以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光学装置および撮像装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置の概略構成について説明する。図1、図2、図3、図4および図5は、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置を示す説明図である。図1においては、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置の外観の斜視状態を示している。図2においては、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置を分解した斜視状態を示している。
図3においては、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置の一部であるカム筒(図2における符号204を参照)を展開して示している。図4においては、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置を、図1および図2における紙面左側から見た状態を示している。図5においては、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置を、図1および図2における紙面右側から見た状態を示している。
図1、図2、図3、図4および図5において、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置100は、略円筒形状の鏡筒101と、鏡筒101の内周側に設けられたレンズ102と、を備えている。レンズ102は、レンズ本体103と当該レンズ本体103の外周を保持するレンズ保持枠104とを備えている。この実施の形態においては、レンズ102によって光学部材を実現することができる。
レンズ保持枠104は、光軸Cを中心として開口する円形の開口部を備えた環形状からなる保持枠本体部201を備えている。保持枠本体部201は、光軸Cを中心とする円の半径方向における保持枠本体部201の寸法、すなわち保持枠本体部201の板厚を薄くするように保持枠本体部201の外周面から凹んだ凹部202を備えている。
凹部202は、複数箇所(この実施の形態では3箇所)に設けられており、光軸Cを中心とする同一円周上に等間隔に配置されている。凹部202には、凹部202における外周側の面から、光軸Cを中心とする円の半径方向外側に突出するカムピン203が設けられている。カムピン203は、保持枠本体部201の外周面から光軸Cを中心とする円の半径方向外側に突出している。カムピン203は鏡筒101に連結されており、これによってレンズ102は鏡筒101の内側において光軸Cに沿った方向(以下「光軸方向」という)に移動可能な状態で吊られている。レンズ102を鏡筒101に連結する構成については後述する。
鏡筒101は、カム筒204と直進ガイド筒205とから構成されている。カム筒204および直進ガイド筒205は、ともに、略円筒形状からなる。カム筒204の内径寸法は直進ガイド筒205の外径寸法と同等あるいは若干大きく、カム筒204は直進ガイド筒205の外周側を覆うようにして設けられている。カム筒204は、直進ガイド筒205に対して、光軸Cを中心として相対的に回動可能に設けられている。
カム筒204の内周面には、カム溝206が設けられている。カム溝206は、光軸Cを軸心とする螺旋状をなし、カム筒204の内周面からカム筒204の板厚方向に凹んでいる。カム溝206は、複数(この実施の形態では3つ)設けられており、光軸Cを中心とする同一円周上に等間隔に配置されている。
直進ガイド筒205は、光軸方向を長手方向とする、直線状の直進溝207を備えている。直進溝207は、光軸Cを中心とする円の半径方向、すなわち直進ガイド筒205の板厚方向に直進ガイド筒205を貫通している。直進溝207は、複数(この実施の形態では3つ)設けられており、光軸Cを中心とする同一円周上に等間隔に配置されている。この実施の形態においては、直進ガイド筒205によって直進ガイド部材を実現することができる。
カム溝206と直進溝207とは、それぞれ、光軸Cを中心とする円の半径方向において、一部重複(交差)している。カム溝206と直進溝207との重複(交差)位置(以下「第1重複位置」という)は、直進ガイド筒205に対してカム筒204が光軸Cを中心として相対的に回動することによって、光軸方向に変化する。カムピン203は、第1重複位置に、当該第1重複位置に対して光軸C側から挿入されている。カムピン203は、カム溝206および直進溝207内を、各溝の長手方向に沿って移動可能とされている。
