2次元展開図を、2次元図出力処理部55に供給する。
2次元図出力処理部55は、2次元展開図変換処理部52により生成された2次元展開図、または、2次元展開図に変状情報を対応付けるために必要な情報、もしくは、変状情報が反映された2次元展開図を、表示制御部21に供給し、表示部22に表示させる。
ユーザにより、変状情報が反映された2次元展開図の構造物管理サーバー81への登録が指令された場合、変状情報反映処理部54は、変状情報が反映された2次元展開図を、通信処理部101に供給し、構造物管理サーバー81へ送信させる。
構造物管理サーバー81の通信処理部91は、構造物検査管理装置82から、変状情報が反映された2次元展開図を受信し、データ入出力制御部92を介して、3次元展開図変換処理部56に供給する。3次元展開図変換処理部56は、データ入出力制御部92から供給された変状情報が反映された2次元展開図を、例えば、図7に示されるような3次元展開図に変換し、路線情報、位置情報に加えて、変状情報が対応付けられた3次元構造物情報として、3次元構造物情報データベース15に出力して登録させる。
図23の構造物管理システムを用いた場合、構造物の管理点検の現場において構造物検査管理装置82を用いることにより、3次元構造物情報データベース15に登録されている3次元構造物情報に対応する2次元展開図を参照しながら検査を行うことができる。また、検査において発見された新たな変状を、従来利用していた場合と同様の2次元展開図に反映させて、構造物管理サーバー81(または、構造物管理装置1)に送信することにより、3次元構造物情報データベース15に登録されている3次元構造物情報に、新たな変状情報を登録することが可能となる。また、図23の構造物管理システムにおいて、構造物検査管理装置82は、2次元展開図と3次元展開図との相互の変換処理を行う必要がない。したがって、構造物検査管理装置82は、比較的安価に構成することが可能である。このため、構造物の管理点検を行う多くの現場において、それぞれに構造物検査管理装置82を利用することが容易となる。
また、例えば、図1に示した構造物管理装置1の機能の一部を利用することが可能な装置を構成し、橋梁等の設計の現場において使用することができるようにしてもよい。
図24は、構造物管理システムの他の例を示す機能ブロック図である。図24のFEM解析結果比較処理装置111は、図1に示した構造物管理装置1の機能のうち、主に、FEM解析結果比較処理部19が有する機能と同等の機能を有するものである。
なお、上述した場合と対応する部分については、同一の符号を付し、適宜、その詳細な説明を省略する。
FEM解析結果比較処理装置111は、操作入力部11、データ入力部12、入力制御部13、表示制御部21、表示部22、3次元構造物情報取得部71、FEM解析結果情報取得部72、配筋情報取得部73、比較解析部74、比較解析結果出力制御部75、設計情報取得部76、および、通信処理部121を含んで構成されている。
通信処理部121は、構造物管理サーバー81または構造物管理装置1との情報の授受を行うものである。
FEM解析結果比較処理装置111を利用するユーザは、操作入力部11を用いて、所定の路線の所定箇所の3次元構造物情報の受信を指令する。入力制御部13は、ユーザの操作入力に対応する情報の入力を受け、対応する3次元構造物情報の送信の指令を、通信処理部121を介して、構造物管理装置1、または、構造物管理サーバー81に送信する。以下、対応する次元構造物情報の送信の指令が構造物管理サーバー81に送信された場合について説明する。
構造物管理サーバー81の通信処理部91は、FEM解析結果比較処理装置111から、所定の路線の所定箇所の3次元構造物情報の送信の指令を受けた時、データ入出力制御部92を制御して、3次元構造物情報データベース15から、対応する部分の3次元展開図を読み出し、FEM解析結果比較処理装置111に送信する。
FEM解析結果比較処理装置111の通信処理部121は、受信した3次元構造物情報を、3次元構造物情報取得部71に供給する。FEM解析結果情報取得部72、配筋情報取得部73、比較解析部74、比較解析結果出力制御部75、および、設計情報取得部76は、図9~図22を用いて説明した場合と同様の処理を実行する。
ユーザにより、FEM解析結果との比較処理結果の構造物管理サーバー81への登録が指令された場合、比較解析部74は、FEM解析結果との比較処理結果を、通信処理部121に供給から構造物管理サーバー81へ送信させる。
構造物管理サーバー81の通信処理部91は、FEM解析結果比較処理装置111から受信したFEM解析結果との比較処理結果を、データ入出力制御部92に供給し、3次元構造物情報データベース15に登録させる。
図23および図24を参照して説明した例のように、図1を用いて説明した構造物管理装置1の各機能を、複数の装置に分割して、それぞれ情報を授受可能なものとして、構造物管理システムを構成することが可能となる。
