以下、プロービング方法およびプロービング装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、プロービング装置1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示すプロービング装置1は、一例として、一対のコンタクトプローブ2,2、一対の移動機構3,3、制御部4および記憶部5を備えて、いわゆるフライングプローブ方式のプロービング装置に構成されて、プロービング対象体としての一対の半田部位6,6に対して、各コンタクトプローブ2を個別に移動させてプロービング可能に構成されている。本例では、プロービング対象体の一例として、電子部品(例えば抵抗)7のリード7aを基板8のランド(不図示)に接続する半田部位6を例に挙げて説明するが、例えば基板8の表面に形成された導体パターン(不図示)や、基板8に実装された電子部品のリード(不図示)をプロービング対象体とすることもできる。
コンタクトプローブ2は、図1,2に示すように、スリーブ11、ばね12およびコンタクトピン13を備えている。スリーブ11は、導電性を有する金属材料を用いて円筒体に形成されると共に、一端側に挿通孔11a(後述する中間部23の外径よりも大径で、かつ後述する後端部22の外径よりも小径)が形成され、かつ他端側が閉塞されている。ばね12は、一例として導電性を有する金属製のコイルばねで構成されて、スリーブ11内に収容されている。
各コンタクトピン13は、図2に示すように、導電性を有する金属材料を用いて、先端部(同図中の左端部)21、後端部(同図中の右端部)22、および先端部21と後端部22とを連結する中間部23とを備えている。また、一例として、先端部21は、半田部位6と接触する一端側部位(同図中の左端側部位)が尖塔状(本例では円錐体)に形成され、他端側部位が円柱体に形成されている。後端部22および中間部23は、それぞれ円柱体に形成されている。また、先端部21の他端側部位および後端部22は、中間部23よりも大径に形成されている。また、先端部21、後端部22および中間部23は、互いの軸線Aが一致した状態(つまり、軸線Aはコンタクトプローブ2の軸線)で連結されている。また、コンタクトピン13は、中間部23が挿通孔11aに挿通され、かつ後端部22がスリーブ11内に収容された状態でスリーブ11に装着されている。また、コンタクトピン13では、後端部22の外径がスリーブ11の内径よりも若干小径で、かつ挿通孔11aの内径よりも大径に形成されている。以上の構成により、各コンタクトピン13は、先端部21がスリーブ11から突出すると共に、後端側(本例では後端部22)がスリーブ11内で抜脱不能、かつ摺動自在な状態(後端部22がスリーブ11の内周面と電気的に接触した状態で、スリーブ11内を摺動自在な状態)で、スリーブ11内に挿入されている。なお、このスリーブ11には、測定用信号入出力用の図示しないケーブルが電気的に接続されて、このスリーブ11を介してコンタクトピン13から測定用信号の入出力が行われる。
各移動機構3は、図1に示すように、三次元移動機構31、移動ヘッド32および回転駆動機構33を備え、移動ヘッド32に回転駆動機構33が取り付けられ、かつこの回転駆動機構33に1つのコンタクトプローブ2が取り付けられている。この場合、三次元移動機構31は、例えば三次元アーム機構で構成されて、制御部4によって制御されることにより、一例として、X−Y平面内に配設された基板8の一面側(同図中の上面側)において、移動ヘッド32を三次元方向(X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向)に沿って任意の位置へ移動可能に構成されている。また、回転駆動機構33は、例えばステッピングモータを含んで構成されて、制御部4によって制御されることで、その回転軸Oを中心としてコンタクトプローブ2を回転させて、移動ヘッド32に対するコンタクトプローブ2の角度(X−Y平面に対する角度)を任意に設定可能に構成されている。
制御部4は、CPUなどで構成されて、外部(例えば、プロービング装置1と組み合わされて抵抗7の電気的パラメータ(一例として抵抗値)を自動測定する測定装置)からプロービング指示S1を入力したときには、記憶部5に記憶されている動作プログラムに従って各移動機構3を制御して、各コンタクトプローブ2を、目的とする各半田部位6にプロービング(接触)させるプロービング処理を実行する。記憶部5には、制御部4のための上記の動作プログラムと共に、各半田部位6の位置情報が予め記憶されている。
次に、プロービング装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、基板8は、予めX−Y平面内における所定位置(検査位置)に配設されているものとする。また、本例では一例として、各コンタクトプローブ2は、初期状態において、図1に示すように、その軸線AがZ軸と平行となるように移動ヘッド32の回転駆動機構33に取り付けられて、三次元移動機構31によって軸線Aに沿って移動させられてプロービングされるものとする。
