JP5327666B2 - ステッピングモータ駆動装置及びステッピングモータ駆動方法 - Google Patents

ステッピングモータ駆動装置及びステッピングモータ駆動方法 Download PDF

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本発明は、スター結線、環状結線等の複数の励磁コイルを有するステッピングモータを駆動するための駆動装置であって、回動指令パルスに応じて励磁コイルに対する励磁を変更するステッピングモータ用駆動装置と、その駆動方法に関する。
一般に、N相ステッピングモータのモータ回転子を駆動する場合には、外部からステッピングモータの駆動装置に回動指令パルスを入力し、駆動装置がその入力した回動指令パルスを計数し、その計数値に応じてN相ステッピングモータの励磁コイルに対する励磁を切り替えることにより、回動指令パルスの総数に比例した角度だけモータ回転子を回転させる制御を行っている。
この、N相ステッピングモータのモータ回転子の位置決め分解能を細かくする際には、N相ステッピングモータの機械的構造から決定される機械角を半分に分割するハーフステップ駆動や、更に細かい角度に分割して位置決めするマイクロステップ駆動が行われている。
例えば、特許第3223216号公報(以下、特許文献1と呼ぶ。)に記載されているステッピングモータの駆動方式では、低回転域においては4相励磁時のPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)のデューティを変化させることで各相の励磁電流を段階的に調節して、マイクロステップ駆動(特許文献1では、微小角駆動と記載されている。)を行っている。そして、回動指令パルスの周波数がPWM周波数よりも短くなる高回転域においては、PWMを用いない4相励磁によるフルステップ駆動の制御に切り替えている。
ところが、特許文献1にも記載されているように、マイクロステップ駆動とフルステップ駆動との境界部分において、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えると、励磁パターンが急激に変化することに起因する振動(モータ回転子の回転数が変動すること。)が発生する。
この境界部分の回転数で発生する振動が、ステッピングモータの制御対象であるキャリッジの固有振動数と共振すると、その振幅が増大し、ワークの搬送等に支承をきたしたり、騒音が発生するなどの原因となる。そこで、特許文献1では、マイクロステップ駆動とフルステップ駆動の切り替えを、回転数に応じて徐々に行うようにしている。これにより、マイクロステップ駆動とフルステップ駆動との境界部分において、より滑らかな回転を得ることができるとしている。
ここで、特許文献1に記載されている発明と、後段にて説明する本願発明との相違点を明確にするために、特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式について、図を引用して概略説明することにする。
先ず、特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式を実現するための駆動回路について図18を用いて説明する。特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式は、5相ステッピングモータ用の駆動方式である。特許文献1には、当該5相ステッピングモータ用の駆動回路が記載されていないので、特許第2821696号公報(以下、特許文献2と呼ぶ。)の第2図を図18として引用して説明することにする。
先ず、特許文献1に記載されている5相ステッピングモータの駆動方式のうち、高回転域において用いられている4相励磁によるフルステップ駆動時の励磁パターンについて説明する。
図18に示す駆動回路を用いて4相励磁によるフルステップ駆動を行う場合には、例えば以下のように励磁コイルの各端子に電圧を印加して励磁を行っている。先ず、端子Aと接続されているハイサイド(特許文献1では上アームと記載されている。)駆動素子Q1のFETをオンにし、ローサイド(特許文献1では下アームと記載されている。)駆動素子Q2のFETをオフにする。このようにして端子Aに+V(V)の正極の電圧を印加する。同時に、ローサイド駆動素子Q6をオンにし、ハイサイド駆動素子Q5をオフにして端子Cに0(V)の負極に接続する。同様に、ローサイド駆動素子Q8をオンにし、ハイサイド駆動素子Q7をオフにして端子Cを0(V)の負極に接続する。
このように、3つの端子を電源に接続することで、端子AからAφ、Bφを経由して端子Cに電流を流すとともに、端子AからEφ、Dφを経由して端子Cに電流が流れて、Aφ、Bφ、Eφ、Dφの4相が励磁される。この励磁状態をステップ0*Nの基本ステップ位置と呼ぶことにする。
図19に、ステップ0*N〜9*N間における各端子に対するフルステップ駆動時の駆動パターンを示す。図19は、特許文献1の図3に示される図である。図19に示すように、いずれのステップ角においても3つの端子に正極又は負極の電圧を印加しているので、常時4相励磁を行っていることになる。
図19に示すように、各励磁コイルに対する励磁を切り替えることで、ステッピングモータの電気角360°(歯数50Tの5相ハイブリッドステッピングモータの場合、電気角360°=機械角7.2°に相当する。)をステップ0*N〜9*Nまで10分割することができる。
なお、例えばフルステップ駆動時においてステップ0*Nの励磁を行っている際には、端子B及び端子Eに対しては電圧を印加しておらず、常にハイインピーダンス状態となっている。すなわち、図18に示すハイサイド駆動素子Q3及びローサイド駆動素子Q4、並びにハイサイド駆動素子Q9及びローサイド駆動素子Q10は、全てオフとなっている。
次に、特許文献1に記載されている5相ステッピングモータの駆動方式のうち、低回転域において用いられる4相励磁によるマイクロステップ駆動時の励磁パターンについて説明する。
例えば、ステップ0*Nとステップ1*Nの間のE0の区間においてマイクロステップ駆動を行う場合には、図20に示すように、端子Bを介して印加する電圧を電気角に応じて増加させるとともに、端子Cを介して印加していた電圧を電気角に応じて減少させる。電流の増減は、PWMのデューティを変更することによって行っている。なお、この図20は、特許文献1の図2に示される図である。
マイクロステップ駆動時においてステップ0*Nの励磁を行う場合には、フルステップ駆動時においては常にハイインピーダンス状態としていた端子B及び端子Eに対して、+V(V)及び0(V)の電圧を交互に50%のデューティで印加することで実現している。したがって、この状態では、図18に示すハイサイド駆動素子Q3及びローサイド駆動素子Q4、並びにハイサイド駆動素子Q9及びローサイド駆動素子Q10のFETは、オン−オフを常時繰り返している状態となっている。このように、特許文献1においては、同一のステップ0*Nにおける励磁であるにも関わらず、マイクロステップ駆動とフルステップ駆動とで、全く異なる励磁を行っている。したがって、特許文献1に記載されている励磁切替方法では、マイクロステップ駆動の励磁とフルステップ駆動の励磁とを明確に切り替える必要がある。
この、PWMを用いた4相励磁によるマイクロステップ駆動時の励磁方法について、図21及び図22を用いて説明する。図21は、マイクロステップ駆動時のステップ0*N〜9*Nの間において、端子Aに印加する電圧(デューティ)について説明する図であり、特許文献1の図8に示される図である。なお、図22は、特許文献1の図6に示される図に対して捕捉を行ったものである。
図21に示されるように、区間E0及び区間E9の範囲では、端子Aに対してハイサイドの駆動素子Q1が100%のオンデューティで+V(V)を印加している。したがって、ローサイドの駆動素子Q2は0%のオンデューティとなる(なお、フルステップ駆動時には、区図19に示したように、間E0〜区間E9の全ての区間において100%又は0%のオンデューティの何れかとなっている。)。
他方、区間E4及び区間E5の範囲では、端子Aに対してハイサイドの駆動素子Q1が0%のオンデューティとなり、ローサイドの駆動素子Q2が100%のオンデューティで0(V)の電圧を印加する。
また、区間E2及び区間E7の範囲では、端子Aに対して、ハイサイドの駆動素子Q1及びローサイドの駆動素子Q2の双方が、50%のオンデューティで+V(V)を印加している。
また、区間E1、E3、E6及び区間E8の範囲では、端子Aに対して、ハイサイドの駆動素子Q1及びローサイドの駆動素子Q2のデューティを細かく変更して電気角を変更し、マイクロステップを実現している。
次に、図22を用いて4相励磁によるマイクロステップ駆動時のPWM波形について説明する。図22に示すように、区間E0及び区間E9の範囲では、端子Aに対してハイサイドの駆動素子Q1が100%のオンデューティで+V(V)の電圧を印加している。したがって、ローサイドの駆動素子Q2は0%のオンデューティとなる。
区間E4及び区間E5の範囲では、端子Aに対してハイサイドの駆動素子Q1が0%のオンデューティとなり、ローサイドの駆動素子Q2が100%のオンデューティで0(V)の電圧を印加している。
区間E2及び区間E7の範囲では、端子Aに対してハイサイドの駆動素子Q1及びローサイドの駆動素子Q2が、50%のオンデューティで+V(V)を印加している。
区間E1及び区間E8の範囲では、駆動素子Q1のオンデューティが50%を越えており、駆動素子Q2のオンデューティが50%未満である。区間E3及び区間E6の範囲では、駆動素子Q1のオンデューティが50%未満であり、駆動素子Q2のオンデューティが50%を越えている。
このステッピングモータの駆動方式を用い、あるモータ回転子の回転数を境にして、急にマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えると、励磁パターンが急激に変化することに起因する振動(モータ回転子の回転数が変動すること。)が発生することになる。
そこで特許文献1では、マイクロステップ駆動とフルステップ駆動との切り替えを、回転数を用いた2つの閾値の間(境界部分と呼ぶ。)において、この2つの閾値の間における回転数に応じて徐々に行うようにした。特許文献1では、図23に示すように、マイクロステップ駆動パターンとフルステップ駆動パターンとの境界部分に、モータ回転子の回転数に応じて励磁パターンを徐々に遷移させる遷移速度帯TS1〜TS4を設けている。なお、図23は、特許文献1の図5に捕捉を加えた図である。
次に、図24を用いて、遷移速度帯TS1〜TS4におけるPWM波形を説明する。図24は、特許文献1の図7に捕捉を加えたものである。特許文献1では、遷移速度帯において、図24に示すM1及びM2のパルス幅MWをモータ回転子の回転数に応じて長くすることにより、マイクロステップ駆動用のPWM波形から、フルステップ駆動用の100%オンデューティ波形に遷移させている。
特許文献1に記載されている発明では、この遷移速度帯において、図24に示すM1及びM2のパルス幅をモータ回転子の回転数に応じて徐々に変化させている。これにより、回転数の変化に不連続なポイントがなくなるので、低回転域から高回転域まで滑らかな回転が得られるとしている。
また、特許文献3(特開2006−340510号)には、特許文献1に記載されている駆動方式を用いた際に、前記遷移速度帯において切り替え途中の励磁状態が継続することにより発生するモータ回転子の振動を低減することを目的とした発明が開示されている。
