JP5324329B2 - 搬送胴の爪台高さ調節装置 - Google Patents
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Description
本発明は、枚葉輪転印刷機において搬送胴の爪台の高さをシート状物の厚さ等に対応させて調節するための搬送胴の爪台高さ調節装置に関するものである。
枚葉輪転印刷機において、給紙装置で供給されたシート状物は、圧胴、渡し胴、排紙胴等の搬送胴の外周部に形成された切欠きに設けられたくわえ爪装置によってくわえ替えられ、搬送される間に印刷が施され排紙装置に排紙される。くわえ爪装置は、切欠き内に互いに対向するように並べられた爪と爪台とで構成され、シート状物のくわえ替え位置においてすべての爪と爪台との間をいっせいに開閉させることにより爪と爪台との間でシート状物をくわえて搬送している。この種のくわえ爪装置においては、シート状物の厚さが変わった場合、これにしたがって爪と爪台の間隔、すなわち爪台の高さを調節する必要がある。
従来の搬送胴の爪台高さ調節装置としては、搬送胴の外周部に胴の軸線方向に延在する切欠きと、この切欠き内に設けられ爪とともにシート状物をくわえる爪台と、この爪台が固定され底部が胴の軸線方向に対して傾斜し、胴の軸線方向の移動が規制されかつ胴の半径方向に移動自在に支持された爪台バーと、この爪台バーの傾斜面に対接する傾斜面が形成され前記切欠き内に胴の軸線方向に移動自在に支持された調節バーと、この調節バーの傾斜面に前記爪台バーの傾斜面を圧接させる方向に付勢する付勢手段と、前記調節バーを胴の軸線方向へ移動させる操作軸とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
上述した従来の搬送胴の爪台高さ調節装置においては、搬送胴の端軸に胴の半径方向を指向する貫通孔を設け、この貫通孔に操作軸を貫通させる構造としているため、搬送胴を回転させている時は操作軸も共に回転する。このため、印刷が行われていないときでも、ローラの洗浄や版交換等を行うために搬送胴を回転させているときには爪台の高さ調節を同時に行えなくなるため、枚葉輪転機の全体の準備時間が余計にかかるという問題があった。また、操作軸を手動によって回転操作する構造であり、かつ所定の高さへの調節を繰り返し行うこともあるため作業者に負担がかかるという問題もあった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、枚葉輪転機の全体の準備時間を短縮するとともに作業者の負担を軽減した搬送胴の爪台高さ調節装置を提供するところにある。
この目的を達成するために、本発明は、爪とともにシート状物をくわえる爪台と、この爪台が固定され胴の軸線方向に傾斜する傾斜面を有し胴の軸線方向の移動が規制されかつ胴の半径方向に移動自在に支持された爪台バーと、この爪台バーの傾斜面に対接する傾斜面を有し胴の軸線方向に移動自在に支持された調節バーと、この調節バーの傾斜面に前記爪台バーの傾斜面を圧接させる方向に付勢する付勢部材とを備えた搬送胴の爪台高さ調節装置において、前記搬送胴と同軸上で当該搬送胴に随伴して回転し胴の軸線方向に傾斜したカム溝を有するカム部材と、このカム部材のカム溝に係合し前記調節バーと一体的に移動するカムフォロアと、前記カム部材の前記搬送胴との随伴による回転伝達を断接するクラッチ部とを備えたものである。
本発明は、前記発明において、前記カム部材を前記搬送胴に嵌合するリング状部材によって形成し、当該カム部材の外周部に前記カム溝を設け前記クラッチ部を、前記搬送胴の回転を前記カム部材に摩擦力によって伝達する摩擦力伝達部と、前記カム部材と一体的に回転し切欠きが設けられたロック部材と、このロック部材の切欠きに係合・非係合するアクチュエータとによって構成したものである。
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記搬送胴と連動して回転する版胴と、この版胴に対して給版および排版を行う版交換装置とを備え、前記版交換装置による版交換動作を行うときに、前記カム部材の前記搬送胴との随伴による回転伝達を断接するように前記クラッチ部を作動させるものである。