プロービング装置1の作動状態において、制御部4は、測定装置からプロービング指示S1を入力したときには、最初のプロービング処理を実行する。このプロービング処理では、制御部4は、まず、各コンタクトプローブ2を接触させるべき各半田部位6の位置情報を記憶部5から読み出す。次いで、制御部4は、この位置情報に基づいて、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を、対応する半田部位6の上方に移動させる。続いて、制御部4は、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、コンタクトプローブ2の軸線Aと基板8とが直角となる状態(軸線AとZ軸とが平行な状態)で、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って(Z軸に沿って)基板8方向に直線的に移動させて、コンタクトプローブ2のコンタクトピン13における先端部21を、対応する半田部位6に接触させる(プロービングさせる)。この場合、制御部4は、この最初のプロービング処理では、図3に示すように、コンタクトプローブ2を、そのコンタクトピン13の先端部21が半田部位6に最初に当接してから、距離L1だけさらに基板8方向に移動させる。つまり、プロービング時のコンタクトプローブ2のストローク量(コンタクトピン13のスリーブ11への押し込み量)を距離L1として、コンタクトプローブ2をプロービングさせる。これにより、各コンタクトプローブ2の半田部位6へのプロービングが完了する。なお、同図中のP1は、コンタクトピン13の先端部21が半田部位6に最初に当接した時点でのスリーブ11の下端部(基板8側の端部)の位置を示したものであり、同図中のP2は、この状態からコンタクトピン13をさらにスリーブ11内にストローク量だけ押し込んだ状態でのスリーブ11の下端部の位置を示したものである。以下の各図においても同様である。
次いで、制御部4は、コンタクトプローブ2をプロービングさせた後、予め規定された時間(例えば、測定装置による抵抗7の抵抗値測定処理に要する時間)が経過した時点で、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って基板8から離反する方向に直線的に移動させて、コンタクトプローブ2におけるコンタクトピン13の先端部21を、対応する半田部位6から離反させる。これにより、最初のプロービング処理が完了する。
続いて、測定装置において、最初のプロービングにおいて測定した抵抗7の抵抗値が規定範囲を超えており、コンタクトプローブ2と半田部位6との間に接触不良の発生している可能性があるため、再プロービングが必要であると判別されたときには、測定装置からプロービング装置1に対して再プロービング処理を実行させるためのプロービング指示S1が出力される。プロービング装置1では、制御部4が、このプロービング指示S1を入力したときには、2回目のプロービング処理(再プロービング処理。プロービングのリトライ処理)を実行する。このプロービング処理では、制御部4は、最初のプロービング処理のときと同様にして、各コンタクトプローブ2を接触させるべき各半田部位6の位置情報を記憶部5から読み出し、この位置情報に基づいて各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を、対応する半田部位6の上方に移動させる。次いで、制御部4は、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、コンタクトプローブ2の軸線Aと基板8とが直角となる状態(先のプロービングのときと同じ状態)で、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って(Z軸に沿って)、かつ先のプロービングのときと同じ速度で基板8方向に直線的に移動させて、コンタクトプローブ2のコンタクトピン13における先端部21を、対応する半田部位6における最初のプロービングのときと同じ位置に再度接触させる(再プロービングさせる)。つまり、制御部4は、先のプロービングのときと同じ押し付け方向、同じ押し付け速度で、コンタクトピン13の先端部21を半田部位6における同じ位置に接触させる。
一方、制御部4は、この2回目のプロービング処理では、図4に示すように、コンタクトプローブ2を、そのコンタクトピン13の先端部21が半田部位6に最初に当接してから、距離L2(>L1)だけさらに基板8方向に移動させる。つまり、再プロービング時のコンタクトプローブ2のストローク量(コンタクトピン13の押し込み量)を最初のプロービングのときの距離L1よりも長くして、コンタクトプローブ2をプロービングさせる。これにより、コンタクトプローブ2の再プロービングが完了する。この場合、スリーブ11内のばね12の縮み量が最初のプロービング処理のときとは相違するため、コンタクトピン13の先端部21から半田部位6に加わる圧力が変化(相違)する。本例では、ストローク量が増加するため、圧力は増加する。
