JP4855957B2 - ステッピングモータ駆動装置、精密測定機器、精密加工機器、及びマイクロステップ駆動方法 - Google Patents

ステッピングモータ駆動装置、精密測定機器、精密加工機器、及びマイクロステップ駆動方法 Download PDF

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本発明は、スター結線、環状結線等の複数の励磁コイルを有するN相ステッピングモータの励磁コイルを励磁するに際し、1の励磁の組合せと他の励磁の組合せとの励磁割合を変更して、N相ステッピングモータの基本ステップ角αを細分割するステッピングモータ駆動する装置と、同装置を搭載する精密測定機器及び精密加工機器と、そのマイクロステップ駆動方法に関する。
一般に、N相ステッピングモータのモータ回転子を駆動する場合には、外部からステッピングモータの駆動装置に回動指令パルスを入力し、駆動装置がその入力した回動指令パルスを計数し、その計数値に応じてN相ステッピングモータの所定の励磁相を励磁することにより、回動指令パルスの総数に比例した角度だけモータ回転子を回転させる制御を行っている。
この、N相ステッピングモータのモータ回転子の位置決め分解能を細かくするために、N相ステッピングモータの機械的構造から決定される基本ステップ角αを半分に分割するハーフステップ駆動や、更に細かい角度に分割して位置決めするマイクロステップ駆動が行われている。
従来のマイクロステップ駆動方法の一例として、例えば特許第3725316号公報(特許文献1)には、5相ステッピングモータに形成されている5相の励磁相の中から、モータ回転子を1の基本ステップの位置に位置決めするための1の励磁の組合せ(以降、第1励磁組と記載する。)と、次の基本ステップの位置に位置決めするための他の励磁の組合せ(以降、第2励磁組と記載する。)とを選択し、その第1励磁組又は第2励磁組を組合せた4つの励磁パターンの一部をマイクロステップ角の順序に従って変化させるとともに、励磁回数の割合を変更することにより、基本ステップ角αを細分割するマイクロステップ駆動方法が示されている。
特許文献1の実施例2に記載された5相ステッピングモータの駆動方法では、5相の励磁相のうち、例えば励磁相B及び励磁相Cの2相を同時に励磁する励磁組(BC)を生成するとともに、励磁相A及び励磁相Dの2相を同時に励磁する励磁組(AD)を生成する。そして、4種類の励磁組(BC)、(AD)、(BC)、(AD)を用いた励磁シーケンスを生成し、これを繰り返し出力することにより、合成ベクトル《ABCD》を構成して、アドレス=0の基本ステップの位置決めを実現している。
アドレス=0からアドレス=1にマイクロステップの歩進をさせる場合には、前記4種類の励磁組(BC)、(AD)、(BC)、(AD)の最後の励磁組(AD)を励磁組(CD)に置き換えた4種類の励磁組(BC)、(AD)、(BC)、(CD)を用いた励磁シーケンスを生成し、これを繰り返し出力することにより、合成ベクトル《ABCD》+9.7°を得て、アドレス=1の位置に位置決めしている。
また、アドレス=1からアドレス=2に歩進させる場合には、4種類の励磁組(BC)、(AD)、(BC)、(CD)のうち3つ目の励磁組(BC)を励磁組(CD)に置き換えるとともに、最後に励磁組(BE)を配置した4種類の励磁組(BC)、(AD)、(CD)、(BE)を用いた励磁シーケンスを生成し、これを繰り返し出力することにより、合成ベクトル《ABCDE》を得て、アドレス=2のハーフステップの位置に位置決めしている。
また、アドレス=2からアドレス=3にマイクロステップの歩進をさせる場合には、2つ目の励磁組(AD)を除いて、最後に励磁組(CD)を配置した4種類の励磁組(BC)、(CD)、(BE)、(CD)を用いた励磁シーケンスを生成し、これを繰り返し出力することにより、合成ベクトル《BCD》−9.7°を得て、アドレス=3の位置に位置決めしている。
また、アドレス=3からアドレス=4に歩進をさせる場合には、最初の励磁組(BC)を取り除いて、最後に励磁組(BE)を配置した4種類の励磁組(CD)、(BE)、(CD)、(BE)を用いた励磁シーケンスを生成し、これを繰り返し出力することにより、合成ベクトル《BCD》を得て、アドレス=4の基本ステップの位置に位置決めしている。
このように、アドレス=0からアドレス=3にわたる4回のマイクロステップの励磁処理を用いることによって、合成ベクトル《ABCD》〜《ABC》の10段階の基本ステップをそれぞれ4分割したマイクロステップの歩進を実現させている。なお、このように、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数の割合を変化させることによってステップ角を細分割する手法を、以降、回数分割と呼ぶことにする。
また、従来のマイクロステップ駆動方法の他の実施態様として、例えば特開2004−266974号公報(特許文献2)には、3相ステッピングモータに形成されている3相の励磁コイルの励磁相(U相、V相、W相)の励磁極性を組み合わせて多相励磁を行うことにより、ステッピングモータの基本ステップ角αを細分割するマイクロステップ駆動方法が示されている。
例えば、特許文献2の図6には、第1励磁組(vUw)と第2励磁組(wVu)との出力比率をステップ毎に漸減及び漸増させることによって、基本ステップ間を10分割したマイクロステップ駆動方法が示されている。また、同特許文献2の図9には、第1励磁組(vUw)の励磁時間をステップ毎に漸増又は漸減するとともに、第2励磁組(wVu)の励磁時間をステップ毎に漸減又は漸増して、ステップ毎に励磁時間が異なる励磁波形(vUw、UwV、wVu)を生成し、複数の励磁コイルを順次励磁することにより、基本ステップ間を100分割したマイクロステップ駆動方法が示されている。なお、このように、第1励磁組と第2励磁組との励磁時間の割合を変化させることによってステップ角を細分割する手法を、以降、時間分割と呼ぶことにする。
特許第3725316号公報 特開2004−266974号公報
近年では、光計測装置、光電子デバイス作製装置、有機EL作製装置、デバイスプロセス装置、若しくは有機半導体素子作製装置等の技術分野において、キャリッジの精密な位置決めや低振動の超低速駆動が求められている。なお、前記光計測装置の用途として、並列光演算技術、レーザ安定化技術、超高速分光技術、超高速光制御技術、若しくは光パルスタイミング同期技術等の光制御技術や、単一光子検出技術、超高速光計測技術、ホログラム計測技術、各種表面分光技術、電界発光計測技術、移動度計測技術、又は干渉計測技術等を挙げることができる。
上記の各技術分野において、制御の容易性や制御装置の小型化、及び低価格化の要求により、キャリッジの駆動源としてステッピングモータが多用されており、ステッピングモータにも超低速駆動や高分解能駆動の性能が強く要求されている。また、研究室や生産現場等で作業する作業者の近傍で使用される各種装置に、高分解能のステッピングモータが組み込まれるケースも増加している。
上記特許文献1の実施例2に記載されたマイクロステップ駆動方法を用いて、ステッピングモータの分解能を向上させるためには、基本ステップ角αを分割するための励磁組の組合せ数(特許文献1の実施例2では4組の励磁組を使用している。)を増やす必要がある。
特許文献1の図1に記載された制御回路のスイッチング手段(Tr1)、(Tr3)、(Tr5)、(Tr7)、(Tr9)のドレイン及び(Tr2)、(Tr4)、(Tr6)、(Tr8)、(Tr10)のソースには、電源の電圧が直接印加されている。したがって、特許文献1の前記制御回路では、センシング抵抗(R1)が検出した信号を用いて、モータ回転子が低速の場合と高速の場合とでスイッチングの時間を変更する定電流回路を構成している(特許文献1の図3参照)。
このように、スイッチングの時間を変更することによってステッピングモータを定電流駆動する場合には、定電流コントロールを行うために、励磁コイルを励磁する周期として所定時間の励磁周期Tが必要となる。仮に、励磁周期T=20μsと仮定した場合、特許文献1の図3に記載されているシーケンスでは4種類の励磁組を用いているので、1シーケンスの励磁に必要な時間は、4回励磁×20μs=80μsとなる。
特許文献1の図3に示されるように、アドレス0及びアドレス4では、《ABCD》又は《BCDE》の励磁が所定の励磁周期Tで繰り返し出力されているので、励磁周期T=20μsとした場合には、モータ回転子は、1/T=50kHzの振動を発していることになる。しかし、この50kHzの音は、人間の可聴音領域とされている20Hz〜15kHzの範囲から大きく外れているために、人の耳には聞こえず、騒音とはならない。
ところが、アドレス1〜3では、第1励磁組《ABCD》に対して第2励磁組《BCDE》が、4回励磁×20μs=80μsの間隔で出現しているために、モータ回転子は、1/(4回励磁×T)=12.5kHzの振動を発していることになる。この12.5kHzの音は、人間の可聴音領域とされている20Hz〜15kHzの範囲内に入っているために、人によっては高音の騒音がステッピングモータから聞こえることになる。
特許文献1の図3に記載されたマイクロステップ駆動方法では、基本ステップ角αを4分割しているが、更に超低速駆動や高分解能駆動を実現するために、更に10倍分解能を高めて、基本ステップ角αを40分割した場合について考察する。
基本ステップ角αを40分割すると、アドレス1〜39では、第1励磁組《ABCD》に対して第2励磁組《BCDE》が、40回励磁×20μs=800μsの間隔で出現するために、モータ回転子は、1/(40回励磁×T)=1.25kHzの振動を発することになる。この1.25kHzの音は、人間の可聴音領域の20Hz〜15kHzの範囲内に入っているとともに、人間の耳にとって高感度の周波数帯であるために、耳障りな高音の騒音がステッピングモータから聞こえることになる。したがって、たとえ高分解能のマイクロステップが実現できたとしても、ステッピングモータから発せられる騒音が大きすぎて、作業者が近傍に居る環境では使用することができないものとなってしまう。
一方、上記特許文献2に記載されたステッピングモータのマイクロステップ駆動方法では、ステッピングモータの分解能を向上させるために、第1組励磁時間及び第2組励磁時間を漸減又は漸増させる際の、機械的制約を受ける最小の単位励磁時間tを可能な限り短く設定して、基本ステップ角αの分割数を増やすという手段を用いている。因みに、特許文献2の図9に示されている実施例では、単位励磁時間t=0.5μs、励磁周期T=100μsに設定して、第1励磁組(vUw)を励磁する第1組励磁時間を50μs〜0μsまで0.5μs毎に100ステップで漸減させるとともに、第2励磁組(wVu)を励磁する第2組励磁時間を0μs〜50μsまで0.5μs毎に100ステップで漸増させている。
