特許文献1のトイレットペーパホルダでは、三角板が先端ペーパ部分を前方へ連行するようになっており、かつ三角板が前進に先立ち所定量、後退するようになっているので、先端ペーパ部分自体を後退させる必要はない。これに対して、特許文献2のトイレットペーパホルダは、三角板は静止していて、トイレットペーパホルダの構造が簡単となるものの、出口において先端を切断された先端ペーパ部分を、その状態から前進させても、先端ペーパ部分に三角折りを形成できないので、工夫が必要になる。
本発明の目的は、三角面部付き部材が静止しているトイレットペーパホルダにおいて、次のユーザ操作時に三角折りした先端ペーパ部分を支障なく供給できるトイレットペーパホルダを提供することである。
本発明のトイレットペーパホルダは次のものを有している。
トイレットペーパのロール部を回転自在に保持するホルダ本体、
前方へ頂点を向けて突出する三角面部を上面にもちロール部から繰り出されたトイレットペーパが三角面部を後方から前方へ通過するようになっている三角面部付き部材、
トイレットペーパに摩擦接触して第1及び第2の運動方向への運動の切替により三角面部上のトイレットペーパを前進及び後退させるペーパ駆動部材、
三角面部の側縁からはみ出ている先端ペーパ部分の部位に対しその上面側から当接して下方へ押し下げることにより該部位を三角面部から垂れさせ、トイレットペーパの先端ペーパ部分に、ほぼ水平な三角ペーパ部と、三角ペーパ部の両側において垂れる垂れペーパ部とを形成する押し下げ部材、
先端ペーパ部分の露出箇所として押し下げ部材の前方に位置する、左右方向へ長いスリット状の出口、
出口の下辺を画定し前進して来る垂れペーパ部が当接することにより垂れペーパ部が三角ペーパ部の下面側に折り畳まれる下辺画定部材、
出口に設けられてトイレットペーパの切断に利用される切断部材、
駆動力に従い相互に反対の第1及び第2の直線方向へ直線移動自在になっている直線移動部材、
第1の直線方向への直線移動部材の直線移動を第1の運動方向の運動へ変換してペーパ駆動部材へ伝達する第1の運動伝達機構、及び
第2の直線方向への直線移動部材の直線移動を第2の運動方向の運動へ変換してペーパ駆動部材へ伝達する第2の運動伝達機構。
そして、第1及び第2の運動伝達機構は、第1の直線方向への直線移動部材のストロークに対する第1の運動伝達機構によるトイレットペーパの前進量が第2の直線方向への直線移動部材のストロークに対する第2の運動伝達機構によるトイレットペーパの後退量よりも大となるように、直線移動部材からペーパ駆動部材への変位量の伝達比を設定されている。また、第2の運動伝達機構によるトイレットペーパの後退量は、トイレットペーパの次の前進の際に押し下げ部材により先端ペーパ部分に三角ペーパ部と垂れペーパ部とが形成され得るものとなっている。
上記の用語と図示の符号付き要素との対応関係は次のとおりである。トイレットペーパ:トイレットペーパ20、ロール部:ロール部21、ホルダ本体:ホルダ本体11、三角面部の頂点:頂点42、三角面部付き部材:三角板36、ペーパ駆動部材:ローラ39、三角面部の側縁:側縁43、三角ペーパ部:三角ペーパ部56、垂れペーパ部:垂れペーパ部57、押し下げ部材:天井側突起部材31及び側板側押し下げ突起45、出口:トイレットペーパ取出し口60、下辺画定部材:水平板部材50、切断部材:鋸刃部51、直線移動部材:ラック部材66又はラック部材122、第1の運動伝達機構:(ピニオン82及びギヤ74)又は(駆動側プーリ113、ベルト118及び被駆動側プーリ108)、第2の運動伝達機構:(ピニオン83及びギヤ75)又は(駆動側プーリ112、ベルト117及び被駆動側プーリ107)。
第1及び第2の直線方向とは例えばトイレットペーパホルダの水平前方向及び水平後ろ方向である。第1及び第2の直線方向への直線移動部材のストローク量は相互に等しい。第1の直線方向への直線移動部材のストロークに対する第1の運動伝達機構によるローラにおけるトイレットペーパの前進量、及び第2の直線方向への直線移動部材のストロークに対する第2の運動伝達機構によるローラにおけるトイレットペーパの後退量は、例えば、それぞれ第1及び第2の運動伝達機構に含まれているギヤ及びプーリの歯数比及びプーリの径比により設定できる。押し下げ部材は、例えば、天井カバーの下面側に設けられてもよいし、ホルダ本体の左右の側部の内面側に設けられてもよい。
トイレットペーパの先端は、ユーザによる切断部材におけるトイレットペーパの最後の切断のために、通常、切断部材の位置にある。ペーパ駆動部材は、第2の運動伝達機構からの動力によりトイレットペーパを所定量、後退させる。トイレットペーパの先端が下辺画定部材より後方へ抜け出るや、三角面面部からの先端ペーパ部分のはみ出し部位は、下辺画定部材より下方へ垂れ自在になる。本発明は、押し下げ部材が、先端ペーパ部分の後退時において、三角面部の側縁からはみ出している先端ペーパ部分の部位の上面に当接して、先端ペーパ部分に垂れ部分を形成することを除外しない。
