以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るトイレットペーパーホルダー1の外観構成を表すものであり、図2は、トイレットペーパーホルダー1の内側の構成を表すものであり、図3は、トイレットペーパーホルダー1を側面から見た内部構成について一部の構成要素を取り出して表すものであり、図4は、トイレットペーパーホルダー1の断面構成の一部を表すものであり、図5は、トイレットペーパーホルダー1を上から見た内側の構成を取り出して表すものであり、図6は、トイレットペーパーホルダー1を上から見た構成を表すものである。このトイレットペーパーホルダー1は、ロール状のトイレットペーパーMを回転させて引き出すことができるように保持するものであり、例えば、壁などに取り付けるための背面板11と、背面板11に対して配設され、トイレットペーパーMの側面を覆う一対の側面体12と、背面板11に対して配設され、トイレットペーパーMの上方を覆う上蓋13とを備えている。
側面体12は、下側において背面板11に対して回動可能に取り付けられている。側面体12の上側は、背面板11に対して着脱手段14(図3参照)により着脱可能に固定され、前側に倒すことができるようになっている。着脱手段14は、例えば、磁石などによる磁力を利用して着脱することができるように構成されている。側面体12の外側には、取っ手15が設けられており、取っ手15を持って側面体11の上側を前側に倒すことができるようになっている。取っ手15は、両方の側面体12に設けてもよく、片方の側面体12に設けるようにしてもよい。一対の側面体12の内側には、トイレットペーパーMを回転可能に支持する一対の支持手段16が対向方向に向かって突出するようにそれぞれ設けられている。支持手段16は、例えば、ばねなどにより倒すことができるように構成されており、これによりトイレットペーパーMを着脱することができるようになっている。
上蓋13は、背面板11に対して回動可能に取り付けられた支持蓋部13Aと、支持蓋部13Aに対して蝶番などにより下側に向かって回動可能に取り付けられた押圧蓋部13Bとを有している。支持蓋部13Aは、幅方向における両端部が一対の側面体12の上端部に当接することにより支持されている。押圧蓋部13Bは、支持蓋部13Aと押圧蓋部13Bとに掛け渡して配設された板ばね13Cにより支持されており、押し下げられた状態からもとに戻ることができるようになっている。押圧蓋部13Bの先端部近傍には、押圧した際に先端部が当接する当接部材12Aが設けられている。当接部材12Aの両端部は、一対の側面体12に対して配設されている。支持蓋部13Aの背面板11に対する取り付け部には、支持蓋部13Aを上方に向かって付勢するばねなどの付勢部材13Dが配設されており、支持蓋部13Aは蓋固定部材13Eにより、側面体12に対して着脱可能に固定されている(図4参照)。蓋固定部材13Eは、例えば、磁石などによる磁力を利用して着脱することができるように構成されている。支持蓋部13Aの側面体12の近傍には、先端側に向かって傾斜して突出された傾斜突起部13Fが設けられており、その背面板11の側の近傍には、側面体12に対して配設された突起部12Bが設けられている(図4参照)。これにより、側面体12を前に倒すと、突起部12Bが傾斜突起部13Fに当たり、支持蓋部13Aを上方に持ち上げて、蓋固定部材13Eによる固定が解除され、付勢部材13Dにより上蓋13が開くようになっている。
上蓋13の下方には、トイレットペーパーMの先端部を三角形状に折り曲げるための定規17が配設されている。定規17は、トイレットペーパーMの引き出し方向に向かって中央部が突出するように幅が狭くなる三角状部17Aを有している。定規17の後端部は、定規芯17Bに対して回動可能に配設されている。定規芯17Bは、一対の側面体12にそれぞれ回動可能に配設された一対の移動手段18(図3参照)の上端部に対して、両端部がそれぞれ固定されている。移動手段18は、回動することにより定規17を定位置からトイレットペーパーMの引き出し方向に移動させるものである。一対の移動手段18の下端部には、それらを連結する連結部材18Aが配設されている。移動手段18には、また、上端側をトイレットペーパーMの引き出し方向とは逆方向に付勢するばねなどの付勢部材18Bが配設されており、定位置からトイレットペーパーMの引き出し方向に移動された定規17を定位置に戻すことができるようになっている。定規17は、定位置にある時に、先端が持上手段19により持ち上げられて浮いた状態となっている。トイレットペーパーMの先端部を折り曲げやすくするためである。持上手段19は、例えば、磁石などによる磁力を利用して持ち上げるように構成されており、定規17の三角状部17Aの下側と、その下方とに、互いに反発する極を対向させた一対の磁石19Aがそれぞれ配設されている。