そして、第3励磁組(UwV)の出力時間の割合を100ステップの全てにおいて50%として、各励磁相の極性切り替え時に発生するトルクリップルを減少させつつ、円滑なマイクロステップ駆動を行っている。この、特許文献2に記載の時間分割によるマイクロステップ駆動方法を用いて、更に分解能を細かくした場合の問題点について考察する。
特許文献2に記載された時間分割のマイクロステップ駆動方法を用いて、更に分解能を高めようとすれば、ステッピングモータの励磁コイルに電力を供給するための最小の励磁時間を、0.5μsよりも更に短くしていく必要がある。しかし、スイッチング素子の応答時間は素子の性能で予め決まっているために、スイッチング素子に対して最小の励磁時間以下のスイッチング動作を指示しても、励磁電流の切換え時間に追随しなくなり、短い時間の励磁制御ができなくなってしまう。そこで、スイッチング素子が応答可能な所定の時間以上のスイッチング時間を、予め確保しておく必要がある。
このような状況において、更に細かいマイクロステップを実現するために、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数の割合を変更することにより、更に細かいマイクロステップを実現することができる。例えば、特許文献2の図9に記載されているマイクロステップ駆動方法に加えて、更に回数分割を行う場合が考えられる。
特許文献2の図9に示すように、励磁組(vUw)=50%、(UwV)=50%、(wVu)=0%を組み合わせた励磁(第1励磁組)と、励磁組(vUw)=49%、(UwV)=50%、(wVu)=1%を組み合わせた励磁(第2励磁組)との励磁回数の割合を、例えば0:10から10:0まで変更することによって、更に10分割したマイクロステップを実現することができる。
ところが、このように回数分割を付加すると、ステッピングモータから耳障りな騒音を発するために、使用が制限される場合がある。例えば、励磁周期Tを100μsとすると、励磁回数の割合が1:9から9:1の間で、励磁相(vUw)に対して励磁相(wVu)が、10回励磁×100μs=1000μsの間隔で出現することになるために、モータ回転子は1kHzの振動を発することになる。したがって、耳障りな高音の騒音が、ステッピングモータから発せられることになる。そのため、この場合にも、高分解能のマイクロステップが実現できたとしても、ステッピングモータが発する騒音のために、作業者が近傍に居る環境では、使用することができないものとなってしまう。
上述のように、ステッピングモータの励磁コイルを励磁するに際し、時系列的に異なる励磁組を組み合わせて励磁することにより、比較的容易に分解能を細かくすることができるが、分解能を細かくするにつれて励磁周期が長くなり、ステッピングモータから耳障りな可聴音の騒音が発生するという不具合が生ずる。
このステッピングモータから発生する騒音は、ステッピングモータが歩進動作を行っている場合にも、また、回転を停止しているホールド時にも発生する。したがって、特に高分解能な位置決めを必要としている精密測定機器や精密加工機器の技術分野においては、低騒音で動作する高分解能のステッピングモータ駆動装置の出現が強く要望されている。
本発明は、こうした従来の課題を解決するためになされたものであり、耳障りな騒音の発生を低減し、ステッピングモータの分解能を飛躍的に向上させたマイクロステップを実現する、ステッピングモータ駆動装置、マイクロステップ駆動方法、精密測定機器、及び精密加工機器を提供することを目的としている。
更に本発明は、特別な電子回路の新たな追加を必要とせずに、従来の電子回路構成を利用することができ、単に論理回路の一部を変更するだけで、耳障りな騒音が少なく高分解能なマイクロステップを実現する、ステッピングモータ駆動装置、マイクロステップ駆動方法、精密測定機器、及び精密加工機器を提供することを目的としている。
すなわち、本発明の基本的な第1の構成は、N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微細ステップにm細分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると、微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、m分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、N相ステッピングモータのモータ回転子を基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップの位置に位置決めするための励磁コイルの第1励磁組(1の励磁の組合せ)と次の基本ステップの位置に位置決めするための第2励磁組(他の励磁の組合せ)との少なくとも2つの励磁組(励磁の組合せ)を出力する励磁相組合せ出力手段と、微細ステップの歩進数に応じて2つの励磁組(励磁の組合せ)の励磁回数を相互に漸増及び漸減することにより2つの励磁組(励磁の組合せ)の励磁回数割合を決定して出力する励磁回数割合出力手段と、励磁周期T毎に第1励磁組(1の励磁の組合せ)又は第2励磁組(他の励磁の組合せ)を構成する励磁の出力を切り換えるための励磁切替指令を出力する励磁周期出力手段と、前記決定した励磁回数割合を維持しつつ第1励磁組(1の励磁の組合せ)が第2励磁組(他の励磁の組合せ)に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁組(励磁の組合せ)の配列を用いて、第1励磁組(1の励磁の組合せ)又は第2励磁組(他の励磁の組合せ)を構成する励磁波形を、励磁周期T毎に出力する励磁波形出力手段とを備えたことを特徴としている。
好ましい態様によれば、前記励磁波形出力手段が、第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K(所定の励磁回数から成る励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番が、段r−1の出力順番と異なるように常に分散させた配列を用いることが望ましい。
また、他の好ましい態様によれば、前記励磁波形出力手段が、第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K(所定の励磁回数から成る励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの前方から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの後方から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより分散させることが望ましい。
更に、他の好ましい態様によれば、前記励磁波形出力手段が、第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K(所定の励磁回数から成る励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、第1段目(r=1)では励磁列Kの略中央の順番から出力し、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより分散させるパターンを含むことが望ましい。
また、他の好ましい態様によれば、前記励磁波形出力手段が、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、乱数計算処理に基づいて決定することが望ましい。
また、本発明の第2の基本的な構成は、N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微小ステップにn分割し、更に、微小ステップを微細ステップにm分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、m分割カウンタの上位の桁に位置し微小ステップの歩進数を計数して出力するn分割カウンタと、n分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、N相ステッピングモータのモータ回転子を基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップの位置に位置決めするための励磁コイルの第1励磁組(1の励磁の組合せ)と次の基本ステップの位置に位置決めするための第2励磁組(次の励磁の組合せ)との少なくとも2つの励磁組(励磁の組合せ)を出力する励磁相組合せ出力手段と、N相ステッピングモータのモータ回転子を微小ステップの歩進数に対応した1の微小ステップの位置に位置決めするために2つの励磁組(励磁の組合せ)の励磁の時間を相互に漸増及び漸減することにより生成した1の時間の組合せと他の微小ステップの位置に位置決めするための他の時間の組合せとの少なくとも2つの時間の組合せを出力する時間組合せ出力手段と、微細ステップの歩進数に応じて2つの励磁組(励磁の組合せ)と1の時間とを組み合わせた1の励磁時間の組合せと、2つの励磁組(励磁の組合せ)と他の時間の組合せとを組み合わせた他の励磁時間の組合せとの励磁回数を相互に漸増及び漸減することにより2つの励磁時間の組合せの励磁回数割合を決定して出力する励磁回数割合出力手段と、励磁周期T毎に1の励磁時間の組合せ又は他の励磁時間の組合せを構成する励磁の出力を切り換えるための励磁切替指令を出力する励磁周期出力手段と、前記決定した励磁回数割合を維持しつつ1の励磁時間の組合せが他の励磁時間の組合せに対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁時間の組合せの配列を用いて、1の励磁時間の組合せ又は他の励磁時間の組合せを構成する励磁波形を、励磁周期T毎に出力する励磁波形出力手段とを備えたことを主要な構成としている。
第1及び第2の基本構成を備えた本発明によれば、特別な電子回路の追加を必要とせずに、従来の電子回路と論理回路を利用しつつ、N相ステッピングモータのステップ角を更に細分化した位置決めと超低速の駆動を実現でき、しかも回転駆動時やホールド時における耳障りな騒音の発生を低減させることができる。
また、ステッピングモータを定電流駆動するにあたり、励磁コイルの励磁時間を調節するチョッパ方式の定電流コントロール回路を用い、その定電流制御に用いる励磁周期と同期して、複数種類の励磁相が単調な周期で定常的に出現しないように分散させた配列を用いて励磁を行うことによって、簡単且つコンパクトな構成で、騒音の発生が少ないマイクロステップを実現することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