特許文献1では、上述の図23に示したように、遷移速度帯TS1〜TS4において、モータ回転子の回転数に応じてM1及びM2のパルス幅を長くすることにより、マイクロステップ用のPWM波形からフルステップ駆動用の100%オンデューティの励磁波形に遷移させている。このように、モータ回転子の回転数のみに基づいて励磁状態を変化させる場合に、指令回転数として前記遷移速度帯の回転数を指令すると、切り替え途中の励磁状態がそのまま継続されることになり、このため、モータ回転子が振動するなどの不安定で好ましくない駆動状態が続いてしまうことがあった。
そこで特許文献3に記載されているステッピングモータの制御方法では、特許文献1に記載されている駆動方式の問題点に鑑み、駆動形態の切り替え途中の励磁状態が継続されることを回避して、より安定かつ円滑にステッピングモータを駆動することを目的として掲げている。
特許文献3に記載されているステッピングモータの制御方法では、回転数に依存した遷移速度帯TS1〜TS4を廃止し、モータ回転子の回転数がF1(rpm)を超えた場合に、所定の時間TW内においてMのパルス幅を徐々に長してゆき、マイクロステップ用のPWM波形からフルステップ駆動用の100%オンデューティの励磁波形に遷移させている。
また、モータ回転子の回転数がF2(rpm)を下回った際(F1>F2)には、所定の時間TW内においてMのパルス幅を徐々に短くしてゆき、フルステップ駆動用の100%オンデューティの励磁波形から、マイクロステップ用のPWM波形に遷移させている。更に、急激に回転数が減少した際には、時間TWの経過を待たずに、Mのパルス幅を0に設定する機能も付加してある。
特許文献3に記載されている発明によれば、駆動形態を切り替える途中の励磁状態を、所定の時間TW内において必ず終了するようにしたことにより、切り替え途中の励磁状態が継続されることを回避して、より安定かつ円滑にステッピングモータを駆動することができるとしている。
また、特許文献4(特開2008-61439号公報)には、マイクロステップ駆動の分解能を向上させて、低振動の超低速回転を可能にするステッピングモータの駆動方法が開示されている。この特許文献4に記載されているステッピングモータの駆動方法は、マイクロステップ駆動を更に低速域へ発展させる技術である。これに対し本願発明は、この特許文献4に記載されているマイクロステップ駆動の特徴である低振動性を、より高速回転域まで発展させることを可能にするものである。
特許第3223216号公報 特許第2821696号公報 特開2006−340510号公報 特開2008−61439号公報
先ず、特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式における問題点について考察する。
特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式における第1の問題点として、マイクロステップ駆動時において高い回転数を指令した場合に、モータ回転子に振動が発生する問題を挙げることができる。
例えば、特許文献1の段落番号[0004]にも記載されているように、特許文献1の駆動方式では、出力素子のスイッチング(微小角駆動を行わせる場合の駆動素子のオン・オフのスイッチング)と外部の発振器から入力されるパルス信号による励磁シーケンスの切り替わりにより干渉が生じて、モータ回転子が振動してしまうことになる。これは、特許文献1に記載されている駆動方式では、マイクロステップ駆動中にモータ回転子の回転数が上昇するにつれて、励磁切替の間隔が短くなってくるからでり、回動指令パルスの間隔がPWMのオン・オフデューティの切替周期に近づくと、PWM励磁が完了せずに途中で終わってしまって、不完全なPWM励磁を行い続けることになるからである。そして、この不完全なPWM励磁によるオン・オフのデューティがもたらす影響が大きくなってくる。
例えば、図25に示すように、回動指令パルスが所定の間隔で入力され、当該回動指令パルスのタイミングに同期して、マイクロステップ駆動時において電気角を計数するアドレスカウンタが更新されるものとする。一方、PWMの周期TPは、回動指令パルスの間隔よりも若干短いものとし、50%のデューティで励磁コイルを励磁していたとする。
すると、図25に示すように、50%のデューティで励磁しているはずのものが、回動指令パルスが入力される毎にPWMの励磁周期をリセットしているために、実際には67%デューティになってしまう。実際に励磁するデューティがこれだけ異なってしまうと、各相巻線に流れる励磁電流のコントロールが不完全になって各期間に流れる励磁電流に変動を生じ、その結果、モータ回転子に振動が発生することになる。この影響を少なくするためには、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替える回転数を下げて、回動指令パルスの間隔がPWM周期TPよりもかなり長くなるような、低い回転数で切り替える必要が生ずる。
しかし、低い回転数においてマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えると、その低回転時においては特にモータ回転子の速度変動が目立つために、よりモータ回転子の回転数の変動が少なくなるような工夫が必要となる。
通常、PWM周波数は、通常可聴音を外した15kHz〜20kHz程度に設定される。例えばPWM周波数を20kHzに設定し、一般に多用されている歯数50Tの5相ハイブリッドステッピングモータに対して機械角を100分割したマイクロステップ駆動を行った場合には、角度指令の回動指令パルスがPWM周波数の20kHzを越えるのが240rpm(=4rps)となる。
ステッピングモータの駆動に関しては、年を追う毎に高分解能化及び低振動化に対する要望が高まっている。例えば、従来は6rpm〜60rpm(0.1rps〜1rps)程度の回転数でモータ回転子が安定して回転することが求められていたが、近年ではステッピングモータの機械角を1/2000まで分割した高分解能の駆動を行いながら、6rps(0.1rpm)以下の超低回転における回転の滑らかさが要求されている。
そこで、上記の例で機械角を2000分割すると、角度指令の回動指令パルスがPWM周波数の20kHzを越えるのが12rpm(=0.2rps)となってしまう。そうすると、回動指令パルスがPWM周波数に近づく12rpmの手前で、モータ回転子に発生する振動が大きくなってしまうことになる。
特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式における第2の問題点として、低い回転数でマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えた際にモータ回転子に振動が発生する問題を挙げることができる。
上述のように、近年では、ステッピングモータを用いた精密位置決め及び高回転駆動や、定速駆動を行う要求が増えている。特許文献1に記載されているように、比較的低回転で4相励磁によるフルステップ駆動に切り替えてしまうと、フルステップ駆動時において常に2つ以上の励磁コイルの端子がハイインピーダンス状態となることに起因して、モータ回転子の定回転性が損なわれるという問題が生ずる。
上述のように、マイクロステップ駆動の分解能を向上させると、比較的低回転域において4相励磁によるフルステップ駆動に切り替える必要が生ずる。すると、その低回転域においてフルステップ駆動に切り替えた際に、モータ回転子に振動が発生してしまうという不具合を生じる。
このように制御されたステッピングモータを用いてキャリッジ等を駆動する場合には、安定した駆動が必要とされる低回転域においてキャリッジに振動が発生するなどの不具合を生じる。
特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式における第3の問題点として、遷移速度帯において加減速を行う際に発生するモータ回転子の振動の問題を挙げることができる。
例えば、図23に示した遷移速度帯TS1においては、モータ回転子の回転数が、完全なマイクロステップ駆動パターンで駆動する速度域に近いにもかかわらず、区間E1から区間E2に切り換わるステップ2*Nの前後で、急激に階段状に駆動素子Q1のオンデューティが低下する波形となる。ところが、その後の区間E3では徐々にオンデューティが変化してゆくというように、モータ回転子の回転数が少し変化しただけで、急激に回転変動が増大するという問題点を含んでいる。
したがって、遷移速度帯において緩やかな加減速を指令した場合に、滑らかな回転が得られず、振動が発生することとなる。このようなステッピングモータの駆動方式を用いる場合には、液体の搬送や軽量部品の搬送を目的とした精密な駆動の用途には適さないという不具合を生じることになる。更に、上述の第1の問題点で挙げた、回動指令パルスがPWMのオン・オフデューティの切替周波数に近づいた際に大きくなるモータ回転子の振動との影響が合わさって、より大きな振動を発する可能性がある。
これに対し、特許文献3に記載されているステッピングモータの制御方法では、遷移速度帯において一定の回転数を指令した場合であっても、駆動形態を切り替える途中の励磁状態は所定の時間TW内において必ず終了するので、切り替え途中の励磁状態が継続されることは回避されることになる。しかし、4相励磁とPWMのデューティを変更する制御とを組み合わせてマイクロステップを行う限り、回動指令パルスがPWMのオン・オフデューティの切替周波数に近づいた際に発生する振動の影響や、この振動を避けるためにマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えるタイミングを低い回転数で実行しなければならないといった問題は残ることになる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ステッピングモータ用駆動装置において、電気角の分解能が1/100以下となるような微小角における停止精度(スタティック特性)を確保し、超低回転域から高回転域に至るまでの回転の滑らかさ(ダイナミック特性)を確保することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微細ステップにm分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、
N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると、前記微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、前記m分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、
N相ステッピングモータのモータ回転子を、前記基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップ位置に位置決めするために、N相の励磁コイルのうちの所定の2相の組合せを励磁する1の励磁組と、他の基本ステップ位置に位置決めするための別の2相の組合せを励磁する他の励磁組との励磁組合せを出力する励磁相組合せ出力手段と、前記m分割カウンタの値及び前記基本ステップカウンタの値とに応じて、前記2つの励磁組合せの励磁
回数又は励磁時間をそれぞれ漸増及び漸減することにより、前記2つの励磁組合せの励磁割合を決定する励磁割合決定手段と、
所定の単位励磁周期Tが計数される毎に、前記励磁組を構成する単位励磁相に対する励磁を切り替えるための単位励磁切替指令を出力する単位励磁周期出力手段と、前記単位励磁周期Tの整数倍で構成される組合せ励磁周期TCが計数される毎に、前記励磁割合に応じた前記2つの励磁組合せによる励磁を切り替えるための組合せ励磁切替指令を出力する、組合せ励磁周期出力手段と、
