JP4688040B2 - N相ステッピングモータの超マイクロステップ駆動方法及び同駆動方法にて駆動されるn相ステッピングモータ、並びに同ステッピングモータを搭載した超精密測定機器及び超精密加工機器 - Google Patents

N相ステッピングモータの超マイクロステップ駆動方法及び同駆動方法にて駆動されるn相ステッピングモータ、並びに同ステッピングモータを搭載した超精密測定機器及び超精密加工機器

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Description

本発明は、スター結線、環状結線等のN相ステッピングモータを、新たな電子回路を追加することなく、基本ステップ角αを従来以上に超細分化し、超低速及び低騒音の等速モータ駆動を可能にした超マイクロステップ駆動方法及び同駆動方法により駆動されるN相ステッピングモータ、並びに同ステッピングモータを装備した超精密測定機器及び超精密加工機器に関する。
一般的なN相ステッピングモータは、外部指令パルスを受けて、パルス総数に比例する角度だけモータ回転子が回転駆動される。詳しくは、N相ステッピングモータの各励磁相に電流を流し、励磁により発生する電磁力をもってモータ回転子を引きつけるトルクベクトルを発生させる。
N相ステッピングモータにおける従来のマイクロステップ駆動方法は、機械的構造から決定される基本ステップ角αを微小ステップ角α’にn分割して、電子回路と論理回路を制御することによって、微小(マイクロ)ステップごとの励磁周期Tに対する複数個の励磁パターンの各励磁電流の出力時間の割合である出力割合を制御して、微小ステップ角α’を歩進させて回転駆動している。
ここで、励磁パターンとは、励磁状態にある励磁相と、各励磁相における励磁電流方向との組合せであって、複数種類の励磁パターンが、論理回路に内蔵されたメモリに格納されており、後述する励磁パターン出力回路からスイッチング素子を介して励磁シーケンスに従って各励磁相を励磁する。
マイクロステップ駆動方法によるN相ステッピングモータは、基本ステップ角αをn分割した微小ステップ角α’(=α/n)を歩進するマイクロステップ毎の励磁周期Tの間に、所要数の励磁パターンを所定の順番にて出力して駆動される。
図2(b)を用いて、5相ステッピングモータを具体例にした励磁パターンの励磁手順について説明する。図2(b)では、矢印で示された励磁電流A〜E及び励磁電流a〜eの向きを、5相ステッピングモータの励磁相1a〜1eに対する励磁電流の流れる向きに合わせて示している。
励磁相1a〜1eの1相以上に対して、励磁電流を同時に流した場合が、一つの励磁パターンとなる。例えば、励磁電流A、Bを同時に流した場合が一つの励磁パターンになり、これを励磁パターンABとして、以下に表記する。
一般的なN相ステッピングモータは、励磁パターン出力回路から各励磁パターンを所定の順番で出力し、各励磁パターンに対応するトルクベクトルを得て、ロータを所定の角度をもって回転駆動する。
図2(a)を用いて、5相ステッピングモータを具体例とし、励磁電流A〜E及び励磁電流a〜eの通電時に得られるトルクベクトルVA〜VE及びトルクベクトルVa〜Veについて、簡単に説明する。
図2(a)では、5相ステッピングモータの励磁相1a〜1eに、励磁電流A〜E及び励磁電流a〜eを流したときに得られるトルクベクトルVA〜VE及びトルクベクトルVa〜Veの方向を、矢印の向きで示している。同図において矢印A〜E及び矢印a〜eで示すトルクベクトルの向きが、図2(b)に示した励磁電流A〜E及び励磁電流a〜eに対応する電流が出力されたときのベクトルの向きである。
複数の励磁相に励磁電流を同時に流し、各励磁相から生じるトルクベクトルが合成されて、所要の合成トルクベクトルが得られる。例えば、励磁電流A、Cを流してそれぞれから得られるトルクベクトルVA及びトルクベクトルVCが合成されて、トルクベクトルB方向の合成トルクベクトルVACが得られる。
ところで、例えば特許3364522号公報(特許文献1)によれば、上述した基本ステップ角αをn分割した微小ステップ角α’(α/n)をマイクロステップさせるステッピングモータのマイクロステップ駆動方法が提案されている。この提案では、5相ステッピングモータのマイクロステップごとに、3つの励磁パターンを含む励磁周期T内の各励磁パターンに対する励磁電流の出力時間を漸増又は漸減させることでステッピングモータを駆動している。
また、特許文献1に記載された駆動方法に類するステッピングモータの駆動方法が、例えば特開2004−266974号公報(特許文献2)にも開示されている。この特許文献2によれば、スター結線方式の3相ステッピングモータの駆動方法が例示されており、上記特許文献1に記載された駆動方法と同様に、ステッピングモータの駆動回路に流れる総電流を一定とするように制御する定電流コントロール回路を備えている。
この特許文献2に記載された実施例について、図9及び図10を用いて簡単に説明する。図9は、特許文献2に示されたマイクロステップ駆動回路の構成図を示している。図9において、矢印U、V、W、u、v、wは、ステッピングモータ105の各励磁相に流れる励磁電流の向きを示している。図10は、励磁周期Tを100μsとして、基本ステップ角1から基本ステップ角2までのマイクロステップごとの個別の励磁パターンvUw、UwV、wVuの、励磁周期Tに対する励磁電流の出力の各割合と、励磁周期T内における励磁電流の各出力時間とを示している。
図9に示した定電流コントロール回路102は、総電流センシング抵抗103により検出された検出電圧と、予め設定された基準電圧とを比較して、電源用スイッチング手段108のオン/オフ制御を行うことで、モータ駆動用電圧118を制御し、供給する総電流が一定となるように制御している。
図10では、基本ステップ角αを100分割した場合のマイクロステップ駆動の例を示している。同図において、100マイクロステップの各励磁周期T(100μs)における励磁パターンごとに出力される励磁電流の出力割合(%)の変化と、各マイクロステップごとの1励磁周期Tにおける3つの各励磁パターンの出力時間(μs)の変化とを示している。同図においては、励磁パターンvUwの出力割合を50%から0%へと1%ずつ漸減させるとともに、励磁パターンwVuの出力割合を0%から50%へと1%ずつ漸増させており、励磁パターンUwVの出力割合は常に50%と一定としており、各マイクロステップごとの、励磁パターンvUwの出力時間を0.5μsずつ漸減させ、励磁パターンwVuの出力時間を0.5μsずつ漸増させている。一方、励磁パターンUwVのマイクロステップごとの出力時間を50μsとして一定とし、励磁パターンvUw、励磁パターンwVu及び励磁パターンUwVの出力時間のトータルを常に励磁周期T(100μs)に等しくしている。
このように特許文献2の実施例では、励磁パターンvUw、wVuの出力時間を、マイクロステップごとに、それぞれ一定の割合で漸減、漸増するように変化させるとともに、励磁パターンUwVの出力時間を一定として、励磁パターンvUw、UwV、wVuの各励磁パターンから得られるトルクベクトルを合成し、この合成して得られる合成トルクベクトルを順次変化させることで、スター結線方式の3相ステッピングモータを、所定の角度をもって回転駆動する。
特許第3364522号公報 特開2004−266974号公報
