JP5326183B2 - レーザアニール方法 - Google Patents
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第1のレーザアニール方法として、透明な容器内に半導体基体を載置するとともに、該容器内にシリコン酸化膜と屈折率の等しい液体を満たし、さらに半導体基体の上方から液体を通過させてレーザ光を照射する方法が知られている。(特許文献1)
また第2のレーザアニール方法として、真空にされたチャンバー内にアモルファスシリコン膜を表面に形成したガラス基板などの試料を載置し、この試料の表面に上記チャンバーに形成された窓を介してレーザ光を照射する方法が知られている。(特許文献2)
そして第3のレーザアニール方法として、真空状態にされた加工チャンバ内にアモルファスシリコン薄膜を表面に形成したプラスチック基板を載置し、このアモルファスシリコン薄膜の表面にパルスレーザ光を照射する方法が知られている。(特許文献3)
また特許文献2,3の場合も、真空中にアモルファスシリコン膜を形成した基板を載置することで酸化膜の生成を防止しているが、アニーリングを行う
たびにチャンバ内を真空にする作業を行わなければならず、作業が煩雑になるとともに、装置が複雑化するといった問題が生じていた。
このような問題に鑑み、煩雑な作業が不要なレーザアニール方法を提供するものである。
上記被加工物に対して液体を噴射し、該液体により被加工物表面の所要部分を覆うとともに、噴射した液体内にレーザ光を導光して、該レーザ光を被加工物に照射することで、
上記レーザ光によって加熱した被加工物を冷却し、また上記液体によりレーザ光の照射される部分を覆って、大気に触れない状態を維持して酸化を防ぐことを特徴としている。
このため、上記特許文献1のように容器の液体の交換・補充作業が不要となり、特許文献2、3のようなチャンバを真空にする作業が不要となるため、効率的にアニーリングをすることが可能となる。
また、上記特許文献1のように液体を貯溜する容器や、特許文献2、3のようなチャンバを真空にする負圧発生手段が不要となるため、簡易なアニーリング装置を得ることができる。
このレーザアニール装置1は、上記被加工物2を支持する加工テーブル3と、レーザ光Lを発振するレーザ発振器4と、高圧にした純水等の液体を供給する液体供給手段5と、被加工物2に向けて純水を液柱Wとして噴射するとともに、レーザ光Lを上記液柱Wに導光する加工ヘッド6とを備え、これらは図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
上記加工テーブル3は従来公知であるので詳細な説明をしないが、上記被加工物2を加工ヘッド6に対して水平方向に移動させるようになっており、また上記加工ヘッド6は図示しない昇降手段によって垂直方向に移動するようになっている。
上記アモルファスシリコン膜2bは非晶質のため電子の移動度が低く、短時間に大量の電子を流すことが出来ないという性質があった。
そこで、アモルファスシリコン膜2bにレーザ光Lを照射して瞬時に加熱溶融させその後冷却する、すなわちレーザ光によってアニーリングすることで、アモルファスシリコンを結晶化させて基板2a上に電子の移動度が高いポリシリコン膜を形成することができ、高性能な液晶ディスプレイ基板として利用することができる。
また、YAGレーザ光Lの基本波の波長(1064nm)が上記アモルファスシリコンへの吸収率が低いので、本実施例のレーザ発振器4には上記基本波を第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)に変換する、図示しない波長変換手段が設けられている。
レーザ発振器4と加工ヘッド6との間には、レーザ光Lを遮断するシャッタ手段11と、レーザ光Lを加工ヘッド6に向けて反射させる反射ミラー12と、照射されたレーザ光Lを集光する集光レンズ13とが設けられている。
上記シャッタ手段11は上記制御手段によって制御され、図示しない駆動手段によりレーザ光Lの光路上と光路外とを往復動する反射ミラー11aと、当該反射ミラー11aによって反射したレーザ光Lのエネルギーを吸収するダンパ11bとを備えている。
上記反射ミラー11aをレーザ光Lの光路上に位置させると、レーザ光Lは当該反射ミラー11aに反射し、当該レーザ光Lのエネルギーが上記ダンパ11bに吸収される。
一方、反射ミラー11aをレーザ光Lの光路外に移動させると、レーザ光Lは上記反射ミラー12で反射した後、集光レンズ13を介して上記加工ヘッド6へと照射される。
上記貯水タンク21は給水源24に接続されており、給水源24と貯水タンク21とを接続する導管23には、給水源24からの純水の供給を制御する開閉弁25と、給水源24から供給される純水に含有される異物を除去する余水フィルタ26とを備えている。