光軸方向におけるカムピン203の位置は、直進ガイド筒205に対してカム筒204が光軸Cを中心として相対的に回動することによって、第1重複位置が光軸方向において移動すると、この第1重複位置の移動にともなって変化する。そして、光軸方向におけるカムピン203の位置変化によって、光軸方向におけるレンズ102の位置が変化する。このようにして、直進ガイド筒205に対してカム筒204を光軸Cを中心として相対的に回動させることによって、レンズ102を光軸方向に移動させることができる。
カム筒204の内周面には、第2カム溝208が設けられている。第2カム溝208は、光軸Cを軸心とする螺旋状をなし、カム溝206に平行に設けられている(図3を参照)。第2カム溝208は、複数(この実施の形態では3つ)設けられており、それぞれが、光軸Cを中心とする同一円周上に等間隔に配置されている。すなわち、カム筒204の内周面には、長さ、幅および全体形状が同じ螺旋状の2本の溝が、それぞれ平行に、3組並んだ状態で設けられている。
カム溝206および第2カム溝208を、長さ、幅および全体形状が同じ螺旋状の2本の溝によって実現することにより、カム筒204においてカム溝206および第2カム溝208が設けられている区間の光軸方向における長さは一致している。すなわち、カム溝206および第2カム溝208の両端部は、光軸方向において同一の位置に設けられている。
この実施の形態においては、長さ、幅および全体形状が同じ螺旋状の2本の溝によってカム溝206および第2カム溝208を実現したが、これに限るものではない。カム溝206および第2カム溝208は、長さ、幅および全体形状が同じであることに限らず、たとえば幅が異なる螺旋状の2本の溝によって実現してもよい。また、カム溝206および第2カム溝208は、たとえば長さ、幅および全体形状の少なくとも一つが異なる螺旋状の2本の溝によって実現してもよい。さらに、たとえば長さ、幅および全体形状のすべてが異なる螺旋状の2本の溝によって、カム溝206および第2カム溝208を実現してもよい。
カム筒204を光軸Cに平行に切断して展開し、その内周面を見た場合、カム溝206および第2カム溝208は、光軸方向(図3における符号300を参照)に対して傾斜する直線状の溝として設けられている。この平行な2本の直線状の溝を、略円筒形状をなすカム筒204の内周面に設けることによって、カム溝206および第2カム溝208は螺旋状をなしている。
直進ガイド筒205には、第2直進溝209が設けられている。第2直進溝209は、直進溝207と同様に、直進ガイド筒205の板厚方向に直進ガイド筒205を貫通しており、光軸方向を長手方向とする直線状をなしている。第2直進溝209は、直進溝207に平行に設けられている。第2直進溝209は、複数(この実施の形態では3つ)設けられており、それぞれが、光軸Cを中心とする同一円周上に等間隔に配置されている。すなわち、直進ガイド筒205には、長さ、幅および全体形状が同じ直線状の2本の溝が、それぞれ平行に、3組並んだ状態で設けられている。
この実施の形態においては、長さ、幅および全体形状が同じ直線状の2本の溝によって直進溝207および第2直進溝209を実現したが、これに限るものではない。直進溝207および第2直進溝209は、長さ、幅および全体形状が同じであることに限らず、たとえば幅が異なる直線状の2本の溝によって実現してもよい。また、直進溝207および第2直進溝209は、たとえば長さ、幅および全体形状の少なくとも一つが異なる直線状の2本の溝によって実現してもよい。また、たとえば長さ、幅および全体形状のすべてが異なる直線状の2本の溝によって、直進溝207および第2直進溝209を実現してもよい。
光軸Cを中心とする円周方向において、各組をなすカム溝206と第2カム溝208との距離、および、各組をなす直進溝207と第2直進溝209との距離は、同一あるいは略同一とされている。これにより、光軸Cを中心とする円の半径方向においてカム溝206と直進溝207とが一部重複する(交差する)状態においては、第2カム溝208および第2直進溝209も一部重複する(交差する)状態となる。
第2カム溝208と第2直進溝209とが重複(交差)する位置(以下「第2重複位置」という)は、直進ガイド筒205に対してカム筒204が光軸Cを中心として相対的に回動することによって、光軸方向に変化する。このとき、第2重複位置は、光軸方向における第1重複位置の移動にともなって、第1重複位置の移動距離と同じ距離を、第1重複位置の移動速度と同じ速度で移動する。
直進ガイド筒205の内周側には、片寄せ枠210が設けられている。この実施の形態においては、片寄せ枠210によって片寄せ部材を実現することができる。片寄せ枠210は、光軸Cを中心として開口する円形の開口部を備えた環形状からなる片寄せ枠本体部211を備えている。片寄せ枠本体部211には、片寄せ枠本体部211から光軸方向に突出した支持片212が設けられている。支持片212は、複数(この実施の形態においては3つ)設けられており、光軸Cを中心とする円周上において等間隔で配置されている。
