JP5325909B2 - 履帯式走行車両の終減速装置およびこれを備えた履帯式走行車両 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ブルドーザの履帯内側に形成される空間の後端部に配置された終減速装置の構成について開示されている。
一般的に、終減速装置を収納するケースは、終減速装置の回転軸を軸方向とする略円筒状であることが多い。このため、履帯式走行車両に終減速装置を搭載した状態では、略円筒状の終減速装置ケースは回転軸方向が水平方向に沿って配置されるため、無端状の履帯の内側の面と終減速装置の外周面との間の隙間は、履帯式走行車両のスプロケットに近い位置ほど狭くなっていく。
本発明の課題は、簡易な構成により、終減速装置と履帯との間に岩石等の異物が噛み込まれて内部へ進入して行くことを抑制することが可能な履帯式走行車両の終減速装置およびこれを備えた履帯式走行車両を提供することにある。
これにより、終減速装置ケースの外周面と履帯の内側の面との間の隙間を効果的に埋めることができるとともに、仮に、小さな異物が隙間に入り込んだ場合でも、傾斜部によって履帯の外側へと排出することができる。よって、簡易な構成により、終減速装置と履帯との間に岩石等の異物が噛み込まれて内部へ進入していくことを抑制することができる。この結果、終減速装置の周辺に配置された部品等へ悪影響を及ぼすことを防止することができる。
ここでは、上述した傾斜部の形状として、履帯式走行車両の前後方向に対して傾斜する面を含む形状を採用している。
これにより、万一、履帯の内側の面と終減速装置のケースの外周面との間の隙間に岩石等の異物が進入した場合でも、この異物を傾斜面に沿って履帯の外側へと効果的に排出することができる。
これにより、前側の下端部に設けられた第1肉付け部によって、履帯式走行車両が前進している際に上記隙間に岩石等の異物が進入することを抑制しつつ、第2肉付け部によって、履帯式走行車両が後進、方向転換する際にも上記隙間に岩石等の異物が進入することを抑制することができる。
通常、履帯の内側の空間における後端部に配置された終減速装置に対して、履帯は後方ほど接近し、前方はある程度の距離を隔てて配置されている。
これにより、簡素な形状により、傾斜部の傾斜面を利用して、隙間に入り込んだ異物を効果的に排出することができる。
これにより、終減速装置ケースの一部に、第1肉付け部を容易に形成することができる。
ここでは、上述した終減速装置を含む履帯式走行車両を構成している。
これにより、上述したように、簡易な構成により、終減速装置と履帯との間に岩石等の異物が噛み込まれて内部へ進入していくことを抑制して、終減速装置の周辺に配置されたボルト等の部品の変形や破損等の不具合の発生を防止することができる、等の効果を同様に得ることができる。
なお、以下の説明において用いられる「前後方向」とは、図1等に示しているように、ブルドーザ1の車体前後方向と一致する方向を意味するものとする。
本実施形態に係るブルドーザ1は、建設機械であって、図1に示すように、主として、キャブ2、車体フレーム3、作業機構6、走行装置7を備えている。
キャブ2には、運転者が着座するためのオペレータシートや各種操作のためのレバー、ペダルおよび計器類等が内装されている。キャブ2は、底部が図示しないフロアフレームによって構成されており、フロアフレーム上にピラーや側板が載置されている。
車体フレーム3は、作業機構6および走行装置7が取り付けられており、その上部にはキャブ2が載置されている。また、車体フレーム3は、内部にエンジン11等が設けられており、エンジン11において発生した回転駆動力が、終減速装置15を経由して後述する走行装置7のスプロケット73に伝達される。なお、この車体フレーム3の内部構成については、後段にて詳述する。
車体フレーム3は、図2に示すように、内部に、エンジン11、トルクコンバータ12、トランスミッション13、ステアリングギアボックス14、終減速装置15等を格納している。
エンジン11は、ブルドーザ1に搭載された作業機構6や走行装置7を駆動するための動力源であって、車体フレーム3内における中央部付近に配置されている。
トルクコンバータ12は、オイルを介してエンジン11の動力を終減速装置15の入力軸に対して伝達するものであって、車体フレーム3内における後ろ寄りに配置されている。
終減速装置15は、ステアリングギアボックス14の左右にそれぞれ配設されており、左右の履帯70が巻き掛けられたスプロケット73に駆動力を伝達するとともに、大きな減速比を得るために1段または2段以上の減速段を有する。なお、この終減速装置15の具体的な構成については、後段にて詳述する。
図3は、参考例として、一般的な構成を備えた終減速装置121周辺の構成を示す拡大斜視図である。なお、図3には、左側の履帯70を駆動するために設けられた終減速装置121を車体内側から見た図が示されている。
図3に示すように、一般的な終減速装置121のケースの形状では、履帯70の内面側に岩石(異物の一例)Rが乗った状態でブルドーザ1が前進すると、終減速装置121のケースの形状では、岩石Rが履帯70の内面とケース外周面との間の隙間に噛み込んで内部へ進入していくおそれがある。この場合、終減速装置121の周辺に配置されたボルト等の部品に対して悪影響を及ぼすおそれがある。