上記特許文献1及び2に記載された先行技術では、ステッピングモータの分解能を向上させるため、上記最小単位時間tを可能な限り短く設定して、基本ステップ角αの分割数nを増やすという手段を用いると同時に、外部からの指令パルスの入力ごとに最小単位時間tを基準として漸増又は漸減させている。これを、上述した特許文献2の実施例を元に具体的に説明する。図10に示すように、特許文献2の実施例における励磁パターンvUw、wVuの出力時間を漸増・漸減させる最小単位時間tは0.5μsである。特許文献2の実施例では、指令パルスの入力ごとに、各励磁パターンvUw、wVuごとの出力時間を0.5μsずつ漸増又は漸減させている。また、基本ステップ角αの分割数nは100である。そして、ここでの駆動パターンの駆動に要する時間、すなわち3つの励磁パターンに対する励磁電流の各出力時間のトータルである励磁周期Tを100μsとしている。
特許文献1及び2に記載された先行技術にあっては、ステップ角を細分化して駆動し、ステッピングモータの分解能を向上させようとしているが、ここにきて、例えば光制御技術(並列光演算技術、レーザ安定化技術、超高速分光技術、超高速光制御技術、光パルスタイミング同期技術等)、光計測技術(単一光子検出技術、超高速光計測技術、ホログラム計測技術、各種表面分光技術、電界発光計測技術、移動度計測技術、干渉計測技術等)、デバイス技術(光電子デバイス作製技術、有機EL作製技術、デバイスプロセス技術、有機半導体素子作製技術等)等では、振動などの外因を排除すべく、更なる超低速でかつ高分解能なステッピングモータの駆動が強く要望されている。すなわち、前述の技術分野にあっては超精密加工や超精密検出を行うため、ステッピングモータがあたかも停止状態にあって、しかも正確な位置決めのもとで歩進することが要求されている。
こうした要求に答えるため、例えば特許文献2に記載されたマイクロステップ駆動方法では、図10に示すように、100分割された1マイクロステップごとの励磁パターンwVuの出力時間の割合を、最小単位時間tを0.5μsとして0%(0μs)から50%(50μs)まで漸増させると同時に、同じく1マイクロステップごとの励磁パターンvUwの出力割合を50%から0%へと漸減させており、他の1つの励磁パターンUwVの出力時間の割合を100マイクロステップの全てにおいて50%としている。
このように特許文献2に記載されたマイクロステップ駆動方法は、3個の異なる励磁パターンを含む励磁周期Tを一定として、100回のマイクロステップごとに各励磁時間の一部を少しずつ漸減又は漸増させることにより、各励磁相の励磁時に発生するリップルを減少させ、高分解能で振動の少ない円滑なマイクロステップ駆動を可能にしている。
ところで、例えば5相ステッピングモータの基本ステップ角αは0.72°である。すなわち、通常のステップ駆動であれば、外部指令パルスが500回入力されてロータが1回転する。一方、5相ステッピングモータにあってトルクベクトルが合成される4相励磁を2相励磁に分解する場合、その励磁の仕方には図3及び図4に示すように2種類の方法がある。この場合、いずれにしても上記最小単位時間tは、励磁周期Tを分割数nの2倍で割った数となる。いま、仮に基本ステップ角α(0.72°)を800分割して、励磁周期Tを64μsとすると、励磁最小単位時間tは64μsを1600で割った40nsとなり、マイクロステップ角は0.0009°となり、外部指令パルスが400,000回でロータが1回転することになる。
こうして分解能を更に向上させようとすれば、電子回路上の各スイッチング素子を駆動可能な現状の最小単位時間tよりも出力時間を更に短くしていくことが必要となる。論理回路にあって、励磁に必要な最小単位時間tを40nsに制御することは比較的容易であるが、この最小単位時間tをそれ以上に短くすることは、現状ではパワー素子駆動回路におけるスイッチング素子のオン/オフ制御の限界があるため、きわめて難しい。すなわち、最小単位時間tを40nsより短くすると、例えばパワー素子駆動回路上のスイッチング素子によるオン/オフのスイッチング動作が励磁電流の切換え時間に追随できなくなり、所定の励磁を行うための制御ができなくなる。
また、仮に最小単位時間tを40nsにして、基本ステップ角αの分割数nを800よりも多くしていくと、その励磁コントロールの周波数は次第に減少する。例えば、前記最小単位時間を40nsとして、分割数nを800とすると、励磁周期Tは64μsで励磁制御時の周波数は15.625kHzであり、分割数nが1000では励磁周期Tが80μsとなり、励磁制御の周波数は12.5kHzである。更に、分割数nを2000とすると励磁周期Tは180μsとなり、励磁制御の周波数は6.25kHzとなる。
一方、人間の耳に聞こえやすい音の周波数領域である可聴域内の音の周波数は、一般的に、20Hz〜15kHzの範囲とされている。上述のように上記最小励磁時間tを40nsとして、分割数nを1000、或いは2000と単純に増加させると、励磁コントロールの周波数は15kHzより小さくなり、極めて耳障りな音が人間の耳に達することになる。つまり、こうしたマイクロステップの駆動方法では、人間の耳に聞こえ易い音の周波数でステッピングモータが駆動されることになり、単純に大きな分割数nをもってマイクロステップ駆動を行おうとすれば、ステッピングモータから更に耳障りな高音領域の可聴音が発生し、精密加工機や精密測定機の操作者に極めて不快感を与えるという問題がある。
また、ステッピングモータの回転を停止している間(いわゆる、HOLD時)も、励磁周期Tごとに同じ駆動パターンの駆動を繰り返しており、同じく耳障りな高音領域の可聴音が発生する。このため、このようなステッピングモータを組み込んだ精密測定機器等では、ステッピングモータのHOLD時にも、耳障りな高音領域の可聴音が発生することから、上述のような各種技術分野に用いられるN相ステッピングモータを装備した超精密測定機器や超精密加工機器においては、超低速で駆動され同時に低騒音であるモータ分解能の高いステッピングモータの出現が強く要望されている。
本発明は、こうした従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、特別な電子回路の新たな追加を必要とせずに、従来の電子回路構成をそのまま利用し、単に論理回路の一部を変更するだけで、超低速及び等速回転のステッピングモータの分解能を飛躍的に向上させた超マイクロステップ駆動方法及び同駆動方法により駆動されるN相ステッピングモータ、並びに同モータを搭載した超精密測定機器、超精密加工機器を提供することにある。
しかも、ステッピングモータの駆動時に発生する可聴音の発生を防ぎ、さらに、ステッピングモータの回転停止中(HOLD時)に発生する耳障りな高い周波数の音が発生しないマイクロステップ駆動方法を提供することを他の目的としている。他の更なる目的は、以下に述べる説明から明らかになる。
前記目的は、請求項1〜に記載された発明により達成することができる。
即ち、第1の発明は、N相ステッピングモータの基本ステップ角αをn分割して、外部指令パルスの入力ごとにα/nの微小ステップ角α’を歩進させることを含むマイクロステップ駆動方法にあって
前記分割された微小ステップ角α’(=α/n)ごとに、2以上の整数である分割数mをもって、前記微小ステップ角α’をm分割した微細ステップ角α”(=α/(n×m))を作成すること、前記微小ステップ角α’の歩進を、異ならせた複数個の励磁パターンからなる組で行うこと、
微細ステップ角α”を歩進させる超マイクロステップを、励磁周期Tで前記組内の各励磁パターンを励磁し、前記励磁周期Tでの励磁を、少なくとも前記分割数mの回数行うこと、前記励磁周期Tでの励磁をm回の正の整数倍行うことにより、前記微細ステップ角α”の歩進を行ったときの合成トルクベクトルを生成すること、微細ステップ角α”を歩進させた後に続けて次の微細ステップ角α”の歩進を行うこと、