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、爪台の調節する高さを入力するための調節量入力部と、爪台の高さを検出するエンコーダと、このエンコーダによって検出された爪台の高さと、前記調節量入力部に入力された爪台の調節する高さとを比較して前記クラッチ部を制御する制御装置とを備えたものである。
ものである。
ものである。
本発明によれば、搬送胴を回転させることにより爪台の高さ調節を行うようにしたことにより、爪台の高さ調節を版交換中やローラの洗浄中に同時に行うことができるため、枚葉輪転機の全体の準備時間を短縮することができる。また、本機駆動モータを爪台の高さ調節の駆動源として兼用できるため、爪台の高さ調節を専用とする駆動源が不要になるから製造コストの削減を図ることができるとともに構造の簡素化も図ることができる。さらに、爪台の高さ調節を従来のように手動によって行うことなく、本機駆動モータを駆動源として行うことができるため作業者の負担を軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る搬送胴の爪台高さ調節装置を実施した枚葉輪転印刷機の概略の構成を示す側面図、図2は同じく版胴の構造を概念的に説明するための側面図、図3は同じく版交換装置を説明するための要部の側面図であって、旧版の尻側端部のくわえを解除した状態を示し、図4は同じく版交換装置を説明するための要部の側面図であって、旧版を回収する状態を示し、図5は同じく版交換装置を説明するための要部の側面図であって、新版のくわえ側端部をくわえた状態を示し、図6は同じく版交換装置を説明するための要部の側面図であって、新版を版胴の周面に装着した状態を示す。
図7は本発明に係る搬送胴の爪台高さ調節装置を一部破断して示す要部の側面図、図8は図7におけるVIII-VIII 線断面図、図9は図7におけるIX部を拡大して示す断面図、図10は図8におけるX 部の拡大図、図11は同じく搬送胴の爪台高さ調節装置の構成を示すブロック図、図12は同じく搬送胴の爪台高さ調節装置において、調節動作を説明するためのフローチャート、図13は同じく搬送胴の爪台高さ調節装置において、調節動作を説明するためのフローチャートである。
図1に全体を符号1で示す枚葉輪転印刷機は、パイル上に積載された紙を1枚ずつ吸引してフィーダーボード2a上に給紙する給紙部2と、フィーダーボード2aを介して給紙される紙を印刷する4組の印刷ユニット3Aないし3Dと、印刷ユニット3Aないし3Dによって印刷された紙が排紙されパイル上に積載される排紙部4とによって概ね構成されている。
各印刷ユニット3Aないし3D内には、版が装着されフレームに回転自在に支持された版胴5と、この版胴5が対向するゴム胴6と、このゴム胴6が対向する圧胴7とがそれぞれ設けられている。
また、各印刷ユニット3Aないし3Dの排紙部4側には安全カバー8が設けられており、この安全カバー8は、図3に示すように上カバー8aと中カバー8bと下カバー8cとの3枚のカバーによって形成されている。これら3枚のカバー8a,8b,8cは図示を省略した接続具によって連結されており、これら3枚のカバー8a,8b,8cは、エアーシリンダ(図示せず)によって一体的に上下動する。
9はフィーダーボード2a上に給紙された紙をスイング装置(図示せず)を介してくわえ替えする渡し胴であって、くわえ替えられた紙は、渡し胴9と互いの周面が対向している印刷ユニット3Aの圧胴7にくわえ替えされる。10は各印刷ユニット3Aないし3Dの圧胴7,7間に設けられた搬送胴としての渡し胴であって、紙搬送方向上流側の圧胴7から受け取った紙を下流側の圧胴7に受け渡す。
このように構成されていることにより、給紙部2から1枚ずつフィーダボード2a上に給紙された紙は、紙の幅方向と前端とを揃えられた後、スイング装置を介して渡し胴9にくわえ替えられる。渡し胴9にくわえ替えられた紙は、印刷ユニット3Aの圧胴7にくわえ替えられ、ゴム胴6との間を通過するときに表面に1色目が印刷される。
この後、各渡し胴10を介して印刷ユニット3Bないし3Dのそれぞれの圧胴7にくわえ替えられた紙の表面には、2色目ないし4色目が印刷され、印刷ユニット3Dの圧胴7から排紙チェーン11の排紙爪にくわえ替えられて、排紙チェーン11によって排紙部4に搬送された後、排紙パイル上に積載される。