図1は、励磁時間を調節することにより、5相ステッピングモータ1に対する定電流のコントロールを実現する、チョッパ型の定電流コントロール回路14を備えたステッピングモータ駆動装置10の内部構成を示すブロック図である。なお、図1は、本発明に係るステッピングモータ駆動装置10をペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータ1に接続した状態を示している。同図に示す実施形態では、ペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータ1を接続してマイクロステップの駆動制御を行う実施形態を示しているが、本発明はペンタゴン結線方式のステッピングモータ、又は、5相のステッピングモータに限定するものではなく、スター結線方式のステッピングモータ、又は、3相のステッピングモータにも応用することが可能である。また、直動型のステッピングモータにも応用することができる。
図1に示すように、本発明に係るステッピングモータ駆動装置10は、上位のコンピュータ等の外部機器から5相ステッピングモータ1のCWP(Clock Wise Pulse)やCCWP(Counter Clock Wise Pulse)等の回動指令パルスを入力し、5相ステッピングモータ1の各励磁コイル1a〜1eを励磁するための励磁波形を生成する励磁波形決定手段12と、励磁波形決定手段12が生成した励磁波形に基づいて各励磁コイル1a〜1eを励磁させるための励磁指令を出力するパワー素子駆動回路13とを備えている。
また、ステッピングモータ駆動装置10は、励磁波形に基づいて各励磁コイル1a〜1eを励磁させるための励磁電流を制御するパワー素子TR1〜TR10と、励磁コイル1a〜1eが発した起電力をバイパスするダイオードD1〜D10と、励磁コイル1a〜1eを励磁する電力を供給する電源PSと、電源PSの電圧を平滑化するコンデンサC1と、定電流駆動を行うために励磁コイル1a〜1eに流れている電流を検出する電流検出抵抗15と、励磁コイル1a〜1eのインピーダンスに応じて励磁コイル1a〜1eの励磁の時間TPを調節する定電流コントロール回路14とを備えている。
ここで、上述の回動指令パルスCWPは、5相ステッピングモータ1を所定の位置まで正転(モータ回転子の出力軸側から見て時計回りの回転)させるための指令パルスであり、CCWPは所定の位置まで逆転(反時計回りの回転)させるための指令パルスである。
図1に示す励磁波形決定手段12は、5相ステッピングモータ1の回動指令パルスを入力し、その入力した回動指令パルスを用いて基本ステップの歩進数、及び微細ステップ(例えば基本ステップ角αを回数分割によりm分割した微細ステップ角毎の歩進位置を表す。以降、回数分割ステップと記載する。)の歩進数を計数して出力する電気角位置管理手段12aと、電気角位置管理手段12aが計数した基本ステップの歩進数に応じて、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を1の基本ステップの位置に位置決めするための第1励磁組と、他の基本ステップの位置に位置決めするための第2励磁組との組合せを出力する励磁相組合せ出力手段12bと、励磁周期T毎に第1励磁組又は第2励磁組を構成する励磁を切り換えるための励磁切替指令を出力する励磁周期出力手段12cとを備えている。
また、励磁波形決定手段12は、回数分割ステップの歩進数に応じて第1励磁組を励磁する回数を漸増又は漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数を漸減又は漸増することにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を決定して出力する励磁回数割合出力手段12dと、前記決定した励磁回数割合を維持しつつ、第1励磁組が第2励磁組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁組の配列を用いて、第1励磁組又は第2励磁組の励磁波形を励磁周期T毎に出力する励磁波形出力手段12eとを備えている。なお、励磁相組合せ出力手段12bと、励磁回数割合出力手段12dと、励磁波形出力手段12eとの機能を統合し、これらを一つの素子で構成することも可能であるが、本実施例では各機能の説明を容易にするために、各機能毎に構成を分けて記載している。
次に、5相ステッピングモータ1の基本ステップ角αを10分割する実施例について、図2及び図3を用いて説明する。
図2の(a)に示すように、ペンタゴン結線方式を採用した5相ステッピングモータ1の励磁コイル1a〜1eと、励磁相ABCDEabcdeの励磁電流の方向とを定義し、(b)に5相ステッピングモータ1の励磁相ABCDEabcdeと、トルクベクトルVA〜Veとの関係を定義する。
図2(a)に示すように、励磁コイル1aに流す電流の方向に応じて、励磁相A及び励磁相aを定義する。以下同様にして、励磁コイル1b〜1eに流す電流の方向に応じて、それぞれ励磁相BbCcDdEeを定義する。そして、各励磁相を励磁した際のトルクベクトルVA〜VE及びトルクベクトルVa〜Veの向きを、図2(b)に示すように定義する。図2(a)及び図2(b)に示すように、励磁コイル1aに流す電流は、励磁Aと励磁aとでは逆方向であり、トルクベクトルもVAとVaとで逆方向になる。
次に、図3に、モータ回転子を所定の基本ステップの位置に位置決めする励磁相の組み合わせ例を示す。
なお、表現を簡略化するために、5相の励磁コイル1a〜1eのうちの複数の励磁コイルに対して同時に励磁電流を流すことにより、多相励磁を行う際の励磁相の組合わせを励磁組と呼ぶ。例えば、励磁相A及び励磁相Bの2相を同時に励磁した状態を2相励磁と呼び、これを励磁組(AB)と表記する。更に、4相励磁を実現するために、励磁組(AB)及び励磁組(CD)を時間をずらして時系列的に励磁する場合を、励磁組(AB−CD)と表記することにする。
図3に示す実施例では、5相ステッピングモータ1のモータ回転子をステップ=0の基本ステップで停止させる際に、励磁相ABCDの4相を励磁する。ところが、単一の電源を用いてこの4相を同時に励磁することはできないので、励磁組(BC)及び励磁組(AD)を時間をずらして時系列的に励磁することによって、4相励磁を実現する。すなわち、モータ回転子をステップ=0の基本ステップで停止させる際には、励磁組(BC−AD)の励磁電流を生成して5相ステッピングモータ1に出力する。
また、図3に示すように、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を、ステップ=1の基本ステップで停止させる際には、励磁組(CD−BE)の励磁電流を生成して出力する。このように、ステップ=0からステップ=9までの励磁を切り換えることによって、各基本ステップにおける位置決めを行うことができる。
例えば、5相ステッピングモータの基本ステップ角αが0.72°の場合には、励磁相をABCD→BCDE→CDEa→DEab→Eabc→abcd→bcde→cdeA→deAB→eABCの順序で10回切り換えることにより、モータ回転子を7.2°回転させることができる。更に、この10ステップ(0〜9)の歩進を50回繰り返すと、モータ回転子が360°、すなわぢ丁度1回転することになる。
次に、図4に、モータ回転子を所定の基本ステップの位置に位置決めする励磁相の組み合わせの他の実施例を示す。
図4に示す実施例では、モータ回転子をステップ=0の基本ステップで停止させる際に、励磁組(AB−CD)を励磁する。また、モータ回転子をステップ=1の基本ステップで停止させる際には、励磁組(BC−DE)を励磁する。このように、ステップ=0からステップ=9までの励磁を切り換えることによって、各基本ステップにおける位置決めを行うことができる。
なお、図3及び図4に示す実施例では、励磁コイル1a〜1eの両端が、必ず正極(+)又は負極(−)のいずれかに接続されるように励磁している。このように、常に励磁コイル1a〜1eの端子が開放しないように励磁することによって、前ステップから次ステップに切り替えて歩進を行った際の電流のオーバーシュートを減少させ、ダンピング特性を向上させることが可能となり、モータ回転子に発生する振動の低減と騒音の低減とを図ることができる。
次に、図1に示した励磁波形決定手段12を構成する各ブロックの処理について、図5を用いて説明する。
図5に示す実施例では、電気角位置管理手段12aは、上位の桁から順に、5相ステッピングモータ1の回動指令パルスをm回入力する毎に基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタと、回動指令パルスを入力する毎に基本ステップ角αをm分割した回数分割ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタ(以降、回数分割ステップカウンタと記載する。)とを備えている。
図5に示す回数分割ステップカウンタは、回動指令パルスCWPを入力する毎に回数分割ステップの歩進数をカウントアップし、回動指令パルスCCWPを入力する毎に回数分割ステップの歩進数をカウントダウンして、その値を励磁回数割合出力手段12dに出力する。なお、回数分割ステップカウンタの下位に、回数分割ステップを更に細分割するためのカウンタを別途設けることも可能である。
基本ステップカウンタは、回数分割ステップカウンタの上位の桁に該当し、回数分割ステップカウンタの値が「9」から「0」に切り替わる際に一つカウントアップするように構成する。また回数分割ステップカウンタの値が、「0」から「9」に切り替わる際に一つカウントダウンするように構成する。基本ステップカウンタが計数する基本ステップの歩進数は、図3及び図4に示した基本ステップの位置(ステップ=0〜9)を表し、モータ回転子を所定のステップの位置に位置決めする励磁相の組み合わせを決定するためのカウンタである。
励磁相組合せ出力手段12bは、基本ステップカウンタから基本ステップの歩進数を入力すると、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を1の基本ステップの位置に位置決めするための第1励磁組と、他の基本ステップの位置に位置決めするための第2励磁組との、励磁相の組合せを出力する。5相のステッピングモータを駆動する場合には、第1励磁組及び第2励磁組の組合せの数量は、図3及び図4に示したように、5相ステッピングモータ1の相数Nの2倍の10種類存在する。
なお、図5に示す励磁相組合せ出力手段12bは、5相ステッピングモータ1を4相励磁する場合の励磁相の組合せを示しており、第1励磁組の4相を励磁する際には、2相の励磁組F1及び2相の励磁組F2を2回に分けて励磁するための励磁組(F1−F2)を出力する。また、第2励磁組の4相を励磁する際には、2相の励磁組F3及び2相の励磁組F4を2回に分けて励磁するための励磁組(F3−F4)を出力する。
例えば、図3に示した励磁を行う場合であって、基本ステップカウンタが基本ステップの歩進数として「0」を出力している場合(ステップ=0の場合)には、基本ステップの歩進数が「0」と「1」との間をm分割したマイクロステップを実現すべく、第1励磁組として励磁組(AD−BC)を出力する。また、第2励磁組として励磁組(BE−CD)を出力する。基本ステップカウンタが基本ステップの歩進数として「1」を出力している場合(ステップ=1の場合)には、基本ステップの歩進数が「1」と「2」との間をm分割したマイクロステップを実現するべく、第1励磁組として励磁組(BE−CD)を出力し、第2励磁組として励磁組(Ca−DE)を出力する。以降同様に、基本ステップの歩進数に応じて第1励磁組と第2励磁組を出力する。