前記超マイクロステップを順次行うごとに、前記組内の各励磁パターンをそれぞれ励磁する励磁時間を、励磁が可能な最小単位時間tを基礎として、各励磁パターンごとに順次増加又は順次減少させ、かつ前記各超マイクロステップにおける前記励磁周期Tによるm回の各励磁において、前記組内の各励磁パターンをそれぞれ励磁する励磁時間を規則的に分散させること、
前記超マイクロステップを順次m回行うことにより、前記微小ステップ角α’の歩進を行わせ、前記微小ステップ角α’を歩進させるのに必要なトータルの合成トルクベクトルを生成すること、を特徴とするN相ステッピングモータの超マイクロステップ駆動方法を最も主要な構成としている。
好ましい態様によれば、前記分割数nが800より大きな整数であり、前記最小単位時間tが40nsであることが好ましく、前記分割数mが2〜5の整数であることが望ましい。
第2の発明は、前記構成を備えた超マイクロステップ方法により駆動されることを特徴とするN相ステッピングモータにあり、第3及び第4の発明は、同N相ステッピングモータを搭載したことを特徴とする超精密測定機器と超精密加工機器にある。
作用効果
第1の発明によれば、特別な電子回路の追加を必要とせずに、従来の電子回路と論理回路をそのまま利用し、N相ステッピングモータの回転分解能を飛躍的に向上させるばかりでなく、超低速の駆動が実現でき、しかも回転駆動時もホールド時も耳障りな異音を発生することもなくなる。
すなわち、本発明の超マイクロステップ駆動方法は、従来のマイクロステップ駆動方法と同様に、N相ステッピングモータの基本ステップ角αをn分割して、外部指令パルスの入力ごとにα/nの微小ステップ角α’を歩進させることを前提としている。そして、本発明にあっては、前記分割された微小ステップ角α’(=α/n)を、更に2以上の整数である分割数mをもって分割する
そして、前記微小ステップ角α’の歩進を行わせるときには、異ならせた複数個の励磁パターンからなる組を一組用いて行っている。微細ステップ角α”を歩進させる超マイクロステップを、励磁周期Tで前記組内の各励磁パターンを励磁し、前記励磁周期Tでの励磁を、少なくとも前記分割数mの回数行い、前記励磁周期Tでの励磁をm回の正の整数倍行うことにより、前記微細ステップ角α”の歩進を行ったときの合成トルクベクトルを生成している。そして、微細ステップ角α”を歩進させた後に続けて次の微細ステップ角α”の歩進を行っている。
次の微細ステップ角α”の歩進を行うときも、前記の同じ組を用いて行うが、後述するように励磁周期Tは変えずに、組内の各励磁パターンをそれぞれ励磁する時間を変更している。
前記超マイクロステップを順次行うごとに、前記組内の各励磁パターンをそれぞれ励磁する励磁時間を、励磁が可能な最小単位時間tを基礎として、各励磁パターンごとに順次増加又は順次減少させている。しかも、前記各超マイクロステップにおける前記励磁周期Tによるm回の各励磁において、前記組内の各励磁パターンをそれぞれ励磁する励磁時間を規則的に分散させている。そして、前記超マイクロステップを順次m回行うことにより、前記微小ステップ角α’の歩進を行わせ、前記微小ステップ角α’を歩進させるに必要なトータルの合成トルクベクトルを生成する。
その結果、現状で駆動可能な最小単位時間tを基準としながら従来以上の高分解能が得られる超マイクロステップ駆動を可能にしている。しかも、上述のようにn×m回ごとに外部指令パルス入力されて、少なくともm回の励磁周期Tをもって組内の各励磁パターンを励磁するとき、各励磁パターンをそれぞれ励磁する励磁時間、つまり励磁割合を規則的に分散させて励磁駆動を行っている。
このとき、n×m回のステップごとには最小単位時間tを基礎とする人間にとって耳障りな可聴音が理論上は瞬間的に発生することになるが、その発生は連続せず、極めて短い1超マイクロステップごとに瞬時に発生するにすぎないため、耳に残ることがなく、事実上は全く耳に聞こえない。
例えば、好適な態様として、最小単位時間tを40nsに設定し、5相ステッピングモータの基本ステップ角0.72°を800分割し、この800分割された微小ステップ角0.0009°を更に4分割(mを4にしたとき)して、微細ステップ角0.000225°で超マイクロステップ駆動するとき、各超マイクロステップのステップごとに同じ励磁シーケンスに従って2相ずつからなる4つの励磁パターンを同一励磁周期64μsを
もって4回(m回)続けて励磁する。この4回の励磁周期64μsにおける励磁パターンごとの励磁時間を、最小単位時間40nsを基礎として規則的に増減させながら分散させる
このとき、1超マイクロステップの間に現れる耳障りとなり得る可聴音領域の音の発生時間は僅かに40nsを単位とする極めて短い時間であり、しかもその瞬時に発生する時間を4回の励磁周期Tである256μsと比較すると、その差が極めて大きいことも手伝って、たとえ耳障りな周波数領域の音ではあっても、その発生時間は僅かであるため、実際には人間の耳に残らず聞こえてくることもない。
そのため、前述のような超低速で且つ高分解能をもつステッピングモータを超精密測定機器や超精密加工機器に装備しても、理想的な環境下で超精密な加工や測定を可能にする。
以下、本発明の好適な実施の形態を、添付図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
以下に述べるマイクロステップ駆動方法の具体的な説明は、ペンタゴン結線方式の5相ステッピングモータを例として挙げているが、本発明は以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲を逸脱しない範囲において多様な変更が可能である。例えば、以下に説明するステッピングモータ、各種電子回路などによる構成以外にも、本発明の課題を解決することができる構成であれば、励磁相の数や結線の仕方にとらわれることなく、また従来から知られている各種の論理回路や電子回路を、本発明の構成の一部として採用することができる。
図1は本発明の超マイクロステップ駆動方法を実現する5相ステッピングモータの回路構成を示しており、ペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータと定電流駆動回路を例として挙げている。
同図に示すように、本発明の最良の形態である5相ステッピングモータの主たる構成は、5相ステッピングモータ1、励磁パターン出力回路2、パワー素子(TR1〜TR10)、パワー素子駆動回路3、ダイオード(D1〜D10)、モータ出力線(OUT1〜OUT5)、PWM(パルス幅変調)定電流駆動コントロール回路4を備えている。
(励磁パターン出力回路)
励磁パターン出力回路2は、基本ステップ角α(=0.72°)をn×m分割した微細ステップ角α/(n×m)(=α”)を歩進する超マイクロステップを指示する外部指令パルスCWP(Clock Wise Pulse)、CCWP(Counter Clock Wise Pulse)を回路外から受けている。ここで、CWPはモータを正転(モータを出力軸側から見て時計回りの回転)させる指示パルスであり、CCWPは逆転(正転の逆回転)させる指示パルスである。また、励磁パターン出力回路2では、パワー素子駆動回路3に対して、5相ステッピングモータ1の駆動制御に必要な各種信号を必要に応じて送出している。
図1では、励磁パターン出力回路2内に含まれる主な機能部について、ブロック図にて概略的に示している。このブロック部にて示された3個の主な機能部としては、アドレスカウンタ2a(電気角位置管理)、励磁周期カウンタ2b(駆動時間管理、励磁パターン切替指令)、メモリ2c(励磁パターンデータ、出力時間データ)があり、これらの機能部が励磁パターン出力回路2の内部に備えられている。