次に、ペーパ駆動部材は、第1の運動伝達機構からの伝達動力により先端ペーパ部分を前進させる。この前進過程では、先端ペーパ部分は、三角面部の側縁からはみ出した部位において、押し下げ部材により下方へ押しやられ、結果、先端ペーパ部分には、三角面部の上面の高さをほぼ維持する三角ペーパ部と、三角ペーパ部の両側において垂れ下がる垂れペーパ部とが形成される。先端ペーパ部分は、三角ペーパ部及び垂れペーパ部を有する状態に維持されつつ、前進し、出口へ突入する。その突入の際、三角ペーパ部は出口をそのまま通過するが、垂れペーパ部は下辺画定部材の後端との当接により三角ペーパ部の下面側へ折り畳まれる。こうして、三角折りした先端ペーパ部分が出口から前方へ露出する。
第1及び第2の運動伝達機構は、第1の直線方向への直線移動部材のストロークに対する第1の運動伝達機構によるトイレットペーパの前進量が第2の直線方向への直線移動部材のストロークに対する第2の運動伝達機構によるトイレットペーパの後退量よりも大となるように変位量の伝達比を設定される結果、第1及び第2の直線方向の先端ペーパ部分の先端は後退ストローク開始時では切断部の箇所にあるが、先端ペーパ部分の前進ストローク終了時では、三角折り部の先端は出口から適当に前方へ突出した位置となる。ユーザは、三角折り部を摘まんで、トイレットペーパを引き出して、適当な長さだけ引き出したら、切断部材により切断する。切断部材によるトイレットペーパの切断は、典型的は、トイレットペーパの幅方向へ直線となる切断である。
その他の態様の本発明を説明する。本発明は、以下の種々の態様を任意の組み合わせて適宜、付加される。
ペーパ駆動部材は、トイレットペーパに摩擦接触しつつ回転運動するローラであり、ペーパ駆動部材の第1及び第2の運動方向はローラの第1及び第2の回転方向に対応している。ペーパ駆動部材は、ベルトコンベヤのような周回運動する無端帯状部材であってもよい。
第1の運動伝達機構は、直線移動部材と一体的に直線運動する第1のラックと、第1のラックにかみ合い第1のラックの直線運動を回転運動へ変換する第1のピニオンと、該第1のピニオンとローラとの間の動力伝達経路に介在しローラを第1の回転方向へ回転させる回転のみを第1のピニオンからローラへ伝達する第1の一方向クラッチとを有している。第2の運動伝達機構は、直線移動部材と一体的に直線運動する第2のラックと、第2のラックにかみ合い第2のラックの直線運動を回転運動へ変換する第2のピニオンと、該第2のピニオンとローラとの間の動力伝達経路に介在しローラを第2の回転方向へ回転させる回転のみを第2のピニオンからローラへ伝達する第2の一方向クラッチとを有している。
上記の用語と図示の符号付き要素との対応関係は次のとおりである。第1のラック:ラック69、第1のピニオン:ピニオン82、第2のラック:ラック70、第2のピニオン:ピニオン83。
ラックからピニオンへの動力伝達は、ラックの直線運動をピニオンの回転運動へ変換することを意味する。第1及び第2の一方向クラッチの存在により、ローラは、第1の直線方向への直線移動部材の運動では、第1の動力伝達機構を介して動力を伝達されて、トイレットペーパを前進させ、また、第2の直線方向への直線移動部材の運動では、第2の動力伝達機構を介して動力を伝達されて、トイレットペーパを後退させる。
第1のピニオンは、第1の直線方向への第1のラックの運動時に第1のラックに連行されて第1のラックの歯内へ歯を沈み込ませて第1のラックからの動力伝達可能状態になり、第2の直線方向への第1のラックの運動時に第1のラックに連行されて第1のラックの歯から歯を浮かせて第1のラックからの動力伝達が不能状態になるように、回転可能に支持される。第2のピニオンは、第2の直線方向への第2のラックの運動時に第2のラックに連行されて第2のラックの歯内へ歯を沈み込ませて第2のラックからの動力伝達可能状態になり、第1の直線方向への第2のラックの運動時に第2のラックに連行されて第2のラックの歯から歯を浮かせて第2のラックからの動力伝達が不能状態になるように、回転可能に支持されている。
第1及び第2のピニオンは、第1及び第2のラックへの沈み込みにより、第1及び第2のラックの運動に対して回転することになり、また、第1及び第2のラックからの浮き上がりにより、第1及び第2のラックから動力を伝達されない状態になる。こうして、直線移動部材の第1の直線方向の運動時では、第1の動力伝達機構を介してローラへ動力が伝達され、また、直線移動部材の第2の直線方向の運動時では、第2の動力伝達機構を介してローラへ動力が伝達される。
直線移動部材は、その直線移動方向へ延びる駆動用ラックをもつ。第1及び第2の運動伝達機構は、駆動用ラックにより回転駆動される共通のピニオンを介して動力を入力される。第1の運動伝達機構は、ベルトを介して動力を伝達するとともに第1の運動伝達機構における変速比を径比により決める複数のプーリと、共通のピニオンからローラへ、ローラが第1の回転方向へ回転する回転動力のみを伝達する一方向クラッチとを有している。第2の運動伝達機構は、ベルトを介して動力を伝達するとともに第2の運動伝達機構における変速比を径比により決める複数のプーリと、共通のピニオンからローラへ、ローラが第2の回転方向へ回転する回転動力のみを伝達する一方向クラッチとを有している。
