JP3124398B2 - センサレス多相直流モータの回転制御方法 - Google Patents

センサレス多相直流モータの回転制御方法

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JP3124398B2 JP04326558A JP32655892A JP3124398B2 JP 3124398 B2 JP3124398 B2 JP 3124398B2 JP 04326558 A JP04326558 A JP 04326558A JP 32655892 A JP32655892 A JP 32655892A JP 3124398 B2 JP3124398 B2 JP 3124398B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、センサレス多相直流
モータの回転制御方法に関し、特に、その回転時のトル
クを増加させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置の回転駆動用のモータ
として、従来から、ブラシレス多相直流モータが用いら
れている。この種のモータはスピンドルモータとも呼ば
れ、例えば、励磁状態において磁界を発生するステータ
コイルを備えたステータと、このステータコイルの磁界
との電磁相互作用により回転力を得るロータマグネット
を備えたロータと、ロータマグネットの回転位置を検出
するセンサとを有する構造のものがよく知られており、
このような構造のスピンドルモータでは、多くの場合、
半導体チップ化された電子回路により回転制御が行われ
ている。
【0003】この場合のステータ側の磁界発生タイミン
グは、センサによりロータマグネットの回転位置を検知
して制御され、この種のセンサには、従来からホール素
子が用いられていた。ところが、近時、モータの小型化
やセンサの特性劣化を回避するために、センサを使用し
ないで、休止中のコイルに発生する誘起電圧(または誘
起電流)を利用してロータマグネットの位置を検知する
いわゆるセンサレス多相直流モータが一般化されつつあ
る。
【0004】センサレスモータの起動に際し、モータ停
止時は、逆起電圧が得られないため、まず、ロータを揺
動させることがおこなわれる。例えば、3相コイルのス
ピンドルモータでは、ステータコイルに励磁電流を順次
供給する歩進工程が繰り返され、この歩進工程中には、
通常、正方向,休止,逆方向の励磁電流を各相に流すス
テップが含まれていて、このようなステップが含まれた
所定パターンの励磁電流を流すことによって発生する磁
界と、ロータマグネットとの間の吸引,反発力により駆
動トルクが発生してモータの起動が行われる。
【0005】一方、モータが起動すると、逆起電圧を検
出して、この検出値に基づいて、モータの回転制御が行
われている。しかしながら、このようなセンサレス多相
直流モータの回転制御には、以下に説明する技術的課題
があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、上記センサ
レス多相直流モータにおいては、コイルに鎖交する磁束
による誘起電圧によりロータマグネットの位置を検知し
ているが、モータの停止時には誘起電圧がなく、また、
マグネットの極性が不明なので、始動時には、強制的に
起動をかけている。ところが、ロータの位置によって
は、低トルクのために起動不良が発生したり、あるい
は、通電による磁界が逆方向に発生して、起動立上がり
において機械角60°以上逆回転することもある。
【0007】そこで、このような不都合を回避し、起動
信頼性を高めるために、本出願人は、歩進の一部をダブ
ル駆動方式とする起動時の制御方法を開発した。この制
御方法では、センサレスモータの起動時に、休止時間を
含まずに通電方向が正から負、または、負から正に逆転
する逆励磁駆動動作を含む方法であって、この制御方法
によれば、大きな磁束密度変化幅が生じて、起動の死点
が解消するとともに、高トルクが発生し、起動信頼性が
向上する。
【0008】ところが、このようなダブル駆動方式にお
いても、例えば、ロータとステータとの位置関係が、通
電に対してたまたま0トルクを発生する位置にある場合
に起動すると、起動電流が少ないと、ロータがあまり動
かない状態で歩進シーケンスが繰り返される。このと
き、ロータを所定方向に確実に回転させるために複数の