レンズ保持枠104における保持枠本体部201の外径寸法、および、片寄せ枠210における片寄せ枠本体部211の外径寸法は、同一あるいは略同一とされている。レンズ保持枠104における保持枠本体部201の外径寸法、および、片寄せ枠210における片寄せ枠本体部211の外径寸法は、ともに、直進ガイド筒205の内径寸法よりも若干小さく設けられている。
片寄せ枠210は、直進ガイド筒205内において、各支持片212を保持枠本体部201に設けられた凹部202に嵌め込んだ状態で、光軸方向にレンズ保持枠104と並列して設けられている。これにより、光軸方向および鏡筒101の外径方向における寸法を大きくすることなく、片寄せ枠210を設けることができる。
各支持片212には、片寄せピン213が設けられている。片寄せピン213は、各支持片212における外周側の面から、光軸Cを中心とする円の半径方向外側に突出している。また、片寄せピン213は、第2重複位置に対して、光軸C側から挿入されている。片寄せピン213は、第2重複位置の第2カム溝208および第2直進溝209内を、各溝の長手方向に沿って移動可能とされている。
カムピン203および片寄せピン213は、光軸方向において略同一の位置に設けられている。これにより、弾性部材における連結部は、その長手方向が、光軸Cを中心とする円周方向に一致する状態で、カムピン203および片寄せピン213に架け渡された状態とされる。このように、光軸方向におけるカムピン203および片寄せピン213の位置を等しくすることによって、光軸方向における片寄せピン213の移動範囲を、光軸方向におけるカムピン203の移動範囲に一致させることができる。
組をなすカム溝206および第2カム溝208(あるいは、組をなす直進溝207および第2直進溝209)にそれぞれ挿入されたカムピン203および片寄せピン213には、弾性部材214が架け渡されている。弾性部材214は、カムピン203および片寄せピン213の間に架け渡された状態において、凹部202内に位置づけられている。これによって、鏡筒101の外径寸法を大きくすることなく、カムピン203および片寄せピン213を付勢することができる。
弾性部材214は、たとえば弾性部材214が架け渡されたカムピン203および片寄せピン213を互いに近接させるような付勢力を作用させる、いわゆる引っ張りタイプの弾性部材214を用いることができる。この実施の形態においては、弾性部材214によって付勢部材を実現することができる。
弾性部材214は、鉤針状に湾曲した形状からなる一対の引っ掛け部214aと、引っ掛け部214aの間で引っ掛け部214aを連結する連結部214bと、を備えている。引っ掛け部214aは、光軸方向において、それぞれ反対向き、すなわち接眼側および対物側に向かって開口するように湾曲しており、弾性部は全体として略S字形状をなしている。連結部214bは、略直線形状をなし、2つの引っ掛け部214aを連結する。
弾性部材214は、引っ掛け部214aをカムピン203および片寄せピン213に、それぞれ引っ掛けることによって、カムピン203および片寄せピン213の間に架け渡されている。具体的には、弾性部材214は、一方の引っ掛け部214aを対物側(図1および図2における紙面左側)からカムピン203に引っ掛け、他方の引っ掛け部214aを接眼側(図1および図2における紙面右側)から片寄せピン213に引っ掛けた状態で、カムピン203および片寄せピン213の間に架け渡されている。
弾性部材214は、外力が加えられた場合に加えられた外力に応じて所定量変形するとともに、外力が取り除かれた場合には元の形状に復帰することが可能な程度の弾性を備えている。弾性部材214は、たとえば針金状の部材を所定の形状に屈曲させることによって形成することができる。
また、弾性部材214は、金属板金を所定の形状に打ち抜いて形成してもよい。さらに、弾性部材214は、たとえばゴムや所定の柔軟性を有する樹脂材料などによって形成することができる。弾性部材214は、具体的には、たとえばゴムによって形成された薄板状部材を、所定の型で打ち抜くことによって成形してもよい。
針金状の部材を所定の形状に屈曲させたり、薄板状の部材を打ち抜いたりして弾性部材214を形成することにより、光軸Cを中心とする円の半径方向において弾性部材214が占める容積を抑えることができる。これによって、レンズ装置100の外径方向における寸法を大きくすることなく、カムピン203および片寄せピン213を付勢することができる。
弾性部材214は、弾性部材214を形成する材料自体が有する弾性力および連結部214bの長さ寸法を調整することによって、カムピン203および片寄せピン213の間においてカムピン203および片寄せピン213に対して付勢力を作用させる。具体的には、たとえば、カム筒204の内周面におけるカム溝206と第2カム溝208との距離(あるいは、直進ガイド筒205の外周面における直進溝207と第2直進溝209との距離)よりも、連結部214bの長さ方向の寸法を短くした弾性部材214をカムピン203および片寄せピン213の間に架け渡すことによって、カムピン203および片寄せピン213が互いに近接する方向への付勢力を作用させることができる。