次に、図25~図30のフローチャートを用いて、構造物管理装置1、または、構造物管理システムが実行する処理について説明する。
図25のフローチャートを参照して、構造物管理装置1、または、構造物管理サーバー81が実行する構造物情報変換処理について説明する。
ステップS1において、構造物情報変換処理部14の2次元図面情報取得部41は、入力制御部13より供給される2次元の展開図面情報を取得し、3次元展開図変換処理部44に供給する。
ステップS2において、構造物情報変換処理部14の寸法・位置情報取得部42は、入力制御部13から供給された2次元の展開図面を3次元展開図に変換するための寸法情報、および、位置情報を取得し、3次元展開図変換処理部44に供給する。
ステップS3において、構造物情報変換処理部14の路線情報取得部43は、入力制御部13から供給された2次元展開図に対応する構造物がいずれの路線の構造物であるかを示す路線情報を取得し、3次元展開図変換処理部44に供給する。
ステップS4において、構造物情報変換処理部14の3次元展開図変換処理部44は、取得された2次元展開図を、寸法情報に基づいて、位置情報、および、路線情報を含む3次元展開図に変換する処理を実行する。
ステップS5において、構造物情報変換処理部14の3次元展開図変換処理部44は、寸法情報、位置情報、および、路線情報が対応付けられた3次元展開図を、3次元構造物情報データベース15に供給して登録し、処理が終了される。
このような処理により、橋梁などの構造物を、その全体、または、路線ごとに管理することができる。
次に、図26および図27のフローチャートを参照して、構造物管理装置1、または、構造物管理サーバー81および構造物検査管理装置82が実行する2次元情報に対する変状情報追加処理について説明する。
ステップS11において、構造物管理装置1の入力制御部13は、操作入力部11から、2次元情報に対する変状情報を追加する箇所を示す位置情報、および、路線情報の入力を受け、2次元情報に対する変状情報処理部17に供給する。または、ステップS11において、構造物管理サーバー81のデータ入出力制御部92は、通信処理部91により構造物検査管理装置82から受信された2次元情報に対する変状情報を追加する箇所を示す位置情報、および、路線情報の入力を受け、3次元構造物情報データベース15から、対応する部分の3次元展開図を3次元展開図取得部51に供給させる。
ステップS12において、構造物管理装置1または構造物管理サーバー81の3次元展開図取得部51は、3次元構造物情報データベース15から、変状情報を追加する箇所に対応する3次元展開図を取得し、2次元展開図変換処理部52に供給する。
ステップS13において、2次元展開図変換処理部52は、取得された3次元展開図を、変状情報を追加する箇所に対応する箇所を含む2次元展開図へ変換する処理を実行する。2次元展開図変換処理部52は、変換されて生成された2次元展開図を、変状情報反映処理部54に供給する。この処理を、構造物管理サーバー81および構造物検査管理装置82が実行する場合、2次元展開図変換処理部52は、変換されて生成された2次元展開図を、データ入出力制御部92、および通信処理部91を介して、構造物検査管理装置82に送信させる。そして、構造物検査管理装置82の通信処理部101は、受信した2次元展開図を変状情報反映処理部54に供給する。
ステップS14において、変状情報取得部53は、入力制御部13、または、画像処理解析部16から、2次元展開図へ追加される変状を示す画像データ、および、対応する位置情報が入力されたか否かを判断する。
ステップS14において、2次元展開図へ追加される変状を示す画像データ、および、対応する位置情報が入力されたと判断された場合、ステップS15において、変状情報取得部53は、変状を示す画像データ、および、対応する位置情報を、変状情報反映処理部54に供給する。変状情報反映処理部54は、変状を示す画像データに必要な処理を施したのち、2次元展開図に反映する処理を実行する。
ステップS14において、2次元展開図へ追加される変状を示す画像データ、および、対応する位置情報が入力されなかったと判断された場合、または、ステップS15の処理の終了後、ステップS16において、2次元図出力処理部55は、2次元展開図の表示が指令されたか否かを判断する。
ステップS16において、2次元展開図の表示が指令されたと判断された場合、ステップS17において、2次元図出力処理部55は、変状情報反映処理部54から出力された2次元展開図を、表示制御部21に供給し、表示部22に表示させる。
ステップS16において、2次元展開図の表示が指令されなかったと判断された場合、または、ステップS17の処理の終了後、ステップS18において、変状情報取得部53は、表示部22に表示された2次元展開図を参照したユーザにより、操作入力部11を用いて、例えば、図6を用いて説明したように、2次元展開図に対する変状情報が手入力されたか否かを判断する。