したがって、同じ接触条件で再プロービングさせるプロービング方法とは異なり、再プロービング時におけるコンタクトピン13の先端部21の半田部位6との接触条件(本例では圧力)が、最初のプロービングのときと変わる。このため、最初のプロービングのときに、例えば半田部位6の表面に形成されている酸化膜や、半田部位6または先端部21の表面に付着している異物などに阻害されて、コンタクトピン13の先端部21と半田部位6とが良好な接触状態(接触抵抗の低い状態)ではなかった場合であっても、再プロービングのときには、コンタクトプローブ2がより高い圧力でプロービングされるため、コンタクトピン13の先端部21が、上記の酸化膜や異物を排除して、半田部位6と良好な接触状態で接触する。つまり、コンタクトピン13の先端部21と半田部位6との接触状態が改善される。また、最初のプロービングのときのコンタクトピン13との接触に起因した打痕(不図示)が各半田部位6に発生している場合には、再プロービングのときにコンタクトピン13の先端部21はこの打痕上にプロービングされる可能性が高いが、より高い圧力でプロービングされるため、打痕上に再プロービングされたとしても、上記のようにして、2回目のプロービング処理でのコンタクトピン13と半田部位6との接触状態が改善されて、良好な状態でコンタクトピン13が半田部位6にプロービングされる。
次いで、制御部4は、コンタクトプローブ2をプロービングさせた後、予め規定された時間(測定装置での上記の抵抗値測定処理に要する時間)が経過した時点で、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って基板8から離反する方向に直線的に移動させて、コンタクトプローブ2におけるコンタクトピン13の先端部21を、対応する半田部位6から離反させる。これにより、2回目のプロービング処理(プロービングのリトライ処理)が完了する。
このように、このプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1では、コンタクトピン13の半田部位6への再度の接触の際(プロービングのリトライの際)に、先の接触(プロービング)のときと押し付け角度および押し付け速度については同じに維持しつつ、コンタクトピン13のストローク量(スリーブ11内への押し込み量)についてのみ相違させる。
したがって、このプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1によれば、押し付け角度、押し付け速度およびストローク量を全て同じにしてリトライさせるプロービング方法とは異なり、ストローク量を変えることによってリトライ時のコンタクトピン13の先端部21から半田部位6に加わる圧力を変化(相違)させることができ、これにより、コンタクトピン13の先端部21と半田部位6との接触状態を最初のプロービングのときよりも改善することができる。また、最初のプロービングのときのコンタクトピン13との接触に起因した打痕が各半田部位6に発生していて、仮にこの打痕上にコンタクトピン13を再プロービングしたとしても、リトライ時におけるコンタクトピン13と半田部位6との接触状態を改善することができる結果、コンタクトピン13を半田部位6に良好な状態でプロービングすることができる。
また、上記のプロービング方法、およびプロービング装置1のように、リトライ時のストローク量を増加させる構成を採用することによって、再プロービングされたコンタクトピン13の先端部21から半田部位6に加わる圧力を増加させることができるため、最初のプロービング時に発生した打痕上に再プロービングされるか否かに拘わらず、最初のプロービングのときにコンタクトピン13の先端部21と半田部位6との良好な接触状態を阻害していた酸化膜や異物を排除して、コンタクトピン13の先端部21を半田部位6に良好な接触状態で接触させることができる。
なお、上記のプロービング方法、およびプロービング装置1では、リトライ時のストローク量を増加させる構成を採用しているが、ストローク量を減少させる構成を採用することもできる。この構成においても、ストローク量が変化するため、リトライ時のコンタクトピン13と半田部位6との接触状態を先のプロービングのときの接触状態に対して変化させることができる結果、コンタクトピン13と半田部位6との接触状態を改善してプロービングすることができる。