図1に示すように、励磁パターン出力回路2に備えられたアドレスカウンタ2a(電気角位置管理)は、外部指令パルスCWP、CCWPを受けて所定の角度を回転する5相ステッピングモータにおいて、モータ回転子(ロータ)の電気角位置(励磁アドレス)の情報を管理している。電源が入ると、まずイニシャライズされてアドレスカウンタは「0」になる。アドレスカウンタ2aは、外部指令パルスCWP、CCWPを受けるごとに、この受けたパルスの総数に応じて、保有している電気角位置情報を最新の情報へと更新する。
上記励磁周期カウンタ2bは、励磁周期ごとに現在のアドレスカウンタ2aのアドレス値、すなわち電気位置情報を読み込み、メモリ2cにアドレスを指定して、そのアドレスに対応する励磁周期内で励磁すべき励磁パターンデータとその出力時間データとを読み込む。更に、この読み込んだ励磁パターンデータとその出力時間データに従って、各励磁パターンの指定と同励磁パターンの励磁時間だけをパワー素子駆動回路3に順次出力する。
(パワー素子駆動回路)
図1に示すパワー素子駆動回路3は、上述のように励磁パターン出力回路2から、出力すべき励磁パターンの駆動用データや、励磁パターン切替え指令を励磁パターン切替時に受け取っている。この励磁パターン出力回路2から受け取ったデータを基にして、各パワー素子(TR1〜10)のゲート(G)端子に対して所定の信号を送出し、指示された励磁パターンにて所定時間ずつ励磁出力が行われるようにする。詳しくは、パワー素子のゲート端子に印加する電圧値を制御することで、パワー素子内部の通電(例えば、エミッタ電流が流れる等)がなされる。
なお、本発明において使用するパワー素子の好適なタイプとしては、印加する電圧を変化させることで素子の電流制御を行う電界効果トランジスタ(FET)のMOSタイプ(POWER MOS FET)がある。しかし、本発明を実施できるパワー素子であれば、電界効果トランジスタの他のタイプである、例えばFET接合形等、何れのパワー素子も用いることができる。
このように、パワー素子駆動回路3は、励磁パターン出力回路2から励磁パターンの駆動データを受けて、出力する励磁パターンに応じて各パワー素子(TR1〜10)に与える電圧を制御することによって、各パワー素子(TR1〜10)を通電させ、5相ステッピングモータ1の各励磁相1a〜1eに励磁電流を流している。
(PWM定電流駆動コントロール回路)
図1に示すPWM(パルス幅変調)定電流駆動コントロール回路4では、ドライバ(モータ駆動装置)の電源に供給された電圧が変換されたモータ駆動電圧を、5相ステッピングモータ1の各励磁相1a〜1eに対して、高速でON/OFF制御しながら印加している。
ステッピングモータにおける一般的な定電流駆動方式は、ステッピングモータに通常よりも高い電圧をパルス状に印加し、これを平滑化して駆動電圧とし、所定の電流値に達するまでの立ち上がりを迅速化すると同時に、常に一定の電流が流れるように電子回路を用いて制御する方式である。
特に、本実施例に示すPWM定電流駆動方式を用いた駆動回路では、励磁相1a〜1eに直列に設けられた電流検出抵抗5(0.2〜0.5Ω程度)にかかる駆動電圧値を測定するとともに、励磁相に流れる実効電流を監視している。そして、この電流検出抵抗5の検出電圧値が基準電圧値と比較して、このときの前記電流検出抵抗5を流れる実効電流が設定値となるようにモータ駆動電圧を制御する。一般にモータ駆動電圧は、ステッピングモータが停止して保持状態にあるとき(ホールド時)が最も低く、また回転中は回転速度が増すとモータコイルのインピーダンスが増加するため、低速ではモータ駆動電圧は低く、高速ではモータ駆動電圧は高くなる。このようにモータ駆動電圧が上下することによって前記電流検出抵抗5に流れる電流が変化する。この電流を一定にするように前記駆動電圧を制御する。こうして、5相ステッピングモータ1の各励磁相1a〜1eに流れる総電流値は、このPWM定電流駆動コントロール回路4によって制御されることで、一定に保たれている。
(励磁パターンの典型例)
図3及び図4を用いて、5相ステッピングモータ1の基本ステップ角α(=0.72°)を歩進する基本ステップにおいて、各基本ステップにて出力される励磁パターンの典型例について説明する。図3、4に示すように、左側の列には、各基本ステップを示すSTEP:0〜9において、励磁相1a〜1eの内の4相(実際は、2相励磁を2回連続して行う(2相−2相励磁)ことで4相励磁を合成している。)に対して、励磁電流A〜Eと励磁電流a〜eを流したときの励磁パターンを示している。また、右側の列には、この4相励磁パターンの合成に用いる2相の励磁パターンの組み合わせ1、2をそれぞれ示している。また、各励磁相1a〜1eと、励磁電流の向きについては、図2(b)を用いた上述の説明通りである。
なお、この4相励磁パターンを2相励磁に分解する場合には、図3及び図4に示すように、2種類の励磁パターンの組み合わせ1、2があるが、本実施例では何れの組み合わせも用いることができる。また、励磁パターンや励磁パターンの出力順序の説明を容易に理解しやすくするために、「→」という表記を以下に用いるものとする。例えば、励磁パターンBCから励磁パターンADに切り替わることを示す表記は、BC→ADと表わしている。
本実施例における5相ステッピングモータ1の各基本ステップ(STEP:0〜9)は、基本ステップ角αを歩進しており、ここで基本ステップ角αは0.72°であるので、全10ステップを歩進すると7.2°だけ5相ステッピングモータ1が回転する。5相ステッピングモータ1は、この基本ステップ(STEP:0〜9)を繰り返されることで回転駆動される。例えば、この基本ステップ(STEP:0〜9)を500回繰り返すと、モータ回転子が360°、即ち1回転することになる。
図3の左側の列に示すように、合成される4相励磁パターンは、ABCD→BCDE→CDEa→DEab→Eabc→abcd→bcde→cdeA→deAB→eABCの順序で励磁される。
次に、上記4相励磁パターンを合成するには、以下に記載した組み合わせ1における2相励磁パターンを連続して出力することによりなされる。4相励磁パターンABCDを得るためには、励磁パターンBC、励磁パターンADを連続出力されたものを合成しており、これをBC→ADと表記して、以下の説明は簡略化して行う。即ち、4相励磁パターンBCDEはCD→BEであり、4相励磁パターンCDEaはDE→Caであり、4相励磁パターンDEabはEa→Dbであり、4相励磁パターンEabcはab→Ecであり、4相励磁パターンabcdはbc→adであり、4相励磁パターンbcdeはcd→beであり、4相励磁パターンcdeAはde→cAであり、4相励磁パターンdeABはeA→dBであり、4相励磁パターンeABCはAB→eCである。
一方、図4の左側の列に示すように、合成される4相励磁パターンは、上記で示したものと同様にABCD→BCDE→・・・→deAB→eABCの順序で出力される。また、4相励磁パターンを合成する別の組み合わせである2相励磁の組み合わせ2では、4相励磁パターンABCDを得るために、励磁パターンAB、励磁パターンCDを連続出力して合成しており、これをAB→CDと表記して、組み合わせ1と同様に、以下の説明は簡略化している。即ち、4相励磁パターンBCDEはBC→DEであり、4相励磁パターンCDEaはCD→Eaであり、4相励磁パターンDEabはDE→abであり、4相励磁パターンEabcはEa→bcであり、4相励磁パターンabcdはab→cdであり、4相励磁パターンbcdeはbc→deであり、4相励磁パターンcdeAはcd→eAであり、4相励磁パターンdeABはde→ABであり、4相励磁パターンeABCはeA→BCである。