前記組合せ励磁切替指令が出力される毎、又は前記組合せ励磁切替指令が出力される毎に加えて前記基本ステップカウンタの値が更新される毎に、新たな前記励磁割合を記憶する励磁割合記憶手段と、前記励磁割合記憶手段に記憶されている前記励磁割合を用い、前記2つの励磁組合せを構成する前記単位励磁相に対する励磁を、前記単位励磁切替指令が出力される毎に切り替えて、駆動素子を介して順次出力してゆく励磁波形出力手段と、を備え、
前記励磁組を構成する前記2相の励磁が、前記励磁コイルにおける全ての端子がモータ駆動電源の正極又は負極の何れかに接続している励磁であることを特徴とする。
本発明に係るステッピングモータ駆動装置では、ステッピングモータの励磁コイルの全ての端子を電源の正極又は負極のいずれかに接続した2相励磁を、時間的にずらして複数組み合わせることで4相励磁を実現し、マイクロステップ駆動時の停止精度と回転の滑らかさを確保しつつ、マイクロステップ駆動の高分解能化を実現している。この駆動方法によれば、マイクロステップ駆動時と、フルステップ駆動時の双方において、基本角ステップにおける励磁を統一することができる。
これに加えて本発明では、回動指令パルスの入力に伴う励磁の更新を、組合せ励磁周期TC毎に出力される組合せ励磁切替指令に基づいて行うことにより、マイクロステップ駆動時における励磁サイクルを確保することができ、不完全な励磁が発生することを防止する。このように、回動指令パルスの入力に伴う励磁の更新を、組合せ励磁周期TC毎に行うことで、モータ回転子の回転数を上げる回動指令が入力されたことにより、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCよりも短くなった場合であっても、モータ回転子の回転が安定することになる。
更に、基本ステップカウンタの値が更新される毎に励磁の更新を行うことによって、モータ回転子の回転数を更に上げる回動指令により、基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短くなった場合においても、ステップの間引きを拡大しながら2相励磁の合成による4相励磁を継続することでモータ回転子の等速回転性を確保して、回転を安定させることができる。また、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動への切り替えをシームレスに行うことができるとともに、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動への切り替えを、広い回転域から選択することができる。
また、上記課題を解決するために本発明は、N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微細ステップにm分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、
N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると、前記微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、前記m分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、
N相ステッピングモータのモータ回転子を、前記基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップ位置に位置決めするために、N相の励磁コイルのうちの所定の2相の組合せを励磁する1の励磁組と、他の基本ステップ位置に位置決めするための別の2相の組合せを励磁する他の励磁組との励磁組合せを出力する励磁相組合せ出力手段と、
前記m分割カウンタの値及び前記基本ステップカウンタの値とに応じて、前記2つの励磁組合せの励磁回数又は励磁時間をそれぞれ漸増及び漸減することにより、前記2つの励磁組合せの励磁割合を決定する励磁割合決定手段と、
所定の単位励磁周期Tが計数される毎に、前記励磁組を構成する単位励磁相に対する励磁を切り替えるための単位励磁切替指令を出力する単位励磁周期出力手段と、前記単位励磁周期Tの整数倍で構成される組合せ励磁周期TCが計数される毎に、前記励磁割合に応じた前記2つの励磁組合せによる励磁を切り替えるための組合せ励磁切替指令を出力し、更に前記基本ステップカウンタの値が更新される毎に前記組合せ励磁切替指令を出力するとともに、新たに前記組合せ励磁周期TCの計数を開始する、組合せ励磁周期出力手段と、
前記組合せ励磁切替指令が出力される毎に、新たな前記励磁割合を記憶する励磁割合記憶手段と、前記励磁割合記憶手段に記憶されている前記励磁割合を用い、前記2つの励磁組合せを構成する前記単位励磁相に対する励磁を、前記単位励磁切替指令が出力される毎に切り替えて、駆動素子を介して順次出力してゆく励磁波形出力手段と、を備え、
前記励磁組を構成する前記2相の励磁が、前記励磁コイルにおける全ての端子がモータ駆動電源の正極又は負極の何れかに接続している励磁であることを特徴とする。
本発明に係るステッピングモータ駆動装置では、ステッピングモータの励磁コイルの全ての端子を電源の正極又は負極のいずれかに接続した2相励磁を、時間的にずらして複数組み合わせて合成することで4相励磁を実現し、マイクロステップ駆動時の停止精度と回転の滑らかさを確保しつつ、マイクロステップ駆動の高分解能化を実現している。これにより、マイクロステップ駆動時と、フルステップ駆動時の双方において、基本角ステップにおける励磁を統一することができる。
これに加えて本発明では、回動指令パルスの入力に伴う励磁の更新を、組合せ励磁周期TC毎に出力される組合せ励磁切替指令に基づいて行うことにより、マイクロステップ駆動時における励磁サイクルを確保することができ、不完全な励磁が発生することを防止する。このように、回動指令パルスの入力に伴う励磁の更新を、組合せ励磁周期TC毎に行うことで、モータ回転子の回転数を上げる回動指令が入力されたことにより、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCよりも短くなった場合であっても、モータ回転子の回転が安定することになる。
更に、本発明では、基本ステップカウンタの値が更新される毎に組合せ励磁切替指令を出力するとともに、新たに組合せ励磁周期TCの計数を開始するように構成したので、基本ステップカウンタの値が更新される毎に励磁の更新を行うことができる。これによって、モータ回転子の回転数を更に上げる回動指令により、基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短くなった場合においても、ステップの間引きを拡大しながら2相励磁の合成による4相励磁を継続することでモータ回転子の等速回転性を確保して、回転を安定させることができる。また、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動への切り替えをシームレスに行うことができるとともに、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動への切り替えを、広い回転域から選択することができる。
また、本発明に係る前記単位励磁周期出力手段は、前記基本ステップカウンタの値が更新される毎に前記単位励磁切替指令を出力するとともに、新たに前記単位励磁周期Tの計数を開始するように構成することを特徴とする。
本発明によれば、新たな組合せ励磁周期TCの計数開始と同期して単位励磁周期Tの計数を開始することができるので、組合せ励磁周期TC内における励磁を、より正確に行うことができる。
本発明によれば、ステッピングモータ用駆動装置において、2相励磁の合成による4相励磁を用いたマイクロステップ駆動を行う回転域を拡大することにより、電気角の分解能が1/100以下となるような微小角における停止精度(スタティック特性)を確保し、超低回転域から高回転域に至るまでの回転の滑らかさ(ダイナミック特性)を確保することができる。
また、本発明によれば、モータ回転子の回転数の上昇に伴ってステップの間引きを拡大しながら2相励磁の合成による4相励磁を継続することができる。これにより、モータ回転子の回転数が上昇しても、等速回転性が確保されるので、比較的高い回転数まで回転が安定するマイクロステップ駆動を継続することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
図1は、5相ステッピングモータ1の各励磁コイルに対し、回動指令パルスが入力される毎に励磁態様を切り替えることが可能な、ステッピングモータ駆動装置10の内部構成を示すブロック図である。
なお、図1は、本発明に係るステッピングモータ駆動装置10をペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータ1に接続した状態を示している。同図に示す実施形態では、ペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータ1を接続してマイクロステップの駆動制御を行う実施形態を示しているが、本発明はペンタゴン結線方式のステッピングモータ、又は、5相のステッピングモータに限定するものではなく、スター結線方式のステッピングモータ、又は、3相のステッピングモータにも応用することが可能である。また、直動型のステッピングモータにも応用することができる。
図1に示すように、本発明に係るステッピングモータ駆動装置10は、上位のコンピュータ等の外部機器から5相ステッピングモータ1の回動指令パルスCWP(Clock Wise Pulse)、又は、回動指令パルスCCWP(Counter Clock Wise Pulse)を入力し、5相ステッピングモータ1の各励磁コイル1a〜1eを励磁するためのハイサイド指令及びローサイド指令を、各駆動素子TR1〜TR10に出力する励磁波形決定手段12を備えている。
また、ステッピングモータ駆動装置10は、励磁コイル1a〜1eのインピーダンスに応じて、供給する駆動電源の電流を制御するモータ電流制御手段16と、各相の励磁コイル1a〜1eとモータ電流制御手段16の正極との導通又は遮断を制御するハイサイド駆動素子TR1、TR3、TR5、TR7、及びTR9と、各相の励磁コイル1a〜1eと駆動電源の負極との導通又は遮断を制御するローサイド駆動素子TR2、TR4、TR6、TR8、及びTR10とを備えている。また、ステッピングモータ駆動装置10は、励磁コイル1a〜1eが発した起電力をバイパスするダイオードD1〜D10を備えている。
上述の回動指令パルスCWPは、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を所定の回動位置まで時計回りに正転させるための指令パルスであり、CCWPは所定の回動位置まで反時計回りに逆転させるための指令パルスである。
図1に示す励磁波形決定手段12は、単位時間内に入力した回動指令パルスの数量を計数することで、指令されたモータ回転子の指令回転数を検出する指令回転数検出手段12vと、入力した回動指令パルスを用いて微細ステップ及び基本ステップの歩進数を計数する電気角位置管理手段12aと、基本ステップの歩進数に応じて5相ステッピングモータ1のモータ回転子を1の基本ステップ位置に位置決めするための第1励磁組、及び他の基本ステップ位置に位置決めするための第2励磁組との組合せを出力する励磁相組合せ出力手段12bと、回数分割ステップカウンタの値及び基本ステップカウンタの値に応じて2つの励磁組合せの励磁回数割合又は励磁時間割合等を決定する励磁回数割合決定手段12d(励磁割合決定手段の一形態)とを備えている。