励磁相組合せ出力手段12bの機能を実現する素子として、ROMなどのメモリを用いることができる。その場合には、電気角位置管理手段12aは、メモリのアドレスカウンタとして機能するように構成する。
励磁回数割合出力手段12dは、回数分割ステップの歩進数に応じて、第1励磁組を励磁する回数を漸増又は漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数を漸減又は漸増することにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を決定して出力する機能を備えている。例えば、回数分割ステップの分割数をm=10に設定している場合には、第1励磁組を励磁する回数を10回〜1回まで漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数を0回〜9回まで漸増することにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を10:0〜1:9まで変更して出力する機能を備えている。なお、図5に示す実施例では、4相励磁を実現するために2相励磁を2回出力しているので、励磁回数は2回×m分割=20回(0P〜19P)となっている。
図5に示す実施例によれば、回数分割ステップカウンタが回数分割ステップの歩進数として「0」を出力している場合には、第1励磁組のF1、F2の繰り返しを励磁相0P〜19Pに代入して出力する。これにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を10:0に設定して、基本ステップの歩進数「0」の位置にモータ回転子を位置決めすることができる。
回数分割ステップカウンタが回数分割ステップの歩進数として「1」を出力している場合には、第2励磁組のF3、F4を励磁相0P、1Pに代入して出力し、第1励磁組のF1、F2の繰り返しを2P〜19Pに代入して出力する。これにより、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を9:1に設定して、基本ステップの歩進数「0」と「1」との間を10分割した位置にモータ回転子を位置決めすることができる。
以下同様に、回数分割ステップの歩進数に応じて第1励磁組を励磁する回数を漸増又は漸減するとともに、第2励磁組を励磁する回数を漸減又は漸増することにより励磁相0P〜19Pを定め、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を決定して出力する。
励磁周期出力手段12cは、励磁回数割合出力手段12dが決定した励磁相0P〜19Pを、励磁周期T毎に切り換えて出力するためのカウンタである。この励磁周期Tは、定電流制御を行う際のPWMのタイミングと同期させるために、定電流コントロール回路14にも出力している。
なお、励磁回数割合出力手段12dが出力する励磁相0P〜19Pを、励磁周期T毎に繰り返して出力することにより、基本ステップ角αをm分割したマイクロステップを実現することが可能である。しかし、回数分割ステップの歩進数が、「1」〜「9」の間では、第1励磁組(F1−F2)に対して、第2励磁組(F3−F4)が、励磁周期T×分割数m×励磁回数2毎に出現することになる。例えば、励磁周期T=20μs、分割数m=10とした場合には、T×m×2=400μsとなり、2.5kHzの騒音を発することになる。
そこで本発明では、第1励磁組と第2励磁組との励磁回数割合を維持しつつ、第1励磁組が第2励磁組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次励磁するように構成する。例えば、第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K(所定の励磁回数から成る励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番が、段r−1の出力順番と異なるように、第1励磁組と第2励磁組とを常に分散させた配列について、図6を用いて説明する。
図6は、回数分割ステップの歩進数を「1」とした場合において、励磁周期Tと励磁組の出力順序との関係を、0P〜19Pを用いて一般的に表した励磁波形出力手段の配列表である。
図6に示す実施例では、励磁相0P〜19Pを各段rにおいて単調に繰り返して出力するのではなく、励磁周期=0〜19の間(段r=0)では0P〜19Pまでを順次出力し、励磁周期=20〜39の間(段r=1)では、2P〜19P及び0P、1Pを順次出力し、励磁周期=40〜59の間(段r=2)では、18P、19P、及び、0P〜17Pまでを連続して出力するというように、励磁周期=0〜359までを、段数R=18段で構成している。なお、図6に示す実施例では、励磁周期T=20μs、励磁列K=20回励磁としている。
図6に示すように、第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K(所定の励磁回数から成る励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの前方から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの後方から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより、第1励磁組に対する第2励磁組の出現を分散させることができる。
例えば、段r=0段と段r=1段との間では、励磁組(0P−1P)の励磁間隔は38回×20μs=760μsとなり、周波数に換算すると1.31kHzとなる。また、段r=1段と段r=2段との間では、励磁組(0P−1P)の励磁間隔は4回×20μs=80μsとなり、周波数に換算すると12.5kHzとなる。以下同様に、第1励磁組に対する第2励磁組の出現間隔が分散した状態となるので、定常音の発生を防止することができる。したがって、騒音が少なく分解能が高いステッピングモータ駆動装置を提供することができる。
図6に示した励磁波形出力手段12eの機能を実現する素子として、ROMなどのメモリを用いることができる。また、励磁相組合せ出力手段12bと励磁回数割合出力手段12dとを併せて一体のメモリで構成してもよい。
図7に、回数分割ステップの歩進数を「1」とした場合における、励磁周期Tと励磁組の出力順序との関係を示す配列表を示す。
図7は、図6に示した0P及び1Pに、励磁組(BE−CD)を代入し、2P〜19Pに励磁組(AD−BC)を代入して、励磁周期Tと励磁組の出力順序との関係を表した図表である。図7に示すように、段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組(AD−BC)に対する第2励磁組(BE−CD)の出力順番を、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの前方から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの後方から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより、所定の励磁回数割合(9:1)を維持しつつ、第1励磁組が第2励磁組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて出力することが可能となる。
次に、定電流駆動コントロール回路14の動作と、励磁波形出力手段12eが出力する励磁波形について図8を用いて説明する。
図8は、励磁周期Tと、励磁組の出力順序と、励磁出力との関係を時系列的に表したタイミングチャートであり、定電流駆動コントロール回路14の動作と、励磁波形出力手段12eが出力する励磁出力について説明するチャートである。
図7に示したように、回数分割ステップの歩進数が「1」の場合には、励磁周期=0から順に励磁周期T毎に励磁組(BE)、(CD)、(AD)、(BC)、(AD)、(BC)…を出力する。5相ステッピングモータ1の励磁コイル1a〜1eのインピーダンスは、モータ回転子の回転速度に応じて上昇するので、常に一定の励磁時間で励磁コイル1a〜1eを励磁していると、高回転時のトルクが減少してしまう。したがって、励磁波形出力手段12eは、モータ回転子が停止している場合(ホールド時)や低速で回転している場合には、励磁コイル1a〜1eの励磁時間を短くし、モータ回転子が高速で回転している場合は励磁時間を長くして、励磁コイル1a〜1eに印加する電流を一定に制御する必要がある。
図8に示すように、励磁波形出力手段12eは、励磁周期Tを入力する毎に、所定の励磁組(BE)、(CD)、(AD)、(BC)、(AD)、BC)…を出力しなければならない。このときに、励磁周期Tの情報は、定電流コントロール回路14にも伝達され、同期した鋸状の三角波を生成する。そして、一定の励磁電流を得るために、基準電流値と電流検出抵抗15(図1参照。)の両端に発生している検出電流との誤差信号を生成し、前記三角波のレベルと比較する。そして、誤差信号≧三角波の関係が成立する間のみ、ゲートを開いて励磁コイルを励磁する。
このように構成すると、図1に示した電流検出抵抗15を流れる電流が減少した場合には、誤差信号のレベルが上昇するので、励磁出力の時間が長くなる。すると、励磁コイル1a〜1eに流れる電流は、励磁コイル1a〜1eのインダクタンスによって平滑されて、結果的に励磁コイル1a〜1eに流れる電流を増加させた制御を行うことができる。また、電流検出抵抗15を流れる電流が増加した場合には、誤差信号のレベルが下降するので、励磁出力の時間が短くなり、結果的に励磁コイル1a〜1eに流れる電流を減少させた制御を行うことができる。
このように、定電流コントロール回路をチョッパ回路を用いて実現することにより、定電流コントロールと回数分割によるマイクロステップの励磁出力の両方を、特別な電子回路の新たな追加を必要とせずに、簡単な回路構成で同時に行うことができる。また、励磁コイル1a〜1eを励磁しない状態においても、励磁コイル1a〜1eの端子をハイインピーダンス状態にならないように、常に正極又は負極のいずれかに接続しておく。こうすることにより、励磁出力を切り換えた際の電流のオーバーシュートを減少させ、ダンピング特性を向上させることが可能となり、振動の低減と騒音の低減を図ることができる。
このようにPWM定電流コントロールと励磁組の切り替えとを同期して行うチョッパ方式を用いることによって、特別な電子回路の新たな追加を必要とせずに、従来の電子回路構成を利用した小型のステッピングモータ駆動装置を用いて、騒音が少なく高分解能なマイクロステップを実現することができ、ステッピングモータ駆動装置の小型化要求にも応えることができる。