弾性部材214は、弾性部材214の大きさや弾性部材214を形成する材料を調整することによって、弾性部材214がカムピン203および片寄せピン213が互いに近接する方向への付勢力を作用させた場合にも、引っ掛け部214aがカムピン203および片寄せピン213から抜けてしまうことがないように設計されている。これによって、引っ掛け部214aがカムピン203および片寄せピン213に引っ掛かったままの状態を維持でき、カムピン203および片寄せピン213を安定して付勢することができる。
つぎに、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置100においてガタを抑制する構成について説明する。図6は、この発明にかかる実施の形態のレンズ装置100においてガタを抑制する構成を示す説明図である。図6においては、1つの組をなすカムピン203および片寄せピン213と、その周辺の構成を示している。図6において、1つの組をなすカムピン203と片寄せピン213との間には、弾性部材214による付勢力によって互いに近接させるような付勢力が作用している。
このため、カムピン203に対しては矢印A1で示す方向に付勢力が作用し、片寄せピン213に対しては矢印A2で示す方向に付勢力が作用する。カムピン203と片寄せピン213とは、光軸方向において同一位置に設けられているため、矢印A1、A2で示す方向は、それぞれ光軸方向に直交している。単一の弾性部材214を用いているため、カムピン203および片寄せピン213には、それぞれ、同じ強度であって向きが反対方向となる付勢力が作用する。
カムピン203に対して矢印A1で示す方向の付勢力が作用することにより、カムピン203は直進溝207における第2直進溝209側に片寄せされる。片寄せピン213に対して矢印A2で示す方向の付勢力が作用することにより、片寄せピン213は第2直進溝209における直進溝207側に片寄せされる。
カムピン203は、カム溝206にも挿入されているため、直進溝207における第2直進溝209側に片寄せされることにより、同時に、カム溝206における第2カム溝208側にも片寄せされる。これによって、カムピン203に対しては、矢印B1で示す方向に付勢力が作用する。矢印B1で示す方向の付勢力は、カムピン203を、第2直進溝209側に片寄せする方向に付勢する付勢力、および、光軸方向に沿って第2カム溝208の方向に付勢する付勢力の合力と一致する。すなわち、カムピン203を矢印B1で示す方向に付勢することによって、カムピン203を第2直進溝209側および第2カム溝208側に片寄せするように付勢することができる。
片寄せピン213は、第2カム溝208にも挿入されているため、第2直進溝209における直進溝207側に片寄せされることにより、同時に、第2カム溝208におけるカム溝206側にも片寄せされる。これによって、片寄せピン213に対しては、矢印B2で示す方向に付勢力が作用する。矢印B2で示す方向の付勢力は、片寄せピン213を、直進溝207側に片寄せする方向に付勢する付勢力、および、光軸方向に沿ってカム溝206の方向に付勢する付勢力の合力と一致する。
すなわち、片寄せピン213を矢印B2で示す方向に付勢することによって、片寄せピン213を直進溝207側およびカム溝206側に片寄せするように付勢することができる。これによって、カム溝206内におけるカムピン203の位置を安定化することができ、カム溝206に対するカムピン203のガタつきを抑制することができる。
各組をなすカムピン203および片寄せピン213に対しては、レンズ102が光軸方向のどの位置にいるかにかかわらず、常に一定の付勢力が作用する。これによって、光軸方向におけるレンズ102の位置にかかわらず、カム溝206内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。そして、カム溝206内におけるカムピン203の位置を安定化することにより、カム溝206に対するカムピン203のガタつきを抑制することができる。
以上説明したように、この実施の形態のレンズ装置100は、直進ガイド部材の一例としての直進ガイド筒205に対して、光軸Cを軸心とする螺旋状のカム溝206を備えたカム筒204を光軸Cを中心として相対的に回動させることにより、カム溝206に挿入されたカムピン203を外周部に備えた光学部材の一例としてのレンズ102を光軸方向に移動させる光学装置を実現し、カム筒204に設けられ、光軸Cを軸心とする螺旋状の第2カム溝208と、光軸Cを中心とする円周上のカムピン203とは異なる位置において第2カム溝208に挿入された片寄せピン213を外周部に備え、光軸Cを中心とするカム筒204の回動にともなって光軸方向に移動可能な片寄せ部材の一例としての片寄せ枠210と、片寄せピン213とカムピン203とに架け渡されて、片寄せピン213およびカムピン203を付勢する付勢力を作用させる付勢部材の一例としての弾性部材214と、を備えたことを特徴としている。