上記の用語と図示の符号付き要素との対応関係は次のとおりである。駆動用ラック:ラック124、第1の運動伝達機構:駆動側プーリ113、ベルト118及び被駆動側プーリ108、共通のピニオン:ピニオン125。
駆動用ラックから共通のピニオンへの動力伝達は、駆動用ラックの直線運動を共通のピニオンの回転運動へ変換することを意味する。第1及び第2の運動伝達機構の一方向クラッチの存在により、ローラは、第1の直線方向への直線移動部材の運動では、第1の動力伝達機構を介して動力を伝達されて、トイレットペーパを前進させ、また、第2の直線方向への直線移動部材の運動では、第2の動力伝達機構を介して動力を伝達されて、トイレットペーパを後退させる。
ユーザにより把持されて直線移動部材と一体的に第1及び第2の直線方向へ移動する直線移動式操作部材を有している。直線移動式操作部材は、図示の要素では、ノブ27に対応する。
直線移動式操作部材を直線移動部材に直結すれば、直線移動部材の駆動機構が簡単化される。なお、直線移動部材の駆動機構は、発明の実施の形態において説明するように、人力ではなく、モータを駆動源とするように、構成されてもよい。
トイレットペーパホルダは、回転に伴い直線移動部材を第1及び第2の直線方向へ往復動させるカムを有している。該カムは、図示の符号付き要素では円形偏心カム及びカム160に対応するものである。カムは人力又はモータにより回転させられる。
トイレットペーパホルダは、さらに、次のものを有している。
直線移動部材に設けられて直線移動部材の移動方向へ延びる被駆動用ラック、
周部が、被駆動用ラックにかみ合って直線移動部材を第2の直線方向へ直線移動させる歯付き区分と、歯が無く被駆動用ラックとのかみ合い解除される歯無し区分とから成り、回転駆動される駆動用ピニオン、及び
直線移動部材を第1の直線方向へ付勢する付勢手段。
上記の用語と図示の符号付き要素との対応関係は次のとおりである。被駆動用ラック:被駆動ラック91、駆動用ピニオン:駆動側ピニオン99、歯付き区分:歯付き区分101、歯無し区分:歯無し区分102、付勢手段:引張ばね93
駆動用ピニオンの歯付き区分が、直線移動部材の被駆動用ラックにかみ合っているときは、駆動用ピニオンの回転により、直線移動部材は第2の直線方向へ移動する。これに対して、駆動用ピニオンの歯無し区分が、直線移動部材の被駆動用ラックに臨むと、直線移動部材は、第1の直線方向への直線移動部材の移動拘束を解除され、付勢手段からの付勢力により直線移動部材は第1の直線方向へ移動する。
トイレットペーパホルダは、さらに、ユーザにより把持されてカム又は駆動用ピニオンを回転駆動する回転式操作ハンドルを有している。ユーザは、回転式操作ハンドルを一方向へ回転操作することにより、カム又は駆動用ピニオンが回転し、直線移動部材は、第2の直線方向へ移動した後、第1の直方向へ移動する。
トイレットペーパホルダは、さらに、次のものを有している。
給電時ではカム又は駆動用ピニオンを回転駆動するモータ、及び
ユーザにより操作されてモータへの給電を実施するスイッチ。
上記の用語と図示の符号付き要素との対応関係は次のとおりである。モータ:モータ136、スイッチ:押しボタンスイッチ135。
本発明によれば、切断部材の切断後に先端が切断部材の箇所に留まるトイレットペーパに対し、直線移動部材を第2及び第1の直線方向へ直線移動させることにより、支障なく、三角折り部を先端ペーパ部分に形成することができる。
図1は天井カバー30を開いた状態におけるトイレットペーパホルダ10の斜視図である。ホルダ本体11は、上方から見て断面ほぼ「コ」字状とされ、前方から見て左側の左側壁部材12と、右側の右側壁部材13と、左側壁部材12及び右側壁部材13の後端を結合している奥側の奥壁部材14と、左側壁部材12及び右側壁部材13の内壁側から内方へ突出する1対の突出軸部材15とを有している。突出軸部材15は、水平位置から上方へは揺動自在になっており、トイレットペーパ20をホルダ本体11にセットする場合には、ロール部21を、水平に保持しつつ、突出軸部材15の下方から上方へ移動させ、その際、突出軸部材15は水平位置より上方へほぼ垂直位置まで揺動して、突出軸部材15の基部側におけるロール部21の通過を許容し、ロール部21の中心穴22が、上方揺動した突出軸部材15の先端位置になると、突出軸部材15は、図示していないばねの復元力に従い、中心穴22内に先端部を中心穴22内に進入させる。その進入後、ロール部21を下方へ戻すと、突出軸部材15の水平位置でロール部21の下降が停止し、ロール部21は水平姿勢で突出軸部材15に回転自在にセットされる。
長孔26は、右側壁部材13の外面側に前後方向へ水平に延びるように、形成される。ノブ27は、右側壁部材13の右方へ突出し、長孔26により前後方向へ移動自在に案内される。天井カバー30は、後端部において回転自在に左右方向両端部を左側壁部材12及び右側壁部材13の奥側で上側の部位に軸支され、ホルダ本体11の上方を開閉自在にしている。1対の天井側突起部材31は、前方(閉じ位置の天井カバー30における前方)へつぼむ「八」字状に天井カバー30の下面側に固定されている。図1において天井側突起部材31における垂直断面図が小さく示されているように、天井側突起部材31は、左右方向内側の端において天井カバー30の下面に固定され、図1では、左右方向外側へ下方へ傾斜するように広がっている。天井側突起部材31は、例えば、文房具のクリアランスファイル程度の厚さである。