歩進工程を繰り返すが、例えば、逆励磁駆動動作が単一
の方向で1相のコイルのみの場合には、トルクアップが
不十分になるという問題があった。
【0009】また、モータが起動して回転した後の制御
においても、一般的には、複数相のステータコイルに順
次励磁電流を供給する方法なので、ステータコアが片極
性に近い状態での利用となり、回転中のトルクについて
も不満があった。本発明は、以上のような問題点に鑑み
てなされたものであり、その目的とするところは、起動
および回転中において十分なトルクアップが図れるセン
サレス多相直流モータの回転制御方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、励磁状態で電流磁界を発生する3相がス
ター結線されたステータコイルを備えたステータと、こ
のステータコイルの電流磁界との電磁相互作用により回
転力を得るロータマグネットを備えたロータと、このロ
ータを所定の方向に回転させるパルス状の励磁電流を前
記ステータコイルに供給する制御装置とを有するセンサ
レス多相直流モータの回転制御方法において、前記3相
のステータコイルのうち、2相のステータコイルが同時
に励磁される制御方法であって、前記励磁電流は、実質
上休止期間を含まないで通電方向が逆転する逆励磁駆動
動作を含み、複数の相で前記逆励磁駆動動作が順次行わ
れることを特徴とする。
【0011】前記励磁電流は、その通電工程中で供給時
間が異なる複数のステップを有し、かつ、前記複数のス
テップで前記供給時間を漸次増加させた後に漸次減少さ
せるとともに、前記励磁電流の繰り返し周波数をモータ
の固有振動周波数を中心として、その前後のステップで
前記固有振動周波数から順次小さくなるように変動させ
ることができる。
【0012】
【作用】上記構成のセンサレス多相直流モータの回転制
御方法によれば、励磁電流は、休止期間を含まないで通
電方向が逆転する逆励磁駆動動作を含み、複数の相で逆
励磁駆動動作が順次行われるので、この逆励磁駆動動作
により、起動および起動後において、大きな磁束密度変
化幅が生じて、起動の死点が解消するとともに、高トル
クが発生する。
【0013】
【実施例】以下本発明の好適な実施例について添附図面
を参照して詳細に説明する。図1から図5は、本発明に
かかるセンサレス多相直流モータの起動方法の一実施例
を示している。同図に示す起動方法は、本発明を3相の
センサレス直流モータに適用したものであり、図1には
モータの制御装置を含む全体構成が示されており、直流
モータは、励磁状態で磁界を発生する図外のステータ
と、このステータの磁界との電磁相互作用により回転力
を得る図外のロータとを有している。
【0014】ステータには、3相のステータコイルu,
v,wが施されていて、各ステータコイルu,v,w
は、一端側が共通接続されている。制御装置10は、各
ステータコイルu,v,wの一端側が接続されたパワー
回路10aと、パワー回路10aに出力側が接続された
ドライバー回路10bと、ドライバー回路10bに出力
側が接続された制御部10cと、制御部10cの出力側
に接続されたシーケンサ10d,および励磁カウンタ1
0e,歩進タイマ10fとを有している。
【0015】パワー回路10aは、制御部10cからの
指令に基づいて作動するドライバー回路10bの出力信
号を受けて、各ステータコイルu,v,wに励磁カウン
タ10eで設定されたパターンで励磁電流を供給する。
制御部10cは、モータの起動および起動後の回転制御
を行う。シーケンサ10dは、制御部10cからの制御
信号を受けて予め設定されている歩進パターンの励磁電
流を送出するものであり、この実施例では、図2に示す
ように、ステータコイルu,v,wに対して、u→
v,w→v,w→u,v→u,v→w,u→
wの6つのステップが繰り返される励磁電流のパターン
が設定されている。
【0016】励磁カウンタ10eは、制御部10cの信
号を受けて、この信号に基づいて、シーケンサ10dの
歩進パターンを変更するものであって、例えば、これが
1にセットされた場合には、歩進パターンは図2に示さ
れた〜のステップが繰り返される励磁電流をドライ
バー回路10bに送出するとともに、励磁カウンタ10
eが+2にセットされた場合には、図2に示した歩進パ
ターンでは、,,のステップが繰り返される励磁
電流を送出する。
【0017】歩進タイマ10fは、励磁カウンタ10e