版胴5の外周部の一部には、図2に示すように胴の軸線方向に延在する切欠部5aが設けられ、この切欠部5a内には、従来から知られているくわえ側版万力装置12と尻側版万力装置13とが設けられている。
図3において、全体を符号14で示すものは版交換装置であって、旧版回収部15と新版挿入装置17とによって構成されている。旧版回収部15は中カバー8bの裏面側に設けられており、後述するように、版胴5の尻側版万力装置13のくわえから解放された旧版16Aの尻側端部を挿入口15aから回収する。
新版挿入装置17は、図5に示すように新版16Bを案内する一対のガイドバー18,19と、新版16Bのくわえ側端部を吸着して版胴5のくわえ側版万力装置12に挿入する給版ユニット20とによって概ね構成されている。
ガイドバー18,19は、中カバー8bの外面と間隔をおいて平行で、かつその軸線が中カバー8bの幅方向に延在するように、両端部が支持部材18a,19aによって中カバー8bの上下にそれぞれ支持されている。下カバー8cの上部には、左右方向に延在する長方形に形成された窓21が設けられている。
給版ユニット20は、図示を省略したエアシリンダによって支軸22を揺動中心として、窓21を覆う位置と先端が版胴5の周面に近接した位置に揺動するように支持されている。また、給版ユニット20には、新版16Bのくわえ側端部を吸着する吸着パッド23が設けられており、この吸着パッド23は、図示を省略したエアシリンダによって版胴5に対して接離する方向に移動できるように給版ユニット20内に支持されている。
25は新版16Bのくわえ側端部および尻側端部を版胴5のくわえ側版万力装置12および尻側版万力装置13のそれぞれに挿入する押圧コロであって、図示を省略したエアシリンダによって版胴5の周面に対して接離自在に支持されている。
次に、図3ないし図6を用いて、このように構成された版交換装置による版交換動作について説明する。予め、図3に示すように、新版16Bをガイドバー18に添接させて、くわえ側端部を給版ユニット20の吸着パッド23に吸着させておく。この状態で、版交換ボタン27(図12参照)をONすることにより、版胴5の尻側版万力装置13による旧版16Aの尻側端部のくわえが解除される。
次いで、本機駆動モータ28(図12参照)が逆方向に駆動され、版胴5が時計方向に回転するので、図4に示すように旧版16Aの尻側端部が挿入口15aから版回収部15内に進入する。版胴5が略1回転し、くわえ側版万力装置12のくわえが解除されることにより、旧版16Aは版回収部15の上方から回収される。
次いで、図示を省略したエアシリンダの駆動により、給版ユニット20が、図5に示すように支軸22を中心として反時計に回動し、先端が版胴5の周面に接近する。この状態で、図示を省略したエアシリンダの駆動により、押圧コロ25が版胴5の周面に対接し、図示を省略したエアシリンダの駆動により、吸着パッド23が版胴5側に移動する。
したがって、新版16Bのくわえ側端部が押圧コロ25によって案内され、くわえ側版万力12にくわえられる。次いで、本機駆動モータ28が正方向に駆動し、版胴5が反時計方向に略1回転することにより、図6に示すように新版16Bの尻側端部が尻側版万力装置13にくわえられるので、新版16Bが版胴5の周面に装着される。
次に、図7ないし図11を用いて、本発明の特徴である爪台の高さ調節装置について説明する。図7において、渡し胴10の端軸10aは、左右一対のフレーム31,31(一方のフレーム31は図示を省略)に回転自在に支持されている。
32は渡し胴10のベアラ10b,10b(一方のベアラ10bは図示を省略)間に回動自在に支持された爪軸であって、胴の軸線方向(矢印A−B方向)に間隔をおいて複数の爪33が軸着されている。爪軸32は円筒状に形成されており、中空部に内在するトーションバー34のねじりモーメントによって、爪33が後述する爪台39から離間する方向に付勢されている。