また、励磁波形決定手段12は、所定の単位励磁周期Tが計数される毎に単位励磁切替指令を出力する単位励磁周期出力手段12hと、所定の組合せ励磁周期TCが計数される毎に組合せ励磁切替指令を出力する組合せ励磁周期出力手段12cとを備えている。
また、励磁波形決定手段12は、組合せ励磁切替指令が出力される毎、又は基本ステップカウンタの値が更新される毎に新たな励磁回数割合又は励磁時間割合等を記憶する励磁回数割合記憶手段12i(励磁割合記憶手段の一形態)と、励磁回数割合記憶手段12iに記憶されている励磁回数割合又は励磁時間割合等に応じた励磁の指令を順次出力してゆく励磁波形出力手段12eとを備えている。
なお、励磁相組合せ出力手段12bと、励磁回数割合決定手段12dと、励磁回数割合記憶手段12iと、励磁波形出力手段12eとの機能を統合し、これらを一つの素子で構成することも可能であるが、本実施例では各機能の説明を容易にするために、各機能毎に構成を分けて記載している。
モータ電流制御手段16は、5相ステッピングモータ1の励磁コイル1a〜1eを励磁する電力を供給する電源PSと、電源PSの電圧を平滑化するコンデンサC1と、定電流駆動を行うために、励磁コイル1a〜1eに流れている電流を検出する電流検出抵抗15と、短時間に電圧の供給及び遮断を繰り返すPWM駆動を行うことによって励磁コイル1a〜1eに供給する電圧を調節するトランジスタTR11とを備えている。
また、モータ電流制御手段16は、電流検出抵抗15の両端に発生した電圧に応じてトランジスタTR11をオン、オフ制御することによって、励磁コイル1a〜1eのインピーダンス変化に依存せずに所定の電流を供給する制御を行う定電流コントロール回路14と、励磁コイル1a〜1eが発する起電力をバイパスするダイオードD11と、PWMにより生じた間欠的な電圧を入力して平滑化したモータ駆動電圧を生成するチョークコイルL1及びコンデンサC2とを備えている。
定電流コントロール回路14は、励磁コイル1a〜1eに供給する電流を検出し、その検出電流と基準電流との差を誤差信号として生成してトランジスタTR11のオン−オフ制御を行う。これにより、励磁コイル1a〜1eに供給する電圧を調節して、ステッピングモータの励磁コイルに対する総電流が所定の電流に定まるように制御することができる。トランジスタTR11のオン、オフにより脈流となった電圧は、チョークコイルL1及びコンデンサC2により平滑化されて、駆動素子TR1〜TR10を介して励磁コイル1a〜1eに供給される。
例えば、電流検出抵抗15を流れる電流が減少した場合には、誤差信号のレベルが上昇するので、トランジスタTR11のオン時間を長くする。すると、トランジスタTR11を通過した電圧は、チョークコイルL1及びコンデンサC2により平滑化されて高い電圧となって励磁コイル1a〜1eに印加されるので、励磁電圧を増加させる制御を行うことができる。また、電流検出抵抗15を流れる電流が増加した場合には、誤差信号のレベルが下降するので、トランジスタTR11のオン時間を短くする。このようにして、励磁コイル1a〜1eに印加する電圧を減少させる制御を行うことができる。
このように、モータ電流制御手段16を用いて5相ステッピングモータ1の励磁電圧を適宜調節することによって、励磁波形決定手段12が出力する第1励磁組又は第2励磁組の励磁周期Tとは無関係に励磁電流を安定化させ、5相ステッピングモータ1を定電流駆動することができる。
次に、5相ステッピングモータ1の機械角を基本ステップ毎に10分割する際の励磁について、図2〜図4を用いて説明する。
先ず、図2(a)に示すように、ペンタゴン結線方式を採用した5相ステッピングモータ1の励磁コイル1a〜1eと、励磁相ABCDEabcdeの励磁電流の方向とを定義する。そして、図2(b)に示すように、5相ステッピングモータ1の励磁相ABCDEabcdeと、トルクベクトルVA〜Veとの関係とを定義する。
図2(a)に示すように、励磁コイル1aに流す電流の方向に応じて、励磁相A及び励磁相aを定義する。以下同様にして、励磁コイル1b〜1eに流す電流の方向に応じて、それぞれ励磁相BbCcDdEeを定義する。そして、各励磁相を励磁した際のトルクベクトルVA〜VE及びトルクベクトルVa〜Veの向きを、図2(b)に示すように定義する。図2(a)及び図2(b)に示すように、励磁コイル1aに流す電流は、励磁Aと励磁aとでは逆方向であり、トルクベクトルもVAとVaとで逆方向になる。
次に、図3に、モータ回転子を所定の基本ステップ位置に位置決めする励磁相の組み合わせ例を示す。
なお、表現を簡略化するために、5相の励磁コイル1a〜1eのうちの複数の励磁コイルに対して同時に励磁電流を流すことにより、多相励磁を行う際の単位励磁相の組合わせを励磁組と呼ぶ。例えば、励磁相A及び励磁相Bの2相の単位励磁相を同時に励磁した状態を2相励磁と呼び、これを励磁組(AB)と表記する。更に、擬似的な4相励磁を実現するために、励磁組(AB)及び励磁組(CD)を時間をずらして時系列的に合成して励磁する場合を、励磁組(AB−CD)と表記することにする。
図3に示す実施例では、5相ステッピングモータ1のモータ回転子をステップ=0*Nの基本ステップで停止させる際に、励磁相ABCDの4相を励磁する。ところが、単一の電源を用いてこの4相を同時に励磁することはできないので、励磁組(BC)及び励磁組(AD)を時間をずらして時系列的に交互に励磁して、4相励磁を実現する。すなわち、モータ回転子をステップ=0*Nの基本ステップで停止させる際には、5相ステッピングモータ1に対して励磁組(BC−AD)の励磁を行う。
また、図3に示すように、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を、ステップ=1*Nの基本ステップで停止させる際には、5相ステッピングモータ1に対して励磁組(CD−BE)の励磁を行う。このように、ステップ=0*Nからステップ=9*Nまでの励磁を切り替えることによって、各基本ステップにおける位置決めを行うことができる。
例えば、5相ステッピングモータの基本ステップ角αが0.72°の場合には、励磁相をABCD→BCDE→CDEa→DEab→Eabc→abcd→bcde→cdeA→deAB→eABCの順序で10回切り替えることにより、モータ回転子を7.2°回転させることができる。更に、この10ステップ(0〜9)の歩進を50回繰り返すと、モータ回転子が360°、すなわち丁度1回転することになる。
次に、図4に、モータ回転子を所定の基本ステップ位置に位置決めする励磁相の組み合わせの他の実施例を示す。
図4に示す実施例では、モータ回転子をステップ=0*Nの基本ステップで停止させる際に、励磁組(AB−CD)を励磁する。また、モータ回転子をステップ=1*Nの基本ステップで停止させる際には、励磁組(BC−DE)を励磁する。このように、ステップ=0*Nからステップ=9*Nまでの励磁を切り替えることによって、各基本ステップにおける位置決めを行うことができる。
なお、図3及び図4に示す実施例では、励磁コイル1a〜1eの両端が、必ずモータ電流制御手段16の正極(+)又は負極(−)のいずれかの制御された電位に接続されるように励磁している。このように、常に励磁コイル1a〜1eの端子が開放しないように2相励磁を行うことによって、前ステップから次ステップに切り替えて歩進を行った際の電流のオーバーシュートを減少させ、ダンピング特性を向上させることが可能となり、モータ回転子に発生する振動の低減と騒音の低減とを図ることができる。
次に、図1に示した励磁波形決定手段12を構成する各ブロックの処理について、図5を用いて説明する。
図5に示す励磁波形決定手段12は、5相ステッピングモータ1の回動指令パルスを入力し、単位時間内に入力した回動指令パルスの数量を計数して、指令されたモータ回転子の指令回転数を検出する指令回転数検出手段12vを備えている。
また、励磁波形決定手段12の電気角位置管理手段12aは、上位の桁から順に、5相ステッピングモータ1の回動指令パルスをm回入力する毎に基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタと、回動指令パルスを入力する毎に基本ステップ角αをm分割した回数分割ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタ(以降、回数分割ステップカウンタと記載する。)とを備えている。
図5に示す回数分割ステップカウンタは、回動指令パルスCWPを入力する毎に回数分割ステップの歩進数をカウントアップし、回動指令パルスCCWPを入力する毎に回数分割ステップの歩進数をカウントダウンして、その値を励磁回数割合決定手段12dに出力する。なお、回数分割ステップカウンタの下位に、当該回数分割ステップを更に細分割するためのカウンタを別途設けることも可能である。
基本ステップカウンタは、回数分割ステップカウンタの上位の桁に該当し、回数分割ステップカウンタの値が「9」から「0」に切り替わる際に一つカウントアップするように構成する。また回数分割ステップカウンタの値が、「0」から「9」に切り替わる際に一つカウントダウンするように構成する。基本ステップカウンタが計数する基本ステップの歩進数は、図3及び図4に示した基本ステップ位置(ステップ=0*N〜9*N)を表し、モータ回転子を所定のステップの位置に位置決めする励磁相の組み合わせを決定するためのカウンタである。
励磁相組合せ出力手段12bは、基本ステップカウンタから基本ステップの歩進数を入力すると、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を1の基本ステップ位置に位置決めするための第1励磁組、及び、他の基本ステップ位置に位置決めするための第2励磁組の、励磁相の組合せを出力する。5相のステッピングモータを駆動する場合には、第1励磁組及び第2励磁組の組合せの数量は、図3及び図4に示したように、5相ステッピングモータ1の相数Nの2倍の10種類存在する。
図5に示す励磁相組合せ出力手段12bの内部には、5相ステッピングモータ1を励磁する際の励磁相の組合せが記憶されている。第1励磁組の4相を励磁する際には、2相の励磁組F1及び2相の励磁組F2を2回に分けて励磁するための励磁組(F1−F2)を出力する。また、第2励磁組の4相を励磁する際には、2相の励磁組F3及び2相の励磁組F4を2回に分けて励磁するための励磁組(F3−F4)を出力する。
例えば、図3に示した励磁を行う場合であって、基本ステップカウンタが基本ステップの歩進数として「0」を出力している場合(ステップ=0*Nの場合)には、基本ステップの歩進数が「0」と「1」との間をm分割したマイクロステップを実現すべく、第1励磁組として励磁組(AD−BC)を出力し、第2励磁組として励磁組(BE−CD)を出力する。
基本ステップカウンタが基本ステップの歩進数として「1」を出力している場合(ステップ=1*Nの場合)には、基本ステップの歩進数が「1」と「2」との間をm分割したマイクロステップを実現するべく、第1励磁組として励磁組(BE−CD)を出力し、第2励磁組として励磁組(Ca−DE)を出力する。以降同様に、基本ステップの歩進数に応じて第1励磁組と第2励磁組とを出力する。
励磁相組合せ出力手段12bの機能を実現する素子として、ROMなどのメモリを用いることができる。その場合には、電気角位置管理手段12aは、メモリのアドレスカウンタとして機能するように構成する。
励磁回数割合決定手段12dは、回数分割ステップの歩進数に応じて、第1励磁組を励磁する回数又は時間等を漸増又は漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数又は時間等を漸減又は漸増することにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁割合を決定して出力する機能を備えている。