ステップS18において、2次元展開図に対する変状情報が手入力されたと判断された場合、ステップS19において、変状情報取得部53は、手入力された変状情報を、変状情報反映処理部54に供給する。変状情報反映処理部54は、2次元展開図に、手入力された変状情報を反映する処理を実行する。
ステップS18において、2次元展開図に対する変状情報が手入力されなかったと判断された場合、または、ステップS19の処理の終了後、ステップS20において、2次元図出力処理部55は、変状情報が反映された図面の登録が指令されたか否かを判断する。ステップS20において、変状情報が反映された図面の登録が指令されなかったと判断された場合、処理は、ステップS14に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS20において、変状情報が反映された図面の登録が指令されたと判断された場合、ステップS21において、変状情報反映処理部54は、変状情報が反映された2次元展開図を、3次元展開図変換処理部56に供給する。この処理を、構造物管理サーバー81および構造物検査管理装置82が実行する場合、変状情報取得部53は、変状情報が反映された2次元展開図を、通信処理部101から、構造物管理サーバー81に送信させる。構造物管理サーバー81の受信部により受信された変状情報が反映された2次元展開図は、データ入出力制御部92を介して、3次元展開図変換処理部56に供給される。3次元展開図変換処理部56は、変状情報反映処理部54から供給された変状情報が反映された2次元展開図を、例えば、図7に示されるような3次元展開図に変換し、対応する箇所に反映させることにより、変状情報が反映された3次元展開図を生成する。
ステップS22において、3次元展開図変換処理部56は、寸法情報、位置情報、および、路線情報に加えて、変状情報が対応付けられた3次元展開図を、3次元構造物情報データベース15に登録し、処理が終了される。
このような処理により、橋梁などの構造物を、その全体、または、路線ごとに管理するにあたって、変状情報を登録する処理や、画像処理において誤検出されたり、正しく検出されなかった変状についての修正処理などを、2次元展開図を利用して、容易に行うことができる。
次に、図28および図29のフローチャートを参照して、構造物管理装置1が実行する3次元情報に対する変状情報追加処理について説明する。
ステップS31において、構造物管理装置1の入力制御部13は、3次元情報に対する変状情報を追加する箇所を示す位置情報、および、路線情報の入力を受け、3次元情報に対する変状情報処理部18に供給する。
ステップS32において、3次元展開図取得部61は、3次元構造物情報データベース15から、変状情報を追加する箇所に対応する3次元展開図を取得し、変状情報反映処理部63に供給する。
ステップS33において、変状情報取得部62は、入力制御部13、または、画像処理解析部16から、3次元展開図へ追加される変状を示す画像データ、および、対応する位置情報が入力されたか否かを判断する。
ステップS33において、3次元展開図へ追加される変状を示す画像データ、および、対応する位置情報が入力されたと判断された場合、ステップS34において、変状情報取得部62は、変状を示す画像データ、および、対応する位置情報を、変状情報反映処理部63に供給する。変状情報反映処理部63は、変状を示す画像データに必要な処理を施したのち、3次元展開図に反映する処理を実行する。
ステップS33において、3次元展開図へ追加される変状を示す画像データ、および、対応する位置情報が入力されなかったと判断された場合、または、ステップS34の処理の終了後、ステップS35において、3次元図出力処理部64は、3次元展開図の表示が指令されたか否かを判断する。
ステップS35において、3次元展開図の表示が指令されたと判断された場合、ステップS36において、3次元図出力処理部64は、変状情報反映処理部63から出力された3次元展開図を、表示制御部21に供給し、表示部22に表示させる。
ステップS35において、3次元展開図の表示が指令されなかったと判断された場合、または、ステップS36の処理の終了後、ステップS37において、変状情報取得部62は、表示部22に表示された3次元展開図を参照したユーザにより、操作入力部11を用いて、3次元展開図に対する変状情報が手入力されたか否かを判断する。
ステップS37において、3次元展開図に対する変状情報が手入力されたと判断された場合、ステップS38において、変状情報取得部62は、手入力された変状情報を、変状情報反映処理部63に供給する。変状情報反映処理部63は、3次元展開図に、手入力された変状情報を反映する処理を実行する。