三角板36は、前端の頂点42と、頂点42から後方へ左右外方へ開くように延びる側縁43とを有し、左側壁部材12及び右側壁部材13の上端部の高さに水平に保持されるように、後部の左右端部において左側壁部材12及び右側壁部材13に固定されている。切欠き37は、三角板36の後縁の中央部に形成されている。ローラ軸38は、三角板36より少し下の高さにおいて左側壁部材12と右側壁部材13との間を左右方向へ水平に延び、左右の両端部において回転自在に左側壁部材12及び右側壁部材13に軸支されている。3個のローラ39は、切欠き37の内側にローラ軸38の軸方向へ並んで配置され、ローラ軸38に回転方向へ一体に取り付けられ、上部を部分的に三角板36の上方へ突出させている。天井カバー30の下方揺動位置は、ローラ39への天井カバー30の当接により制限され、ホルダ本体11の上側開口を閉じた位置(以下、適宜、「閉じ位置」という。)になる。天井側突起部材31の左右方向内側の側縁(=天井カバー30の閉じ位置において、天井側突起部材31の上端側の側縁)は、天井カバー30が下側揺動位置にあるとき、三角板36の左右の側縁43との間の所定の間隙を空けてかつ左右側縁43に沿って延びるものとなる。天井側突起部材31の左右方向外側の側縁(=天井カバー30の閉じ位置において、天井側突起部材31の下端側の側縁)は、天井カバー30がホルダ本体11を閉じた揺動位置において、三角板36より所定量低い位置となる。側板側押し下げ突起45は、前後方向へ頂点42を含む範囲にわたり延び、かつ閉じ位置の天井カバー30の下面の天井側突起部材31の下端とほぼ同じ高さとなるように、左側壁部材12及び右側壁部材13の内壁に固定され、上方から見て内方へ凸の湾曲状に突出している。図1に説明されている側板側押し下げ突起45の断面図は、左側の側板側押し下げ突起45を前方から後方へ見た垂直横断面図である。
天井側突起部材31及び側板側押し下げ突起45の一方を省略してもよい。側板側押し下げ突起45のみが設けられた場合には、側板側押し下げ突起45の高さは、天井側突起部材31及び側板側押し下げ突起45の両方が設けられた場合により少し上げられ、三角板36より少し低い高さとされる。
水平板部材50は、ホルダ本体11の前端部において左右方向水平に延び、三角板36とほぼ同じか少し低い高さとされ、頂点42と左右の端部において左側壁部材12及び右側壁部材13に固定されている。鋸刃部51は、水平板部材50の前縁部に鋸歯状に形成されている。
図2はノブ27が長孔26の後端位置にある状態でトイレットペーパホルダ10における先端ペーパ部分55の位置を、天井カバー30を透視させて、示している。後述の図6で説明するように、先端ペーパ部分55は、ユーザの手63により摘ままれて、適当量、前方へ引き出されてから、後端において直線状に鋸刃部51により幅方向へ直線的に切断される。切断により残った方のトイレットペーパ20の先端は水平板部材50に載っている。この状態から、ユーザがノブ27を長孔26の前端位置から後端位置へ移動させると、これに伴い、ローラ39が回転する。トイレットペーパ20は、ローラ39と天井カバー30の下面との間に適当に摩擦接触された状態にあるので、ノブ27の後方移動に伴うローラ39の回転に伴い、トイレットペーパ20はローラ39との摩擦により後方へ移動させられる。そして、先端ペーパ部分55の前端は、例えば、図2に示されているように、頂点42より少し後方の位置となる。先端ペーパ部分55は、三角板36に載置されている三角ペーパ部56と、三角板36から側縁43からはみ出る左右の垂れペーパ部57とを有している。図2では、垂れペーパ部57は、三角板36から外方へ斜めに下がっているが、水平板部材50からの先端ペーパ部分55の後退の際、天井側突起部材31及び側板側押し下げ突起45(図1)が、水平板部材50の上面側の所定の部位に当接し、該部位を下方へ押しやり、ほぼ垂直に垂れ下がることもあり得る。
図3はノブ27を図2の位置から所定量前方へ移動させたときのトイレットペーパホルダ10における先端ペーパ部分55の状態を、天井カバー30を透視させて、示している。ノブ27の前方移動に伴い、ローラ39がノブ27の後方移動時とは逆方向へ回転し、先端ペーパ部分55は前進する。この前進の際、三角板36の側縁43からはみ出た三角ペーパ部56の部分が天井側突起部材31及び側板側押し下げ突起45により上面側を下方へ押しやられるように案内され、垂直に近い傾斜角で垂れる左右の垂れペーパ部57と、左右の垂れペーパ部57の間にあって三角板36とほぼ同じ高さを維持する三角ペーパ部56とが先端ペーパ部分55に形成される。このとき、垂れペーパ部57の下端は水平板部材50の下端より低い位置となっている。なお、先端ペーパ部分55をローラ39により前進させる過程において、三角板36の後端とロール部21との間のトイレットペーパ20の弛みが喪失してからは、ロール部21は突出軸部材15の周りに回転し、ロール部21からトイレットペーパ20が上方へ繰り出されて行く。また、天井カバー30の閉じ位置では、天井カバー30の下面側と三角ペーパ部56との間にトイレットペーパ20が通過する上下方向間隙が保持される。1対の天井側突起部材31は、つぼみ側の端(前端側の端)においてトイレットペーパホルダ10の幅方向へ離れており、結果、三角板36の幅方向中央部を前進するトイレットペーパ20は、天井側突起部材31からの下方への押し込みを回避される。