また、爪軸32のベアラ10bから突出した突出端部には、レバー35の基端部が軸着されており、このレバー35の遊端部には、フレーム31に固定された円板カム(図示せず)に対接するカムフォロア36が枢着されている。このような構成において、渡し胴10が回動して所定の回動位置、すなわち爪33が紙くわえ替え位置を占めると、カムフォロア36が円板カムの大径部に係合することにより、トーションバー34のねじりモーメントに抗して爪軸32が回動し、爪33が爪台39に対して開閉し紙の一端をくわえるように構成されている。
38は渡し胴10のベアラ10b,10b間に胴の軸線方向への移動が規制された状態で、胴の半径方向(矢印C−D方向)に移動自在に支持された爪台バーであって、爪33に対向し爪33とともにくわえ爪装置40を構成する複数の爪台39が固定されている。この爪台バー38の両端部(矢印A方向の端部は図示せず)には、図9に示すように、胴の半径方向を指向する貫通孔38aが設けられているとともに、胴の軸線方向に傾斜した傾斜面41aを有する第1の傾斜ブロック41が一体的に取り付けられている。この第1の傾斜ブロック41には、貫通孔38aに対応して、大径部と小径部とからなる段状の挿通孔41bが設けられている。
図7において、43は丸棒状に形成され渡し胴10のベアラ10b,10b間に延在する調節バーであって、胴の半径方向への移動が規制された状態で、胴の軸線方向にわずかに移動自在に支持されている。この調節バー43の両端部(一方の端部は図示せず)には、図9に示すように、上記した第1の傾斜ブロック41の傾斜面41aに対接する傾斜面44aを有する第2の傾斜ブロック44が一体的に取り付けられている。
この傾斜ブロック44には、第1の傾斜ブロック41の挿通孔41bに対応して、後述するねじの径よりも大きい径の挿通孔44bが設けられている。したがって、調節バー43は、後述するようにねじ46の径と挿通孔44bとの間の遊び分だけ矢印A−B方向に移動が可能に支持されている。
図9において、46は爪台バー38の貫通孔38aならびに第1および第2の傾斜ブロック41,44の各挿通孔41b,44bを挿通させ、ベアラ10bに螺合させたねじであって、このねじ46の頭部46aと挿通孔41bの段部との間には皿ばね47が弾装されている。したがって、この皿ばね47の弾発力によって、第1の傾斜ブロック41の傾斜面41aが,第2の傾斜ブロック44の傾斜面44aに圧接されている。
図7および図8において、48,48は渡し胴10の両端部に嵌合されたリング状のカム部材(一方のカム部材48は図示を省略)であって、外周部の一部に円周方向に略180°延在したカム溝48aが設けられており、このカム溝48aは、図9に示すようにカム部材48の円周方向に対して矢印A−B方向に傾斜するように形成されている。
図7において、49は渡し胴10に一体に突設された鍔であって、カム部材48の一方の側面48bに係合し、カム部材48の矢印A方向への移動を規制している。50は渡し胴10に割締め固定されたリング部材であって、調節バー43を胴の半径方向への移動を規制した状態で胴の軸線方向に移動自在に支持する支持部材51を備えている。
図10において、53はカム部材48のカム溝48aに係合するカムフォロアであって、軸部53aが一体に突設されており、この軸部53aの先端部にはねじ部53bが螺設されている。54は断面L字状に形成された中間ブロックであって、調節バー43が嵌合する貫通孔54aが設けられており、調節バー43を半径方向に横断するピン55を介して調節バー43に固定されている。
中間ブロック54には、貫通孔54aと幾何学的にねじれの位置にある貫通孔54bが設けられており、この貫通孔54bに軸部53aが挿通されねじ部53bにナット56を螺合させることにより、カムフォロア53が中間ブロック54に固定される。したがって、カムフォロア53は、カム部材48のカム溝48aに係合した状態で、中間ブロック54を介して調節バー43に一体化されており、渡し胴10と一体的に回転するとともに、調節バー43と一体的に胴の軸線方向に移動自在に支持されている。
渡し胴10のベアラ10b,10b(一方のベアラ10bは図示を省略)のカム部材48の端面側には、図9に示すように3個の非貫通孔10cが渡し胴10の円周方向に等角度おいて設けられている。58はベアラ10bにねじ込まれたねじであって、先端側の軸部58aが非貫通孔10cに臨んでいる。