次に、マイクロステップの高分解能化と騒音の発生との関係について説明する。
図5の励磁回数割合出力手段12dに示されるように、マイクロステップの高分解能化を図るために回数分割数を多くすると、所定の励磁割合を合成するための励磁回数(0P〜19P)を増加させなければならない。その結果、励磁回数の合成周期が伸びていくために、特にモータ停止時(ホールド時)に耳障りな可聴音の騒音を発生するといった不具合を生ずる。ステッピングモータが比較的大きいものである場合には、励磁コイル1a〜1eのインダクタンスやロータイナーシャが大きいために、励磁電流のリツプルによる振幅が小さくなり、可聴音も小さくさほど気にならないが、近年増加傾向の小型で励磁コイル1a〜1eのインダクタンスが小さいステッピングモータでは、ステッピングモータが発する可聴音が耳障りとなるために、問題視されつつある。
一方、モータ回転子が振動することにより音を発した場合であっても、音の周波数や定常性によって、人が聞き取った際に感じる音量や、人に与える不快感は異なったものとなる。
例えば、人が感じる音の大きさ(ラウドネス)は、人間が感じる主観的な音の大小であるとともに、可聴音周波数範囲にわたって一様ではない。つまり、同じ音圧レベルの音が耳に入った場合であっても、その音の周波数や定常性によって大きさの感覚が異なる。例えば、音の大きさの感じ方に影響する第1の現象として、定常的な音の場合には、2KHzから4KHzが感度が良く、低音で感度が悪くなるという耳の周波数特性の影響が存在する。
また、第2の現象として、ある周波数の音が聞こえているときに、もう一つの周波数の音を聞くと、一方の音にもう一方がかき消されて聞こえなくなるというスペクトラルマスキングの現象が発生する。
また、第3の現象として、ある音が鳴りやんだ直後に別の音を短く鳴らした場合、後の音が前の音にかき消されて聞こえなくなるというテンポラルマスキングの現象が発生する。
そこで、本発明では、励磁周期Tとして可聴音外となる短い時間を設定するとともに、回数分割を行った際の励磁回数割合を維持しつつ、第1励磁組が第2励磁組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁組の配列を用いて、第1励磁組又は第2励磁組の励磁波形を励磁周期T毎に出力することにした。これにより、発生する音の周波数を常に変動させて、テンポラルマスキングの効果を用い、不快な可聴音が耳に残らないようにしている。
次に、励磁波形出力手段12eが出力する励磁波形の他の実施例について説明する。
図9〜図12は、励磁波形出力手段12eが、回数分割ステップの歩進数に応じた励磁回数割合を各段rにおいて維持しつつ、出力する第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K=80回励磁×段数R=78に分けた配列表を示している。更に、この配列表では、段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの前方から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの後方から前方に移動させる前方移動パターンとを交互に出力することにより、分散させた配列の実施例を示している。
図9〜図12では、励磁回数K=80回励磁の実施例を示しているので、列方向を圧縮して表現するために、第1励磁組又は第2励磁組を構成している2つの励磁組を出力する順序(例えば「0」及び「1」、「2」及び「3」…)を一つの列で表している。
図9〜図12では、空白の欄が第1励磁組の励磁波形を出力するタイミングを示しており、「0」を記入した欄が第2励磁組の励磁波形を出力するタイミングを示している。また、図9は、回数分割ステップの歩進数を「1」とした場合の励磁組の出力順序を示し、図10は、回数分割ステップの歩進数を「2」とした場合の励磁組の出力順序を示し、図11は、回数分割ステップの歩進数を「3」とした場合の励磁組の出力順序を示し、図12は、回数分割ステップの歩進数を「9」とした場合の励磁組の出力順序を示している。
図9〜図12に示すように、第1励磁組が第2励磁組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁組の配列を用いて、第1励磁組又は第2励磁組を構成する励磁波形を、励磁周期T毎に出力することによって、可聴音領域における定常音の発生を防止して、耳障りな騒音を減少させることができる。
図13は、励磁波形出力手段12eが、回数分割ステップの歩進数に応じた励磁回数割合を維持しつつ、第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K=40回励磁×段数R=36に分けた配列を用いるとともに、段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、第1段目(r=1)では励磁列Kの略中央の順番から出力し、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより分散させるパターンを含む実施例を示す図表である。
図13は、回数分割ステップの歩進数が「1」、励磁回数K=40回励磁の場合の励磁組の出力順序を示す実施例であり、空白の欄が第1励磁組の励磁波形を出力するタイミングを示し、「0P」及び「1P」を記入した欄が第2励磁組の励磁波形を出力するタイミングを示している。
図13に示すように、段数R中の一つの段rにおける第2励磁組の出力順番(0P−1P)を、第1段目(段r=1)では励磁列Kの略中央の順番から出力し、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより、可聴音領域における定常音の発生を防止して、耳障りな騒音を減少させることができる。図13に示す実施例では、励磁周期T=13μsとし、励磁回数K=40回励磁、励磁の段数R=36段としているために、全励磁周期(T×K×R)=18.7msとなり、周波数で表すと53.4Hzとなる。この53.4Hzの音は、人間の可聴音領域とされている20Hz〜15kHzの範囲内ではあるが、ラウドネス曲線では感度の低い低音領域であるために、騒音として聞こえにくくなっている。なお、図13に示す実施例では、励磁の段数R=36段としているが、更に励磁の段数Rを増やすことによって、全励磁周期を延ばすことができる。
図14は、励磁波形出力手段12eが、回数分割ステップの歩進数に応じた励磁回数割合を維持しつつ、第1励磁組及び第2励磁組の配列として、励磁列K=40回励磁×段数R=30に分けた配列を用いるとともに、段数R中の一つの段rにおける、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を乱数計算処理に基づいて決定することにより、分散させた実施例を示す配列表の図表である。
図14は、回数分割ステップの歩進数が「1」、励磁回数K=40回励磁の場合の励磁組の出力順序を示す実施例であり、空白の欄が第1励磁組の励磁波形を出力するタイミングを示し、「0P」及び「1P」を記入した欄が第2励磁組の励磁波形を出力するタイミングを示している。
図14に示すように、段rにおける第2励磁組の出力順番(0P−1P)を乱数計算処理に基づいて決定することにより、定常音の発生を防止して耳障りな騒音を減少させることができる。
なお、図14に示す実施例では、励磁周期T=13μsとし、励磁回数K=40回励磁、励磁の段数R=30段としているために、全励磁周期(T×K×R)=15.6msとなり、周波数で表すと64.1Hzとなっている。この周波数に起因する騒音を調査するために、励磁の段数Rを1段〜120段まで変化させて、全励磁周期と騒音の発生状況との関係について調査した結果を図15に示す。
図15は、第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を乱数計算処理に基づいて分散させた際に、励磁の段数Rと、人が感じる騒音の内容との関係を観測した結果を示す図表である。なお、乱数のパターンとして、パターン1及びパターン2の、2種類の乱数パターンの出力順序を用いて観測したが、乱数のパターンの違いによる騒音の相違は、励磁段数が5段程度の騒音の大きな場合において、音質の違いとして現れたのみであった。また、励磁の段数R=1段とした場合のデータは、同一の励磁パターンを毎段繰り返して出力しているために、乱数の効果は無く、比較のために記載したデータである。
図15に示すように、励磁の段数Rを増加させるに伴って、耳障りな高音の騒音が減少し、励磁の段数R≧10段の場合に騒音を減少させる効果がはっきりする。更に、励磁の段数R≧20段の場合に、特に騒音を減少させる顕著な効果が現れる。
また、図15に示すように、励磁の段数RをR≧100とすることにより、全励磁周期が可聴音領域下限の20Hz以下になるように50ms以上に設定した場合であっても、騒音として聞こえる低音を減少させる効果は乏しいことが判明した。したがって、励磁の段数Rは、R≧20段程であれば高音の騒音を減少させて、耳障りな騒音を減少させる効果が確認できた。
一方、励磁の段数Rを、20段から徐々に減少させてゆくと、全励磁周期が100Hzを超えるように10ms以下に設定したあたりから、段数Rの減少に伴って、耳障りな高音成分の騒音が顕著に増大する。すなわち、励磁の段数Rを10段以上にすることにより、乱数により生成した励磁の配列を用いた騒音減少の効果が現れる。更に好ましくは、励磁の段数Rを20段以上にすることによって、高音の騒音を顕著に減少させることができる。
次に、定電流コントロール回路の他の実施例について、図16及び図17を用いて説明する。
図16は、励磁電圧を調節することにより5相ステッピングモータ1に対する定電流のコントロールを実現する、駆動電圧変換型の定電流コントロール回路34を備えたステッピングモータ駆動装置30の内部構成を示すブロック図である。図16は、本発明に係るステッピングモータ駆動装置30にペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータ1を接続した状態を示している。また、図17は、電気角位置管理手段32a、励磁相組合せ出力手段32b、励磁周期出力手段32c、及び励磁回数割合出力手段32dの機能を示す図である。
なお、図16に示す実施形態では、ペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータ1を接続してマイクロステップの駆動制御を行う実施形態を示しているが、本発明はペンタゴン結線方式のステッピングモータ、又は、5相のステッピングモータに限定するものではなく、スター結線方式のステッピングモータ、又は、3相、2相のステッピングモータにも応用することが可能である。また、直動型のステッピングモータにも応用することができる。