定規17の上側には、トイレットペーパーMの引き出し方向に移動された定規17が定位置に戻る際に、トイレットペーパーMの逆送を防止する逆送防止手段21が配設されている。逆送防止手段21は、後端部において一対の側面体12に対して回動可能に配設されており、先端部の一部は定規17と接触している。逆送防止手段21は、トイレットペーパーMを支えて、トイレットペーパーMと定規17との接触を少なくし、逆送を防止するようになっている。定規17の下側近傍には、トイレットペーパーMの両端部を定規17の下方に向って内側に折り込むように回動する一対の折込手段22が配設されている(図5参照)。折込手段22は、例えば、一方向に伸長されており、一端部が側面体12に対して回動可能に配設され、他端部が側面体12の側から内側に向かい定規17の下側近傍まで回動するように構成されている。折込手段22の一端部には、他端部を側面体12の側から内側に向かって付勢するばねなどの付勢部材22Aと、折込手段21を上方に向かって付勢するばねなどの付勢部材22Bとが配設さている(図4参照)。定規17の下側近傍には、また、折り込まれたトイレットペーパーMを一対の折込手段22との間に挟んで保持する一対の挟持手段23が配設されていることが好ましい。挟持手段23は、例えば、ばね23Aなどにより折込手段21の方向に力を加えることができるように構成されていることが好ましい。
折込手段22は、側面体12に設けられた配設凹部12Cに対して配設され、一部が収納されるようになっている。配設凹部12Cには、折込手段22をトイレットペーパーMの両側に退避させて固定する退避固定手段24が配設されている(図4および図5参照)。退避固定手段24は、例えば、配設凹部12Cの上側に折込手段22の一部が接触するように磁石を配設し、磁力により折込手段22を固定するようにしてもよく、ばねなどにより折込手段22を挟み込んで固定するようにしてもよい。折込手段22には、定規17の近傍に回動した他端部を側面体12の側に戻し、折込手段22をトイレットペーパーMの両側に退避させる退避手段25が配設されている。退避手段25は、例えば、折込手段22から突出するように設けられた棒状部材25Aと、棒状部材25Aを押して折込手段22を回動させる押圧部25Bとを有している。押圧部25Bは、定規芯17Bに対して配設され、移動手段18に連動して、定規17をトイレットペーパーMの引き出し方向に移動させる際に棒状部材25Aを押して、折込手段22を退避させるようになっている。
折込手段22の上側近傍には、折込手段22を下方に押すことにより退避固定手段24による折込手段22の固定を解除する一対の固定解除部材26が設けられている。固定解除部材26は、押圧蓋体13Bの内側に、下側に突出して配設されており、押圧蓋体13Bを下方に押し下げることにより、折込手段22の他端部側を下方に押し下げ、磁石またはばねなどによる固定から解除するようになっている(図4および図6参照)。押圧蓋体13Bの内側には、また、固定を解除された一対の折込手段22が回動してトイレットペーパーMを折り込むことを一時的に停止する一対の一時停止部材27が設けられていることが好ましい。トイレットペーパーMの先端部の切断が終了する前に折込手段22が回動すると、トイレットペーパーMをきれいに折り込むことができない場合があるからである。一時停止部材27は、固定解除部材26よりも定規17の側において、折込手段22が回動する軌道に対応する位置に、下側に突出して配設されている(図4および図6参照)。一時停止部材27は、押圧蓋体13Bが下方に押し下げられることにより、折込手段22の回動軌道まで押し下げられて回動を停止し、押圧蓋体13Bの押圧が停止されると、上方に移動して折込手段22の回動停止を解除するようになっている。