例えば、回数分割ステップの分割数をm=10に設定している場合には、第1励磁組を励磁する回数を10回〜1回まで漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数を0回〜9回まで漸増することにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を10:0〜1:9まで変更して出力する機能を備えている。なお、図5に示す実施例では、4相励磁を実現するために2相励磁を2回出力して合成しているので、励磁回数は2回×m分割=20回(0P〜19P)となっている。
図5に示す実施例によれば、回数分割ステップカウンタが回数分割ステップの歩進数として「0」を出力している場合には、第1励磁組のF1、F2の繰り返しを励磁相0P〜19Pに代入して出力する。これにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を10:0に設定して、基本ステップの歩進数「0」の位置にモータ回転子を位置決めすることができる。
回数分割ステップカウンタが回数分割ステップの歩進数として「1」を出力している場合には、第2励磁組のF3、F4を励磁相0P、1Pに代入して出力し、第1励磁組のF1、F2の繰り返しを2P〜19Pに代入して出力する。これにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を9:1に設定して、基本ステップの歩進数「0」と「1」との間を10分割した位置にモータ回転子を位置決めすることができる。
以下同様に、回数分割ステップの歩進数に応じて第1励磁組を励磁する回数を漸増又は漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数を漸減又は漸増することにより励磁相0P〜19Pを定め、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を決定して出力する。
励磁波形出力手段12eは、励磁回数割合記憶手段12iに記憶されている励磁回数割合に応じた励磁の指令を取得して、2つの励磁組合せを構成する単位励磁相に対する励磁を、単位励磁切替指令が出力される毎に切り替える。そして、各励磁コイルの端子に接続されている駆動素子TR1〜TR10に対して出力するハイサイド指令及びローサイド指令を生成して、順次出力してゆく。
駆動素子TR1〜TR10は、励磁波形出力手段12eから取得したハイサイド指令及びローサイド指令に応じて5相ステッピングモータ1の各励磁コイル1a〜1eを励磁する。
単位励磁周期出力手段12hは、所定の単位励磁周期Tが計数される毎に、励磁組を構成する単位励磁相に対する励磁を切り替えるための単位励磁切替指令を出力する。また、組合せ励磁周期出力手段12cは、単位励磁周期Tの整数倍で構成される組合せ励磁周期TCが計数される毎に、励磁回数割合に応じた2つの励磁組合せによる励磁(例えば励磁相0P〜19P。)を切り替えるための組合せ励磁切替指令を出力する。例えば組合せ励磁周期TCとして50μs、単位励磁周期Tとして2.5μsの値を用いることができる。
励磁回数割合決定手段12dが出力する励磁相0P〜19Pを、組合せ励磁周期TC毎に繰り返して出力することにより、基本ステップ角αをm分割したマイクロステップを実現することが可能となる。
例えば、図5の励磁回数割合決定手段12dに示すように、回数分割ステップの歩進数が0の場合には、第1励磁組(F1−F2)のみが組合せ励磁周期TC毎に繰り返し励磁され、モータ回転子は基本ステップ=0*Nの位置に位置決めされる。この状態において回動指令パルスが1パルス入力されると、回数分割ステップカウンタの値が1増加して、回数分割ステップの歩進数が1となる。すると、組合せ励磁周期TC内において第2励磁組(F3−F4)が1回励磁され、第1励磁組(F1−F2)が9回励磁される。この割合での励磁が組合せ励磁周期TC毎に繰り返されることにより、モータ回転子は(基本ステップ=0*N)+(回数分割ステップ=1)の位置に位置決めされる。
このようにして、回数分割ステップの歩進数に応じて第1励磁組を励磁する回数を漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数を漸増することにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を10:0〜1:9まで変更して、回数分割ステップの歩進数に応じた位置決めを行うことができる。
なお、図5の励磁回数割合決定手段12dに示した実施形態では、励磁回数割合の遷移を判り易く説明する都合上、励磁組F1(AD)及び励磁組F2(BC)並びに励磁組F3(BE)及び励磁組F4(CD)を時間をずらして時系列的に交互に励磁して、4相励磁を実現する実施形態を示したが、図6に示すようにそれぞれの励磁組を纏めて連続して励磁することもできる。この図6に示すように、それぞれの励磁組を纏めて励磁することによって、励磁の切替回数を減少させて、励磁の切替時に発生する熱損失やノイズの発生等を減少させることができる。
上記に示した実施形態では、1つの基本ステップの歩進数に対して、励磁回数割合を変更する回数分割により10分割したマイクロステップを実現する実施形態を示したが、本発明は10分割に限定するものではなく、20分割、40分割、その他の分割数を用いることもできる。また、回数分割に加えて、第1励磁組(F1−F2)を励磁する時間を漸減するとともに、第2励磁組(F3−F4)を励磁する時間を漸増することにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁時間割合を変更する、時間分割によるマイクロステップを用いることもできる。
次に、5相ステッピングモータ1のモータ回転子が回転している状態における、励磁切替タイミングについて図7〜図10を用いて説明する。ここで、所定の組合せ励磁周期TC毎に励磁を切り替える励磁切替方法を励磁周期同期更新と呼ぶ。これに加えて、以下に説明するように、基本ステップカウンタの更新に伴って組合せ励磁周期TCの途中から励磁を更新する励磁切替方法を基本ステップ同期更新1と称することにする。なお、図7〜図10に示す実施例は、図5に示したように、基本ステップ数=10、回数分割数m=10とした場合を示している。
また、図7〜図10には、回動指令パルスCWPが入力された場合の回数分割ステップカウンタの値(2桁の数値で表記してある。)の変化と、当該回数分割ステップカウンタの上位の桁に該当する基本ステップカウンタの値(2桁の数値で表記してある。)の変化と、組合せ励磁周期TC毎に出力される組合せ励磁切替指令と、励磁回数割合記憶手段12iに記憶されたステップ位置(4桁の数値で表記してある。)とを、横軸を時間に取って表してある。なお、励磁回数割合記憶手段12iが記憶するのは、第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合であるが、ここでは説明の都合上、回数分割ステップカウンタの値と、基本ステップカウンタの値とを表記している。
これらの各図のうち、図7は、組合せ励磁周期TCよりも回動指令パルス間隔の方が長い場合におけるステップ位置の変化(励磁切替タイミング)を表している。図8は、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/2.5の場合におけるステップ位置の変化を表している。図9は、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/7.5の場合におけるステップ位置の変化を表している。また、図10は、基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCよりも短くなった場合におけるステップ位置の変化を表している。
最初に、図7を用いて、組合せ励磁周期TCよりも回動指令パルス間隔の方が長い場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図7に示す状態は、モータ回転子が約1.5rps(90rpm)で回転している状態である。
図7に示すように、回動指令パルスCWPが入力されると、その立ち上がりで回数分割ステップカウンタの値が更新される(例えば、L08からL09に更新される。)。このように、回動指令パルスCWPが入力される毎に、回数分割ステップカウンタの値が更新されてゆき、回数分割ステップカウンタの値がL09からL00に切り替わる際には、基本ステップカウンタの値が更新される(例えば、H00からH01に更新される。)。
なお、本発明の実施例1において使用する組合せ励磁切替指令は、回動指令パルスとは無関係なタイミングで生成される。この組合せ励磁切替指令は、組合せ励磁周期出力手段12cにより組合せ励磁周期TC毎に生成される。
励磁周期同期更新による励磁切替方法においては、この組合せ励磁切替指令に基づいてのみ、励磁回数割合記憶手段12iに記憶する第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合(ステップ位置に相当する。)とを更新する。これに対し、基本ステップ同期更新1の励磁切替方法では、前記組合せ励磁切替指令に加えて、基本ステップカウンタの更新に伴って、励磁回数割合記憶手段12iに記憶する第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合とを更新するようにしている。
図7に示すように、励磁周期同期更新による励磁切替方法では、所定の組合せ励磁周期TC毎に生成される組合せ励磁周期TC毎に、励磁回数割合記憶手段12iに記憶するステップ位置の更新を行っているため、回数分割ステップの駆動を3×TCの励磁更新周期で行う場合と、2×TCの励磁更新周期で行う場合とが生ずる。
基本ステップ同期更新1の励磁切替方法を併用した場合であっても、回数分割ステップの駆動を行う際には、励磁周期同期更新による励磁切替方法と同様に、所定の組合せ励磁周期TC毎に生成される組合せ励磁周期TC毎に行う。ところが、基本ステップカウンタが更新されると、そのタイミングでも励磁回数割合記憶手段12iが第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合とを更新する。
したがって、基本ステップカウンタが更新される付近では、図7に示すように、励磁更新周期はTR1及びTR2となる。これらの励磁更新周期は、いずれも3×TC>TR1、TR2>2×TCの範囲にあるので、回数分割ステップの駆動はいくぶん安定することとなり、基本ステップカウンタの更新に同期してステップ位置を更新しても、悪影響は生じない。
次に、図8を用いて、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/2.5の場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図8に示す状態は、モータ回転子が約10rps(600rpm)で回転している状態である。なお、図7にて説明した事項と同一の事項については、その説明を省略するものとする。
図8に示す実施形態では、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCよりも短いために、1乃至2のマイクロステップ位置が間引かれることになる。励磁周期同期更新による励磁切替方法においては、所定の組合せ励磁周期TC毎にステップ位置を更新しているので、ステップ位置は比較的安定したものとなる。基本ステップ同期更新1の励磁切替方法では、この組合せ励磁周期TC毎に出力される組合せ励磁切替指令に加えて、更に基本ステップカウンタの更新に合わせてステップ位置を更新するようにしている。