このように、5相ステッピングモータ1の各基本ステップ(STEP:0〜9)ごとに、2相励磁パターンを連続して励磁出力することで、4相励磁パターンを合成している。
なお、上記の各基本ステップごとの4相励磁パターンを合成する2相励磁パターンでは、励磁相のコイル巻線の結線部は、出力段のパワー素子を介してモータ駆動電圧(図中「+」で示す)、又は、GND(図中「−」で示す)に接続されている。この励磁相の結線部が必ず「+」又は「−」に接続されていることで、電圧のかかっていなかった結線部に、急激に電圧がかかることで発生するハイインピーダンス状態を回避することができる。
(マイクロステップ駆動方法の基本原理)
図5を用いて、従来から知られるマイクロステップ駆動方法の基本原理について説明する。この基本原理の説明には、図3に示した基本ステップ間(STEP:0〜1、励磁ベクトルABCD〜BCDE)を多分割して微小ステップ角α’を歩進するマイクロステップを代表例として用いている。
図5に示すように、マイクロステップごとに、所要数の励磁パターンを所定の順番にて出力する駆動パターンは、励磁パターンBC、AD、CD、BEから構成されている。この励磁パターンBC、AD、CD、BEにおいて、1つの駆動パターンの励磁周期Tに対する励磁パターンBC、AD、CD、BEごとの出力時間の出力割合(%)の変化を示している。同図に示すように、励磁ベクトルABCDの位置での出力時間の出力割合は、励磁パターンBC及びADに対して50%であり、励磁パターンCD及びBEは0%である。例えば、励磁周期Tが100μsの場合は、励磁パターンBC及びADが50μsずつ出力され、励磁パターンCD及びBEは出力されない。
また、外部指令パルスCWP、CCWPが新たに入力されるまでの間は、励磁周期Tごとに、励磁パターンBC、AD、CD、BEの出力、即ち、駆動パターンの出力による励磁を繰り返している(つまり、BC→AD→CD→BE→BC→AD→CD→BE→・・・)。そして、新たな外部指令パルスが入力されると、励磁パターンBC及びADの出力時間を最小単位時間tだけ減らして、励磁パターンBC及びADの出力割合を減少させる。一方、新たな外部指令パルスが入力されると、励磁パターンCD及びBEの出力時間は、最低単位時間tだけ増えて、励磁パターンCD及びBEの出力割合を増加する。
このようにして得た新たな励磁パターンから得られるトルクベクトルの合成トルクベクトルによって、微小ステップ角α’を歩進するマイクロステップが行われる。以降も同様にして、マイクロステップごとに、最小単位時間tをもって、励磁パターンBC及びADの出力時間を減らし、励磁パターンCD及びBEの出力時間を増やしていく。
なお、ここで各励磁パターンを増減させる時間として最小単位時間tを用いたが、これに限定されるものではなく、ステッピングモータの仕様に応じた時間をもって増減させることが可能である。
さらに出力割合の例を挙げると、図5に示すように、励磁ベクトルABCDと励磁ベクトルBCDEの中間位置(励磁ベクトルABCDE)では、励磁パターンBC、AD、CD、BEが出力割合25%にて出力されている。例えば、励磁周期Tが100μsの場合は、各励磁パターンが25μsずつ出力される。
さらに別の出力割合の例として、励磁ベクトルBCDEの位置での出力割合は、励磁パターンBC及びADに対して0%であり、励磁パターンCD及びBEは50%である。例えば、励磁周期Tが100μsの場合は、励磁パターンBC及びADは出力されず、励磁パターンCD及びBEは50μsずつ出力される。
このように、従来のマイクロステップ駆動方法によって駆動される5相ステッピングモータは、微小ステップ角α’を歩進するマイクロステップごとに、励磁周期Tにおける各励磁パターンの出力割合を、例えば最小単位時間tをもって漸増又は漸減するように変化させ、各励磁パターンから得られるトルクベクトルを合成することで、所望の合成トルクベクトルを得て、回転駆動が行われている。
(本発明のN相ステッピングモータの超マイクロステップ駆動方法の前提技術)
図6は本発明の前提技術であるマイクロステップの駆動手順を示している。以下に、図6に基づいて本発明の前提技術であるマイクロステップ駆動方法を具体的に説明する。
図1に示す電子回路において、電源が入ると、まずアドレスカウンタ2aはイニシャライズされて、そのアドレス値は「0」をとり、励磁周期カウンタ2bがこのときのアドレス値「0」を読み込むと同時に、メモリ2cに格納されているアドレス値「0」に対応する「励磁パターンBCと出力時間データT/2」と「励磁パターンADと出力時間T/2」とを読み込む。この読み込んだデータに従って、最初の励磁パターンBCを指定して、出力時間T/2だけ励磁するようにパワー素子駆動回路3に出力する。次いで、励磁パターンADを指定して出力時間T/2だけ励磁するようにパワー素子駆動回路3に出力する。このアドレスカウンタ値が「0」のとき、他の2つの励磁パターンCD及びBEは励磁されない。従って、ここでは図2(a)に矢印で示すBとCとのトルクベクトルを合成して、その中間方向を向く合成トルクベクトルが生成される。
次に、2番目の外部指令パルスが入力されると、アドレスカウンタ2aは2番目のアドレス値を「1」に更新する。アドレス値が更新されると、励磁周期カウンタ2bはアドレス値「1」に対応する「励磁パターンBCと出力時間データT/2−t」、「励磁パターンCDと出力時間t」、「励磁パターンADと出力時間T/2−t」及び「励磁パターンBEと出力時間t」を読み込み、パワー素子駆動回路3に向けてそれぞれの励磁パターンと出力時間データとを順次出力し、各励磁パターンBC、CD、AD及びBEを順次切り替えながら前記所定の時間ずつ励磁して、それらの出力割合に応じたトルクベクトルを合成して合成トルクベクトルを生成する。このようにして、n回のマイクロステップ駆動ごとに各励磁パターンを、例えば図6に示すとおり、励磁パターンBCのマイクロステップごとの励磁時間を、最小単位時間tを増減の基礎として、(T/2)→(T/2−t)→(T/2−2t)→(T/2−3t)→・・・→(0)のように順次減少させると同時に、励磁パターンCDのマイクロステップごとの励磁時間を、最小単位時間tを増減の基礎として、(0)→(t)→(2t)→(3t)→・・・→(T/2)とn回に渡って順次増加させる。励磁パターンAD、BEについても同様に励磁して、基本ステップ角αをマイクロステップ駆動する。
同図にあっては、n回の外部指令パルスが入力するたびに、パワー素子駆動回路3は励磁周期カウンタ2aからの出力を受けて、最小単位時間tを基礎として増減する4つの励磁パターンを励磁パターンシーケンスに従って4回の励磁周期Tを繰り返しながら順次励磁している。ここで、外部指令パルスの出力周期が励磁周期Tよりも長い場合には、アドレスカウンタ2aによるアドレス値の進み量が忠実になされるため、超低速でかつ滑らかな高分解能をもつ超マイクロ駆動が可能となるが、外部指令パルスの出力周期が励磁周期Tよりも短い場合、ステップごとの励磁周期Tよりもアドレスカウンタによるアドレス値の進み量が大きくなり、結果的に歩進速度が粗くなっていく。
つまり、図6にあって励磁周期Tよりも外部指令パルスの出力周期が十分長い場合は、励磁ベクトルは外部指令パルスに忠実に一段目、二段目、三段目、・・・とアドレスを飛ばすことなく励磁ベクトルが進むが、外部指令パルスの周期が励磁周期Tより短くなると、例えば一段目、三段目、五段目、・・・、或いは一段目、四段面、六段目、・・・のように励磁ベクトルの間引きがなされるようになる。しかし、このように間引きはなされるものの、励磁自体は励磁周期Tによって管理されているため、励磁出力の周波数は常に1/Tとなる。