このような構成によれば、光軸方向におけるレンズ102の位置にかかわらず、光軸Cを中心とする円周方向において、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。また、このような構成によれば、レンズ102の移動に必要なカムピン203と、カムピン203と同様に光軸Cを中心とする円周上に位置する片寄せピン213と、に弾性部材214を架け渡しているため、光軸Cを中心とする円の外径寸法および光軸方向における寸法の増大を抑制しつつ、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。これによって、レンズ装置100を大型化することなく、光軸方向に移動可能に設けられたレンズ102のガタつきを抑制することができる。
また、この実施の形態のレンズ装置100によれば、直進ガイド筒205が、光軸方向を長手方向とする直線状の直進溝207と、直進溝に207に平行な、光軸方向を長手方向とする直線状の第2直進溝209を備え、片寄せ枠210が備えた片寄せピン213が、第2直進溝207および第2カム溝208に挿入されていることを特徴としている。
このような構成によれば、簡易な構成によって、光軸Cを中心とする円の外径寸法および光軸方向における寸法の増大を抑制しつつ、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。これによって、レンズ装置100を大型化することなく、簡易な構成によって、光軸方向に移動可能に設けられたレンズ102のガタつきを抑制することができる。
また、この実施の形態のレンズ装置100によれば、第2カム溝208が、カム溝206と平行になるようにカム筒204に設けられていることを特徴とするため、簡易な構成によって、光軸方向におけるレンズ102の位置にかかわらずに、光軸を中心とする円の外径寸法および光軸方向における寸法の増大を抑制しつつ、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン213の位置を安定化することができる。
また、この実施の形態のレンズ装置100によれば、片寄せピン213およびカムピン203が、光軸方向における同一位置に設けられていることを特徴とするため、光軸方向における片寄せピン213の移動範囲を、光軸方向におけるカムピン203の移動範囲に一致させることができる。これによって、片寄せピン213の移動範囲を確保するために光軸方向におけるレンズ装置100の寸法を大きくすることなく、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。そして、これによって、レンズ装置100を大型化することなく、光軸方向に移動可能に設けられたレンズ102のガタつきを抑制することができる。
また、この実施の形態のレンズ装置100によれば、片寄せピン213およびカムピン203が、それぞれ同数ずつ複数設けられており、光軸Cを中心とする円周上に等間隔で設けられていることを特徴とするため、光軸Cを中心とする円周上の全体にわたってレンズ102を均等に付勢することができる。これによって、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化するとともに、レンズ102を光軸Cに対して傾かせずに光軸方向に移動させることができる。
また、この実施の形態のレンズ装置100によれば、付勢部材が、片寄せピン213およびカムピン203を近接させるような付勢力を作用させることを特徴とするため、簡易な構成によって、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。これによって、レンズ装置100を大型化することなく、光軸方向に移動可能に設けられたレンズ102のガタつきを抑制することができるレンズ装置100を簡易な構成によって実現することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の撮像装置によれば、撮像用の光電変換素子と、光電変換素子に入射する外光の光学性能を調整するこの実施の形態のレンズ装置100と、を備えたことを特徴とするため、光軸方向に移動可能に設けられたレンズ102のガタつきを抑制できるレンズ装置100を用いることにより、レンズ102をガタつかせることなく光軸方向に移動させることができる。これによって、光学性能の調整精度の向上を図ることができ、良好な画像を撮像することができる。