基本ステップ同期更新1の励磁切替方法を用いた場合には、基本ステップカウンタが更新された際においても、励磁回数割合記憶手段12iが第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合とを更新する。したがって、基本ステップカウンタが更新される付近(例えばH00からH01に切り替わる位置。)では、TR11の励磁更新周期でステップ位置0009に相当する励磁を行い、次にTR12の励磁更新周期で0100のステップ位置に相当する励磁を行うこととなる。
また、他の基本ステップカウンタが更新される付近(例えばH01からH02に切り替わる位置。)では、TR13(<TC)の励磁更新周期でステップ位置0109に相当する励磁を行い、次にTR14(<TC)の励磁更新周期で0200のステップ位置に相当する励磁を行うこととなる。こうすることで、組合せ励磁周期TCを更に細かく分割して励磁することになるので、回数分割ステップの間引き駆動がいくぶん安定することとなる。このように、基本ステップカウンタの更新に同期してステップ位置を更新しても、悪影響は生じない。
図8に示す実施例では、励磁回数割合記憶手段12iに記憶するステップ位置として、回数分割ステップを含めており、間引きを加えたマイクロステップ駆動を行っている状態を示している。実験結果によれば、加速時においては5rps(300rpm)でマイクロステップ駆動の励磁からフルステップ駆動の励磁に切り替え、減速時においては4.6rps(276rpm)でフルステップ駆動の励磁からマイクロステップ駆動の励磁に切り替えるように構成しても、実用上問題となる振動は発生しなかった。したがって、図8に示す回転数において、既にフルステップ駆動を行うことができる。
次に、図9を用いて、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/7.5の場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図9に示す状態は、モータ回転子が約30rps(1800rpm)で回転している状態である。なお、図7にて説明した事項と同一の事項については、その説明を省略するものとする。
図9に示す実施形態では、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCよりもかなり短いために、5乃至6のマイクロステップ位置が間引かれることになる。励磁周期同期更新の励磁切替方法のみを用いた場合において、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えた場合には、ステップ位置0100の励磁更新周期が2×TCとなり、ステップ位置0200の励磁更新周期がTCとなって等速回転性が若干悪化し、モータ回転子に振動が発生することになる。
他方、基本ステップ同期更新1の励磁切替方法を用いてマイクロステップ駆動を行う場合には、基本ステップカウンタが更新される付近において励磁の更新頻度が増して、回数分割ステップの補完が行われる。これにより、駆動がいくぶん安定することとなる。したがって、基本ステップカウンタの更新に同期してステップ位置を更新しても、悪影響は生じないことになる。
更に、この図9に示す回動指令パルス間隔において、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えた場合には、ステップ位置0100の励磁更新周期、ステップ位置0200の励磁更新周期、ステップ0300の励磁更新周期等が共にTRとなるので、基本ステップ同期更新1の励磁切替方法を用いることにより、フルステップ駆動時における等速回転性が維持されることになる。
次に、図10を用いて、基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短くなった場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図10に示す状態は、モータ回転子が約60rps(3600rpm)で回転している状態である。なお、図7にて説明した事項と同一の事項については、その説明を省略するものとする。
図10に示す実施形態では、基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短いために、基本角ステップを含めた多くのマイクロステップ位置が間引かれる。なお、この図10に示す回動指令パルス間隔においては、もはやマイクロステップ駆動を行う意味は無いので、フルステップ駆動に切り替えて駆動することが好ましい。
励磁周期同期更新による励磁切替方法を用いてフルステップ駆動を行った場合には、各励磁更新周期TCにおけるステップ位置が、0100、0200、0400、0600…となるために等間隔にならず、モータ回転子の等速回転性が若干悪化し、モータ回転子に振動が発生することになる。
他方、基本ステップ同期更新1の励磁切替方法によるマイクロステップ駆動を用いた場合には、基本ステップカウンタが更新される付近において励磁の更新頻度が増して、回数分割ステップの補完が行われる。これにより、駆動がいくぶん安定することとなり、基本ステップカウンタの更新に同期してステップ位置を更新しても、悪影響は生じない。
また、基本ステップ同期更新1の励磁切替方法を用いてフルステップ駆動を行う場合には、各励磁更新周期TRにおけるステップ位置は基本ステップの歩進数となるので、フルステップ駆動時における等速回転性が確保されることになる。
したがって、励磁周期同期更新による励磁切替方法に加えて、基本ステップ同期更新1による励磁切替方法を用いることにより、モータ回転子の回転数が高い場合における振動を低減することができる。更に、マイクロステップ駆動を行う速度域で2相励磁を合成した4相励磁を用い、ステッピングモータの全てのコイル端子を正極又は負極の何れかに接続しておくことで、停止時の停止精度を向上させるとともに、超低回転域から低回転域における回転の滑らかさを確保することができる。また、モータ回転子の振動を増加させることなく、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替える回転数を、広い回転域から選択することができる。
次に、基本ステップ同期更新1による励磁切替方法を実現する際において、上記の組合せ励磁周期TCの途中で励磁を切り替える方法について、図11及び図12を用いて説明する。
図11及び図12は、マイクロステップ駆動を実現するために、回数分割ステップ毎の励磁回数割合と、単位励磁周期T及び組合せ励磁周期TCとの関係を表した図である。このうち、図11は、組合せ励磁周期TCにおいて、所定の励磁回数割合に応じた励磁が完結している状態を表した図である。図11に示す励磁割合は、先の図6に示した励磁回数割合決定手段12dが、それぞれの回数分割ステップの歩進数に応じて決定する励磁割合を表している。
他方、図12は、組合せ励磁周期TC内において基本ステップカウンタの値がH00からH01に切り替わったことにより、組合せ励磁周期TCの途中からH01に相当する電気角位置(ステップ1*N)の励磁組合せに切り替えている状態を表した図である。
図12に示すように、時刻tc1においては、基本ステップカウンタの値がH00であり、回数分割ステップカウンタの値がL08であるので、その時刻tc1における電気角位置=ステップ0*N+(N/10)*8に対応した励磁割合を、励磁回数割合記憶手段12iが励磁回数割合決定手段12dから取得して記憶する。そして、この励磁割合で励磁の出力を行う。
時刻tc1の後に、回動指令パルスCWPを入力して回数分割ステップカウンタの値がL08からL09に遷移し、更に、時刻tc2において回動指令パルスCWPを入力すると、回数分割ステップカウンタの値がL09からL00に遷移し、基本ステップカウンタの値がH00からH01に遷移する。すると、励磁回数割合記憶手段12iは、時刻tc2における電気角位置(ステップ1*N)に対応した励磁割合を、新たに励磁回数割合決定手段12dから取得して記憶する。そして、図12に示すように、時刻tc2から時刻tc3まで、新たに記憶した励磁の出力を行う。
こうすることによって、励磁周期同期更新による励磁切替方法に加えて、基本ステップ同期更新1による励磁切替方法を実現することができる。
次に、5相ステッピングモータ1のモータ回転子が回転している状態における、励磁切替タイミングの実施例2について説明する。上述の実施例1では、励磁周期同期更新による励磁切替方法に加えて、基本ステップカウンタの更新に伴って組合せ励磁周期TCの途中から励磁を更新する基本ステップ同期更新1による励磁切替方法を用いていた。これに対して、当該実施例2では、基本ステップカウンタの値が更新される毎に、組合せ励磁周期出力手段12cが組合せ励磁切替指令を出力するとともに、新たに組合せ励磁周期TCの計数を開始するように構成してある。したがって励磁回数割合記憶手段12iは、組合せ励磁周期出力手段12cが出力する組合せ励磁切替指令に基づいて励磁を切り替えることで、基本ステップに同期して励磁を更新することができる。
また、これに加えて、基本ステップカウンタの値が更新される毎に、単位励磁周期出力手段12hが単位励磁切替指令を出力するとともに、新たに単位励磁周期Tの計数を開始するように構成することもできる。
この実施例2を用いた場合の励磁切替タイミングについて、図13〜図16を用いて説明する。前述のように、所定の組合せ励磁周期TC毎に励磁を切り替える励磁切替方法を励磁周期同期更新と呼んでいる。そして、以下に説明するように、本発明の実施例2に係る励磁切替タイミングを、基本ステップ同期更新2と称することにする。図13〜図16に示す実施例は、図5に示した実施例と同様に、基本ステップ数=10、回数分割数m=10とした場合を示している。なお、図7〜図10に示した事項と同一の事項については同一の名称を付して、その説明を省略する。
図13〜図16には、回動指令パルスCWPが入力された場合の回数分割ステップカウンタの値(2桁の数値で表記してある。)の変化と、当該回数分割ステップカウンタの上位の桁に該当する基本ステップカウンタの値(2桁の数値で表記してある。)の変化と、組合せ励磁周期TC毎に出力される組合せ励磁切替指令と、励磁回数割合記憶手段12iに記憶されたステップ位置(4桁の数値で表記してある。)とを、横軸を時間に取って表してある。なお、励磁回数割合記憶手段12iが記憶するのは、第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合であるが、ここでは説明の都合上、回数分割ステップカウンタの値と、基本ステップカウンタの値とを表記している。
これらの各図のうち、図13は、組合せ励磁周期TCよりも回動指令パルス間隔の方が長い場合におけるステップ位置の変化(励磁切替タイミング)を表している。図14は、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/2.5の場合におけるステップ位置の変化を表している。図15は、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/7.5の場合におけるステップ位置の変化を表している。また、図16は、基本ステップカウンタの更新間隔が、組合せ励磁周期TCよりも短くなった場合におけるステップ位置の変化を表している。
最初に、図13を用いて、組合せ励磁周期TCよりも回動指令パルス間隔の方が長い場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図13に示す状態は、モータ回転子が約1.5rps(90rpm)で回転している状態である。