いま、仮に基本ステップ角αの分割数nが800で、最小単位時間tを40ns、励磁周期Tが64μsとした場合、励磁コントロールの周波数は15.625kHzとなり、可聴音領域から外れることになる。従って、この場合にはホールド時であるか回転駆動時であるかを問わず、ステッピングモータの駆動による騒音は発生しない。
しかし、前述のとおりのマイクロステップ駆動を踏まえて、更に高分解能を備えた超マイクロステップ駆動を実現させようとすると、例えば最小単位時間を40nsとして、基本ステップ角αの分解数nを1000又は1600に増加させた場合には、それぞれの励磁周期Tは80μs、128μsとなり、励磁コントロールの周波数はそれぞれ12.5kHz、7.8125kHzとなって、いずれも15kHz以下の可聴音領域となり、特に耳障りな可聴音が発生してしまう。また、このように励磁周期Tが延びるということは励磁周期Tと最小単位時間tとの差が大きくなることを意味し、そのことによって励磁電流のリップルが大きくなり、結果的に振動を誘発して超低速駆動時の回転の滑らかさを損なうことになる。
本発明者らは、上述の特許文献1及び2により確立されている従来のマイクロステップ技術の利点を最大限に活かした上で、ステッピングモータとして要求される特性を損なうことなく更に高分解能を備えた超マイクロステップ駆動方法を実現させるには、如何なる手法を採用すればよいかを詳しく検討した。その結果、図6に示した5相ステッピングモータのマイクロステップ駆動にあって、最小単位時間tを40nsとするとき、基本ステップ角αである0.72°を800分割すると励磁周期Tが1600×40ns=64μsとなり、励磁コントロールの周波数は1/1600=15.625kHzとなり可聴音領域から外れており、同時に励磁電流のリップルも発生しないことを踏まえると、このステップ駆動を踏襲し、最初のステップにて64μsの励磁周期の4つの励磁パターンを励磁してトルクベクトルを得たのち、続くステップにて64μsの励磁周期の4つの励磁パターンの励磁時間の割合を変えて得るトルクベクトルを先にステップにて生成された前記トルクベクトルとを更に合成すれば、2倍の励磁周期にて中間のトルクベクトルをつくりだすことができるとの考えに立って以下に述べる実施例を実現するに到った。
以下、本発明の代表的な実施例を、本発明の前提技術を示した図6を参照しつつ図7及び図8に基づいて具体的に説明する。
ここで、図7及び図8は本発明の第1及び第2実施例による超マイクロステップ駆動手順を示している。なお、以下の実施例の説明では、理解をしやすくするため、上述の説明と同様に、励磁周期をT、最小時間単位をtとしているが、具体例にはTが64μs、tが40nsである。また、以下の実施例では、その説明を簡略化するために、各励磁パターンにおける出力時間を補足した表記を用いている。例えば、励磁パターンBCの出力時間がT/2の場合、励磁パターンBCとして出力時間T/2を基準として以下のように表わす。詳しくは、励磁パターンBCの出力時間が最小単位時間tずつ漸減する場合には、BC(T/2)→BC(T/2−t)→BC(T/2−2t)、・・・、→BC(0)と表記する。
更に、図7及び図8に示す超マイクロステップ駆動において、各マイクロステップごとに、4回の励磁周期Tにて駆動される4個の励磁パターンを出力順に並べるとともにその出力時間を補足する表記を用い、出力時間付励磁シーケンスk1〜knとして簡略化している。
例えば、前提技術を示す図6において、第1番目のステップを示す一段目の励磁周期Tにおける励磁パターンごとに出力時間を附記した励磁シーケンス、BC(T/2)→CD(0)→AD(T/2)→BE(0)を出力時間付励磁シーケンスk1で表す。また、第2番目のステップを示す二段目の励磁周期Tにおける励磁パターンごとに出力時間を附記した励磁シーケンス、BC(T/2‐t)→CD(t)→AD(T/2−t)→BE(t)を出力時間付励磁シーケンスk2で表し、出力時間付励磁シーケンスk3は、第3番目のステップを示す三段目の励磁周期Tにおける励磁パターンごとに出力時間を附記した励磁シーケンス、BC(T/2‐2t)→CD(2t)→AD(T/2−2t)→BE(2t)を意味する。以下は同様に繰り返されて、励磁パターンごとに出力時間を附記した励磁シーケンスBC(0)→CD(T/2)→AD(0)→BE(T/2)が最後の出力時間付励磁シーケンスknとなる。
次に、上記表記を使って本発明の実施例1を具体的に説明する。この実施例1は基本ステップ角α(0.72°)を(n×m)分割するものであり、分割数mが2の場合の実施例である。すなわち、基本ステップ角αをn分割して得られる微小ステップ角α’を更に2分割した微細ステップ角α”(=α/(n×2))を歩進させて超マイクロステップにて駆動する。図示例によれば、この微細ステップ角α”を歩進する超マイクロステップによる駆動を、超マイクロステップごとに、それぞれ4回の励磁周期Tをもって駆動される。ここで、始めの分割数nは、励磁周期Tが64μs、最小単位時間tが40nsとすると、64000/40=1600となる。
このときの超マイクロステップは、続けて入力される2回の外部指令パルスごとに生成される合成ベクトルを一組として、二組を組み合わせて上述の微小なステップ角α/nの歩進を実現させるものである。具体的には、図7における一段目の2回の励磁周期Tと2段目の2回の励磁周期Tにおける各励磁パターンについて見ると、一段目にあっては1回目と2回目の励磁駆動はBC(T/2)→AD(T/2)と同じであり、この励磁駆動により合成ベクトルを生成している。これを二段目について見ると、既述したとおりアドレスカウンタ2のアドレス値「0」が「1」に更新されており、1回目の励磁周期における励磁駆動は前記一段目と同様にBC(T/2)→AD(T/2)であるが、2回目の励磁周期TではBC(T/2−t)→CD(t)→AD(T/2−t)→BE(t)のように励磁駆動して、新たな合成ベクトルを生成し、この一段目と二段目の合成ベクトルとを組み合わせて、図7の一段目に示す微小ステップα’(α/n)を歩進させるに必要な合成ベクトルを生成し、これを3段目以降も励磁パターンごとの励磁時間の割合を順次漸減、漸増させながら励磁駆動をn×m段、すなわちn×m回繰り返して、トータルとして基本ステップ角αを歩進させるに必要なトルクベクトルを生成する。このとき、各超マイクロステップごとに、4回の励磁周期T内の各励磁パターンに対する励磁出力の出力割合を規則的に分散するように変えている。
これを出力時間付励磁シーケンスで説明すると、分割数mが2の場合に、励磁ベクトルABCDの位置の超マイクロステップにおける出力時間を付した励磁シーケンスは、4回の励磁周期Tともに同じBC(T/2)→CD(0)→AD(T/2)→BE(0)であり、出力時間付励磁シーケンスk1を4回連続して行っているので、k1→k1→k1→k1と表すことができる。
次に、この励磁ベクトルABCDから微細ステップ角α”を一つ超マイクロステップするのに、出力時間付励磁シーケンスk1をとる励磁周期Tと、BC(T/2‐t)→CD(t)→AD(T/2−t)→BE(t)からなる励磁周期Tとが1回おきに連続的に出力されている。すなわち、これを出力時間付励磁シーケンスで表すと、k1→k2→k1→k2となる。三段以降の超マイクロステップの励磁については、出力時間付励磁シーケンスを用いて簡略的に示していくと、k2→k2→k2→k2、k2→k3→k2→k3、k3→k3→k3→k3、k3→k4→k3→k4、・・・、kn−1→kn→kn−1→kn、kn→kn→kn→knと変化している。そして、図7に示すように、この超マイクロステップごとに、各駆動パターンの各励磁パターンの出力時間を、漸増又は漸減している。例えば、図6の一番左側の励磁パターンBCにおいては、T/2、T/2、T/2−t、T/2−t、T/2−2t、T/2−2t、・・・、2t、2t、t、t、0、0というように2段ずつ同じ出力時間で順次出力時間を漸減させている。