図4及び図5はノブ27を長孔26の前端位置まで移動させたときのトイレットペーパホルダ10における先端ペーパ部分55の状態を、それぞれ天井カバー30を透視及び非透視として、示している。トイレットペーパ取出し口60は、下側揺動位置のある天井カバー30の前端部により上辺を画定され、水平板部材50の上面により下辺を画定され、左右の側辺を左側壁部材12及び右側壁部材13の内壁面により画定され、左右方向へ長いスリット状に形成されている。ノブ27を図3の位置よりさらに前進させると、先端ペーパ部分55の先端は水平板部材50の後端部を前方へ通過することになり、その際、垂れペーパ部57は、水平板部材50の後端への当接に伴い、三角ペーパ部56の下面側へ折り畳まれ、三角折り部58が先端ペーパ部分55に形成される。ノブ27が長孔26のほぼ前端位置になると、三角折り部58は、トイレットペーパ取出し口60から所定量、露出する。後述するように、ノブ27の後方ストローク量と前方ストローク量とは共に長孔26の長さに等しいが、先端ペーパ部分55を後退させる量よりも、前進させる量が大きくなるように、ノブ27の後方ストローク及び前方ストロークに対するローラ39への伝達変位量の比が設定され、結果、後退量と前進量との差分に相当する量だけ、三角折り部58はトイレットペーパ取出し口60から前方へ突出することになる。
図6は図5における先端ペーパ部分55の状態からユーザが三角折り部58を摘まんで引き出している状態を示している。先端ペーパ部分55より後ろのトイレットペーパ20では、前進に伴い、天井側突起部材31及び側板側押し下げ突起45により少し下方へ押しやられるものの、水平板部材50の存在により、天井側突起部材31及び側板側押し下げ突起45の通過後は、すぐに水平板部材50の高さに復帰し、すなわちほとんど垂れ下がることなく、全体としてのほぼ三角板36の高さに保持されつつ、トイレットペーパ取出し口60から外へ出て来る。ユーザは、手63を伸ばして、指で三角折り部58を摘まんで、トイレットペーパ20を所望量、引き出す。その後、ユーザは先端ペーパ部分55を下方へ下げて、鋸刃部51に沿わせて、トイレットペーパ20をねじるようにして、鋸刃部51によって、トイレットペーパ20を切断する。
図7及び図8はノブ27の後退中及び前進中の状態におけるノブ27とローラ軸38との間の動力伝達機構の構成図である。この動力伝達機構は右側壁部材13内に配設される。図7及び図8では、動力伝達機構をノブ27側から見ている。図7のA1はノブ27の後退方向であり、図8のB1はノブ27の前進方向である。案内支持棒67は、右側壁部材13の前後方向へ水平に延び、前後方向両端部において支持具68により支持されている。支持具68は、右側壁部材13に固定され、ラック部材66のストッパとしての役目も果たす。ラック部材66は、案内支持棒67に沿って移動自在に案内支持棒67に支持され、ノブ27に固定されている。ラック部材66は、上面において手前側(右側壁部材13の外壁側)のラック69と奥側(右側壁部材13の内壁側)のラック70とを有している。ラック69,70は、前後方向へ水平に延び、ラック70の方がラック69より高くなるように、段違いに配設されている。ギヤ74はギヤ75より小径であり、ギヤ74,75は、それぞれ手前側及び奥側の関係でローラ軸38の端部に別々の一方向クラッチ(図示せず)を介して取り付けられている。ギヤ74用及びギヤ75用の一方向クラッチはそれぞれ前進用および後退用の一方向クラッチである。前進用の一方向クラッチは、ローラ39がトイレットペーパ20を前進させる回転方向、すなわち図7及び図8における反時計方向の動力のみを伝達するものである。また、後退用の一方向クラッチは、ローラ39がトイレットペーパ20を後退させる回転方向、すなわち図7及び図8における時計方向の動力のみを伝達するものである。ピニオンアセンブリ80は、ケース81、及びピニオン82,83を有している。ピニオン82,83は、それぞれ後ろ側及び前側に配置され、ローラ軸38の軸方向へはそれぞれラック69,70に等しい位置にある。案内用長孔84は、後方へ高さが上昇して延びるように、ケース81の左右側壁に形成され、ピニオン82のピニオン軸86を回転自在にしつつ、案内用長孔84に沿ってピニオン軸86を案内する。案内用長孔85は、前方へ高さが上昇して延びるように、ケース81の左右側壁に形成され、ピニオン83のピニオン軸87を回転自在にしつつ、案内用長孔85に沿ってピニオン軸87を案内する。