図16に示すように、本発明に係るステッピングモータ駆動装置30は、上位のコンピュータ等の外部機器から5相ステッピングモータ1のCWP(Clock Wise Pulse)やCCWP(Counter Clock Wise Pulse)等の回動指令パルスを入力し、5相ステッピングモータ1の各励磁コイル1a〜1eを励磁するための励磁波形を生成する励磁波形決定手段32と、励磁波形決定手段32が生成した励磁波形に基づいて5相ステッピングモータ1の各励磁コイル1a〜1eを励磁させるための励磁指令を出力するパワー素子駆動回路33と、励磁波形に基づいて5相ステッピングモータ1の各励磁コイル1a〜1eを励磁させるための励磁電流を制御するパワー素子TR1〜TR10と、励磁コイル1a〜1eが発した起電力をバイパスするダイオードD1〜D10と、励磁コイル1a〜1eのインピーダンスに応じて供給する電流を制御するモータ電流制御回路36とを備えている。
ここで、上述の回動指令パルスCWPは、5相ステッピングモータ1を所定の位置まで正転させるための指令パルスであり、CCWPは所定の位置まで逆転させるための指令パルスである。また、励磁波形決定手段32は、5相ステッピングモータ1の駆動制御に必要な第1励磁組と第2励磁組の励磁波形を、パワー素子駆動回路33に対して出力している。
(モータ電流制御回路36)
モータ電流制御回路36は、5相ステッピングモータ1の励磁コイル1a〜1eを励磁する電力を供給する電源PSと、電源PSの電圧を平滑化するコンデンサC1と、定電流駆動を行うために、励磁コイル1a〜1eに流れている電流を検出する電流検出抵抗35と、短時間に電圧の供給及び遮断を繰り返すPWM駆動を行うことによって励磁コイル1a〜1eに供給する電圧を調節するトランジスタTR11とを備えている。
また、モータ電流制御回路36は、電流検出抵抗35の両端に発生した電圧に応じてトランジスタTR11をオン、オフ制御することによって、励磁コイル1a〜1eのインピーダンス変化に依存せずに所定の電流を供給する制御を行う定電流コントロール回路34と、励磁コイル1a〜1eが発する起電力をバイパスするダイオードD11と、PWMにより生じた間欠的な電圧を入力して平滑化したモータ駆動電圧を生成するチョークコイルL1及びコンデンサC2とを備えている。
定電流コントロール回路34は、励磁コイル1a〜1eに供給する電流を検出し、その検出電流と基準電流との差を誤差信号として生成し、図8に示したように、鋸状の三角波のレベルと比較する。そして、誤差信号≧三角波の関係が成立する間のみ、トランジスタTR11をオンにして励磁コイル1a〜1eに供給する電圧を調節する。トランジスタTR11のオン、オフにより脈流となった電圧は、チョークコイルL1及びコンデンサC2により平滑化されて、パワー素子TR1〜TR10を介して励磁コイル1a〜1eに供給される。
このようにモータ電流制御回路36を構成することによって、電流検出抵抗35を流れる電流が減少した場合には、誤差信号のレベルが上昇するので、トランジスタTR11のオン時間が長くなる。すると、トランジスタTR11を通過した電圧は、チョークコイルL1及びコンデンサC2により平滑化されて高い電圧となって励磁コイル1a〜1eに印加されるので、励磁電圧を増加させる制御を行うことができる。また、電流検出抵抗35を流れる電流が増加した場合には、誤差信号のレベルが下降するので、トランジスタTR11のオン時間が短くなり、励磁コイル1a〜1eに印加する電圧を減少させる制御を行うことができる。
このように、モータ電流制御回路36を用いて5相ステッピングモータ1の励磁電圧を適宜調節することによって、励磁波形決定手段32が出力する第1励磁組又は第2励磁組の励磁周期Tとは無関係に励磁電流を安定化させ、5相ステッピングモータ1を定電流駆動することができる。
(励磁波形決定手段32)
図16及び図17に示すように、励磁波形決定手段32は、5相ステッピングモータ1の回動指令パルスを入力し、その入力した回動指令パルスを用いて基本ステップの歩進数、微小ステップ(例えば、基本ステップ角αを時間分割によりn分割した微小ステップ角毎の歩進位置を表す。以降、時間分割ステップと記載する。)の歩進数、及び回数分割ステップの歩進数を計数して出力する電気角位置管理手段32aと、電気角位置管理手段32aが計数した基本ステップの歩進数に応じて、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を1の基本ステップの位置に位置決めするための第1励磁組と、他の基本ステップの位置に位置決めするための第2励磁組との組合せを出力する励磁相組合せ出力手段32bとを備えている。
また、励磁波形決定手段32は、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を、時間分割ステップの歩進数に対応した1の時間分割ステップの位置に位置決めするために、第1励磁組及び第2励磁組の励磁の時間を相互に漸増及び漸減することにより生成した1の時間の組合せ(以降、第1時間組と記載する。図17に示すTP1及びTP2が第1時間組に該当する。)と、他の時間分割ステップの位置に位置決めするための、第1励磁組及び第2励磁組を励磁する他の時間の組合せ(以降、第2時間組と記載する。図17に示すTP3及びTP4が第2時間組に該当する。)との、少なくとも2つの時間の組合せを出力する時間組合せ出力手段32fを備えている。
また、励磁波形決定手段32は、第1励磁組及び第2励磁組と第1時間組とを組み合わせた1の励磁時間の組合せ(以降、第1励磁時間組と記載する。)と、第1励磁組及び第2励磁組と第2時間組とを組み合わせた他の励磁時間の組合せ(以降、第2励磁時間組と記載する。)とを生成する励磁回数割合出力手段32dを備えている。励磁回数割合出力手段32dは、更に、回数分割ステップの歩進数に応じて、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数を、相互に漸増及び漸減することにより、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数割合を決定して出力する機能を備えている。このように、励磁回数割合出力手段32dが、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数割合を変更することによって、時間分割ステップ間を、更に回数分割を用いて細分割することができる。
また、励磁波形決定手段32は、励磁周期T毎に第1励磁時間組及び第2励磁時間組を構成する励磁の出力を切り換えるための励磁切替指令を出力する励磁周期出力手段32cと、励磁回数割合出力手段32dが決定した励磁回数割合を維持しつつ、第1励磁時間組が第2励磁時間組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁時間組の配列を用いて、第1励磁時間組又は第2励磁時間組の励磁波形を、励磁周期T毎に出力する励磁波形出力手段32eとを備えている。なお、励磁相組合せ出力手段32bと、励磁回数割合出力手段32dと、励磁波形出力手段32eと、時間組合せ出力手段32fとを統合し、これらを一つの素子で構成することも可能であるが、本実施例では各機能の説明を容易にするために、各機能毎に構成を分けて記載している。
次に、図16に示した励磁波形決定手段32を構成する各ブロックの処理について、図17を用いて説明する。
図17に示す実施例では、電気角位置管理手段32aは、下位の桁から順に、5相ステッピングモータ1の回動指令パルスが入力されると回数分割ステップの歩進数を計数して出力する回数分割ステップカウンタと、当該回数分割ステップカウンタの上位の桁に位置し時間分割ステップの歩進数を計数して出力するn分割カウンタ(以降、時間分割ステップカウンタと記載する。)と、当該時間分割ステップカウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタと備えている。
図17に示す回数分割ステップカウンタは、回動指令パルスCWPを入力する毎に回数分割ステップの歩進数をカウントアップし、回動指令パルスCCWPを入力する毎に回数分割ステップの歩進数をカウントダウンして、その値を励磁回数割合出力手段32dに出力する。
時間分割ステップカウンタは、回動指令パルスCWPを入力することにより、回数分割ステップカウンタの値が例えば「39」から「0」に切り替わる際に、時間分割ステップの歩進数をカウントアップして、その値を時間組合せ出力手段32fに出力するように構成する。また、回動指令パルスCCWPを入力することにより、回数分割ステップカウンタの値が例えば「39」から「0」に切り替わる際に、時間分割ステップの歩進数をカウントダウンして、その値を時間組合せ出力手段32fに出力する。
基本ステップカウンタは、時間分割ステップカウンタの値が「99」から「0」に切り替わる際に一つカウントアップして、その値を励磁相組合せ出力手段32bに出力するように構成する。また時間分割ステップカウンタの値が、「0」から「99」に切り替わる際に一つカウントダウンして、その値を励磁相組合せ出力手段32bに出力するように構成する。基本ステップカウンタが計数する基本ステップの歩進数は、図3及び図4に示した基本ステップの位置(ステップ=0〜9)を表し、モータ回転子を所定の基本ステップの位置に位置決めする励磁相の組み合わせを決定するためのカウンタである。
励磁相組合せ出力手段32bは、基本ステップカウンタから基本ステップの歩進数を入力すると、5相ステッピングモータ1のモータ回転子を1の基本ステップの位置に位置決めするための第1励磁組と、モータ回転子を他の基本ステップの位置に位置決めするための第2励磁組との、励磁相の組合せを出力する。励磁相組合せ出力手段32bの機能は、図5に示した励磁相組合せ出力手段12bの機能と同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
励磁周期出力手段32cは、励磁回数割合出力手段32dが決定した第1励磁時間組及び第2励磁時間組を構成する励磁相0P〜159Pを、励磁周期T毎に切り換えて出力するためのカウンタである。
時間組合せ出力手段32fは、時間分割ステップの歩進数に応じて、第1励磁組及び第2励磁組の励磁の時間を相互に漸増及び漸減することにより、TP1及びTP2から構成される第1時間組を生成して出力する。この第1時間組を用いて第1励磁組及び第2励磁組を励磁することによって、モータ回転子を1の時間分割ステップの位置に位置決めすることができる。
更に、時間組合せ出力手段32fは、モータ回転子を他の時間分割ステップの位置に位置決めするための、TP3及びTP4から構成される第2時間組を生成して出力する。この1の時間分割ステップに位置決めするための第1時間組と、他の時間分割ステップに位置決めするための第2時間組との、2つの時間組を用いることによって、時間分割ステップ間を更にm分割する回数分割を行うことができる。
この時間分割ステップの歩進数と、第1時間組及び第2時間組との関係について、図18を用いて説明する。