例えば、コンタクトピン13の先端部21が最初のプロ−ビングのときに発生した打痕上に再プロービングされる場合、再プロービングのときの圧力と最初のプロービングのときの圧力とが等しいときには、両プロービング時における打痕の内面と、この打痕内に進入した先端部21の外面との当たり方が同じになる確率が高いため、再プロービングによってコンタクトピン13と半田部位6との間の接触抵抗が改善される可能性は低いが、再プロービングのときの圧力が最初のプロービングのときの圧力と比較して弱いときには、打痕の内面形状は先端部21の進入によっては変化しない一方で、コンタクトピン13の変形(例えば撓み量)の程度は変化するため、両プロービング時における打痕の内面と、この打痕内に進入した先端部21の外面との当たり方が変わる確率が高くなる。このため、再プロービングによってコンタクトピン13と半田部位6との接触抵抗が改善される可能性を高めることができる。
なお、コンタクトプローブ2の半田部位6への押し付け角度を基板8と直角に規定した例について上記したが、コンタクトプローブ2の半田部位6への押し付け角度は任意の角度とすることができる。
また、上記の例では、リトライの際に、コンタクトプローブ2のストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちのストローク量のみを変化させる構成を採用しているが、プロービング装置1では、制御部4が各回転駆動機構33を制御することにより、各移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2の角度を変更することができるため、コンタクトプローブ2の押し付け角度のみを先の接触のときと相違させて、プロービングをリトライすることもできる。以下、この押し付け角度のみを先の接触のときと相違させるプロービング方法について説明する。なお、以下では、最初のプロービングの際には、基板8に対して各コンタクトプローブ2を直角にした状態で、コンタクトプローブ2の軸線Aに沿って半田部位6へ接触させ、リトライの際には、基板8に対する各コンタクトプローブ2の角度を変えて、この状態からコンタクトプローブ2をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って半田部位6へ移動させて半田部位6に接触させることで、リトライ時のコンタクトプローブ2の押し付け角度を先の接触のときと相違させる例を挙げて説明するが、これは一例であり、リトライ時のコンタクトプローブ2の押し付け角度が先の接触のときと相違する構成である限り、先の接触のときのコンタクトプローブ2の押し付け角度、およびリトライ時のコンタクトプローブ2の押し付け角度は共に任意の角度とすることができる。
まず、プロービング装置1の作動状態において、制御部4は、測定装置からプロービング指示S1を入力したときには、最初のプロービング処理を実行する。このプロービング処理では、制御部4は、上記したプロービング処理の実行時と同様にして、各コンタクトプローブ2を接触させるべき各半田部位6の位置情報を記憶部5から読み出す。次いで、制御部4は、この位置情報に基づいて、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を、対応する半田部位6の上方に移動させる。続いて、制御部4は、各移動機構3の回転駆動機構33を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を回転させて、基板8に対するコンタクトプローブ2の角度を予め規定された角度に設定する。本例では一例として、図3に示すように、コンタクトプローブ2の基板8に対する角度を直角に設定する。
次いで、制御部4は、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って(Z軸に沿って)基板8方向に直線的に移動させて、コンタクトピン13の先端部21を、対応する半田部位6に接触させる(プロービングさせる)。これにより、各コンタクトプローブ2の半田部位6へのプロービングが完了する。この場合、制御部4は、この最初のプロービング処理では、図3に示すように、コンタクトプローブ2のストローク量が距離L1となるようにプロービングする。続いて、制御部4は、コンタクトプローブ2をプロービングさせた後、予め規定された時間(測定装置での上記の抵抗値測定処理に要する時間)が経過した時点で、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、各移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って基板8から離反する方向に直線的に移動させて、各コンタクトピン13の先端部21を半田部位6から離反させる。これにより、最初のプロービング処理が完了する。