ノブ27をA1方向へ移動させると、ラック部材66もA1方向へ移動する。ラック部材66の静止時では、ピニオン82,83は、共に、重力によりラック69,70への接触位置まで下降しているが、ラック70がA1方向へ移動すると、ピニオン83は、ラック70によりA1方向へ連行されて、ピニオン軸87が案内用長孔85内の後端の下端位置の方へ移動し、ピニオン83は、ラック70及びギヤ75へ深くかみ合い、ラック70−ギヤ75間の動力伝達をできる状態になる。一方、ピニオン82は、ラック69によりA1方向へ連行されると、ピニオン軸86が案内用長孔84内の後端の上端位置の方へ移動し、ピニオン83は、ラック69から浮き上がり、ラック69−ギヤ74間の動力伝達が不能の状態になる。こうして、A1方向へのラック部材66の移動に伴い、ピニオン83がA2方向へ回転し、ギヤ75はピニオン83によりA3方向へ回転駆動され、ギヤ75の回転は、ギヤ75の内周側とローラ軸38との間にある一方向クラッチ(図示せず)を介してローラ軸38へ伝達され、ローラ軸38はA3方向へ回転する。A3方向へのローラ軸38の回転は、ローラ39がトイレットペーパ20を後退させる方向の回転になる。
ノブ27をB1方向へ移動させると、ラック部材66もB1方向へ移動する。ラック69がB1方向へ移動すると、ピニオン82は、ラック70によりB1方向へ連行されて、ピニオン軸86が案内用長孔84内の前端の下端位置の方へ移動し、ピニオン82は、ラック69及びギヤ74へ深くかみ合い、ラック69−ギヤ74間の動力伝達をできる状態になる。一方、ピニオン83は、ラック70によりB1方向へ連行されると、ピニオン軸87が案内用長孔85内の前端の上端位置の方へ移動し、ピニオン83は、ラック70から浮き上がり、ラック70−7三角ペーパ部56間の動力伝達が不能の状態になる。こうして、B1方向へのラック部材66の移動に伴い、ピニオン82がB2方向へ回転し、ギヤ74はピニオン82によりB3方向へ回転駆動され、ギヤ74の回転は、ギヤ74の内周側とローラ軸38との間にある一方向クラッチ(図示せず)を介してローラ軸38へ伝達され、ローラ軸38はB3方向へ回転する。B3方向へのローラ軸38の回転は、ローラ39がトイレットペーパ20を前進させる方向の回転になる。
A1方向及びB1方向のノブ27のストローク量は互いに等しいが、ピニオン83及びギヤ75の歯数比とピニオン82及びギヤ74の歯数比の差のために、ローラ39がトイレットペーパ20を前進させる長さは後退させる長さより大となる。したがって、A1方向のストローク量とB1方向のストローク量は同一にもかかわらず、ローラ39の回転数は、トイレットペーパ20の前進時に後退時よりも多く回転し、トイレットペーパ20の前端は、後退開始時より前進終了時の方が前方に来る。
図9はラック部材66の別の往復駆動機構の構成図である。図9の構成要素において、図8のものと同一のものは同符号で指示して、説明は省略し、相違点について述べる。被駆動ラック91は、ラック部材66の下面に形成され、案内支持棒67に沿って延びている。なお、図9の機構では、ラック部材66が水平姿勢を保持するために、案内支持棒67は、丸棒ではなく、角型横断面が好ましい。緩衝ゴム92は、前側の支持具68に固着されるか、ラック部材66の前端面に固着されるか、あるいは前側の支持具68とラック部材66との間において案内支持棒67に単に嵌装されているかされる。引張ばね93は、右側壁部材13に固定されているばね座94と、ラック部材66の後端部に固設されるばね座95とに両端を掛けられ、ラック部材66を前方へ付勢している。駆動側ピニオン99は、右側壁部材13に回転自在に軸支される軸100と一体回転する。駆動側ピニオン99の周辺部は歯付き区分101と歯無し区分102とから成る。ハンドル103は、ノブ27の代わりに右側壁部材13の外壁面の外に配置され、軸100と一体回転する。
ラック部材66が前端位置にあるとき、歯付き区分101は、C方向の前端位置の歯部において、被駆動ラック91の後端位置の歯部とかみ合っている。ユーザが、ハンドル103を、把持しつつ、C方向へ回転すると、被駆動ラック91と歯付き区分101とのかみ合いにより、被駆動ラック91はA1方向、すなわち後方へ引張ばね93の付勢力に抗して移動する。ラック部材66の後端が後ろ側の支持具68に近づくと、歯付き区分101の代わりに歯無し区分102が被駆動ラック91側に面する状態になるので、被駆動ラック91は歯付き区分101とのかみ合いを解除され、ラック部材66は、引張ばね93の付勢力に従い、前進する。緩衝ゴム92は、ラック部材66が引張ばね93の付勢力により前側の支持具68に衝突する際の衝突力を緩和する。