図18は、時間分割の分割数を100分割に設定した場合の、時間分割ステップの歩進数と、励磁の時間TP1〜TP4との関係を表した図表である。図18に示すように、時間分割による分割数をn=100分割に設定している場合には、時間組合せ出力手段32fは、1の時間分割ステップの位置に位置決めするための第1励磁組(F1−F2)の励磁の時間TP1を20μs〜0.2μsまで0.2μs毎に漸減するとともに、第2励磁組(F3−F4)の励磁の時間TP2を0μs〜19.8μsまで0.2μs毎に漸増して出力する機能を備えている。
また、これと同時に、時間組合せ出力手段32fは、他の時間分割ステップの位置に位置決めするための第1励磁組(F1−F2)の励磁の時間TP3を19.8μs〜0μsまで0.2μs毎に漸減するとともに、第2励磁組(F3−F4)の励磁の時間TP4を0.2μs〜20μsまで0.2μs毎に漸増して出力する機能を備えている。図18に示した時間組合せ出力手段32fの機能を実現する素子として、ROMなどのメモリを用いることができる。
また、図17に示すように、励磁回数割合出力手段32dは、先ず、第1励磁組(F1−F2)及び第2励磁組(F3−F4)と第1時間組(TP1−TP2)とを組み合わせた第1励磁時間組(F1−TP1,F2−TP1,F3−TP2,F4−TP2)とを生成する。同様に、第1励磁組(F1−F2)及び第2励磁組(F3−F4)と第2時間組(TP3−TP4)とを組み合わせた第2励磁時間組(F1−TP3,F2−TP3,F3−TP4,F4−TP4)とを生成する。
更に、励磁回数割合出力手段32dは、回数分割ステップの歩進数に応じて、第1励磁時間組(F1−TP1,F2−TP1,F3−TP2,F4−TP2)と、第2励磁時間組(F1−TP3,F2−TP3,F3−TP4,F4−TP4)との励磁回数割合を生成して出力する。
例えば、回数分割ステップの歩進数が0の場合には、モータ回転子は1の時間分割ステップの位置に位置決めするので、第1励磁時間組による励磁を100%、第2励磁時間組による励磁を0%とする。この場合には、励磁回数割合出力手段32dは、第1励磁時間組のみの繰り返しを出力する。具体的には、回数分割ステップの歩進数が0の場合には、励磁回数割合出力手段32dは、励磁組0P=F1−TP1,1P=F2−TP1,2P=F3−TP2,3P=F4−TP2、4P=F1−TP1,5P=F2−TP1,6P=F3−TP2,7P=F4−TP2…を繰り返し励磁組159Pまで出力する。ここで以降の説明を簡略化するために、4つの励磁組0P〜3Pを励磁時間組0Qと表し、励磁組4P〜7Pを励磁時間組1Qと表し、以降同様に、励磁組156P〜159Pまでを励磁時間組39Qまで用いて表すことにする。
回数分割ステップの歩進数が1の場合には、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数割合を39:1に設定する必要がある。したがって、励磁回数割合出力手段32dは、励磁時間組0Qとして第2励磁時間組(0P=F1−TP3,1P=F2−TP3,2P=F3−TP4,3P=F4−TP4)を代入して出力し、以降励磁時間組1Q〜30Qとしてそれぞれに第1励磁時間組(F1−TP1,F2−TP1,F3−TP2,F4−TP2)を代入して出力する。
これにより、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数割合を39:1に設定して、時間分割ステップの歩進数「0」と「1」との間を40分割した位置にモータ回転子を位置決めすることができる。
回数分割ステップの歩進数が2の場合には、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数割合を38:2に設定して出力する。以降同様に、回数分割ステップの歩進数に応じて、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数を、相互に漸増及び漸減することにより、第1励磁時間組と第2励磁時間組の励磁回数割合を決定して出力する。図17に示した励磁回数割合出力手段32dの機能を実現する素子として、ROMなどのメモリを用いることができる。また、励磁相組合せ出力手段32bと、時間組合せ出力手段32fと、励磁回数割合出力手段32dとを一体のメモリで構成してもよい。
次に、図16に示した励磁波形出力手段32eの機能について、図19を用いて説明する。
図19は、回数分割ステップの歩進数を「1」とした場合において、励磁周期Tと励磁時間組の出力順序との関係を、励磁回数Kを用いて一般的に表した励磁波形出力手段32eの配列表である。
図19では、励磁回数K=4(励磁組の数)×40回(励磁時間組の数)=160回励磁を行う実施例を示しているので、列方向を圧縮して表現するために、第1励磁時間組又は第2励磁時間組を構成している4つの励磁時間組を出力する順序(例えば0P〜3P…156P〜159P)を1/4の数量の列(0Q…39Q)として表している。
図19では、空白の欄が第1励磁時間組の励磁波形を出力するタイミングを示しており、「0」を記入した欄が第2励磁時間組の励磁波形を出力するタイミングを示している。また、図19は、回数分割ステップの歩進数を「1」とした場合の励磁組の出力順序を示しているので、各段rにおける第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数割合は39:1で一定となっている。
図19に示すように、励磁波形出力手段32eは、回数分割ステップの歩進数に応じた励磁回数割合(39:1)を各段rにおいて維持しつつ、出力する第1励磁時間組及び第2励磁時間組の配列として、励磁列K=160回励磁×段数R=78に分けた配列表を示している。更に、この配列表では、段数R中の一つの段rにおける、第1励磁時間組に対する第2励磁時間組の出力順番を、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの前方から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの後方から前方に移動させる前方移動パターンとを交互に出力することにより、分散させた配列の実施例を示している。
図19に示すように、第1励磁時間組が第2励磁時間組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁組の配列を用いて、第1励磁時間組又は第2励磁時間組を構成する励磁波形を、励磁周期T毎に出力することによって、可聴音領域における定常音の発生を防止して、耳障りな騒音を減少させることができる。
図19に示した励磁波形出力手段32eの機能を実現する素子として、ROMなどのメモリを用いることができる。また、励磁相組合せ出力手段32bと励磁回数割合出力手段32dと、時間組合せ出力手段32fとを一体のメモリで構成してもよい。
本発明では、第1励磁時間組と第2励磁時間組との励磁回数割合を維持しつつ、第1励磁時間組が第2励磁時間組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次励磁するように構成しており、例えば、図10〜図14に示した配列表と同様の配列表を用いて、励磁波形を出力することができる。
次に、時間分割ステップの歩進数と第1励磁時間組の励磁の時間TP1及びTP2、第2励磁時間組の励磁の時間TP3及びTP4との関係について、図20を用いて説明する。
図20は、回数分割ステップの歩進数が「1」、励磁の段数r=1の場合における、時間分割ステップの歩進数と励磁組F1〜F4の励磁波形との関係を示すタイミングチャートである。
図20では、時間分割ステップが「0」、「1」、「99」の場合における励磁波形を表している。時間分割の歩進数が「0」の場合には、図18より第1励磁時間組の励磁の時間は、TP1=20μs、TP2=0μs、第2励磁時間組の励磁の時間は、TP3=19.8μs、TP4=0.2μsである。したがって、回数分割ステップの歩進数が「1」で励磁の段数r=1の場合には、図19より第1励磁時間組(1Q〜39Q)を励磁の時間TP1=20μs及びTP2=0μsで励磁し、第2励磁時間組(0Q)を励磁の時間TP3=19.8μs及びTP4=0.2μsで励磁することになる。
また、時間分割ステップの歩進数が「1」の場合には、図18より第1励磁時間組(1Q〜39Q)を励磁の時間TP1=19.8μs及びTP2=0.2μsで励磁し、第2励磁時間組(0Q)を励磁の時間TP3=19.6μs及び0.4μsで励磁する。また、時間分割ステップの歩進数が「99」の場合には、図18より第1励磁時間組(1Q〜39Q)を励磁の時間TP1=0.2μs及びTP2=19.8μsで励磁し、第2励磁時間組(0Q)を励磁の時間TP3=0μs及びTP4=20μsで励磁することになる。
以上のようにして、時間分割と回数分割とを併存させて、基本ステップ角αをn×m=100×40=4000分割することが可能となる。更に本発明では、第1励磁時間組が第2励磁時間組に対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力しているので、回数分割にるマイクロステップを行った場合であっても、耳障りな騒音を減少させることができる。なお、本発明についても、図13及び図14に示した配列表を用いて、励磁コイル1a〜1eの励磁を行うことができる。
本発明に係るステッピングモータ駆動装置及びマイクロステップ駆動方法は、精密な位置決め又は低振動の低速駆動に加え、静粛性が要求される用途に好適である。例えば、光計測装置、光電子デバイス作製装置、有機EL作製装置、デバイスプロセス装置、若しくは有機半導体素子作製装置等に適用することができる。
なお、前記光計測装置の用途として、並列光演算技術、レーザ安定化技術、超高速分光技術、超高速光制御技術、若しくは光パルスタイミング同期技術等の光制御の技術分野や、単一光子検出技術、超高速光計測技術、ホログラム計測技術、各種表面分光技術、電界発光計測技術、移動度計測技術、又は干渉計測技術等の技術分野を挙げることができる。
また、上記の実施例では、本発明のマイクロステップ駆動方法を回転型のステッピングモータの駆動に用いた実施例を示したが、直動型のステッピングモータに応用することも可能である。