押圧蓋体13Bの内側には、更に、トイレットペーパーMの両端部を定規17よりも下方に押し下げる一対の押下部材28が設けられている。押下部材28は、一時停止部材27よりも定規17の側において、定規17が定位置にある時に三角状部17Aの両脇に対応する位置に、下側に突出して配設されている(図4および図6参照)。これにより、トイレットペーパーMの両端部が定規17よりも下方に押し下げられ、折込手段22は、押下部材28により押し下げられたトイレットペーパーMの両端部を折り込むように回動するようになっている。
このトイレットペーパーホルダー1は次のようにして用いられる。図7は、トイレットペーパーホルダー1にトイレットペーパーMを取り付ける手順を表すものである。このトイレットペーパーホルダー1では、図7(A)に示したように、まず、取っ手15を持って側面体12の上側を前に倒す。その際、突起部12Bが傾斜突起部13Fに当たり、上蓋13が持ち上げられ、蓋固定部材13Eによる固定が解除されて、付勢部材13Dにより上蓋13が開く。次いで、図7(B)に示したように、トイレットペーパーMを一対の側面体12の間に挿入して、支持手段16に取り付け、トイレットペーパーMの先端部は、逆送防止手段21および定規17の上に乗せる。その後、図7(C)に示したように、側面体12の上側を背面板11に固定し、上蓋13を閉める。これにより、トイレットペーパーMは支持手段16により支持され、長手方向の先端部が逆送防止手段21および定規17と上蓋13との間を通して引き出されて取り付けられる。
また、トイレットペーパーMを切り取る際には、トイレットペーパーMの先端部を引き出し、上蓋13の押圧蓋体13Bを押し下げて、上蓋13に沿って切り取る。トイレットペーパーホルダー1の内側では、押圧蓋体13Bを押し下げると、固定解除部材26が押し下げられて折込手段22の他端部を押し下げ、退避固定手段24よる固定が解除される。また、押圧蓋体13Bを押し下げると、一時停止部材27も押し下げられるので、折込手段22は一時停止部材27に当接して、回動が停止する。更に、押圧蓋体13Bを押し下げると、押下部材28も押し下げられるので、トイレットペーパーMの両端部が定規17よりも下方に押し下げられる。
次いで、押圧蓋体13Bの押し下げを止めると、押圧蓋体13Bは、板ばね13Cにより上方に持ち上げられ、固定解除部材26、一時停止部材27および押圧部材28も上方に移動する。これにより、折込手段22の他端部が内側に向かって回動し、押下部材28により押し下げられたトイレットペーパーMの両端部を内側に折り込む。続いて、移動手段18を動かして、定規17をトイレットペーパーMの引き出し方向に移動させる。これにより、三角形状に折り曲げられたトイレットペーパーMの先端部が上蓋13よりも外側に引き出される。また、これに連動して、退避手段25により折込手段22がトイレットペーパーMの両側に退避される。その後、移動手段18に力を加えることを止めると、付勢部材18Bにより移動手段18がもとの位置に戻り、定規17が定位置に戻る。その際、トイレットペーパーMの先端部は、逆送防止手段21により逆送が防止されて上蓋13よりも外側に引き出された状態となる。
このように本実施の形態のトイレットペーパーホルダー1によれば、上蓋13を押し下げて、固定解除部材26により折込手段22の固定を解除し、折込手段22を回動させて、押下部材28により押し下げられたトイレットペーパーMの両端部を定規の下方に向って折り込むようにしたので、トイレットペーパーMの先端部を切り取る時に上蓋13を押し下げるだけで、簡単にトイレットペーパー折り込むことができる。また、移動手段18により定規17をトイレットペーパーMの引き出し方向に移動させると共に、折込手段22をトイレットペーパーMの両側に退避させるようにしたので、移動手段18を操作するだけで、簡単にトイレットペーパーMの折り曲げた先端部を引き出し、かつ、折込手段22を退避させることができる。よって、簡単な構成で簡単にトイレットペーパーMの先端部を折り曲げることができ、価格も安価とすることができる。
また、折込手段22が回動してトイレットペーパーMを折り込むことを停止する一時停止部材27を備えるようにすれば、または、折込手段22との間に折り込まれたトイレットペーパーを挟んで保持する挟持手段23を備えるようにすれば、よりきれいにトイレットペーパーMを折り曲げることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、上蓋13の一部を下方に押し下げることができるようにしたが、上蓋13の全体を下方に押し下げることができるようにしてもよい。