で設定された励磁電流の供給時間を制御部10cからの
信号に基づいて設定するものである。図3には、制御部
10cで実行される制御手順の一例が示され、また、図
4には、モータの起動および定常回転時の各ステータコ
イルu,v,wにおける励磁電流のタイムチャートが示
されている。
【0018】図3に示す制御手順では、制御部10cが
スタート信号を受けて作動すると、まず、ステップs1
で励磁カウンター10eが1にリセットされ、ステップ
s2で励磁カウンタ10eが+4に、また、歩進タイマ
10fがT1 にセットされる。これにより、図に示
すように、ステータコイルu,v,wにおいて、コイル
u→v,同v→w,同w→uの順に励磁電流がそれぞれ
時間T1の間だけ供給される。なお、本実施例の制御方
法では、図4に示したように、各励磁電流は、パルス状
のものであって、3相のステータコイルu,v,wのう
ち、2相のステータコイルが同時に励磁される。
【0019】続くステップs3では、励磁カウンタ10
eが+4に、また、歩進タイマ10fがT2 にセットさ
れる。このステップにおいても、図3に示すように、上
記ステップ2と同様に、コイルu→v,同v→w,同w
→uの順に励磁電流がそれぞれ時間T2 の間だけ供給さ
れる。次に、ステップs4,同s5,同s6でそれぞれ
励磁カウンタ10eが+4に、また、歩進タイマ10f
がT3 ,T4 ,T5 にセットされ、上記と同様にコイル
u→v,同v→w,同w→uの順に励磁電流が、それぞ
れ時間T3,4,5 の間だけ供給される。
【0020】このような状態で励磁電流を各ステータコ
イルu,v,wに供給すると、通電工程中において、複
数のステップ(この実施例では5ステップとなっている
が、このステップ数はこれに限られることはない)で励
磁電流が供給され、特に、図中に太線矢印で示したよ
うに、各ステータコイルu,v,wにおいて、休止期間
を含まないで励磁電流が負から正に逆転する逆励磁駆動
動作が、ステータコイルu,同v,同wの順で順次行わ
れることになり、これにより、大きな磁束密度変化幅が
生じて、起動の死点が解消するとともに、起動後の回転
中においても高トルクが発生して、モータの起動確率が
大幅に向上する。
【0021】また、上記通電工程においては、歩進タイ
マ10fの設定時間をT1 <T2 <T3 >T4 >T5
ように、中間のステップで最も長く、その前後で順に短
くなるなるように設定し、かつ、各ステップにおける励
磁電流の繰り返し周波数(1/各歩進タイマ10fの設
定時間T1 〜T5 に相当する)を、モータの固有振動周
波数に対して、これを挟んで、その両側のステップで固
有振動周波数よりも順次小さい値になるように設定する
ことが望ましく、このように周波数を設定すると、共振
作用によりモータの起動がより一層円滑に行える。
【0022】なお、歩進タイマ10fの各ステップにお
ける通電時間の設定に関しては、特別な場合として、設
定時間が一定(T1 =T2 =T3 =T4 =T5 )となる
ように設定することも可能である。そして、以上の通電
工程がそれぞれ歩進タイマ10fで設定された時間だけ
実行されると、その後ステップs7で、モータが回転し
ているか否かが判断され、回転していないと判断された
場合には、ステップs1に戻り、以後は再び同じ手順が
繰り返されることになる。
【0023】一方、ステップs7でモータが回転したと
判断された場合には、次のステップs8,s9に進み、
これらのステップでは上述したのと同様の逆励磁駆動動
作を遂行しながら、モータの回転(加速,定速回転)が
行われる。さて、以上のような手順で行われるセンサレ
ス多相直流モータの回転制御方法によれば、まず、起動
時において、複数の相で通電方向が休止期間を含まない
で逆転する逆励磁駆動動作が順次行われるので、この逆
励磁駆動動作により大幅なトルクアップが達成され、こ
の効果が累積されることにより起動確率が大幅に向上す
る。一方、モータが起動して回転が開始された後も、複
数の相で通電方向が休止期間を含まないで逆転する逆励
磁駆動動作が順次行われるので、起動時と同様に回転中
においても大きな磁束密度変化幅が生じて、高トルクが
発生する。
【0024】図5は、この発明にかかるセンサレス多相
直流モータの回転制御方法の他の実施例を示しており、
以下にその特徴点についてのみ説明する。同図に示す実
施例では、制御部10cで行われる図3に示した制御手