図10はラック部材122からローラ軸38までの別の動力伝達機構の斜視図である。図7の回転駆動機構の要素と同一の要素は同符号で指示して、説明は省略し、相違点についてのみ説明する。図10では、該動力伝達機構は右側壁部材13の内側でかつ右側壁部材13の前方から斜めに見ている。該動力伝達機構は右側壁部材13内に配設される。被駆動側プーリ107,108は、ローラ軸38の右端部においてそれぞれ内側及び外側の関係で配置され、内周側において一方向クラッチ(図示せず)を介してローラ軸38に装着されている。中間軸111は、ローラ軸38と平行にかつ回転自在に右側壁部材13に軸支されている。駆動側プーリ112,113は、トイレットペーパホルダ10の前方から見てそれぞれ左側及び右側の関係で配置され、内周側において一方向クラッチ(図示せず)を介して中間軸111に嵌装されている。被駆動側ギヤ114は、駆動側プーリ112の左側に配置され、中間軸に回転方向へ一体に取り付けられている。ベルト117は駆動側プーリ112及び被駆動側プーリ107に装架され、ベルト118は駆動側プーリ113及び被駆動側プーリ108に装架される。被駆動側プーリ107の内周側の一方向クラッチ及び駆動側プーリ112の内周側の一方向クラッチは、共に後退用の一方向クラッチであり、ローラ39がトイレットペーパ20を後退させる回転方向の回転のみを中間軸111からローラ軸38へ伝達する。被駆動側プーリ108の内周側の一方向クラッチ及び駆動側プーリ113の内周側の一方向クラッチは、共に前進用の一方向クラッチであり、ローラ39がトイレットペーパ20を前進させる回転方向の回転のみを中間軸111からローラ軸38へ伝達する。ラック部材122は、案内支持棒67に沿って移動自在に案内支持棒67に支持され、上面にラック124を有している。ピニオン125は、右側壁部材13に回転自在に軸支され、上下においてそれぞれ中間軸111及びラック124にかみ合い、ラック124の直線運動を回転運動へ変換して、中間軸111へ伝達する。
(駆動側プーリ112の径)/(被駆動側プーリ107の径)を後退時の減速比、(駆動側プーリ113の径)/(被駆動側プーリ108の径)を前進時の減速比とすると、後退時の減速比>前進時の減速比に設定されている。
図11は図10のローラ軸38の動力伝達機構と共にラック部材122の駆動機構を含む駆動装置全体の構成図である。図11の駆動装置は、右側壁部材13の外壁側から見ている。ころ128はカム軸130の周りに回転自在に右側壁部材13に軸支されている。ころ128は、ラック部材122から後方へ所定量張り出した位置に回転自在に軸支され、案内支持棒67の延び方向へラック部材122と一体運動する。図示していない付勢手段は、ラック部材122を後方へ付勢し、ころ128は円形偏心カム129の周面への接触を保持される。押しボタンスイッチ135は、右側壁部材13の上面の前端部に配置され、ユーザに押圧操作され、押圧時ではオンとなり、非押圧時ではオフとなる。押しボタンスイッチ135、モータ136及び電池137は1個のループ回路を構成し、押しボタンスイッチ135のオン時では、モータ136は、電池137から電力を供給され、出力軸(図示せず)を回転する作動状態になる。この駆動装置では、モータ136の電源として電池137を利用しているが、家庭の商用電源を利用してもよい。その場合は、電池137が省略され、コードがトイレットペーパホルダ10から電源コンセントまで延ばされ、押しボタンスイッチ135のオン時では、交流電力がモータ136へ供給されることになる。鉛直軸140は、上下方向へ延び、支持ブラケット141により回転自在に右側壁部材13に軸支され、モータ136の出力軸へ傘歯車を介して接続され、モータ136の作動時では、回転状態になる。駆動側傘歯車142は、鉛直軸140の上端部に固定され、被駆動側傘歯車145にかみ合っている。被駆動側傘歯車145はカム軸130と一体的に回転する。
ユーザは、トイレットペーパホルダ10のトイレットペーパ取出し口60(図5)からトイレットペーパ20の三角折り部58を出させるときは、押しボタンスイッチ135を押す。これにより、モータ136が作動し、円形偏心カム129がC方向へ回転する。円形偏心カム129は、回転開始時、カム軸130に対して前方へ最大突出量の回転位置にあり、その後、前方への円形偏心カム129の突出量は、円形偏心カム129の回転に伴い、漸減し、円形偏心カム129は、半回転すると、最小突出量の回転位置になる。これにより、ラック部材122は、前端位置から後端位置へ後退し、ピニオン125は図11の反時計方向へ回転し、中間軸111は図11の時計方向へ回転する。この回転方向では、ローラ軸38の外周側に存在する前進用及び後退用の一方向クラッチはそれぞれ断状態及び接状態になり、動力が被駆動側ギヤ114、ベルト117及び被駆動側プーリ107を経てローラ軸38へ伝達される。ラック部材122の後端位置では、先端ペーパ部分55は図2の状態になっている。
円形偏心カム129がさらに回転を続けると、円形偏心カム129は、カム軸130に対して前方へ最小突出量の回転位置から、前方への円形偏心カム129の突出量を漸増し、半回転後は、最大突出量の回転位置になる。これにより、ラック部材122は、後端位置から前端位置へ前進し、ピニオン125は図11の時計方向へ回転し、中間軸111は図11の反時計方向へ回転する。この回転方向では、ローラ軸38の外周側に存在する前進用及び後退用の一方向クラッチはそれぞれ接状態及び断状態になり、動力が駆動側プーリ113、ベルト118及び被駆動側プーリ108を経てローラ軸38へ伝達される。ラック部材122の前端位置では、先端ペーパ部分55は図5の状態になっている。