続いて、測定装置から再プロービング処理を実行すべき旨のプロービング指示S1を入力したときには、制御部4は、2回目のプロービング処理(再プロービング処理。プロービングのリトライ処理)を実行する。このプロービング処理では、制御部4は、最初のプロービング処理のときと同様にして、各コンタクトプローブ2を接触させるべき各半田部位6の位置情報を記憶部5から読み出し、この位置情報に基づいて、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、各移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を、対応する半田部位6の上方に移動させる。続いて、制御部4は、各移動機構3の回転駆動機構33を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を回転させて、図5に示すように、基板8に対するコンタクトプローブ2の角度を予め規定された角度(先のプロービングのときと異なる角度)に設定する。
次いで、制御部4は、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って、かつ先のプロービングのときと同じ速度で基板8方向に直線的に移動させて、コンタクトピン13の先端部21を、対応する半田部位6における最初のプロービングのときと同じ位置に接触させる(プロービングさせる)。この場合、制御部4は、コンタクトプローブ2のストローク量が先のプロービングのときと同じ距離L1となるようにプロービングする。これにより、コンタクトプローブ2の再プロービングが完了する。続いて、制御部4は、コンタクトプローブ2をプロービングさせた後、予め規定された時間が経過した時点で、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、各移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って基板8から離反する方向に直線的に移動させて、各コンタクトピン13の先端部21を半田部位6から離反させる。これにより、2回目のプロービング処理(プロービングのリトライ)が完了する。
このように、このプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1では、コンタクトピン13の半田部位6への再度の接触の際(プロービングのリトライの際)に、先の接触(プロービング)のときとストローク量および押し付け速度については同じに維持しつつ、コンタクトピン13の押し付け角度についてのみ相違させる。したがって、このプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1によれば、押し付け角度、押し付け速度およびストローク量を全て同じにしてリトライさせるプロービング方法とは異なり、押し付け角度を変えることによってリトライ時のコンタクトピン13の先端部21と半田部位6との当接角度を変化(相違)させることができるため、コンタクトピン13の先端部21や半田部位6に異物が付着していたとしても、最初のプロービング時に発生した打痕上に再プロービングされるか否かに拘わらず、この異物を避けてコンタクトピン13の先端部21を半田部位6に再プロービングすることができる。つまり、プロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1によれば、リトライ時におけるコンタクトピン13と半田部位6との接触状態を改善することができる結果、コンタクトピン13を半田部位6に良好な状態でプロービングすることができる。
また、上記の例では、リトライの際に、コンタクトプローブ2のストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちのストローク量のみ、または押し付け角度のみを変化させる構成を採用しているが、プロービング装置1では、制御部4が各三次元移動機構31を制御することにより、各移動ヘッド32の移動速度を変更することができるため、各コンタクトプローブ2の押し付け速度のみを先の接触のときと相違させて、プロービングをリトライすることもできる。このプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1においても、リトライ時のコンタクトプローブ2の押し付け速度を先のプロービングのときよりも速めたり、遅くしたりすることにより、コンタクトピン13の先端部21と半田部位6との接触時に、コンタクトピン13から半田部位6に印加される衝突加重を変化(相違)させることができ、これにより、上記したコンタクトプローブ2のストローク量を変化させる構成と同様にして、最初のプロービングのときに発生した打痕上にコンタクトピン13を再プロービングしたとしても、リトライ時におけるコンタクトピン13と半田部位6との接触状態を改善することができる結果、コンタクトピン13を半田部位6に良好な状態でプロービングすることができる。
また、上記の例では、リトライの際に、コンタクトプローブ2のストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちのいずれか1つのみを変化させる構成を採用しているが、任意の2つを変化させる構成、すなわち、ストローク量および押し付け角度、またはストローク量および押し付け速度、または押し付け角度および押し付け速度を、リトライ時のときに先の接触のときと相違させる構成や、3つ全てを変化させる構成を採用することもできる。