このように、この実施例にあっては、2回の微細マイクロステップ駆動により、図6に示す一段目の微小ステップ角α/nから二段目の微小ステップ角α’の歩進へと近づき、3回目の微細マイクロステップ駆動にて、図6に示す二段目の微細マイクロステップ駆動の微小ステップ角α’を確実に歩進させる。この駆動手順をn×2回繰り返して、トータルとして基本ステップ角αを回動させるに必要な合成トルクベクトルを得ている。すなわち、2回の超マイクロステップ駆動にて微小ステップ角α’の1/2の微細ステップ角α”を歩進するに必要なトルクベクトルを、4回の励磁周期64μsごとに含まれる4個の励磁パターンの励磁時間を所定の割合で変化させて生成し、2回の超マイクロステップ駆動により得られる合成トルクベクトルをもって微小ステップ角α’を歩進させている。
図8は基本ステップ角αをn分割するとともに各分割ごとに更に4分割する超マイクロステップ方法を示している。このように分割数mが4の場合も、分割数mが2の場合と同様に説明できる。すなわち、微小ステップ角α’を更に4分割するとともに、この4分割された微細ステップα”を歩進する超マイクロステップにて駆動する。また、この超マイクロステップによる駆動は、4回の励磁周期64μsに含まれる各4つの励磁パターンの出力時間の割合を変化させた各励磁シーケンスに従ってなされる。この分割数mが4の場合にも、4回の微細ステップ角α”を歩進する超マイクロステップによる駆動は、超マイクロステップごとに、4回の励磁周期T(=64μs)を使って駆動している。更に、1回の超マイクロステップの駆動により進む微細ステップ角α”を、従来のマイクロステップにより進む微小ステップ角α’(=α/n)の1/4に相当するように、超マイクロステップごとに駆動される4回の励磁周期Tにおける励磁パターンBC,CD,AD,BEの励磁時間の割合(出力)を変化させている。
これを図8に基づいて具体的に説明すると、この分割数mが4の場合の超マイクロステップ駆動方法では、図6で前提となる実施例として示したn分割された各マイクロステップ間を、さらに4分割してステップ駆動している。
分割数mが4の場合に、最初の励磁ベクトルABCDの超マイクロステップにおける出力時間付励磁シーケンスは、励磁周期Tにて、BC(T/2)→CD(0)→AD(T/2)→BE(0)からなる出力時間付励磁シーケンスk1を4回連続的に励磁している(即ち、k1→k1→k1→k1)。つまり、各超マイクロステップごとの駆動時間は、4Tとなっている。つまり、各超マイクロステップにおける駆動時間が4倍の4Tとなり、ステップ数が4倍されているので、従来の基本ステップを駆動するのに要していた時間nTの16倍の駆動時間を要することになる。
次に、励磁ベクトルABCDの位置から一回の超マイクロステップが済むと、出力時間付励磁シーケンスk1を3回と、出力時間付励磁シーケンスk2を1回とからなる励磁駆動がなされる(k1→k1→k1→k2)。
それ以降の超マイクロステップの励磁については、出力時間付励磁シーケンスを用いて簡略的に示していくと、〔k1→k1→k2→k2、k1→k2→k2→k2〕、〔k2→k2→k2→k2、k2→k2→k2→k3、k2→k2→k3→k3〕、k2→k3→k3→k3〕、〔k3→k3→k3→k3、…〕、〔…、kn−1→kn−1→kn−1→kn−1〕、〔kn−1→kn−1→kn−1→kn、kn−1→kn−1→kn→kn、kn−1→kn→kn→kn、kn→kn→kn→kn、となる。また、各駆動パターンの各励磁パターンの出力時間は漸増又は漸減している。
このように、微細角度α”を歩進する超マイクロステップごとに、4個の超マイクロステップごとに得られる合成トルクベクトルを順次組み合わせて超合成トルクベクトルを生成し、微細ステップ角α”(α/(n×4))をn×4回順次駆動してトータルで基本ステップ角αを超マイクロステップ駆動する。
ここで、本発明の実施例2を示す図8と本発明の前提技術を示す図6とを比較すると、図8において図6の第1段、第2段、第3段、・・・の励磁シーケンスに相当する段数は、第1段、第5段、第9段、・・・と、4回の超マイクロステップを経て1つの微小ステップ角α’(α/n)を進ませていることが理解できる。本実施例では、5相ステッピングモータの基本ステップ角が0.72°で、最小単位時間tを現状で励磁可能な40nsに設定し、分割数nは励磁コントロールの周波数が可聴音領域の上限である15kHzから外れる800を基本としており、このときの各励磁周期Tも64μsと変わらない。この状態でマイクロステップ駆動を行っても、記述したとおり駆動回転中は勿論、ホールド中でも可聴音が発生しないばかりか、励磁電流のリップルも問題になることはない。
ところが本実施例2では、前記基本の駆動条件に微小ステップ角α’を更に4分割するのであるから、トータルの分割数(n×m)は3200となり、その分解能は800から6400(3200×2)へと極めて高くなる。そうなると、励磁周期Tは40ns×6400=256μsとなり、励磁コントロールの周波数は1/256μs=3.9062kHzとなって、可聴音域内(20Hz〜15kHz)に入ってしまい、駆動中であれば常に耳障りな音が発生することになる。
そこで本実施例2では実施例1と同様に、微細ステップ角α”(α/(n×4))の歩進に必要なトルクベクトルを、各励磁周期64μsの励磁パターンに対する励磁時間の出力の割合を変化させながら駆動し、4回の連続する超マイクロステップ駆動にて従来の1回のマイクロステップの微小ステップ角α’を歩進させるに必要なベクトルを合成する。こうしてn×4回のステップを繰り返して基本ステップ角である0.72°を歩進させる。つまり、本発明にあっては各超マイクロステップごとに、励磁コントロールの周波数が可聴音の音域から外れる(15kHzを越える)周波数である励磁周期64μsを基本として駆動するとともに、同時に各励磁周期ごとの励磁パターンに対する励磁時間を、最小単位時間t(40ns)を基礎として、予め決められた順序で変化させることによって、可聴音の発生と励磁電流のリップルの問題を事実上なくすことに成功したものである。
これを図8を用いて具体的に説明すると、図8の上から二段目のステップでは、左から4番目の励磁周期64μsにおいて励磁パターンCD及びBEが最小単位時間t(40ns)励磁される。すなわち、この二段目のステップでは最小単位時間tの励磁が64μs×4=256μsの周期で現れる。このときの励磁コントロールの周波数は可聴音域である3.90625kHzとなる。また、図8において上から三段目の励磁パターンCD及びBEに対しては最小単位時間40nsをもって2回ずつ励磁される。この励磁パターンCD及びBEは64μs×4回の励磁周期の左から3番目と4番目で現れ、その周波数は3.90625kHzとなり、理論上は可聴音域である。四段目では、励磁パターンCD及びBEの励磁がなくなるため、その励磁抜けの周期は64μs×4回=256μsごとに1回現れる。従って、このときの周波数は3.90625kHzとなり、同じく理論上は可聴音域である。しかしながら、これら一段目〜四段目までのパワー素子のスイッチング周波数はいずれも15.625kHzで変わらない。