図11の駆動装置では、ユーザは、トイレットペーパ20の三角折り部58がトイレットペーパ取出し口60から出て来るまで、押しボタンスイッチ135を押し続けることになるが、ラック部材122が前端位置にあるか否かを検出する位置検出スイッチを追加することもできる。位置検出スイッチは、ラック部材122が前端位置にあるときはオフ、前端位置以外のときはオンになるものであり、該位置検出スイッチと押しボタンスイッチ135とをモータ136の給電回路に並列に設ける。そして、ユーザが押しボタンスイッチ135をオンにすると、モータ136が作動して、ラック部材122が前端位置から外れて、位置検出スイッチがオンになって、モータ136は位置検出スイッチを介して電力を供給され、したがって、ユーザは、モータ136が作動開始するや、押しボタンスイッチ135の押圧を解除できる。そして、ラック部材122が前端位置に戻ると、位置検出スイッチがオフになり、これにより、位置検出スイッチ及び押しボタンスイッチ135が共にオフになるので、モータ136は停止する。
図12及び図13はラック部材122がそれぞれ前端位置及び後端位置にあるときの状態で示すローラ39の別の駆動装置の構成図である。該駆動装置では、図11の円形偏心カム129の代わりに図9の駆動側ピニオン99が用いられる。図12及び図13において図9及び図11の要素と同一の要素は同符号で指示して、それらの説明は省略する。駆動側ピニオン99は、図9の駆動装置では、ハンドル103により駆動されるが、図12及び図13のものでは、ハンドル103により駆動されてもよいし、図11のモータ136により駆動されてもよい。モータ136により駆動側ピニオン99を駆動する場合には、図11の被駆動側傘歯車145の軸を図12及び図13の駆動側ピニオン99の軸100にする。
図14及び図15はラック部材122がそれぞれ前端位置及び後端位置にあるときの状態で示すラック部材122の別の往復動機構の構成図である。図14及び図15において図9におけるラック部材122の往復動機構の要素と同一の要素は同符号で指示して、それらの説明は省略する。双腕レバー150は、右側壁部材13に回転自在に軸支される支軸151を備えている。溝152は、双腕レバー150のラック部材122側の腕部に形成され、円形突起153は、ラック部材122の側部に固設され、溝152に沿って移動自在に溝152内に挿入されている。ころ154は、双腕レバー150のカム160側の端部に回転自在に取り付けられている。カム160は、右側壁部材13に回転自在に軸支されるカム軸161を備え、線対称の形状を有している。双腕レバー150は、ころ154がカム160の周部との接触状態に保持される回転方向へ所定の付勢手段(例:引張ばね)により付勢されている。カム160は、図9の駆動側ピニオン99と同様に、ハンドル103により回転駆動されてもよいし、図11の円形偏心カム129と同様に、モータ136により駆動されてもよい。
カム160の上端位置が最高高さにあるとき(図14)、双腕レバー150は、円形突起153を溝152により最前方の位置へ移動させた揺動位置にあり、ラック部材122は前端位置にある。カム160が図4の回転位置からC方向へ回転すると、ころ154は、徐々に高さを下降し、カム160の半回転により、最低高さになる。ころ154の最低高さでは、双腕レバー150は、円形突起153を溝152により最後方の位置へ移動させ、これにより、ラック部材122は、後方へ移動し、後端位置になる(図15)。カム160の次の半回転では、ころ154は、高さを上昇させ、ラック部材122は前進する。
10:トイレットペーパホルダ、11:ホルダ本体11、20:トイレットペーパ、21:ロール部、31:天井側突起部材(押し下げ部材)、36:三角板(三角面部付き部材)、39:ローラ(ペーパ駆動部材)、42:頂点(三角面部の頂点)、43:側縁、45:側板側押し下げ突起(押し下げ部材)、50:水平板部材(下辺画定部材)、51:鋸刃部(切断部材)、56:三角ペーパ部、57:垂れペーパ部、60:トイレットペーパ取出し口(出口)、66:ラック部材(直線移動部材)、69::ラック(第1のラック)、70:ラック(第2のラック)、74:ギヤ(第1の運動伝達機構)、75:ギヤ(第2の運動伝達機構)、82::ピニオン(第1の運動伝達機構)、82::ピニオン(第1のピニオン)、83::ピニオン(第2の運動伝達機構、第2のピニオン)、91:被駆動ラック(被駆動用ラック)、99:駆動側ピニオン(駆動用ピニオン)、101:歯付き区分、102:歯無し区分、93:引張ばね(付勢手段)、107:被駆動側プーリ(第2の運動伝達機構)、108:被駆動側プーリ(第1の運動伝達機構)、112:駆動側プーリ(第2の運動伝達機構)、113:駆動側プーリ(第1の運動伝達機構)、117:ベルト(第2の運動伝達機構)、118:ベルト(第1の運動伝達機構)、122:ラック部材(直線移動部材)、124:ラック(駆動用ラック)、125:ピニオン(共通のピニオン)、135:押しボタンスイッチ(スイッチ)、129:円形偏心カム、136:モータ、160:カム。