上記ポンプ22と加工ヘッド6との間には、上流側のポンプ22側から順に、ポンプ22への純水の逆流を防止する逆止弁27、上記制御装置によって開閉作動を制御される電磁開閉弁28、ポンプ22から送液される純水を貯溜するとともにポンプ22からの圧力を蓄圧するアキュムレータ29、純水内の異物を除去するフィルタ30が設けられている。
従来公知のとおり、上記アキュムレータ29は、その内部に封入しているガス圧を変更することで蓄圧力を調整するものとなっている。
また、給水源24から貯水タンク21までの導管23と、ポンプ22から加工ヘッド6までの導管23とは、平行する2本の導管23によって接続されており、一方の導管23には逆止弁31が、他方の導管23には圧力調整弁32が設けられている。
上記逆止弁31により、上記電磁開閉弁28が閉鎖されたときなどにポンプ22から吐出される高圧水を貯水タンク24に戻すようになっており、圧力調整弁32はポンプ22から加工ヘッド6までの導管23内部の高圧水の圧力を一定に保つために設けられている。
上記ハウジング41の側面には、上記ガラス板43および噴射ノズル42との間に形成された液体通路45に連通すると共に、上記導管23に接続される接続口41aが設けられており、上記液体供給手段5から供給された純水は接続口41aから液体通路45内に流入した後、上記噴射ノズル42から液柱Wとなって噴射されることとなる。
上記噴射ノズル42は、ハウジング41の下端部に嵌合するステー46の中央に固定されており、このステー46は上記ハウジング41の下面にリング状の固定部材47によって固定されている。
この噴射ノズル42の中央には噴射孔48が形成され、この噴射孔48は集光レンズ13側に形成されて加工テーブル3側に向けて縮径する第1傾斜面48aと、この第1傾斜面48aの最小径部48bより加工テーブル3側に向けて拡径する第2傾斜面48cとから構成されている。
そして、上記噴射ノズル42の下方には上記ステー46および固定部材47を貫通する貫通孔46a、47aが形成され、この貫通孔46a、47aの径は噴射ノズル42の外径よりも小径で、かつ上記第2傾斜面48cの下端部の径よりも大径に設定されている。
上記ガラス板43は上記噴射ノズル42と集光レンズ13との間に位置し、上記ハウジング41にナット49を用いて固定されており、上記液体通路45の純水が該ガラス板43よりも上方の空間に漏出するのを防止し、また集光レンズ13によって集光されたレーザ光Lが透過するようになっている。
ここで、本実施例における噴射孔48の上記最小径部48bの直径は、噴射される液柱Wの径が大きくなるほどアニーリングできる範囲が大きくなる一方、純水の消費量が増大してレーザ発振器4によるレーザ光Lの出力も向上させなければならないことから、100〜200μmとするのが望ましい。
本実施例では、噴射ノズル6の上記最小径部48bをφ150μm、噴射される液柱Wの水圧を5〜30MPaとし、レーザ発振器4のレーザ強度を50〜200mJ/パルス、パルス幅を10〜100nsとし、加工テーブル3と加工ヘッド6との相対移動速度を100mm/sと設定した。
この状態からレーザアニール装置1を始動させると、制御手段は液体供給手段5を制御し、上記ポンプ22によって貯水タンク21内の純水を加工ヘッド6に向けて送液を開始する。なお、貯水タンク21には予め給水源24より十分な量の純水が供給されている。
そして、上記ポンプ22によってアキュムレータ29内や加工ヘッド6までの導管23を介して加工ヘッド6内の液体通路45内に純水が充満すると、純水は上記噴射ノズル42の噴射孔48から噴射され、噴射された純水は液柱Wとなって被加工物2表面のアモルファスシリコン膜2bに到達する。
そしてアモルファスシリコン膜2bに到達した純水は、そこでアモルファスシリコン膜2b表面に沿って広がり、レーザアニールの行われる部分が純水によって覆われることとなる。
電磁開閉弁28を閉鎖した後、噴射孔48より噴射される液柱Wが安定した状態となると、制御手段は直ちにシャッタ手段11を制御して反射ミラー11aをレーザ光Lの光路外に移動させ、これによりレーザ光Lは反射ミラー12に反射した後、集光レンズ13によって集光される。
集光されたレーザ光Lはガラス板43および液体通路45内の純水を通過し、さらに噴射孔48の第1傾斜面48aで反射して液柱Wに形成された純水内に導光され、その後液柱W内で反射を繰り返しながら、アモルファスシリコン膜2bに照射される。
その結果、アモルファスシリコン膜2bはアニーリングされ、結晶化してポリシリコン膜となる。このとき形成されるポリシリコン膜は、噴射ノズル42より供給される純水により急激に冷却されるので、真空中でのレーザアニールに比較して結晶粒が大きくなり、電子の移動度の高いポリシリコン膜を得ることができる。