チョッパ方式により5相ステッピングモータを定電流制御する、本発明の代表的な実施例を示すステッピングモータ駆動装置のブロック図である。 (a)は、ペンタゴン結線方式を採用した5相ステッピングモータ1の励磁コイル1a〜1eと、励磁相ABCDEabcdeの励磁電流の方向とを定義する図である。(b)は、5相ステッピングモータ1の励磁相ABCDEabcdeと、トルクベクトルVA〜Veとの関係を定義する図である。 モータ回転子を所定の基本ステップの位置に位置決めする励磁相の組み合わせ例を示す図である。 モータ回転子を所定の基本ステップの位置に位置決めする励磁相の組み合わせの他の実施例を示す図である。 図1に示した電気角位置管理手段12a、励磁相組合せ出力手段12b、励磁周期出力手段12c、及び励磁回数割合出力手段12dの機能を示す図である。 励磁周期Tと励磁組の出力順序との関係を、0P〜19Pを用いて一般的に表した本発明の励磁波形出力手段の配列例を示す図表である。 回数分割ステップの歩進数が「1」の場合における励磁周期Tと励磁組の出力順序との関係を示す配列例を示す図表である。 本発明における定電流駆動コントロール回路14の動作と、励磁波形出力手段12eが出力する励磁出力について説明するタイミングチャートである。 第1励磁組に対する第2励磁組の出力順を、順次励磁列Kの前方から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの後方から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力する実施例を示す配列表の図表である(回数分割ステップの歩進数を「1」とした場合)。 図9に示した励磁組の出力順序で、回数分割ステップの歩進数を「2」とした場合の実施例を示す配列表の図表である。 図9に示した励磁組の出力順序で、回数分割ステップの歩進数を「3」とした場合の実施例を示す配列表の図表である。 図9に示した励磁組の出力順序で、回数分割ステップの歩進数を「9」とした場合の実施例を示す配列表の図表である。 第1励磁組に対する第2励磁組の出力順を、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力する実施例を示す配列表の図表である。 第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、乱数計算処理に基づいて決定し、分散させて出力する実施例を示す配列表の図表である。 第1励磁組に対する第2励磁組の出力順番を、乱数計算処理に基づいて分散させた際に、励磁の段数Rと人が感じる騒音の内容との関係を観測した結果を示す図表である。 励磁電圧を調節することにより、5相ステッピングモータを定電流制御する、本発明の他の実施例を示すステッピングモータ駆動装置のブロック図である。 図16に示した電気角位置管理手段、励磁相組合せ出力手段、励磁周期出力手段、及び励磁回数割合出力手段の機能を示す説明図である。 時間分割の分割数を100分割に設定した場合の、時間分割ステップの歩進数と励磁の時間TP1〜TP4との関係を表した図表である。 回数分割ステップの歩進数を「1」とした場合において、励磁周期Tと励磁時間組の出力順序との関係を、励磁回数Kを用いて一般的に表した配列表である。 回数分割ステップの歩進数が「1」、励磁の段数r=1の場合における、時間分割ステップの歩進数と励磁組F1〜F4の励磁波形との関係を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 5相ステッピングモータ
1a〜1e 励磁コイル
10 ステッピングモータ駆動装置
12 励磁波形決定手段
13 パワー素子駆動回路
14、34 定電流コントロール回路
15 電流検出抵抗
12a、32a 電気角位置管理手段
12b、32b 励磁相組合せ出力手段
12c、32c 励磁周期出力手段
12d、32d 励磁回数割合出力手段
12e、32e 励磁波形出力手段
32f 時間組合せ出力手段
30 ステッピングモータ駆動装置
32 励磁波形決定手段
33 パワー素子駆動回路
35 電流検出抵抗
36 モータ電流制御回路
C1、C2 コンデンサ
D1〜D11 ダイオード
L1 チョークコイル
PS 電源
TR1〜TR10 パワー素子
TR11 トランジスタ
VA〜VE、Va〜Ve トルクベクトル

Claims (9)

  1. N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微細ステップにm分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、
    N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると、前記微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、前記m分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、
    N相ステッピングモータのモータ回転子を、前記基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップの位置に位置決めするための、励磁コイルの1の励磁の組合せと、他の基本ステップの位置に位置決めするための他の励磁の組合せとの、少なくとも2つの励磁の組合せを出力する励磁相組合せ出力手段と、
    前記微細ステップの歩進数に応じて、前記2つの励磁の組合せの励磁回数を、相互に漸増及び漸減することにより、前記2つの励磁の組合せの励磁回数割合を決定して出力する励磁回数割合出力手段と、
    励磁周期T毎に、前記1の励磁の組合せ又は他の励磁の組合せを構成する励磁の出力を切り換えるための励磁切替指令を出力する励磁周期出力手段と、
    前記決定した励磁回数割合を維持しつつ、前記1の励磁の組合せが、他の励磁の組合せに対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁の組合せの配列によって、前記1の励磁の組合せ又は他の励磁の組合せを構成する励磁波形を、前記励磁周期T毎に出力する励磁波形出力手段と、
    を備えたことを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
  2. 前記励磁波形出力手段は、前記2つの励磁の組合せの配列として、励磁列K(所定の励磁回数からなる励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、1の励磁の組合せに対する他の励磁の組合せの出力順が、段r−1の出力順と異なるように常に分散する配列であることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ駆動装置。
  3. 前記励磁波形出力手段は、前記2つの励磁の組合せの配列として、励磁列K(所定の励磁回数から成る励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、1の励磁の組合せに対する他の励磁の組合せの出力順を、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの前方から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの後方から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより分散させた配列であることを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ駆動装置。
  4. 前記励磁波形出力手段は、前記2つの励磁の組合せの配列として、励磁列K(所定の励磁回数から成る励磁の列)×段数R(励磁列Kの段数)に分けた配列を用いるとともに、前記段数R中の一つの段rにおける、1の励磁の組合せに対する他の励磁の組合せの出力順を、第1段目(r=1)では励磁列Kの略中央の順番から出力し、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から後方に移動させる後方移動パターンと、段rが増加するにつれて順次励磁列Kの中央から前方に移動させる前方移動パターンとを、交互に出力することにより分散させるパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ駆動装置。
  5. 前記励磁波形出力手段は、1の励磁の組合せに対する他の励磁の組合せの出力順を、乱数計算処理に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ駆動装置。
  6. N相ステッピングモータの基本ステップ角αを微小ステップにn分割し、更に、前記微小ステップを微細ステップにm分割するマイクロステップを実現するステッピングモータ駆動装置にあって、
    N相ステッピングモータの回動指令パルスが入力されると、前記微細ステップの歩進数を計数して出力するm分割カウンタと、前記m分割カウンタの上位の桁に位置し微小ステップの歩進数を計数して出力するn分割カウンタと、前記n分割カウンタの上位の桁に位置し基本ステップの歩進数を計数して出力する基本ステップカウンタとを有する電気角位置管理手段と、
    N相ステッピングモータのモータ回転子を、前記基本ステップの歩進数に対応した1の基本ステップの位置に位置決めするための、励磁コイルの1の励磁の組合せと、他の基本ステップの位置に位置決めするための他の励磁の組合せとの、少なくとも2つの励磁の組合せを出力する励磁相組合せ出力手段と、
    N相ステッピングモータのモータ回転子を、前記微小ステップの歩進数に対応した1の微小ステップの位置に位置決めするために、前記2つの励磁の組合せの励磁の時間を相互に漸増及び漸減することにより生成した1の時間の組合せと、他の微小ステップの位置に位置決めするための他の時間の組合せとの、少なくとも2つの時間の組合せを出力する時間組合せ出力手段と、
    前記微細ステップの歩進数に応じて、前記2つの励磁の組合せと1の時間とを組み合わせた1の励磁時間の組合せと、前記2つの励磁の組合せと他の時間の組合せとを組み合わせた他の励磁時間の組合せとの励磁回数を、相互に漸増及び漸減することにより、前記2つの励磁時間の組合せの励磁回数割合を決定して出力する励磁回数割合出力手段と、
    励磁周期T毎に、前記1の励磁時間の組合せ又は他の励磁時間の組合せを構成する励磁の出力を切り換えるための励磁切替指令を出力する励磁周期出力手段と、
    前記決定した励磁回数割合を維持しつつ、前記1の励磁時間の組合せが、他の励磁時間の組合せに対して単調な周期で定常的に出現しないように分散させて順次出力する励磁時間の組合せの配列を用いて、前記1の励磁時間の組合せ又は他の励磁時間の組合せを構成する励磁波形を、前記励磁周期T毎に出力する励磁波形出力手段と、
    を備えたことを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
  7. 前記請求項1〜6のいずれかに記載のステッピングモータ駆動装置を用いてN相ステッピングモータを駆動してなることを特徴とする精密測定機器。
  8. 前記請求項1〜6のいずれかに記載のステッピングモータ駆動装置を用いてN相ステッピングモータを駆動してなることを特徴とする精密加工機器。
  9. 前記請求項1〜6のいずれかに記載のステッピングモータ駆動装置を用いたN相ステッピングモータのマイクロステップ駆動方法。
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