以下、一例として、リトライ時のときのストローク量および押し付け角度を先の接触のときと相違させるプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1について図面を参照して説明する。
まず、プロービング装置1の作動状態において、制御部4は、測定装置からプロービング指示S1を入力したときには、最初のプロービング処理を実行する。このプロービング処理では、制御部4は、上記した各プロービング処理の実行時と同様にして、各コンタクトプローブ2を接触させるべき各半田部位6の位置情報を記憶部5から読み出す。次いで、制御部4は、この位置情報に基づいて、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を、対応する半田部位6の上方に移動させる。続いて、制御部4は、各移動機構3の回転駆動機構33を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を回転させて、基板8に対するコンタクトプローブ2の角度を予め規定された角度に設定する。本例では一例として、図3に示すように、コンタクトプローブ2の基板8に対する角度を直角に設定する。
次いで、制御部4は、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って(Z軸に沿って)基板8方向に直線的に移動させて、コンタクトピン13の先端部21を、対応する半田部位6に接触させる(プロービングさせる)。この場合、制御部4は、この最初のプロービング処理では、図3に示すように、コンタクトプローブ2のストローク量が距離L1となるようにプロービングする。続いて、制御部4は、コンタクトプローブ2をプロービングさせた後、予め規定された時間(測定装置での上記の抵抗値測定処理に要する時間)が経過した時点で、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、各移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って基板8から離反する方向に直線的に移動させて、各コンタクトピン13の先端部21を半田部位6から離反させる。これにより、最初のプロービング処理が完了する。
続いて、測定装置から再プロービング処理を実行させるためのプロービング指示S1を入力したときには、制御部4は、2回目のプロービング処理(再プロービング処理。プロービングのリトライ処理)を実行する。このプロービング処理では、制御部4は、最初のプロービング処理のときと同様にして、各コンタクトプローブ2を接触させるべき各半田部位6の位置情報を記憶部5から読み出し、この位置情報に基づいて、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、各移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を、対応する半田部位6の上方に移動させる。続いて、制御部4は、各移動機構3の回転駆動機構33を制御することにより、移動ヘッド32に取り付けられたコンタクトプローブ2を回転させて、図6に示すように、基板8に対するコンタクトプローブ2の角度を予め規定された角度(先のプロービングのときと異なる角度)に設定する。
次いで、制御部4は、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って、かつ先のプロービングのときと同じ速度で基板8方向に直線的に移動させて、コンタクトピン13の先端部21を、対応する半田部位6における最初のプロービングのときと同じ位置に再度接触させる(再プロービングさせる)。この場合、制御部4は、コンタクトプローブ2のストローク量が先のプロービングのときと異なる距離L2となるようにプロービングする。これにより、コンタクトプローブ2の再プロービングが完了する。続いて、制御部4は、コンタクトプローブ2をプロービングさせた後、予め規定された時間(測定装置での上記の抵抗値測定処理に要する時間)が経過した時点で、各移動機構3の三次元移動機構31を制御することにより、各移動ヘッド32をコンタクトプローブ2の軸線Aに沿って基板8から離反する方向に直線的に移動させて、各コンタクトピン13の先端部21を半田部位6から離反させる。これにより、2回目のプロービング処理(プロービングのリトライ処理)が完了する。