また、図8の五段目は、図6の二段目と同様に基本角位置から微小ステップ角α’を歩進させた位置であり、4回の励磁周期Tの中においても、CDとBEはそれぞれ最小単位時間tの励磁が行われている。そのため、可聴音となる周波数は含まれていない。更に、六段目でも、4の励磁周期Tの何れにおいてもCDとBEは励磁されている。そして、六段目では、1回目、2回目、3回目の励磁周期Tでは、CDとBEはそれぞれ最小単位時間tの励磁が行われ、4回目の励磁周期Tでは、CDとBEはそれぞれ最小単位時間2tの励磁が行われる。これは、CDとBEとが出現する出現時間の幅(t時間だったものが2t時間となっている。)が異なるだけで、CDとBEとが出現する周波数は、1/64μsである15.625kHzになる。つまり、励磁周期Tごとに出現時間の幅は変わっても、出現する周波数は64μsごとであり、可聴音域外である15.625kHzで変わらない。
しかしながら、いずれのステップにおいても実際には耳障りな音が耳に達することはない。これは、前述の説明のとおり、耳障りな音が発生する周期が変化していることと、その耳障りな音が発生する時間が40nsと極めて僅かな時間であることから、この僅かな時間変化がもたらす可聴音の周波数が人の耳には聞こえてこないと考えられる。特に高調波が発生しやすい停止状態で駆動する、いわゆるホールド時にも、実際には耳障りな音が人の耳に聞こえることがない。
以上の説明から理解できるように、本発明によるN相ステッピングモータの超マイクロステップ駆動方法によれば、励磁パターン出力回路中の僅かに論理回路だけを一部変更するだけで、極めて低速で且つ滑らかな駆動回転を可能にでき、しかも励磁電流の切替え時に多発しやすいリップルの問題もなく、同時に駆動回転中は勿論として、仮にホールド時であっても作業者にとって耳障りな音の発生が事実上皆無となる、高い分解能を備えたN相のステッピングモータを実現する。
このように本発明では、従来からなされてきた基本ステップ角αをn分割してステップ駆動するマイクロステップ駆動に加えて、更に分割数をn×mに増やしてステップ駆動する超マイクロステップ駆動を開発するにあたり、各超マイクロステップごとに用いる励磁周期Tの回数を少なくとも2回以上としている。更に、この2回以上の励磁周期に含まれる各励磁パターンの励磁により得られる僅かに異なる合成トルクベクトル同士を更に合成して所望の合成トルクベクトルを得ることで、従来では得られなかった微細ステップ角α”(=α/(n×m))の歩進による超マイクロステップ駆動を可能にしている。
また、分割数mを増やすとともに、超マイクロステップごとの励磁周期Tの数を更に増加させることもできるが、その数はリップルの発生を考慮するとき2〜5回程度であることが望ましい。こうして本発明のマイクロステップ駆動方法によって駆動させるN相ステッピングモータは、位置決め精度の更なる高精度化や低速回転時の振動抑制が可能となり、高精度位置決め又は超低速のための等速モータとして使用することができるばかりでなく、励磁パターンの切替え時期が励磁が可能な最小単位時間を基礎に全体として規則的に分散させて設定しているため、作業者に不快感を与える定期的に発生する耳障りな可聴音の発生を事実上なくすことか可能となる。
そのため、本発明によるマイクロステップ駆動方法によって駆動されるN相ステッピングモータを超精密測定機器や超精密加工機器に搭載すれば、各種の精密技術分野における最適な条件を作りだすことができる。
上記の精密技術分野としては、光制御技術(並列光演算技術、レーザ安定化技術、超高速分光技術、超高速光制御技術、光パルスタイミング同期技術等)、光計測技術(単一光子検出技術、超高速光計測技術、ホログラム計測技術、各種表面分光技術、電界発光計測技術、移動度計測技術、干渉計測技術等)、デバイス技術(光電子デバイス作製技術、有機EL作製技術、デバイスプロセス技術、有機半導体素子作製技術等)等が挙げられる。
本発明は、本発明の技術思想を適用することができる装置等に対しては、本発明の技術思想を適用することができる。
ペンダゴン結線方式の5相ステッピングモータ駆動回路図である。 5相ステッピングモータのトルクベクトルとペンダゴン結線したトルクベクトルに対応する5相ステッピングモータの励磁電流の方向とを示す説明図である。 5相ステッピングモータの基本ステップにおける励磁パターン図である。 5相ステッピングモータの他の基本ステップにおける励磁パターン図である。 5相ステッピングモータの出力割合の一例を示す説明図である。 本発明の前提技術である従来の5相ステッピングモータのマイクロステップ駆動例を示す説明図である。 本発明の実施例1である超マイクロステップの駆動例を示す説明図である。 本発明の実施例2である超マイクロステップの駆動例を示す説明図である。 3相ステッピングモータの駆動回路図である。 従来のマイクロステップ駆動例を示す説明図である。
符号の説明
1 5相ステッピングモータ
1a 励磁相
1b 励磁相
1c 励磁相
1d 励磁相
1e 励磁相
2 励磁パターン出力回路
2a アドレスカウンタ
2b 励磁周期カウンタ
2c メモリ
3 パワー素子駆動回路
4 PWM定電流駆動コントロール回路
5 電流検出抵抗
101 励磁パターン発生回路
102 定電流コントロール回路
103 総電流センシング抵抗
104 出力段
105 ステッピングモータ
108 電源用スイッチング手段
109 コイル
117 電源電圧
118 モータ駆動電圧
110 ダイオード
T 励磁周期
t(励磁可能な)最小単位時間

Claims (6)

  1. N相ステッピングモータの基本ステップ角αをn分割して、外部指令パルスの入力ごとにα/nの微小ステップ角α’を歩進させることを含むマイクロステップ駆動方法にあって、
    前記分割された微小ステップ角α’(=α/n)ごとに、2以上の整数である分割数mをもって、前記微小ステップ角α’をm分割した微細ステップ角α”(=α/(n×m))を作成すること、
    前記微小ステップ角α’の歩進を、異ならせた複数個の励磁パターンからなる組で行うこと、
    微細ステップ角α”を歩進させる超マイクロステップを、励磁周期Tで前記組内の各励磁パターンを励磁し、前記励磁周期Tでの励磁を、少なくとも前記分割数mの回数行うこと、
    前記励磁周期Tでの励磁をm回の正の整数倍行うことにより、前記微細ステップ角α”の歩進を行ったときの合成トルクベクトルを生成すること、
    微細ステップ角α”を歩進させた後に続けて次の微細ステップ角α”の歩進を行うこと、
    前記超マイクロステップを順次行うごとに、前記組内の各励磁パターンをそれぞれ励磁する励磁時間を、励磁が可能な最小単位時間tを基礎として、各励磁パターンごとに順次増加又は順次減少させ、かつ前記各超マイクロステップにおける前記励磁周期Tによるm回の各励磁において、前記組内の各励磁パターンをそれぞれ励磁する励磁時間を規則的に分散させること、
    前記超マイクロステップを順次m回行うことにより、前記微小ステップ角α’の歩進を行わせ、前記微小ステップ角α’を歩進させるのに必要なトータルの合成トルクベクトルを生成すること、を特徴とするN相ステッピングモータの超マイクロステップ駆動方法。
  2. 前記分割数nが800より大きな整数であり、前記最小単位時間tが40nsであることを特徴とする請求項1に記載の超マイクロステップ駆動方法。
  3. 前記分割数mが2〜5の整数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超マイクロステップ駆動方法。
  4. 前記請求項1〜のいずれかに記載の超マイクロステップ駆動方法により駆動されるN相ステッピングモータ。
  5. 前記請求項に記載のN相ステッピングモータを搭載してなることを特徴とする超精密測定機器。
  6. 前記請求項に記載のN相ステッピングモータを搭載してなることを特徴とする超精密加工機器。
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