また、レーザ光Lの照射される部分は液柱Wの純水によって覆われるので、当該部分が大気に触れない状態を維持することができ、ポリシリコン膜の酸化を防止することができる。
さらに、レーザ光Lは液柱W内で反射を繰り返しながらアモルファスシリコン膜2bに照射されるようになっているので、ビームホモジナイザ等を用いなくとも、レーザ光Lの強度を均一化でき、またレーザ光の焦点距離を精密に合わせる必要もない。
さらに特許文献1の場合、基板が液中に位置しているので、アモルファスシリコン膜が大気に触れることはないが、液体が流れているわけではないので、レーザ光の照射によりその周囲の水温が高くなってしまう。
水温が高くなると、急激な冷却効果が得られずにポリシリコン膜の結晶粒を大きくすることができず、また液体中に温度の境界層が形成されるので、該境界層でレーザ光が屈折してしまうといった問題も生じてしまう。
そして、上記特許文献2、3の場合、レーザアニールを行うたびにチャンバ内を真空にしなければならず、負圧発生手段等の設備が必要となっていた。
また、特許文献2、3ではレーザ光の照射された位置の急激な冷却を行うことはできなかった。
本実施例の加工ヘッド106は、上記昇降手段によって垂直方向に移動するハウジング141と、ハウジング141の下部に設けられた噴射ノズル142とから構成されている。
上記ハウジング141の内部には液体通路145が形成されて上記液体供給手段5の導管23に接続されており、該ハウジング141の上面中央にはレーザ光Lを透過させるガラス板143がはめ込まれている。
上記噴射ノズル142の内部には上記液体通路145に連通するとともに、下方に向けて縮径する円錐状部142aと、該円錐状部142aの下方に位置する円柱状部142bとが形成されている。
そして、上記噴射ノズル142の下端部142cと被加工物としてのアモルファスシリコン膜2b上面との間隔は1mm程度となっており、上記液体供給手段5から供給された純水は液体通路145内に流入した後、上記噴射ノズル142の円柱状部142bから噴射される。
なお、加工ヘッド106に対して加工テーブル3が水平方向に移動する際には、噴射ノズル142の下端部142cとアモルファスシリコン膜2b上面との間隔が一定に保たれるようになっている。
その状態でレーザ発振器4よりレーザ光Lを照射すると、レーザ光Lは上記ガラス板143を通過した後、噴射ノズル142の円錐状部142aで反射した後、さらに円柱状部142b内で反射を繰り返し、噴射ノズルの下端部142cの位置から照射される。
このとき下端部142cとアモルファスシリコン膜2bとの間隔が狭くなっているため、レーザ光は直ちにアモルファスシリコン膜2bに照射され、その結果レーザアニールが行われてポリシリコン膜が得られるようになる。
本実施例の場合も、噴射ノズル142から噴射された純水がレーザ光Lの照射される位置を覆うように広がるので、上記第1の実施例と同様の効果を得ることができ、純水は順次供給されるのでレーザ光Lの照射された位置を急激に冷却することもできる。
上記第1の実施例に対しては、液柱Wがアモルファスシリコン膜2bに到達する前に拡散することがないといった効果が得られる。
2b アモルファスシリコン膜 4 レーザ発振器
6、106 加工ヘッド 42、142 噴射ノズル
L レーザ光 W 液柱
Claims (4)
- 被加工物の表面にレーザ光を照射して、該被加工物のアニーリングを行うレーザアニール方法において、
上記被加工物に対して液体を噴射し、該液体により被加工物表面の所要部分を覆うとともに、噴射した液体内にレーザ光を導光して、該レーザ光を被加工物に照射することで、
上記レーザ光によって加熱した被加工物を冷却し、また上記液体によりレーザ光の照射される部分を覆って、大気に触れない状態を維持して酸化を防ぐことを特徴とするレーザアニール方法。
- 上記被加工物は、基板と、該基板上に形成された非晶質半導体膜とからなり、上記非晶質半導体膜にレーザ光を照射して結晶化することを特徴とする請求項1に記載のレーザアニール方法。
- 上記液体を液柱の状態にして噴射し、レーザ光を該液柱内に導光することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のレーザアニール方法。
- 上記レーザ光を、YAGレーザの高調波とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のレーザアニール方法。
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