このように、このプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1では、リトライの際に、コンタクトプローブ2のストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちの任意の2つ(ストローク量および押し付け角度、またはストローク量および押し付け速度、または押し付け角度および押し付け速度)を変化させる。このため、ストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちのいずれか1つのみの変更ではリトライの際のコンタクトピン13と半田部位6との接触状態が十分に改善されない場合においても、コンタクトプローブ2のストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちの任意の2つを変化させるプロービング方法およびプロービング装置1によれば、他の1つをさらに変更すること(変更した残りの1つ)によって、接触状態を十分に改善することができる結果、リトライ時の接触状態をより確実に改善することができる。
さらに、上記したリトライ時のときのストローク量および押し付け角度を先の接触のときと相違させるプロービング方法、およびこのプロービング方法を実行するプロービング装置1において、さらにリトライ時におけるコンタクトプローブ2の半田部位6への移動速度を先の接触のときと相違させることによって押し付け速度についても変更することで、コンタクトプローブ2のストローク量、押し付け角度および押し付け速度の3つ全てを変化させる構成とすることもできる。このコンタクトプローブ2のストローク量、押し付け角度および押し付け速度の3つ全てを変化させるプロービング方法およびプロービング装置1によれば、ストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちのいずれか2つの変更によっても、リトライの際のコンタクトピン13と半田部位6との接触状態が十分に改善されないときにおいても、残りの1つで接触状態が改善されることがあるため、リトライ時の接触状態を一層確実に改善することができる。
また、リトライ時におけるストローク量、押し付け角度および押し付け速度を予め規定して、リトライを1回実行する例について上記したが、図示はしないが、プロービング装置1に、各コンタクトプローブ2と半田部位6との接触状態の良否を判別する判別部(例えば、コンタクトプローブ2と半田部位6との接触抵抗を測定し、かつ基準値と比較することにより、接触状態の良否を判別する判別部)を設け、1つの抵抗7の各半田部位6に対して、リトライ毎に、ストローク量、押し付け角度および押し付け速度のうちのいずれか1つ、または任意の2つ、または全てを変化させつつリトライを複数回実行して、その中から最も接触状態が良好となるものを特定して、記憶部5に記憶させる構成を採用することもできる。この構成によれば、別の基板8に実装された抵抗7の半田部位6に対して、コンタクトプローブ2をプロービングする際に、先の基板8において最も接触状態が良好となるストローク量、押し付け角度および押し付け速度を適用することができる。
また、上記のプロービング装置1では、リトライ時における押し付け角度を変更可能とするため、移動ヘッド32に回転駆動機構33を設け、この回転駆動機構33にコンタクトプローブ2を取り付ける構成を採用しているが、リトライ時における押し付け角度を変更しない構成においては、回転駆動機構33の配設を省いて、コンタクトプローブ2を移動ヘッド32に直接取り付ける構成を採用することもできる。また、上記のプロービング装置1と、コンタクトプローブ2を介して抵抗7などの電子部品の電気的パラメータを測定可能な測定装置とを組み合わせることで、基板8に対する基板検査装置を構成することもできる。また、フライングプローブ式のプロービング装置1について上記したが、リトライ時におけるストローク量および押し付け速度を変更するプロービング方法は、プロービング対象体の位置に合わせて予めコンタクトプローブ2が固定して配設されたジグ式のプロービング装置にも適用できるのは勿論である。また、このジグ式のプロービング装置、およびこの装置で実行されるプロービング方法では、各コンタクトプローブ2と基板8とを相対的に接離動させればよいため、上記のプロービング装置1のようにコンタクトプローブ2を移動させる構成に代えて、基板8側をコンタクトプローブ2に対して接離動させる構成を採用することもできる。
また、上記のプロービング方法およびプロービング装置1では、一例として、コンタクトピン13の後端部22がスリーブ11内に抜脱不能、かつ摺動自在な状態で挿入され、またコンタクトピン13を付勢するばね12もスリーブ11内に収容されたコンタクトプローブ2を使用する例を挙げて説明したが、この構成以外のコンタクトプローブ、例えば、図示はしないが、後端側が先端部と同様にしてスリーブ11から突出した状態でスリーブ11に挿入され、スリーブ11内に位置する中央部分が上記のコンタクトピン13の後端部22と同様(外径がスリーブ11の内径よりも若干小径)に構成されることにより、スリーブ11内で摺動する構成のコンタクトプローブや、コンタクトピンの先端部をスリーブから突出する方向に付勢する付勢部材(ばね)がスリーブの外部に配設されたコンタクトプローブなど、様々な構成のコンタクトプローブを使用することができる。