(変形例1)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の変形例1について説明する。変形例1においては、上記の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。この発明にかかる実施の形態の変形例1においては、弾性部材が作用させる付勢力の付勢方向が、上記の実施の形態とは異なっている。変形例1のレンズ装置100については図示を省略する。
図7は、この発明にかかる実施の形態の変形例1のレンズ装置100においてガタを抑制する構成を示す説明図である。図7においては、変形例1のレンズ装置100において、1つの組をなすカムピン203および片寄せピン213と、その周辺の構成を示している。図7において、変形例1のレンズ装置100を構成し、1つの組をなすカムピン203と片寄せピン213との間には、カムピン203および片寄せピン213を互いに離間させるような付勢力を作用させる弾性部材700、いわゆる圧縮タイプの弾性部材700が設けられている。
具体的には、たとえばカム筒204の内周面におけるカム溝206と第2カム溝208との距離(あるいは、直進ガイド筒205の外周面における直進溝207と第2直進溝209との距離)よりも、連結部214bの長さ方向の寸法を長くすることによって、カムピン203および片寄せピン213に対して、カムピン203および片寄せピン213が互いに離間する方向への付勢力を作用させる弾性部材700を実現することができる。
この場合、弾性部材700における連結部214bは、カムピン203および片寄せピン213の間で支え棒のように機能する。また、この場合、弾性部材700を形成する材料は、弾性部材700がカムピン203および片寄せピン213が互いに離間する方向への付勢力を作用させた場合にも、連結部214bが途中で屈曲したりせずに、カムピン203および片寄せピン213を互いに離間する方向に押圧したままの状態を維持できる程度の弾性力を有するものを使用することが好ましい。
弾性部材700は、弾性部材700の付勢方向にかかわらずに、針金状の金属部材を螺旋状に巻回した、いわゆるバネによって実現することもできる。この場合、弾性部材700の付勢力は、針金状の金属部材自体が有する剛性/柔軟性や、バネの巻き数などによって調整することができる。そして、この場合、弾性部材700は、カムピン203と片寄せピン213との間で圧縮された状態で架け渡され、元の形状に復帰しようとする復元力によってカムピン203および片寄せピン213が互いに離間する方向への付勢力を作用させる。
このため、カムピン203に対しては矢印a1で示す方向に付勢力が作用し、片寄せピン213に対しては矢印a2で示す方向に付勢力が作用する。カムピン203と片寄せピン213とは、光軸方向において同一位置に設けられているため、矢印a1、a2で示す方向は、それぞれ光軸方向に直交している。単一の弾性部材700を用いているため、カムピン203および片寄せピン213には、それぞれ、同じ強度であって向きが反対方向となる付勢力が作用する。
カムピン203に対して矢印a1で示す方向の付勢力が作用することにより、カムピン203は直進溝207において第2直進溝209から離間する側に片寄せされる。片寄せピン213に対して矢印a2で示す方向の付勢力が作用することにより、片寄せピン213は第2直進溝209において直進溝207から離間する側に片寄せされる。
カムピン203は、カム溝206にも挿入されているため、直進溝207において第2直進溝209から離間する側に片寄せされることにより、同時に、カム溝206において第2カム溝208から離間する側にも片寄せされる。これによって、カムピン203に対しては、矢印b1で示す方向に付勢力が作用する。
矢印b1で示す方向の付勢力は、カムピン203を、第2直進溝209から離間する側に片寄せする方向に付勢する付勢力、および、光軸方向に沿って第2カム溝208から離間する方向に付勢する付勢力の合力と一致する。すなわち、カムピン203を矢印b1で示す方向に付勢することによって、カムピン203を第2直進溝209から離間する側および第2カム溝208から離間する側に片寄せするように付勢することができる。
片寄せピン213は、第2カム溝208にも挿入されているため、第2直進溝209において直進溝207から離間する側に片寄せされることにより、同時に、第2カム溝208においてカム溝206から離間する側にも片寄せされる。これによって、片寄せピン213に対しては、矢印b2で示す方向に付勢力が作用する。矢印b2で示す方向の付勢力は、片寄せピン213を、直進溝207から離間する側に片寄せする方向に付勢する付勢力、および、光軸方向に沿ってカム溝206から離間する方向に付勢する付勢力の合力と一致する。
すなわち、片寄せピン213を矢印b2で示す方向に付勢することによって、片寄せピン213を直進溝207から離間する側およびカム溝206から離間する側に片寄せするように付勢することができる。これによって、カム溝206内におけるカムピン203の位置を安定化することができ、カム溝206に対するカムピン203のガタつきを抑制することができる。