肉付け部23aは、図5に示すように、ケース下部22の下部外周面における前方寄りの位置から外側へ突出するように形成されている。換言すれば、肉付け部23aは、図4に示すように、履帯70の内面とケース21の外周面との間の隙間を狭めるように、ケース下部22の外周面から履帯70の内面に向かって突出するように形成されている。
第1面23aaは、ブルドーザ1への装着状態において略鉛直方向に沿って形成され、図6に示すように、肉付け部23aの一部を構成する平面である。第1面23aaは、図4に示すように、ブルドーザ1の前進時に履帯70の内面上に乗った状態で搬送されてくる岩石Rと衝突して、ケース21の外周面と履帯70の内面との間の隙間に、岩石R等が入り込むことを抑制する。
第1面23baは、スプロケット73に巻きかけられた履帯70の円弧状の内面との隙間を最小限とするために、図7に示すように、略円弧状に外側へ突出するように形成されている。これにより、第1面23baは、ブルドーザ1の方向転換時等において、履帯70の内面とケース21との間の隙間に入り込もうとする岩石Rと衝突して、岩石Rがこの隙間に入り込むことを抑制する。
すなわち、ケース下部22の前後に形成された傾斜部24a,24bは、前後方向に対して異なる傾斜角度α,β(本実施形態では、α>β)を有している。
本実施形態の終減速装置15は、図5に示すように、ブルドーザ1に搭載された終減速ギアトレイン20を内部空間に収納するケース21と、ケース下部22の外周面と履帯70の内面との間の隙間の大きさを狭めるようにケース下部22の下部外周面から突出した肉付け部23a,23bと、を有するケース21を備えている。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、傾斜部24a,24bを有する肉付け部23a,23bを、ケース下部22の外周面から突出するように設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
この場合でも、履帯とケースの下部外周面との間に入り込む岩石等の異物の進入を効果的に抑制することができる。
上記実施形態では、ケース21の下部における前後方向にそれぞれ肉付け部23a,23bを設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図10に示すように、終減速装置15の下部の前方のみに肉付け部23aを設けた構成であってもよい。
この場合には、履帯式走行車両の前進時に、履帯と終減速装置ケースの外周面との間の隙間に岩石等が入り込むことを、効果的に抑制することができる。
2 キャブ
3 車体フレーム
6 作業機構
7 走行装置
11 エンジン
12 トルクコンバータ
13 トランスミッション
14 ステアリングギアボックス
15 終減速装置
20 終減速ギアトレイン
21 ケース
22 ケース下部
23a 肉付け部
23aa 第1面
23ab 第2面
23b 肉付け部
23ba 第1面
24a 傾斜部
24b 傾斜部
60 ブレード
61 支持フレーム
63 油圧シリンダ
70 履帯
71 トラックフレーム
72 アイドラ
73 スプロケット
121 終減速装置
122 ケース下部
123a 肉付け部
123b 肉付け部
R 岩石(異物)
Claims (7)
- 終減速ギアトレインと、
前記終減速ギアトレインを内部空間に収納するケースと、
を備えており、
前記ケースは、履帯式走行車両の無端状の履帯の内側の後端部に配置された状態において前記履帯の内側の面と前記ケースの外周面との間の隙間を狭めるように下部外周面から前記履帯の内面に向かって突出するように形成され、前記履帯式走行車両に取り付けられた状態において、前記履帯との間に噛み込んだ異物を前記履帯の外側へ誘導する傾斜部と、略鉛直方向に沿って形成される第1面と、前記履帯の内面に対して対向するように略水平方向に沿って形成される第2面と、を含む第1肉付け部を有する、
履帯式走行車両の終減速装置。 - 前記傾斜部は、前記履帯式走行車両の前後方向に対して傾斜する面を有している、
請求項1に記載の履帯式走行車両の終減速装置。 - 前記ケースの下部外周面における後方寄りの位置から外側へ突出するように形成された傾斜部を含む第2肉付け部をさらに有している、
請求項1または2に記載の履帯式走行車両の終減速装置。 - 前記第1・第2肉付け部は、それぞれ前記履帯式走行車両に取り付けられた状態において前記履帯との間に噛み込んだ異物を前記履帯の外側へ誘導する第1・第2傾斜部を有しており、
前記第1傾斜部の傾斜面の角度は、前記第2傾斜部の傾斜面の角度よりも大きい、
請求項3に記載の履帯式走行車両の終減速装置。 - 前記傾斜部は、平面または曲面を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の終減速装置。 - 前記第1肉付け部は、前記ケースと一体的に成形されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の終減速装置。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の履帯式走行車両の終減速装置を、
備えた履帯式走行車両。
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