59は円柱状に形成された押圧部材であって、中央部に設けられた非貫通孔59a内にねじ58の軸部58aの先端部が嵌挿されている。この押圧部材59とベアラ10bの非貫通孔10cの底部との間にねじ58の軸部58aに軸装された圧縮コイルばね60が弾装されており、この圧縮コイルばね60の弾発力によって、押圧部材59がカム部材48の他方の側面48cに当接し、カム部材48が矢印A方向に押圧される。
渡し胴10の鍔49に一方の側面48bが当接しているカム部材48は渡し胴10の鍔49と押圧部材59とによって挟持されることにより、渡し胴10と一体的に回転する。したがって、渡し胴10の鍔49、押圧部材59、圧縮コイルばね60が、渡し胴10の回転をカム部材48に摩擦伝達する摩擦力伝達部61を構成している。
図8において、62はカム部材62の外周部に固定され切欠き62aが形成されたロック部材であって、切欠き62aの開口幅は、後述するコロ66が確実に係合するようにコロ66の径よりもやや大きく形成されている。
63はフレーム31に植設された支軸63aに枢着されたアクチュエータとしてのエアシリンダであって、伸縮自在なロッド63bにはレバー64が取り付けられている。65はフレーム31に植設された支軸65aに一端側が回動自在に支持されたレバーであって、他端側がピン64aを介してレバー64に枢着されているとともにコロ66が枢支されている。
したがって、エアシリンダ63のロッド63bを伸長させ、レバー64を介してレバー65を支軸65aを回動中心として図中時計方向に回動させることにより、コロ66がロック部材62の切欠き62aに係合する。この状態では、ロック部材62と一体化されたカム部材48の回転が規制されるため、摩擦力伝達部61による渡し胴10のカム部材48への回転伝達が遮断される。
一方、エアシリンダ63のロッド63bを収縮させ、レバー64を介してレバー65を支軸65aを回動中心として反時計方向に回動させることにより、コロ66がロック部材62の切欠き62aと非係合状態になる。この状態では、ロック部材62と一体化されたカム部材48の回転の規制が解除されるため、カム部材48が摩擦力伝達部61によって渡し胴10に随伴して渡し胴10と一体的に回転する。したがって、ロック部材62、エアシリンダ63、レバー64,65、摩擦力伝達部61が、渡し胴10とカム部材48との間の回転伝達を断接するクラッチ部67を構成している。
図11において、68は紙の厚み等に基づいて爪台39の調節する高さを入力するための調節量入力部である。69は爪台39の高さを検出する第1のエンコーダである。70は本機の機械位相を検出する第2のエンコーダであって、ロック部材62の切欠き62aの位置を検出する。
71は第1のエンコーダ69によって検出された爪台39の高さと、調節量入力部68に入力された爪台39の調節する高さとを比較して、エアシリンダ63のロッド63bの伸長・収縮のタイミングを制御し、クラッチ部67を制御する制御装置である。また、この制御装置71は、第2のエンコーダ70によって検出された本機の機械位相に基づいて、エアシリンダ63のロッド63bを伸長させるタイミングを制御し、レバー65のコロ66をロック部材62の切欠き62aに係合させる。
次に、図12および図13を用いて、このように構成された枚葉輪転印刷機において、版交換動作を利用して爪台の高さを調節する方法について説明する。予め、エアシリンダ63のロッド63bを収縮させ、レバー65を支持軸65aを回動中心として図8中反時計方向に回動させ、コロ66とロック部材62の切欠き62aとの係合を解除させておく。
この状態で、オペレータが調節量入力部68に爪台39の調節する高さを入力する(ステップS1)。第1のエンコーダ69によって検出された爪台39の現在位置が、調節量入力部68に入力された爪台高さ調節入力値と同じであれば調節作業が終了する(ステップS2:YES)。一方、爪台39の現在位置が、爪台高さ調節入力値と同じでない場合はステップS3に進む(ステップS2:NO)。