各組をなすカムピン203および片寄せピン213に対しては、レンズ102が光軸方向のどの位置にいるかにかかわらず、常に一定の付勢力が作用する。これによって、光軸方向におけるレンズ102の位置にかかわらず、カム溝206内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。そして、カム溝206内におけるカムピン203の位置を安定化することにより、カム溝206に対するカムピン203のガタつきを抑制することができる。
以上説明したように、この発明にかかる変形例1のレンズ装置100によれば、弾性部材700が、カムピン203および片寄せピン213を離間させるような付勢力を作用させることを特徴とするため、簡易な構成によって、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化することができる。これによって、レンズ装置100を大型化することなく、光軸方向に移動可能に設けられたレンズ102のガタつきを抑制することができるレンズ装置100を簡易な構成によって実現することができる。
(変形例2)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の変形例2のレンズ装置100について説明する。変形例2においては、上記の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。図8および図9は、この発明にかかる実施の形態の変形例2のレンズ装置100を示す説明図である。図8においては、変形例2のレンズ装置100における3組のカムピン203および片寄せピン213と、その周辺の構成をそれぞれ示している。図9においては、光軸Cに対するレンズ102の傾きについて示している。
図8および図9において、この発明にかかる実施の形態の変形例2のレンズ装置100においては、3箇所に設けられる弾性部材のうち、少なくとも1箇所が引っ張りタイプの弾性部材214とされ、別の弾性部材214が圧縮タイプの弾性部材700とされている。変形例2のレンズ装置100においては、引っ張りタイプの弾性部材214と圧縮タイプの弾性部材700とが混在している。
引っ張りタイプの弾性部材214を用いた場合、カムピン203と片寄せピン213との対向方向、すなわち弾性部材214における連結部214bの長手方向が、カム溝206および第2カム溝208の長手方向に対して平行に近づく方向に、レンズ102を傾けようとする付勢力が作用する。これに対して圧縮タイプの弾性部材700を用いた場合、カムピン203と片寄せピン213との対向方向、すなわち弾性部材700における連結部214bの長手方向が、カム溝206および第2カム溝208の長手方向に対して直交する方向に近づくように、レンズ102を傾けようとする付勢力が作用する。
変形例2のレンズ装置100においては、引っ張りタイプの弾性部材214と圧縮タイプの弾性部材700とを混在させることによって、レンズ装置100の光軸方向に対してレンズ102の光軸方向を傾けるような付勢力をレンズ102に対して作用させ、レンズ102の光軸方向の角度を調整することができる。
逆に、引っ張りタイプの弾性部材214と圧縮タイプの弾性部材700とを混在させることによって、レンズ装置100の光軸Cに対してレンズ102の光軸方向が傾いてしまうような付勢力を打ち消し、レンズ装置100の光軸方向に対するレンズ102の光軸方向の角度を調整することもできる。カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化するとともに、レンズ102の傾きを調整することができる。
以上説明したように、この発明にかかる変形例2のレンズ装置100によれば、複数設けられた弾性部材のうち、弾性部材214は当該任意の付勢部材が架け渡された片寄せピン213およびカムピン203を近接させるような付勢力を作用させ、弾性部材700は当該別の付勢部材が架け渡された片寄せピン213およびカムピン203を離間させるような付勢力を作用させることを特徴とするため、光軸Cを軸心としてねじる方向の付勢力を、レンズ102に対して作用させることができる。これによって、カム溝206内におけるカムピン203の位置および直進溝207内におけるカムピン203の位置を安定化するとともに、レンズ102の傾きを調整することができる。
上述した各種の実施の形態においては、カムピン203および直進溝207によって、レンズ102の直進をガイドするようにしたが、これに限るものではない。鏡筒101の内側に設けられ、光軸方向に延びるポールを用いてレンズ102の直進をガイドするようにしてもよい。この場合、レンズ102は、たとえば光軸方向にレンズ保持枠104を貫通する孔にポールを挿入し、ポールに沿ってレンズ枠104を摺動させることによってレンズ102の直進をガイドすることができる。