ステップS37において、3次元展開図に対する変状情報が手入力されなかったと判断された場合、または、ステップS38の処理の終了後、ステップS39において、3次元図出力処理部64は、変状情報が反映された図面の登録が指令されたか否かを判断する。ステップS39において、変状情報が反映された図面の登録が指令されなかったと判断された場合、処理は、ステップS33に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS39において、変状情報が反映された図面の登録が指令されたと判断された場合、ステップS40において、変状情報反映処理部63は、寸法情報、位置情報、および、路線情報に加えて、変状情報が対応付けられた3次元展開図を、3次元構造物情報データベース15に登録し、処理が終了される。
このような処理により、橋梁などの構造物を、その全体、または、路線ごとに管理するにあたって、変状情報を登録する処理や、画像処理において誤検出されたり、正しく検出されなかった変状についての修正処理などを、3次元展開図に対して実行することができる。
次に、図30のフローチャートを参照して、構造物管理装置1、または、構造物管理サーバー81およびFEM解析結果比較処理装置111が実行するFEM解析結果比較処理について説明する。
ステップS51において、構造物管理装置1の入力制御部13は、操作入力部11から、FEM解析結果と変状との比較処理を実行する箇所を示す位置情報、および、路線情報の入力を受け、FEM解析結果比較処理部19に供給する。または、ステップS51において、構造物管理サーバー81のデータ入出力制御部92は、通信処理部91によりFEM解析結果比較処理装置111から受信されたFEM解析結果と変状との比較処理を実行する箇所を示す位置情報、および、路線情報の入力を受け、3次元構造物情報データベース15から、対応する部分の3次元展開図を読み出す。そして、データ入出力制御部92は、通信処理部91を制御して、対応する部分の3次元展開図をFEM解析結果比較処理装置111へ送信させる。FEM解析結果比較処理装置111の通信処理部121は、受信した対応する部分の3次元展開図を、3次元構造物情報取得部71に供給する。
ステップS52において、3次元構造物情報取得部71は、3次元構造物情報データベース15から、例えば、図10に示したような、比較処理を実行する箇所に対応する3次元展開図を取得する。
ステップS53において、FEM解析結果情報取得部72は、データ入力部12および入力制御部13を介して入力される、例えば、図15に示したような、FEM解析結果情報を取得し、比較解析部74へ供給する。
ステップS54において、配筋情報取得部73は、データ入力部12および入力制御部13を介して入力される、例えば、図17に示したような、配筋情報を取得し、比較解析部74へ供給する。
ステップS55において、設計情報取得部76は、データ入力部12および入力制御部13を介して入力される設計値および設計で用いる線材モデルによる計算結果、ならびに、各種実測値を取得し、比較解析部74へ供給する。
ステップS56において、比較解析部74は、3次元構造物情報取得部71から供給された3次元構造物情報、FEM解析結果情報取得部72から供給されたFEM解析結果、配筋情報取得部73から供給された配筋情報、ならびに、設計情報取得部76から供給された設計値、設計で用いる線材モデルによる計算結果、および、各種実測値に基づいて、例えば、図19、図21、および図22を用いて説明したように、比較解析処理を実行する。比較解析部74は、比較解析処理のためにユーザが参照必要な情報、および、比較解析処理結果を、比較解析結果出力制御部75に供給する。比較解析部74は、比較解析処理結果を、3次元構造物情報データベース15に供給する。
ステップS57において、比較解析結果出力制御部75は、比較解析部74から供給された比較解析処理結果を、出力制御部20に供給する。出力制御部20は、供給されたデータを表示制御部21に供給し、表示部22への表示を制御させる。表示部22は、例えば、図21を用いて説明したように、比較解析結果を表示する。
ステップS58において、3次元構造物情報データベース15は、比較解析部74から供給された比較解析結果を登録し、処理が終了される。
このような処理により、例えば、FEM解析結果における所定の条件下でのシミュレーション結果と、設計値および設計で用いる線材モデルによる計算結果、ならびに、各種実測値を、実際の変状とを容易に比較することが可能となる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、タブレット装置、または、スマートフォンなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。