図13に示すように、回動指令パルスCWPが入力されると、その立ち上がりで回数分割ステップカウンタの値が更新される(例えば、L08からL09に更新される。)。このように、回動指令パルスCWPが入力される毎に、回数分割ステップカウンタの値が更新され、回数分割ステップカウンタの値がL09からL00に切り替わる際に、基本ステップカウンタの値が更新される(例えば、H00からH01に更新される。)。
なお、励磁周期同期更新による励磁切替方法では、組合せ励磁切替指令を、回動指令パルスとは無関係に組合せ励磁周期出力手段12cにより組合せ励磁周期TC毎に生成しているが、本発明の実施例2にて説明する組合せ励磁切替指令は、この組合せ励磁周期TC毎に生成する条件に加えて、基本ステップカウンタの値が更新される毎に出力するように構成してある。更に、基本ステップカウンタの値が更新される毎に、新たに組合せ励磁周期TCの計数を開始するように構成してある。
したがって、本発明の実施例2に係る基本ステップ同期更新2の励磁切替方法では、組合せ励磁周期TC毎に出力される組合せ励磁切替指令に加えて、基本ステップカウンタの更新に同期して組合せ励磁切替指令を出力して、励磁回数割合記憶手段12iに記憶する第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合とを更新する。
図13に示すように、励磁周期同期更新による励磁切替方法では、所定の組合せ励磁周期TC毎に生成される組合せ励磁周期TC毎に、励磁回数割合記憶手段12iに記憶するステップ位置の更新を行っているため、回数分割ステップの駆動を3×TCの励磁更新周期で行う場合と、2×TCの励磁更新周期で行う場合とが生ずることになる。
これに対し、基本ステップ同期更新2の励磁切替方法を用いた場合には、基本ステップカウンタの値が更新されない状態では、励磁周期同期更新による励磁切替方法と同様に、所定の組合せ励磁周期TC毎に生成される組合せ励磁周期TC毎に行う。しかし、基本ステップカウンタが更新されると、そのタイミングでも組合せ励磁切替指令を出力するとともに、組合せ励磁周期TCの計数をリセットして新たな計数を開始する。その後、組合せ励磁周期TCが経過する毎に組合せ励磁切替指令を出力し、組合せ励磁周期TCの計数をリセットして新たな計数を開始する処理を繰り返し行う。
励磁回数割合記憶手段12iは、組合せ励磁切替指令に基づいて、第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合とを更新する。したがって、基本ステップカウンタが更新される付近(例えばtc10の位置付近)における励磁更新周期は、通常の組合せ励磁周期TCよりも短いTC10となる。図13に示す実施形態の場合には、3×TCの励磁更新周期が短縮されて、2×TC+TC10となり、2×TCの組合せ励磁周期に近づくことになる。したがって、回数分割ステップの駆動はいくぶん安定することとなり、基本ステップカウンタの更新に同期してステップ位置を更新しても、悪影響は生じないことになる。
次に、図14を用いて、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/2.5の場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図14に示す状態は、モータ回転子が約10rps(600rpm)で回転している状態である。なお、図13にて説明した事項と同一の事項については、その説明を省略するものとする。
図14に示す実施形態では、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCよりも短いために、1乃至2のマイクロステップ位置が間引かれることになる。励磁周期同期更新による励磁切替方法においては、所定の組合せ励磁周期TC毎にステップ位置を更新しているので、ステップ位置は比較的安定したものとなる。基本ステップ同期更新2の励磁切替方法では、基本ステップカウンタが更新された場合にも組合せ励磁切替指令が出力されるので、基本ステップカウンタの更新に合わせて、ステップ位置を更新することができる。
このように、基本ステップ同期更新2の励磁切替方法を用いた場合には、基本ステップカウンタが更新された際においても、組合せ励磁切替指令が出力されて、励磁回数割合記憶手段12iが第1励磁組及び第2励磁組とその励磁回数割合とを更新する。したがって、基本ステップカウンタが更新される付近(例えばH00からH01に切り替わる位置。)では、組合せ励磁周期TCよりも短いTC20の励磁更新周期でステップ位置0009に相当する励磁を行い、次にTCの励磁更新周期で0100のステップ位置に相当する励磁を行うこととなる。
また、他の基本ステップカウンタが更新される付近(例えばH01からH02に切り替わる位置。)では、TC21(<TC)の励磁更新周期でステップ位置0109に相当する励磁を行い、次にTCの励磁更新周期で0200のステップ位置に相当する励磁を行うこととなる。こうすることで、間引いた歩進数が少ない励磁更新周期TC21を短くするので、回数分割ステップの間引き駆動がいくぶん安定することとなる。また、基本ステップカウンタの更新に同期してステップ位置を更新しても、悪影響は生じないことになる。なお、図8を用いて説明した場合と同様に、この図14に示す回転数においてフルステップ駆動を行うこともできる。
次に、図15を用いて、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/7.5の場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図15に示す状態は、モータ回転子が約30rps(1800rpm)で回転している状態である。なお、図13にて説明した事項と同一の事項については、その説明を省略するものとする。
図15に示す実施形態では、回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCよりもかなり短いために、5乃至6のマイクロステップ位置が間引かれることになる。励磁周期同期更新の励磁切替方法のみを用いた場合において、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えた場合には、ステップ位置0100の励磁更新周期が2×TCとなり、ステップ位置0200の励磁更新周期がTCとなって等速回転性が若干悪化し、モータ回転子に振動が発生することになる。
他方、基本ステップ同期更新2の励磁切替方法を用いてマイクロステップ駆動を行う場合には、基本ステップカウンタが更新される付近において励磁の更新頻度が増して、回数分割ステップの補完が行われる。これにより、駆動がいくぶん安定することとなる。したがって、基本ステップカウンタの更新に同期してステップ位置を更新しても、悪影響は生じないことになる。
更に、この図15に示す回動指令パルス間隔において、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替えた場合には、ステップ位置0100の励磁更新周期、ステップ位置0200の励磁更新周期、ステップ0300の励磁更新周期等が共にTRとなるので、基本ステップ同期更新2の励磁切替方法を用いることにより、フルステップ駆動時における等速回転性が維持されることになる。
次に、図16を用いて、基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短くなった場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する。例えば機械角7.2°の5相ステッピングモータ1を用い、基本ステップ数=10、回数分割数m=10、組合せ励磁周期TC=50μsに定めた場合には、図16に示す状態は、モータ回転子が約60rps(3600rpm)で回転している状態である。なお、図13にて説明した事項と同一の事項については、その説明を省略するものとする。
図16に示す実施形態では、基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短いために、基本角ステップを含めた多くのマイクロステップ位置が間引かれる。なお、この図16に示す回動指令パルス間隔においては、もはやマイクロステップ駆動を行う意味は無いので、フルステップ駆動に切り替えて駆動することが好ましい。
励磁周期同期更新による励磁切替方法を用いてフルステップ駆動を行った場合には、各励磁更新周期TCにおけるステップ位置が、0100、0200、0400、0600…となるため等間隔にならず、モータ回転子の等速回転性が若干悪化し、モータ回転子に振動が発生することになる。
他方、基本ステップ同期更新2の励磁切替方法によるフルステップ駆動を用いた場合には、基本ステップカウンタが更新される毎に毎回励磁を切り替えるので、各励磁更新周期TRにおけるステップ位置は、基本ステップの歩進数となって、フルステップ駆動時における等速回転性が確保されることになる。
したがって、基本ステップカウンタの値が更新される毎に組合せ励磁切替指令を出力するとともに、新たに組合せ励磁周期TCの計数を開始することとなる基本ステップ同期更新2の励磁切替方法を用いることにより、モータ回転子の回転数が高い場合における振動を低減することができる。更に、マイクロステップ駆動を行う速度域で2相励磁を合成した4相励磁を用い、ステッピングモータの全てのコイル端子を正極又は負極の何れかに接続しておくことで、停止時の停止精度を向上させるとともに、超低回転域から低回転域における回転の滑らかさを確保することができる。また、モータ回転子の振動を増加させることなく、マイクロステップ駆動からフルステップ駆動に切り替える回転数を、より広い回転域から選択することができる。
次に、本発明に係るステッピングモータ駆動装置の特徴について図17を用いて説明する。図17(a)は、特許文献1又は3を用いた場合に振動低減効果が得られる回転数の範囲を模式的に表した図である。図17(b)は、本発明に係るステッピングモータ駆動装置を用いた場合に振動低減効果が得られる回転数の範囲を模式的に表した図である。
図17(a)に示すように、背景技術として挙げた特許文献1又は3を用いた場合の振動低減効果は、マイクロステップ駆動とフルステップ駆動との境界部分において発生する振動のみを低減することを目的とするものである。そして、フルステップ駆動に切り替えなければならない回転数は比較的低い回転数となる。
したがって、フルステップ駆動により低回転駆動を行う状況下では、常に2つ以上の励磁コイルの端子がハイインピーダンス状態となることに起因して、モータ回転子の定回転性が損なわれ、振動が発生する。
モータ回転子に振動が発生している状態において、このモータ回転子の振動数とキャリッジの固有振動数とが一致した場合又は近接した場合には、モータ回転子の振動とキャリッジの振動とが共振し、一般に20〜30倍の振幅となって現れる。このようにキャリッジの振動が大きくなってしまうと、液体の搬送や軽量物の精密な搬送などを行うことができないといった不具合を生ずる。
これに対し、本発明に係るステッピングモータ駆動装置では、モータ回転子の回転数の上昇に伴ってステップの間引きを拡大しながら2相励磁の合成による4相励磁を行うので、比較的高い回転数までマイクロステップ駆動を継続することができる。
したがって、モータ回転子の回転数が上昇しても2相励磁による等速回転性が確保されるので、比較的高い回転数まで回転が安定するマイクロステップ駆動を継続することができる。