爪台39の現在の高さが爪台高さ調節入力値よりも高い場合はステップS4に進む(ステップS3:YES)。ステップS4において版交換ボタン27をONすると、版交換作業のうちの排版作業が開始する(ステップS5)。図3に示すように版胴5の尻側版万力装置13による旧版16Aの尻側端部のくわえが解除され、本機駆動モータ28が逆方向に駆動する(ステップS6)。
本機駆動モータ28が逆方向に駆動すると、版胴5が時計方向に回転するので、旧版16Aの尻側端部が挿入口15aから版回収部15内に進入する。
版胴5が時計方向に回転すると、図1において、ゴム胴6が反時計方向に回転し、圧胴7が時計方向に回転するから、渡し胴10が反時計方向に回転する。摩擦力伝達部61によってカム部材48が渡し胴10に随伴して一体的に回転するから、渡し胴10と一体的に回転するカムフォロア53とカム部材48との間の位相に変化はない。
第2のエンコーダ70によって検出されたロック部材62の切欠き62aの位置がコロ66と一致していない場合(ステップS7:NO)は、一致するまでエアシリンダ63のロッド63bは収縮したままの状態となる。
一方、第2のエンコーダ70によって検出されたロック部材62の切欠き62aの位置がコロ66と一致した場合(ステップS7:YES)は、エアシリンダ63のロッド63bが伸長する(ステップS8)。
エアシリンダ63のロッド63bが伸長することにより、レバー65が支持軸65aを回動中心として図8中時計方向に回動するので、コロ66とロック部材62の切欠き62aとが係合する。
したがって、ロック部材62の回転が停止するから、カム部材48の回転も停止し、渡し胴10だけが反時計方向に回転するため、カムフォロア53も渡し胴10と一体的に反時計方向に回転する。カムフォロア53が反時計方向に回転することにより、カムフォロア53とカム部材48のカム溝48aとの間の位相が変化するから、カムフォロア53と一体化されている調節バー43が図9中矢印B方向に移動する。
したがって、調節バー43に一体的に取り付けられた第2の傾斜ブロック44の傾斜面44aに対接している傾斜面41aを有する第1の傾斜ブロック41が一体的に取り付けられた爪台バー38が下降するから爪台39が低くなる。調節量入力部68に入力された爪台高さ調節入力値と調節された爪台39の位置とが一致しない場合(ステップS9:NO)は、一致するまでエアシリンダ63のロッド63bが伸長したままとなる。
一方、調節量入力部68に入力された爪台高さ調節入力値と調節された爪台39の位置とが一致した場合(ステップS9:YES)は、爪台39の高さ調節が終了したので、エアシリンダ63のロッド63bを収縮させる(ステップS10)。
したがって、レバー65が支持軸65aを回動中心として、図8中反時計方向に回動するから、コロ66とロック部材62の切欠き62aとの係合が解除し、摩擦力伝達部61によりカム部材48が渡し胴10に随伴して一体的に反時計方向に回転する。旧版16Aの排版作業が終了していない場合(ステップ11:NO)は、本機駆動モータ28を逆方向に駆動し続ける。
一方、旧版16Aの排版作業が終了した場合(ステップ11:YES)は、本機駆動モータ28の駆動を停止する(ステップ12)。ステップS13において給版作業が開始する。図示を省略したエアシリンダの駆動により、給版ユニット20を、図5に示すように支軸22を中心として反時計に回動させ、先端を版胴5の周面に接近させる。
この状態で、図示を省略したエアシリンダの駆動により、押圧コロ25を版胴5の周面に対接させ、図示を省略したエアシリンダの駆動により、吸着パッド23を版胴5側に移動させる。
したがって、新版16Bのくわえ側端部が押圧コロ25によって案内され、くわえ側版万力12にくわえられる。ステップS14において、本機駆動モータ28を正方向に駆動することにより、版胴5が図5中反時計方向に回転する。給版作業が終了していない場合(ステップS15:NO)は、本機駆動モータ28を正方向に駆動し続ける。
一方、版胴5が反時計方向に略1回転することにより、図6に示すように新版16Bの尻側端部が尻側版万力装置13にくわえられるので、新版16Bが版胴5の周面に装着されて給版作業が終了した場合(ステップS15:YES)は、本機駆動モータ28の駆動を停止する(ステップS16)。