順において、ステップs2〜s6並びにステップs8,
9における励磁カウンタ10eの設定値を+2にした場
合である。
【0025】このように励磁カウンタ10eの設定値を
+2にすると、図2に示した励磁電流の歩進パターンを
参照すると明らかなように、各通電工程における励磁電
流は、図5に示すように、コイルu→v,同w→u,同
v→wの通電が繰り返されることになる。この場合、こ
のような励磁電流を供給する通電工程では、ステータコ
イルu,v,wにおいては、図5中に太線矢印で示した
ように、休止期間を含まないで励磁電流が正から負に逆
転する逆励磁駆動動作が、ステータコイルu,同w,同
vの順で順次行われることになり、これにより、モータ
の起動確率が大幅に向上するとともに、定常運転時のト
ルクも大きくなり、上記実施例と同等の作用効果が得ら
れる。
【0026】なお、上記実施例では、ステップs7にお
いてモータの回転を確認するための工程を設けている
が、この工程は省略することもできる。さらに、上記実
施例では、正から負または負から正に通電方向が逆転す
る逆励磁駆動動作を行っているが、これはステータコア
の残留磁化が消失しない範囲においては若干の休止期間
が存在していても同様の作用効果が得られるため、この
場合にも実質上休止期間が存在しないとすることができ
る。
【0027】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかるセンサレス多相直流モータの回転制御方
法によれば、モータの起動確率が非常に高くなるととも
に、運転時のトルクも大きくなるという優れた効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる回転制御方法が適用されるセン
サレス多相直流モータの制御系を含む全体構成図であ
る。
【図2】本発明にかかる回転制御方法で採用される通電
工程の励磁電流のパターンの一例を示す説明図である。
【図3】本発明の回転制御方法における制御手順の一例
を示すフローチャートである。
【図4】本発明の通電工程の詳細を示す波形図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す通電工程の波形図で
ある。
【符号の説明】
10 制御装置 10a パワー回路 10b ドライバー回路 10c 制御部 10d シーケンサ 10e 励磁カウンタ 10f 歩進タイマ u,v,w ステータコイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−141993(JP,A) 特開 昭62−141998(JP,A) 特開 平1−234090(JP,A) 特開 平2−211089(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/20 - 6/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励磁状態で電流磁界を発生する3相がス
    ター結線されたステータコイルを備えたステータと、こ
    のステータコイルの電流磁界との電磁相互作用により回
    転力を得るロータマグネットを備えたロータと、このロ
    ータを所定の方向に回転させるパルス状の励磁電流を前
    記ステータコイルに供給する制御装置とを有するセンサ
    レス多相直流モータの回転制御方法において、前記3相のステータコイルのうち、2相のステータコイ
    ルが同時に励磁される制御方法であって、 前記励磁電流は、実質上休止期間を含まないで通電方向
    が逆転する逆励磁駆動動作を含み、複数の相で前記逆励
    磁駆動動作が順次行われることを特徴とするセンサレス
    多相直流モータの回転制御方法。
  2. 【請求項2】 前記励磁電流は、その通電工程中で供給
    時間が異なる複数のステップを有し、かつ、前記複数の
    ステップで前記供給時間を漸次増加させた後に漸次減少
    させるとともに、前記励磁電流の繰り返し周波数をモー
    タの固有振動周波数を中心として、その前後のステップ
    で前記固有振動周波数から順次小さくなるように変動さ
    せることを特徴とする請求項1記載のセンサレス多相直
    流モータの回転制御方法。
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