したがって、本発明に係るステッピングモータ駆動装置を用いてキャリッジ等の駆動制御を行うことにより、励磁コイルの端子にハイインピーダンス状態をつくらない2相励磁の合成による4相励磁を用いたマイクロステップ駆動を行う回転域を拡大することができる。すなわち、電気角の分解能が1/100以下となるような微小角における停止精度(スタティック特性)を確保し、超低回転域から高回転域に至るまでの回転の滑らかさ(ダイナミック特性)を確保することができる。
本発明に係るステッピングモータ駆動装置及びマイクロステップ方法は、精密な位置決め又は低振動の低回転域駆動に加え、静粛性が要求される用途に好適である。例えば、光計測装置、光電子デバイス作製装置、有機EL作製装置、デバイスプロセス装置、若しくは有機半導体素子作製装置等に適用することができる。
なお、前記光計測装置の用途として、並列光演算技術、レーザ安定化技術、超高回転域分光技術、超高回転域光制御技術、若しくは光パルスタイミング同期技術等の光制御の技術分野や、単一光子検出技術、超高回転域光計測技術、ホログラム計測技術、各種表面分光技術、電界発光計測技術、移動度計測技術、又は干渉計測技術等の技術分野を挙げることができる。
また、上記の実施例では、本発明のマイクロステップ方法を回転型のステッピングモータの駆動に用いた実施例を示したが、直動型のステッピングモータに応用することも可能である。
5相ステッピングモータの各励磁コイルに対し、基本ステップ角が更新される毎に励磁を切り替えることが可能な、ステッピングモータ駆動装置の内部構成を示すブロック図である。 (a)は、ペンタゴン結線方式を採用した5相ステッピングモータの励磁コイル1a〜1eと、励磁相ABCDEabcdeの励磁電流の方向とを定義する図である。(b)は、5相ステッピングモータの励磁相ABCDEabcdeと、トルクベクトルVA〜Veとの関係を定義する図である。 モータ回転子を所定の基本ステップ位置に位置決めする励磁相の組み合わせ例を示す図である。 モータ回転子を所定の基本ステップ位置に位置決めする励磁相の組み合わせの他の実施例を示す図である。 図1に示した励磁波形決定手段における各機能を説明する図である。 励磁回数割合決定手段において、各励磁相の励磁組を纏めて出力する他の励磁形態を示す図である。 組合せ励磁周期TCよりも回動指令パルス間隔の方が長い場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/2.5の場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/7.5の場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短くなった場合における基本ステップ同期更新1を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 図6に示した励磁回数割合決定手段が決定する、回数分割ステップの歩進数に応じた励磁回数割合の遷移を表した図であり、組合せ励磁周期TCにおいて、所定の励磁回数割合に応じた励磁が完結している状態を表した図である。 基本ステップカウンタの値が更新されたことに伴って、組合せ励磁周期TC内において励磁組合せを切り替えた状態を表す図である。 組合せ励磁周期TCよりも回動指令パルス間隔の方が長い場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/2.5の場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 回動指令パルス間隔が組合せ励磁周期TCの約1/7.5の場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 基本ステップカウンタの更新間隔が組合せ励磁周期TCの間隔よりも短くなった場合における基本ステップ同期更新2を用いた励磁切替タイミングについて説明する図である。 (a)は、特許文献1又は3を用いた場合に振動低減効果が得られる回転数の範囲を模式的に表した図であり、(b)は、本発明に係るステッピングモータ駆動装置を用いた場合に振動低減効果が得られる回転数の範囲を模式的に表した図である。 特許文献1に記載されているステッピングモータの駆動方式を実現するための駆動回路について説明する図である。 特許文献1の図3に示されているフルステップ駆動時の駆動パターンを説明する図である。 特許文献1の図2に示されているマイクロステップ駆動時の駆動パターンを説明する図である。 特許文献1の図8に示されているマイクロステップ駆動時において端子Aに印加する電圧(デューティ)について説明する図である。 特許文献1の図6に示されているマイクロステップ駆動時におけるPWMパターンを説明する図である。 特許文献1の図5に示されているマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に移行する際のPWMパターンの遷移を説明する図である。 特許文献1の図7に示されているマイクロステップ駆動からフルステップ駆動に移行する際に、M1及びM2を用いたPWMパターンの遷移を説明する図である。 従来のマイクロステップ駆動時において、回動指令パルスに同期して電気角を更新する場合の、回動指令パルスとPWM波形との関係を表した図である。
符号の説明
1 5相ステッピングモータ
1a〜1e 励磁コイル
10 ステッピングモータ駆動装置
12 励磁波形決定手段
12a 電気角位置管理手段
12b 励磁相組合せ出力手段
12c 組合せ励磁周期出力手段
12d 励磁回数割合決定手段(励磁割合決定手段)
12e 励磁波形出力手段
12h 単一励磁周期出力手段
12i 励磁回数割合記憶手段(励磁割合記憶手段)
12v 指令回転数検出手段
14 定電流コントロール回路
15 電流検出抵抗
16 モータ電流制御手段
C1、C2 コンデンサ
D1〜D11 ダイオード
L1 チョークコイル
PS 電源
TR1〜TR10 駆動素子
TR11 トランジスタ
VA〜VE、Va〜Ve トルクベクトル

Claims (4)

  1. N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微細ステップにm分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、
    N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると、前記微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、前記m分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、
    N相ステッピングモータのモータ回転子を、前記基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップ位置に位置決めするために、N相の励磁コイルのうちの所定の2相の組合せを励磁する1の励磁組と、他の基本ステップ位置に位置決めするための別の2相の組合せを励磁する他の励磁組との励磁組合せを出力する励磁相組合せ出力手段と、
    前記m分割カウンタの値及び前記基本ステップカウンタの値とに応じて、前記2つの励磁組合せの励磁回数又は励磁時間をそれぞれ漸増及び漸減することにより、前記2つの励磁組合せの励磁割合を決定する励磁割合決定手段と、
    所定の単位励磁周期Tが計数される毎に、前記励磁組を構成する単位励磁相に対する励磁を切り替えるための単位励磁切替指令を出力する単位励磁周期出力手段と、
    前記単位励磁周期Tの整数倍で構成される組合せ励磁周期TCが計数される毎に、前記励磁割合に応じた前記2つの励磁組合せによる励磁を切り替えるための組合せ励磁切替指令を出力する、組合せ励磁周期出力手段と、
    前記組合せ励磁切替指令が出力される毎、又は前記組合せ励磁切替指令が出力される毎に加えて前記基本ステップカウンタの値が更新される毎に、新たな前記励磁割合を記憶する励磁割合記憶手段と、
    前記励磁割合記憶手段に記憶されている前記励磁割合を用い、前記2つの励磁組合せを構成する前記単位励磁相に対する励磁を、前記単位励磁切替指令が出力される毎に切り替えて、駆動素子を介して順次出力してゆく励磁波形出力手段と、
    を備え、
    前記励磁組を構成する前記2相の励磁が、前記励磁コイルにおける全ての端子がモータ駆動電源の正極又は負極の何れかに接続している励磁であることを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
  2. N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微細ステップにm分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、
    N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると、前記微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、前記m分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、
    N相ステッピングモータのモータ回転子を、前記基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップ位置に位置決めするために、N相の励磁コイルのうちの所定の2相の組合せを励磁する1の励磁組と、他の基本ステップ位置に位置決めするための別の2相の組合せを励磁する他の励磁組との励磁組合せを出力する励磁相組合せ出力手段と、
    前記m分割カウンタの値及び前記基本ステップカウンタの値とに応じて、前記2つの励磁組合せの励磁回数又は励磁時間をそれぞれ漸増及び漸減することにより、前記2つの励磁組合せの励磁割合を決定する励磁割合決定手段と、
    所定の単位励磁周期Tが計数される毎に、前記励磁組を構成する単位励磁相に対する励磁を切り替えるための単位励磁切替指令を出力する単位励磁周期出力手段と、
    前記単位励磁周期Tの整数倍で構成される組合せ励磁周期TCが計数される毎に、前記励磁割合に応じた前記2つの励磁組合せによる励磁を切り替えるための組合せ励磁切替指令を出力し、更に前記基本ステップカウンタの値が更新される毎に前記組合せ励磁切替指令を出力するとともに、新たに前記組合せ励磁周期TCの計数を開始する、組合せ励磁周期出力手段と、
    前記組合せ励磁切替指令が出力される毎に、新たな前記励磁割合を記憶する励磁割合記憶手段と、
    前記励磁割合記憶手段に記憶されている前記励磁割合を用い、前記2つの励磁組合せを構成する前記単位励磁相に対する励磁を、前記単位励磁切替指令が出力される毎に切り替えて、駆動素子を介して順次出力してゆく励磁波形出力手段と、
    を備え、
    前記励磁組を構成する前記2相の励磁が、前記励磁コイルにおける全ての端子がモータ駆動電源の正極又は負極の何れかに接続している励磁であることを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
  3. 前記単位励磁周期出力手段は、前記基本ステップカウンタの値が更新される毎に前記単位励磁切替指令を出力するとともに、新たに前記単位励磁周期Tの計数を開始することを特徴とする請求項2に記載のステッピングモータ駆動装置。
  4. 前記請求項1〜3のいずれかに記載のステッピングモータ駆動装置を用いたN相ステッピングモータの駆動方法。
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