一方、爪台39の現在位置が爪台高さ調節入力値よりも低い場合はステップS17に進む(ステップS3:NO)。ステップS17において版交換ボタン27をONすると、版交換作業のうちの排版作業が開始する(ステップS18)。図3に示すように版胴5の尻側版万力装置13による旧版16Aの尻側端部のくわえが解除され、本機駆動モータ28が逆方向に駆動する(ステップS19)。
本機駆動モータ28が逆方向に駆動すると、版胴5が時計方向に回転するので、旧版16Aの尻側端部が挿入口15aから版回収部15内に進入する。
給版16Aの排版作業が終了しない場合(ステップS20:NO)は、排版作業が終了するまで本機駆動モータ28の逆方向への駆動が続けられる。一方、旧版16Aの排版作業が終了した場合(ステップ20:YES)は、本機駆動モータ28の駆動を停止する(ステップ21)。
ステップS22において給版作業が開始する。図示を省略したエアシリンダの駆動により、給版ユニット20を、図5に示すように支軸22を中心として反時計に回動させ、先端を版胴5の周面に接近させる。この状態で、図示を省略したエアシリンダの駆動により、押圧コロ25を版胴5の周面に対接させ、図示を省略したエアシリンダの駆動により、吸着パッド23を版胴5側に移動させる。
したがって、新版16Bのくわえ側端部が押圧コロ25によって案内され、くわえ側版万力12にくわえられる。本機駆動モータ28を正方向に駆動する(ステップS23)。本機駆動モータ28が正方向に駆動されると、版胴5が図1中反時計方向に回転するため、ゴム胴6が時計方向に回転し、圧胴7が反時計方向に回転するから、渡し胴10が時計方向に回転する。
摩擦力伝達部61によりカム部材48が渡し胴10に随伴して一体的に回転するから、カムフォロア53とカム部材48のカム溝48aとの間の位相に変化はない。エンコーダ69によって検出されたロック部材62の切欠き62aの位置がコロ66と一致していない場合(ステップS24:NO)は、一致するまでエアシリンダ63のロッド63bは収縮したままの状態となる。
一方、第2のエンコーダ70によって検出されたロック部材62の切欠き62aの位置がコロ66と一致した場合(ステップS24:YES)は、エアシリンダ63のロッド63bが伸長する(ステップS25)。
エアシリンダ63のロッド63bが伸長することにより、レバー65が支持軸65aを回動中心として図8中時計方向に回動するので、コロ66とロック部材62の切欠き62aとが係合する。したがって、ロック部材62の回転が停止するから、カム部材48の回転も停止し、渡し胴10だけが時計方向に回転するため、カムフォロア53も渡し胴10と一体的に時計方向に回転する。
カムフォロア53が時計方向に回転することにより、カムフォロア53とカム部材48のカム溝48aとの間の位相が変化するから、カムフォロア53と一体化されている調節バー41が図9中矢印A方向に移動する。
したがって、調節バー43に一体的に取り付けられた第2の傾斜ブロック44の傾斜面44aに対接している傾斜面41aを有する第1の傾斜ブロック41が一体的に取り付けられた爪台バー38が上昇するから爪台39が高くなる。調節量入力部68に入力された爪台高さ調節入力値と調節された爪台39の位置とが一致しない場合(ステップS26:NO)は、一致するまでエアシリンダ63のロッド63bが伸長したままとなる。
一方、調節量入力部68に入力された爪台高さ調節入力値と調節された爪台39の位置とが一致した場合(ステップS26:YES)は、爪台39の高さ調節が終了したので、エアシリンダ63のロッド63bを収縮させる(ステップS27)。
したがって、レバー65が支持軸65aを回動中心として、図8中反時計方向に回動するから、コロ66とロック部材62の切欠き62aとの係合が解除し、カム部材48が渡し胴10と一体的に反時計方向に回転する。給版作業が終了していない場合(ステップS28:NO)は、本機駆動モータ28を正方向に駆動し続ける。
一方、版胴5が反時計方向に略1回転することにより、図6に示すように新版16Bの尻側端部が尻側版万力装置13にくわえられるので、新版16Bが版胴5の周面に装着されて給版作業が終了した場合(ステップS28:YES)は、本機駆動モータ28の駆動を停止する(ステップS29)。
このように、渡し胴10を回転させることにより爪台39の高さ調節を行うようにしたことにより、爪台39の高さ調節を版交換中やローラの洗浄中に同時に行うことができるため、枚葉輪転機の全体の準備時間を短縮することができる。また、本機駆動モータ28を爪台39の高さ調節の駆動源として兼用できるため、爪台39の高さ調節を専用とする駆動源が不要になるから製造コストの削減と構造の簡素化を図ることができる。
さらに、爪台39の高さ調節を従来のように手動によって行うことなく、本機駆動モータ28を駆動源として行うことができるため作業者の負担を軽減することができる。また、調節量入力部68に入力された爪台39の調節する高さと、第1のエンコーダ69によって検出された爪台39の高さとを比較してクラッチ部67を制御する制御装置71を備えたことにより、爪台の高さ調節を正確かつ短時間で行うことができる。
なお、本実施の形態では、渡し胴に適用した例を挙げたが、圧胴、排紙胴等枚葉輪転印刷機の各種の胴にも適用できる。また、版交換動作に連動させて爪台39の高さ調節を行う例を説明したが、ローラの洗浄動作に連動させて搬送胴を回転させることにより爪台39の高さ調節を行うようにしてもよい。また、版交換動作やローラの洗浄動作に関係なく、本機駆動モータ28を駆動し、渡し胴10を相対的に遅い速度で回転させることにより、爪台39の高さ調節を行うようにしてもよい。
1…枚葉輪転印刷機、5…版胴、12…くわえ側版万力装置、13…尻側版万力装置、10…渡し胴(搬送胴)、14…版交換装置、15…旧版回収部、16A…旧版、16B…新版、17…新版挿入部、28…本機駆動モータ、33…爪、38…爪台バー、39…爪台、40…くわえ爪装置、41…第1の傾斜ブロック、41a…傾斜面、43…調節バー、44…第2の傾斜ブロック、44a…傾斜面、47…皿ばね、48…カム部材、48a…カム溝、53…カムフォロア、60…圧縮コイルばね、61…摩擦力伝達部、62…ロック部材、62a…切欠き、63…エアシリンダ(アクチュエータ)、66…コロ、67…クラッチ部、68…調節量入力部、69…第1のエンコーダ、70…第2のエンコーダ、71…制御装置。
Claims (4)
- 爪とともにシート状物をくわえる爪台と、この爪台が固定され胴の軸線方向に傾斜する傾斜面を有し胴の軸線方向の移動が規制されかつ胴の半径方向に移動自在に支持された爪台バーと、この爪台バーの傾斜面に対接する傾斜面を有し胴の軸線方向に移動自在に支持された調節バーと、この調節バーの傾斜面に前記爪台バーの傾斜面を圧接させる方向に付勢する付勢部材とを備えた搬送胴の爪台高さ調節装置において、
前記搬送胴と同軸上で当該搬送胴に随伴して回転し胴の軸線方向に傾斜したカム溝を有するカム部材と、
このカム部材のカム溝に係合し前記調節バーと一体的に移動するカムフォロアと、
前記カム部材の前記搬送胴との随伴による回転伝達を断接するクラッチ部とを備えたことを特徴とする搬送胴の爪台高さ調節装置。 - 前記カム部材を前記搬送胴に嵌合するリング状部材によって形成し、当該カム部材の外周部に前記カム溝を設け
前記クラッチ部を、
前記搬送胴の回転を前記カム部材に摩擦力によって伝達する摩擦力伝達部と、
前記カム部材と一体的に回転し切欠きが設けられたロック部材と、
このロック部材の切欠きに係合・非係合するアクチュエータとによって構成したことを特徴とする請求項1記載の搬送胴の爪台高さ調節装置。 - 前記搬送胴と連動して回転する版胴と、この版胴に対して給版および排版を行う版交換装置とを備え、
前記版交換装置による版交換動作を行うときに、前記カム部材の前記搬送胴との随伴による回転伝達を断接するように前記クラッチ部を作動させることを特徴とする請求項1または2記載の搬送胴の爪台高さ調節装置。 - 爪台の調節する高さを入力するための調節量入力部と、
爪台の高さを検出するエンコーダと、
このエンコーダによって検出された爪台の高さと、前記調節量入力部に入力された爪台の調節する高さとを比較して前記クラッチ部を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載の搬送胴の爪台高さ調節装置。
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